2010年8月22日日曜日

12年秋 タイガースvsイーグルス 1回戦

9月7日 (火) 洲崎


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 0 0 0 1 0 1 0   0  2  タイガース   4勝2敗  0.667  西村幸生
0 0 2 0 0 0 0 0 0 1X  3  イーグルス  5勝1敗  0.833  畑福俊英


勝利投手 畑福俊英 3勝0敗
敗戦投手 西村幸生 2勝1敗


二塁打 (タ)田中
三塁打 (イ)寺内 


バッキー・ハリス、サヨナラヒット 荒鷲、猛虎を喰う


 今季のイーグルス好調の要因の一つはショートに野村実を固定してサム高橋吉雄をセカンドに回すことにより、春季リーグ戦で見られた内野守備の乱れによる失点が無くなったことがあげられる。本日はショートに辻信夫が今季初出場。前の試合4打数2安打の野村を引っ込めたのは怪我のためではないかと考えられる。

 イーグルスは3回、この回先頭の七番中河美芳の当りは二ゴロ、しかしセカンド奈良友夫のエラーで無死一塁、八番辻信夫の投ゴロでランナーが入れ替わる。続く漆原進の遊ゴロを今度はショート岡田宗芳がエラー、寺内一隆が右翼線に三塁打を放って2点を先制する。

 5回まで畑福俊英に3安打無得点に抑えられていたタイガースは6回、一死後カイザー田中義雄が右中間に二塁打、藤井勇、奈良四球で一死満塁、西村幸生の三ゴロの間に田中が還って1-2とする。更に8回、景浦将の猛ゴロをサード漆原進が失して無死一塁、田中の送りバントが内野安打となり、藤井が一塁線に送りバントを決めて一死二三塁、奈良の二ゴロの間に景浦が還って2-2の同点に追い付く。

 8回裏イーグルスは無安打、9回は両チームとも無安打で延長戦に突入、10回表タイガースは三者凡退。

 イーグルスは10回裏、一死後漆原が左翼線に安打を放って出塁、寺内の二ゴロをセカンド奈良がこの日二つ目のエラーで一死一二塁、中根之の一ゴロはファースト本堂保次からショート皆川定之に送られて寺内はフォースアウト、しかしゲッツーは取れず二死一三塁、ここでバッキー・ハリスが左前にサヨナラ打を放ちイーグルスが3対2でタイガースを打ち破る。翌日の読売新聞の見出しは「荒鷲、猛虎を喰ふ」。

 西村幸生は5安打4四球6三振の力投を見せるが二遊間の3つのエラーに泣く。失点は3であるが自責点は当然ゼロである。一方畑福俊英は5安打5四球2三振、3試合連続完投で無傷の3連勝、軟投派が板に付いてきた。今季初の自責点1を記録したが防御率0.32、28回を投げて被安打14・与四球14でWHIP1.00。

 因みにWHIPとはセイバーメトリクスの代表的指標で、1イニング当りヒットと四球で何人の走者を許したかを計る。(被安打+与四球)÷投球回数で算出し、当然数字が少ない方が投球内容が良いことを意味する。走者を出しながらも得点を許さないというタイプには不利となる。現在メジャーでは勝利数よりも重要視されており、サイ・ヤング賞選出の投票基準は防御率、奪三振及び奪三振率、WHIPから判断されることが多い。なお、奪三振・与四球・被本塁打から算出するDIPSもメジャーで使われる指標ですが、昭和12年の職業野球においてはホームランがあまり出ない時代であることから、当ブログでは重要視しておりません。現在のようなホームラン乱発時代には有用な指標かもしれませんが、そもそも現在のようなホームラン乱発時代が正しいとは思っておりませんので、必然的にDIPSの有用性には疑問を感じております。「普遍性」を基準に考えた場合、「走者を出さない」ことがピッチングの基本であることはどの時代にも共通していると考えるならば、昭和12年当時であってもWHIPを用いて論じることは有効であると考えます。

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