2016年11月28日月曜日

18年 名古屋vs阪急 5回戦


7月6日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 3 0 0 0 0 0 1 6 名軍 22勝13敗3分 0.629 野口正明
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 14勝24敗 0.368 天保義夫

勝利投手 野口正明 3勝1敗
敗戦投手 天保義夫 5勝9敗

二塁打 (名)加藤、吉田2

勝利打点 吉田猪佐喜 6

猛打賞 (名)吉田猪佐喜 1


野口正明、プロ入り初完封

 名古屋は初回、先頭の石丸藤吉が四球を選んで出塁、古川清蔵の遊ゴロでランナーが入れ替わり、小鶴誠の右前打で一死一三塁、吉田猪佐喜の遊ゴロが「6-4-3」と転送されるが二塁セーフで一塁はアウト、三走古川が生還して1点を先制、吉田には打点が記録されてこれが決勝点、二死二塁から加藤正二がレフト線に二塁打を放って2-0とする。

 名古屋は3回、又も先頭の石丸藤吉が四球を選んで出塁、古川は左邪飛に倒れ、小鶴の遊ゴロをショート中村栄が二塁に送球するがセカンド上田藤夫が落球して一死一二塁、吉田の中前タイムリーで3-0、加藤が四球を選んで一死満塁、芳賀直一が中前に2点タイムリーを放ち5-0、藤原鉄之助は遊ゴロ併殺に倒れてスリーアウトチェンジ。


 名古屋は9回、一死後古川が四球で出塁、小鶴の遊ゴロをショート中村が失して一死一二塁、吉田の右中間二塁打で6-0とする。


 野口正明は3安打3四球2死球2三振の完封で3勝目をあげる。


 野口正明は戦後まで活躍することとなり、昭和27年の西鉄時代には23勝をあげて最多勝利投手となる。通算7度の完封を記録することとなるが、これが最初の完封勝利である。


 吉田猪佐喜が5打数3安打3打点で勝利打点と猛打賞を記録した。吉田は戦後、「吉田和生」として松竹水爆打線に名を連ねることとなる。



2016年11月27日日曜日

18年 大和vs西鉄 5回戦


7月6日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 1 7 0 0 0 0 0 9 大和 18勝19敗1分 0.486 石田光彦 広島清美
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 西鉄 12勝23敗3分 0.343 野口明


勝利投手 石田光彦 5勝3敗
敗戦投手 野口明     0勝2敗
セーブ     広島清美 1

二塁打 (和)岡田、小島
三塁打 (和)鈴木
本塁打 (和)苅田 2号

勝利打点 小島利男 1


広島清美、4イニングを無安打

 大和は初回、一死後苅田久徳が左前打で出塁、鈴木秀雄は左飛に倒れるが小松原博喜が四球を選んで二死一二塁、小島利男が中前にタイムリーを放って1点を先制する。

 大和は3回、先頭の木村孝平がストレートの四球で出塁、二死後木村が二盗に成功、小松原が四球を選んで二死一二塁、又も小島が右前にタイムリーを放って2-0とする。


 大和は4回、先頭の岡田福吉がレフト線に二塁打、石田光彦は三振に倒れるが、呉新亨が中前にタイムリーを放って3-0、呉が二盗を決め、木村の三ゴロをサード中村信一が一塁に悪送球、呉は三塁に止まり、打者走者の中村は二塁に進んで一死二三塁、ここで苅田がレフトスタンドにスリーランホームランを叩き込んで6-0、更に鈴木秀雄が右中間に三塁打、小松原の左前タイムリーで7-0、小島の左越え二塁打で一死二三塁、金子裕の二ゴロをセカンド鵜飼勉が二塁に悪送球、三走小島の生還には金子に打点が記録され、二走小島もホームに還って9-0とする。


 大和は先発の石田光彦が5回で降板して6回から広島清美がマウンドに上がる。広島は4イニングを無安打1死球無三振無失点に抑え、当ブログルールによりセーブが記録される。


 4イニングを無失点に抑えた広島清美は2年間のプロ生活で11試合に登板して通算成績は1勝4敗。現在の記録に照らすとセーブを記録していることは、当ブログが発掘するまで誰も知らなかった。


 大和は小島利男が猛打賞、苅田久徳、鈴木秀雄、岡田福吉もマルチヒットを記録した。一方、西鉄は中村民雄が2安打を放ったのみの完敗であった。



18年 朝日vs南海 5回戦


7月6日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 4 0 0 0 0 0 0 4 朝日 21勝15敗2分 0.583 林安夫
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 南海 16勝21敗1分 0.432 長沼要男 丸山二三雄

勝利投手 林安夫   11勝7敗
敗戦投手 長沼要男 2勝3敗

二塁打 (朝)坪内

勝利打点 酒沢政夫 1


酒沢政夫決勝打、坪内道則が並列の殊勲者

 南海は初回、二死後中野正雄が左前打、堀井数男もレフト線にヒットを放って二死一二塁、しかし八木進は一飛に倒れて先制はならず。

 南海は2回、一死後長沼要男が中前打、長谷川善三も中前打、加藤喜作が四球を選んで一死満塁、トップに返り猪子利男の二ゴロの間に三走長沼が還って1点を先制する。


 朝日は3回、一死後広田修三の当りは三ゴロ、しかしこれをサード増田敏が一塁に悪送球、原秀雄が四球を選んで一死一二塁、トップに返り坪内道則が左中間に二塁打を放って1-1の同点、酒沢政夫が右前にタイムリーを放って2-1と逆転、南海ベンチはここで先発の長沼要男から丸山二三雄にスイッチ、しかし丸山がボークを犯して三走坪内が還り3-1、中谷順次が中前打を放って一死一三塁、浅原直人の中飛で三走酒沢がタッチアップからスタート、センター猪子からのバックホームはタイミングはアウトであったがキャッチャー八木が落球して4-1とする。記録はエラーで犠飛にはならない。


 南海二番手の丸山二三雄は4回に早川平一にバントヒットを許しただけで5回以降朝日打線を無安打に抑えたが味方の反撃はなかった。


 林安夫は4安打3四球7三振の完投で11勝目をマークする。


 勝利打点は決勝打を放った酒沢政夫に記録され、同点二塁打の坪内道則も「並列の殊勲者」であった。



2016年11月23日水曜日

18年 南海vs西鉄 7回戦


7月5日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 1 0 5 3 0 0 0 0 11 南海 16勝20敗1分 0.444 別所昭
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  西鉄 12勝22敗3分 0.353 重松通雄 真野常照 近藤貞雄

勝利投手 別所昭   11勝9敗
敗戦投手 重松通雄 5勝12敗

二塁打 (南)中野 (西)野口明
三塁打 (南)増田

勝利打点 別所昭 2

猛打賞 (南)猪子利男 2


別所昭、今季7度目の完封

 南海は初回、二死後中野正雄がストレートの四球で出塁、堀井数男も四球を選び、捕逸で二者進塁して二死二三塁、別所昭が中前にタイムリーを放って2点を先制する。

 南海は3回、先頭の増田敏が四球を選ぶと二盗に成功、長谷川善三の遊ゴロの間に増田は三進、加藤喜作は浅いセンターライナーに倒れて二死三塁、トップに返り猪子利男が二遊間にタイムリーを放って3-0とする。


 西鉄ベンチは3回から先発の重松通雄に代えてプロ入り初登板の真野常照をマウンドに送る。


 南海は4回、先頭の別所が右中間にヒット、八木進が左前打を放ち無死一二塁、増田が送りバントを決めて一死二三塁、長谷川は投ゴロに倒れるが加藤が四球でつないで二死満塁、トップに返り猪子が左前にタイムリーを放って4-0、岡村俊昭がストレートの押出し四球を選んで5-0、更に中野正雄が左中間を深々と破る走者一掃の二塁打を放って8-0として試合を決める。


 南海は5回、先頭の八木が四球で出塁、増田の右中間三塁打で9-0、長谷川は二飛に倒れるが、加藤が右前にタイムリーを放って10-0、トップに返り猪子は四球、岡村も四球を選ん一死満塁、中野は三振に倒れて二死満塁、堀井の一塁へのタイムリー内野安打で11-0とする。


 南海先発の別所昭は初回に先制タイムリーを放つと、投げては西鉄打線を鵜飼勉の右前打と野口明の右中間二塁打2本に抑え、4四球2三振で今季7度目の完封、11勝目をあげる。完封数では6度で並んでいた林安夫を抜いて単独トップに立った。7個の完封はすべて4安打以内と優秀なもの。


 南海の攻撃では3点リードで迎えた4回の攻撃で見せた増田敏の送りバントが効いた。追加点が欲しい場面での送りバントは有効で、九番に入るベテラン加藤喜作が四球でつないで大量得点に結びつけたところが功名が辻であった。


 プロ入り初登板の真野常照は3イニングを投げて7安打7四球8失点、自責点7。一宮中学から入団したサウスポー真野のプロでの登板はこの試合のみで、通算防御率は21.00、被安打7、与四球7、自責点7の記録が残っている。



18年 名古屋vs巨人 7回戦


7月4日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 2 0 0 0 1 0 0 5 名軍 21勝13敗3分 0.618 石丸進一
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 巨人 21勝14敗2分 0.600 中村政美 川畑博

勝利投手 石丸進一 6勝3敗
敗戦投手 中村政美 1勝3敗

二塁打 (名)加藤、吉田

勝利打点 なし


名古屋、首位に躍り出る

 現在3連敗中の巨人に対して、5連勝中の名古屋が首位巨人に0.5ゲーム差と迫って迎えた首位攻防戦。

 名古屋は初回、先頭の石丸藤吉から古川清蔵、小鶴誠と3連続四球で無死満塁、巨人ベンチはここで早くも先発の中村政美を下げて川畑博をマウンドに送り、吉田猪佐喜の遊ゴロ併殺の間に三走石丸藤吉が還って1点を先制、この場面の1点は致し方なく巨人の継投策は成功かに見えたが、加藤正二が左中間に二塁打を放って2-0とする。この一打は大きかった。


 巨人は1回裏、先頭の呉昌征が左前打で出塁、白石敏男が四球を選んで無死一二塁、中島治康監督が送りバントを決めて一死二三塁、これは消極的過ぎた。チームの状態が悪いとこういう悪循環が生まれる。青田昇ののゴロの間に三走呉が還って1-2とするが、小暮力三は左飛に倒れてこの回1点止まり。


 名古屋は3回、先頭の古川が左前打で出塁、小鶴誠が四球を選んで無死一二塁、吉田は中飛に倒れるが、加藤が左前にタイムリーを放ち3-1、芳賀直一の三ゴロで二走小鶴がアウトとなり一死一二塁、藤原鉄之助が左前にタイムリーを放って4-1と突き放す。


 名古屋は7回、先頭の古川の三ゴロをサード小池繁雄が一塁に悪送球、古川が二盗を決め、小鶴は三ゴロに倒れるが、吉田が左越えに二塁打を放ち5-1として試合を決める。


 巨人打線は2回と5回に2安打を放つが無得点、その他のイニングは無安打であった。2点を先行された1回裏無死一二塁での中島治康監督の送りバントが、巨人不振のを象徴している。須田博の病気による戦線離脱による影響も大きいが。


 石丸進一は5安打3四球3三振の完投で6勝目をあげる。


 この試合の決勝点は併殺の間の生還によるもので勝利打点は記録されないが、2本のタイムリーを放った加藤正二が「真の殊勲者」であった。


 6連勝の名古屋が4連敗の巨人を抜いて首位に躍り出た。巨人の後ろには、阪神が1ゲーム差で迫っている。



2016年11月20日日曜日

18年 阪神vs阪急 7回戦


7月4日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 0 0 0 0 0 0 5 7 阪神 20勝15敗2分 0.571 中原宏 仁科栄三 若林忠志
0 0 4 1 0 0 0 0 0 5 阪急 14勝23敗 0.378 中田武夫 天保義夫


勝利投手 仁科栄三 3勝1敗
敗戦投手 中田武夫 4勝5敗

二塁打 (神)金田、乾、門前 (急)下社、松本、中田

勝利打点 平林栄治 3


平林栄治が決勝打、神ってる

 阪神は景浦将が復帰後初のスタメン出場で三番レフトに入る。

 阪急は6月29日の朝日戦では帰還後2試合目の高橋敏を四番に起用、この日は三木久一がプロ入り初の四番に入る。


 阪神は初回、一死後金田正泰が四球で出塁するが、景浦の三ゴロは「5-4-3」と渡りダブルプレー。


 阪神は2回、先頭の玉置玉一が三塁線にヒット、門前真佐人が左前打、大島武が四球を選んで無死満塁、中原宏の一ゴロの間に三走玉置が還って1点を先制、なお一死二三塁から乾国雄が投前にスクイズを決めて2-0とする。


 阪急は3回、一死後山田伝が四球を選んで出塁、ここでピッチャー中原からの牽制球をファースト大島が逸らす間に山田が快足を飛ばして三塁に進み、上田は二ゴロに倒れるが、下社邦男の左中間二塁打で山田が還り1-2、四番・三木が中前に同点タイムリーを放って2-2、松本利一の右中間二塁打で二死二三塁、阪神ベンチはここで先発の中原から仁科栄三にスイッチ、池田久之の三ゴロをサード玉置がエラーする間に三走三木に続いて二走松本も還って4-2と逆転する。


 阪急は4回、先頭の中村栄がセーフティバントを試みるがピッチャー仁科に捌かれて一塁アウト、仁科は内野手もやるだけあってフィールディングは巧い。トップに返り山田が2打席連続の四球から二盗に成功、上田藤夫の右前タイムリーで5-2と突き放す。


 阪神は3回以降阪急先発の中田武夫に抑え込まれ、3点ビハインドのまま9回を迎える。


 阪神は9回、先頭の玉置が四球を選んで出塁、門前真佐人の左中間二塁打で玉置が還り3-5、御園生崇男が三塁に内野安打、二走門前は動けず無死一二塁、ここで門前が単独三盗を決めて無死一三塁、仁科に代わる代打若林忠志の二ゴロの間に三走門前が還って4-5、乾国雄に代わる代打山口政信が四球を選んで一死一二塁、ピッチャー中田からの二塁牽制が悪送球となって一死二三塁、武智修に代わる代打平林栄治が左前に決勝の2点タイムリーを放ち6-5と逆転、打者走者の平林は送球の間に二塁に進み、更に二塁送球をセカンド上田がエラーする間に三塁に達し、トップに返り上田正の中犠飛で7-5と突き放す。


 仁科の代打に出た若林監督が9回裏の阪急の反撃を三者凡退に抑えて今季初セーブをあげる。


 6月26日の朝日戦でも9回裏にサヨナラ二塁打を放った平林栄治がこの日も9回に決勝打を放つ活躍を見せた。2016年なら「神ってる」の見出しが躍っていることでしょう。「Wikipedia」には「打撃はいまいちであった」などと書かれている(2016年11月20日現在)が、事実と違いますね。




2016年11月16日水曜日

18年 阪神vs朝日 6回戦


7月1日 (木) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 1 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  1 阪神 19勝15敗2分 0.559 若林忠志
0 1 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  1 朝日 19勝15敗2分 0.559 真田重蔵

勝利打点 なし


同率の両チーム、延長12回引分け

 現在19勝15敗1分で同率3位に並ぶ阪神と朝日の対戦。なお、11月5日付け「18年 朝日vs阪急5回戦」で朝日の勝敗を「18勝15敗1分」と表示していましたが、「19勝15敗1分」の間違いでしたので、お詫びして訂正させていただきます。

 阪神は2回、先頭の玉置玉一が左前打で出塁、カイザー田中義雄の一塁線バントが内野安打となって無死一二塁、大島武は三振に倒れるが、若林忠志の打席でダブルスチールを決めて一死二三塁、若林の左犠飛で1点を先制する。阪神投手陣による犠飛は4月10日の三輪八郎以来今季2本目となる。なお、「犠飛」については当時は公式記録では記録されていませんが、当ブログではスコアカードの記載から「犠飛」と判断できる場合は「犠飛」としてお伝えしておりますのでご注意ください。

 朝日は2回裏、一死後酒沢政夫が四球で出塁、小林章良も四球を選んで一死一二塁、真田重蔵の遊ゴロをショート武智修がエラーする間に二走酒沢が快足を飛ばしてホームインし1-1と追い付く。

 朝日は7回、先頭の浅原直人が三塁に内野安打、早川平一は中前打、酒沢の三前バントが内野安打となって無死満塁の第チャンス到来、しかし小林の遊ゴロで三走浅原は本封、真田は三振、原秀雄も三振に倒れて無得点。

 この後も両チーム無得点で、延長12回引き分く。

 若林忠志は12回を投げて7安打4四球6三振1失点、自責点ゼロ。

 真田重蔵は12回を投げて6安打5四球4三振1失点であった。


2016年11月14日月曜日

18年 阪急vs大和 6回戦


7月1日 (木) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 1 0 0 0 1 2 0  1  5 阪急 14勝22敗 0.389 中田武夫 笠松実
0 0 0 0 1 0 0 0 3 2X 6 大和 17勝18敗1分 0.486 畑福俊英


勝利投手 畑福俊英 5勝3敗
敗戦投手 笠松実     4勝4敗
 
二塁打 (急)三木
三塁打 (急)山田 (和)畑福、小松原
本塁打 (和)渡辺 1号

勝利打点 渡辺絢吾 2

猛打賞 (和)畑福俊英 1


渡辺絢吾、逆転サヨナラランニングホームラン

 阪急は3回、一死後中村栄がセカンド横にヒット、トップに返り山田伝は右飛に倒れるが、中村が二盗を決めて二死二塁、上田藤夫が右前にタイムリーを放って1点を先制する。

 大和は5回、二死後畑福俊英が右中間に三塁打、ここで中田武夫が痛恨のワイルドピッチを犯し1-1の同点とする。


 阪急は7回、先頭の松本泰三が三塁線にセーフティバントを決めて出塁、中田が送って一死二塁、中村の一ゴロの間に二走松本は三進、トップに返り山田が左中間に三塁打を放って2-1と勝ち越す。


 阪急は8回、先頭の下社邦男がストレートの四球で出塁、松本利一は右邪飛に倒れるが、三木久一が左中間に二塁打を放って一死二三塁、ここで畑福がボークを犯して三走下社が生還し3-1、池田久之が右前にタイムリーを放って4-1とリードを広げて勝負あったと見えたが・・・。


 大和は9回裏、先頭の金子裕の当りは二ゴロ、これをセカンド上田がエラーして流れが変わった。鈴木秀雄が右前打を放って無死一二塁、小島利男に代わる代打石田光彦は三振に倒れて一死一二塁、ここで小松原博喜が左中間に2点タイムリー三塁打を放ち3-4と1点差、阪急ベンチは先発の中田武夫から笠松実にスイッチ、呉新亨の遊ゴロで三走小松原がホームに突っ込み、ショート中村がバックホームするがセーフ、野選が記録されて4-4の同点に追い付く。更に畑福が三塁に内野安打、岡田福吉は右飛に倒れるが、トップに返り木村孝平が四球を選んで二死満塁とサヨナラのチャンス、しかし苅田久徳の一打は投ゴロ、ピッチャー笠松がホームに投げて三走呉新亨を封殺する余裕を見せて延長戦に突入する。


 大和は9回の攻撃でライトの小島に代打石田を送ったので、10回表の守備からライトに渡辺絢吾が入る。この用兵が歴史を変えた。


 阪急は10回表、先頭の松本が四球で出塁、三木が送って一死二塁、池田は中飛に倒れるが、松本が左前にタイムリーを放って5-4と勝ち越す。松本が二盗を試みるが、キャッチャー鈴木からの送球にタッチアウト。


 大和は10回裏、先頭の金子が四球を選んで出塁、鈴木の中前の当りをセンター山田が二塁に送球して一走金子はフォースアウト、センターゴロが記録されて一死一塁、10回表の守備からライトに入っている渡辺の当りはライトを抜け、一塁、二塁、三塁ベースを蹴ってホームイン、プロ野球史上初のサヨナラランニングホームラン、しかも逆転ツーランであった。


 畑福俊英は11安打4四球無三振2暴投と乱調ながら完投で5勝目をあげる。得意のナックルボールが落ち過ぎたようだ。打っても3打数3安打猛打賞の活躍であった。



2016年11月13日日曜日

18年 巨人vs西鉄 6回戦


7月1日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 巨人 21勝13敗2分 0.618 藤本英雄
0 0 0 2 1 0 1 0 X 4 西鉄 12勝21敗3分 0.364 野口二郎


勝利投手 野口二郎 7勝8敗
敗戦投手 中村政美 1勝2敗

二塁打 (西)富松
本塁打 (巨)多田 2号

勝利打点 黒沢俊夫 1


野口二郎、2安打完投

 西鉄は4回、一死後野口二郎が中前打、巨人ベンチはここで先発の藤本英雄を下げて中村政美をマウンドに送る。野口明は三塁に内野安打、濃人渉がストレートの四球を選んで一死満塁、黒沢俊夫が押出し四球を選んで1点を先制、巨人ベンチは中村を下げて三番手の川畑博が登板、中村民雄の左犠飛で2-0とする。

 巨人は5回、二死後多田文久三がレフトスタンドにホームランを叩き込んで1-2とする。


 西鉄は5回裏、先頭の中村信一の遊ゴロをショート白石敏男がエラー、富松信彦のバントで中村が二進、何故か富松には犠打が記録されていない。これは謎ですね。野口二郎の三塁内野安打で一死一三塁、野口明の左犠飛で3-0とする。


 西鉄は7回、先頭の中村が左前打で出塁、富松信彦がライト線に二塁打を放ち中村は三塁ベースを蹴ってホームに向かい、ライト中島治康からのバックホームが悪送球となって中村が生還、4-1とリードを広げる。


 野口二郎は2安打3四球6三振の完投で7勝目をマークする。



2016年11月7日月曜日

18年 南海vs名古屋 6回戦


7月1日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  南海 15勝20敗1分 0.429 丸山二三雄 長沼要男 鈴木芳太郎
3 0 0 3 1 1 2 1 X 11 名軍 20勝13敗3分 0.606 森井茂


勝利投手 森井茂        4勝3敗
敗戦投手 丸山二三雄 1勝8敗

二塁打 (南)堀井、別所 (名)石丸兄、金山、藤原
三塁打 (名)藤原
本塁打 (名)古川 1号、小鶴 1号

勝利打点 吉田猪佐喜 5

猛打賞 (名)石丸藤吉 1、藤原鉄之助(4安打) 2、金山次郎 1


藤原鉄之助4安打

 名古屋打線が南海投手陣を粉砕した。

 名古屋は初回、先頭の石丸藤吉がいきなり左中間に二塁打、古川清蔵は四球を選び、小鶴誠の右前打で無死満塁、吉田猪佐喜は浅い右飛に倒れるが、加藤正二がストレートの押出し四球を選んで1点を先制、芳賀直一は捕邪飛に倒れて二死満塁、藤原鉄之助が中前に2点タイムリーを放って3-0とする。藤原は一塁ベースを回って一二塁間で「8-1-3」の送球にタッチアウト、2点目のホームインをアシストする走塁を見せた。


 名古屋は4回、先頭の藤原が右前打で出塁、金山次郎がレフト線に二塁打を放って無死二三塁、森井茂はセカンドライナーに倒れるが、トップに返り石丸藤吉が左前に2点タイムリーを放ち5-0、石丸も一塁を回ってタッチアウトとなったが、こちらは「7-2-4」と渡っているので2点目のアシストではなく、バックホームの隙を突いて二塁を狙ったがアウトとなる判断ミスであった。二死無走者となったが、古川清蔵がレフトスタンドにホームランを叩き込んで6-0とする。この後、小鶴誠四球、吉田は死球、加藤も四球で二死満塁とするが、芳賀は右飛に倒れてスリーアウトチェンジ。


 南海先発の丸山二三雄は4回で降板し、5回から二番手の長沼要男がマウンドに上がる。


 名古屋は5回、先頭の藤原が右中間に三塁打、金山が左前にタイムリーを放って7-0とする。続く森井の左飛に一走金山が飛び出しており、レフト堀井数男からファースト中野正雄に送球されてダブルプレー。


 名古屋は6回、古川、小鶴が連続四球、吉田の三ゴロで小鶴が二封されるが、加藤が死球を受けて一死満塁、芳賀は捕邪飛に倒れて二死満塁、藤原がストレートの押出し四球を選んで8-0とする。


 名古屋は7回、一死後石丸藤吉が左前打、古川は三飛に倒れるが、小鶴がレフトスタンドにツーランホームランを叩き込んで10-0とする。


 南海は8回から三番手として鈴木芳太郎がマウンドに上がる。


 名古屋は8回、藤原がこの日4安打目となる二塁打を左越えに放ち、金山の左前打で無死一三塁、森井は浅い右飛に倒れて一死一三塁となるが、石丸藤吉の打席でダブルスチールを決めて11-0とする。


 森井茂は6安打1四球4三振で南海打線を完封、森井のスローカーブはリードを奪った展開となると威力を増す。今季の森井の4勝は全て完封勝利である。


 前節2試合連続決勝打で週間MVPを獲得した藤原鉄之助が5打席4打数4安打1四球、3得点3打点、二塁打1本、三塁打1本に加えて、本盗まで記録する活躍を見せた。


 石丸藤吉と金山次郎も猛打賞、古川清蔵と小鶴誠もマルチヒットを記録し、名古屋は11安打2本塁打9四球2死球で11得点、残塁も13個であった。猛打ばかりが目立つが、暴走気味とも見える好走塁も多く見られた。



2016年11月5日土曜日

史上最年少盗塁記録


 お伝えしたとおり、昭和18年6月22日の大和vs朝日5回戦、5回裏朝日の攻撃で森本清三が記録した三盗は「史上最年少盗塁記録」とされているようです。

 残されている記録が少ないので定かではありませんが、森本清三は大正15(1926)年3月19日生まれとされており、昭和18(1943)年5月9日の巨人戦でプロ入り初出場初ヒットを記録、6月22日に17歳3ヶ月で史上最年少盗塁を成功させました。


 経歴は海草中学から明大を経て朝日入りとされていますが、年齢から明大を経由しているかは疑問。


 さて、6月22日の三盗は単純な盗塁ではありませんでした。


 5回一死後、森本が左打席から三塁線にセーフティバントを決めて出塁し、二死後原秀雄が左前打を放って二死一二塁となりました。続く坪内道則の打席で森本に「三盗」が記録され、原の二進はスコアカードには「2-6’-5」と記載されており、「キャッチャー鈴木秀雄からの二塁送球を捕球したショート木村孝平が三塁に悪送球した」ことになります。


 なお、「雑記」欄には、「ディレードスチール 走者に送球が当る」と書かれています。


 実況中継には「一走原がディレードスチール」と書きましたが、「走者に送球が劣る」と読めたため「原のディレードスチール」としました。よく見直すと「走者に送球が当る」と読めますので、ならばディレードスチールを敢行したのは二走森本であったと考えられ、キャッチャーの二塁送球を見て森本が三塁にスタートを切り、ショート木村孝平からの三塁送球が二走森本に当たって、森本には「盗塁」、原の二進は「悪送球」によるものとされたようです。



*「雑記」欄を再掲します。当初、「走者に送球が劣る」と読めたため、二走森本清三はスタート切っておらず、ショート木村孝平との追いかけっことなって三盗が記録されたのではないかと思いまいましたが、「走者に送球が当る」であればショート木村孝平の悪送球とも符合します。一走原とのダブルディレードスチールであったかもしれませんが、原の進塁には「盗塁」は記録されていません。






*「史上最年少盗塁」の場面。



18年 朝日vs阪急 5回戦


6月29日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
4 0 0 2 0 0 1 0 0 7 朝日 19勝15敗1分 0.559 林安夫
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 阪急 14勝21敗 0.400 天保義夫 江田孝

勝利投手 林安夫   10勝7敗
敗戦投手 天保義夫 5勝8敗

二塁打 (朝)中谷
三塁打 (朝)浅原、坪内、中原 (急)山田

勝利打点 浅原直人 7

猛打賞 (朝)中谷順次 1


中谷順次、2本の長打を含む猛打賞

 朝日は今季酒沢政夫が全試合二番に入っていたが、6月27日の大和戦から森本清三が二番ファーストで先発出場。5月9日にデビューした森本は前節14打数7安打で首位打者、27日も3打数2安打で今季ここまで41打数14安打、打率3割4分1厘を記録している。なお、ネット上の情報ですが、6月22日の大和戦の5回に森本が記録した三盗は、17歳3ヶ月の史上最年少盗塁記録のようです。

 朝日は初回、一死後二番・森本清三が中前打を放って出塁、中谷順次が左前打で続き一死一二塁、浅原直人が左中間に三塁打を放って2点を先制、林安夫が中前にタイムリーを放ち3-0、早川平一も中前打で一死一二塁、小林章良も中前にタイムリーを放って4-0とする。原秀雄は一飛に倒れるが、酒沢政夫が二遊間にヒット、二走早川が三塁を回ってホームに向かい、セカンド上田藤夫からの送球にタッチアウトとなるが、この回4点を先制する。天保義夫の速球をセンターに弾き返している。


 阪急は3回、松本利一が中前打で出塁すると捕逸で二進、天保の一ゴロの間に二走松本が三進、中村栄が右前にタイムリーを放って1-4とする。


 朝日は4回、一死後原が二遊間に内野安打、酒沢は一邪飛に倒れるが、トップに返り坪内道則が右越えに三塁打を放って5-1、好調森本が右前にタイムリーを放って6-0として天保をKO、二番手に江田孝が登板し、中谷が左中間に二塁打、浅原は歩かされて二死満塁、林は遊飛に倒れてスリーアウトチェンジ。


 朝日は7回、先頭の中谷が右中間に三塁打、6回の守備から浅原に代わってライトの守備に入っている大島渡が一塁線にタイムリーを放ち7-1とダメ押す。


 林安夫は6安打1四球4三振1失点、自責点ゼロの完投で10勝目をマークする。


 朝日は先発全員安打を記録して快勝。全15安打のうち、センターから逆方向への当りが10本であった。


 好調・森本清三はこの日も4打数2安打1打点を記録、中谷順次は3安打の猛打賞で二塁打、三塁打各1本の活躍を見せた。


2016年11月3日木曜日

18年 大和vs阪神 5回戦


6月29日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 3 0 0 0 4 大和 16勝18敗1分 石田光彦 片山栄次
0 0 0 1 0 0 0 2 0 3 阪神 19勝15敗1分 仁科栄三 三輪八郎

勝利投手 片山栄次 7勝11敗
敗戦投手 仁科栄三 2勝1敗

二塁打 (神)塚本
三塁打 (和)鈴木、小松原

勝利打点 呉新亨 2

猛打賞 (神)玉置玉一 1


小松原博喜、代打決勝三塁打

 大和は初回、先頭の木村孝平がストレートの四球で出塁、苅田久徳は遊飛、金子裕も遊飛に倒れて二死一塁、ここで四番鈴木秀雄が右越えに三塁打を放って1点を先制する。

 阪神は4回、先頭の塚本博睦が右中間に二塁打、金田正泰の一ゴロで塚本は三進、御園生崇男の一ゴロで三走塚本がホームに突っ込み、ファースト金子がバックホームするがセーフ、野選が記録されて1-1の同点とする。


 大和は5回から先発の石田光彦に代わって片山栄次がマウンドに上がる。


 大和は6回、一死後金子が四球を選んで出塁、鈴木は三振に倒れるが、小島利男が四球を選んで二死一二塁、ここで呉新亨に代わる代打小松原博喜が右中間に三塁打を放って3-1、片山が右前に追撃のタイムリーを放って4-1とする。


 阪神は8回、一死後塚本が四球を選んで出塁、平林栄治の三塁内野安打で一死一二塁、御園生が左前打を放って一死満塁、玉置が中前に2点タイムリーを放って3-4と1点差に迫るが反撃もここまで。


 大和二番手の片山栄次は5イニングを投げて6安打3四球1三振2失点、何とか逃げ切り7勝目をあげる。



呪いが解かれた日


 シカゴ・カブスが108年ぶりにワールドシリーズ優勝。

 レスター、アリエタを軸にした投手陣、若き主砲クリス・ブライアントを二番に据えた流線型打線、104マイルの剛球クローザーチャップマンを得て、レギュラーシーズン100勝を超える第三期黄金時代を迎えています。


 108年前は、スリーフィンガー・ブラウンをエースに据え、プレイングマネージャーのフランク・チャンスとジョー・ティンカー、ジョニー・エバースの併殺トリオで1907年、1908年のワールドシリーズを連覇する第二期黄金時代を築いてきました。


 シカゴ・カブスは、名将キャップ・アンソンが率いた第一期黄金時代の1880年代、名将フランク・チャンスが率いた1900年代初頭、当代随一の名将ジョー・マドンを監督に迎えた現在と、名監督と共に黄金時代を築いています。


 ヤギの呪いを解いた今、新しい時代に突入しました。




*1907年、1908年のワールドシリーズで共に20打数7安打3割5分と、打撃でも活躍を見せたジョニー・エバースのベースボールカード。
 実使用ユニフォームが封印されています。