2019年4月30日火曜日

平成最後の実況中継


 「平成」最後の実況中継は、戦前最後の実況中継となりました。

 「令和」時代は、戦後編をお届けします。

 

19年 阪急vs朝日 7回戦


8月30日 (水) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 1 0 0 0 0 0 3 0 6 阪急 19勝15敗1分 0.559 天保義夫
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 朝日 12勝22敗1分 0.353 内藤幸三

勝利投手 天保義夫   5勝4敗
敗戦投手 内藤幸三 11勝11敗

二塁打 (急)坂田 (朝)菊矢
三塁打 (朝)坪内

勝利打点 三木久一 2


戦前最後の実況中継

 いよいよ戦前最後の試合。

 阪急は初回、先頭の坂田清春が四球を選んで出塁、上田藤夫の三ゴロの間に坂田は二進、山田伝の中前打で一死一三塁、山田が二盗を決め、野口明は右邪飛に倒れるが、三木久一が左前に先制タイムリーを放って1-0、大平茂が三塁線にタイムリーを放って2-0とする。

 阪急は2回、先頭の天保義夫が四球を選んで出塁、木暮英路が右前打、伊藤健一も右前打で続いて無死満塁、ここで三走天保が「2-5」でタッチアウト、キャッチャー金光彬夫からの牽制に刺されたか、スクイズを外されて「2-5」と送球された可能性もある。一死一二塁となって坂田が左中間に二塁打を放ち3-0とする。

 朝日は6回、一死後坪内道則が左中間に三塁打、菊矢吉男が左前にタイムリーを放って1-3と追い上げる。

 阪急は8回、先頭の大平が四球で出塁、天保もストレートの四球を選び、小暮の中前打で無死満塁、伊藤は浅い中飛に倒れるが、トップに返り坂田の中犠飛で4-1、上田はストレートの四球で二死満塁、山田が二遊間に2点タイムリーを放って6-1として試合を決める。

 天保義夫は6安打2四球1三振の完投で5勝目をマークする。

 戦前最後の試合は、両軍無失策の締まった試合であった。

 

2019年4月29日月曜日

19年 巨人vs阪急 7回戦


8月28日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 巨人 19勝14敗2分 0.576 藤本英雄
0 0 0 0 0 0 0 1 X 1 阪急 18勝15敗1分 0.545 天保義夫

勝利投手 天保義夫   4勝4敗
敗戦投手 藤本英雄 10勝8敗

勝利打点 なし


戦前最後の零封

 巨人・藤本英雄、阪急・天保義夫の投げ合いで7回まで両軍無得点。

 阪急は8回、一死後野口明がライト線にヒット、三木久一の中前打で一死一二塁、大平茂は投ゴロ、ピッチャー藤本は三塁に送球するが、これをサード近藤貞雄が後逸、二走野口が還って阪急が貴重な先制点をあげる。これが決勝点となった。

 天保義夫は4安打3四球3三振で今季3度目の完封、4勝目をマークする。

 巨人は7月23日以来となる今季3度目のシャットアウト負け、戦前最後の零封を記録した。

 6回表巨人の攻撃、二死一塁で川畑博の打席、カウントスリーボールナッシングの場面で一走近藤貞雄がスタートを切るがキャッチャー坂田清春からの送球にタッチアウト、盗塁死が記録されたが、この時の投球は「ボール」だったようである。当然川畑は四球で二死一二塁となるところであるが、どうやらチェンジになったらしい。そして7回は川畑からの攻撃、6回の川畑の打席の4球目はストライクに訂正されたようだ。この経緯が「雑記」欄に書かれているが、例によって山内以九士の字は判別困難で、判読できる断片をつなぎ合わせると上記のような経緯であったようだ。


*「四球なるも7回川畑再び‟e”。記録席より金政に大声で指摘せしも、規則を知らず、そのまま打たせたので四球〇を正球(ストライク)と訂正せり。」と書かれているようです。‟e”とは五番打者のことで、6回二死スリーボールノーストライクの打席で盗塁失敗チェンジとなったので、7回は五番川畑が先頭打者として打席に立った。6回の打席の4球目がボールの判定であったのならば、その場で川畑四球で二死一二塁とすれば済むところ、何故チェンジとなったのか、山内の説明とも矛盾しているように見える。金政卯一主審は本当にこの程度のルールを知らなかったのか。真相や如何に。


 

19年 阪急vs阪神 7回戦


8月27日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 4 1 0 2 0 7 阪急 17勝15敗1分 0.531 山田伝
3 0 0 0 4 0 0 2 X 9 阪神 27勝6敗2分 0.818 若林忠志

勝利投手 若林忠志 22勝4敗
敗戦投手 山田伝      2勝1敗

二塁打 (急)榎並 (神)本堂
三塁打 (神)藤村、本堂

勝利打点 本堂保次 3

猛打賞 (急)坂井豊司 1、山田伝 3、榎並達郎(4安打) 1 (神)呉昌征 1、本堂保次 3


戦前最後のシーソーゲーム

 阪神は初回、塚本博睦、辻源兵衛が連続四球、パスボールの後に呉昌征も四球を選んで無死満塁、2試合連続完封の阪急先発山田伝の制球が定まらない。本堂は二飛に倒れ、門前真佐人の当りは三ゴロ、これをサード坂井豊司がエラーする間に三走塚本が還って1点を先制、一死二三塁から若林忠志がスクイズバントを決めて2-0、藤村冨美男が左前にタイムリーを放って3-0とリードする。

 阪急は5回、先頭の榎並達郎がライト線に三塁打、伊藤健一はショートライナー、トップに返り坂井のピッチャー強襲ヒットがタイムリーとなって1-3、坂田清春の三前バントが犠打となって二死二塁、山田は三塁にヒット、山田が二盗を決め、野口明が四球を選んで二死満塁、上田藤夫が左前にタイムリーを放って2-3、三木久一が左前に逆転の2点タイムリーを放って4-3と試合をひっくり返す。

 阪神は5回裏、先頭の本堂がレフト線に二塁打、門前は左飛に倒れるが、若林が四球を選んで一死一二塁、藤村が右中間に三塁打を放って5-4と再逆転、森田明義は浅い中飛に倒れるが、武智修が右前にタイムリーを放って6-4、武智はパスボールで二進、塚本が右前にタイムリーを放って7-4と突き放す。

 阪急は6回、先頭の榎並が左中間に二塁打、伊藤は捕邪飛、トップに返り坂井も一邪飛に倒れるが、坂田が三塁線にタイムリーを放って5-7と詰め寄る。

 阪神は7回の守備からライトの森田が下がり小林英一が入ってセカンド、セカンドの本堂がファーストに回り、ファーストの辻がライトに回る。

 阪神は8回の守備から再度入れ替えを行い、辻がファーストに戻り、本堂がセカンドに戻り、小林がライトに回る。

 一番からの好打順の阪急は8回表、先頭の坂井が中前打で出塁、坂田の遊ゴロでランナーが入れ替わり、山田がライト線ヒット、野口明も右前打で続いて一死満塁、上田がレフト線に同点の2点タイムリーを放ち7-7と追い付く。なお一死一二塁から三木の三ゴロはサード藤村が三塁ベースを踏んで二死一二塁、大平茂は一飛に倒れて同点止まり。

 阪神は8回裏、一死後塚本が四球で出塁、辻の三ゴロでランナーが入れ替わり、呉昌征の右前打で二死一三塁、ここで本堂が左中間に三塁打を放って二者生還、9-7と三度リードする。

 阪急は最終回、先頭の榎並が右中間に三塁打、遠山晴富の三ゴロで三走榎並がホームを突くが、サード藤村からのバックホームにタッチアウト、トップに返り坂井の二ゴロが「4-6-3」と渡ってダブルプレー、試合終了となる。

 若林忠志は17安打を打たれたが、1四球1三振7失点の完投で22勝目をマークする。

 阪急は坂井豊司、山田伝、榎並達郎が猛打賞を記録して17安打、阪神は呉昌征、本堂保次が猛打賞を記録して12安打、戦前最後のシーソーゲームとなった。

 榎並達郎は第1打席でシングルヒット、第2打席で三塁打、第3打席で二塁打を放ち、第4打席は二飛に倒れたが、第5打席は右中間を破る三塁打で、惜しくもサイクルヒットを逃した。日本プロ野球史上初のサイクルヒットは4年後の昭和23年10月2日に藤村冨美男が記録することとなる。

 

2019年4月28日日曜日

19年 近畿vs巨人 7回戦


8月27日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 4 0 0 1 0 1 0 6 近畿 11勝23敗1分 0.324 清水秀雄
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 巨人 19勝13敗2分 0.594 近藤貞雄 中村政美

勝利投手 清水秀雄 8勝12敗
敗戦投手 近藤貞雄 3勝4敗

二塁打 (近)吉川、岡村、丸山

勝利打点 吉川義次 2


清水秀雄、戦前最後の快投!

 1回、2回と三者凡退の近畿は3回、一死後野口渉が四球で出塁、丸山二三雄の投ゴロをピッチャー近藤貞雄が二塁に送球するがベースカバーのショート杉江繁雄が落球して一死一二塁、トップに返り松川博爾が四球を選んで一死満塁、吉川義次のレフト線二塁打で2点を先制、堀井数男の遊ゴロで三走松川がホームを狙うが杉江がバックホームしてタッチアウト、二死一三塁から清水秀雄が右前にタイムリーを放ち3-0、岡村俊昭もライト線にタイムリー二塁打を放って4-0とリードする。

 巨人は3回まで三者凡退。4回、先頭の呉新亨が中前打で出塁するが盗塁失敗、「1-4」でアウトになっているのでディレードスチールを試みたようだ。

 巨人は5回、先頭の中村政美がストレートの四球で出塁、近藤は三振に倒れるが、杉江もストレートの四球、佐藤武夫が左前打を放って一死満塁、宮下信明は三振に倒れるが、プロ入り初スタメンマスクの柴田崎雄が押出し死球を受けて1-4とする。

 近畿は6回、先頭の荒木が三塁線にセーフティバントを決めて出塁、野口渉がストレートの四球を選んで無死一二塁、丸山二三雄が送って一死二三塁、トップに返り松川がスクイズを決めて5-1と突き放す。

 近畿は8回、先頭の荒木が四球を選んで出塁、野口渉は投飛に倒れるが、丸山が左中間に二塁打を放って荒木を迎え入れ6-1とダメ押す。

 清水秀雄は2安打4四球1死球7三振の完投で8勝目をマーク、戦前最後のピッチングを2安打完投で飾った。

  巨人は7回から近藤がサードに回り、サード中村政美がマウンドに上がるといきなり堀井、清水を連続三振に仕留める。8回は1失点であったが9回は三者凡退、今期首位打者の岡村俊昭を三振に打ち取り締めくくった。中村はこれが最後のピッチング、この後戦場に旅立ち戻って来ることはなかった。

 昭和18年に西鉄に入団した柴田崎雄は試合出場がないまま西鉄が解散し、昭和19年に黒沢俊夫、佐藤武夫、近藤貞雄と共に巨人に移籍して7月1日の産業戦でプロ入り初出場、3試合目の出場となったこの日プロ入り初のスタメンマスクを被って1打点を記録、プロでの唯一の打点となった。戦後は中日のスカウトに転身、プロ野球選手経験者としては阪急の丸尾千年次と共に最古参のスカウトとして大活躍することとなる。

 

2019年4月27日土曜日

19年 阪急vs巨人 6回戦


8月26日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 2 1 1 0 1 0 2 8 阪急 17勝14敗1分 0.548 木暮英路
0 0 0 2 0 0 0 0 0 2 巨人 19勝12敗2分 0.613 藤本英雄 近藤貞雄

勝利投手 木暮英路   1勝1敗
敗戦投手 藤本英雄 10勝7敗

二塁打 (急)三木
三塁打 (急)大平2、山田
本塁打 (巨)中村 1号

勝利打点 大平茂 1

猛打賞 (急)野口明 4 (巨)呉新亨(4安打) 4 


中村政美、戦前最後のホームラン

 阪急は2回、二死後三木久一の当りは遊ゴロ、これをショート杉江文二が一塁に悪送球、続く大平茂が右中間に三塁打を放って1点を先制する。

 阪急は3回、先頭の伊藤健一が三塁線にセーフティバントを決めて出塁、トップに返り坂井豊司が送りバントを決め、坂田清春はセンターライナー、二死二塁から山田伝が中前にタイムリーを放って2-0、センター呉新亨からの返球が悪送球となる間に打者走者の山田は三塁に進み、野口明の中前タイムリーで3-0とする。

 阪急は4回、先頭の三木がレフト線に二塁打、大平の遊ゴロの間に二走三木は三進、木暮英路が中前にタイムリーを放って4-0とする。

 巨人は4回裏、先頭の呉新亨が右前打で出塁、近藤貞雄は左邪飛に倒れ、呉は盗塁失敗、黒沢俊夫がセンター左にヒットを放って二死一塁、ここで中村政美がレフトスタンドにライナーで叩き込むツーラン、2-4と追い上げる。

 巨人は5回の守備から、ピッチャー藤本英雄がライトに回り、ライトの中村がファーストに回り、ファーストの近藤がマウンドに上がる。

 阪急は5回、一死後山田が四球で出塁、野口明はセカンドライナー、山田が二盗を決めて二死二塁、上田藤夫が右前にタイムリーを放って5-2と突き放す。

 阪急は7回、先頭の山田が死球を受けて出塁すると二盗に成功、野口明が左前にこの日2本目のタイムリーを放ち6-2とダメ押す。

 阪急は9回、先頭の山田がレフト線に三塁打、野口明が右前にこの日3本目のタイムリーを放って7-2、上田は三振、三木の三ゴロでランナーが入れ替わり、大平がこの日2本目の三塁打を左中間に放って8-2として試合を決める。

 木暮英路は9安打を許しながら無四球1三振の完投でプロ入り初勝利、木暮にとってプロ生活唯一の勝ち星を無四球で飾った。

 中村政美が戦前最後のホームランを放った。中村はこの後、戦場に散ることとなる。

 

19年 近畿vs阪神 7回戦


8月26日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 2 0 0 2 近畿 10勝23敗1分 0.303 清水秀雄
1 0 3 0 0 0 0 0 X 4 阪神 26勝6敗2分 0.813 若林忠志

勝利投手 若林忠志 21勝4敗
敗戦投手 清水秀雄   7勝12敗

二塁打 (神)本堂

勝利打点 若林忠志 3

猛打賞 (神)門前真佐人 2


若林、粘りのピッチングで21勝目

 阪神は初回、先頭の呉昌征が左前打で出塁、辻源兵衛は四球を選んで無死一二塁、本堂保次は投飛に倒れるが、門前真佐人が三遊間を破って一死満塁、ここで若林忠志がプッシュ気味に二前にスクイズバントを決めて1点を先制する。スコアカードには二塁へのバントと記載されていることから「プッシュ気味」と実況させていただいていますが、セカンド加藤喜作がバントシフトで突っ込んできた可能性は否定できません。近年では高校野球でも二塁手がバントシフトで突っ込んでくるシーンはほとんど見られませんが、40年くらい前までの甲子園ではよく見られました。

 阪神は3回、先頭の呉昌征が四球で出塁すると二盗に成功、辻が左前打を放って無死一三塁、辻が二盗を決め、本堂が中越えに二塁打を放って3-0、門前が中前にタイムリーを放って4-0とリードを広げる。

 6回まで2安打無得点の近畿は7回、先頭の岡村俊昭がストレートの四球で出塁、八木進の中前打で岡村は三塁に進み無死一三塁、荒木正が中前にタイムリーを放って1-4、丸山二三雄はストレートの四球で無死満塁、加藤は三邪飛、トップに返り松川博爾も捕邪飛に倒れるが、吉川義次が押出し四球を選んで2-4と追いすがる。
 近畿は8回、二死後八木が三塁にヒット、荒木も右前打で続くが、丸山は左飛に倒れて無得点。


 近畿は9回、一死後松川が右前打で出塁、吉川は遊飛に倒れ、堀井数男がレフト線にヒットを放って二死一二塁と最後の反撃を見せるが、清水秀雄はニゴロに倒れてゲームセット。

 若林忠志は9安打3四球無三振の完投で21勝目をあげる。終盤は毎回2本ずつヒットを許したがぎりぎり粘り切った。

 

2019年4月22日月曜日

19年 朝日vs巨人 7回戦


8月21日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 朝日 12勝21敗1分 0.364 藤本英雄
0 0 0 3 0 0 0 4 X 7 巨人 19勝11敗2分 0.633 内藤幸三

勝利投手 藤本英雄 10勝6敗
敗戦投手 内藤幸三 11勝10敗

二塁打 (朝)酒沢、菊矢、内藤 (巨)佐藤

勝利打点 なし


藤本英雄、自責点ゼロの完投で10勝目

 朝日は初回、先頭の酒沢政夫が右中間に二塁打、田中豊一の二ゴロが進塁打となって一死三塁、坪内道則は二飛に倒れるが、菊矢吉男が右中間に二塁打を放って1点を先制する。

 3回まで無安打の巨人は4回、先頭の近藤貞雄の当りは三ゴロ、これをサード坪内が一塁に悪送球、黒沢俊夫の三前バントが内野安打となって無死一二塁、川畑博の投前送りバントは強いゴロとなりピッチャー内藤幸三が三塁に送球するが悪送球となって無死満塁、ここで三走近藤がキャッチャー金光彬夫からのサード坪内への送球にタッチアウト、この間に二走黒沢と一走川畑がそれぞれ進塁しているので、スクイズを外されたものでしょう。ということで一死二三塁、藤本英雄のニゴロで三走黒沢が生還して1-1の同点、セカンド桜沢三郎は三塁に送球するがサード坪内が後逸、桜沢の野選と坪内のエラーがが記録され、この間に二走川畑も還って2-1と逆転、一死二塁から宮下信明の右前タイムリーで3-1とする。

 巨人は8回、一死後川畑がレフト線にヒット、藤本は中前打、宮下も左前打で続いて一死満塁、杉江繁雄のライト線タイムリーで4-1、佐藤武夫に代わる代打中村政美は浅い中飛に倒れて二死満塁、ここで渡部弘が三前にタイムリーセーフティバントを決めて三走藤本が生還、サード坪内が一塁に悪送球する間に二走宮下と一走杉江が相次いでホームイン、7-1として試合を決める。

 藤本英雄は8安打2四球5三振1失点、自責点ゼロの完投で10勝目をあげる。

 内藤幸三は7失点であったが、味方の守備に足を引っ張られてのものであり、自責点は2であった。サード転向後無難にこなしてきた坪内道則が3失策と乱れたのが痛かった。

 

2019年4月19日金曜日

19年 阪神vs近畿 6回戦


8月20日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 4 1 0 0 4 0 10 阪神 25勝6敗2分 0.806 若林忠志
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  近畿 10勝22敗1分 0.313 清水秀雄

勝利投手 若林忠志 20勝4敗
敗戦投手 清水秀雄   7勝11敗

二塁打 (神)本堂、若林
三塁打 (神)辻

勝利打点 なし


若林忠志、無四球完封で20勝!

 阪神は3回、先頭の小林英一の当りは遊ゴロ、これをショート松川博爾がエラー、トップに返り塚本博睦は四球を選んで無死一二塁、辻源兵衛の投ゴロは「1-6-3」と渡ってダブルプレー、呉昌征が四球を選んで二死一三塁、ここでダブルスチールを敢行、三走小林がホームインして1点を先制する。

 阪神は4回、先頭の若林忠志が三塁にヒット、門前真佐人の遊ゴロをショート松川が二塁に送球するがセカンド加藤喜作が落球して無死一二塁、森田明義の右前打で無死満塁、小林の中犠飛で2-0、トップに返り塚本の二ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、辻が左中間に三塁打を放って4-0、呉昌征の遊ゴロを松川がエラーする間に三走辻が還り5-0とする。

 南海先発清水秀雄はここまで5失点であるが守備に足を引っ張られて自責点は2。
 阪神は5回、一死後若林が四球で出塁、門前が三遊間を破ると若林は三塁に進んで一死一三塁、森田のタイムリーピッチャー強襲ヒットで6-0とする。


 阪神は8回、先頭の小林が中前打、トップに返り塚本の投ゴロは「1-6-3」と渡ってダブルプレー、しかし辻の遊ゴロをショート松川が3失策目となる悪送球、打者走者の辻は二塁に進み、呉昌征はストレートの四球、藤村冨美男の中前タイムリーで7-0、本堂保次の一塁へのヒットで二走呉が快足を飛ばしてホームイン、ファースト丸山二三雄からの本塁送球が悪送球となる間に一走藤村も還って9-0、打者走者の本堂は二塁に向かい、キャッチャー八木進が二塁に送球するがこれも悪送球となる間に本堂は三進、若林が左中間に二塁打を放ち10-0とする。

 若林忠志は4安打無四球1三振で今季5度目の完封、20勝目をマークする。若林は33試合で20勝、現在の143試合で換算すると86勝に該当する。

 清水秀雄は15安打4四球2三振で10失点、近畿守備陣は6失策を記録して清水の自責点は4であった。

 

2019年4月18日木曜日

19年 巨人vs朝日 6回戦


8月20日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 0 0 2 0 3 巨人 18勝11敗2分 0.621 藤本英雄
0 0 2 0 0 0 0 0 0 2 朝日 12勝20敗1分 0.375 大橋一郎 内藤幸三

勝利投手 藤本英雄   9勝6敗
敗戦投手 内藤幸三 11勝9敗

二塁打 (朝)坪内
三塁打 (巨)黒沢、藤本 (朝)菊矢

勝利打点 渡部弘 2

猛打賞 (朝)菊矢吉男 2


渡部弘が決勝打

 朝日は3回、先頭の酒沢政夫が左前打で出塁、田中豊一は三振に倒れるが、坪内道則は左前打、金光彬夫は三振に倒れて二死一二塁、ここで菊矢吉男が左中間に三塁打を放って二者を迎え入れ、2点を先制する。

 巨人は4回、先頭の黒沢俊夫がストレートの四球で出塁、川畑博も四球を選んで無死一二塁、藤本英雄は中飛に倒れるが、杉江文二はストレートの四球で一死満塁、宮下信明の三ゴロはサード坪内が三塁ベースを踏んでツーアウト、この間に三走黒沢がホームインして1-2とする。

 朝日は5回表の守備からサードの坪内がセンターに回り、サードには田端義夫が入る。

 巨人は5回、先頭の渡部弘の当りは代わった所に飛んで三ゴロ、これを田端がエラー、トップに返り呉新亨はレフトライナー、近藤貞雄がレフト線にヒットを放ち一死一二塁、朝日ベンチはここで先発の大橋一郎から内藤幸三にスイッチ、黒沢は左前打を放って一死満塁、しかし川畑と藤本が連続三振、相変わらず内藤の投球が冴え渡る。

 巨人は7回、先頭の黒沢の当りは左中間を破り、黒沢は二塁、三塁ベースを蹴ってランニングホームランを狙いホームに突進するが朝日の中継プレーにタッチアウト、記録は三塁打に終わる。スコアカードには朝日の中継プレーは「8-7-1-2」と記録されている。左中間を抜けた当りを捕ったセンター坪内が転倒したのかレフトの仁木安にトス、仁木から中継のピッチャー内藤に返球され、内藤からキャッチャー金光に送球されて黒沢をタッチアウトにしたと考えられる。黒沢は左中間を抜けたゴロを捕球した坪内がもたつくのを見て、ホームは間に合うと判断したのでしょう。

 巨人は8回、一死後藤本が右中間に三塁打、ここで杉江が投前にスクイズバントを決めて2-2の同点、内藤の連続無失点記録は31イニングスで途切れる。内藤からの送球をファースト菊矢が後逸する間に打者走者の杉江は二塁に進み、宮下は四球を選んで一死一二塁、続く佐藤武夫の中飛はスコアカードには「好捕」と書かれており、久々にセンターを守った坪内のファインプレー、二死一二塁となって渡部が右前に殊勲の決勝タイムリーを放ち、内藤は4連勝でストップ、朝日は再び5位に転落した。

 

19年 阪急vs近畿 7回戦


8月19日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 1 0 2 0 0 1 0 6 阪急 16勝14敗1分 0.533 山田伝
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 近畿 10勝21敗1分 0.323 清水秀雄

勝利投手 山田伝     2勝0敗
敗戦投手 清水秀雄 7勝10敗

二塁打 (急)榎並
三塁打 (急)三木

勝利打点 野口明 2

猛打賞 (急)山田伝 2、野口明 3 


山田伝、2試合連続完封

 阪急は初回、先頭の坂井豊司がセンター左にヒット、坂田清春が送って一死二塁、山田伝は右飛に倒れるが、野口明の右前タイムリーで1点を先制、三木久一の左中間三塁打で2-0とする。

 阪急は3回、先頭の坂田が左前打で出塁、山田伝がセンター右にヒット、野口明が右前打で続いて無死満塁、三木の遊ゴロが「6-4-3」と渡る間に三走坂田が還って3-0とする。

 阪急は4回、一死後榎並達郎がライ線トに二塁打、伊藤健一も三塁へのヒットで続いて一死一三塁、しかしトップに返り坂井の投ゴロは「1-6-3」と渡ってダブルプレー。
 近畿は4回裏、先頭の吉川義次が遊失に生き、堀井数男の三ゴロで吉川は二封、清水秀雄の中前打で一死一二塁と反撃のチャンス、しかし岡村俊昭の投ゴロは「1-6-3」と渡ってダブルプレー。


 阪急は5回、一死後山田が三失に生き、野口明のニゴロをセカンド加藤喜作が二塁に悪送球する間に山田は三進、野口明が二盗を決めて一死二三塁、三木の左前打タイムリーで4-0、一死一三塁から大平茂の右犠飛で5-0とリードを広げる。

 近畿は6回裏、先頭の松川博爾が三塁線にヒット、吉川は左前打、堀井がストレートの四球で無死満塁と反撃のチャンス、しかし清水の投ゴロをピッチャー山田伝が捌いて「1-2-3」のダブルプレー、6回の守備から岡村に代わってレフトに入っている鬼頭勝治も左飛に倒れて無得点。

 阪急は8回、先頭の伊藤が三塁にヒット、トップに返り坂井の投ゴロの間に伊藤は二進、坂田は左飛に倒れるが、山田の中前タイムリーで6-0と突き放す。

 阪急は9回、先頭の大平が中前打で出塁するが、遠山晴富の三ゴロは「5-4-3と渡ってダブルプレー。

 近畿は9回裏、先頭の加藤に代わる代打富永嘉郎が四球で出塁するが、野口渉の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってダブルプレー、トップに返り松川も左飛に倒れてゲームセット。

 今季二度目の登板となった山田伝は、5安打6四球1三振で2試合連続完封、今期の防御率は依然として0.00である。

 両軍3個ずつの併殺を記録、ピッチャー山田伝が2個の併殺に絡んだ。

 

2019年4月16日火曜日

19年 産業vs朝日 7回戦


8月19日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 産業 13勝21敗1分 0.382 森井茂 加藤正二
0 0 0 1 0 0 2 5 X 8 朝日 12勝19敗1分 0.385 内藤幸三

勝利投手 内藤幸三 11勝8敗
敗戦投手 森井茂      6勝12敗

二塁打 (産)藤野、金山、井上 (朝)内藤、坪内、仁木

勝利打点 なし

猛打賞 (朝)坪内道則 4、内藤幸三 2


朝日、内藤の力投で4位浮上

 産業は初回、先頭の小坂三郎が左前打で出塁、松尾幸造が四球を選んで無死一二塁、加藤正二の送りバントは小フライとなり、キャッチャー金光彬夫が捕球して二塁に送球し飛び出していた二走小坂を刺してダブルプレー、しかし金山次郎が左前打を放って二死一二塁、藤原鉄之助が中前にタイムリーを放って1点を先制する。

 朝日は4回、一死後田中豊一が右前打で出塁、坪内道則のレフト線ヒットで一死一二塁、ここでダブルスチールを決め、金光が四球を選んで一死満塁、菊矢吉男の左犠飛で1-1の同点に追い付く。

 朝日は7回、二死後桜沢三郎が三塁にヒット、桜沢は二盗、大島渡が四球を選んで二死一二塁、内藤幸三の中前打で二走桜沢が三塁ベースを蹴ってホームに向かい、センター強肩加藤からのバックホームにタイミングはアウトであったがキャッチャー藤原が落球する間に生還、2-1と逆転に成功、トップに返り酒沢政夫が一塁線にタイムリーを放って3-1とする。

 朝日は8回、先頭の坪内が左中間に二塁打、金光がレフト線にタイムリーを放って4-1、金光が二盗を決め、菊矢が中前にタイムリーを放って5-1、仁木安のライト線二塁打で無死二三塁、桜沢の中犠飛で6-1、大島の中前タイムリーで二走仁木を迎え入れて7-1、大島はバックホームの隙を突いて二塁に進み、内藤の右前打で二死一三塁、トップに返り酒沢のニゴロ併殺崩れの間に三走大島が還って8-1、田中がセンター右にヒットを放って二死一三塁、ここで朝日ベンチは坪内に代えて代打に7月8日以来の出場となる広田修三を起用、広田のツーストライク目にダブルスチールを敢行、キャッチャー藤原からの送球を捕球したセカンド小坂が三走酒沢のスタートを見てバックホーム、タッチアウトとなってスリーアウトチェンジ。

 内藤幸三は8安打5四球2三振の完投、3試合連続完封に続いて4連勝。

 朝日は先発全員安打、坪内の代打に起用された広田には打数が記録されず、9回表の守備で代打の広田に代わって坪内の後に三塁の守備に就いた田端義夫にも打数は記録されていないので、実質的には「全員安打」であった。

 朝日は勝率で産業を3厘上回り、4位に浮上した。

 

19年 第8節 週間MVP


 今節は朝日が3勝0敗、阪神が2勝1敗、産業が3勝2敗、巨人が2勝2敗、近畿が1勝3敗、阪急が1勝4敗であった。

週間MVP

投手部門

 朝日 内藤幸三 3

 今節は3試合連続完封で3勝0敗。プロ入り以来最高の成績を残した。


打撃部門

 朝日 坪内道則 2

 12打数6安打、二塁打4本。

 阪神 若林忠志 1

 打撃部門でも初受賞。9打数6安打2得点2打点。

 阪神 辻源兵衛 2

 勝負強い打撃が光った。13打数4安打2得点2打点、並列の殊勲者2。

 巨人 黒澤俊夫 3

 15打数6安打3得点5打点。

 近畿 岡村俊昭 2

 一時規定打席数到達時点で4割をマーク。14打数6安打2得点3打点。


殊勲賞

 朝日 金光彬夫 2

 8月13日の阪急戦で4打点。

 産業 藤原鉄之助 2

 16打数5安打3得点4打点、真の殊勲者1、並列の殊勲者1。

 朝日 田中豊一 1

 8月13日の阪急戦で4安打。


敢闘賞
 
 朝日 大島渡 1

 10打数5安打2得点2打点。

 巨人 宮下信明 1

 好調で前節の週間MVPに次いで受賞。13打数4安打2得点1打点。

 阪急 坂田清春 1

 20打数6安打1得点2打点。


技能賞
 
 産業 森井茂 1

 8月6日の阪急戦で無四球完封。

 阪急 山田伝 1

 8月14日の阪急戦で4年ぶり登板、完封勝利。
 

2019年4月15日月曜日

伝説の16番


 矢張り16番がカギを握りましたね。

 1986年マスターズ、例年どおり左下に切られたカップに向かって右上の土手に落としたジャック・ニクラウスのショットはカップに向かって転がり落ち、画面でカップの左脇を通って止まりバーディーパットを決めました。

 2019年マスターズ、例年どおり左下に切られたカップに向かって右上の土手に落としたタイガー・ウッズのショットはカップに向かって転がり落ち、画面でカップの右脇を通って止まりバーディーパットを決めました。

 1986年の解説者は当ブログの記憶では陳清波さんだったと思いますが、ニクラウスのショットがカップに向かって転がっていくと思わず「入っちゃった!」と絶叫していました。

 2019年の解説者はトミー中嶋。トミーは1986年ではニクラウスの後ろの組で回っていました。ここにも年の流れを感じますね。

 共通点はもう一つ。1986年は最強の刺客バレステロスがよもやの池ポチャ。2019年も堅実無比を誇るモリナリが二つの池ポチャ。勝負の流れとは、そういうもんです。

 

2019年4月14日日曜日

Jack is Back


 1980年代は当ブログが「野球」以上に「ゴルフ」に情熱を注いでいた時代。コースから帰ってそのまま練習場に行ったり、前橋支店に転勤した頃は仕事前に早朝割引の練習場で毎朝打ち込んだり。

 1986年マスターズ、オーガスタに「Jack is Back」の絶叫が響き渡っていました。もう終わったと考えられていたジャック・ニクラウス(当時の表記。現在では「ニクラス」と表記されることが多いようです。以下「ニクラウス」表記。)が奇跡的な逆転優勝。逆転されたグレッグ・ノーマンの泣きそうな表情と、追い付き損なったトム・カイトの人の良さそうな微笑が印象的でした。

 同年秋、習志野カントリークラブで行われたサントリーオープンにニクラウスがやって来ました。現役最後の来日と言われていましたね。入社以来休みを取ったことは無かったのですが、当時の支店長が「行くか」と言ってサントリーオープンのチケットをくれたので、遅い夏休みを取って木・金の予選を習志野カントリークラブに見に行きました。ホールとホールの間の水道で水を飲もうと思って並んでいた時、ひょっと後ろを振り向くと、何とニクラウスが私の後ろに並んでいるのです。思わず「プリーズ」と先を譲ってあげたら、「サンキュー」と返されて先に飲んでもらいました。

 一発でニクラウスの大ファンになり、アイアンはミュアフィールドに、バッグはマクレガーのニクラウスモデルに買い替えましたね。

 タイガー・ウッズがマスターズ最終日最終組。14年ぶりの優勝を狙います。勝てばニクラウスの持つ最高齢優勝記録に次ぐ記録となります。声援の声は「Tiger is Back」になるのか、「Woods is Back」か、今から楽しみですね。定年退職してヒマなので、徹夜で見ますよ(笑)。

 

2019年4月11日木曜日

19年 阪神vs阪急 6回戦


8月15日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 2 0 4 0 0 7 阪神 24勝6敗2分 0.800 若林忠志
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 阪急 15勝14敗1分 0.517 木暮英路 天保義夫

勝利投手 若林忠志 19勝4敗
敗戦投手 木暮英路   0勝1敗

二塁打 (神)武智、本堂 (急)山田
三塁打 (神)若林

勝利打点 武智修 4

猛打賞 (神)若林忠志 2、武智修 1


武智と辻の活躍で阪神快勝

 阪急は初回、先頭の山田伝が四球を選んで出塁、ここで若林忠志がボークを犯して無死二塁、坂井豊司の二ゴロが進塁打となって一死三塁、坂田清春が左前にタイムリーを放って1点を先制する。

 1回、2回と三者凡退の阪神は3回、先頭の若林が左中間に三塁打、森田明義は浅い右飛に倒れるが、武智修が三前にバントヒットを決めて三走若林が生還、1-1の同点とする。

 阪神は5回、先頭の若林がストレートの四球で出塁、森田の右前打で無死一二塁、武智が左中間に二塁打を放って2-1と逆転、トップに返り塚本博睦の三ゴロで三走森田がホームを突くがサード坂井からのバックホームにタッチアウト、一死一三塁から辻源兵衛が左前にタイムリーを放って3-1とする。

 阪神は7回、先頭の武智が右前打で出塁、トップに返り塚本の左前打で無死一二塁、辻が中前に2打席連続のタイムリーを放って4-1、一走塚本は三塁に進み、返球の間に打者走者の辻も二塁に走り無死二三塁、呉昌征が四球を選んで無死満塁、藤村冨美男の遊ゴロは「6-2-3」と渡って二死二三塁、本堂が左前に2点タイムリーを放って6-1、門前真佐人が四球を選んで二死一二塁、若林の中前タイムリーで7-1として試合を決める。

 若林忠志は6安打2四球4三振の完投で19勝目をマークする。

 敗れた阪急守備陣が4併殺を記録した。全てショート伊藤健一を起点とするもので、4回は一死一二塁で「6-4-3」、6回は一死一塁でショートライナーを一塁に送球して飛び出していた一走若林を刺し、7回は実況中継のとおり無死満塁で遊ゴロをバックホームして「6-2-3」、8回も一死一塁でショートライナーを一塁に送球して一走塚本を刺した。

 この試合の勝利打点は武智修に記録されたが、貴重な追加点となる2打席連続タイムリーを放った辻源兵衛が「並列の殊勲者」であった。辻は8月6日の巨人戦でも2本の二塁打を放って「   並列の殊勲者」を記録している。辻はこの後応召し、戦死することとなる。

 

2019年4月9日火曜日

19年 朝日vs産業 6回戦


8月15日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 3 0 0 0 0 0 0 0 4 朝日 11勝19敗1分 0.367 内藤幸三
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 産業 13勝20敗1分 0.394 野口正明 森井茂

勝利投手 内藤幸三 10勝8敗
敗戦投手 野口正明   6勝6敗

二塁打 (朝)坪内 (産)加藤
三塁打 (朝)酒沢

勝利打点 坪内道則 1

猛打賞 (朝)大島渡 1 (産)加藤正二 2


内藤幸三3試合連続完封!!!

 朝日は初回、先頭の酒沢政夫が四球を選ぶと二盗に成功、田中豊一の一ゴロが進塁打となって一死三塁、坪内道則がレフト線に二塁打を放って1点を先制する。

 朝日は2回、二死後大島渡が二塁にヒット、内藤幸三の左前打で無死一二塁、トップに返り酒沢政夫が左中間に三塁打を放って3-0、田中が四球を選んで二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて4-0とリードを広げる。

 産業は9回裏、一死後井上嘉弘がレフトにヒット、森井茂はストレートの四球、トップに返り小坂三郎も四球を選んで一死満塁と最後の反撃、しかし松尾幸造に代わる代打大沢紀三男は三振、スリーストライク目の投球をキャッチャー金光彬夫がサード坪内に送球してタッチアウト、ダブルプレーでゲームセットとなる。

 8月6日の近畿戦からサードに入っている坪内道則が勝利打点を記録した。坪内がサードを守るのは一リーグ時代では昭和19年の7試合のみ(「日本プロ野球私的統計研究会」様のサイト参照)。この試合の守備では6回に「5-4-3」の併殺も記録した。8月6日の近畿戦でも併殺に絡んでいるが、この時は一死一塁の場面で三ゴロを一塁に送球、一走岡村俊昭が二塁ベースを蹴って三塁に向かい、ファースト菊矢吉男からの三塁送球をサード坪内が捕球して岡村をタッチアウトにした「5-3-5」。本日の試合でも上記のとおりもう一つ併殺に絡んでいるが「2-5C」であり、ホットコーナーの見せ場である「5-4-3」は昭和19年の7試合ではこの試合の一度のみ、1950年と51年にサードを守っているかは不明だが、生涯唯一の「5-4-3」であった可能性が高い。

 内藤幸三は7安打5四球9三振の力投で3試合連続完封、10勝目をマークする。内藤はプロ入り以来最高の状態にある。「Wikipedia」には「1941年のシーズン直前にチームが翼軍と合併し大洋軍となってから人生が暗転」などと書かれているが(2019年4月9日現在)、何を根拠に書いているのでしょうね。内藤幸三氏の名誉のためにも、このような不適切な表記は削除するべきでしょう。

 

2019年4月8日月曜日

19年 産業vs阪急 7回戦


8月14日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  産業 13勝19敗1分 0.406 森井茂 野口正明 井上嘉弘
0 0 0 7 0 0 0 4 X 11 阪急 15勝13敗1分 0.536 山田伝
 
勝利投手 山田伝     1勝0敗
敗戦投手 野口正明 6勝5敗

二塁打 (産)加藤 (急)上田、野口明、山田

勝利打点 野口明 1

猛打賞 (急)山田伝 1、大平茂 3


山田伝、4年ぶり登板で完封

 阪急は山田伝を一番ピッチャーに起用。山田は4年ぶり、今季初登板初先発。

 序盤は産業が押し気味に試合を進めた。初回、先頭の小坂三郎が遊失に生きるが二盗に失敗、二死後加藤正二に左中間二塁打が出たので惜しまれる。3回は一死後森井茂が一塁にヒット、小坂はツーストライクナッシングから粘って四球を選び、松尾幸造は遊飛に倒れるが、加藤がストレートの四球で二死満塁、しかし金山次郎は捕邪飛に倒れる。4回も先頭の藤原鉄之助が中前打、二死後井上嘉弘が左前打、森井が死球を受けて又も二死満塁、しかしトップに返り小坂は一飛に倒れて無得点。

 産業先発の森井茂は2回に一死二三塁のピンチを迎えるが後続を抑え、3回まで無失点。しかし4回表の第二打席で死球を受けて降板、4回裏からレフトに入っていた野口正明がマウンドに上がる。この投手交代で試合が大きく動いた。

 阪急は4回、先頭の上田藤夫がレフトに二塁打を放つと打線が爆発した。続く野口明がライト線に二塁打を放って1点を先制、三木久一は三振に倒れるが、大平茂の左前打で一死一三塁、榎並達郎の二ゴロをセカンド小坂がホームに送球するがセーフ、野選が記録されて2-0、伊藤健一は三塁線にバントヒットを決めて一死満塁、トップに返り山田が左前に2点タイムリーを放って4-0、坂井豊司の三ゴロをサード井上嘉弘が二塁に送球するがベースカバーのセカンド小坂が落球して一死満塁、坂田清春の三ゴロを今度はサード井上がホームに悪送球して5-0、上田藤夫が押出し四球を選んで6-0、野口明の右犠飛で7-0と大量リードする。

 産業は5回から井上がサードからマウンドに回り、7回まで阪急打線を無得点に抑えるが8回に捕まった。

 阪急は8回、先頭の山田がライト線に二塁打、坂井の左前打で無死一三塁、坂田が左前にタイムリーを放って8-0、上田が四球を選んで無死満塁、野口明は三振に倒れるが、三木が押出し四球を選んで9-0、大平が三塁にタイムリーを放って10-0、榎並も一塁へのタイムリーで11-0とする。

 阪急は14安打11得点、山田伝と大平茂が猛打賞を記録するなど、全員安打の猛攻を見せた。

 4年ぶりのマウンドに上がった山田伝は、4安打3四球1死球2三振でプロ入り初の完封、昭和15年4月6日以来の勝利投手となる。あの時は、阪急が南海に32対2で圧勝した時の完投勝利であった。

 

2019年4月5日金曜日

幻の4割打者


 昭和19年8月14日、巨人vs近畿6回戦において、岡村俊昭は第1打席と第2打席でヒットを放ち、この時点で117打数47安打となり、打率は4割2厘となった。昭和19年の規定打席数は「100打数」なので、規定打席到達時点で4割をマークしたこととなる。岡村は7月16日の朝日戦で4打数3安打を記録し、この時点で83打数34安打、打率4割1分を記録しているが、まだ「規定打席数」には達していない。

 昭和19年は予定されていた「秋季リーグ戦」が中止されたため「春季」、「夏季」のみでシーズンが終了することになるが、8月14日の時点で「秋季リーグ戦」が中止されることが決まっていたかどうかは不明なので、この時点で岡村の「規定打席到達時点における4割打者」が認識されていたかどうかも不明である。

 プロ野球史における「規定打席到達時点における4割打者」は、1944年の岡村俊昭と1989年のウォーレン・クロマティだけのようですね。

 

巨人vs近畿 6回戦


8月14日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 巨人 17勝11敗2分 0.607 藤本英雄
2 1 1 0 0 0 0 0 X 4 近畿 10勝20敗1分 0.333 清水秀雄

勝利投手 清水秀雄 7勝9敗
敗戦投手 藤本英雄 8勝6敗

二塁打 (近)清水
三塁打 (巨)川畑 

勝利打点 岡村俊昭 1


阪神優勝決定

 近畿は初回、二死後堀井数男が左前にヒット、清水秀雄がレフト線に二塁打を流し打って二死二三塁、岡村俊昭が左中間に2点タイムリーを放って2-0とする。

 巨人は2回、先頭の川畑博が左中間に三塁打、渡部弘は浅い中飛に倒れるが、宮下信明が中前にタイムリーを放って1-2と追い上げる。

 近畿は2回裏、一死後鬼頭勝治が左前にヒット、野口渉の投ゴロの間に鬼頭は二進、トップに返り松川博爾の中飛をセンター呉新亨が落球する間に二走鬼頭が還って3-1とする。

 近畿は3回、二死後岡村が右前打で出塁、八木進が三遊間を破ると岡村は三塁に進んで二死一三塁、キャッチャー川畑からの三塁送球が悪送球となる間に岡村が還って4-1と突き放す。

 巨人先発の藤本英雄は5回以降近畿打線を無安打に抑えるが、前半の失点が祟って敗戦投手。

 清水秀雄は三者凡退に抑えたのは7回表のみであったが、7安打4四球2三振の完投で7勝目をマークする。

 昨日の巨人戦で全試合にフル出場しながら30試合目で初打点を記録した岡村俊昭が、決勝の2点タイムリーを放ってようやく今季3打点となり、今季初の勝利打点を記録した。

 巨人が敗れたため、阪神の単独優勝が決定した。この時点で秋季リーグ戦が中止されることが決定していたかは不明なので、当時、この試合で阪神の優勝決定が認識されたか否かも不明である。

 

2019年4月2日火曜日

行けると考えています。


 力は東邦が上ですが、習志野にもチャンスがあると考えています。

 準決勝第一試合を勝ち上がったチームは、第二試合を勝ち上がったチームより休養時間が長い。これが大きい。

 習志野が初めて甲子園に出た当時は、「ならしの」とは読んでもらえず「しゅうしの」などと言われていました。実力で「習志野」の名を全国に轟かせ、エース石井を擁して昭和42年に夏の甲子園を制覇、昭和50年にはその石井が監督となりエース小川を擁して2度目の全国制覇を果たしました。千葉県市川市の小学生は、昭和42年決勝の池田のホームランも、高校2年になった昭和50年決勝の下山田の優勝決定サヨナラ打も、リアルタイムで見ていました。

 永遠のライバルと言われた銚子商業がセンバツの決勝に進出したのは平成7年、主砲澤井の時でした。千葉県勢として24年ぶりにセンバツ決勝に進出した習志野は、千葉県勢初のセンバツ優勝を狙います。

 前回夏の甲子園に出た時、相手チームの守備のタイムでブラスバンドが大爆音を鳴らして邪魔をしていると批判されました。全国一の実力を誇る習志野高校吹奏楽部は、これを教訓として、その後相手チームが守備のタイムを取ると「ピタッ」と演奏を止めることにしました。このマナーは他の千葉県の高校野球応援団にも踏襲され、現在では全国に伝播しています。今年のセンバツでも、習志野応援団の「美爆音」が相手チームの守備のタイムで「ピタッ」と止まるシーンを何度もご覧になられたことでしょう。他の多くのチームの応援団も相手チームの守備のタイムでは演奏を止めています。

 今回は「サイン盗み」で批判を浴びました。私は、習志野がサインを盗んでいるかどうかは知りません。私が高校でキャッチャー時代、セカンドにランナーが進んだ時はサインを変えていました。当時は二塁ランナーがサインを盗んで打者に伝えるのは当り前田のクラッカーでしたが、間違って伝えてもらって打者のタイミングが狂ったことも何回もありました。所詮野球など、キツネとタヌキの化かし合いです。「盗塁」、「隠し玉」、「チェンジオブペース」などを「卑怯」と呼ぶ輩は存在しません。セカンドランナーがサインを盗んでいるのならば、それを逆手に取って利用するだけです。それができないボンクラが、「盗まれた~」などと駄々をこねているだけのことです。

 明日は11時から練習なので試合を見ることはできませんが、数々の試練を乗り越えてきた習志野が、千葉県勢初のセンバツ優勝を成し遂げるチャンスは十分と考えています。頑張れ!