2025年4月30日水曜日

22年 大阪vs阪急 6回戦

6月16日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  3 大阪 26勝9敗1分   0.743 若林忠志 
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  3 阪急 15勝20敗2分 0.429 野口二郎

二塁打 (大)若林 (急)日比野、荒木、坂元
本塁打 (大)金田正泰 2号

勝利打点 なし

猛打賞 (大)金田正泰 2


今節3度目の引分け

 西宮の第2試合は若林忠志と野口二郎の先発で午後3時40分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 4回まで3安打無得点の大阪は5回表、一死後長谷川善三が左前打で出塁、二死後トップに返り呉昌征が中前打を放って一三塁、呉が二盗を決めて二死二三塁、ここで金田正泰がライトスタンドにスリーランを叩き込んで3点を先制する。

 4回まで1安打無得点の阪急は5回裏、先頭の野口二郎が左前打で出塁、日比野武の左中間二塁打で無死二三塁、荒木茂が左中間にタイムリー二塁打を放ち1-3、トップに返り田中幸男と上田藤夫は共に浅い中飛で三走日比野は動けず二死二三塁、青田昇は敬遠気味に歩かされて二死満塁、ここで野口二郎が中前に2点タイムリーを放ち3-3の同点とする。

 その後は若林と野口二郎の好投の前に両軍決め手を欠き延長12回引き分ける。

 今季は開幕から6月7日まで120試合引分け試合が無かったが、その後の22試合中4試合が引分けとなった。上位下位関係なくチーム力が近接してきている。

2025年4月29日火曜日

22年 太陽vs南海 5回戦

6月16日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0  0 太陽 13勝22敗1分 0.371 池田善蔵 
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  1X 1 南海 19勝16敗1分 0.543 別所昭

勝利投手 別所昭   10勝7敗 
敗戦投手 池田善蔵 4勝5敗

二塁打 (太)森下 (南)朝井

勝利打点(南)田川豊 4


安井の2盗塁がサヨナラを呼ぶ

 15日の日曜日は全国的に梅雨空で東西とも試合中止。昭和22年に入ってプロ野球人気はうなぎ登りで、先週の日曜日は後楽園が2万9千人、甲子園が1万9千人の観客を集めていただけに興行的には恨みの雨となった。東京は昨日の16.5㍉に続いて本日も15.6㍉の雨を観測、二日連続中止となった。西宮も早朝は雨が残っていたが晴れ上がり予定どおり2試合が行われた。

 第9節最終日、西宮の第1試合は池田善蔵と別所昭の先発で午後1時33分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 別所は走者を出しながら粘りのピッチングで、7回と9回は二死満塁のピンチを凌いで無失点。

 池田は別所を上回る投球で9回まで2安打無失点。

 太陽は10回表、先頭の荒川昇治がストレートの四球で出塁、辻井弘が送りバントを決めて一死二塁、藤井勇の一邪飛でファースト飯田の体勢が悪いと見た二走荒川がタッチアップからスタートを切ったが、飯田が三塁に好送球を見せてタッチアウト。

 太陽は11回表、二死後森下重好がストレートの四球で出塁、伊勢川真澄の右前打で二死一三塁、ここで勝負のダブルスチールを仕掛けるが「2-4-2」の送球に三走森下はタッチアウト。

 南海は11回裏、一死後安井亀和が粘った末四球を選んで出塁、安井は二盗、三盗を決め、河西俊雄は四球を選んで一死一三塁、田川豊の三塁線スクイズバントがサヨナラタイムリー内野安打となって南海が競り勝つ。

 別所昭は6安打6四球5三振で今季4度目の完封、10勝目をマークする。別所の完封勝利は5月4日金星戦以来となる。

 池田善蔵は10回3分の1を3安打に抑えながら無念の敗戦となった。

2025年4月26日土曜日

22年 太陽vs南海 4回戦

6月14日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 1 0 0 0 0 0  0   0   0  1 太陽 13勝21敗1分 0.382 真田重蔵 
0 0 0 0 1 0 0 0 0  0   0   0  1 南海 18勝16敗1分 0.529 丸山二三男

勝利打点 なし


真田と丸山の投げ合いで引分け

 西宮の第2試合は真田重蔵と丸山二三男の先発で午後3時25分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 この試合のスコアカードでは審判の蘭に球審の金政しか記載されていない。通常は三氏審判であるので、この試合だけ球審だけの一氏審判制で行われたとは考えにくい。第2試合は杉村球審、一塁審判筒井、三塁審判金政の三氏審判制で行われるので、この試合も杉村と筒井が塁審を務めたはずで、スコアカードの記入漏れであると考えられる。

 昭和21年には審判員の数が足りず二氏審判制で行われたことはあったが、審判一人という試合は無い。

 太陽は4回表、先頭の中谷順次が四球を選んで出塁、佐竹一雄の三ゴロの間に中谷は二進、二死後伊勢川真澄の中前タイムリーで1点を先制する。

 南海は5回裏、先頭の丸山が四球を選んで出塁、一死後朝井昇の投ゴロでランナーが入れ替わり、トップに返り安井亀和は四球、河西俊雄が中前に同点タイムリーを放ち1-1と追い付く。

 その後は真田と丸山の投げ合いが続いて延長12回に突入。

 南海は12回裏、一死後坂田清春が中前打で出塁、小林悟楼のヒット性の右飛で坂田は勝負を賭けてスタートを切るが、ライト辻井弘がキャッチして一塁に送球しダブルプレー、引分けに終わる。

 真田重蔵は139球、丸山二三男は161球で12回を投げ切った。

2025年4月25日金曜日

22年 中日vs巨人 4回戦

6月14日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 0 2 1 0 3 3 0 11 中日 25勝9敗 0.735 清水秀雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  巨人 14勝21敗1分 0.400 中尾輝三 宮下信明

勝利投手 清水秀雄 5勝3敗 
敗戦投手 中尾輝三 3勝6敗

二塁打 (中)金山、杉浦、古川 (巨)呉新亨 2
本塁打 (中)岩本章 3号、小鶴誠 3号、加藤正二 1号

勝利打点(中)岩本章 3


強竜打線爆発、首位大阪に0.5差

 後楽園の第2試合は清水秀雄と中尾輝三の先発で午後3時丁度、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 中日は2回表、先頭の加藤正二が三塁線にヒット、三村勲は四球を選び、一死後清水も四球で満塁、トップに返り岩本章が押出し四球を選んで1点を追加、巨人ベンチはストライクが入らない中尾に代えて宮下信明をマウンドに送るが、金山次郎も押出し四球で2-0とする。

 中日は4回表、二死後清水が三塁線にヒット、トップに返り岩本がレフトスタンドに第3号ツーランを叩き込んで4-0とする。

 中日は5回表、先頭の小鶴誠がレフトスタンドに第3号を叩き込んで5-0とリードを広げる。
 中日は7回表、一死後小鶴の当りは遊ゴロ、これをショート田中資昭がエラー、杉浦清監督の右前打で一死一二塁、ここで加藤正二がレフトスタンドにスリーランを叩き込んで8-0とする。

 中日は8回表、一死後岩本、金山が連続四球、古川清蔵のレフト線タイムリー二塁打で9-0、小鶴の遊ゴロで三走金山がホームに突っ込みショート田中が本塁に送球するがセーフ、野選が記録されて10-0、一死一三塁から杉浦の投ゴロの間に三走古川も還って11-0とする。

 巨人打線には覇気が無く、呉新亨が2本の二塁打を放ったのが目立つ程度。

 清水秀雄は4安打2四球1死球1三振で今季2度目の完封、5勝目をマークする。

 中日は3本塁打と猛打爆発。今季全体で58本の本塁打が記録されているが中日は15本で断トツトップである。大阪は4本に過ぎず、ダイナマイト打線の特徴は連打にある。迫力という点では強竜打線が上である。

 中日は首位大阪に0.5ゲーム差と迫った。

2025年4月24日木曜日

22年 阪急vs大阪 5回戦

6月14日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 1 0 0 0 2 阪急 15勝20敗1分 0.429 天保義夫 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大阪 26勝9敗 0.743 武智修

勝利投手 天保義夫 2勝5敗 
敗戦投手 武智修     1勝1敗

二塁打 (急)荒木 (大)塚本、土井垣

本塁打 (急)坂元義一 1号

勝利打点(急)下社邦男 1


坂元義一、プロ入り初ホームラン

 西宮の第1試合は天保義夫と武智修の先発で午後1時35分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は4回表、先頭の青田昇の当りは遊ゴロ、これをショート長谷川善三が一塁に悪送球、野口明は四球、坂元義一は三塁線ヒットで無死満塁、下社邦男の二ゴロの間に三走青田が還って1点を先制する。

 阪急は6回表、二死後坂元義一がレフトスタンドにプロ入り初ホームランを叩き込んで2-0とする。

 阪急先発の天保は4回まで5安打を許し走者を出しながらの投球であったが無失点。5回から7回までは三者凡退に抑える。

 大阪は8回裏、二死後塚本博睦が左中間に二塁打、金田正泰の右前打で一三塁とするが、富樫淳に代わる代打呉昌征は三邪飛に倒れて無得点。

 大阪は9回裏、先頭の土井垣武がライト線に二塁打、しかし後続が倒れてシャットアウト負け。

 天保義夫は8安打1四球5三振で今季初完封、終盤はピンチの連続であったが凌ぎ切って2勝目をマークする。得意のナックルボールが冴えたようだ。

 坂元義一は打率2割そこそこで毎試合出場する訳でもない準レギュラーであるが昨日から五番に起用されている。練習でいい当たりを飛ばしているのであろう。この日は貴重なプロ入り初本塁打を放った。

2025年4月23日水曜日

22年 金星vs東急 5回戦

6月14日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 0 0 0 0 0 0 0 2 5 金星 15勝20敗1分 0.429 三富恒雄 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 東急 11勝21敗1分 0.344 黒尾重明

勝利投手 三富恒雄 2勝5敗 
敗戦投手 黒尾重明 2勝6敗

二塁打 (東)黒尾
三塁打 (金)三富

勝利打点 なし


三富恒雄、5年ぶりの完封勝利

 第9節3日目、後楽園の第1試合は午後1時6分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 金星は初回、先頭の坪内道則監督がストレートの四球で出塁、酒沢政夫の投ゴロでランナーが入れ替わり、二死後西沢道夫の三ゴロをサード大沢喜好が失して二死一二塁、小前博文のセンターにゴロで抜けるヒットを一言多十が後逸、白球が転々とする間に酒沢、西沢に続いて小前もホームに還り3点を先制、小前には1打点が記録された。

 東急先発の黒尾は2回から7回まで無安打ピッチング。

 金星は9回表、二死後三富が右中間に三塁打、辻勇夫の三塁線タイムリーで4-0、坂本勲はストレートの四球で二死一二塁、トップに返り坪内の左前タイムリーで5-0とリードを広げる。

 金星先発の三富は6回まで1安打無失点の好投。7回はヒットと四球で一死一二塁のピンチを迎えるが後続を抑える。

 東急は9回裏、先頭の大下弘が右前打で出塁、長持栄吉の中前打で無死一二塁、黒尾の投ゴロを三富が三塁に送球して二走大下は三封、北川桂太郎に代わる代打横沢七郎はストレートの四球で一死満塁と最後の反撃、しかし熊耳武彦は二飛、清水喜一郎に代わる代打白木義一郎は左飛に倒れてゲームセット。

 三富恒雄は5安打5四球1三振で、通算7度目戦後初完封を飾り2勝目をマークする。三富は兵役で5年のブランクがあり、昭和17年9月12日の阪急戦以来5年ぶりの完封勝利であった。

 今季の完封試合は全体で29試合目となったが、その内8試合を金星投手陣が記録している。

2025年4月22日火曜日

22年 大阪vs南海 5回戦

6月13日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 1 3 0 0 0 5 大阪 26勝8敗   0.765 梶岡忠義
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 南海 18勝16敗 0.529 別所昭 松川博爾

勝利投手 梶岡忠義 8勝2敗 
敗戦投手 別所昭    9勝7敗

二塁打 (大)金田、本堂、玉置

勝利打点 なし

猛打賞 (大)本堂保次 2 


梶岡忠義、エースの風格

 西宮の第2試合は梶岡忠義と別所昭の先発で午後3時20分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は初回、一死後金田正泰がセンター左奥に二塁打、富樫淳の中前タイムリーで1点を先制する。

 南海は2回裏、先頭の山本一人監督が四球を選んで出塁、一死後岡村俊昭が三遊間を破り、レフト金田が後逸する間に一走山本が一気にホームに還って1-1の同点に追い付く。

 大阪は5回表、先頭の本堂保次が左前打で出塁、玉置玉一も三遊間にヒットで続いて無死一二塁、長谷川善三の投ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、梶岡の遊ゴロで三走本堂がホームに突っ込み、ショート朝井昇からの本塁送球はタイミングはアウトであったが悪送球となって本堂が生還、2-1と勝ち越す。

 大阪は6回表、一死後藤村富美男がストレートの四球で出塁、土井垣武の一塁戦ヒットで一死一二塁、別所からの二塁牽制に二走藤村が飛び出して二三塁間に挟まれ「1-4-5」でタッチアウト、一走土井垣も二塁に走り、サード山本がセカンド安井亀和に送球するが悪送球となって土井垣は三塁に進み、本堂がレフト線にタイムリー二塁打を放ち3-1、玉置も右中間にタイムリー二塁打で続いて4-1、長谷川は四球、梶岡が左前にタイムリーを放ち5-1とリードを広げる。

 梶岡忠義は3安打1四球無三振、自責点ゼロの完投で8勝目をマークする。

 別所は二桁勝利を目前にして3連敗。別所で勝てなくなった南海は優勝争いから大きく後退し、最大7つあった貯金も2つに減らした。

 ルーキーの梶岡は戦前にも阪神入団の話があったが学徒出陣のため断念していた。戦争から帰還して今季大阪に入団、既にエースの風格である。

2025年4月21日月曜日

22年 金星vs巨人 4回戦

6月13日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 1 0 0 0 0 0  0   0   0  1 金星 14勝20敗1分 0.412 重松通雄 内藤幸三 
1 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  1 巨人 14勝20敗1分 0.412 多田文久三

二塁打 (巨)川上

勝利打点 なし


多田と内藤の好投で引分け

 後楽園の第2試合は重松通雄と多田文久三の先発で午後2時57分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 現在同率4位の両チームによる一戦。

 巨人は初回、先頭の呉新亨が死球を受けて出塁、山川喜作は中前打、千葉茂が送りバントを決めて一死二三塁、川上哲治の左前タイムリーで1点を先制する。二死後平山菊二も死球、重松はこの回2個の死球を与えたが後続を抑える。

 金星は3回から二番手として内藤幸三がマウンドに上がる。

 金星は4回表、先頭の清原初男が左前打で出塁、西沢道夫も左前打、小前博文の投ゴロを多田は三塁に送球して二走清原は三封、サード山川が併殺を狙って一塁に送球するが悪送球となる間に一走西沢がホームに還り1-1の同点とする。

 その後は内藤と多田の好投で両軍決定打を欠き12回まで無得点のまま進む。

 巨人は12回裏、一死後田中資昭に代わる代打中島治康は三振、多田に代わる代打古家武夫も三振。延長12回引分けに終わる。

 内藤幸三は10イニングを投げて4安打1四球2三振無失点であった。

 多田文久三は12回を完投して4安打7四球2三振、自責点ゼロの投球であった。

 第9節2日目の下位球団の試合は終了。阪急、金星、巨人が同率4位、1ゲーム差で太陽、更に半ゲーム差で東急が最下位と、1.5ゲーム差に5球団がひしめき合う混戦が続いている。

2025年4月18日金曜日

22年 太陽vs阪急 3回戦

6月13日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 3 0 0 0 0 3 太陽 13勝21敗 0.382 井筒研一 真田重蔵 藤村隆男 
0 0 0 0 4 2 0 0 X 6 阪急 14勝20敗1分 0.412 今西錬太郎

勝利投手 今西錬太郎 7勝4敗 
敗戦投手 真田重蔵     5勝7敗

三塁打 (急)田中

勝利打点(急)上田藤夫 1


田中幸男、満塁走者一掃同点三塁打

 西宮の第1試合は井筒研一と今西錬太郎の先発で午後1時31分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 今季のペナントレースは東西とも午後1時試合開始を目途に進められてきたが、今節から東が午後1時、西が午後1時30分頃の試合開始に変更となった。当ブログは実況中継なので、試合開始時間順にお伝えしており、これまでは東が先であったり西が先であったりしていたが、しばらくは東からお伝えすることになる。夏至が近付いてきて日没時間が遅くなったことが要因であると推測される。東京と大阪では約15、大阪の方が日没時間は遅い。

 太陽先発の井筒は1回と3回に先頭打者を出すが共に併殺で切り抜ける。

 太陽は4回から井筒に変えて真田重蔵をマウンドに送る。

 太陽は5回表、一死後伊勢川真澄が中前打で出塁すると二盗に成功、松井信勝の三ゴロの間に伊勢川は三進、真田の中前タイムリーで1点を先制、トップに返り荒川昇治は四球、辻井弘の右前タイムリーで2-0としてなお二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて3-0、ショート田中幸男からの折り返し本塁送球が悪送球となって二塁に進んだ辻井は三塁ベースを蹴ってホームに向かうが、ファウルグラウンドで白球を拾ったキャッチャー日比野武が本塁ベースカバーに入った今西に送球してタッチアウト。

 今西は内野手出身で動きが機敏である。

 阪急は5回裏、一死後日比野の当りは三ゴロ、これをサード中谷順次が一塁に悪送球、荒木茂は四球、今西の右前打で一死満塁、トップに返り前の回にエラーした田中が右中間を破る走者一掃の同点三塁打を放ち3-3に追い付き、上田藤夫の左犠飛で4-3と逆転に成功する。
 太陽は6回から三番手として藤村隆男がマウンドに上がる。

 阪急は6回裏、先頭の野口明が中前打で出塁、坂元義一の左飛をレフト藤井勇が落球、下社邦男の投ゴロを藤村は三塁に送球して二走野口明は三封、日比野の三ゴロをこの回からサードに入った平野徳松が後逸する間に二走坂元が還って5-3、更にバックアップしたレフト藤井からの三塁送球が悪送球となるダブルエラーで一走下社も還って6-3とリードを広げる。

 今西錬太郎は6回以降9回まで三者凡退で抑え、6安打1四球2三振の完投で7勝目をマークする。

 勝利打点は決勝犠飛の上田藤夫に記録されたが、この試合の打の殊勲者は満塁走者一掃同点三塁打を放った田中幸男であった。田中は昭和12年センバツの浦和中学戦で1試合6安打を記録した。この記録は戦後3人が並んだが現在でもセンバツの1試合最多安打タイ記録である。戦後の3人は平成時代の金属バットによるもので、木製バットで6安打を記録したのは田中幸男だけである。

2025年4月17日木曜日

22年 東急vs中日 4回戦

6月13日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 1 0 0 0   1  東急 11勝20敗1分 0.355 北川桂太郎
 4 1 0 0 1 1 0 3 X 10 中日 24勝9敗  0.727 藤本英雄

勝利投手 藤本英雄   11勝4敗 
敗戦投手 北川桂太郎 2勝5敗

二塁打 (東)飯島 (中)三村
本塁打 (中)岩本章 2号

勝利打点(中)杉浦清 3


北川桂太郎、13日金曜日の厄災

 第9節2日目、後楽園の第1試合は北川桂太郎と藤本英雄の先発で午後1時6分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 池田豊審判員は開幕から欠場していたが、昨日塁審として復帰し、この試合が今季初の球審となる。

 中日は初回、先頭の岩本章が四球で出塁するとパスボールで二進、金山次郎の投前送りバントを北川は三塁に送球するがセーフ、犠打野選となって無死一三塁、一死後小鶴誠は四球で一死満塁、杉浦清監督が押出し四球を選んで1点を先制、加藤正二が左前に2点タイムリーを放ち3-0、ここで北川のセットポジションに対して池田球審がボークの判定、一死二三塁から藤本の一ゴロで三走杉浦がホームを突くがファースト飯島滋弥からの本塁送球にタッチアウト、二死一三塁となったところで再び池田球審がボークのコール、中日は初回に4点を先制する。

 中日は2回裏、一死後岩本がレフトスタンドにホームランを叩き込んで5-0とする。

 中日は5回裏、小鶴の中前打、杉浦の四球、加藤の中前打で無死満塁、一死後上林繁次郎の左前タイムリーで6-0とリードを広げる。

 東急は6回表、先頭の一言多十が中前打、これをセンター古川清蔵が逸らす間に一言は三塁に進み、一死後飯島の中犠飛で1点を返す。

 中日は6回裏、先頭の岩本が左前打から二盗に成功、古川のライト線タイムリーで7-1と突き放す。

 中日は8回裏、先頭の三村勲が右中間に二塁打、トップに返り岩本は四球、一死後古川も四球、小鶴が中前に2点タイムリーを放ち9-1、二死後杉江文二の遊ゴロをショート鈴木清一が失する間に二走古川が還って10-1とする。

 藤本英雄は8安打1死球無三振、自責点ゼロの完投で11勝目をマークする。

 北川桂太郎はこの日が今季初球審だった池田豊審判員に2つのボークを宣告された。これまで見逃されていたセットの取り方を池田にはボーク判定されたのであろう。北川はこの日の2個を含めて今季ボーク4個でリーグ最多を記録するが、この経験を教訓として、引退年の昭和26年に2個のボークを取られるまでボークゼロを続けることになる。

2025年4月14日月曜日

22年 南海vs太陽 3回戦

6月12日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 1 0 0 0 0 2 南海 18勝15敗 0.545 中谷信夫 松川博爾 
0 0 0 0 0 0 7 0 X 7 太陽 13勝20敗 0.394 池田善蔵 スタルヒン

勝利投手 池田善蔵 4勝4敗 
敗戦投手 中谷信夫 3勝5敗

二塁打 (南)田川、山本 (太)荒川、藤井、藤村
三塁打 (太)森下
本塁打 (太)中谷順次 1号

勝利打点(太)荒川昇治 3


荒川昇治、満塁走者一掃逆転二塁打

 西宮の第2試合は中谷信夫と池田善蔵の先発で午後3時30分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 南海は3回表、一死後田川豊が四球で出塁すると二盗に成功、山本一人監督の中前打で一死一三塁、飯田徳治の中犠飛で1点を先制する。

 南海は5回表、先頭の朝井昇が右前打で出塁、田川の右中間二塁打で無死二三塁、山本は四球で無死満塁、ここで山本がディレードスチールを仕掛け、キャッチャー伊勢川真澄が二塁に送球すると三走浅井がホームを狙うがセカンド荒川からの本塁送球にタッチアウト、飯田は捕邪飛に倒れ、岡村俊昭はストレートの四球で二死満塁、ここで田川がホームスチールを決めて2-0とリードを広げる。

 6回まで中谷に無得点に抑え込まれてきた太陽は7回裏、一死後伊勢川が四球を選んで出塁、藤村隆男が右越えに二塁打を放って無死二三塁、一死後池田は四球を選んで一死満塁、トップに返り荒川が左中間に走者一掃の逆転二塁打を放ち3-2と試合をひっくり返し、辻井弘の三遊間ヒットで一死一三塁、藤井勇がライト線に2点タイムリー二塁打を放ち5-1、更に中谷順次がレフトスタンドにツーランを叩き込んで7-2とリードを広げる。

 太陽は4本の長打を集中して大量得点。

 南海は8回表、先頭の堀井数男が四球で出塁、坂田清春に代わる代打丸山二三男が左前打を放って無死一二塁、太陽ベンチはここで池田に変えてスタルヒンをリリーフのマウンドに送り、中谷に代わる代打別所昭の遊ゴロが「6-4-3」と転送されてゲッツー、スタルヒンがその後を抑えて太陽が逃げ切る。

 南海は6日の阪急戦での放棄試合による勝利以降4連敗。最大7つあった貯金も3つに食い潰してきた。

 混戦が続く4位以下の順位争いは、調子を上げてきた巨人としぶとい試合を続ける金星が同率4位、阪急と太陽が半ゲーム差で同率6位、4位が定位置だった東急が単独最下位に転落した。

2025年4月13日日曜日

22年 巨人vs中日 3回戦

6月12日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 巨人 14勝20敗 0.412 川崎徳次
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 中日 23勝9敗   0.719 星田次郎 服部受弘

勝利投手 川崎徳次 5勝5敗 
敗戦投手 星田次郎 2勝1敗

二塁打 (巨)川上

勝利打点(巨)内堀保 3


川崎徳次、1安打完封

 後楽園の第2試合は川崎徳次と星田次郎の先発で午後2時52分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は初回、二死後千葉茂がツーストライクナッシングから粘って四球で出塁、川上哲治の中前打で二死一二塁、小松原博喜が二塁に内野安打、二走千葉は三塁からホームに向かうがセカンド金山次郎からの送球で三本間に挟まれタッチアウト。

 巨人は4回表、先頭の川上がレフト線に二塁打、小松原の右邪飛で二走川上はタッチアップから三塁に進み、平山菊二はストレートの四球で一死一三塁、内堀保の右犠飛で1点を先制する。

 巨人先発の川崎は初回から快調なピッチングを続け7回まで2四球無安打で中日打線を無得点に抑える。

 中日は8回裏、先頭の加藤正二がチーム3個目の四球を選んで出塁すると代走に岩本章を起用、三村勲に代わる代打大沢清が4球ファウルで粘って中前にチーム初ヒット、無死一二塁とこの試合初のチャンスを作るが、藤原鉄之助に代わる代打藤本英雄は三振、5回からリリーフ登板している服部受弘も三振、トップに返り金山に代わる代打清水秀雄は一邪飛に倒れて無得点。

 強打を誇る3人の投手もこの日の川崎には封じ込まれた。

 川崎徳次は強竜打線を1安打に抑えて3四球8三振の力投で8日の南海戦に続いて2試合連続完封、5勝目をマークする。

 川崎の自伝とも言える「戦争と野球」によると、「戦前、軍隊入りするまでは本格的なオーバースロー投手」であったが、軍隊から帰ってからはスリークウォーター気味に投げるようになったとのことで、「サイド気味の投法がそれまでにないシュートのキレを生んだ。そのシュートが、微妙な落ち方をみせるシンカーを生んだ。」と語っている。

 シンカーを習得した川崎は、低迷する巨人の救世主となっていく。

2025年4月11日金曜日

22年 大阪vs阪急 4回戦

6月12日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 4 0 0 0 0 0 0 4 大阪 25勝8敗   0.758 若林忠志 
0 0 2 0 0 0 1 0 0 3 阪急 13勝20敗1分 0.394 野口二郎

勝利投手 若林忠志 8勝4敗 
敗戦投手 野口二郎 5勝6敗

二塁打 (大)呉昌征、武智 (急)田中
三塁打 (大)金田 (急)荒木

勝利打点(大)金田正泰 2

猛打賞 (急)下社邦男 2、荒木茂 1


大阪、集中打で首位キープ

 西宮の第1試合は若林忠志と野口二郎の先発で午後1時30分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は3回表、一死後呉昌征がレフト線に二塁打、金田正泰が右中間にタイムリー三塁打を放ち1点を先制、富樫淳のライト線タイムリーで2-0、藤村富美男が中前打、土井垣武の中前打で二走富樫は三塁ベースを蹴ってホームに突っ込み、センター青田昇からの好返球にタイミングはアウトであったがキャッチャー日比野武が落球して3-0、二死後若林の遊ゴロをショート田中幸男がエラーする間に三走藤村も還って一挙4点を先制する。

 阪急は3回裏、先頭の下社邦男が二遊間にヒット、日比野の中前打で無死一二塁、荒木茂がショートに内野安打、二走下社はホームを狙うがショート長谷川善三からの送球にタッチアウト、トップに返り田中が中越えに2点タイムリーを放ち2-4と追い上げる。

 阪急は初回に手痛いタイムリーエラーをした日比野と田中の快打で反撃開始。

 阪急は7回裏、先頭の坂元義一がショートに内野安打、下社の右前打で無死一二塁、日比野が送りバントを決めて一死二三塁、荒木が中前にタイムリーを放ち3-4と1点差に迫るが後続なく反撃もここまで。

 若林忠志は12安打を浴びながら無四球1三振の完投で8勝目をマークする。

 大阪はダイナマイト打線の特徴である連打で快勝、首位の座をキープする。

2025年4月10日木曜日

22年 東急vs金星 4回戦

6月12日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 東急 11勝19敗1分 0.367 白木義一郎 
0 0 0 1 0 0 0 2 X 3 金星 14勝20敗 0.412 江田孝

勝利投手 江田孝         5勝8敗 
敗戦投手 白木義一郎 4勝7敗

二塁打 (金)清原
本塁打 (金)大友一明 3号

勝利打点(金)大友一明 3


大友一明、又もや決勝本塁打

 第9節初日、後楽園の第1試合は白木義一郎と江田孝の先発で午後1時14分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 東急は3回表、一死後鈴木清一が右前打、清水喜一郎が左前打を放って下位打線で一二塁のチャンスを作るが、後続なく無得点。

 金星は4回裏、二死後大友一明がレフトスタンドに第3号を叩き込んで1点を先制する。

 金星は8回裏、先頭の坪内道則監督の当りは三ゴロ、これをサード横沢七郎がエラー、一死後清原初男がレフト線に二塁打を放って二三塁、飯島滋弥が中前に2点タイムリーを放ち貴重な追加点、3-0とする。

 江田孝は5回まで3安打を許したが、後半は9回の1安打のみに抑え、4安打1四球3三振で今季3度目の完封、5勝目をマークする。

 江田はプロ入り通算21勝目であるが完封勝利は9度目となる。切れ味鋭いピッチングで、いい時は打てない。

 大友一明が第3号ホームランを放った。この3本全てが決勝本塁打である。

 大友は昭和11年のプロ野球初年度から参加したプロ最古参選手の一人である。兵役を挟んで昨年昭和21年まで1,285打席1,072打数で本塁打は3本であったが、今季は132打席120打数で3本塁打を放っている。それも、6月に入って27打数8安打3本塁打と爆発している。戦場から生きて還ってきた喜びを噛み締めているのではないか。

2025年4月9日水曜日

22年 第8節 週間MVP

週間MVP 
投手部門 
 中日 服部受弘 1 2勝0敗1完封。

打撃部門
 中日 小鶴誠  1 21打数8安打4得点4打点、V打3個 。

殊勲賞
 阪急 青田昇  2 7日の巨人戦でサヨナラ満塁本塁打。
 東急 一言多十 1 7日の南海戦で満塁本塁打。
 大阪 富樫淳  1 6日、7日連続V打。
 金星 大友一明 2 8日の太陽戦で決勝ツーラン。
 巨人 川崎徳次 1 8日の南海戦で戦地から帰還後5年ぶり戦後初完封。

 敢闘賞
 巨人 呉新亨  1 21打数9安打3得点。
 大阪 土井垣武 1 20打数8安打3得点3打点。 
 中日 古川清蔵 2 17打数6安打6得点3打点。6日の大阪戦で2本塁打。
 巨人 千葉茂  1 14打数7安打4得点4打点。
 太陽 佐竹一雄 2 18打数8安打1得点。

技能賞
 阪急 上田藤夫  1 7日の巨人戦で「1-4-2」の併殺。
 東急 白木義一郎 1 8日の阪急戦で2度の「1-2-3」。

2025年4月8日火曜日

22年 中日vs太陽 6回戦

6月9日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 2 2 0 2 6 中日 23勝8敗   0.742 清水秀雄 
0 0 1 0 0 0 0 1 0 2 太陽 12勝20敗 0.375 スタルヒン

勝利投手 清水秀雄     4勝3敗 
敗戦投手 スタルヒン 4勝6敗

二塁打 (中)小鶴、加藤 (太)辻井、藤井、伊勢川

勝利打点(中)大沢清 1


代打大沢清が決勝打

 甲子園の第2試合は清水秀雄とスタルヒンの先発で午後3時丁度、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 太陽は3回裏、先頭の蔵本光夫が左前打で出塁、スタルヒンが送って一死二塁、二死後辻井弘がレフト線にタイムリー二塁打を放ち1点を先制する。

 スタルヒンは5回まで強竜打線を無得点に抑えてきたが、後半になってスタミナが切れてきた。

 中日は6回表、一死後加藤正二が左越えに二塁打、三村勲に代わる代打藤本英雄が三塁線にヒット、清水が右前にタイムリーを放ち1-1の同点、一死一三塁から上林繁次郎に代わる代打大沢清が中前にタイムリーを放ち2-1と逆転に成功する。

 中日は7回表、先頭の古川清蔵が左前にヒット、小鶴誠が左中間にタイムリー二塁打を放ち3-1、杉浦清監督は四球、加藤の一ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、藤原鉄之助の右犠飛で4-1とする。

 太陽は8回裏、先頭の辻井弘が中前打で出塁、中谷順次の左前打で無死一二塁、藤井勇の一ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、佐竹一雄の三ゴロが野選となって一死満塁、森下重好の左前タイムリーで2-4と追い上げる。

 中日は9回表、一死後杉浦が四球から二盗に成功、加藤の三ゴロをサード中谷がエラーして一死一三塁、藤原の左前タイムリーで5-2、二死後大沢も二遊間にタイムリーを放ち6-2として勝負を決める。

 清水秀雄は10安打を許したが3四球5三振の力投で完投、4勝目をマークする。

 スタルヒンは戦後になって進駐軍の仕事をしている時は羽振りが良く肥満体となってスタミナが持たない。本格的に復活するのは来年以降のことになる。

2025年4月6日日曜日

22年 東急vs巨人 6回戦

6月9日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11  計
5 0 0 0 2 0 0 0 0  2   0   9  東急 11勝18敗1分 0.379 北川桂太郎 黒尾重明 
0 1 6 0 0 0 0 0 0  2  1X 10 巨人 13勝20敗 0.394 中尾輝三 多田文久三

勝利投手 多田文久三 1勝2敗 
敗戦投手 黒尾重明     2勝5敗

二塁打 (東)黒尾 (巨)田中、小松原、古家
三塁打 (巨)山川
本塁打 (巨)平山菊二 1号

勝利打点(巨)山川喜作 1


両軍合わせて24安打20四球の乱戦

 後楽園の第2試合は北川桂太郎と中尾輝三の先発で午後2時55分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 中尾は前回登板で東急を1点に抑える完投勝利、北川は前回登板で南海を1点に抑える完投勝利と、好調投手同士の対決で投手戦が予想されたのだが・・・。

 東急は初回、先頭の一言多十が中前打で出塁、横沢七郎の右前打で無死一二塁、飯島滋弥の三遊間へのゴロをショート田中資昭は三塁に送球するが悪送球となる間に二走一言が生還して1点を先制、無死二三塁から大下弘は二飛に倒れて一死二三塁、長持栄吉がライナーで中前打を放ち2-0、二走飯島は捕られると見てスタートを切らず一死一二塁、ライナーバックは基本であり無理をする場面ではないのでこの判断は妥当、熊耳武彦の中前タイムリーで二走飯島が還って3点目、北川は四球を選んで一死満塁、鈴木清一は5球ファウルで粘って押出し四球を選び4点目、苅田久徳監督は浅い中飛に倒れて二死満塁、トップに返り一言が4球ファウルで粘って押出し四球を選び5点目、中尾は1回持たずにKO、二番手として多田文久三がマウンドに上がり、横沢は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 東急打線は粘りに粘って中尾に47球を投げさせた。

 巨人は2回裏、一死後平山菊二がレフトスタンドにホームランを叩き込んで1点を返す。

 巨人は3回裏、先頭の多田がツーストライクナッシングと追い込まれてから四球を選んで出塁、トップに返り呉新亨の中前打で無死一三塁、山川喜作はストレートの四球で無死満塁、東急ベンチはここで先発の北川から黒尾重明にスイッチ、千葉茂が押出し四球を選んで2-5、川上哲治が中前に2点タイムリーを放ち4-5、一死後平山の左前タイムリーで5-5と同点に追い付き、内堀保が四球を選んで一死満塁、東急ベンチはここでキャッチャーも熊耳から鈴木圭一郎に交代、田中が右中間に2点タイムリー二塁打を放ち7-5と大逆転。

 東急は5回表、一死後大下がライト線にヒット、長持は四球を選び、二死後黒尾が左中間に同点の2点タイムリー二塁打を放ち7-7と追い付く。

 東急は10回表、先頭の鈴木圭一郎が三塁線にヒット、黒尾が四球を選んで無死一二塁、鈴木清一の一塁線送りバントをファースト川上が三塁に送球するがセーフ、犠打と野選が記録されて無死満塁、苅田の遊ゴロでショート古家武夫がバックホームするがセーフ、連続野選が記録されて8-7と1点勝ち越し、トップに返り一言の打席でワイルドピッチ、三走黒尾が還って9-7、一言は四球を選んで再度無死満塁、横沢の中飛で三走鈴木清一がタッチアップからホームを突くがセンター呉新亨からの好返球にタッチアウト、二走苅田もタッチアップから三塁を狙うが二三塁間に挟まれて「2-4-5」でタッチアウト、トリプルプレーが記録された。

 巨人は10回裏、一死後山川がストレートの四球で出塁、二死後川上もストレートの四球、小松原博喜が右中間に同点の二点タイムリー二塁打を放ち9-9と追い付く。

 巨人は11回裏、先頭の古家が右中間に二塁打、一死後トップに返り呉新亨が左前打を放って一死一三塁、山川の中犠飛で10-9としてサヨナラ勝ち。

 東急は10安打10四球、巨人は14安打10四球の大乱戦。試合時間は2時間43分で通常の約2倍であった。

2025年4月4日金曜日

22年 金星vs大阪 5回戦

6月9日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 2 0 0 0 0 0 3 金星 13勝20敗 0.394 三富恒雄 重松通雄 
2 3 0 1 0 0 0 0 X 6 大阪 24勝8敗 0.750 渡辺誠太郎 武智修

勝利投手 武智修     1勝0敗 
敗戦投手 三富恒雄 1勝5敗

二塁打 (金)西沢 (大)玉置、呉昌征
三塁打 (大)土井垣、金田、塚本

勝利打点(大)土井垣武 4


武智の好リリーフで首位キープ

 甲子園の第1試合は三富恒雄と渡辺誠太郎の先発で午後1時3分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 金星は初回、先頭の坪内道則監督が四球を選んで出塁、一死後坪内は二盗に成功、キャッチャー土井垣武の悪送球も重なり坪内は三塁に進み、清原初男の右犠飛で1点を先制する。

 大阪は1回裏、先頭の呉昌征が中前打で出塁、金田正泰はストレートの四球で無死一二塁、富樫淳の一ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、二死後初回の送球ミスで失点につなげた土井垣が中越えに逆転の2点タイムリー三塁打を放ち2-1とする。

 大阪は2回裏、先頭の玉置玉一がレフト線に二塁打、長谷川善三は四球で無死一二塁、渡辺の遊ゴロで長谷川が二封されて一死一三塁、トップに返り呉がライト線にタイムリー二塁打を放ち3-1、金星ベンチはここで先発の三富から重松通雄にスイッチ、金田の中前タイムリーで4-1、富樫の一ゴロの間に三走呉が還って5-1とする。

 金星は4回表、先頭の清原が左前打で出塁、西沢道夫のレフト線二塁打で無死二三塁、小前博文の右犠飛で2-5、二死後重松の右前タイムリーで3-5と2点差、辻勇夫も右前打、門馬祐に代わる代打中村信一は四球を選んで二死満塁、大阪ベンチはここで先発の渡辺から武智修にスイッチ、坪内は三邪飛に倒れて追加点はならず。

 大阪は4回裏、一死後金田が中越えに三塁打、3回の守備から富樫に代わってライトに入っている塚本博睦も右中間にタイムリー三塁打を放ち6-3と突き放す。

 4回のピンチでリリーフ登板した武智修は5回3分の1を3安打1四球無三振無失点の好投で今季初勝利をあげる。

2025年4月3日木曜日

22年 阪急vs南海 7回戦

6月9日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 2 0 1 0 3 阪急 13勝19敗1分 0.406 野口二郎 
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 南海 18勝14敗 0.563 丸山二三男

勝利投手 野口二郎     5勝5敗 
敗戦投手 丸山二三雄 5勝3敗

三塁打 (南)飯田
本塁打 (急)上田藤夫 1号、野口明 1号(南)丸山二三男 1号

勝利打点(急)野口明 4


ホームランの打ち合い

 第8節最終日、後楽園の第1試合は野口二郎と丸山二三男の先発で午後1時丁度、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 南海は3回裏、一死後丸山がライトスタンドにホームランを叩き込んで1点を先制する。
 阪急は6回表、先頭の上田藤夫がレフトスタンドに同点ホームラン、一死後野口明がレフトスタンドに勝越しホームランを叩き込んで2-1と逆転する。

 阪急は8回表、先頭の青田昇が四球を選んで出塁、野口明の中前打で無死一三塁、野口二郎の左前タイムリーで3-1と突き放す。

 南海は最終回、二死後飯田徳治が中越えに三塁打を放つが、堀井数男に代わる代打別所昭は左邪飛に倒れてゲームセット。

 野口二郎は5安打無四球2三振の完投で5勝目をマークする。

 阪急はホームランの打ち合いを制して混戦の首位争いから一歩抜け出した。

2025年4月2日水曜日

22年 南海vs巨人 6回戦

6月8日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 18勝13敗 0.581 中谷信夫 
0 0 2 0 1 0 0 0 X 3 巨人 12勝20敗 0.375 川崎徳次

勝利投手 川崎徳次 4勝5敗 
敗戦投手 中谷信夫 3勝4敗

二塁打 (巨)川崎、呉新亨、平山

勝利打点(巨)平山菊二 4 

猛打賞 (南)堀井数男 2


川崎徳次、兵役ブランクから5年ぶりの完封勝利

 後楽園の第2試合は中谷信夫と川崎徳次の先発で午後3時17分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は3回裏、先頭の川崎がレフト線に二塁打、トップに返り呉新亨が右中間に連続二塁打を放ち1点を先制、平山菊二の右飛で二走呉がタッチアップから三進、1試合だけの欠場で復帰した千葉茂が中前にタイムリーを放ち2-0とする。

 巨人は5回表、一死後呉新亨が中前打で出塁するが二盗に失敗、平山の三塁線へのボテボテの当りが内野安打、ピッチャー中谷からの一塁送球が悪送球となる間に打者走者の平山は三塁に進んで二死三塁、ここで千葉が三塁線にタイムリーセーフティバントを決めて3-0と突き放す。

 川崎徳次は8安打1四球4三振で戦後初完封、4勝目をマークする。川崎の完封勝利は南海在籍時の昭和17年10月1日、名古屋相手に延長11回を完封して以来、兵役でブランクがあって5年ぶりとなる。

 この試合の結果、5位金星から最下位巨人まで、1ゲーム差に5チームがひしめき合う日本プロ野球史上空前の混戦となった。戦前は弱小球団はかなりの戦力格差があったが、戦後のプロ野球の隆盛に伴い戦力格差が小さくなってきたことが要因である。

2025年4月1日火曜日

22年 中日vs大阪 5回戦

6月8日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 1 0 0 2 0 1 2 8 中日 22勝8敗 0.733 藤本英雄 
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 大阪 23勝8敗 0.742 若林忠志

勝利投手 藤本英雄 10勝4敗 
敗戦投手 若林忠志 7勝4敗

二塁打 (大)本堂
三塁打 (中)杉浦、藤原、岩本

勝利打点(中)小鶴誠 5

猛打賞 (中)杉浦清 3、藤原鉄之助 1 (大)藤村富美男 4


藤本英雄、雪辱のハーラートップ

 甲子園の第2試合は藤本英雄と若林忠志の先発で午後3時丁度、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 6日の首位攻防戦も藤本と若林の先発で大阪が勝って差を1.5ゲームに広げた。藤本とすれば雪辱なるかが見どころのゲームとなった。

 中日は初回、一死後笠石徳五郎が四球を選んで出塁、古川清蔵の三ゴロの間に笠石は二進、小鶴誠が5球ファウルで粘って中前にタイムリーを放ち1点を先制、杉浦清監督も中越えにタイムリー三塁打を放ち2-0とする。

 中日は3回表、先頭の笠石の当りは二ゴロ、これをセカンド本堂保次がエラー、古川は四球で無死一二塁、小鶴も四球を選んで無死満塁、杉浦は二飛に倒れて一死満塁、加藤正二の投ゴロを若林はホームに送球して三走笠石は本封、キャッチャー土井垣武は併殺を狙って一塁に送球するが悪送球となって二走古川が還って3-0、一走小鶴も三塁ベースを蹴ってホームを狙うが、バックアップしたライト富樫淳からの返球を中継したセカンド本堂の本塁送球にタッチアウト。

 中日は6回表、先頭の杉浦が中前打で出塁、加藤の右前打で無死一二塁、藤本の投ゴロを若林は三塁に送球して二走杉浦は三封、一死一二塁から藤原が中前にタイムリーを放ち4-0、三村勲の右飛で二走藤本はタッチアップから三進、トップに返り金山次郎の三遊間タイムリーで5-0と突き放す。

 大阪は6回裏、先頭の藤村富美男が中前打で出塁、一死後本堂のレフト線タイムリー二塁打で1点返して1-5とする。

 中日は8回表、先頭の藤本が三塁戦にヒット、藤原が中越えにタイムリー三塁打を放ち6-1とする。

 中日は9回表、一死後古川が三塁に内野安打、小鶴の二遊間ヒットで一二塁、二死後7回から守備に入っていた岩本章が左中間に2点タイムリー三塁打を放ち8-1として試合を決める。

 藤本英雄は11安打を許したが1四球3三振の完投で10勝目をマーク、ハーラー単独トップに立つと共に一昨日の雪辱を果たした。

 小鶴誠は今節3個目の勝利打点を記録、5月まで不振を極めていたが完全復活である。

 中日の2回表の攻撃、先頭の藤本が中前打、藤原の右前打で無死一三塁、一死後金山がスクイズを試みるが外されて三走藤本は三本間に挟まれ、その間に一走藤原が三塁に達し、藤本も三塁に追い込まれて三塁ベース上に二人となった。キャッチャー土井垣からの送球を受けたサード藤村は藤本、藤原の順ににタッチ、しかし前の走者である藤本に占有権があるため藤本はセーフで藤原がアウトになる。記録は「2-5-5」で藤村には補殺と刺殺が記録された。

 2010年4月10日の巨人vs阪神戦、巨人は三塁に坂本、二塁に脇谷の一死二三塁の場面で小笠原のゴロで三走坂本が三本間に挟まれ、三塁ベース上に脇谷と坂本という状況になった。キャッチャー城島は坂本、脇谷の順でタッチ、坂本は自分に占有権があることを知らずに先にタッチされてアウトになったと思い込み、ベースを離れたところに城島が再度タッチ、脇谷は先にアウトになっているのでダブルプレーとなった。

 この場合、キャッチャーは占有権のある走者から順にタッチするのがセオリーで、坂本のように自分に占有権があることに気付かず塁を離れることがあるのでダブルプレーを取ることもできる。

 昭和22年6月8日のケースではキャッチャー土井垣からの送球を受けたサード藤村が藤本と藤原にタッチしたが、藤本は自分に占有権があるルールを知っていたためベースを離れず藤原がアウトになったため、土井垣と藤村による挟殺プレーの後に藤村が藤原にタッチしたことになるので、土井垣と藤村に補殺が記録された上に藤村に刺殺が記録されるため、記録上は「2-5-5」となった。スコアの表記だけを見ると藤村から藤村に送球された形になるが、実際は実況中継のとおりである。

*2回表中日の攻撃「2-5-5」の場面。