2016年6月27日月曜日

18年 名古屋vs朝日 3回戦


5月10日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 名軍 11勝6敗1分 0.647 西沢道夫
0 0 1 0 0 1 1 2 X 5 朝日 12勝7敗 0.632 内藤幸三

勝利投手 内藤幸三 3勝1敗
敗戦投手 西沢道夫 4勝3敗

本塁打 (朝)浅原 2号、内藤 1号

勝利打点 浅原直人 4


朝日、首位名古屋にゲーム差なしと肉薄

 朝日は3回、先頭の坪内道則がストレートの四球で出塁、酒沢政夫が送りバントを決めて一死二塁、中谷順次の二ゴロの間に坪内は三進、浅原直人が中前に先制タイムリーを放って1-0とする。

 朝日は6回、先頭の浅原がストレートの四球で出塁、早川平一が左前打を放って無死一二塁、小林章良の三ゴロをサード芳賀直一がエラーして無死満塁、内藤幸三は浅い左飛に倒れて一死満塁、森本清三の一ゴロの間に三走浅原が還って2-0とする。


 朝日は7回、二死無走者から浅原が右越えに第2号ホームランを叩き込んで3-0と突き放す。


 更に朝日は8回、先頭の小林がツーツーから2球ファウルで粘って中前打で出塁、内藤がライトスタンドにツーランホームランを叩き込んで5-0として試合を決める。


 内藤は不安な立ち上がりで、初回、先頭の石丸藤吉に四球を与えるが小鶴誠を「6-4-3」の併殺に打ち取る。2回も先頭の吉田猪佐喜に中前打を許し、芳賀に送りバントを決められて一死二塁、藤原鉄之助を四球で歩かせ、金山次郎を三振、西沢道夫を左飛に打ち取る。3回も先頭の石丸藤吉にストレートの四球を与え、古川も四球で歩かせて一死一二塁、しかし小鶴を左飛、吉田を右飛に打ち取る。ここで崩れなかったことが勝因となった。


 4回、5回は三者凡退と立ち直り、6回は一死後小鶴にストレートの四球、吉田に中前打、芳賀に右前打を許して一死満塁のピンチを迎えるが、藤原を三振、金山を左飛に打ち取る。7回も先頭の西沢に三塁内野安打を許すが、石丸藤吉を二ゴロ併殺に打ち取る。



 内藤幸三は8回、9回を三者凡退に抑え、4安打5四球3三振で今季初完封、3勝目をあげる。打ってもホームランを含む3打数2安打の活躍であった。首位を走る強打の名古屋を完封したのは価値が高い。朝日はこの勝利で、首位名古屋にゲーム差なしの二位と肉薄した。




18年 第4節 週間MVP


 今節は朝日が4勝1敗、西鉄が3勝1敗1分、名古屋が3勝2敗、巨人が2勝2敗1分、南海が2勝3敗、阪急が2勝3敗、阪神が2勝3敗、大和が1勝4敗であった。

週間MVP

投手部門

 朝日 林安夫 2

 2勝1敗2完封。

 阪急 天保義夫 1

 5月2日の南海戦で無安打無得点。

 西鉄 重松通雄 1

 2勝0敗1完封。5月1日の巨人戦では延長12回0対0引分け試合で完投。


打撃部門

 名古屋 小鶴誠 1

 20打数4安打1得点5打点、二塁打3本、V打2(2イニング連続)。

 朝日 早川平一 1

 20打数7安打5得点3打点、V打1。

 大和 大塚鶴雄 1

 20打数9安打1得点6打点、真のV打1。

 阪神 山口政信 1

 19打数6安打2得点4打点、V打1、三塁打2。


殊勲賞

 朝日 森本清三 1

 5月9日の 巨人戦で、12回裏代打サヨナラ打。

 阪神 高山泰夫 1

 5月8日の大和戦で、スリーランホームラン。

 南海 中野正雄 1

 16打数5安打2得点2打点、V打2。


敢闘賞

 名古屋 古川清蔵 1

 17打数6安打3得点5打点。

 朝日 酒沢政夫 1

 17打数2安打5得点5四球3盗塁

 阪急 フランク山田伝 1

 17打数7安打3得点3四球3盗塁

 名古屋 石丸進一

 2勝0敗。


技能賞

 阪神 金田正泰 1

 5月1日の大和戦で、3打席連続犠打。

 名古屋 石丸藤吉 1

 13打数無安打3得点10四球、打率0割0分0厘、出塁率4割3分5厘、IsoD0.435。

 阪神 門前真佐人 1

 13打数5安打3得点5四球、二塁打3本。

 名古屋 森井茂 2

 5月4日の阪急戦で、5安打完封。スローカーブが冴えた。


2016年6月26日日曜日

18年 阪神vs西鉄 3回戦


5月9日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪神 10勝8敗 0.588 御園生崇男 中原宏
1 0 1 0 0 0 0 3 X 5 西鉄 5勝11敗2分 0.313 野口二郎


勝利投手 野口二郎     3勝5敗
敗戦投手 御園生崇男 1勝3敗

二塁打 (西)中村

勝利打点 野口明 1


野口兄弟で4打点

 西鉄は初回、先頭の中村信一がライト線に二塁打、富松信彦は中飛に倒れるが、濃人渉が左前打を放って一死一三塁、野口明の三ゴロは「5-4-3」と渡るがセカンドはセーフで打者走者の野口明だけアウト、この間に三走中村が還って1点を先制、「変則併殺崩れ」となって野口明には打点が記録された。

 西鉄は3回、中村、富松が連続四球、濃人は三振に倒れるが野口明も四球を選んで一死満塁、野口二郎が左前にタイムリーを放って2-0とする。


 阪神は4回から先発の御園生崇男がライトに回り、ライトの金田正泰がセンターに回り、センター塚本博睦に代わって中原宏が入ってピッチャー。中原はプロ入り初登板となる。


 西鉄は8回、一死後宇野錦次の遊ゴロをショート武智修が一塁に悪送球して宇野は二塁に進み、トップに返り中村の投ゴロで二走宇野が三塁に走り、ピッチャー中原がサードに送球するがセーフ、野選が記録されて一死一三塁、富松がセンター左にタイムリーを放って3-0、濃人はストレートの四球で一死満塁、野口明の中前タイムリーで4-0、野口二郎も右前タイムリーで続いて5-0として試合を決める。



 野口二郎は3安打2四球8三振の完封で3勝目をあげる。さすがの鉄腕も勤続疲労により今季の野口二郎は開幕戦の2安打完封以来調子が上がらなかったが、開幕戦以来久々に快投を見せた。


 野口明は初回の「変則併殺崩れ」により打点をあげて勝利打点を記録した。野口明はこの年、青田昇と共に42打点で打点王を獲得することとなるので、この打点は貴重な1打点となった。「5-4-3」と渡って打者走者が一塁アウトになる打球なので、一走濃人がスタートを切っていた可能性が高い。




2016年6月25日土曜日

18年 阪急vs大和 3回戦


5月9日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 2 0 0 0 0 0 3 阪急 8勝9敗 0.471 笠松実 天保義夫
0 0 0 0 0 0 0 2 0 2 大和 7勝9敗1分 0.438 片山栄次


勝利投手 笠松実     2勝0敗
敗戦投手 片山栄次 4勝6敗
セーブ    天保義夫  1

二塁打 (急)池田 (和)苅田
三塁打 (和)呉

勝利打点 下社邦男 2


山田伝が4安打3盗塁

 阪急は初回、一死後フランク山田伝が左前打を放つと二盗に成功、しかし上田藤夫は遊ゴロ、池田久之は三振に倒れて無得点。

 阪急は3回、先頭の山田が三塁内野安打から二盗に成功、上田の一ゴロの間に山田は三進、池田が四球から二盗を決めて一死二三塁、下社邦男の中犠飛で1点を制す。ここは山田伝の脚を活かした。二走池田もタッチアップから三塁に向かうが「8-4-5」と転送されてダブルプレー。山田のホームインの方が早かったので得点は認められる。


 阪急は5回、二死後山田が三塁線にセーフティバントを決めて二盗に成功、上田も四球を選んで二死二三塁、四番・池田がライト線に二塁打を放って二者還り3-0とする。


 阪急先発の笠松実は5回まで2安打無失点。ところが6回に2安打、7回にも2安打を許し、何とか無失点で切り抜けるが苦しいピッチングになってきた。


 大和は8回、先頭の木村孝平が左前打で出塁、阪急ベンチはここで笠松から二番手の天保義夫にスイッチ、苅田久徳が左中間に二塁打を放って無死二三塁、大塚鶴雄がレフト線に2点タイムリーを放ち2-3と1点差に迫る。金子裕の投前送りバントを天保が二塁に送球するがセーフ、犠打と野選が記録されて無死一二塁、ここでダブルスチールを敢行するが、キャッチャー池田からの送球に二走大塚は三塁タッチアウト、小松原博喜は二ゴロ、呉新亨は三振に倒れて、1点差のまま阪急が逃げ切る。



 この試合の命運を分けたのが大和8回の攻撃で見せた重盗にあったのは火を見るよりも明らか。決まっていれば同点から逆転はあったでしょうし、無謀とも言える。現在なら「無謀じゃぁ~」のオンパレードになるところですが、飛ばないボールに対応して外野手の守備位置が浅かった当時の状況では、一概に無謀とも言えません。


 フランク山田伝が4安打3盗塁を記録、阪急は山田の快足を活かして接戦をものにした。




2016年6月24日金曜日

18年 巨人vs朝日 4回戦


5月9日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  0 巨人 7勝9敗2分 0.438 藤本英雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0 1X  1 朝日 10勝8敗 0.556 林安夫

勝利投手 林安夫     5勝4敗
敗戦投手 藤本英雄 4勝4敗

勝利打点 森本清三 1


林安夫、10度の三者凡退で12回を1安打完封

 巨人先発藤本英雄と朝日先発林安夫による、火を噴くような投手戦が展開された。

 巨人は1回~3回まで三者凡退。アウト9個の内訳は三振が1個で凡飛が8個。


 朝日も1回~3回まで三者凡退。


 巨人は4回、二死後白石敏男が左前打を放つが、中島治康は中飛に倒れる。


 朝日は4回裏、一死後酒沢政夫が四球を選んで出塁、しかし早川平一は三振、酒沢が藤本からの牽制に刺されてスリーアウトチェンジ。


 林安夫は巨人打線を5回から10回まで6イニング連続で三者凡退に打ち取り、ここまで1安打無四球無失点。巨人6回の攻撃で、先頭の小池繁雄の当りはライトに抜けたが、ライト浅原直人がファーストに送球して小池を刺し、ライトゴロを完成させて林を助けた。


 藤本英雄は6回は原秀雄に左前打を許し、8回には先頭の中谷順次に四球を与えるなど、徐々に走者は出してきたが9回まで1安打2四球無失点。


 朝日は10回裏、二死後中谷が左飛を打ち上げるが、これをレフト青田昇が落球して二死一塁、しかし林は中飛に倒れてこの回も無得点。


 巨人は11回表、一死後永沢富士雄の当りは遊ゴロ、これをショート酒沢がエラー、多田文久三が四球を選んで一死一二塁と、この試合両軍初めてスコアリングポジションに走者を進める。しかし三好主は三振、藤本も中飛に倒れてチャンスを生かせず。


 朝日は11回裏、二死後原が右前打から二盗を決めてチーム初のスコアリングポジションに走者を進める。藤本は打席の坪内道則を歩かせ酒沢と勝負、酒沢は二ゴロに終わりこの回も無得点。


 12回表の巨人はこの試合10度目の三者凡退。


 朝日は12回裏、一死後浅原が左前打で出塁、中谷の三ゴロ間に浅原は二進、ここで浅原が三盗を決めて二死三塁、林が四球を選んで二死一三塁、朝日竹内愛一監督はここで小林章良に代えてプロ入り初出場のルーキー森本清三を代打に起用、林が二盗を決めて二死二三塁、ここで森本が期待に応えてライトにサヨナラ打を放ち、遂に決着がついた。



 林安夫は12回を投げて1安打1四球3三振で完封、5勝目をあげる。三者凡退を10回記録し、ほぼパーフェクトなピッチングであった。


 藤本英雄は11回3分の2を完投して4安打4四球8三振1失点。最後はバテたようだ。



 プロ入り初出場初打席で大仕事をやってのけた森本清三は、海草中学の甲子園二連覇目の昭和15年優勝メンバーで二番ファーストの左投げ左打ち、一旦明大を経由して今季朝日入りし、海草中学以来、再び真田重蔵と同僚となった。


 森本のサヨナラ打は、浅原直人の三盗にアシストされたとも言える。飛ばない打球の当時、外野手は前進守備を敷いているのでランナー二塁ではシングルヒットでの生還は難しい。浅原は6回にはライトゴロも見せて林安夫を助けており、地味ながら貴重な働きを見せた。




*林安夫は147球、藤本英雄は154球の熱投であった。



2016年6月23日木曜日

18年 南海vs名古屋 2回戦


5月9日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 3 0 0 0 0 2 0 0 5 南海 8勝9敗 0.471 丸山二三雄 別所昭
0 1 0 0 0 0 2 0 0 3 名軍 11勝5敗1分 0.688 野口正明

勝利投手 丸山二三雄 1勝1敗
敗戦投手 野口正明     1勝1敗
セーブ     別所昭      1

二塁打 (南)中野2、増田 (名)吉田
本塁打 (南)丸山 1号

勝利打点 中野正雄 2

猛打賞 (南)中野正雄 1


中野正雄、猛打賞と勝利打点

 南海は2回、一死後八木進が四球で出塁、中野正雄のレフト線二塁打で八木が還って1点を先制、増田敏もレフト線に二塁打を放って2-0、丸山二三雄の二遊間内野安打で増田も還りこの回3点を先制する。

 名古屋は2回裏、先頭の小鶴誠が四球で出塁、吉田猪佐喜が左中間に二塁打を放って無死二三塁、芳賀直一は二飛に倒れるが、藤原鉄之助の右犠飛で1点返して1-3とする。


 3回~6回は両軍無安打で無得点。


 南海は7回、先頭の中野がレフト線にこの日2本目の二塁打、増田が送って一死三塁、ここで丸山が思い切り引っ張りライトスタンドにツーランホームラン、5-1と突き放す。


 名古屋は7回裏、先頭の藤原がストレートの四球、金山次郎も四球を選んで無死一二塁、続く野口正明の遊ゴロは「6-4-3」と渡るゲッツーとなって二死三塁、トップに返り石丸藤吉がレフト線にタイムリーを放ち2-5、古川清蔵も中前にタイムリーを放って3-5と追い上げる。南海ベンチはここで先発の丸山を下げて別所昭をリリーフに送り、小鶴は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。


 別所は2回3分の1を無安打1四球2三振無失点に抑えてプロ入り初セーブを記録。


 丸山二三雄は6回3分の2を3安打8四球6三振で3失点、別所の力を借りてプロ入り初勝利を飾る。打ってはツーランホームランを放ち3打点の活躍を見せた。



2016年6月21日火曜日

18年 西鉄vs阪急 2回戦


5月8日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 3 0 0 4 西鉄 4勝11敗2分 0.267 重松通雄
1 0 0 0 0 1 0 0 0 2 阪急 7勝9敗 0.438 天保義夫

勝利投手 重松通雄 2勝4敗
敗戦投手 天保義夫 4勝3敗

二塁打 (西)野口明、重松 (急)江田

勝利打点 重松通雄 1


重松通雄、投打のヒーロー

 西鉄は5月4日の阪神戦で3安打完封を記録した重松通雄が先発、阪急は5月2日の南海戦で無安打無得点を達成した天保義夫が先発する。

 西鉄は初回、二死後濃人渉がツーナッシングから粘って四球、野口明の左中間二塁打で濃人が還り1点を先制する。


 阪急は1回裏、先頭の中村栄が四球で出塁、フランク山田伝の右前打で無死一二塁、上田藤夫の二ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、池田久之の遊ゴロの間に三走中村が還って1-1の同点とする。


 西鉄は2回から6回まで天保に無安打に抑えられる。


 阪急は6回裏、先頭の山田が四球で出塁、上田の左前打で山田は三塁に進み、上田も二盗を決めて無死二三塁、しかし池田は三振に倒れて一死二三塁、下社邦男は四球を選んで一死満塁、仁木安がストレートの押出し四球を選んで2-1と勝ち越す。


 西鉄は7回、一死後宇野錦次が二塁に内野安打、佐藤武夫が四球を選んで一死一二塁、ここで重松がレフト線に二塁打、二走宇野に続いて一走佐藤も鈍足を飛ばしてホームに還り3-2と逆転に成功、トップに返り中村信一のライト線ヒットで一死一三塁、富松信彦の中犠飛で4-2と突き放す。
 阪急は8回から江田孝がリリーフで登板し、8回、9回を無安打無失点に抑える。



 重松通雄は7回以降を1安打無失点で切り抜け、5安打5四球1死球3三振の完投で2勝目をあげる。打っても7回に決勝の逆転二塁打を放ち、投打のヒーローとなった。



2016年6月20日月曜日

18年 阪神vs大和 2回戦


5月8日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 2 5 0 1 8 阪神 10勝7敗 0.588 三輪八郎
0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 大和 7勝8敗1分 0.467 石田光彦

勝利投手 三輪八郎 4勝2敗
敗戦投手 石田光彦 2勝2敗

二塁打 (神)門前2 (和)苅田、木村
三塁打 (神)山口2
本塁打 (神)高山泰夫 1

勝利打点 田中義雄 3

猛打賞 山口政信 1 


高山泰夫、豪快にスリーラン

 阪神は3回、先頭の乾国雄が左前打で出塁、三輪八郎が送りバントを決め、武智修はツーナッシングから粘って四球を選び、トップに返り塚本博睦も四球を選んで一死満塁、阪神ベンチはここで金田正泰に代えて代打玉置玉一を代打に送る早仕掛け、しかし玉置の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 阪神は4回、先頭の山口政信が左中間に三塁打、門前真佐人は四球から二盗を決めて無死二三塁とするが、大島武は三振、野口昇の遊ゴロで三走山口が突っ込みタッチアウト、乾国雄も三振に倒れて無得点。


 阪神は5回、先頭の三輪八郎が左前打で出塁、武智の三前バントはサード大塚鶴雄が二塁に送球して三輪は二封、トップに返り塚本博睦は三振、武智が二盗を決めるが、上田正は遊ゴロに倒れてこの回も無得点。


 大和先発の石田光彦はアップアップの状態ながら前半戦を無失点で切り抜けた。


 大和は初回、一死後苅田久徳が四球で出塁するが、大塚の投ゴロが「1-4-3」と渡ってダブルプレー。


 大和は2回、先頭の金子裕が四球を選んで出塁、しかし小松原博喜の投ゴロが「1-6-3」と渡ってダブルプレー。呉新亨も遊飛に倒れてスリーアウトチェンジ。


 大和は3回、一死後石田が四球を選んで出塁、しかし渡辺絢吾の投ゴロが「1-6-3」と渡ってダブルプレー。


 大和は3イニング連続投ゴロによる併殺打を記録。阪神先発の三輪八郎は3イニング連続で投ゴロ併殺に打ち取り、自ら処理した。


 阪神は6回、先頭の山口政信が右前打、これで4イニング連続先頭打者が出塁、門前がレフト線に二塁打を放って無死二三塁、ここで大島に代わる代打カイザー田中義雄が中前にタイムリーを放って1点を先制、野口昇も右前にタイムリーを放ち2-0とする。


 阪神は7回、一死後塚本が四球で出塁、上田も四球を選んで一死一二塁、山口が右中間にこの日2本目となる三塁打を放ち4-0、門前は歩かされて一死一三塁ここで高山泰夫がライトスタンドへ豪快にスリーランホームランを叩き込んで7-0として試合を決める。


 阪神は9回、一死後門前が左中間にこの日2本目となる二塁打、高山は四球、野口昇に代わる代打平林栄治が左前打を放って一死満塁、乾は二飛に倒れるが、三輪八郎が押出し四球を選んで8-0とダメ押す。


 大和は9回裏、先頭の渡辺が四球、木村孝平の二塁寄りの打球が右中間に抜ける二塁打となって無死二三塁、苅田の二ゴロの間に三走渡辺が還って1-8、一死三塁から大塚が左前にタイムリーを放ってこの回2点を返したが反撃も虚し。



 三輪八郎は4安打5四球6三振の完投で4勝目をあげる。守っても初回から3イニング連続で投ゴロ併殺を決めた。


 石田光彦も12安打8四球4三振8失点の乱調ながら、164球を投げて9回を完投する。


 高山泰夫が本塁打、山口政信が三塁打2本、門前真佐人が二塁打2本と、猛虎打線が爆発した。




2016年6月19日日曜日

不振の巨人



 昭和18年の巨人は開幕から17試合を経過して7勝8敗2分と負越し。巨人が開幕から17試合を経過して負越しというのは、昭和12年に長期リーグ戦が開始されてから初めてのこととなります。

 巨人はシーズン序盤はもたつくことも多いのですが、17試合も経過してくると実力の違いを見せつけるというのが毎年繰り返されてきたパターンです。昭和12年春以降の17試合経過時点の成績は、

12年春 12勝5敗
12年秋 10勝7敗
13年春 12勝5敗
13年秋 13勝3敗1分
14年     12勝5敗
15年     11勝6敗
16年     13勝4敗
17年     11勝6敗
18年       7勝8敗2分

となっており、昭和18年は、球団創設以来初めて負け越していることが分かります。

 川上、吉原、水原が応召で抜けたことが大きいのは勿論ですが、これはどのチームも事情は変わりません。内野陣にミスが多いこと、藤本英雄のコントロールが悪いことが主な原因となっています。




小鶴誠、2イニング連続決勝二塁打


 昭和18年5月8日の巨人vs名古屋2回戦で、小鶴誠が初回に決勝の2点タイムリー二塁打を放った場面をお伝えしたところですが、小鶴は、その前の試合となる5月4日の名古屋vs阪急3回戦でも、9回表に決勝二塁打を放っています。

 すなわち、2試合に亘って2イニング連続で決勝二塁打を放ったことになります。


 小鶴は、この年の開幕戦となった4月3日の大和戦でも延長10回裏にサヨナラ二塁打を打っています。中距離砲としての素質がいよいよ開花してきたようです。




18年 巨人vs名古屋 2回戦


5月8日 (土) 横浜

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 0 0 0 0 2 巨人 7勝8敗2分 0.467 須田博
2 0 0 0 0 0 0 0 0 1 名軍 11勝4敗1分 0.733 石丸進一

勝利投手 石丸進一 3勝1敗
敗戦投手 須田博     3勝3敗

二塁打 (名)小鶴

勝利打点 小鶴誠 4


石丸進一、守備に救われ完投勝利

 横浜平和球場の第二試合は巨人が須田博、名古屋は石丸進一が先発。戦争に運命を翻弄された二人の対決となった。この二人が先発投手として対戦したのは、昭和17年10月18日とこの日の2試合だけである。

 名古屋は初回、一死後岩本章の当りは三ゴロ、これをサード小池繁雄が一塁に悪送球して一死二塁、古川清蔵が三塁内野安打から二盗を決めて一死二三塁、小鶴誠が中越えに二塁打を放ち2点を先制する。


 巨人は3回、二死後坂本茂が死球を受けて出塁、白石敏男の左前打で二死一二塁、中島治康が中前にタイムリーを放って1点返し1-2とする。


 石丸進一はランナーを出しながらも要所を締め、6安打6四球無三振の完投で3勝目をあげる。



 開幕から調子が出ない巨人はこの日も内野陣が4失策、初回の失点もサード小池の悪送球がきっかけであった。


 一方、開幕から快調に首位を走る名古屋は守備陣も好調で、この日も4併殺を完成させて苦しいピッチングの石丸進一を盛り立てた。



2016年6月18日土曜日

18年 朝日vs南海 4回戦


5月8日 (土) 横浜


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 3 0 0 1 4 朝日 10勝7敗 0.588 内藤幸三 真田重蔵
0 0 0 0 0 2 0 0 X 2 南海 7勝9敗 0.438 別所昭


勝利投手 内藤幸三 2勝1敗
敗戦投手 別所昭     5勝6敗
セーブ     真田重蔵 1

二塁打 (朝)浅原、坪内 (南)別所

勝利打点 早川平一 1


好継投

 朝日は3回、先頭の広田修三が左前打で出塁、大友一明が送って一死二塁、原秀雄が四球を選んで一死一二塁、しかしトップに返り坪内道則の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 朝日は5回、先頭の小林章良が左前打で出塁、内藤幸三の送りバントが内野安打となって無死一二塁、続く広田の投前送りバントはピッチャー別所昭が三塁に送球して二走小林は三封、大友は右飛、原は遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。


 朝日は6回、先頭の坪内が左前打で出塁、酒沢政夫のセンター右へのヒットで坪内は三塁に進み、酒沢が二盗を決めて無死二三塁、このチャンスに早川平一がレフト線に2点タイムリーを放ち2-0、浅原直人が左中間を深々と破る二塁打を放って一走早川が一気にホームに還り3-0とする。


 南海は6回裏、一死後岡村俊昭が四球で出塁、堀井数男の右前打で岡村は三塁に進んで一死一三塁、ここでピッチャー内藤が一塁に牽制球を投げるが、ファースト広田修三がぼんやりしており(後述の「雑記」欄参照)白球はファウルグラウンドを転々、この間に三走岡村が還って1-3、一走堀井も三塁に進み、続く別所が左中間に二塁打を放って2-3、中野正雄は二飛に倒れて二死二塁となったところで、朝日の竹内愛一監督は内藤から真田重蔵にスイッチ、八木進は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。


 朝日は9回、先頭の真田の遊ゴロをショート長谷川善三がエラー、広田の送りバントは捕邪飛となって失敗、大友は左飛に倒れるが、原が中前打を放って二死一二塁、トップに返り坪内がレフト線に二塁打を放ち4-2と突き放す。


 リリーフの真田重蔵は3回3分の1を2安打1四球無三振無失点に抑えてプロ入り初セーブを記録する。竹内愛一監督の継投策がズバリ的中した試合であった。



*6回裏、三走岡村俊昭がホームに還った場面。内藤幸三からの牽制球にファースト広田修三が気付かず後逸したシーン。「雑記」欄には「一塁手ボンヤリ送球を知らず得点す」と書かれている。






2016年6月17日金曜日

18年 名古屋vs阪急 3回戦


5月4日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 名軍 10勝4敗1分 0.714 森井茂
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 7勝8敗 0.467 中田武夫

勝利投手 森井茂 2勝0敗
敗戦投手 中田武夫 1勝3敗

二塁打 (名)小鶴2

勝利打点 小鶴誠 3


森井茂、6安打完封

 阪急は3回、二死後中村栄が右前打から二盗に成功、フランク山田伝は二塁への内野安打、セカンド石丸藤吉がファースト小鶴誠に送球すると三塁に進んでいた二走で中村が一気にホームを狙い、小鶴がキャッチャー藤原鉄之助に送球してタッチアウト。

 名古屋は5回、先頭の小鶴が左中間に二塁打、吉田猪佐喜は中飛、芳賀直一の投ゴロの間に小鶴が三進するが、藤原は三ゴロに倒れて無得点。


 阪急は5回裏、松本利一が左前打で出塁、伊藤健一が送りバントを決めて一死二塁、中田武夫は一邪飛に倒れるが、トップに返り中村はストレートの四球、山田も四球を選んで二死満塁、しかし上田藤夫は右飛に倒れてスリーアウトチェンジ。


 両軍無得点で迎えた名古屋9回の攻撃、先頭の石丸藤吉がストレートの四球で出塁、岩本章の遊ゴロでランナーが入れ替わり、古川清蔵の右前打で岩本が三塁に進み一死一三塁、ここで古川がピッチャー中田からの牽制球に釣り出されて一二塁間に挟まれる。これは古川のディレードスチールの可能性もある。ファースト松本からショート中村に送球された瞬間、三走岩本がホームに突っ込むが、中村からキャッチャー池田久之に送球されると今度は岩本が三本間に挟まれ、サード伊藤に送球されてタッチアウト、記録は「1-3-6-2-5」、この間に一走古川は二塁に進んで二死二塁、ここで阪急ベンチはライトの下社邦男をレフトに回し、レフトの山下好一がベンチに下がり、仁木安が入ってライト。直後に、小鶴が左中間を破り二走古川が決勝のホームを踏む。小鶴のこの日2本目の二塁打が殊勲打となった。



 森井茂は6安打2四球2三振で今季2度目の完封、2勝目をあげる。今季3度目の登板となった森井は、4月15日の西鉄2回戦が5安打完封、4月29日の西鉄4回戦では10回を投げて無四球1失点、この日が6安打完封と、スローカーブが冴え渡っている。2016年5月21日付けブログ「超スローボーラーの不思議」をご参照ください。



2016年6月16日木曜日

18年 南海vs朝日 3回戦


5月4日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 1 0 0 0 0 2 南海 7勝8敗 0.467 別所昭
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 朝日 9勝7敗 0.563 林安夫
勝利投手 別所昭 5勝5敗
敗戦投手 林安夫 4勝4敗

二塁打 (朝)大友、坪内

勝利打点 中野正雄 1


中野正雄、決勝タイムリー


 朝日は2回、二死後小林章良が四球を選んで出塁、大友一明がライト線に二塁打を放って二死二三塁、しかし広田修三は遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 朝日は3回、一死後坪内道則が右中間に二塁打、しかし酒沢政夫は三振、早川平一は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。
 朝日は序盤の2本の二塁打を生かせなかったことが敗因となった。


 南海は4回、先頭の岡村俊昭が四球を選んで出塁、堀井数男は三振、別所昭は三邪飛に倒れるが、八木進が左前打を放って二死一二塁、中野正雄が左前に先制タイムリーを放って1-0とする。


 南海は5回、先頭の加藤喜作が三塁に内野安打、トップに返り猪子利男が送って一死二塁、長谷川善三の三塁内野安打で一死一三塁、三走加藤がキャッチャー小林からの牽制に刺されて二死一塁、岡村は四球を挟んで二死一二塁、堀井の左前タイムリーで2-0とする。


 序盤戦で2本の二塁打を許した別所は4回から7回まで走者を出しながらも無失点。8回、先頭の早川に中前打を許すが後続を抑える。
 9回を三者凡退に抑えた別所昭は3安打5四球6三振で今季2度目の完封、5勝目をあげて若林忠志と並びハーラートップに躍り出る。





18年 西鉄vs阪神 2回戦


5月4日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 西鉄 3勝11敗2分 0.214 重松通雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪神 9勝7敗 0.563 若林忠志

勝利投手 重松通雄 1勝4敗
敗戦投手 若林忠志 5勝2敗

二塁打 (西)中村 (神)塚本

勝利打点 中村信一 1


重松通雄、粘りの完封

 阪神は初回、先頭の塚本博睦が右中間に二塁打を放つが、金田正泰は三振、カイザー田中義雄は三飛、山口政信も三振に倒れて無得点。

 西鉄は3回、一死後重松通雄が中前打、トップに返り中村信一は右飛に倒れるが祖父江東一郎も中前打を放って二死一二塁、しかし濃人渉は右飛に倒れて無得点。


 西鉄は5回、先頭の宇野錦次の当りは三ゴロ、これをサード玉置玉一がエラーして無死一塁、佐藤武夫が投前に送りバントを決めて一死二塁、重松は中飛に倒れて二死二塁、トップに返り中村がライトに二塁打を放って1点を先制、これが決勝点となった。


 西鉄先発の重松通雄は、初回に先頭の塚本に二塁打を許したが、2回以降4回まで三者凡退に抑え、5回は1四球無失点、6回も三者凡退。7回は先頭の山口に中前打を許し、玉置に代わる代打平林栄治の投前送りバントを二塁に送球するがセーフ、犠打と野選が記録されて無死一二塁のピンチ、しかし門前真佐人を二飛、若林忠志を二ゴロ、野口昇に代わる御園生崇男も二ゴロに抑えて無失点。8回も先頭の乾国雄に中前打を打たれるが後続を抑えて無失点。



 重松通雄は9回、二死後門前に四球、若林にもストレートの四球を与えて二死一二塁、しかしここも御園生を右飛に抑えて無失点。3安打4四球5三振の完封で今季初勝利をあげる。打っても4打数2安打で、この試合両チーム唯一のマルチヒットを記録した。終盤は走者を出し続けたが、粘りの完封劇であった。



2016年6月14日火曜日

18年 巨人vs大和 4回戦


5月4日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 5 2 0 0 0 0 7 巨人 7勝7敗2分 0.500 藤本英雄
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 大和 7勝7敗1分 0.500 石田光彦 片山栄次

勝利投手 藤本英雄 4勝3敗
敗戦投手 石田光彦 2勝1敗

二塁打 (巨)坂本、永沢 (和)小松原

勝利打点 藤本英雄 1

猛打賞 (巨)坂本茂 2、永沢富士雄 1


永沢富士雄、猛打賞

 大和は3回、先頭の渡辺絢吾の三ゴロをサード小池繁雄が一塁に悪送球、トップに返り木村孝平の一塁線送りバントをファースト小暮力三がお手玉、犠打とエラーが記録されて無死一二塁、巨人はファーストを小暮から永沢富士雄に交代、苅田久徳の三ゴロをサード小池が二塁に送球するがセカンド坂本茂が落球、巨人は初回にもショート白石敏男がエラーをしており、3回で先発内野陣全員が失策を記録した。無死満塁となって大塚鶴雄の三ゴロで三走渡辺が還り1点を先制、三塁に進んだ二走木村が塁を離れてタッチアウトとなり一死一二塁、金子裕の遊ゴロで大塚は二封、金子が二盗を決め、小松原博喜が四球を選んで二死満塁とするが、呉新亨は二ゴロに倒れて追加点はならず。

 巨人は4回、先頭の中島治康が左前打、青田昇の左前打をレフト小松原が逸らす間に中島は三塁に進み、永沢が右中間に二塁打を放って1-1の同点、多田文久三が一ゴロに倒れて一死二三塁となったところで大和ベンチは先発の石田光彦から片山栄次にスイッチ、小池は四球で一死満塁、藤本英雄がレフト線にタイムリーを放って2-1と逆転、トップに返り呉昌征は捕邪飛に倒れて二死満塁、坂本が左前に2点タイムリーを放って4-1、白石の遊ゴロをショート木村がエラーして二死満塁、中島がこの回2本目のヒットとなるタイムリーを左前に放って5-1とする。


 巨人は5回、先頭の永沢が中前打、多田は三塁に内野安打、小池の送りバントは捕邪飛となって失敗、藤本の中前打で一死満塁、トップに返り呉の投ゴロで三走永沢は本封、坂本が中前にタイムリーを放って6-1、白石も左前にタイムリーを放ち7-1として試合を決める。二走呉も三塁ベースを蹴ってホームに向かいかけて三塁ベースに戻るが「7-6-5」と送球されてタッチアウト。


 巨人先発の藤本英雄は相変わらず四球の多いピッチングであったが、6安打6四球6三振1失点、自責点ゼロの完投で4勝目をあげる。



 巨人内野陣は3回までに4人がエラーを記録、4回から気合を入れ直したのはベンチで中島治康監督のカミナリが落ちたからか。ファースト小暮力三に代わって出場した永沢富士雄が同点二塁打と追加点のきっかけとなるヒットを放ち、救世主となった。このところで番が少ない大ベテランの永沢は、この日4打数3安打1安打1得点を記録して、坂本茂と共に猛打賞を獲得した。




2016年6月11日土曜日

18年 南海vs阪急 3回戦


5月2日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 6勝8敗 0.429 長沼要男
0 0 0 0 0 0 3 0 X 3 阪急 7勝7敗 0.500 天保義夫

勝利投手 天保義夫 4勝2敗
敗戦投手 長沼要男 0勝1敗

勝利打点 なし


天保義夫、無安打無得点

 南海は長沼要男、阪急は天保義夫が先発。

 今季初登板の長沼要男は6回まで6四球を出しながら阪急打線を無安打無得点に抑える。


 阪急先発の天保義夫もテンポよいピッチングで6回まで4四球無安打無得点。


 南海は7回の攻撃も三者凡退に終わり、7回表まで両軍無安打無得点が続く。


 阪急は7回裏、先頭の山下好一が中前にこの試合両チーム初ヒット、仁木安の投ゴロの間に山下好一は二塁に進み、松本利一に代わる代打下社邦男が四球を選んで一死一二塁、ここで6回の守備からサードに入っている伊藤健一がセンター右にヒット、センター猪子利男はサード増田敏に返球、ここで増田が二塁に進んでいた下社を牽制するためショート長谷川善三に送球、すると三走山下好一がホームに突っ込み、ショート長谷川がホームに送球するがこれが大暴投となって山下好一に続いて二走下社まで生還して2点を先制、打者走者の伊藤は三塁に進み、天保が左前にタイムリーを放ち、3-0とダメ押す。



 天保義夫は8回、9回もノーヒットに抑え、無安打無得点を記録した。自らダメ押しタイムリーを放ったのが効いたのである。



 長沼要男も6回まで無安打ピッチングを続けて5安打8四球4三振3失点で8回を完投、自責点はゼロであった。



*天保義夫は103球で南海打線を無安打無得点に抑え込んだ。




*天保義夫に無安打無得点に抑え込まれた南海打線。



18年 朝日vs名古屋 2回戦


5月2日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 2 0 1 0 1 0 4 朝日 9勝6敗 0.600 真田重蔵
2 0 0 0 0 0 1 0 0 3 名軍 9勝4敗1分 0.692 西沢道夫

勝利投手 真田重蔵 4勝2敗
敗戦投手 西沢道夫 4勝2敗

三塁打 (朝)坪内

勝利打点 中谷順次 1


中谷順次、代打決勝犠飛

 朝日は初回、先頭の坪内道則がレフトに三塁打を放つが、酒沢政夫は浅い右邪飛、早川平一は三振、浅原直人も三振に倒れて無得点。

 名古屋は1回裏、先頭の石丸藤吉が四球を選んで出塁、岩本章が中前打で続いて無死一二塁、古川清蔵が送りバントを決めて一死二三塁、小鶴誠の中犠飛で1点を先制、吉田猪佐喜がレフト線にタイムリーを放ち2-0とする。


 朝日は4回、先頭の酒沢が四球を選んで出塁、早川も四球、ダブルスチールを決めて浅原は三振、ここでピッチャー西沢道夫のワイルドピッチが飛び出し1-2、小林章良が四球を選んで一死一三塁、ここでダブルスチールを決めて三走早川が生還、2-2の同点とする。なお一死二塁から大友一明の右飛で二走小林が飛び出しており、「9-6」と送球されてダブルプレー。


 朝日は6回、先頭の早川が中前打、浅原は右飛に倒れるが、小林のライト線ヒットで早川は三塁に進み、小林は二盗、この時キャッチャー藤原鉄之助が悪送球となって三走早川が還り3-2と勝ち越す。早川に本盗は記録されていない。


 名古屋は7回、一死後金山次郎が三塁線にセーフティバントを決めて出塁、西沢は四球、トップに返り石丸藤吉の遊ゴロで西沢は二封、石丸が二盗を決めて一死二三塁、岩本は四球、古川が押出し四球を選んで3-3の同点とする。


 朝日は8回、先頭の酒沢が四球で出塁、早川が送って一死二塁、浅原は歩かされ、小林も四球を選んで一死満塁、朝日の竹内愛一監督はここで大友に代えて代打に中谷順次を起用、中谷は期待に応えて決勝の中犠飛を打ち上げ朝日が4対3で接戦を制す。


 真田重蔵は5安打6四球3三振の完投で4勝目をあげる。



 朝日は4回と8回、無安打で得点を重ねた。朝日はこの試合で5盗塁を記録、名古屋のキャッチャー藤原鉄之助にはほろ苦い一日となった。



 中谷順次が代打決勝犠飛で勝利打点を記録。勿論、この当時は公式記録では犠飛は記録されておらず、当ブログがスコアカードの記載から犠飛と認定しています。




2016年6月9日木曜日

訂正のお知らせ



 阪神vs巨人3回戦で、巨人サヨナラの場面について、解読ミスによる誤りがありましたので、お詫びして訂正させていただきます。


 (誤)続く伊藤健太郎の打席で、キャッチャーカイザー田中義雄からの送球をサード玉置玉一が後逸する間に、三走中島がサヨナラのホームを踏む。


 (正)続く伊藤健太郎に代わる代打藤本英雄の打席で、キャッチャーカイザー田中義雄が三塁に送球して三走中島が三本間に挟まれ、田中からの送球を受けたサード玉置玉一がホームに送球するが、これが中島の巨体に当たり、中島がサヨナラのホームを踏む。



 0対2と2点ビハインドで迎えた巨人9回裏の攻撃、中島治康と青田昇のタイムリーで2対2の同点に追い付き、一死一三塁の場面で、伊藤健太郎に代打藤本英雄が起用されます。ここで三走中島が三本間に挟まれるのですが、藤本がサヨナラスクイズを狙うがウエストされた可能性が考えられます。キャッチャー田中義雄からサード玉置玉一に送球されて、玉置からの折り返し送球が中島に当たって中島がサヨナラのホームを踏みました。



*巨人のサヨナラの場面は「2-5’-2」と記録されている。キャッチャー田中からの送球を受けたサード玉置からの本塁送球が悪送球と記録された。代打藤本がサヨナラスクイズを狙うがウエストされて、三走中島が三本間に挟まれた可能性があります。






*「雑記」欄には「送球走者に当る」と書かれている。







2016年6月7日火曜日

18年 阪神vs巨人 3回戦



5月2日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
0 0 0 0 2 0 0 0  0  2 阪神 9勝6敗 0.600 三輪八郎 若林忠志
0 0 0 0 0 0 0 0 3X 3 巨人 6勝7敗2分 0.462 須田博

勝利投手 須田博     3勝2敗
敗戦投手 若林忠志 5勝1敗

二塁打 (神)門前

勝利打点 なし


巨人、逆転サヨナラ勝ち

 4回まで、巨人先発の須田博の前に三者凡退を繰り返してきた阪神は5回、先頭の山口政信が右中間ヒットで出塁するが二盗に失敗、門前真佐人は捕邪飛に倒れて二死無走者、ここから、大島武は四球、野口昇の左前打で二死一二塁、乾国雄が中前に先制タイムリーを放って1-0、三輪八郎の一塁内野安打もタイムリーとなって2-0とする。

 巨人は初回、先頭の呉昌征が右前打を放つが二盗に失敗、ここから8回まで無安打が続いて無得点。


 2点ビハインドで迎えた巨人9回裏の攻撃、先頭の呉と、二番坂本茂が連続四球、阪神ベンチはここで先発の三輪に代えて若林忠志監督をマウンドに送り込み、白石敏男が送りバントを決めて一死二三塁、中島治康の中前タイムリーで1-2としてなお二死一三塁、青田昇が右前に同点タイムリーを放って2-2、この時打球が走者に当たり、一走中島は巨体を揺すって三塁に走って二死一三塁、続く伊藤健太郎の打席で、キャッチャーカイザー田中義雄からの三塁牽制をサード玉置玉一が後逸する間に、三走中島がサヨナラのホームを踏む。




*6月9日追記

 巨人サヨナラの場面で、解読ミスによる誤記載が判明しましたので、以下のように訂正させていただきます。詳しくは、「訂正のお知らせ」をご参照ください。

 (誤)続く伊藤健太郎の打席で、キャッチャーカイザー田中義雄からの送球をサード玉置玉一が後逸する間に、三走中島がサヨナラのホームを踏む。

 (正)続く伊藤健太郎に代わる代打藤本英雄の打席で、キャッチャーカイザー田中義雄が三塁に送球して三走中島が三本間に挟まれ、田中からの送球を受けたサード玉置玉一がホームに送球するが、これが中島の巨体に当たり、中島がサヨナラのホームを踏む。



2016年6月6日月曜日

三冠への道 2016 その4 的中率50%



5月の月間MVP予想は2人的中!


奇跡の快投を見せたカーショウは当然の選出。リッチ・ヒルの予想はお見事でした。


ア打撃部門は、同じボストンのブラッドリー。得票ゲームでは、DHには票は集まらないのですが、引退イヤーのオルティスは、今季ここまで、三冠王の可能性がある数字を残しています。打点は断トツトップの54打点、本塁打は2本差の16本、打率も3割4分です。三冠王を獲ってしまったら、本当に引退するのでしょうか(笑)。


ナ打撃部門はワシントンに移籍したダニエル・マーフィーでしたね。メッツ時代の昨年、ディビジョン・シリーズとリーグ・チャンピオンシップ・シリーズでバカ当たりしながら、ワールド・シリーズでは戦犯となってしまいました。ワシントン移籍は、吉と出たようです。3人の候補のうち、誰が選出されても納得の混戦でした。



18年 西鉄vs大和 4回戦


5月2日 (日) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
3 0 0 0 0 0 0 1  0  4 西鉄 2勝11敗2分 0.154 野口二郎
0 0 0 0 0 0 0 2 3X 5 大和 7勝6敗1分 0.538 石田光彦 畑福俊英

勝利投手 畑福俊英 1勝1敗
敗戦投手 野口二郎 2勝5敗

二塁打 (和)苅田

勝利打点 なし

猛打賞 (和)大塚鶴雄(4安打) 1


大塚鶴雄(旧・柳鶴震)、4安打2打点の活躍

 西鉄は初回、先頭の中村信一から、濃人渉、富松信彦、野口明、野口二郎と5連続四球、押出しで2点を先取する。大和ベンチはここで先発の石田光彦を降板させて畑福俊英をリリーフに送る。祖父江東一郎は三振、黒沢俊夫の二ゴロで三走冨松は本封されて二死満塁、佐藤武夫が左前にタイムリーを放って3-0、二走野口二郎も三塁ベースを蹴ってホームに突っ込むが、レフト小松原博喜からの好返球にタッチアウト。

 西鉄は8回、先頭の佐藤と宇野錦次が連続四球で無死一二塁、トップに返り中村の二ゴロで宇野が二封されて一死一三塁、濃人渉の遊ゴロをショート木村孝平がエラーして三走佐藤が還り4-0、濃人には打点が、畑福には自責点が記録されている。


 勝負あったかに見えたが、勝負は下駄を履くまで分からない。


 7回まで西鉄先発の野口二郎に4安打無得点に抑えられてきた大和は8回、先頭の木村が左前打で出塁、苅田久徳がレフト線に二塁打を放って無死二三塁、大塚鶴雄が右前にタイムリーを放ち1-4、ライト祖父江からの返球が乱れる間に三塁に達していた苅田も還って2-4と2点差に追い上げる。


 大和は9回裏、一死後鈴木秀雄に代わる代打吉水幸夫が四球を選んで出塁、渡辺絢吾が左前打を放って一死一二塁、トップに返り木村が四球を選んで一死満塁、苅田の中飛をセンター富松が落球して三走吉水が還り3-4と1点差としてなお一死満塁、大塚がこの日4安打目となるヒットを左前に放って遂に4-4の同点、なお一死満塁から、金子裕の二ゴロをセカンド宇野がエラーして三走木村がサヨナラのホームに還り、大和が大逆転勝利。


 リリーフの畑福俊英は9回を投げて8安打5四球1三振、今季初勝利をあげる。


 野口二郎は8回3分の1を完投して9安打3四球4三振、5失点のうち、自責点は1であった。



 立ち上がりは大和先発の石田光彦が5連続四球、終盤は西鉄守備陣が3エラーで大和が逆転サヨナラ勝ち。



 この試合では勝利打点は記録されないが、大塚鶴雄が5打数4安打2打点を記録、9回には同点タイムリーを放つ殊勲であった。