2016年1月31日日曜日

17年 第22節 週間MVP



 今節は巨人が5勝0敗、大和が3勝2敗、朝日が3勝2敗、阪神が3勝2敗、南海が2勝3敗、大洋が2勝3敗、阪急が2勝3敗、名古屋が0勝5敗であった。巨人が5連勝で秋季リーグ戦優勝を決めた。


週間MVP

投手部門

 大和 石原繁三 3

 今節3勝0敗2完封、大和の躍進に貢献した。

 巨人 須田博 5

 今節3勝0敗1完封、巨人の秋季リーグ戦優勝決定に貢献した。


打撃部門

 巨人 呉波 3

 今節18打数7安打3得点2打点3四球を記録。

 巨人 白石敏男 1

 今節18打数7安打5得点1打点3四球を記録。呉と一二番コンビを組んで優勝に貢献した。

 朝日 林安夫 1

 今節4試合に登板して残りの1試合は外野で出場し、13打数7安打1得点2打点1四球を記録して「打撃部門」で週間MVPを獲得した。野球史研究の上で貴重な発見である。

 南海 猪子利男 2

 今節15打数6安打4得点1打点3四球2盗塁3犠打の大活躍。第1節(3月28日~4月3日)以来の週間MVP。


殊勲賞

 朝日 内藤幸三 2

 11月2日の阪神戦で 延長12回を5安打完封。

 大和 小松原博喜 2

 今節勝利打点2個を記録。

 朝日 酒沢政夫 2

 11月2日の阪神戦で 延長12回に決勝打を放つ。


敢闘賞

 阪神 野口昇 1

 今節20打数6安打の活躍。

 巨人 坂本茂 2

 今節16打数5安打の活躍。


技能賞

 朝日 浅原直人 1

 11月8日の大和戦、三盗でキャッチャー悪送球を誘い決勝のホームを踏む。

 南海 長谷川善三 1

 11月3日の阪急戦で 6回までに7補殺を記録する。3回には3個の遊ゴロを捌くが、3つ目は二死一塁から二塁ベースを踏んで刺殺であった。



 

2016年1月30日土曜日

17年 南海vs大洋 14回戦


11月8日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 0 0 0 1 0 0 0 0 4 南海 49勝51敗 0.490 川崎徳次 神田武夫 清水秀雄
0 2 3 0 0 0 0 1 X 6 大洋 56勝37敗6分 0.602 古谷倉之助 重松通雄 野口二郎

勝利投手 野口二郎 37勝17敗
敗戦投手 川崎徳次 15勝16敗

三塁打 (南)猪子 (大)濃人、浅岡
本塁打 (大)重松 1号

勝利打点 浅岡三郎 4

猛打賞 (南)猪子利男 4


野口二郎、パーフェクトリリーフ

 南海は初回、一死後猪子利男が中前打から二盗に成功、更にパスボールで三進、岡村俊昭が四球から二盗を決めて一死二三塁、岩本義行の三塁線バントヒットで1点を先制、岩本も二盗に成功して再度一死二三塁、清水秀雄の二ゴロの間に三走岡村が還って2-0、柳鶴震が中前タイムリーで続いてこの回3点を先制する。

 大洋ベンチは2回から先発の古谷倉之助に代えて重松通雄をマウンドに送る。

 大洋は2回裏、先頭の浅岡三郎が二塁に内野安打、富松信彦は中飛に倒れて一死一塁、ここで重松がレフトにツーランホームランを放って2-3とする。この頃は既に関西の試合は読売新聞に試合内容の記述は見られないので、オーバーフェンスであったか否かは不明。スコアカードの記述では「飛球」による本塁打なのでオーバーフェンスの可能性は高い。

 大洋は3回、一死後濃人渉が左中間に三塁打、中村民雄が左前に同点タイムリーを放って3-3、野口明が四球を選んで一死一二塁、南海ベンチはここで先発の川崎徳次から神田武夫にスイッチするが、浅岡が右中間に決勝の2点タイムリー三塁打を放ち5-3と逆転する。

 南海は5回、二死後国久松一が四球を選んで出塁、猪子が右中間に三塁打を放ち4-5と追い上げる、大洋ベンチはここで三番手として野口二郎を投入、岡村は一ゴロに倒れて同点はならず。

 1点差に追い上げた南海は5回裏から神田に代えてファーストの清水をマウンドに上げる。

 大洋は8回、先頭の濃人がストレートの四球、中村の遊ゴロの間に濃人は二進、野口明はストレートの四球で一死一二塁、浅岡のセンター後方への飛球で二走濃人がタッチアップから三塁に進み、パスボールでホームインして6-4とダメ押す。


 大洋三番手の野口二郎は5回二死三塁から登板してピンチを切り抜けると、6回以降9回まで三者凡退を続けるパーフェクトリリーフを見せて37勝目をマークする。野口二郎は36勝目をあげた昨日の朝日戦でも6回から9回の4イニングを三者凡退に抑えており、2試合連続で6回以降の4イニングをパーフェクトに抑え込んだこととなります。


 

訂正のお知らせ



 1月18日付けブログ「17年 大和vs南海15回戦」において、大和の石原繁三が「5回までに7補殺2刺殺を記録」したとお伝えしておりましたが、「6回までに7補殺2刺殺を記録」の誤りでしたので、お詫びして訂正させていただきます。


 内訳は、初回に投前送りバントの処理、投ゴロ二封、投ゴロで補殺3個。2回に投ゴロで補殺1個。4回に投ゴロとピッチャライナーで補殺と刺殺が1個ずつ。5回に投飛と投ゴロ併殺で刺殺と補殺が1個ずつ。6回に投ゴロで補殺が1個。


 以上で、6回までに7補殺2刺殺を記録しました。投手の守備記録としては珍しいものでしょう。


 

2016年1月26日火曜日

江川に勝つと・・・



 昭和17年11月8日の朝日vs大和13回戦は決勝点が「三盗キャッチャー悪送球」であった旨お伝えしたところです。


 「決勝点が三盗キャッチャー悪送球」は、昭和48年センバツでの出来事が有名です。この年のセンバツの注目ポイントは「誰が江川の作新を倒すか」唯一点でした。その江川を倒した広島商業の決勝点こそが「三盗キャッチャー悪送球」でした。

 準決勝で作新学院と広島商業が激突、1対1の同点で迎えた8回裏広商の攻撃、金光の四球と楠原の内野安打で一二塁とするとダブルスチールを敢行、これがキャッチャー小倉の悪送球を誘い、金光が決勝のホームを踏みました。


 金光も楠原も江川も広商のエース佃も法大に進んで黄金時代を築くこととなります。佃はプロには行かず2007年に52歳で早逝、金光もプロには行かずアマ球界で指導者となり、楠原もアマ球界に進みました。広商では格下と見られていた達川が東洋大から広島東洋カープに入って監督にまでなるのですから人生分かりません。因みに「Wikipedia」には「3年生時のエースである佃正樹と不仲であったため、春センバツは外野手として出場していたが夏の甲子園では捕手に戻り全国優勝に導いた」と書かれていますが、「選抜高等学校野球大会50年史」に掲載されているテーブルスコアで確認すると、全試合で佃とバッテリーを組んでいます。1年下のセカンド川本は広商の監督としても全国制覇(1988年)しましたが、2010年に53歳で早逝しました。


 甲子園で江川を破ったチームは不思議とその大会では優勝していません。1973年センバツの準決勝で江川を破った広島商業は決勝で永川を擁する横浜高校に敗れ、夏の大会で優勝します。その夏の甲子園で江川を破った銚子商業も優勝できず、翌74年、悲願の全国制覇を成し遂げることとなるのです。すなわち、江川を破ったチームはその時点で精魂尽き果ててその大会では優勝できませんが、次の大会で優勝するのです。


*1973年センバツで江川を破って準優勝、同年夏の大会で優勝した広島商業。迫田監督以下、金光主将、主砲楠原、エース佃、この時点では誰も注目していなかった達川、1年下の名セカンド川本等のサイン色紙。





*法大黄金時代のチームサイン色紙。江川、金光、楠本、徳永、植松、島本、鎗田、中林、佃など、二度とこんなチームが出現することはあり得ません!








*1973年夏の甲子園で宿敵江川を倒し、翌74年夏の甲子園で悲願の全国制覇を果たした銚子商業。宮内主将、エース土屋、1年下の篠塚と次期主将の前嶋など、「黒潮打線」が最後の輝きを見せた時代です。





 何でも揃うのが、当ブログの特徴です(笑)。





 

17年 朝日vs大和 13回戦


11月8日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 1 0 1 0 0 2 朝日 45勝49敗6分 0.479 内藤幸三 林安夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大和 26勝63敗10分 0.292 畑福俊英

勝利投手 林安夫   28勝22敗
敗戦投手 畑福俊英 3勝17敗

二塁打 (朝)浅原
三塁打 (朝)原

勝利打点 なし

ファインプレー賞 (朝)原秀雄 1


決勝点は三盗キャッチャー悪送球

 朝日は2回、二死後中谷順次の当りは三ゴロ、ところがこれをサード木村孝平がエラー、続く原秀雄の当りは遊ゴロ、これもショート山田潔がエラーして二死一二塁、ここは大和先発の畑福俊英が踏ん張り早川平一は三振に倒れて無得点。

 朝日は3回、先頭の坪内道則が四球で出塁するが二盗に失敗、酒沢政夫も四球、岩田次男も四球を選び、浅原直人は二飛に倒れるが、内藤幸三も四球を選んで二死満塁、しかしここも畑福が踏ん張り広田修三は三邪飛に倒れてスリーアウトチェンジ。畑福はこの回4個の四球を与えながら無失点。

 朝日先発の内藤幸三は3回まで毎回走者を出しながら無失点で切り抜けるがここで降板、朝日は4回から林安夫をマウンドに送る。

 朝日は5回、二死後浅原が左中間に二塁打、ここで元陸上選手の浅原が三盗、これがキャッチャー木下政文の三塁悪送球を誘い、浅原が生還して1点を先制する。

 朝日は7回、先頭の酒沢の当りは遊ゴロ、これをショート山田が一塁に悪送球して打者走者の酒沢は二進、岩田が送って一死三塁、浅原の遊ゴロの間に三走酒沢が還って2-0とする。


 朝日は先発の内藤幸三が3イニングを投げて3安打1四球3三振無失点、二番手の内藤幸三が6イニングを投げて2安打2四球1三振無失点、二枚看板での完封リレーであった。


 大和先発の畑福俊英は4安打5四球3三振2失点、自責点ゼロ、味方の5エラーにもめげずに粘りの投球を見せたが今季17敗目を喫した。


 大和9回の攻撃は先頭の木下が右前打で出塁、続く小松原博喜の二ゴロをセカンド原秀雄が好捕して一走木下を二封、スコアカードの「雑記」欄には「倒れ乍ら掴む」と書かれており、このプレーに対して「ファインプレー賞」が授与された。


 

2016年1月24日日曜日

17年 阪神vs巨人 15回戦


11月8日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 1 0 0 1 0 2 阪神 49勝46敗5分 0.516 玉置玉一 三輪八郎
1 0 1 0 0 0 2 0 X 4 巨人 70勝27敗4分 0.722 須田博

勝利投手 須田博   24勝8敗
敗戦投手 玉置玉一 1勝3敗

二塁打 (神)塚本 (巨)伊藤
本塁打 (神)山口 1号

勝利打点 なし

猛打賞 (巨)呉波 6


勝利打点「なし」

 巨人は初回、先頭の呉波が二遊間に内野安打、白石敏男が四球を選んで、無死一二塁、楠安夫の当ゴロをピッチャー玉置玉一が三塁に送球して二走呉は三封、サード三輪裕章から一塁に転送されるが、これが悪送球となる間に一走白石が三進して一死一三塁、中島治康の三ゴロは「5-4」と転送されて一走楠は二封、三走白石は当初動かなかったが、サード三輪の二塁送球を見てスタートを切りホームイン。中島には打点は記録されていない。これが決勝点となったが、中島に打点が記録されていないので勝利打点は「なし」となります。

 巨人は3回、先頭の須田博が右前打、トップに返り呉が三遊間を抜いて無死一二塁、白石の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってゲッツーとなり二死三塁、楠の右前タイムリーで2-0とする。

 阪神は4回から先発の玉置玉一に代わって三輪八郎がマウンドに上がる。

 阪神は5回、先頭の野口昇が右前打、平林栄治も中前打で続き、三輪裕章が送って一死二三塁、須田のワイルドピッチで三走野口が還って1-2とする。

 巨人は7回、先頭の坂本茂が四球で出塁、小池繁雄は中飛、須田の遊ゴロをショート野口がエラーして一死一二塁、トップに返り呉の三塁内野安打で一死満塁、白石が押出し四球を選んで3-1、楠も押出し四球で4-1と突き放す。

 阪神は8回、二死後山口政信がライトスタンドにホームランを叩き込んで2-4とするがここまで。

 須田博は5安打3四球5三振の完投で24勝目をあげる。


 巨人初回の攻撃、一死一三塁から中島治康の三ゴロで三走白石敏男はスタートを切らず、サード三輪裕章の二塁送球を見てからスタートしてホームインした。したがって中島には打点が記録されておらず、これが決勝点であったがこの試合の勝利打点は「なし」となる。


 

2016年1月22日金曜日

17年 名古屋vs阪急 15回戦


11月8日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 0 0 0 0 0 1 0 3 名古屋 36勝59敗5分 0.379 西沢道夫
0 2 0 2 0 0 1 0 X 5 阪急    48勝47敗6分 0.505 笠松実


笠松実   16勝15敗
西沢道夫 6勝11敗

二塁打 (急)笠松
本塁打 (名)本田 第3号

勝利打点 山田伝 2

猛打賞 (名)本田親喜 1


笠松実、冴えるシュート

 名古屋は初回、先頭の石丸藤吉が中前打、岩本章がストレートの四球を選んで無死一二塁、小鶴誠は左邪飛に倒れて一死一二塁、吉田猪佐喜の二ゴロは「4-6-3」と渡ってダブルプレー。

 名古屋は2回、先頭の古川清蔵がレフト線にヒット、本田親喜がレフトスタンドにツーランホームランを叩き込んで2点を先制する。続く桝嘉一の遊ゴロをショート中村栄がエラー、しかし西沢道夫の三ゴロは「5-4-3」と渡ってダブルプレー、芳賀直一も遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。ここは一気に畳み掛けたかったところであったが2点止まり。

 阪急は2回裏、先頭の山下好一が右前打で出塁、井野川利春がレフト線ヒットで続いて無死一二塁、キャッチャー古川からの二塁牽制が悪送球となって無死二三塁、小田野柏は二ゴロに倒れて一死二三塁、日比野武の右犠飛で1-2、二走井野川もタッチアップから三塁に進んで二死三塁、中村が死球を受けて二死一三塁、ここで中村がディレードスチールを敢行、中村は一二塁間に挟まれて「2-6-3」と転送されるがショート小鶴からの一塁転送をファースト本田が落球、この間に三走井野川が還って2-2の同点、先制ツーランが帳消しとなる本田のエラーであった。

 阪急は4回、先頭の小田野が四球を選んで出塁、日比野がレフト線にヒットを放ち無死一二塁、中村が送って一死二三塁、笠松は三ゴロに倒れて二死二三塁、トップに返りフランク山田伝が一二塁間に2点タイムリー内野安打を放って4-2と勝ち越す。

 阪急は7回、先頭の笠松が左中間に二塁打、トップに返り山田の二ゴロで笠松は三進、上田藤夫は二直に倒れて二死三塁、黒田健吾が左前にタイムリーを放って5-2と突き放す。

 名古屋は8回、先頭の岩本が三塁に内野安打、小鶴が中前打、センター山田がエラーして岩本は三塁に進み無死一三塁、小鶴が二盗に失敗して一死三塁、吉田が四球を選んで一死一三塁、ここでダブルスチールを成功させて3-5、古川は四球、本田の左前打で二死満塁と一打同点のチャンス、しかし桝は三振、西沢は笠松のシュートを引っ掛けて三ゴロに倒れ万事休す。


 笠松実は名古屋打線に10安打を浴びたが3四球1三振の完投で16勝目をあげる。1回、2回のピンチを併殺で切り抜け、最大のピンチとなった8回も二死満塁で西沢道夫を三ゴロに打ち取った。得意のシュートが冴えたようだ。


 

2016年1月21日木曜日

17年 朝日vs大洋 15回戦


11月7日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 朝日 44勝49敗6分 0.473 林安夫
0 0 0 0 1 0 0 0 X 1 大洋 55勝37敗6分 0.598 野口二郎

勝利投手 野口二郎 36勝17敗
敗戦投手 林安夫     27勝22敗

二塁打 (朝)林

勝利打点 なし


2勝に1度は完封

 朝日は林安夫、大洋野口二郎、両エースの先発で午後2時17分試合開始。

 大洋は1回、2回と三者凡退。3回は先頭の富松信彦が中前打を放つが二塁に進めることもできず無得点。4回は二死後、野口二郎と中村民雄の連続ヒットで一二塁とするが、浅岡三郎は遊ゴロに倒れて無得点。

 大洋は5回、先頭の富松の当りはレフトへの飛球、これをレフト早川平一が落球後逸する間に打者走者の富松は二塁に進み、祖父江東一郎が一前に送りバントを決めて一死三塁、貞池広喜に代わる代打古谷倉之助は三ゴロ、三走冨松がホームに突っ込み、サード岩田次男が本塁に送球するがセーフ、野選が記録されて1点を先制、これが決勝点となった。

 大洋は6回から8回の3イニングで5安打を集中させたが追加点はならなかった。


 野口二郎は5安打2四球3三振で今季18度目の完封、36勝目をあげる。2勝に1度は完封勝利である。但し、5本のヒットは5回までに集中されて前半は苦しいピッチングであった。6回以降は人が変わったように立ち直り、9回まで4イニング連続三者凡退に抑え込んだ。


 

2016年1月18日月曜日

17年 大和vs南海 15回戦


11月7日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 大和 26勝62敗10分 0.295 石原繁三
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 49勝50敗 0.495 清水秀雄

勝利投手 石原繁三 19勝24敗
敗戦投手 清水秀雄   4勝1敗

勝利打点 小松原博喜 5

ファインプレー賞 (和)小松原博喜 1


石原繁三投守に活躍、小松原博喜攻守に活躍

 ここまで今季の完封負け試合数は阪急が断トツの21、次いで名古屋が17、朝日が16、大和が14、大洋が12、南海と阪神が10試合、巨人が7試合となっている。

 大和先発の石原繁三は、巨人に次いで完封しにくい南海を2安打完封に抑え込んだ。

 大和は初回、一死後木村孝平が四球で出塁すると二盗に成功、木下政文の三ゴロの間に木村は三進、小松原博喜がレフト線にタイムリーを放って1点を先制する。これが決勝点となった。

 石原はこのスミ一を守り抜いた。初回、先頭の柳鶴震の遊ゴロをショート山田潔がエラー、猪子利男に送られて一死二塁と一打同点のピンチを迎えるが、岡村俊昭を投ゴロに打ち取り、飛び出した二走柳を二三塁間で挟殺、この間に打者走者の岡村は二塁に進み、岩本義行を歩かせて二死一二塁、国久松一を投ゴロに打ち取り踏ん張った。

 前半は3回を除いて毎回走者を出すが無失点で切り抜ける。5回は先頭の八木進にストレートの四球を与え、長谷川善三にバントヒットを決められて無死一二塁のピンチとするが、トップに返り柳の送りバントは投飛となって一死一二塁、猪子を投ゴロ併殺に打ち取る。

 石原は5回までに投前送りバントを1個捌き、投ゴロが4個、投直と投飛が一個ずつあり、5回にして7補殺2刺殺を記録する。投手の守備記録としては稀有のものではないでしょうか。

 石原は8回、一死後柳の遊ゴロを名手山田がこの日2個目のエラー、猪子を遊飛に打ち取るが、岡村にストレートの四球を与えて二死一二塁、ここで岩本の左飛をレフト小松原が逆シングルでキャッチするファインプレーを見せてピンチを救われた。


 6回以降を無安打に抑えた石原繁三は、2安打4四球無三振で今季6度目の完封、19勝目をあげる。11月に入って3勝無敗2完封と絶好調である。


 南海先発の清水秀雄も9回を完投して2安打2四球8三振1失点の力投であったが、戦場から復帰後初の敗戦投手となった。


 石原は2安打完封と6回までに7補殺2刺殺を記録して投守に活躍、小松原博喜は決勝タイムリーと逆シングルファインプレーを見せて攻守に活躍を見せた。


 

2016年1月16日土曜日

17年 阪急vs巨人 14回戦


11月7日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 47勝47敗6分 0.500 天保義夫
1 0 3 0 0 0 0 0 X 4 巨人 69勝27敗4分 0.719 藤本英雄

勝利投手 藤本英雄 9勝0敗
敗戦投手 天保義夫 8勝6敗

二塁打 (巨)楠

勝利打点 中島治康 18


藤本英雄、4度目の完封で9連勝

 巨人は初回、先頭の呉波が中前打を放って出塁、白石敏男の二ゴロが進塁打となり、楠安夫は二飛に倒れて二死二塁、中島治康がレフト線に先制タイムリーを放ち1-0とする。

 阪急は3回、一死後中村栄が中前打を放って出塁、天保義夫は三振、トップに返りフランク山田伝の二ゴロをセカンド坂本茂がエラーして二死一三塁、ここでダブルスチールを敢行するが「2-6-2」とショート白石からの折り返しバックホームに三走中村はタッチアウト、もらったチャンスでの重盗はアイデアとしては悪くなかったがここで追い付けなかったのは痛かった。

 巨人は3回裏、一死後藤本の遊ゴロをショート中村がエラー、トップに返り呉の遊ゴロでランナーが入れ替わり、白石の左前打で二死一二塁、ここで楠がライト線に二塁打を放って二者を迎え入れ3-0、中島の二ゴロをセカンド上田藤夫がエラーする間に二走楠が還って4-0とリードを広げる。


 藤本英雄は4安打無四球6三振の好投で今季4度目の完封、デビュー以来無傷の9連勝を飾る。この日は須田博が11月3日の登板から中3日であったが明日阪神戦を控えているので藤本が先発した。藤本は4度目の完封であるがこれまでは朝日戦が2回と大和戦が1回で上位チームからは初の完封勝利となった。但し、阪急はこれで21回目の完封負けとなり名古屋の17回を引き離して断トツの完封負け数でもある。





*藤本英雄は今季4度目の完封で9連勝。




 

2016年1月15日金曜日

17年 名古屋vs阪神 13回戦


11月7日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 5 1 1 0 0 0 0 7 名古屋 36勝58敗5分 0.383 石丸進一 森井茂
3 0 0 2 2 0 1 0 X 8 阪神    49勝45敗5分 0.521 御園生崇男 若林忠志

勝利投手 若林忠志 24勝13敗
敗戦投手 森井茂      4勝12敗

二塁打 (名)吉田 (神)山口
本塁打 (神)藤井 2号

勝利打点 山口政信 1



山口政信、猛打賞と決勝二塁打

 阪神は初回、名古屋先発の石丸進一を攻めて、一死後山口政信が三塁に内野安打、カイザー田中義雄がレフト線にヒットを放って一死一三塁、門前真佐人の左犠飛で1点を先制、二死一塁となって藤井勇がライトスタンドにツーランホームランを叩き込んで3-0とする。

 名古屋は2回途中から先発の石丸進一に代わって森井茂がマウンドに上がる。

 名古屋は3回、先頭の石丸藤吉の二ゴロをセカンド平林栄治がエラー、岩本章がストレートの四球を選んで無死一二塁、小鶴誠が左前にヒット、二走石丸藤吉が三塁ベースを蹴ってホームに向かい、レフト山口政信口からサード三輪裕章を中継してホームに送球、タイミングはアウトであったがキャッチャー田中が落球して石丸藤吉はホームインし1-3、無死一二塁から吉田猪佐喜が左中間に二塁打を放って2-3、古川清蔵の三ゴロの間に三走小鶴がホームインして3-3の同点、サード三輪裕章の一塁送球は悪送球、二走吉田はストップ、阪神ベンチはここで先発の御園生崇男から若林忠志にスイッチ、本田親喜のバントヒットで無死満塁、桝嘉一の中前タイムリーで5-3と逆転に成功する。

 11月4日の12回戦に続いて打撃戦の様相を呈してきた。

 名古屋は4回、一死後岩本がショートに内野安打、二死後岩本が二盗に成功、吉田の中前タイムリーで6-3とリードを広げる。

 阪神は4回裏、先頭の野口昇が右前打、ライト岩本がライトゴロを狙って一塁に送球するが、これが悪送球となる間に打者走者の野口は二進、平林は三振に倒れて一死二塁、三輪裕章の三ゴロをサード芳賀直一がエラーして一死一三塁、トップに返り塚本博睦の中犠飛で4-6、三輪が二盗を決め、キャッチャー古川の悪送球を誘って二死三塁、山口が左前にタイムリーを放って5-6と詰め寄る。

 名古屋は5回、先頭の本田が四球を選んで出塁、桝嘉一が右前打、森井が送って一死二三塁、芳賀の三ゴロの間に三走本田が還って7-5と再度突き放す。

 阪神は5回裏、先頭の若林の三ゴロをサード芳賀がこの日3つ目のエラー、野口昇は左前打、平林に代わる代打金田正泰が送りバントを決めて一死二三塁、三輪裕章は四球を選んで一死満塁、トップに返り塚本が押出し四球を選んで6-7、山口の左犠飛で遂に7-7と追い付く。
 阪神は7回、二死後三輪裕章がバントヒットを決めて出塁、トップに返り塚本が左前打、山口が右中間に決勝の二塁打を放って8-7と勝ち越す。


 阪神二番手の若林忠志は7イニングを投げて7安打2四球1三振2失点に抑え、24勝目をマークする。



 

2016年1月11日月曜日

17年 阪神vs名古屋 12回戦


11月4日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 5 0 0 0 0 1 6 阪神     48勝45敗5分 0.516 御園生崇男 三輪八郎 若林忠志
0 0 0 3 0 0 0 0 0 3 名古屋 36勝57敗5分 0.387 西沢道夫 石丸進一

勝利投手 若林忠志 23勝13敗
敗戦投手 西沢道夫   6勝10敗

二塁打 (神)門前 (名)古川
三塁打 (名)吉田

勝利打点 門前真佐人 1


猛虎打線爆発

 3回まで三者凡退を続けた阪神は4回、先頭の塚本博睦が左前打を放って出塁、山口政信の送りバントが野選を誘い、カイザー田中義雄が送りバントを決めて一死二三塁、ここで門前真佐人が右中間に二塁打を放って2点を先制、藤井勇が三遊間に流し打って一死一三塁、御園生崇男の二遊間内野安打がタイムリーとなって3-0、野口昇の中前打で一死満塁、名古屋ベンチはここで先発の西沢道夫から石丸進一にスイッチ、平林栄治が三遊間を抜くタイムリーを放って4-0、三輪裕章の投ゴロを石丸進一はゲッツーを狙って二塁に送球するが、これが悪送球となって三走御園生が還り5-0とする。打者一巡して塚本の三ゴロは「5-4-3」の併殺打となってようやく攻撃を終了、猛虎打線が爆発した。

 名古屋もその裏反撃する。先頭の吉田猪佐喜が右中間に三塁打、古川清蔵がレフト線二塁打で続いて1-5、本田親喜は三ゴロ、石丸進一は中飛に倒れるが、野口正明が左前にタイムリーを放ち2-5、芳賀直一の中前打で野口正明は三塁に進んで二死一三塁、トップに返り石丸藤吉の中前タイムリーで3-5と追い上げる。阪神ベンチはここで先発の御園生から三輪八郎にスイッチ、岩本章の遊ゴロをショート野口昇がエラー、これを見て三塁に進んだ二走芳賀が一気にホームを狙うが、白球を拾いあげた野口昇の本塁送球にタッチアウト。

 阪神打線は4回以降沈黙を続けるが8回、一死後門前、藤井が連続四球、二死後野口昇の内野安打で満塁、ここは平林が投ゴロに倒れて無得点。

 阪神は9回、二死後山口が遊失に生きると二盗に成功、田中の左前タイムリーで6-3と突き放して試合を決める。

 阪神は5回途中から若林忠志を投入、若林は4回3分の1を投げて2安打1四球4三振無失点の好投、23勝目をあげる。


 翌日の読売新聞・鈴木惣太郎の論評は「4回勃発した大波乱は久し振りにスタンドの沈黙を破り熱狂を惹起した」と書いているが、この日の観衆は1,000人であった。


 

2016年1月10日日曜日

代打一筋




 宮川(村上)孝雄氏の訃報が伝わっています。


 筆者が広島ファンになったのは西鉄が消滅した1973年からでした。宮川の全盛期は1972年までの10年間ですから詳しくは見ていません。

 当時「代打の切り札」と言えば南海の青野と広島の宮川でした。阪急の高井が出てくるのはこの後のことです。

 代打で成功する条件は「集中力」にあります。三原脩著「勝つ 戦いにおける‟ツキ”と‟ヨミ”の研究」によると、大洋に移った昭和35年、近鉄でくすぶっていた鈴木武を引っ張ってきてショートに使って大成功した際、前年までショートのレギュラーだった麻生実男が打撃練習で初球を快打するのを見て、「これは代打で使える」と見抜いて「代打の切り札」として大洋初優勝に貢献させました。

 宮川はその集中力を養うために「1日千本」の素振りを欠かさなかったということです。

 筆者も「還暦野球リーグ戦」参入を目指して素振りを開始しました。振っているバットは「ジュン・イシイ」の圧縮バットですよ(笑)。


 心よりお悔やみ申し上げます。



*広島60周年記念「宮川孝雄」。




 

17年 朝日vs大和 12回戦


11月4日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 1 0 0 0 2 朝日 44勝48敗6分 0.478 内藤幸三 林安夫
1 0 3 0 0 0 0 0 X 4 大和 25勝62敗10分 0.287 石原繁三
 
勝利投手 石原繁三 18勝24敗
敗戦投手 内藤幸三   5勝9敗

二塁打 (朝)林 (大)苅田

勝利打点 苅田久徳 2

猛打賞 (和)木村孝平 5


苅田久徳、決勝二塁打

 朝日は初回、先頭の坪内道則が左前打で出塁、続く酒沢政夫は「1-4-3」で二塁はセーフ、一塁アウト。ピッチャー石原繁三を襲った酒沢の当りを石原が弾いてセカンド苅田久徳がカバーしたか、エンドランが掛かっていて「1-4-3」と転送されたが二塁はセーフとなったか。岩田次男の遊ゴロで二走坪内は三進、しかし浅原直人は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 大和は1回裏、先頭の山田潔が四球を選んで出塁、木村孝平の右前打で無死一三塁、ここはエンドランが掛かっていたか、木村が二盗を決めて無死二三塁、木下政文は三振に倒れて一死二三塁、金子裕の遊ゴロの間に三走山田が還って1点を先制する。

 朝日は3回、先頭の大島渡が中前打、トップに返り坪内が送って一死二塁、酒沢は一邪飛に倒れるが、岩田はストレートの四球で二死一二塁、浅原が左前に同点タイムリーを放って1-1の同点に追い付く。

 大和は3回裏、先頭の木村がレフト線にヒット、木下は右飛に倒れるが、小松原博喜が左前打を放って一死一二塁、金子の遊ゴロで小松原は二封されて二死一三塁、苅田がレフト線に二塁打を放って2-1と勝越し、渡辺絢吾は四球を選んで二死満塁、石原がストレートの押出し四球を選んで3-1、杉江文二も押出し四球を選んで4-1とする。

 朝日は5回から先発の内藤幸三に代えて林安夫をマウンドに送る。

 朝日は6回、先頭の岩田が左前打、浅原の投ゴロで岩田は二封、林が左中間に二塁打を放って2-4とする。

 石原繁三は7安打2四球6三振の完投で18勝目をあげる。


 木村孝平が5打数3安打で今季5度目の猛打賞を記録した。戦前終期の内野手では最強打者の一人である。木村は昭和18年を最後応召し、戦死することとなる。




 

巨人の打数全部「3」(但し代走1人あり)



 昭和17年11月3日、野口二郎は巨人打線を2安打2四球に抑えながら1失点で敗戦投手になりました。


 この試合で巨人打線は10人が出場して先発の9人が全員「3打数」。7回に伊藤健太郎の代走に出た青田昇には打席が回りませんでした。

 巨人は後攻で1対0で勝ちましたので8回で攻撃終了。ヒットは呉波と坂本茂の2本、四球は一番呉波と二番白石敏男が1個ずつ、失策による走者が1人。併殺が1個と得点が1点なので、総打数は「3×8+2+2+1-1-1=27」となります。

 ポイントは四球を選んだのが一番打者と二番打者だったことで、この試合で4打席回ったのは一番の呉と二番の白石だけだったのですが、この二人が「4打席3打数」で、他の7人は「3打席3打数」、代走からレフトに入って打席が回らなかった青田は「0打席」でした。


 負け試合では可能性があるかもしれませんが勝ち試合では珍しいでしょう。完全試合をやられて負けると全打順「3打数」になりますが、完全試合をやられる時は大抵代打が出ますので「全員3打数」は考えにくい。
 





*「備考」欄の3行目に「巨人の打数全部3。(但し代走1人あり)」と書かれています。










*巨人は代走の青田昇を除いて先発全員が「3打数」であった。








 

17年 大洋vs巨人 15回戦


11月3日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大洋 54勝37敗6分 0.593 野口二郎
0 0 1 0 0 0 0 0 X 1 巨人 68勝27敗4分 0.716 須田博

勝利投手 須田博     23勝8敗
敗戦投手 野口二郎 35勝17敗

二塁打 (巨)呉

勝利打点 呉波 9


須田博、3安打完封

 巨人は3回、先頭の坂本茂が三塁内野安打から二盗に成功、小池繁雄は三振、須田博の投ゴロの間に二走坂本は三進、トップに返り呉波がレフト線に二塁打を放って1点を先制する。この得点がこの試合唯一の得点となった。

 巨人先発の須田博は初回、先頭の中村信一に三塁内野安打を許し、濃人渉に送られて一死二塁のピンチを迎えるが、浅岡三郎を左飛、野口明を投ゴロに打ち取り波に乗った。2回以降6回まで三者凡退を続けて無失点。7回に先頭の濃人の三ゴロをサード小池がエラー、浅岡を三振に打ち取るが野口明に右中間へのヒットを許して一死一二塁、しかし野口二郎を三ゴロ、富松信彦を二ゴロに抑えてこの回も無失点。8回は三者凡退、9回、一死後濃人に左前打、浅岡の遊ゴロをショート白石敏男が一塁に悪送球して一死一二塁、しかし野口明を右飛、野口二郎を遊ゴロに打ち取りシャットアウト勝ち。

 大洋先発の野口二郎も巨人打線を2安打に抑える好投を見せたが1点に泣いた。


 須田博は3安打無四球3三振で今季7度目の完封、23勝目をあげる。昭和17年の終盤は藤本英雄が10連勝して巨人独走の要因になったと伝わるが、実際は須田博が上位球団、藤本が下位球団のローテーションで回っている。10月・11月の月間MVPは藤本英雄と予想されている方が大宗を占めていると考えられますが、当ブログでは数字だけではなく対戦相手、投球内容を加味した上で表彰していきます。



*須田博は88球で3安打完封。野口二郎も90球で2安打ピッチングであった。試合時間は1時間3分。



 

2016年1月9日土曜日

17年 南海vs阪急 15回戦


11月3日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 0 0 0 0 0 0 0 1 4 南海 49勝49敗 0.500 清水秀雄 神田武夫
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 阪急 47勝46敗6分 0.505 天保義夫 森弘太郎

勝利投手 清水秀雄 4勝0敗
敗戦投手 天保義夫 8勝5敗
セーブ     神田武夫 7

二塁打 (南)国久

勝利打点 国久松一 6


清水秀雄、4勝目と2打点

 南海は初回、先頭の柳鶴震が三塁に内野安打、猪子利男の投前送りバントが野選を誘い無死一二塁、岡村俊昭の送りバントは捕邪飛となって失敗、岩本義行は打っていったが捕邪飛に倒れて二死一二塁、この嫌な流れを国久松一が断ち切ってレフト線に二塁打、二走柳が還り1点を先制、二死二三塁から清水秀雄が中前に2点タイムリーを放ってこの回3点を先制する。

 阪急は1回裏、先頭のフランク山田伝が三塁線にバントヒット、上田藤夫が送って一死二塁、しかし黒田健吾は遊ゴロ、山下好一も遊ゴロに倒れて無得点。

 阪急は2回、先頭の井野川利春が遊ゴロ、小田野柏も遊ゴに倒れて南海のショー長谷川善三が4者連続補殺を記録、池田久之は四球を選んで出塁するが、中村栄も遊ゴロ、長谷川がそのまま二塁ベースに入ってここは刺殺となった。一塁に投げていれば5アウト連続補殺を記録したかもしれない。

 長谷川善三の活躍はまだまだ続く。阪急は4回、先頭の井野川が四球で出塁、小田野の遊ゴロを長谷川が二塁に送球して井野川は二封、続く池田の遊ゴロも長谷川が二塁に送球してこの回も2補殺記録した。

 阪急は6回、先頭の山下好一が四球を選んで出塁するとワイルドピッチで二進、井野川も四球を選んで無死一二塁、しかし小田野の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってダブルプレー。南海のショート長谷川は6回までに7補殺を記録する。

 阪急は7回、先頭の天保義夫が右前打で出塁、トップに返り山田が左前打を放って無死一二塁、上田藤夫がセオリー通り三前に送りバントを決めて一死二三塁、黒田が左前にタイムリーを放ち1-3、黒田が二盗を決めて一死二三塁、しかし山下好一は浅い右飛、井野川も左邪飛に倒れてスリーアウトチェンジ。ここで追い付けなかったのが阪急の敗因となった。

 南海は9回、一死後柳がストレートの四球で出塁すると二盗に成功、猪子のバントが犠打となって柳は三進、ここはセーフティ気味でアウトになっても柳を二塁に送れればという狙いでしょう。二死三塁から岡村が三前にタイムリーバントヒットを決めて4-1とダメ押す。

 清水は8回に先頭の小田野に四球を与えたところで降板してリリーフに神田武夫が登場、神田が2イニングを無安打に抑えて南海が快勝する。


 清水秀雄は7回3分の0を投げて5安打8四球と乱れたが1失点に抑え、戦場から復帰後無傷の4連勝をマークする。打っても貴重な2打点をあげた。


 南海のショート長谷川善三が6回まで7補殺を記録する渋い活躍、猪子利男も2つの犠打を決めて何れも得点に結びつけた。


 

17年 朝日vs名古屋 15回戦


11月3日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 0 0 1 0 2 朝日     44勝47敗6分 0.484 林安夫
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 名古屋 36勝56敗5分 0.391 森井茂 西沢道夫

勝利投手 林安夫 27勝21敗
敗戦投手 森井茂   4勝11敗

二塁打 (朝)酒沢
三塁打 (名)小鶴

勝利打点 林安夫 3

猛打賞 (朝)林安夫 2


完投勝利&勝利打点&猛打賞

 この試合は林安夫のためにあるような試合であった。

 朝日は3回、先頭の原秀雄の当りは遊ゴロ、この打球をショート小鶴誠がエラー、斉藤忠二は三振に倒れるが、トップに返り坪内道則の一ゴロの間に原は二進、好調・酒沢政夫が左中間に二塁打を放って1点を先制する。

 朝日先発の林安夫は3回まで三者凡退に抑えるパーフェクトピッチング。4回、一死後岩本章に左前打を許すが、古川清蔵を三ゴロ併殺に仕留める。

 名古屋は5回、一死後初回に手痛いエラーを犯した小鶴が汚名挽回の右中間三塁打、本田親喜の左前タイムリーで小鶴が還り1-1の同点とする。

 朝日は6回、先頭の林が二遊間に内野安打、広田修三が四球を選んで無死一二塁、早川平一の投前送りバントをピッチャー森井茂が三塁に送球するがセーフ、野選が記録されて無死満塁、しかし原に代わる代打の切り札・内藤幸三が三振、斎藤は遊飛、翌日の読売新聞・鈴木惣太郎の論評によるとショート小鶴が背走して好捕とのこと、トップに返り坪内の当りは鋭く三塁線を襲うがサード芳賀直一がダイレクトキャッチ、三直となってスリーアウトチェンジ。

 朝日は8回、先頭の酒沢が三塁線にセーフティバントを決めて出塁、しかし岩田次男は左飛、浅原直人も右飛に倒れて二死一塁、ここで酒沢が二盗に成功、ショート小鶴がランナーを牽制するため二塁寄りに守ったところを林が三遊間に転がし、打球は左前に抜けて二走酒沢が快足を飛ばしてホームに還り決勝の2点目をあげる。


 林安夫は4安打3四球2三振1失点の完投で27勝目をマーク、打っては4打数3安打の猛打賞と勝利打点を記録した。


 林と共に好調・酒沢政夫の活躍が目立った試合でもあった。


 

2016年1月7日木曜日

東田正義



東田正義氏の訃報が伝わっています。


キャリアハイの23本塁打をマークした1971年は私が中学1年の時で、後楽園球場の東映vs西鉄戦を数多く見た年でした。

この年のオールスターゲームに外野部門ファン投票第2位で選出されました。第一戦では有藤、基、長池、江藤、土井と並ぶ強力打線の六番スタメンに名前を連ねて、江夏の9連続三振の一員となっています。張本、野村、加藤がスタメンに出ていない打線ですよ!「実力のパ」と言われた当時、リーグを代表するスラッガーでした。


心よりお悔やみ申し上げます。


写真はカルビーベースボールカードと現役時代のサイン。









 

2016年1月4日月曜日

17年 大和vs阪神 15回戦


11月3日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 大和 24勝62敗10分 0.279 松本操 畑福俊英
0 0 1 0 0 0 0 2 X 3 阪神 47勝45敗5分 0.511 若林忠志

勝利投手 若林忠志 22勝13敗
敗戦投手 畑福俊英   3勝16敗

勝利打点 なし


若林忠志、完投で22勝目

 大和は2回、先頭の小松原博喜が中前打で出塁、鈴木秀雄が送って一死二塁、金子裕の中前打で一死一三塁、木村孝平の遊ゴロ併殺崩れの間に三走小松原が還って1点を先制する。

 阪神は3回、先頭の平林栄治がストレートの四球で出塁、続く三輪裕章のカウントもツーボールナッシング、ここで大和ベンチは先発の松本操から畑福俊英にスイッチ、しかし畑福もボールを2球続けて三輪もストレートの四球となり無死一二塁、この場合の与四球は松本に記録される。トップに返り塚本博睦の投前送りバントは畑福が巨体を揺らして三塁に送球し二走平林を三封、一死一二塁となって畑福が二塁に牽制、二走三輪は二三塁間に挟まれるがセカンド苅田久徳の送球が低く逸れて悪送球となり、三輪が一気にホームに還って1-1の同点とする。

 阪神先発の若林忠志は3回まで4安打を許したが、4回以降立ち直り8回まで5イニング連続三者凡退。

 阪神は8回、先頭の山口政信が二遊間に内野安打、カイザー田中義雄の三ゴロの間に山口は二進、門前真佐人は四球を選んで一死一二塁、藤井勇の一ゴロをファースト金子裕は二塁に送球するがこれが悪送球となる間に二走山口が一気にホームに還り2-1、一走門前も三塁に進んで一死一三塁、若林が二前にスクイズを決めて3-1とする。

 若林は9回、二死後小松原に右前打を許し、鈴木に代わる代打吉水幸夫をストレートの四球で歩かせて二死一二塁とするが、最後は金子を二ゴロに打ち取りゲームセット。

 若林忠志は5安打2四球2三振の完投で22勝目をあげる。


 苅田が加入して大和は変わったが、その苅田のエラーが響いた試合であった。


 

2016年1月2日土曜日

17年 大洋vs阪急 15回戦


11月2日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大洋 54勝36敗6分 0.600 野口明 重松通雄
0 0 0 2 0 0 0 0 X 2 阪急 47勝45敗6分 0.511 笠松実 森弘太郎

勝利投手 笠松実 15勝15敗
敗戦投手 野口明   0勝2敗
セーブ 森弘太郎 10

勝利打点 中村栄 2


森弘太郎、10セーブ目

 阪急は3回まで無安打ながら4四球1敵失と走者を出すが無得点。

 阪急は4回、先頭の井野川利春が四球を選んで出塁、大洋先発の野口明はこれで5個目の与四球となる。小田野柏がセンター左にヒットを放ち無死一二塁、日比野武が送りバントを決めて一死二三塁、中村栄が左前に先制タイムリーを放って1-0。大洋ベンチはここで野口明をファーストに回してファースト野口二郎がライトに回り、ライトの祖父江東一郎に代えて重松通雄が入ってリリーフのマウンドに上がる。笠松実が四球を選んで一死満塁、トップに返りフランク山田伝の三ゴロで三走小田野は本封、上田藤夫が押出し四球を選んで2-0とする。

 大洋は4回まで毎回走者を出すが、2回の一死一二塁、4回の無死一二塁のチャンスを共に遊ゴロ併殺で潰して無得点。

 大洋は6回、先頭の浅岡三郎がストレートの四球を選んで出塁、阪急ベンチはここで先発の笠松限界と見てリリーフに森弘太郎を送る。野口明は三振、野口二郎は三飛、富松信彦は一ゴロに倒れて阪急の継投策が効を奏した。

 森弘太郎は4イニングを2安打無四球2三振無失点に抑えて今季10セーブ目。セーブ王争いでは2位神田武夫の7個を引き離してトップに立っている。


 野口明は戦場から復帰して捕手として活躍しているが、投手としては今季2試合に登板して0勝2敗。昭和12年春は全盛期の沢村栄治 に見劣らないピッチングで19勝7敗の成績を残し、12年春第3期には月間MVPに輝いている。12年秋は沢村同様調子を落として14勝15敗であったが12年通年では沢村33勝と並んで野口明も33勝でトップタイである。3位は春13勝、秋15勝のスタルヒン、4位は春9勝、秋15勝の西村幸生であった。


 因みに公式記録では野口明の12年秋の成績は15勝15敗とされており、スタルヒン、西村幸生と共に最多勝のタイトルを獲得したことになっているが、これは間違いです。「日本プロ野球記録大全集」では正しく14勝15敗となっているのですが、訂正しなくてはならない要因がないのに何故か現在の公式記録では15勝15敗に変わってしまいました。システム化する時に入力ミスがあった以外に要因は考えられません。浅岡三郎の12年秋は4勝8敗が正しいのですが公式記録では3勝8敗と間違っており、チーム成績は合っている。エクセル表に入力した際に間違っていたが、合計数字は合っていてチーム成績は正しかったので誰も気が付かなかった、あるいは興味がなかったというところでしょう。但し、公式記録のタイトルが誤っている点については、いつかは修正されなくてはならないのではないでしょうか。


 12年秋については、沢村栄治 とスタルヒンの勝敗も1つ入れ違っており、公式記録では沢村は9勝6敗、スタルヒンは15勝7敗となっていますが、正しくは沢村が9勝5敗、スタルヒンは15勝8敗です。

 なお、今更お断りするまでもありませんが、「セーブ」の記録は当ブログ独自の集計で、公式記録ではありませんので念のため。



 

2016年1月1日金曜日

謹賀新年 2016



明けましておめでとうございます。

昨年は当ブログをご覧いただきありがとうございました。本年もよろしくお願いいたします。
 


 昭和17年のペナントレースも巨人の優勝が決まり、11月の40試合を残すのみとなってきました。戦局は厳しさを増していき、昭和18年の試合数は336試合と、前年の420試合から激減します。資料も最も乏しい時代に入っていきますが、そういう時代であるからこそ、当ブログの実況中継の重要性が増すものであると考えています。