2020年3月29日日曜日

21年 セネタースvsパシフィック 7回戦


6月29日 (土) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 1 0 0 0 1 1 0 3 セ軍 15勝22敗 0.405 一言多十 
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 パ軍 15勝19敗2分 0.441 藤村隆男 湯浅芳彰 真田重蔵 

勝利投手 一言多十 3勝5敗
敗戦投手 湯浅芳彰 2勝5敗 

二塁打 (パ)木暮、森下、伊勢川
三塁打 (セ)熊耳 (パ)辻井

勝利打点 (セ)飯島滋弥 6


トリプルスチール

 後楽園の第2試合は午後3時37分、島球審の右手が上がりプレイボール。池田豊が塁審として6月24日以来の出場、東日本の審判団は国友と桝に経験を積ませて育てる方針のようだ。

 パ軍の先発は5月20日以来の登板となる藤村隆男。藤村が初回に2個の四球を出すと、藤本定義監督は2回から湯浅芳彰をマウンドに送る。


 セ軍は3回表、この日二番レフトに起用された白木が右前打で出塁、飯島は三振に倒れるが、大下が右前打を放って一死一二塁、長持の右飛で二走白木はタッチアップから三進、大下が二盗を決めて二死二三塁、鈴木清一の左前タイムリーで1点を先制、二走大下も三塁ベースを蹴ってホームを狙うがレフト木暮からのバックホームにタッチアウト。


 パ軍は4回裏、一死後藤井がストレートの四球で出塁、森下は中前打、辻井は遊飛に倒れて二死一二塁、伊勢川の右翼線二塁打で1-1の同点に追い付く。


 セ軍は7回表、先頭の一言多十が四球を選んで出塁、トップに返り横沢の三塁線内野安打で無死一二塁、白木が三塁手に捕らせる送りバントを決めて一死二三塁、パ軍ベンチはここで三番手の真田をマウンドに上げるが、飯島のセンターフライで三走一言がタッチアップからホームイン、二走横沢もタッチアップから三塁に向かい、センター森下はサードに送球して横沢はタッチアウト、しかし一言のホームインの方が早かったと判定されて2-1と勝ち越す。飯島のセンターフライは当ブログルールにより「中犠飛」となる。


 セ軍は8回表、先頭の大下が中前打で出塁、長持の投前バントを真田が二塁に送球して大下は二封、鈴木清一は右前打、熊耳は三振に倒れるが、石原光男が四球を選んで二死満塁、続く一言のカウントツーボールツーストライクからの5球目、三走長持、二走鈴木、一走石原が一斉にスタート、トリプルスチールが決まって3-1とする。


 一言多十は7安打3四球1死球3三振の完投で3勝目をあげる。打撃では4打席連続四球を記録した。


 セ軍は6月23日の中部戦から5連勝、ゴ軍を抜いて6位に浮上した。この間大下が19打数7安打6打点の活躍でチームを引っ張っている。勢いに乗ってこの日は「三重盗」まで決めた。


*昭和26年広島時代の選手名鑑に残された長持栄吉の直筆サイン。この試合でトリプルスチールによる「本盗」を決めた。「Wikipedia」によると豪快な人物だったようだ。一言多十と、三重盗の時の二走鈴木清一は島田商業の後輩とされているが事実とは異なるようです。詳しくはコメント欄を参照してください(2020年4月1日訂正)。



2020年3月28日土曜日

21年 巨人vsグレートリング 6回戦


6月29日 (土) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 0 1 0 5 0 6 巨人 24勝11敗1分 0.686 宮下信明 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 グ軍 16勝16敗 0.500 別所昭 

勝利投手 宮下信明 2勝0敗
敗戦投手 別所昭     3勝3敗 

二塁打 (巨)三好2、千葉 (グ)岡村、田川
三塁打 (巨)多田、呉新亨

勝利打点 なし

猛打賞 (巨)呉新亨 4、多田文久三 1


宮下信明、グ軍の拙走に助けられ初完封

 後楽園の第1試合は宮下信明と別所昭の先発で午後1時3分、桝主審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は5回まで毎回走者を出すが、2度の併殺などでチャンスを潰す。


 巨人は6回表、先頭の千葉が左中間に二塁打、黒沢がセオリーどおりサードに捕らせる送りバントを決めて一死三塁、川上はストレートの四球で一死一三塁、ここで別所の一塁牽制が悪送球となる間に三走千葉が還って1点を先制する。


 巨人は8回表、先頭の千葉がストレートの四球で出塁、黒沢の右前打で無死一二塁、川上は三振に倒れるが、多田が左中間に三塁打を放ち3-0、昨日から野手として出場している藤本英雄が三塁線に内野安打、三走多田は動けず一三塁、藤本が二盗を決めて一死二三塁、宮下は浅い右飛に倒れるが、三好主がレフト線に二塁打を放ち5-0、トップに返り呉新亨が右中間に三塁打を放ち6-0と大きくリードする。


 グ軍は2回裏、先頭の岡村が四球で出塁、一死後筒井が死球を受けて一二塁、宮崎の三遊間へのゴロが二走岡村に当たってしまいインターフェア、トップに返り安井は三飛に倒れて無得点。


 グ軍は4回裏、先頭の岡村が左中間に二塁打、田川が中前打で続くが、田川は二塁を狙って「8-6」の送球にタッチアウト、岡村は三塁ストップで一死三塁、筒井の中飛は浅い当りで岡村は還れず、宮崎は三振に倒れて無得点。


 グ軍は7回裏、先頭の田川が四球を選んで出塁、筒井の初球に田川がスタート、この時筒井が打席から出てキャッチャー多田の二塁送球を妨害、山本監督の抗議で5分間揉めたがイリーガルプレーが宣告されて田川は一塁に戻され、後続も凡退して無得点。


 この日のグ軍は得意の機動力を発揮できなかった。


 宮下信明はグ軍の拙走にも助けられて6安打3四球1死球2三振でプロ入り初完封、2勝目をあげる。宮下は中日移籍後に投手として開花し、昭和25年には14勝をあげる成長を遂げることとなるが、巨人在籍時の完封勝利はこの試合だけ、巨人時代の勝利もこの2勝だけである。


 この試合で「勝利打点」は記録されないが、「真の殊勲打」を放ったのは多田文久三であった。多田はここまで「勝利打点」を9個記録しており、「真の殊勲打」は2個、「並列の殊勲打」も2個と、巨人の24勝のうち13勝に直接的に貢献している。本日は「猛打賞」も記録したが今季初めてであり、139打数32安打で打率は2割3分と低いが27打点を記録していて、効率よく効果的な一打を放っている事実を物語っている。三番の千葉は14打点、四番の黒沢は15打点であり、川上が復帰するまで五番を打ってきた多田が現在首位の巨人におけるMVPであるという評価に異論を挟む者はいない。「勝利打点」を嫌っている諸兄は、この事実を見ても「勝利打点」など勝負強さの指標にはならないなどと主張し続けるのでしょうか?



*グ軍拙走の場面。2回は岡村がインターフェア「×6」、4回は田川が暴走「8-6」、7回は筒井の守備妨害でイリーガルプレー「I.P.」が宣告された。

訂正のお知らせ


 6月27日の曜日を「火曜」、28日を「水曜」と誤ってお伝えしたいましたが、正しくは27日は「木曜」、28日は「金曜」でしたので訂正させていただきます。

 なお、第10節は変則開催となっていますが、気象庁ホームページによると昭和21年6月28日の神戸市の降雨量(西宮のデータは残っていません)が22.6mmとなっているので、28日に予定されていた西宮の試合は降雨中止となり、7月1日(月曜日)に順延された模様です。



2020年3月27日金曜日

21年 グレートリングvsパシフィック 7回戦


6月28日 (金) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
3 0 0 2 0 1 0 3 2 11 グ軍 16勝15敗 0.516 丸山二三雄 
1 0 0 0 0 0 0 0 0  1  パ軍 15勝18敗2分 0.455 真田重蔵 

勝利投手 丸山二三雄 6勝6敗
敗戦投手 真田重蔵     9勝6敗 

二塁打 (グ)清水、筒井2、田川 (パ)藤井
三塁打 (グ)別所

勝利打点 (グ)清水秀雄 1

猛打賞 (グ)河西俊雄 3、山本一人 5


グ軍、真田を滅多打ち

 第2試合は丸山二三雄と真田重蔵の先発で午後3時7分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 グ軍は初回、先頭の安井が四球で歩くと二盗に成功、河西も四球を選んで無死一二塁、清水がレフト線にタイムリー二塁打を放ち1点を先制、山本一人監督の左犠飛で2-0、別所が中前にタイムリーを放ちこの回3点を先制する。


 パ軍は1回裏、一死後辻井が右前打で出塁、藤井の右越え二塁打で一死二三塁、二走藤井はキャッチャー筒井からの牽制に刺されて二死三塁、森下が四球を選んで二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて1-3とする。


 「曲者」辻井はこれが今季3個目のホームスチール。辻井-森下のコンビでの重盗は2回目となる。


 グ軍は4回表、先頭の筒井がレフト線に二塁打、宮崎の三前バントは当りが強過ぎて単なる三ゴロとなり筒井は二塁にストップ、トップに返り安井が四球を選び、河西が三遊間を破って一死満塁、清水は三振に倒れるが、山本が左前に2点タイムリーを放ち5-1と突き放す。


 グ軍は6回表、一死後河西が左翼線にヒット、これをレフト木暮がエラーして河西は二塁に進み、清水の右邪飛で河西はタッチアップから三進、山本が四球を選んで二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて6-1とする。


 グ軍は8回表、二死後河西が中前打で出塁、清水のニゴロをセカンド小島がエラーして二死一三塁、山本の左前タイムリーで7-1、別所が左中間に三塁打を放ち二者還って9-1とする。


 グ軍は9回も攻撃の手を緩めず、先頭の丸山が中前打、筒井の左中間二塁打で無死二三塁、桶川は三ゴロに倒れるが、トップに返り安井の右前タイムリーで10-1、一死一三塁から河西の左犠飛で11-1とする。


 丸山二三雄は変化球が冴えて6安打7四球3三振で完投、6勝目をマークする。


 真田重蔵は14安打7四球11失点の完投であった。



2020年3月26日木曜日

21年 セネタースvs巨人 6回戦


6月28日 (金) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 1 3 0 0 0 0 0 6 セ軍 14勝22敗 0.389 白木義一郎 
1 0 0 0 3 0 0 0 0 4 巨人 23勝11敗1分 0.676 中尾輝三 
 
勝利投手 白木義一郎 7勝7敗 
敗戦投手 中尾輝三    3勝3敗 

二塁打 (セ)飯島2 (巨)呉新亨、黒沢

勝利打点 (セ)飯島滋弥 5


「大下・川上時代」の始まり

 本日は後楽園で2試合のみ。第1試合は白木義一郎と中尾輝三の先発で午後1時丁度、桝主審の右手が上がりプレイボール。

 セ軍は初回、先頭の一言多十が四球を選んで出塁、横沢七郎の右前打で無死一二塁、飯島がライト線に二塁打を放ち1点を先制、大下は四球で無死満塁、白木の右犠飛で幸先よく2点を先制する。この後は長持と熊耳が連続三振。


 巨人は1回裏、先頭の呉新亨がライト線に二塁打、山川のニゴロが進塁打となって一死三塁、千葉の中犠飛で1-2とする。


 セ軍は3回表、先頭の大下が四球を選んで出塁、一死後長持も3球ファウルで粘って四球、熊耳も四球で一死満塁、石原光男の三ゴロの間に三走大下が還って3-1とする。


 セ軍は4回表、先頭の一言が一塁線にヒット、横沢は捕邪飛に倒れるが、飯島がレフト線に二塁打を放って一死二三塁、このチャンスに大下が左前に2点タイムリーを放ち5-1、二死後大下が二盗を決め、長持が中前にタイムリーを放ち6-1とリードを広げる。


 巨人は5回裏、一死後呉新亨、山川、千葉の3連続右前打で満塁として、黒沢が左中間に走者一掃の二塁打を放ち4-6と追い上げる。


 白木義一郎は6回以降巨人打線をパーフェクトに抑え込み、7安打2四球1三振の完投で7勝目をマークする。


 中尾輝三も完投したが7四球と、戦後になっても荒れ球は健在。


 飯島が2本の2塁打で勝利打点をあげ、大下が2安打2打点、白木が完投勝利と、役者が揃ってセ軍は4連勝。昨日、勝率で中部を1厘上回って最下位を脱出したが、勢いが付いてきた。特に大下に当りが出てきたのが大きい。


 戦後初出場の五番ファースト川上は、左飛、二飛、捕邪飛、右飛で4打数ノーヒット。


 戦前の「巨人一強時代」から、戦後の「大下・川上時代」への移行を印象付ける試合となった。「歴史の転換点」というのは、こういうものですね。



野球週報2020 その12


3月18日(水) 品川区区民公園のグラウンドで品川ベースボールクラブの練習。守備練習ではバックハンドのジャンピングキャッチを決めました。試合形式のシートバッティングでは右中間にランニングホームラン、前の打者の四番もレフトオーバーのホームランで、二者連続「back to back」でした!

3月19日(木) 休養日ですが、前日にアマゾンで注文した「アンクルウェイト」が届いたので、両足首に装着して2㎞ほど歩いてみました。「2㎏×2」を購入しましたが、初めてなので800g分の重りをはずして「1.2㎏×2」で歩きました。まぁ、鉄下駄みたいなもんですね(笑)。


3月20日(金) 諸般の事情により休養日ですが鉄下駄で2㌔ほど歩きました。


3月21日(土) ジムで体幹、筋トレ。足上げ腹筋はアンクルウェイト2㎏×2を装着してやりました。


3月22日(日) 大井海浜公園のグラウンドで品川ベースボールクラブと全世田谷の有志による合同練習の予定でしたが、同じグラウンドに来ていた若者のチームと急遽練習試合。七番キャッチャーで出場して第1打席は三失から二盗に成功。第2打席は会心の当りでレフトの頭をライナーで超える二塁打、打った瞬間右脇が締まっているのを感じる完璧な当りでした。


3月23日(月) 休養日


3月24日(火) 秋葉原のバッティングセンターで110キロのストレートを3セット、カーブを1セット。低めのストレートを過去最高の当りで左中間からセンターに痛烈なライナーで弾き返しました。肩の力を抜いて頭を残す、具体的には打球を目で追わないこと。このフォームを固めるには下半身の強化と体幹トレーニングが重要です。



2020年3月24日火曜日

21年 パシフィックvs巨人 4回戦


6月27日 (木) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 パ軍 15勝17敗2分 0.469 井筒研一 
0 0 2 0 0 0 0 0 X 2 巨人 23勝10敗1分 0.697 近藤貞雄 

勝利投手 近藤貞雄 10勝2敗
敗戦投手 井筒研一   4勝8敗  

二塁打 (パ)藤井

勝利打点 (巨)多田文久三 8


近藤貞雄、10勝一番乗り

 後楽園の第2試合は井筒研一と近藤貞雄の先発で午後3時丁度、桝嘉一球審の右手が上がりプレイボール。桝はこの試合が初の球審となる。

 パ軍は3回表、先頭の平野徳松が中前打で出塁、井筒が送って一死二塁、二死後木暮力三は四球、小島利男も四球を選んで二死満塁、しかし藤井勇は右飛に倒れて無得点。


 巨人は3回裏、一死後呉新亨が左前打で出塁、山川喜作の右前打で一死一三塁、千葉はストレートの四球で一死満塁、黒沢は投前にスクイズバント、これを井筒がホームに送球して三走呉は本封、二死満塁から多田文久三が三塁線にタイムリーを放ち1点を先制、林清一も左前にタイムリーを放ち2-0とする。


 近藤は四球が多くランナーを出しながらのピッチングであったがパ軍に得点を許さず、2安打7四球5三振で今季3度目の完封、ハーラー単独トップとなる10勝目をマークする。


 近藤はここまで防御率0.96と安定した投球を続けているが、WHIPは1.07、奪三振率は2.32と決して圧倒的なピッチングという訳ではない。例えば、戦前を代表する沢村、スタルヒン、野口二郎の全盛期ではWHIPは0.8台、奪三振率は5~8程度であった。近藤が技巧派に転向するのはこの年のオフに進駐軍のジープにはねられそうになった際に右手をガラスの破片で怪我して巨人をクビになり、中日に移籍してからとなるが、キャリアハイの成績をあげた昭和21年でも快速球で圧倒的なピッチングをしていたという訳ではなかったことをこの数字が物語っている。後に指導者となってから見せることとなる柔軟な発想が、現役時代のピッチングにも見て取れるのである。


 本日も決勝打を放った多田文久三は現在断トツの勝利打点王であるが、多田が打つ試合では不思議と林清一も殊勲打を放つ。多田が記録した8個の勝利打点の試合では、林が3回「並列の殊勲打」を記録しており、5月23日に多田が犠飛により勝利打点を記録した試合でも林が「真の殊勲打」を放っている。この「事実」から分かるように、昭和21年序盤戦に首位を走る巨人を引っ張っているのは主力打者ではなく、下位を打つ多田文久三と林清一である。



2020年3月21日土曜日

21年 タイガースvs阪急 6回戦


6月27日 (木) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
5 0 2 0 1 2 1 0 0  11 タ軍 19勝16敗 0.543 渡辺誠太郎 呉昌征 藤村冨美男 
0 1 0 0 2 1 6 0 0  10 阪急 22勝14敗 0.611 野口二郎 天保義夫 前川八郎 
 
勝利投手 藤村冨美男 5勝0敗
敗戦投手 野口二郎    7勝4敗 

二塁打 (タ)金田、乾、藤村 (急)下社、三木、上田、野口明
三塁打 (タ)富樫 (急)下社

勝利打点 (タ)本堂保次 4

猛打賞 (タ)金田正泰 5、藤村冨美男 5、本堂保次 2、土井垣武 4 (急)上田藤夫 5、下社邦男 1、尾西信一 1


引き締まった打撃戦

 西宮の第2試合は午後2時55分、杉村主審の右手が上がりプレイボール。審判は杉村、金政の二氏。第1試合は阪急球団職員の片岡が塁審を務めたがこの試合は外れる。

 タ軍は初回、先頭の金田が中前打で出塁、呉昌征が右前打、藤村がストレートの四球で無死満塁、本堂の中前タイムリーで1点を先制、土井垣が中前に2点タイムリーを放ち3-0、富樫もレフト線にタイムリーを放ち4-0、渡辺誠太郎は遊飛に倒れるが、高山泰夫が中前にタイムリーを放ち5-0、三塁に向かった一走富樫はセンター山田伝からの送球にタッチアウト、長谷川善三が右前打を放って二死一二塁、トップに返り金田は投ゴロに倒れ、打者10人、7安打で初回の攻撃を終える。


 阪急は2回裏、一死後下社が左中間に二塁打、二死後尾西信一の右前タイムリーで1点返して1-5、トップに返り上田の右前打で尾西が三塁に向かうが、ライト富樫からの好返球にタッチアウト。富樫はピッチャー出身だけに肩が強い。


 タ軍は3回表、先頭の土井垣の当りは遊ゴロ、これをショート尾西がエラー、富樫が中越えに三塁打を放ち6-1として先発の野口二郎をKO、渡辺が二番手の天保義夫から中前にタイムリーを放ち7-1と突き放す。


 阪急は4回裏、一死後坂田清春が中前打で出塁、尾西の中飛に坂田が飛び出しておりセンター呉からの返球でダブルプレー。


 タ軍は5回表、二死後長谷川が右前打で出塁するとパスボールで二進、金田が中前にタイムリーを放ち8-1とリードを広げる。


 阪急は5回裏、先頭の上田がレフト線に二塁打、山田の左前打で無死一三塁、山田が二盗を決め、青田の三ゴロをファースト高山が落球して無死満塁、野口明の右越え二塁打で2点を返して3-8、タ軍ベンチはここで先発の渡辺をファーストに回し、ファーストの高山に代えて乾国雄が入ってセカンド、セカンド本堂がサードに回り、サード藤村がセンターに回り、センター呉がリリーフのマウンドに上がる。無死二三塁から試合は再開、三木久一は三振、天保は一飛、下社は三振に倒れて追加点はならず。


 リリーフの呉が阪急に傾きかけた流れを引き戻した。


 タ軍は6回表、先頭の藤村が二遊間にヒット、本堂は二飛に倒れるが、土井垣のライト線ヒットで藤村は三塁に進み、ライト下社からの三塁送球が悪送球となる間に土井垣も二塁に進んで一死二三塁、富樫は投ゴロに倒れるが、渡辺がレフト線に2点タイムリーを放ち10-3と突き放す。


 阪急は6回裏、一死後尾西が四球で出塁、トップに返り上田の三ゴロでランナーが入れ替わり、山田が四球を選んで二死一二塁、青田の中前タイムリーで4-10、一走呉は三塁に進み、野口明の初球に青田が二盗を決めて二死二三塁、青田がリードを大きくとっており、野口明の3球目にキャッチャー土井垣が二塁に牽制、この時三走山田がホームに向かうが、土井垣からの送球を捕球したショート長谷川が本塁に送球してタッチアウト。


 タ軍は7回表、一死後金田が右中間に二塁打、二死後藤村が中前にタイムリーを放ち11-4と突き放す。


 阪急は7回裏、仕切り直しとなった先頭の野口明が四球を選んで出塁、三木に代わる代打坂井豊司の右前打で無死一二塁、天保に代わる代打前川八郎は右飛に倒れるが、下社の中前打で一死満塁、坂田が押出し四球を選んで5-11、尾西がライト線に2点タイムリーを放ち7-11、トップに返り上田の左前タイムリーで二走坂田が還って8-11、山田の左前タイムリーで二走尾西が還って9-11、タ軍はここで呉をマウンドからセンターに戻してセンターの藤村監督がマウンドに上がり、青田の左前タイムリーで二走上田が還って10-11と1点差に迫るが、野口明は三振、坂井は右飛に倒れてこの回6点止まり。


 阪急は8回裏、一死後下社が右中間に三塁打を放ってチャンスメイク、坂田の遊ゴロで三走下社が同点のホームを狙うが、ショート長谷川からの送球に本塁寸前タッチアウト、尾西がライト線にヒットを放って二死一二塁と再度チャンスを作るが、トップに返り上田の三ゴロで尾西が二封されてスリーアウトチェンジ。


 タ軍は9回表、二死後藤村が中越えに二塁打を放つが、本堂は一ゴロに倒れて無得点。


 阪急は最終回、先頭の山田がストレートの四球で出塁、青田が初球に手を出して三ゴロ、山田が二封されて一死一塁、青田が二盗を決めて一死二塁、しかし野口明は三ゴロ、坂井は投ゴロに倒れてゲームセット。


 タ軍は21安打で阪急は18安打、両軍合計39安打を記録した。この記録は昭和15年4月6日の阪急vs南海戦、32対2で阪急が勝った試合で阪急が27安打、南海が10安打の合計37安打を更新する新記録となった。


 数字だけを見ると打撃戦であるが、守備に見どころ満載の好ゲームであった。タ軍ショート長谷川善三が本塁クロスプレーを2度刺した場面、リリーフ呉昌征が阪急に傾きかけた流れを断ち切った場面がこの試合のハイライトであった。呉昌征、富樫淳、山田伝の外野手が捕殺を記録、この3人はプロでも投手経験がある強肩の持主である。


 阪急は七番の下社邦男が二塁打1本、三塁打1本を含む3安打を記録したが打点は無し。この試合、タ軍は全員安打、阪急は六番のピッチャーのところだけが無安打であった。下社の2本の長打を生かせなかったことが阪急の敗因となった。特に8回裏の三塁打が得点に結びつかなかったことが痛かった。9回裏に先頭の山田が四球で出塁した場面で青田が初球に手を出したのも響いた。あそこは山田を走らせて勝負を賭ける手があったのではないか。



2020年3月20日金曜日

21年 ゴールドスターvs中部日本 5回戦


6月27日 (木) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 4 2 0 0 0 0 0 0 6 ゴ軍 12勝18敗1分 0.400 石田光彦 
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 中部 10勝17敗2分 0.370 森井茂 服部受弘 西沢道夫 

勝利投手 石田光彦 7勝8敗
敗戦投手 服部受弘 1勝2敗 

二塁打 (ゴ)末崎、中村 (中)三村

勝利打点 (ゴ)酒沢政夫 1 

猛打賞 (ゴ)中村信一 1、酒沢政夫 2


中村信一、ゴ軍を救う

 第10節初日、西宮の第1試合は石田光彦と森井茂の先発で午後1時4分、杉村主審の右手が上がりプレイボール。

 ゴ軍は一番に中村信一を起用した。6月1日に戦後初出場、23日のグ軍戦で戦後初ヒット、24日の巨人戦で戦後初スタメンで九番に起用され、この日は一番サードでの出場となった。


 ゴ軍は初回、先頭の中村信一が中前打で出塁、酒沢が右前打で続いて無死一二塁、しかし坪内と菊矢は連続左飛、石田が四球を選んで二死満塁とするが、大友は遊ゴロに倒れて無得点。


 中部ベンチは初回の森井のピッチングを見て不安を覚えたか、森井を1回で見限り2回から服部受弘をマウンドに送り込んだが、これが裏目に出た。


 ゴ軍は2回表、一死後辻功が左中間にヒット、当たっている坂本勲が中前打を放って無死一二塁、トップに返り中村も三遊間を破って無死満塁、酒沢が右前に先制の2点タイムリーを放ち2-0、坪内は二飛に倒れて二死一二塁、菊矢が中前にタイムリーを放ち3-0、一走酒沢は三塁に進んで二死一三塁、ここで菊矢がスタート、キャッチャー藤原鉄之助が二塁に送球すると菊矢は一塁に戻り一二塁間でランダンプレー、この間に三走酒沢がスタートを切り、菊矢はタッチアウトとなるが酒沢のホームインが早く4-0とする。酒沢には「本盗」は記録されておらず、挟殺プレーの間の進塁扱いとなる。菊矢が巧く時間を稼いだと言える。


 ゴ軍は3回表、先頭の石田が四球を選んで出塁、一死後末崎正隆の左中間二塁打で石田が一気にホームに還って5-0、二死後好調坂本が中前にタイムリーを放ち6-0と大きくリードする。


 中部ベンチは4回から三番手として西沢道夫がマウンドに上がる。西沢は9回まで投げて無失点。6安打を許したがいつものように四球を出さずに投げ切った。ようやく明るい兆しが見えたか。


 昭和11年のプロ野球初年度から何度も対戦してきた中村信一と今シーズン初めてチームメイトとなった石田光彦は、いつもの手抜き癖を見せずに気合の入ったピッチングで6回まで3安打無失点。


 中部は7回裏、先頭の小鶴が右前打で出塁、しかし続く木下政文のライトライナーに飛び出しており「9-3」と渡ってダブルプレー、笠石徳五郎も中飛に倒れて無得点。


 中部は8回裏、先頭の三村勲が右前打で出塁、一死後西沢が左前打を放ってチャンスを広げるが、トップに返り岩本は三ゴロ、鈴木秀雄は三振に倒れて無得点。


 中部は9回裏、先頭の加藤正二が左前打で出塁、小鶴のセカンドライナーに加藤が飛び出しておりセカンド大友が一塁に送球するが悪送球となって加藤は二進、木下の右前打で一死一三塁、二死後三村が中越えに二塁打を放ち1-6、藤原はストレートの四球で二死満塁、しかし西沢は中飛に倒れてゲームセット。


 後半はバテたが石田光彦は9安打2四球8三振の力投、自責点ゼロの完投で7勝目をあげる。


 中村信一は4打数3安打1得点、二塁打1本の活躍を見せた。ゴ軍はここまで6連敗の泥沼であったが、石田の走塁や力投に見られるように、「中村効果」で連敗を脱した。


 中村は昭和11年のセネタース時代(21年のセネタースとは別チーム)、セカンド苅田久徳、サード高橋輝夫と共に「百万ドル内野」を形成した時はショートであった。法政の名ショートとして鳴らした苅田は自伝に「奥行きの深さでは、二塁手にまさるものはない・・・学生時代や、巨人の第1回渡米など、海外遠征時に見た、とくに大リーガーの動きが、刺激になっていた。その人の名前は・・・フランキー・フリッシュという。」と書いているように、フランキー・フリッシュに触発されてプロではセカンドに転向する。その際、法政の後輩であった中村信一をショートとして徹底的に鍛え上げた。プロとしての基礎を苅田に叩き込まれた中村は、この試合で復活した。



2020年3月17日火曜日

野球週報2020 その11


3月11日(水) 品川区区民公園のグラウンドで品川ベースボールクラブの練習。シートバッティングでは久々に会心の当り。フリーバッティングからいい感じで振り切れていましたが、何か吹っ切れた感じですね。

3月12日(木) 休養日。


3月13日(金) 諸般の事情により休養日。


3月14日(土) 諸般の事情により休養日。


3月15日(日) 秋葉原のバッティングセンターで110キロのストレートを2セット、カーブを1セット。低めにセットしたカーブをいい感じで打てました。これは引き付けて頭が残っている証拠。


3月16日(月) ジムが再開したので体幹、筋トレ。2週間ぶりなので筋肉を呼び起こす程度。


3月17日(火) ジムでラン5キロとウォーク2キロの有酸素運動。



2020年3月15日日曜日

21年 セネタースvsグレートリング 4回戦


6月27日 (木) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
2 0 0 0 1 0 0 0 0 3 セ軍 13勝22敗 0.371 黒尾重明 
0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 グ軍 15勝15敗 0.500 別所昭 

勝利投手 黒尾重明 5勝7敗
敗戦投手 別所昭     3勝2敗 

勝利打点 (セ)大下弘 2

猛打賞 (グ)河西俊雄 2


大下が全打点

 第10節の初日、後楽園の第1試合は黒尾重明と別所昭の先発で午後1時丁度、島球審の右手が上がりプレイボール。

 グ軍は今季初めて三番に清水秀雄を起用、ファーストに入れる。


 セ軍は初回、先頭の一言多十が打ち上げた右飛をライト堀井が落球、横沢の遊ゴロもショート宮崎仁郎がエラー、飯島の左前打で無死満塁、このもらったチャンスに大下が中前に先制の2点タイムリー、2-0とリードする。


 セ軍は5回表、一死後横沢がノーボールツーストライクから粘って四球で出塁、飯島が左前打を放って一死一二塁、ここで大下が右前にタイムリーを放ち3-0とリードを広げる。


 グ軍は5回裏、一死後田川豊が四球を選んで出塁、宮崎の右前打で一死一二塁、筒井敬三のセーフティバントは投前に転がりピッチャー黒尾が三塁に送球して二走田川は三封、トップに返り安井の当りは黒尾を強襲するがセカンド横沢が巧みにバックアップして安井は一塁アウト。


 別所は6回以降、9回までセ軍打線を三者凡退に抑えて試合はグ軍最後の攻撃へ進む。


 グ軍は最終回、先頭の別所が左前打を放つと代走に長谷川治を起用、田川は右飛に倒れるが、宮崎が四球を選んで一死一二塁、筒井に代わる代打丸山二三雄の一塁内野安打で一死満塁、トップに返り安井の中犠飛で1-3、二死一二塁から河西が左前にタイムリーを放ち2-3と1点差に詰め寄るが、最後は清水がスリーボールノーストライクから三振に倒れてゲームセット。


 黒尾重明は何とか粘り切って8安打4四球4三振で完投、5勝目をマークする。


 大下が全打点をあげる活躍。前節で2本のホームランも放ち、徐々に本領を発揮してきた。大下の成績は131打数29安打17打点3本塁打、打率は2割2分1厘、三振は33個で断トツのトップである。


 グ軍は最後まで粘ったが、初回の守備の乱れが全てであった。


 一方、セ軍は5回に黒尾と横沢が好守備を見せるなど無失策で2連勝。ここまで最下位に低迷してきたが、大下のバットで浮上へのきっかけをつかむこととなるか。



*大下のブロマイド。タテ25㎝ヨコ18㎝の大版です。昭和24年頃のものと考えられます。このサイズでこの状態で残っているのは珍しいでしょうね。




2020年3月14日土曜日

21年 第9節終了時点 打撃成績


 名前 球団 打数 安打 塁打 打率 四死 出塁率 長打率 OPS 得点 打点 盗塁
森下重好 (パ) 133 47 68 0.353 17 0.427 0.511 0.938 16 23 4
富樫淳 (タ) 99 34 38 0.343 3 0.363 0.384 0.747 11 7 3
小鶴誠 (中) 85 28 40 0.329 13 0.418 0.471 0.889 11 18 1
藤村冨美男 (タ) 111 36 52 0.324 20 0.427 0.468 0.896 12 15 4
田中宣顕 (ゴ) 114 36 49 0.316 3 0.333 0.430 0.763 13 10 6
安井亀和 (グ) 115 36 45 0.313 24 0.432 0.391 0.823 27 13 11
金田正泰 (タ) 132 41 49 0.311 27 0.428 0.371 0.799 23 15 5
青田昇 (急) 147 45 60 0.3061 12 0.358 0.408 0.767 20 19 11
古川清蔵 (中) 108 33 47 0.3056 17 0.400 0.435 0.835 18 14 6
山本一人 (グ) 108 33 38 0.3056 13 0.380 0.352 0.732 18 23 10
渡辺誠太郎 (タ) 80 32 36 0.400 2 0.415 0.450 0.865 9 11 0
木村勉 (グ) 89 26 31 0.292 9 0.357 0.348 0.705 15 10 5
別所昭 (グ) 43 14 18 0.326 6 0.408 0.419 0.827 3 7 0
呉新亨 (巨) 133 40 52 0.301 17 0.380 0.391 0.771 23 11 8
千葉茂 (巨) 122 35 44 0.287 27 0.416 0.361 0.777 20 14 5
黒沢俊夫 (巨) 121 34 37 0.281 26 0.408 0.306 0.714 17 15 9

 第9節終了時点では森下重好が首位打者の座を守っている。打点も23打点で二冠王であるが、山本一人も23打点で並んでいる。

 本塁打は加藤正二が5本でトップ。2位は3本の古川清蔵と大下弘も第9節に2本打って3本に伸ばしてきた。

 注目の大下の打撃スタイルであるが、現在33三振で断トツの「三振王」。当てる打法が主流であった当時、本塁打トップの加藤はここまで三振は僅かに2個である。大下の振り切るバッティングが如何に「革命的」であったかを物語る数字であると言える。

 渡辺誠太郎は僅かに「規定打数」に届いていないが現在打率4割丁度で「隠れ首位打者」。もうすぐ「規定打数」にも達してくる予定である。初期のダイナマイト打線は渡辺と富樫淳が引っ張っていることを数字が裏付けている。

 昭和21年の最終的な「規定打数」は「打数300」である。昭和21年の試合数は「105試合」なので、「300÷105」=「1試合当たり約2.85打数」の計算となる。第9節終了時点では、チームごとにバラつきはあるが概ね30試合行われており、「30×2.8」=「84打数」がこの時点での「規定打数」とされている。

 巨人、阪急の二強を追うグ軍では木村勉の活躍が目立つ。別所昭もピッチングだけでなく強打が魅力。

 首位を行く巨人ではベストテンに一人も顔を出していないが、少し下の呉新亨、千葉茂、黒沢俊夫以外にも、多田文久三や林清一など総合力で首位を走っている。

 なお、打率は「日本野球年鑑」と照合していますが、四死球や長打は当ブログが独自に手入力していますので、シーズン終了時点でないと照合できません。入力作業は慎重を期していますが、間違っている可能性は否定できませんのでご了承願います。

*「日本野球年鑑」では第9節終了時点の「規定打数」は「84打数」と定められている。
















21年 第8節&第9節統合 週間MVP


 第8節は4球団のみで7試合が行われただけなので、第9節と統合して週間MVPの表彰を行います。

週間MVP

投手部門
 タイガース 呉昌征 1
 3勝0敗。第8、9節で3勝をあげたのは呉昌征と諏訪裕良であるが、6月14日のセ軍戦で戦後初の無安打無得点を記録した呉昌征が選出された。

打撃部門
 タイガース 土井垣武 1
 打撃部門は土井垣武と金田正泰の争いとなった。金田は37打数19安打11得点6打点で猛打賞を4回記録する活躍であった。一方、土井垣は40打数11安打4得点13打点で勝利打点3回、真の殊勲打1回と勝負強さを見せた。数字的には金田が選出されるべきとも考えられる。土井垣の勝利打点には内野ゴロ、犠飛によるものも含まれるが、野球は「得点」を競う競技であり、「打点」の重要性は高く、とりわけ「勝利打点」は高く評価されるものである。
 一般に、「勝利打点」には併殺崩れなども含まれることから評価が低いが、歴代の「勝利打点」を分析すれば、「勝負強さ」の指標として極めて優れていることが理解できる。「歴代の勝利打点」を把握するためには「スコアカード」から拾っていく以外に方法がなく、全世界で当ブログだけが把握していることは否定しようもない「事実」であることから、「勝利打点の重要性」について、それを把握していない方とは議論するつもりはありませんので悪しからず。当ブログでは、勝利打点が記録されていない試合における「真の殊勲打」、勝利打点が記録されている試合における「並列の殊勲打」も全て把握しています。すなわち、全てを「把握」すれば「理解」できるということです。

殊勲賞
 阪急 坂田清春 1
 6月15日のタ軍戦で9回裏サヨナラ打。

 セネタース 北川圭太郎 1
 6月24日のパ軍戦で代打逆転決勝打。これがプロ入り初ヒットであった。

 中部日本 服部受弘 1
 6月22日のパ軍戦、投手転向初戦で快投。 

 パシフィック 木暮力三 1 
 21打数7安打3得点7打点。 

 タイガース 本堂保次 1
 36打数11安打6得点10打点。

敢闘賞
 タイガース 金田正泰 1
 37打数19安打11得点6打点、猛打賞4回。惜しくも週間MVPを逃した。開幕から調子が上がらず第7節終了時点では2割3分2厘であったが、3割1分1厘まで上げてきた。

 巨人 呉新亨 2
 35打数13安打8得点5打点。

 タイガース 渡辺誠太郎 1
 29打数14安打7得点6打点。現在打率4割で「隠れ首位打者」。

 グレートリング 木村勉 1
 21打数8安打2得点2打点。

 ゴールドスター 坂本勲 1
 16打数6安打2得点2打点。第9節5連敗のゴ軍で孤軍奮闘の活躍。

技能賞
 阪急 山田伝 2
 6月22日のセ軍戦で延長11回に二盗、三盗を決めて決勝のホームを踏む。

 巨人 山田潔 1
 九番で25打数8安打7得点。1割を切っていた打率も1割8分2厘まで上げてきた。九番がよく出塁するチームは強い。


2020年3月13日金曜日

21年 中部日本vs阪急 5回戦


6月24日 (月) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
1 0 0 0 0 0 0 0 1 2 中部 10勝16敗2分 0.385 服部受弘 
0 0 1 0 0 0 2 0 X 3 阪急 22勝13敗 0.629 今西錬太郎 笠松実 

勝利投手 笠松実     5勝4敗
敗戦投手 服部受弘 1勝1敗 

二塁打 (中)金山
三塁打 (急)上田
本塁打 (中)小鶴誠 2号

勝利打点 (急)上田藤夫 3


上田藤夫、決勝三塁打

 第9節最終日、後楽園の第2試合は服部受弘と今西錬太郎の先発で午後3時丁度、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 中部は初回、先頭の岩本章が四球を選んで出塁、金山次郎のレフト戦二塁打で無死二三塁、加藤正二の遊ゴロで三走岩本がホームに突っ込み、ショート坂井豊司がバックホームするがセーフ、野選が記録されて1点を先制、無死一三塁から小鶴誠の右飛で三走金山がタッチアップからスタートするが阪急の中継プレーにタッチアウトでダブルプレー。スコアカードには「9-1-6-2」と記載されているが、このケースでサードではなくショートがランダンプレーに参加している理由は不明。


 中部は3回表、二死後加藤、小鶴が連続四球、阪急ベンチはここで先発の今西から笠松実にスイッチ、今西はここまで5四球を乱発しているのでこの交代は必然か、服部は遊飛に倒れて無得点。


 阪急は3回裏、一死後坂田清春が左前打で出塁、トップに返り上田藤夫のニゴロの間に坂田は二進、山田伝の左前打で二死一三塁、青田昇が三遊間に同点タイムリーを放ち1-1と追い付く。


 阪急は7回裏、一死後坂井がストレートの四球で出塁、笠松が左前打、坂田は三飛に倒れて二死一二塁、トップに返り上田が右中間に三塁打を放ち3-1と勝ち越す。


 中部は9回表、一死後小鶴がレフトスタンドにホームランを叩き込んで2-3、しかし服部は捕飛、木下は遊飛に倒れてゲームセット。


 第9節が終了して巨人が22勝10敗1分け、勝率6割8分8厘でトップ。阪急は22勝13敗、勝率6割2分9厘で2位に付けている。


 中部は10勝16敗2分で6位に低迷。本日の小鶴の本塁打でチーム本塁打数は14本、全チーム総数で35本なので中部が断トツトップである。この強打が活かされない理由は、チーム事情にあるのかもしれない。竹内愛一監督の苦悩の日々は続く。飲み過ぎには注意しましょう(笑)。



2020年3月11日水曜日

野球週報2020 その10


3月4日(水) 品川ベースボールクラブの練習は雨天中止。

3月5日(木) ジムに行く予定でしたがコロナ禍により封鎖されましたので、自宅マンションで1階から27階まで階段登り。


3月6日(金) 秋葉原のバッティングセンターで110キロのストレートを2セット、カーブを1セット、スライダーを1セット。


3月7日(土) 休養日


3月8日(日) ジムが封鎖されているので自宅マンションのフィットネスルームでストレッチとバイクトレーニング。けっこう効きますよ。


3月9日(月) 秋葉原のバッティングセンターで110キロのストレートを2セット、カーブを1セット、スライダーを1セット。頭を残すことを重点に打ち込み。鋭いライナーがネットに突き刺さりました。


3月10日(火) 諸般の事情により休養日。



2020年3月10日火曜日

21年 巨人vsゴールドスター 5回戦


6月24日 (月) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 4 0 0 0 1 1 0 6 巨人 22勝10敗1分 0.688 諏訪裕良 近藤貞雄 
0 0 0 1 0 0 2 0 0 3 ゴ軍 11勝18敗1分 0.379 石田光彦 内藤幸三 

勝利投手 諏訪裕良 4勝3敗
敗戦投手 石田光彦 6勝8敗
セーブ     中尾輝三 1 

二塁打 (巨)千葉
三塁打 (巨)山田
本塁打 (ゴ)菊矢吉男 2号

勝利打点 (巨)黒沢俊夫 5

猛打賞 (巨)山川喜作 3


4本の犠飛

 西宮の第2試合は午後2時50分、金政主審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は初回、呉新亨、山川喜作の連打で無死一二塁、しかしクリーンアップトリオが凡退して無得点。


 巨人は3回表、再び呉、山川の連打で無死一三塁、パスボールで山川が二進、千葉が四球を選んで無死満塁、黒沢の中犠飛で1点を先制、二走山川と一走千葉もタッチアップから進塁して一死二三塁、多田の右飛をライト末崎正隆が落球、三走山川が還って2-0、二走千葉は三塁ストップ、打者走者の多田は二塁に進んで一死二三塁、千葉はタッチアップ体勢に入ったので三塁にストップしたか、多田は基本通り全力疾走したので二塁に進んだ。更に林清一の右犠飛で3-0、坂本の右前タイムリーで4-0、ライト末崎が後逸して坂本は二進、諏訪裕良は左飛に倒れてスリーアウトチェンジ。


 巨人先発の諏訪は3回まで無安打ピッチング。


 ゴ軍は4回裏、先頭の菊矢吉男がレフトスタンドに第2号ホームランを叩き込んで1-4とする。


 ゴ軍は5回から二番手の内藤幸三がマウンドに上がり、先発の石田はライトに回る。キャッチャーも先発マスクの大崎欣一から辻功に代えてバッテリーをチェンジした。


 巨人は7回表、先頭の山川が三塁に内野安打、千葉の右中間二塁打で無死二三塁、黒沢はショートライナー、多田は四球を選んで一死満塁、林は三振に倒れて二死満塁、坂本茂に代わる代打近藤貞雄が押出し四球を選んで5-1とする。


 ゴ軍は7回裏、先頭の田中宣顕が左前打で出塁、末崎に代わる代打内藤幸三は遊飛、ワイルドピッチで田中は二進、石田光彦の中前打で一死一三塁、坂本勲の中前タイムリーで2-5、一死一三塁から辻功の中犠飛で3-5とする。


 巨人は8回表、九番山田潔がセンター右後方に三塁打、一死後山川の中犠飛で6-3とする。


 ゴ軍は8回裏、先頭の大友一明がライト線にヒット、巨人ベンチはここで諏訪から中尾輝三にスイッチ、菊矢が左前打を放って無死一二塁、しかし田中は三振、内藤もスリーボールツーストライクから三振、二走大友がスタートを切っており、キャッチャー多田からの送球にタッチアウト、三振ゲッツーでスリーアウトチェンジ。


 中尾は9回裏、ゴ軍に2安打許すが無失点で切り抜け、今季初セーブを記録する。藤本英雄がしばらく登板しておらず、近藤貞雄は昨日完投に近い8回3分の2を投げているので、あの場面でのリリーフは中尾しか考えられなかった。


 セ軍と最下位争いを続けるゴ軍は打開策として先発キャッチャーに大崎欣一を起用、大崎がプロでマスクを被ったのはこの試合だけである(日本プロ野球私的統計研究会様「1リーグ時代のデータ集 - 個人別 」参照)。


 この試合では巨人の黒沢、林、山川、ゴ軍の辻の4人が「犠飛」を記録した。昭和16年から公式記録では「犠飛」は記録されなくなり「凡打」の扱いとなる。「犠飛」が公式記録に復活するのは昭和29年からのこととなるが、当ブログではスコアカードの記載から「犠飛」と認定できる場合は「犠飛」として実況しています。