2017年8月31日木曜日

18年 阪神vs西鉄 10回戦


10月12日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 阪神 34勝29敗6分 0.540 三輪八郎 若林忠志
0 0 0 0 1 2 0 0 X 3 西鉄 29勝34敗7分 0.460 近藤貞雄 重松通雄 野口二郎

勝利投手 野口二郎 17勝12敗
敗戦投手 三輪八郎   8勝9敗

二塁打 (神)塚本 (西)重松、富松

勝利打点 祖父江東一郎 1


祖父江東一郎が決勝打

 阪神は初回、先頭の塚本博睦が右中間に二塁打、金田正泰はストレートの四球で無死一二塁、しかし藤村冨美男は二飛、景浦将は遊ゴロ、門前真佐人は中飛に倒れて無得点。

 西鉄は1回裏、先頭の中村信一が三遊間に内野安打、濃人渉が四球を選んで無死一二塁、黒沢俊夫の送りバントは三邪飛となって失敗、野口明のライト線ヒットで一死満塁、しかし中村民雄は捕邪飛、山田秀夫は三振に倒れて無得点。

 阪神は2回、先頭の御園生崇男が四球で歩いて二盗を試みるがキャッチャー中村民雄からの送球にタッチアウト、玉置玉一が四球を選んで出塁、三輪八郎のピッチャー強襲ヒットで一死一二塁、武智修が左前にタイムリーを放って1点を先制、西鉄ベンチはここで先発の近藤貞雄から重松通雄にスイッチ、塚本は一飛、金田は中飛に倒れてこの回1点止まり。

 阪神先発の三輪八郎に2回~4回を三者凡退に抑えられた西鉄は5回、一死後重松が左中間に二塁打、富松信彦のニゴロで重松は三進、トップに返り中村信一は四球、農人の三塁線タイムリーで1-1の同点に追い付く。

 阪神は6回、先頭の門前が四球を選び二盗を試みるがキャッチャー中村民雄からの送球にタッチアウト、御園生が四球を選ぶと、西鉄ベンチは重松に代えてエース野口二郎を投入、田中は三ゴロ、三輪八郎は三振に倒れて西鉄のリリーフ策が効を奏す。

 西鉄は6回裏、先頭の中村民雄の当りは三ゴロ、これをこの回からサードに入っている田中義雄が一塁に悪送球、打者走者の中村は一気に三塁まで進み、山田はストレートの四球で無死一三塁、阪神ベンチはここで先発の三輪八郎から若林忠志にスイッチ、祖父江東一郎が左前に勝越しタイムリーを放って2-1、野口二郎も左前にタイムリーを放って3-1と突き放す。

 西鉄三番手の野口二郎は圧巻の投球で3回3分の2を無安打2四球1三振無失点の好リリーフ、17勝目をあげる。

 勝利打点を記録した祖父江東一郎は戦前は昭和18年でプロ生活を終える。戦後は愛知産業に所属して昭和21年はレフト、昭和22年と23年は投手として3年連続都市対抗に出場し、昭和25年の2リーグ分裂に乗じて毎日オリオンズでプロ野球に復帰し、2年間投手として出場する。その後、電通に入社して出世し、常務にまで昇進して2015年に92歳で亡くなることとなる。プロ野球出身としての出世頭でしょう。

 

2017年8月29日火曜日

18年 南海vs巨人 11回戦


10月12日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 24勝47敗2分 0.338 政野岩夫 長沼要男
0 0 0 0 2 0 0 3 X 5 巨人 47勝24敗2分 0.662 須田博

勝利投手 須田博     8勝3敗
敗戦投手 政野岩夫 0勝1敗

勝利打点 多田文久三 5


須田博、約半年ぶりの完封

 南海は昭和15年に応召された政野岩夫が帰還後3回目の登板、巨人は須田博が病気療養から復帰後2回目の登板。

 政野は序盤快調なピッチングを見せ、初回は三者凡退、2回二死後多田文久三に四球を与えるが多田の二盗をキャッチャー八木進が刺し、3回、4回も巨人打線を三者凡退に抑える。

 巨人は5回、先頭の四番・小暮力三が右前打で出塁、小暮が二盗を決め、青田昇の投前送りバントをピッチャー政野が三塁に送球するがセーフ、野選が記録されて無死一三塁、多田文久三がセンター右にタイムリーを放って1点を先制、坂本茂も左前にタイムリーを放ち2-0とする。南海ベンチはここで先発の政野から長沼要男にスイッチ、長沼が後続を抑える。

 巨人は8回、先頭の小池繁雄が左前打で出塁、須田が送りバントを決めて一死二塁、トップに返り呉昌征が三前にバントヒットを決めて一死一三塁、白石敏男が左前にタイムリーを放って3-0、不振の中島治康も左前打で続いて一死満塁、小暮は三邪飛に倒れるが、青田が左前に2点タイムリーを放って5-0として試合を決める。

 須田博は5安打1四球6三振で5月19日の阪急戦以来となる今季2度目の完封、8勝目をあげる。

 須田が復帰して藤本の負担が軽くなった巨人は独走態勢を確定させた。

 

2017年8月28日月曜日

18年 名古屋vs大和 11回戦


10月12日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 4 0 0 1 0 0 5 名軍 38勝24敗7分 0.613 石丸進一
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大和 30勝33敗6分 0.476 片山栄次

勝利投手 石丸進一 16勝8敗
敗戦投手 片山栄次 10勝17敗

二塁打 (名)吉田

勝利打点 石丸進一 2

猛打賞 (名)小鶴誠 3


石丸進一、生涯唯一の無安打無得点

 石丸進一が快投を見せた。

 1回、木村孝平を投ゴロ、岡田福吉を遊ゴロ、金子裕を二ゴロに打ち取る。2回、小島利男を三ゴロ、高橋吉雄を遊ゴロ、鈴木秀雄を投ゴロに仕留める。3回、小松原博喜を三ゴロ、片山栄次を投ゴロ、呉新亨を三振に打ち取り、ここまで外野への打球は無し。

 名古屋は4回表、先頭の加藤正二の当りは三ゴロ、これをサード高橋が一塁に悪送球、岩本章が左前打を放ち、芳賀直一が送りバントを決めて一死二三塁、藤原鉄之助は四球を選んで一死満塁、石丸進一の遊ゴロをショート木村がエラーする間に三走加藤が還って1点を先制、石丸進一には打点が記録されている。トップに返り石丸藤吉の三ゴロをサード高橋が今度は本塁に悪送球して三走岩本が生還し2-0、古川清蔵の三ゴロはサード高橋が三塁ベースを踏んだだけで三走藤原が還り3-0、二死一二塁から小鶴がレフト線にタイムリーを放って二走石丸藤吉が還り4-0とリードを広げる。

 石丸進一は4回裏、先頭の木村を遊直、岡田を左飛、金子を投ゴロに打ち取る。5回、小島を遊飛、高橋を三ゴロ、鈴木を一ゴロに打ち取る。6回、小松原を右飛、片山を三振、呉を遊ゴロに打ち取り、ここまで外野へ飛んだ打球は2個だけ。

 名古屋は7回表、一死後小鶴がこの日3本目のヒットを左前に放ち、吉田猪佐喜の右中間二塁打で一走小鶴が還り5-0と突き放す。

 石丸進一は7回裏、先頭の木村の投前セーフティバントを焦ってファンブル、一塁アウトのタイミングと判定されて石丸にエラーが記録される。無死一塁となったが、岡田を三飛、金子を二ゴロ、小島を捕邪飛に打ち取りここまで無安打ピッチング。8回、先頭の高橋を左飛、鈴木を三振、小松原には初四球を与えるが、片山を一飛に打ち取る。

 石丸進一は9回裏、先頭の呉を三ゴロに打ち取り、トップに返り木村を渾身のピッチングで三振、最後の打者となった岡田も三振に打ち取り、1四球1失策のみで無安打無得点を記録する。決勝点は自らの遊ゴロ失による得点で、石丸に打点が記録されたので勝利打点も石丸が記録したことになる。石丸進一が特攻死する1年半前の出来事である。


*石丸進一に無安打無得点に抑え込まれた大和打線。



*石丸進一の無安打無得点を伝えるスコアカード。
 

2017年8月27日日曜日

18年 朝日vs阪急 12回戦


10月12日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 朝日 36勝30敗6分 0.545 内藤幸三
0 1 0 0 0 0 0 2 X 3 阪急 27勝44敗2分 0.380 天保義夫

勝利投手 天保義夫 10勝13敗
敗戦投手 内藤幸三   7勝10敗

二塁打 (急)伊藤

勝利打点 天保義夫 1


天保義夫、1失点完投で10勝目

 朝日は2回、一死後大友一明が中前打で出塁、田中雅治の右前打で大友は三塁に進み、ライト三木久一から三塁に送球される間に打者走者の田中も二塁に進んで一死二三塁、早川平一は四球で一死満塁、内藤幸三のニゴロ併殺崩れの間に三走大友が還って1点を先制する。

 阪急は2回裏、一死後安田信夫が四球を選んで出塁、伊藤健一もストレートの四球で一死一二塁、中村栄の二遊間ヒットで一死満塁、トップに返り山田伝の三ゴロ併殺崩れの間に三走安田が還って1-1の同点、朝日と同じような得点経過であった。

 この後は朝日先発の内藤幸三と阪急先発の天保義夫が無失点ピッチングを続けて試合は8回へ。

 阪急は8回裏、先頭の上田藤夫が四球を選んで出塁、三木が送って一死二塁、笠石徳五郎に代わる代打高橋敏がライト線にヒットを放ち一死満塁、高橋の代走に仁木安を起用、天保が左前にタイムリーを放って2-1と勝越し、安田も左前にタイムリーで続き3-1と突き放す。

 天保義夫は9回も三者凡退に抑えて、7安打2四球5三振の完投で10勝目をあげる。

 内藤幸三も7安打で8回を完投したが、8四球を出したことが敗因となる。先制点も決勝点も四球で出した走者がホームに還ったものであった。

 

2017年8月26日土曜日

18年 巨人vs西鉄 12回戦


10月11日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 巨人 46勝24敗2分 0.657 藤本英雄
1 0 1 0 0 1 2 0 X 5 西鉄 28勝34敗7分 0.452 野口二郎

勝利投手 野口二郎 16勝12敗
敗戦投手 藤本英雄 30勝10敗

二塁打 (巨)多田

勝利打点 野口明 7


野口二郎、無四球完封

 西鉄は初回、先頭の中村信一が四球を選んで出塁、濃人渉の遊ゴロは「6-4-3」と転送されるがファースト小暮力三が落球して一死一塁、野口二郎の右前打で濃人は三塁に走り一死一三塁、野口明の二ゴロで三走濃人がホームに突っ込み、セカンド坂本茂がバックホームするがセーフ、野選が記録されて1点を先制する。

 西鉄は3回、先頭の中村信一が中前打で出塁、濃人が四球を選んで無死一二塁、野口二郎の投ゴロをピッチャー藤本英雄が三塁に悪送球する間に中村信一が還って2-0とする。

 西鉄は6回、一死後黒沢俊夫が中前打で出塁、中村民雄は二飛に倒れるが、祖父江東一郎が四球を選んで二死一二塁、山田秀夫のニゴロをセカンド坂本茂が二塁に悪送球する間に三塁に進んでいた二走黒沢がホームに還り3-0とする。

 西鉄は7回、先頭の中村信一が四球、農人もストレートの四球を選んで無死一二塁、野口二郎の中前打で無死満塁、野口明が押出し四球を選んで4-0、黒沢の中犠飛で5-0として試合を決める。

 野口二郎は3安打無四球3三振で今季7度目の完封、16勝目をあげる。好調の呉昌征と白石敏男を無安打に抑えたことが勝因であった。

 藤本英雄は6四球を出して自滅、春先の悪い癖が顔を出してきた。

 

2017年8月23日水曜日

埼玉初


 高校野球七不思議の一つ、関東で唯一夏の優勝が無かった埼玉県が遂に夏の初優勝。

 春のセンバツでは1968年に大宮工業、2013年に浦和学院が優勝しています。

 大宮工業の優勝は、春休みに神戸の祖母宅に帰っていた時、ラジオで聞いていました。吉沢投手のピッチングが評判でしたね。慶大に進んで六大学リーグを代表する三塁手となりました。


*1972年日米大学野球選手権大会パンフレットより。隣は東門選手です。





*1972年日米大学野球選手権大会全日本チーム色紙より、吉沢選手の直筆サイン。隣は東門選手です。



 

18年 南海vs阪神 11回戦


10月11日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 0 0 0 0 0 0 0 2 南海 24勝46敗2分 0.343 丸山二三雄
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 阪神 34勝28敗6分 0.548 若林忠志

勝利投手 丸山二三雄 5勝16敗
敗戦投手 若林忠志   20勝10敗

二塁打 (南)丸山

勝利打点 丸山二三雄 2


丸山二三雄、自らの勝利打点で完投勝利

 阪神は初回、一死後金田正泰が三塁線にセーフティバントを決めて出塁、藤村冨美男の二塁内野安打で一死一二塁、景浦将の中前タイムリーで1点を先制、バックホームの間に景浦は二塁に進み、門前真佐人は歩かされて一死満塁、しかし玉置玉一のニゴロが「4-6-3」と渡ってダブルプレー。阪神としては追加点が欲しかったところ。

 南海は2回、先頭の岡村俊昭がツーツーから3球ファウルで粘って右前打、堀井数男の遊ゴロをショート武智修がエラーして無死一二塁、中野正雄が送りバントを決めて一死二三塁、八木進の二ゴロの間に三走岡村が還って1-1の同点、丸山二三雄が左前に逆転タイムリーを放って2-1とリードを奪う。

 南海はこの後5回まで無安打。6回も無安打であったが3つの四球を奪い二死満塁としたが、八木が中飛に倒れて無得点。9回は一死後八木が左前打で出塁、丸山が左中間に二塁打を放って一死二三塁、増田敏の二ゴロで三走八木がホームに突っ込むがセカンド藤村冨美男からのバックホームにタッチアウト、トップに返り猪子利男も右飛に倒れて無得点。

 南海先発の丸山二三雄は2回以降阪神打線を無得点に抑え、7安打2四球2三振1失点の完投で5勝目をあげる。勝利打点も記録して投打に活躍した。

 今季京阪商業から南海入りした丸山は戦後も南海で活躍を続け、南海がグレートリングと称した昭和21年には25勝をあげて南海の初優勝に貢献することとなる。この年、別所は19勝に終わっており、MVPにはプレイイングマネージャーの山本一人が選出されたが、丸山が戦後初のMVPに輝いてもおかしくはなかった。

 

2017年8月20日日曜日

18年 名古屋vs朝日 10回戦


10月11日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 1 2 0 4 名軍 37勝24敗7分 0.607 野口正明
0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 朝日 36勝29敗6分 0.554 真田重蔵

勝利投手 野口正明   7勝3敗
敗戦投手 真田重蔵 11勝11敗

本塁打 (朝)小林章良 1号


野口正明、完投で7勝目

 名古屋は2回、先頭の吉田猪佐喜が右前打で出塁、加藤正二が中前打で続き、岩本章が送って一死二三塁、芳賀直一の一ゴロで三走吉田がホームに突っ込みファースト森本清三がバックホーム、タイミングはアウトであったがキャッチャー小林章良が落球して1点を先制、芳賀には打点は記録されていない。

 名古屋は7回、先頭の岩本が四球で出塁、芳賀が送って一死二塁、藤原鉄之助の二ゴロが進塁打となって二死三塁、野口正明の一塁内野安打で岩本が還り2-0、藤原の進塁打が効いた。

 朝日ベンチは、7回の第三打席で2打席連続二飛に倒れた大友一明に代えて8回の守備から野本良雄をセカンドに入れるが、これが裏目に出た。

 名古屋は8回、一死後小鶴誠が中前打、吉田が右前打で続き、加藤の二ゴロを野本がエラーして一死満塁、岩本の遊ゴロは6-4-3」と転送されるがセカンド野本からの一塁送球が悪送球となり、三走小鶴に続いて二走吉田もホームに還り4-0、岩本には1打点が記録される。

 名古屋先発の野口正明は5回まで三者凡退を続けるパーフェクトピッチング。6回、一死後早川平一の三ゴロをサード小鶴がエラーして初めての走者を出し、真田重蔵を左飛に打ち取るが、トップに返り坪内道則には中前に初ヒットを許して二死一二塁、しかし森本を左飛に打ち取り無失点。

 朝日は7回、先頭の酒沢政夫が四球で出塁、続く中谷の右飛で「9-4-6」の併殺が記録される。ライト岩本からの返球にミスがあり、一走酒沢がタッチアップから二塁に走るが、白球を拾い上げたセカンド石丸藤吉が二塁ベースカバーのショート芳賀に送球してタッチアウトとなったものでしょう。

 朝日は9回、先頭の森本がライト線にヒット、酒沢の一ゴロでランナーが入れ替わり、中谷はセンターライナーに倒れて二死一塁、ここで小林章良がレフトポール際にライナーで飛び込むツーランホームランを放ち2-4とするが反撃もここまで。

 野口正明は4安打2四球2三振の完投で7勝目をあげる。

 初回にタイムリーエラーを犯した小林章良が汚名返上のツーランホームランを放った。小林は通算28本の本塁打を記録することとなるが、そのうち27本は昭和26年以降のもので、戦前に放った本塁打はこの日の1本だけとなる。


*昭和26年松竹ロビンス選手名鑑に書かれた小林章良の直筆サイン。


 

2017年8月18日金曜日

18年 大和vs阪急 10回戦


10月11日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 2 0 2 0 0 0 4 大和 30勝32敗6分 0.484 畑福俊英
0 0 0 0 1 0 2 0 0 3 阪急 26勝44敗2分 0.371 天保義夫 笠松実

勝利投手 畑福俊英 11勝5敗
敗戦投手 天保義夫   9勝13敗

二塁打 (急)山田

勝利打点 小松原博喜 5

猛打賞 (急)上田藤夫 2


畑福俊英、最後の勝利

 大和は4回、先頭の小島利男がセンターにクリーンヒット、高橋吉雄はストレートの四球で無死一二塁、鈴木秀雄が一塁線に送りバントを決めて一死二三塁、小松原博喜が右前に先制タイムリー、ライト三木久一がエラーする間に二走高橋も還ってこの回2点を先制、小松原には1打点が記録された。

 阪急は5回、一死後中村栄がショートに内野安打、トップに返り山田伝は右邪飛に倒れ、中村が二盗を決めて上田藤夫は四球、二死一二塁から下社邦男が左前にタイムリーを放ち1-2と詰め寄る。

 阪急は6回から先発の天保に代えて笠松実をマウンドに送る。

 大和は6回、先頭の小松原が四球で出塁、畑福俊英の一塁線バントをファースト松本利一が一塁に悪送球して無死一二塁、呉新亨が送りバントを決めて一死二三塁、トップに返り木村孝平が中前にタイムリーを放って3-1、二死一三塁となってダブルスチールを敢行、三走畑福がホームスチールを決めて4-1と突き放す。

 阪急は7回、先頭の伊藤健一がストレートの四球で出塁、中村は右飛に倒れるが、トップに返り山田もストレートの四球、上田の右前打で一死満塁、下社の当り損ねの投ゴロをピッチャー畑福がバックホームするがセーフ、野選が記録されて2-4、三木が左前にタイムリーを放って3-4、三木が一塁ベースをオーバーランするが前の走者は走っておらず、レフト小松原からのバックホームを捕球したキャッチャー鈴木がピッチャー畑福に送球、畑福からファースト金子裕に転送されて「7-2-1-3」でタッチアウト、松本が三振に倒れて阪急は同点機を逸す。

 畑福俊英は9安打5四球3三振で粘りの完投、11勝目をあげる。結果的に、自らのホームスチールであげた4点目が事実上の決勝点となる。波乱の野球人生を歩んだ畑福にとって、この試合がプロ生活最後の勝利となった。
 

2017年8月17日木曜日

18年 阪急vs朝日 11回戦


10月4日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 2 0 1 1 0 0 5 阪急 26勝43敗2分 0.377 笠松実 天保義夫
0 0 0 3 0 0 0 0 0 3 朝日 36勝28敗6分 0.563 真田重蔵 内藤幸三

勝利投手 笠松実 7勝10敗
敗戦投手 真田重蔵 11勝10敗
セーブ 天保義夫 2

二塁打 (急)上田
三塁打 (急)笠松 (朝)大友

勝利打点 上田藤夫 4


天保義夫、好リリーフ

 阪急は3回、先頭の伊藤健一が四球で出塁、中村栄の三塁線バントが内野安打となって無死一二塁、トップに返り山田伝のニゴロで中村は二封、上田藤夫は浅い右飛に倒れるが、下社邦男が四球を選んで二死満塁、三木久一の三ゴロをサード中谷順次がエラーする間に三走伊藤が還って1点を先制する。

 阪急は4回、先頭の池田久之が中前打、笠松実の二前へのプッシュバントが内野安打となって無死一二塁、伊藤の投前バントをピッチャー真田重蔵が三塁に送球して二走池田は三封、中村が四球を選んで一死満塁、トップに返り山田が中前に2点タイムリーを放って3-0とリードを広げる。

 朝日は3回まで3イニング連続三者凡退。

 朝日は4回、先頭の坪内道則がストレートの四球を選んで出塁、森本清三が二遊間にヒットを放ち無死一二塁、酒沢政夫の二ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、中谷が四球を選んで一死満塁、小林章良は三邪飛に倒れて二死満塁、大友一明が右中間に走者一掃の三塁打を放って3-3の同点に追い付く。

 阪急は6回、一死後中村がライト線にヒット、トップに返り山田の二ゴロの間に中村は二進、上田が三塁線を破る二塁打を放って4-3と勝ち越す。

 阪急は7回、一死後松本利一が三塁に内野安打、5回から池田に代わってマスクを被っている安田信夫は三振に倒れるが、笠松実が左中間に三塁打を放って5-3と突き放す。

 朝日は8回、先頭の酒沢がセンター右にヒット、中谷の三ゴロをサード伊藤が二塁に送球するがセーフ、野選が記録されて無死一二塁、キャッチャー安田からの牽制球に二走酒沢が戻れず「2-6-5」でタッチアウト、盗塁死は記録されていないのでディレードスチールではない。この間に一走中谷は二塁に進み、小林は四球、大友も四球を選んで一死満塁、阪急ベンチはここで先発の笠松から天保義夫にスイッチ、田中雅治は三振、大島渡も三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 天保義夫は9回も三者凡退に抑え、1回3分の2を無安打無四球2三振無失点の好リリーフで今季2個目のセーブを記録する。

 阪急が快勝した試合であったが、目に付いたのは朝日の大友一明が放った満塁走者一掃の三塁打であった。大友は少年野球時代は松井栄造と同僚、島田商業から昭和11年に大東京入りし、同年4月29日の名古屋戦で記録した盗塁が、プロ野球史上公式戦初の盗塁とされている。応召後復帰し、戦後まで活躍を続ける。



*昭和11年4月29日の大東京vs名古屋戦では、大友一明と筒井良武が盗塁を記録しているが、プロ野球史上公式戦初の盗塁は大友一明とされている。であれば、名古屋は盗塁を記録していないので、第2号は筒井良武となる。


 

18年 巨人vs南海 10回戦


10月4日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 1 0 0 0 0 0 0 0 4 巨人 46勝23敗2分 0.667 中村政美
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 23勝46敗2分 0.333 別所昭 政野岩夫

勝利投手 中村政美 3勝5敗
敗戦投手 別所昭   14勝23敗

勝利打点 伊藤健太郎 1


中村政美、今期2度目の完封

 巨人は初回、先頭の呉昌征が一塁に内野安打、白石敏男の右前打で呉が三塁に走り無死一三塁、白石が二盗を決め、小暮力三が四球を選んで無死満塁、伊藤健太郎が押出し四球を選んで1点を先制、青田昇の三塁内野安打で2-0、中村政美の右犠飛で3-0とする。

 巨人は2回、先頭の呉が一二塁間へのヒットで出塁すると二盗に成功、白石の三塁へのヒットがタイムリーとなって4-0とする。南海ベンチはここで先発の別所昭を降ろして政野岩夫をマウンドに送る。

 政野は2回~6回を無安打に抑え、8イニングを投げて2安打4四球2三振無失点の好投を見せる。

 巨人先発の中村政美は5回まで1安打無失点。6回、一死後猪子利男に三塁内野安打、長谷川善三にバントヒットを許して一死一二塁、鈴木芳太郎は右飛に打ち取るが、岡村俊昭に四球を与えて二死満塁、しかし堀井数男を遊ゴロに打ち取り無失点。

 7回、先頭の政野は三振に打ち取るが、中野正雄に左前打、荒木正に中前打、増田敏にライト線ヒットを許して一死満塁の大ピンチ、中島治康監督はぐっと堪えて中村を続投、中村は猪子利男を遊飛、長谷川を右飛に打ち取り監督の期待に応える。
 8回も先頭の鈴木に中前打を許すが後続を抑えて無失点。9回二死後増田に中前に弾き返されるが、トップに返り猪子を二ゴロに打ち取り無失点。


 中村政美は8安打4四球5三振、後半はピンチの連続であったが無失点に抑えて今季2度目の完封、3勝目をあげる。

 巨人ではこのところ呉-白石の一二番コンビの活躍が目立っている。前節は二人とも週間MVPを獲得、この日も呉は3打数2安打2得点2四球1盗塁、白石は4打数2安打1得点1打点1四球1盗塁の活躍をを見せた。

 

2017年8月15日火曜日

サイクルスチール


 お伝えしたとおり、昭和18年10月4日、朝日の坪内道則が巨人戦でサイクルスチールを記録しました。

 過去のサイクルスチールは

 昭和12年8月29日 ライオン 柳沢騰市 対金鯱戦
 昭和13年6月1日  イーグルス 漆原進 
対ライオン戦
 昭和17年9月16日 大和   玉腰忠義 対巨人戦


の3度で、坪内は史上4度目の達成となります。過去の実況中継でお伝えしておりますのでご確認ください。

 「fj.rec.sports.baseball FAQ」というサイトによると、この後、一リーグ時代では昭和23年9月6日、大洋の本堂保次が巨人戦で記録することになります。

 その後、二リーグ時代に突入して11度記録されているようです。昭和54年6月5日、日ハムの島田誠が西武戦で達成したのを最後に、37年間達成されていないようです。


*昭和23年にサイクルスチールを達成することとなる大洋時代の本堂保次の直筆サインカード。






*現在のところ最後のサイクルスチール達成者・島田誠の直筆サインカード。


 

訂正のお知らせ


 7月31日付け「18年 名古屋vs西鉄 10回戦」において、野口二郎の勝敗を「15勝11敗」と表記していましたが、「15勝12敗」の誤りでした。

 お詫びするとともに訂正させていただきます。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。

 

18年 巨人vs朝日 10回戦

10月3日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 巨人 45勝23敗2分 0.662 藤本英雄
1 0 0 0 1 0 2 1 X 5 朝日 36勝27敗6分 0.571 内藤幸三

勝利投手 内藤幸三   7勝9敗
敗戦投手 藤本英雄 30勝9敗

二塁打 (朝)森本2、中谷、田中

勝利打点 酒沢政夫 2


坪内道則、サイクルスチール

 朝日は初回、先頭の坪内道則がセーフティバントを試みるがピッチャー藤本英雄が巧く捌いて一塁アウト、続く森本清三が右越え二塁打、パスボールで森本は三進、酒沢政夫のニゴロで三走森本がホームに突っ込み、セカンド坂本茂がバックホームするがセーフ、野選が記録されて1点を先制する。

 朝日は5回、二死後坪内がストレートの四球を選んで出塁、続く森本の打席で坪内が二盗、三盗を決め、森本が四球を選んで二死一三塁、ここで森本がスタート、キャチャー多田文久三が二塁に送球すると三走坪内もスタート、ダブルスチールが決まって2-0、坪内は二盗、三盗、本盗を決めて「サイクルスチール」を達成した。二死二塁から森本も三盗を決め、酒沢がストレートの四球で歩いて再び二死一三塁、又もダブルスチールを敢行するが今度は「2-6-2」と送球されて森本は本塁タッチアウト、二盗、三盗を決めた森本の本盗は成らず、1イニング2人のサイクルスチールは幻に終わったが、朝日は1イニング5盗塁を記録した。

 巨人は6回、先頭の坂本が三塁線にセーフティバントを決めて出塁、トップに返り呉昌征が送って一死二塁、白石敏男の一塁内野安打で1点返して1-2とする。続く中島治康のニゴロは「4-6-3」と渡ってダブルプレー。

 朝日は7回、先頭の田中雅治がストレートの四球を選んで出塁、早川平一が送って一死二塁、内藤幸三の二遊間ヒットで一死一三塁、内藤が二盗を決めて一死二三塁、トップに返り坪内の投ゴロで三走田中が飛び出すと藤本はキャッチャー多田に送球、多田が田中を三塁ベースに追い詰めてタッチアウト、この間に二走内藤は三塁に達し、打者走者の坪内も二塁に進む。記録は「1-2C」となっているが、雪隠詰めだと田中に占有権があるので内藤がアウトになる。このケースでは田中がアウトになっているので三塁ベース手前で多田がタッチアウトにしたことになる。多田としてはピッチャー内藤を走者に残すことを選択したと考えられる。ということで二死二三塁、森本が左中間に二塁打を放って4-1と突き放す。

 朝日は8回、中谷順次がレフト線に二塁打、小林章良の右邪飛で中谷がタッチアップから三進、大友一明は投ゴロに倒れて二死三塁、10月1日の南海戦で鮮烈なデビューを飾った田中雅治が右中間二塁打を放って5-1としてダメ押す。

 内藤幸三は6安打3四球7三振の完投で7勝目をあげる。内藤は今季巨人戦中心に起用されておりこの10回戦で7度目の先発、ここまで0勝5敗であったが今季巨人戦初勝利をあげた。竹内愛一監督は昭和11年に沢村を上回る奪三振を記録した「元祖・巨人キラー」を高く評価している。

 森本清三が3打数2安打二塁打2本で2打点、田中雅治が3打数1安打二塁打1本で1打点と、この日も「海草コンビ」が大活躍。坪内がサイクルスチールを決めるなど1イニング5盗塁もあり、朝日が快勝した。




*5回に坪内がサイクルスチールを達成した場面。


 

18年 阪急vs南海 12回戦


10月3日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 1 0 0 2 阪急 25勝43敗2分 0.368 天保義夫
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 南海 23勝45敗2分 0.338 丸山二三雄

勝利投手 天保義夫     9勝12敗
敗戦投手 丸山二三雄 4勝16敗

二塁打 (急)三木 (南)丸山

勝利打点 なし


天保義夫、完投で9勝目

 阪急と南海のシーズン最終戦。

 阪急は初回、先頭の山田伝がストレートの四球を選ぶと二盗に成功、上田藤夫のニゴロが進塁打となって一死三塁、下社邦男は浅い中飛に倒れるが、三木久一がレフト戦に二塁打を放って1点を先制する。

 南海は2回、先頭の丸山二三雄が右中間に二塁打、荒木正の一塁線バントをファースト笠石徳五郎が三塁に送球するがセーフ、犠打と野選が記録されて無死一三塁、荒木の二盗をキャッチャー池田久之が刺して一死三塁、増田敏の遊ゴロの間に三走丸山が還って1-1の同点とする。

 阪急は7回、池田と天保義夫が連続三振、伊藤健一が四球を選んで出塁、中村栄も四球で二死一二塁、ここでピッチャー丸山が二塁に牽制悪送球、二走伊藤が三塁に走り、白球を拾ったセカンド増田が三塁に送球するがこれも悪送球、伊藤はホームに還って2-1と勝ち越す。ダブルエラーであげた1点が決勝点となった。

 天保義夫は7安打4四球3三振の完投で9勝目をあげる。走者を出しながらのピッチングであったが、7回、8回、9回と併殺で切り抜けた。

 南海はこの試合に勝てば阪急と同率七位に並ぶチャンスであったが、阪急が最下位南海を突き放す形となった。

 今季の対戦成績は阪急が9勝3敗と圧倒した。天保が春季と秋季に3勝ずつで計6勝、江田孝が夏季リーグ戦の7月11日と18日が完封、25日が自責点ゼロの完投で3勝を記録した。天保は今季ここまで9勝のうち6勝を南海戦で稼いだことになる。南海では清水秀雄、長沼要男、丸山二三雄が1勝ずつ、別所が0勝4敗と通用しなかったことが大きく負け越した原因となった。 

 

2017年8月14日月曜日

18年 阪急vs巨人 11回戦


10月1日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 阪急 24勝43敗2分 0.358 丸尾千年次 江田孝
1 0 0 0 2 3 0 0 X 6 巨人 45勝22敗2分 0.672 須田博 藤本英雄

勝利投手 須田博 7勝3敗
敗戦投手 江田孝 4勝5敗
セーブ    藤本英雄 2

三塁打 (巨)伊藤

勝利打点 多田文久三 4


須田博復活!

 巨人は病気欠場から復帰した須田博が5月30日以来の登板となる先発。多田文久三も9月15日以来のスタメンマスク。青田昇は六番セカンドで出場するが、青田がセカンドを守るのは戦前戦後を通じて一リーグ時代ではこの試合のみとなる(スタメンアーカイブ様参照)。

 阪急は初回、先頭の山田伝が四球を選んで出塁、上田藤夫の左前打で無死一二塁、下社邦男も中前打を放って無死満塁、三木久一は三振、松本利一のニゴロ併殺崩れの間に三走山田が還って1点を先制、二死一三塁から須田がワイルドピッチを犯して三走上田が還り2-0とする。

 巨人は1回裏、先頭の呉昌征が四球で出塁、白石敏男もストレートの四球で無死一二塁、続く小暮力三のカウントがツーボールナッシングとなったところで阪急ベンチは先発の丸尾千年次から江田孝にスイッチ、小暮はツースリーから三振、この時ダブルスチールが掛かっていたがキャッチャー安田信夫が三塁に送球して呉は盗塁失敗、二塁に進んだ白石には盗塁は記録されない。二死二塁から伊藤健太郎が中前にタイムリーを放って1-2とする。

 初回乱れた須田は2回以降試合勘を取り戻し、5回まで無失点。

 巨人は5回裏、先頭の呉がセンター左にヒットを放つと二盗に成功、白石が送りバントを決めて一死三塁、小暮が四球を選び、伊藤は浅い中飛に倒れて二死一三塁、小暮が二盗を決め、中島治康が四球を選んで二死満塁、5回表の守備から青田に代わってセカンドに入っている坂本茂の三ゴロをサード伊藤健一がエラーする間に三走呉が還って2-2の同点、多田文久三がストレートの押出し四球を選んで3-2と逆転する。

 リードを奪った巨人は6回から須田に代えて藤本英雄をマウンドに送って逃げ込みを図る。

 巨人は6回裏、先頭の藤本が中前打で出塁、トップに返り呉が三塁線にバントヒットを決めて無死一二塁、白石の二ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、ここで小暮に代わって代打に沢村栄治が登場、沢村が期待に応えて中前にタイムリーを放ち三走藤本を迎え入れて4-2、伊藤健太郎が右中間に三塁打を放って6-2として試合を決める。

 須田博は5イニングを投げて3安打3四球4三振2失点、リリーフの藤本英雄が4イニングを2安打1四球1三振無失点に抑え、須田が5月23日以来の勝利投手となって7勝目をあげる。半月ぶりの出場となった多田文久三が押出し四球で勝利打点を記録する。

 沢村栄治が6回に代打で出場し中前にライナーで弾き返すタイムリーヒットを放った。沢村の最後のヒット、最後の打点となる。

 

衝撃のデビュー


 昭和18年10月1日、南海との10回戦で3打数3安打2打点と鮮烈デビューした田中雅治は、海草中学時代に春夏合計7回甲子園に出場、昭和14年、15年甲子園連覇の時の二塁手でした。

 13年春のセンバツでは控えでベンチ入りし、13年夏は三塁手。嶋清一が四球連発で降板してショートの松井実がマウンドに上がるとショートの守備に入りました。松井実は戦後、都市対抗野球で2年連続橋戸賞を獲得。

 田中は14年春のセンバツからセカンドのレギュラーになり、サードには真田重蔵が入っています。田中は二番、真田は八番でした。

 14年夏は嶋清一が5試合連続完封、準決勝、決勝と2試合連続無安打無得点で全国制覇。真田が四番嶋に続く五番に上がり、田中が六番を打っています。田中は1回戦の嘉義中戦で三塁打を放ち、準決勝の島田商業戦では4打数3安打二塁打2本など通算19打数6安打2打点を記録して優勝に貢献しています。この大会では森本清三が控えでベンチ入りしました。

 15年春のセンバツは真田が嶋の後を受けてエースとなり五番、田中が三番セカンド、森本がファーストのレギュラーとなり八番。

 15年夏は真田が四番エースで夏の甲子園二連覇。森本が二番ファーストに入り、田中は五番セカンド。田中は通算15打数3安打と振るいませんでしたが、3回戦(準々決勝)の京都商業戦では真田をリリーフしてマウンドに立ち延長12回勝利に貢献しました。

 甲子園通算47打数12安打、衝撃のデビューの下地は海草中学時代に培われていました。プロ野球には昭和18年のみ在籍、戦死することとなります。

*記録は「選抜高等学校野球大会50年史」と「全国高等学校野球選手権大会50年史」からの手計算になりますので、間違っている可能性がありますのでご了承ください。


 

2017年8月12日土曜日

18年 朝日vs南海 10回戦


10月1日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   3  3 朝日 35勝27敗6分 0.565 真田重蔵
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0  0 南海 23勝44敗2分 0.343 丸山二三雄 長沼要男

勝利投手 真田重蔵   11勝9敗
敗戦投手 丸山二三雄 4勝15敗

三塁打 (南)増田

勝利打点 小林章良 4

猛打賞 (朝)田中雅治 1


真田重蔵、9回まで無安打無得点

 真田重蔵が快投を見せた。

 初回、一死後長谷川善三にストレートの四球を与えるが、鈴木芳太郎を中飛、岡村俊昭を三飛に抑える。2回、先頭の堀井数男を三ゴロに打ち取るがサード中谷順次が一塁に悪送球、しかし中野正雄を中飛、丸山二三雄をニゴロ併殺に打ち取る。3回は荒木正、増田敏、トップに返り猪子利男を3連続中飛に打ち取る。

 4回、先頭の長谷川に四球を与えるが、鈴木の捕ゴロで長谷川を二封、岡村の一ゴロで鈴木を二封、岡村の盗塁をキャッチャー小林章良が刺してスリーアウトチェンジ。5回、6回は三者凡退。

 7回、先頭の長谷川に3打席連続で四球を与え、鈴木が送って一死二塁、しかし岡村を左飛、堀井も中飛に打ち取る。8回、先頭の中野を四球で歩かせるが、丸山を三振、荒木に代わる代打清水秀雄の飛球が一塁ファウルグラウンド上に上がると自らマウンドから駆け付けて捕球し「投邪飛」、増田も右飛に打ち取る。9回、猪子を中飛、長谷川を一飛、鈴木も右飛に打ち取り延長戦に突入。

真田重蔵は9回まで無安打4四球1三振、無失点。27個のアウトの内17個が飛球アウトで、球威で押していたものと見られる。

 朝日は8回、先頭の大友一明が四球で出塁、6回の守備から林安夫に代わってライトに入っていたプロ入り初出場の田中雅治が初打席で右前打、早川平一の遊ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、真田の遊ゴロで三走大友が本塁ベースめがけて突っ込むがショート長谷川からのバックホームにタッチアウト、先制点はならず。

 朝日打線は丸山二三雄に抑えられて9回まで3安打無得点。

 朝日は10回表、一死後田中が中前に2打席連続ヒット、しかし早川は投ゴロ、真田は右飛に倒れて無得点。

 南海は10回裏、二死後中野がチーム初ヒットを左前に放ち二盗に成功、しかし長沼は二ゴロに倒れて無得点。

 朝日は11回表、先頭の坪内道則がセンター右にヒット、坪内が二盗を決め、森本清三は四球で無死一二塁、南海ベンチはここで好投を続けてきた丸山を下げて長沼要男をマウンドに送る。酒沢政夫の三塁線バントが内野安打となって無死満塁、中谷は三邪飛に倒れて一死満塁、ここで小林が投前にスクイズ、ピッチャー長沼が本塁に送球するがセーフ、犠打と野選が記録されて1点を先制、田中が3打席連続ヒットとなる2点タイムリーをライト線に放ち3-0とする。

 南海は11回裏、一死後増田が右中間に三塁打、しかし猪子の三ゴロに三走増田が飛び出して三本間に挟まれ「5-2-5」と渡ってタッチアウト。長谷川が中飛に倒れて朝日が延長戦を制す。

 真田重蔵は11回を2安打4四球3三振で完封、11勝目をあげる。真田は戦後2度の無安打無得点を記録することになるが、この日も9回まで無安打ピッチング。この試合が無安打無得点であったら、沢村栄治 、外木場義雄と並ぶ通算3度の無安打無得点投手となっていたかもしれない。

 海草中学で真田の同僚であった田中雅治が華々しいデビューを飾った。6回の守備から林安夫に代わってライトに入り、3打席連続安打を放つ。3本目は試合を決定付ける貴重な2点タイムリーとなり、勝利打点は決勝スクイズを決めた小林章良にゆずったが、「真の殊勲者」に輝いた。

 

18年 9月 月間MVP


月間MVP

投手部門

 大和 畑福俊英 1

 当初は誰もが藤本英雄の連続受賞を疑わなかった。ところが・・・

 藤本英雄は今月8試合に登板。63回を投げて6勝2敗4完封、防御率0.57、WHIP0.97、奪三振率4.43。

 対する畑福俊英は7試合に登板。49回3分の0を投げて4勝0敗2完封、防御率0.73、WHIP1.10、奪三振率2.57。

 前月から6試合連続完封を記録した藤本は、記録が途切れた後失速。数字だけを見ると藤本を推す声もあるが、畑福は無敗であり、首位を独走する巨人に対して9月25日は4安打完投勝利、藤本との直接対決となった9月28日は9安打を許したものの無四球完封勝利。

巨人時代は剛球投手であったが、戦場から復帰後はナックルボールを駆使する軟投派に転身して新境地を開いた。

 なお、畑福は9月11日の阪急戦で完封勝利を飾っているが、「日本プロ野球記録大全集」では渡辺絢吾が完封との誤記載があり、この後記載のまま通算成績も誤って書かれていますのでご注意ください。

 第三位候補は以下の3人。

 阪神 若林忠志 4勝0敗1完封。防御率1.31、WHIP0.96、奪三振率2.44。
 朝日 真田重蔵 3勝1敗2完封。防御率1.53、WHIP1.09、奪三振率2.89。
 名軍 石丸進一 3勝2敗1完封。防御率1.54、WHIP1.20、奪三振率2.20。

  三位候補3人とは藤本と畑福が防御率で大きく上回っており、無敗と直接対決を完封で制した点を評価して畑福俊英の受賞に異論はないところでしょう。
 

打撃部門

 巨人 呉昌征 4

 「呉波」時代に3回受賞している呉昌征が4回目の受賞。今月12試合に出場して40打数14安打10得点3打点、15四球、10盗塁、打率3割5分、出塁率5割1分8厘を記録した。今月は2度盗塁を刺されたが、刺したのは2度とも阪急の池田久之捕手であった。

 次点は46打数15安打、二塁打6本を記録した大和の木村孝平となる。

 

2017年8月11日金曜日

18年 第14節 週間MVP


 今節は阪神が5勝1敗、朝日が4勝2敗、巨人が4勝2敗、大和が3勝2敗1分、阪急が3勝3敗、名古屋が2勝3敗1分、西鉄が1勝4敗1分、南海が0勝5敗1分。

週間MVP

投手部門

 朝日 真田重蔵 1

 3勝0敗2完封でプロ入り初受賞。

 阪神 若林忠志 4

 3勝0敗1完封で第6節以来4度目の受賞。

 大和 畑福俊英 2

 2勝0敗1完封、勝った相手は2戦とも首位を独走する巨人であった。2週連続受賞で、月間NVP候補にも急浮上。


打撃部門

 巨人 白石敏男 2

 19打数9安打6得点3打点8四球。トップの呉とともに首位巨人打線を牽引する。

 阪神 景浦将 1
 
 18打数6安打3得点7打点8四球。戦場から帰還してかつての猛打を復活させる。

 巨人 呉昌征 5

 22打数8安打7得点1打点6四球4盗塁で2節連続、5度目の受賞。月間NVP
最有力候補。

 朝日 森本清三 1

 22打数8安打3得点2打点。25日阪急戦、26日阪神戦で2試合連続猛打賞を記録。


殊勲賞

 阪急 笠石徳五郎 1

 9月26日の南海戦で6打数4安打、11回裏サヨナラ三塁打。

 名古屋 加藤正二 1

 9月28日の西鉄線で2打席連続本塁打

 阪神 門前真佐人 1

 21打数8安打、9月22日の名古屋戦で4打点


敢闘賞

 阪急 笠松実 1

 9月20日の西鉄戦で1安打完封。

 巨人 青田昇 1

 24打数7安打6打点。
 
 大和 片山栄次 2

 9月26日の名古屋戦で12回を2安打零封引分け。第1節以来2度目の受賞。

 大和 金子裕 1

 28打数9安打。


技能賞

 阪急 上田藤夫

 9月24日の阪神戦で4四球を記録、6試合連続四球。

 阪神 金田正泰 3

 9月28日の南海戦で政野を揺さぶる好走塁。
 

2017年8月6日日曜日

1942年のプレイボール



812日(土)午後730分から845分、NHK総合でドラマ「1942年のプレイボール」が全国放送されます。中京商業から全員が職業野球入りした「野口4兄弟」をテーマにした物語です。

昨年の春からNHK名古屋局からの依頼により、当時の資料を提供する形で制作に協力させていただきした。ドラマの中で描かれる試合内容や小道具類は、私が提供した資料に基づくものもあるかもしれませんので責任も感じています。

「制作秘話」は、アメリカ野球学会東京支部の定例会等で発表させていただきます。ぜひ、ご覧になってみてください。


http://www.nhk.or.jp/dodra/1942/
 

2017年8月5日土曜日

18年 朝日vs阪急 10回戦


9月28日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 0 1 0 0 2 朝日 34勝27敗6分 0.557 林安夫 真田重蔵
0 1 1 0 1 0 0 0 X 3 阪急 24勝42敗2分 0.364 天保義夫

勝利投手 天保義夫 8勝12敗
敗戦投手 林安夫   18勝9敗

三塁打 (急)下社

勝利打点 なし


阪急、最下位から抜け出す

 阪急は2回、先頭の安田信夫が四球を選んで出塁、天保義夫が送って一死二塁、伊藤健一の遊ゴロの間に安田は三進、中村栄が四球を選んで二死一三塁、ここで一走中村がスタート、キャッチャー小林章良が二塁に送球すると三走安田がホームに走り、中村は二塁でタッチアウト、安田が生還して1点を先制する。中村は盗塁失敗で重盗失敗の間の得点となり、安田に盗塁は記録されない。

 阪急は3回、先頭の山田伝が四球を選んで出塁、下社邦男が中前打を放って無死一二塁、山田が単独三盗を決めて無死一三塁、上田藤夫のニゴロ併殺崩れの間に三走山田が還って2-0とする。

 朝日は4回、一死後森本清三がストレートの四球で出塁、酒沢政夫の一ゴロの間に森本は二進、中谷順次の三塁線タイムリーで1-2とする。

 朝日は4回裏から先発の林安夫がライトに回り、真田重蔵がリリーフとして登板する。

 阪急は5回、先頭の中村が左前打で出塁するが二盗に失敗、二死後下社が左中間に三塁打、上田が四球を選び、三木久一の左前タイムリーで3-1と突き放す。

 朝日は7回、先頭の大友一明が右前打で出塁、林が左前打を放って無死一二塁、真田の遊ゴロが「6-4-3」と転送されるが、セカンド上田からの一塁送球が悪送球となって三塁に進んでいた二走大友がホームに還り2-3と詰め寄る。

 阪急先発の天保義夫は8回、9回を無失点で切り抜け、7安打4四球1三振の完投で8勝目をあげる。

 26日の南海戦で単独最下位から南海との同率七位に上がった阪急はこの日の勝利で単独七位となって最下位から抜け出した。一方、朝日は34勝27敗6分で阪神と同率三位となった。

 

18年 阪神vs南海 10回戦


9月28日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 1 2 0 0 0 1 5 阪神 34勝27敗6分 0.557 若林忠志
1 1 0 0 2 0 0 0 0 4 南海 23勝43敗2分 0.348 政野岩夫 丸山二三雄

勝利投手 若林忠志   20勝9敗
敗戦投手 丸山二三雄 4勝14敗

二塁打 (神)武智、藤村 (南)長谷川、鈴木

勝利打点 藤村冨美男 2


若林忠志、無四球完投で20勝!

 南海は政野岩夫が先発、戦場から復帰して昭和15年以来の登板となる。

 阪神は初回、一死後金田正泰がストレートの四球を選んで出塁、藤村冨美男の二ゴロの間に金田は二進、景浦将は四球を選んで二死一二塁、ここで二走金田がディレードスチール、ピッチャー政野が三塁に送球するが悪送球となり金田がホームイン、1点を先制する。金田が試合から遠去かっている政野に揺さぶりをかけた結果である。

 南海は1回裏、先頭の猪子利男が三塁に内野安打、長谷川善三の遊ゴロをショート武智修がエラーして無死一二塁、鈴木芳太郎が送りバントを決めて一死二三塁、岡村俊昭の中犠飛で1-1の同点、一走長谷川もタッチアップから二進、堀井数男の遊ゴロを又も武智がエラーして二死一三塁、しかし中野正雄は中飛に倒れて追加得点はならず。

 南海は2回、二死後増田敏が左前打で出塁、トップに返り猪子の右前打で二死一二塁、長谷川は左前にタイムリーを放って2-1と逆転、一走猪子が三塁を狙うが「7-1-5」と渡ってタッチアウト。昭和18年の時点でも外野からの返球に投手がカットに入っているのが分かる。

 阪神は4回、一死後若林忠志がショートに内野安打、政野のワイルドピッチで若林は二進、武智が2エラーを帳消しにする同点二塁打を右中間に放って2-2とする。

 阪神は5回、先頭の金田が右前打で出塁、藤村が左中間に二塁打を放って無死二三塁、ここで3年ぶり登板の政野がマウンド降りて丸山二三雄がリリーフ、景浦が左前に2点タイムリーを放って4-2とリードする。

 南海は5回裏、二死後長谷川がレフト線に二塁打、鈴木もライト線に二塁打を放ち3-4、岡村の一塁線タイムリーで4-4の同点に追い付く。

 阪神は9回、二死後金田が四球を選んで出塁すると丸山のワイルドピッチで二進、藤村が左前に決勝タイムリーを放って5-4と勝ち越す。

 若林忠志は6回以降を1安打無失点に抑え、8安打無四球2三振の完投で20勝目をあげる。

 阪神は景浦将が2打点をマーク、藤村冨美男が決勝打を放って若林の20勝を祝った。

 

2017年8月3日木曜日

三冠への道2017 その5


完全制覇

 5月に続いて今季2度目の完全制覇。

 7月は簡単でしたね、と、当たったので言わせていただきます(笑)。

 私の希望としては、アルトゥーベに年間MVPと獲ってもらいたい。

 

2017年8月2日水曜日

18年 巨人vs大和 10回戦


9月28日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 巨人 44勝22敗2分 0.667 藤本英雄
0 0 0 0 0 1 0 1 X 2 大和 29勝32敗6分 0.475 畑福俊英

勝利投手 畑福俊英 10勝5敗
敗戦投手 藤本英雄 30勝8敗

勝利打点 金子裕 3


畑福俊英、無四球完封で2試合連続巨人を抑える

 巨人は30勝をマークした藤本英雄、大和は巨人時代に巨人軍公式戦初勝利をマークした畑福俊英が先発。

 巨人は初回、先頭の呉昌征が三塁に内野安打、白石敏男の右前打で無死一二塁、小暮力三の三前バントが内野安打となって無死満塁、しかし青田昇は二飛に倒れ、伊藤健太郎の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー。初回の無死満塁で無得点に終わったことが巨人の敗因となった。

 5回まで1安打無得点の大和は6回、先頭の畑福は二飛に倒れるが、杉江文二が四球を選んで出塁、トップに返り木村孝平が中前打を放って一死一二塁、呉新亨の当りは真上に上がり、フェアグラウンドへの飛球となったため池田豊主審が「インフィールドフライ」を宣言、このフェアフライをキャッチャー川畑博が落球した。「インフィールドフライ」が宣告された瞬間バッター呉新亨はアウトになるがインプレーは継続する。ということで、二走杉江が抜け目なく進塁して二死一三塁、金子裕が中前にタイムリーを放って1点を先制する。

 大和は7回、一死後鈴木秀雄が四球から二盗に成功、小松原博喜も四球を選んで一死一二塁、畑福の遊ゴロをショート白石が二塁に送球して一走小松原は二封、セカンド坂本茂からの一塁転送を見て三塁に達していた二走鈴木が三塁ベースを蹴ってホームに突進、セカンド坂本からの一塁転送を捕球したファースト小暮力三は一塁ベースを踏まずにバックホーム、鈴木が本塁寸前で刺されて「6-4-3-2」のダブルプレーが完成する。

 大和は8回、先頭の杉江のスウィングが川畑のキャッチャーミットに当たり「打撃妨害」で出塁、トップに返り木村が送りバントを決めて一死二塁、呉新亨が中前にタイムリーを放って貴重な追加点を上げて2-0とする。

 畑福俊英は9安打を打たれながら無四球2三振で今季4度目の完封、10勝目をあげる。9月25日の9回戦に続いて2試合連続巨人に完投勝ち。

 杉江文二は、6回は四球で出塁すると木村孝平のヒットで二塁に進んで「インフィールドフライ落球」により三塁に進塁し、金子裕のタイムリーで先制のホームを踏むと、8回は打撃妨害で出塁して呉新亨のタイムリーで追加点のホームを踏み、2得点を記録した。

 

2017年8月1日火曜日

三冠への道2017 その4


7月の月間MVP予想

 ア打撃部門は99打数48安打、打4割8分5厘のホセ・アルトゥーベと予想します。本塁打は4本ながら二塁打10本で21打点、OPSは1.251です。7月4日~9日に5試合連続3安打を記録し、23、24日の2試合連続4安打を含めて猛打賞9回。

 ナ打撃部門は3割8分9厘、8本塁打30打点をマークしたコロラドのノーラン・アレナド。3割7分9厘、9本塁打22打点のブライス・ハーパーは次点か。

 ア投手部門は6勝0敗で防御率1.37、46奪三振をマークしたシアトルのジェームス・パクストンで決まりでしょう。ボストンのクリス・セールは3勝1敗ながら防御率1.04で56奪三振ですが、6勝0敗には負けるでしょう。

 ナ投手部門はドジャースのリッチ・ヒルが4勝0敗で防御率1.45、40奪三振をマークして有望。カーショウは3勝0敗、防御率0.72ですが、25イニングスしか投げていないので圏外と見ます。

 年間MVP候補は、アは現在3割6分8厘で二位を4分引き離しているアルトゥーベ。ナは3割2分9厘、27本塁打80打点のブライス・ハーパーが有利。

 サイ・ヤング候補はアは13勝4敗防御率2.37のクリス・セール。148回3分の1で211奪三振、奪三振率は驚異の12.80です。ナは15勝2敗防御率2.04のクレイトン・カーショウ有利と見られていましたが、DL入りで暗雲が立ち込めてきました。12勝5敗防御率2.23で201奪三振のマックス・シャーザーの逆転受賞もありますね。