2012年4月30日月曜日

14年 名古屋vs金鯱 11回戦


10月22日 (日) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 2 0 2 0 0 0 4 名古屋 33勝52敗4分 0.388 西沢道夫
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 金鯱   31勝52敗3分 0.373 中山正嘉


勝利投手 西沢道夫   6勝9敗
敗戦投手 中山正嘉 21勝18敗


二塁打 (名)加藤
本塁打 (金)野村 1号

西沢道夫2安打完投
 
 六位、七位、八位争いが熾烈を極めている。ここまで名古屋が32勝52敗4分の勝率3割8分1厘で六位、金鯱が31勝51敗3分の3割7分8厘で七位、ライオンが31勝51敗5分で同率七位タイとノーゲーム差、勝率3厘の中に三チームがひしめき合っている。


 名古屋先発の西沢道夫、金鯱先発の中山正嘉、両投手の投げ合いで3回まで両チーム無安打無得点。


 名古屋は4回、一死後大沢清が中前にこの試合両チーム通じての初安打、加藤正二が左前打で続いて無死一二塁、ここで大沢が三盗に成功、パスボールで加藤も二塁に進んで一死二三塁、中村三郎が左前に先制の2点タイムリーを放って2-0とする。


 名古屋は5回、二死後村瀬一三が中前打で出塁すると二盗に成功、しかし桝嘉一は遊ゴロに倒れる。


 名古屋は6回、先頭の大沢が二遊間に内野安打、加藤が左翼線に二塁打を放って無死二三塁、中村は三振に倒れるが三浦敏一が中前に2点タイムリーを放って4-0と突き放す。


 5回までノーヒットの金鯱は6回裏、先頭の濃人渉が右前に初ヒット、しかし五味芳夫の三ゴロは「5-4-3」と渡ってダブルプレー、野村高義が左翼スタンドにホームランを叩き込んで1-4とする。


 結局西沢道夫が許したヒットは6回の2安打のみ、西沢は2安打4四球2三振の完投で6勝目をあげる。


 名古屋は中山正嘉から7安打を奪ったがその全てを4回~6回に集中させて快勝した。大沢清と加藤正二でチャンスを作り、中村三郎と三浦敏一が決めた。
 
 
 
 
                 *西沢道夫は2安打完投で6勝目をあげる。
 

14年 イーグルスvsタイガース 10回戦


10月21日 (土) 西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 イーグルス 24勝59敗1分 0.289 亀田忠
1 0 0 0 0 2 0 0 X 2 タイガース  57勝25敗2分 0.695 若林忠志


勝利投手 若林忠志 24勝5敗
敗戦投手 亀田忠    13勝24敗


三塁打 (タ)門前
本塁打 (タ)景浦 8号


景浦将、鶴岡に並ぶ第8号
 
 タイガースは初回、先頭の松木謙治郎が左前打で出塁、続くジミー堀尾文人の左前打で松木は三塁に達して無死一三塁、景浦将の記録は投飛となっているがまさかスクイズ失敗ではないでしょう。ここでダブルスチールを試みるが「2-6-2」と渡って松木はタッチアウト。重盗の片割れアウトの場合は二塁に進んだ堀尾には盗塁は記録されない。二死二塁となって門前真佐人が右中間に三塁打を放って1点を先制する。


 タイガースは6回、一死後松木が四球を選んで出塁、堀尾の三ゴロでランナーが入れ替わり、景浦がレフトスタンドに第8号ツーランホームランを叩き込んで3-0とする。景浦はこれで鶴岡一人と並んでホームラン王争いのトップに立った。


 若林忠志は初回の太田健一に許した左前打以降、7回まで無安打ピッチング。2回~6回は全て三者凡退であった。


 イーグルスは8回、先頭の杉田屋守が死球を受けて出塁、木下政文が右前打を放って無死一二塁、伏見五郎の一塁への内野安打で無死満塁、山田潔の二ゴロ併殺打の間に三走杉田屋が還って1-3とする。この場合山田には打点は記録されない。


 イーグルスは9回、先頭の太田が四球を選んで出塁、寺内一隆、亀田忠は連続して右飛に倒れるが菅利雄の右翼線ヒットで二死一三塁と最後のチャンスを迎えるが杉田屋が二ゴロに倒れてゲームセットを告げるサイレンが高々と鳴り響く。


 両チーム4安打ずつであったが、門前、景浦の長打で試合は決まった。


 若林忠志は4安打2四球1死球1三振の完投で24勝目をあげる。亀田忠も8回を完投して4安打4四球3三振と大分復調してきている。



                *若林忠志は4安打完投で24勝目をあげる。







             *門前真佐人と景浦将の2本の長打で試合は決した。


14年 ジャイアンツvsライオン 12回戦


10月21日 (土) 西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 ジャイアンツ 60勝23敗3分 0.723 楠安夫 スタルヒン
2 1 0 0 1 0 0 0 X  4 ライオン       31勝51敗5分 0.378 近藤久


勝利投手 近藤久 3勝11敗
敗戦投手 楠安夫 6勝2敗


二塁打 (ジ)中島 (ラ)鬼頭、近藤


近藤久7安打完封
 
 ライオンは初回、先頭の水谷則一が四球を選んで出塁、坪内道則が送って一死二塁、鬼頭数雄が左中間に二塁打を放って1点を先制する。鬼頭が三盗を決めて一死三塁、室井豊は三振に倒れるが岡本利之の遊ゴロをショート白石敏男がエラーする間に鬼頭が還って2-0とする。


 ライオンは2回、先頭の西端利郎の三ゴロをサード水原茂がエラー、山本尚敏が送って近藤久の二ゴロの間に西端は三進、トップに返り水谷の中飛を今度はアチラノ・リベラ(アデラーノ・リベラ)が落球して西端が還り3-0とリードを広げる。


 ジャイアンツは3回から先発の楠安夫に代えてスタルヒンが登板する。


 ライオンは5回、先頭の近藤が右中間に二塁打、水谷は左飛に倒れて一死二塁、坪内の記録は投前送りバントなので当然セーフティバントを試みたものでしょう。二死三塁となって鬼頭が左前にタイムリーを放ち4-0とする。


 ジャイアンツは初回、先頭の白石敏男が四球で出塁するが水原の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってダブルプレー、千葉茂が四球を選び中島治康は三塁への内野安打、川上哲治も四球を選んで二死満塁とするがリベラは三振に倒れる。2回も一死後吉原正喜が四球を選び楠の右前打で一死一二塁とするが白石は一邪飛、水原は遊飛に倒れる。3回は千葉、中島、川上のクリーンナップトリオが中飛、右飛、中飛に終わる。4回は先頭のリベラが中前打で出塁、二死後スタルヒンが四球を選んで一二塁とするが白石は二ゴロに倒れる。


 5回は二死後中島が中前打から二盗を決めるが川上は二ゴロ。5回は二死後吉原の四球とスタルヒンの右前打で一二塁とするが白石は中飛。6回も二死後中島が右中間に二塁打を放つが川上は左飛に倒れる。8回は一死後平山菊二が左前打を放つが後続なく、9回も二死後千葉が四球で出塁するが最後は中島が中飛に倒れてゲームセット。


 近藤久は7安打7四球4三振、10月6日の南海戦以来今季2度目の完封で3勝目をあげる。


 ライオンは鬼頭数雄が4打数3安打1得点2打点で攻撃の中心となった。一方、ジャイアンツも中島治康が5打数3安打2盗塁であったが前後が全く打てずに孤立した。


 ジャイアンツは10月8日のセネタース戦で18得点、11日のイーグルス戦で15得点、14日のライオン戦で19得点と三試合連続で二けた得点ををあげたが15日のタイガース戦で若林忠志の打線を切るピッチングにしてやられて以来打線のつながりが見られず、これで1引分を挟んで3連敗となった。7安打7四球1失策で15人の走者を出したが先頭打者が出たのは1回と4回だけで13残塁を記録した。前日の望月潤一、本日の近藤久と連日左腕投手に完封負けを喫した。望月と近藤は11日と14日の大量失点ゲームの敗戦投手であったが見事雪辱を果たした。



                 *近藤久は7安打完封で3勝目をあげる。

2012年4月29日日曜日

14年 金鯱vsセネタース 11回戦


10月21日 (土) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 金鯱      31勝51敗3分 0.378 古谷倉之助 大宮清 内藤幸三
1 0 0 3 0 1 0 1 X 6 セネタース 45勝33敗8分 0.577 野口二郎


勝利投手 野口二郎  29勝16敗
敗戦投手 古谷倉之助 6勝17敗


二塁打 (セ)野口、苅田、尾茂田


野口二郎復活!
 
 セネタースは初回、一死後横沢七郎が左翼線にヒット、尾茂田叶は遊飛に倒れるが野口二郎が左前打を放って二死一二塁、浅岡三郎が左前に先制タイムリーを放って1-0とする。


 セネタースは4回、先頭の野口の三ゴロをサード山本次郎がエラー、続く浅岡の遊ゴロもショート濃人渉が連続エラー、柳鶴震が四球を選んで無死満塁、金鯱ベンチはここで先発の古谷倉之助をあきらめて大宮清をマウンドに送る。しかし佐藤武夫が押出し四球を選んで2-0、キャチャー松元三彦のパスボールで3-0、村松長太郎が四球を選んで再度無死満塁、織辺由三の中犠飛で4-0とする。セネタースはこの回ノーヒットで3点をあげた。


 セネタースは6回、先頭の織辺が四球で出塁、トップに返り苅田久徳が左中間にタイムリー二塁打を放って5-0とする。更に8回、一死後苅田が右前打で出塁、横沢の二ゴロでランナーが入れ替わり、尾茂田が左中間に二塁打を放ち横沢を迎え入れて6-0とする。


 金鯱は1回~3回は三者凡退。4回、先頭の濃人が遊失に生きて五味芳夫の二ゴロでランナーが入れ替わり、五味の二盗は佐藤武夫に刺されて失敗、野村高義は三振に倒れる。5回~7回も三者凡退。8回、先頭の古谷は中飛に倒れ、小林茂太が左前に初安打、しかし瀬井清の二ゴロは「4B-3」と苅田が捌いてゲッツー。9回は先頭の松元の遊ゴロをショート柳鶴震が一塁に悪送球するが武笠茂男に代わる代打長島進は遊ゴロ、内藤幸三に代わる代打森田実は中飛、最後は濃人が遊ゴロに倒れてゲームセットを告げるサイレンが高々と鳴り響く。


 野口二郎は1安打無四球2三振、今季6度目の完封で29勝目をあげる。4月14日のイーグルス3回戦以来2度目の1安打完封である。肩を痛めて調子を崩していたが完全復活を遂げた。



 翌日の読売新聞によると「試合直後池田主審が『今日の野口はカーブを一本も使わずに押し切った』と驚いていたがあの物凄い快速球があれば独り金鯱ばかりでなく如何なるチームに対しても曲球を弄する必要はあるまい。」とのこと。


 この試合については野口二郎の自伝「私の昭和激動の日々」にも詳しく書かれている。「この年、今でも鮮明に記憶している試合がある。10月21日後楽園球場で行った金鯱戦だ。ノーヒット・ノーランを逃したのである。変化球は一球も投げず、ストレート一本槍で完封していた。8回小林茂太(外野手・村田中『岩村田中の間違いか=筆者注』)という選手に対して、カウント1-2(ワンストライクツーボール=筆者注)になった。なんとなく打たれそうな気がして、カーブを投げようかとも思ったが、折角ここまでストレート一本で押して来たのだからと、ストレートを投げた。当たりは詰まっていたが、結果はヒットになって、ノーヒットの夢は破れたのであった。」




                *野口二郎は1安打完封で29勝目をあげる。







*野口二郎に1安打に封じ込められた金鯱打線


14年 南海vs名古屋 12回戦


10月21日 (土) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 0 0 1 0 0 0 3 南海     36勝47敗4分 0.434 劉瀬章 宮口美吉
1 0 0 2 1 0 0 1 X 5 名古屋 32勝52敗4分 0.381 繁里栄


勝利投手 繁里栄 13勝18敗
敗戦投手 劉瀬章   7勝13敗


二塁打 (南)国久 (名)桝
三塁打 (南)鶴岡
本塁打 (名)中村 4号


中村三郎、逆転ツーラン
 
 名古屋は初回、石田政良が左翼線にヒットを放ち出塁、村瀬一三の送りバントは投飛となって失敗に終わるが桝嘉一が左中間にタイムリー二塁打を放って1点を先制する。


 南海は3回、一死後岡村俊昭が右前打で出塁、鶴岡一人が左中間に三塁打を放って1-1の同点、二死後国久松一の二塁内野安打で2-1と逆転する。


 名古屋は4回、先頭の大沢清が中前打で出塁、加藤正二は遊飛に倒れ、服部受弘の遊ゴロでランナーが入れ替わり二死一塁、ここで中村三郎が左翼スタンドに逆転ツーランを叩き込んで3-2とする。


 名古屋は5回、先頭の繁里栄が四球を選んで出塁、石田が送って一死二塁、村瀬が中前にタイムリーを放って4-2とリードを広げる。


 南海は6回、先頭の吉川義次が右翼線にヒット、国久が左中間を抜いて吉川は二塁、三塁ベースを蹴ってホームに向かう。「8-6-2」と中継されてタイミングはアウトであったがキャッチャー吉川が落球してホームイン、3-4とする。国久に打点は記録されていない。


 名古屋は8回、一死後三浦敏一が四球を選んで出塁、中村の左前打で一死一二塁、芳賀直一の三ゴロは「5-4-3」と転送されるがセカンド上田良夫からの一塁送球が悪送球となる間に三浦が生還して5-3とする。


 繁里栄は10安打を許すも2四球3三振でカモにしている南海打線を抑えて13勝目をあげる。今シーズンのこのカードは名古屋の8勝4敗で終了したが、名古屋の勝星は全て繁里がマークしたものである。



   *“南海キラー”繁里栄が完投で13勝目をあげる。13勝中8勝を名古屋戦で稼いだ。





2012年4月28日土曜日

14年 第22節 週間MVP


 今節はタイガースが2勝0敗、ライオンが3勝1敗、阪急が2勝1敗、セネタースが1勝1敗2分、ジャイアンツが2勝2敗1分、イーグルスが2勝2敗、金鯱が1勝2敗、南海が1勝2敗、名古屋が0勝3敗1分であった。ライオンの躍進が目立った。


週MVP

投手部門

 ライオン 福士勇 3

 第1節、11節に続いて3度目の受賞。一時期調子を崩していたが完全復調となってきた。今節は2勝1セーブ1完封。


 セネタース 浅岡三郎 1

 11日の名古屋11回戦は延長11回を完投して2失点で引分け。15日のライオン11回戦では完投しながらも福士との投げ合いに0対2で敗れたが、20日の名古屋12回戦は延長11回を完投して1失点、自らの2本塁打で勝利投手となった。


打撃部門

 ライオン 水谷則一 1

 今節17打数7安打3得点1打点1四球、二塁打1本、本塁打1本。一番に定着して快調ライオンを引っ張る。


 ライオン 鬼頭数雄 2

 今節17打数6安打2得点3打点2四球、二塁打1本。水谷と共に快調ライオンを引っ張る。


 セネタース 浅岡三郎 1

 20日の名古屋戦では9回に同点ホームラン、11回に決勝ホームランを放つ。投打同時受賞は12年秋第12節の澤村栄治と13年春第11節の景浦将以来3人目となる。




殊勲賞

 ライオン 山本尚敏 1

 18日の名古屋11回戦で延長11回に決勝三塁打を放つ。


 イーグルス 望月潤一 2

 20日のジャイアンツ12回戦で完封勝利を飾る。



敢闘賞

 ライオン 井筒研一 1

 今節14打数5安打1打点、二塁打1本。快調ライオンの隠れたヒーロー。



技能賞

 阪急 山下好一 2

 14日のイーグルス10回戦で4打席連続四球を選んで3得点をマークする。


 金鯱 五味芳夫 2

14日の南海10回戦で4打席0打数1打点2四球2犠打2盗塁死を記録する。


 イーグルス 太田健一 1

 20日のジャイアンツ12回戦で6打席1打数0安打2打点4四球1犠打1盗塁を記録する。凡退の打席でも敵失で塁に出ている。


 ジャイアンツ 水原茂 1

 11日のイーグルス11回戦で3打数0安打ながら2四球と2敵失で4回塁に出て4得点を記録する。





 

14年 阪急vsライオン 12回戦


10月20日 (金) 西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 3 2 0 0 0 0 5 阪急     54勝29敗2分 0.651 高橋敏 森弘太郎 石田光彦
0 0 3 1 2 0 1 0 X 7 ライオン 30勝51敗5分 0.370 菊矢吉男 福士勇


勝利投手 菊矢吉男 14勝18敗
敗戦投手 高橋敏     16勝7敗
セーブ   福士勇 1


二塁打 (阪)日比野 (ラ)井筒
三塁打 (ラ)鬼頭


両チーム合計11失策
 
 阪急は3回まで無安打無得点。


 ライオンは3回裏、一死後水谷則一が四球を選んで出塁、坪内道則の右前打で一死一二塁、鬼頭数雄の中前タイムリーで1点を先制、この打球をセンターのフランク山田伝が後逸する間に坪内が還って2-0、鬼頭も三塁に進み室井豊の右犠飛で3-0とする。


 阪急は4回、先頭の上田藤夫が左前打で出塁、山下好一が四球を選んで無死一二塁、黒田健吾の投ゴロで上田は三封、日比野武のショートへの内野安打で一死満塁、菊矢吉男からの二塁牽制が悪送球となる間に白球を拾ってショート山本尚敏から二塁ベースカバーに入ったセカンド西端利郎に送球されるがこれが暴投となり三走山下好一が還って1-3、なお無死二三塁から伊東甚吉の遊ゴロを山本が弾く間に黒田が還って2-3、室井がパスボールを犯して3-3の同点に追い付く。


 ライオンは4回裏、先頭の山本が四球で出塁、井筒研一の三ゴロをサード黒田が二塁に悪送球、西端の二ゴロは「4-6-3」と渡ってゲッツー、二死三塁からキャッチャー日比野の三塁牽制が悪送球となって山本が還り4-3と勝ち越す。


 阪急は5回、先頭の山田の遊ゴロをショート山本が一塁に悪送球する間に山田は二進、西村正夫は四球を選んで無死一二塁、上田が右前にタイムリーを放って4-4の同点、一死後黒田の遊ゴロを山本が今度は三塁に悪送球する間に西村が還って5-4と逆転する。


 ライオンは5回裏、先頭の坪内が右前打で出塁、鬼頭が右中間に三塁打を放って5-5の同点として阪急先発の高橋敏をKO、二番手に森弘太郎が登場、一死後岡本利之の二ゴロで三走鬼頭がホームに突っ込みセカンド伊東甚吉がバックホームするがセーフ、野戦となって6-5と再逆転する。


 ライオンは6回から先発の菊矢吉男に代えて二番手として福士勇をマウンドに送る。


 ライオンは7回、一死後岡本の遊ゴロをファーストの石井武夫が落球、二死後井筒が左中間にタイムリー二塁打を放って7-5として逃げ切る。


 得点経過を見ると逆転に次ぐ逆転のシーソーゲームであるが阪急は4失策、ライオンは7失策を記録、ライオンのショート山本尚敏は4回、5回の2失策ずつを含めて5失策を記録した。


 菊矢吉男は5イニングを投げて3安打4四球2三振、5失点であったが自責点はゼロで14勝目をあげる。福士勇は4イニングをリリーフして1安打1四球無三振無失点、当ブログルールによりセーブが記録される。

2012年4月26日木曜日

14年 イーグルスvsジャイアンツ 12回戦


10月20日 (金) 西宮


0 0 0 2 0 0 0 3 3 8 イーグルス   24勝58敗1分 0.293 望月潤一
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ジャイアンツ 60勝22敗3分 0.732 川上哲治


勝利投手 望月潤一 5勝24敗
敗戦投手 川上哲治 6勝4敗


二塁打 (イ)山田、望月 (ジ)中島
三塁打 (イ)伏見


望月潤一3安打完封
 
 イーグルス先発は現在13連敗中の望月潤一、ジャイアンツは9月12日以来となる川上哲治が先発、両左腕の対決となった。



 3回まで川上に内野安打2本に抑えられていたイーグルスは4回、先頭の望月は三振に倒れるが伏見五郎が右翼線に三塁打、山田潔が四球を選び、トップに返り岩垣二郎も四球で一死満塁、太田健一が押出し四球を選んで1点を先制、菅利雄の中犠飛で2-0とする。


 イーグルスは8回、先頭の杉田屋守が四球を選んで出塁、望月が左中間にタイムリー二塁打を放って3-0、伏見の一塁内野安打で無死一三塁、山田の一ゴロで伏見が二進して一死二三塁、トップに返り岩垣の投ゴロで三走望月が突っ込むが川上からの送球に刺されてタッチアウト。太田が四球を選んで二死満塁、ここから菅、寺内一隆が連続して押出し四球を選んで5-0とする。


 イーグルスは9回、8回に続いて先頭の杉田屋が四球を選んで出塁、望月の右前打で無死一二塁、伏見の投ゴロを川上が三塁に悪送球する間に杉田屋が還って6-0、山田の中前タイムリーで7-0としてなお無死一三塁、トップに返り岩垣は一邪飛に倒れるが太田が右犠飛を打ち上げて8-0とする。


 望月潤一は初回二死後千葉茂に三塁内野安打を許すが中島治康を投ゴロに打ち取る。2回は三者凡退。3回は先頭の永澤富士雄に四球を与えるが永澤の二盗をキャッチャー伏見が刺して一死無走者、二死後白石敏男に四球を与えるが水原茂を三振に打ち取る。4回は二失と川上の左前打で一死一二塁のピンチを招くがアチラノ・リベラ(アデラーノ・リベラ)を三ゴロ、平山菊二を遊ゴロに打ち取る。5回、6回は三者凡退。


 ジャイアンツは7回、先頭のリベラが四球を選んで出塁、平山の三ゴロでランナーが入れ替わり、永澤の二ゴロで再度ランナーが入れ替わり、吉原正喜は四球、トップに返り白石も四球を選んで二死満塁、しかし水原茂は二飛に倒れてスリーアウトチェンジ。ジャイアンツの敗因はこの回流れを引き寄せることができなかったことに拠る。


 ジャイアンツは8回、一死後中島が右中間に二塁打を放つが川上は二ゴロ、リベラは遊ゴロに倒れる。


 望月潤一はジャイアンツの最終回の攻撃を三者凡退に退けて3安打5四球3三振の完封で連敗街道から脱して5勝目をあげる。打っても5打数2安打1得点1打点の活躍であった。


 翌日の読売新聞の鈴木惣太郎の論評は「巨人軍が如何に望月を苦手とするとはいえ・・(中略)・・望月に完封され3安打の散発に甘んじ8-0の大敗を蒙ったのは惨めであった。」と書いている。


 ジャイアンツの3安打は三番千葉茂、四番中島治康、五番川上哲治の各1本であった。ジャイアンツがここまで独走している要因はこのクリーンアップトリオに続くアチラノ・リベラ(アデラーノ・リベラ)と平山菊二の活躍に負うところが多い訳であるが本日は両名とも3打数無安打であった。
 
 
 
               望月潤一は3安打5四球3三振の完封で5勝目をあげる。
 

14年 金鯱vs南海 11回戦


10月20日 (金) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 1 1  2 金鯱 31勝50敗3分 0.383 中山正嘉 内藤幸三
0 0 0 0 1 0 4 1 X  6 南海 36勝46敗4分 0.439 政野岩夫


勝利投手 政野岩夫 17勝17敗
敗戦投手 中山正嘉 21勝17敗


二塁打 (金)小林茂 (南)岡村
三塁打 (南)国久

政野岩夫17勝目

 4回まで金鯱先発の中山正嘉に吉川義次の左前打と国久松一の右中間三塁打の2安打に抑えられてきた南海は5回、一死後小林悟楼が三塁に内野安打、二死後岡村俊昭が四球を選んで小林が三盗を決めて二死一三塁、鶴岡一人の三塁内野安打で小林が還って1点を先制する。鶴岡に代走岩出清が起用されているので鶴岡に何かアクシデントがあったか。


 南海は7回、先頭の小林が右前打で出塁、トップに返り平井猪三郎は二飛に倒れるが岡村が右中間に二塁打を放って一死二三塁、岩出が中前にタイムリーを放って2-0、吉川は三振に倒れるが国久が右前にタイムリーを放ち3-0としてなお二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて4-0、国久が三盗を決めて上田良夫が左前にタイムリーを放って5-0、上田は二盗に失敗してスリーアウトチェンジ。


 7回まで南海先発の政野岩夫の前に5安打無得点に抑えられてきた金鯱は8回、先頭の五味芳夫が四球を選んで出塁、二死後小林茂太が左中間にタイムリー二塁打を放って1-5とする。


 南海は8回裏、先頭の中田道信が中前打、政野が四球を選んで無死一二塁、小林は右飛に倒れて一死一二塁、金鯱ベンチはここで中山に代えて内藤幸三をリリーフに送る。しかし平井の中前タイムリーで6-1とリードを広げる。


 金鯱は9回、先頭の長島進が中前打で出塁、キャッチャー中田道信からの一塁牽制が悪送球となる間に長島は二進、内藤に代わる代打中村輝夫の一ゴロの間に長島は三進、トップに返り濃人渉が左翼線にタイムリーを放って2-6とするがここまで。


 政野岩夫は8安打7四球3三振の完投で17勝目をあげる。





                 *政野岩夫は8安打完投で17勝目をあげる。

2012年4月25日水曜日

14年 セネタースvs名古屋 12回戦


10月20日 (金) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 0 0 0 0 0 0 0 1  0   1  2 セネタース 44勝33敗8分 0.571 浅岡三郎
0 1 0 0 0 0 0 0 0  0   0  1 名古屋      31勝52敗4分 0.373 村松幸雄


勝利投手 浅岡三郎 9勝6敗
敗戦投手 村松幸雄 2勝3敗


二塁打 (セ)柳
本塁打 (名)中村 3号 (セ)浅岡 2号、3号

浅岡三郎の独り舞台
 
 昨日は第二試合が日没コールドだったことから、これまで第一試合の開始時間は午後1時であったところ、本日から30分繰り上げて12時半試合開始となった。


 セネタースはこのところ野口二郎に代わってエース格の投球を見せている浅岡三郎が先発、一方名古屋は肩を故障して志太温泉で治療を続けていた村松幸雄が4月19日以来の登板となった。


 名古屋は打線もいじってきた。不調の加藤正二を五番に下げて四番に大沢清を入れ、桝嘉一が三番、不動の九番・村瀬一三を二番に上げてきた。九番から二番に上がった事例としては昭和49年夏の甲子園、銚子商業の九番セカンド若海は3回戦の中京商業戦で3打数3安打、準々決勝の平安高校戦で4打数3安打を記録して準決勝の前橋工業戦では二番に上がって3打数1安打を記録しています。前橋工業のピッチャーは早稲田に進んで活躍したサイドハンドの向田です。若海は決勝でも二番に起用されて優勝に貢献しました。


 名古屋は2回、一死後中村三郎がレフトスタンドに第3号先制ホームランを放って1-0とする。


 半年ぶりの登板となった村松は8回までセネタース打線を5安打無得点に抑える好投を見せて9回を迎える。


 セネタースは9回、先頭の浅岡が左翼スタンドに起死回生の第2号同点ホームランを叩き込んで土壇場で1-1と追い付く。浅岡は投げても3回以降名古屋打線を3安打無得点に抑えて試合は延長戦に突入する。


 セネタースの10回表は三者凡退。名古屋は10回裏、この日二番に入っている村瀬が四球を選んで出塁、ところが続く桝嘉一は三振、村瀬も盗塁失敗となって三振ゲッツー。しかし大沢清がセンター右にヒットで出塁、加藤正二も中前打を放って二死一二塁、服部受弘の左前打で二走大沢は三塁ベースを蹴ってサヨナラのホームを狙うがレフト織辺由三からピッチャー浅岡に中継されて「7-1-2」と渡り大沢はタッチアウト。翌日の読売新聞によると大沢のスタートが遅れたとのこと。


 セネタースは11回表、尾茂田叶は二飛、柳鶴震は三ゴロに倒れて二死無走者、ここで浅岡が二打席連続の第3号ホームランをレフトスタンドに叩き込んで2-1とし、浅岡はその裏の名古屋の攻撃を代打高木茂のヒット1本に抑えて接戦をものにする。翌日の読売新聞の鈴木惣太郎の論評によると「11回二死後浅岡が立つとネット裏の少年ファンが『ホームランもう1本!』と叫んだ。浅岡はそれに応えるものの如く第一球近目の直球を叩いて再び左翼本塁打してこの接戦を決したがセ軍のこの1勝は殆ど一人の浅岡によって録された観がある。」とのことである。


 浅岡三郎は9安打7四球3三振の完投で9勝目をあげる。半年振りの登板となった村松幸雄も11回を完投して7安打4四球2三振の好投であった。



                *浅岡三郎は11回を完投して9勝目をあげる。






              *浅岡三郎が9回と11回に2打席連続ホームランを放った場面。


14年 ジャイアンツvsセネタース 11回戦


10月18日 (水) 後楽園



1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
0 0 0 0 0 0 0 0  4  4 ジャイアンツ 60勝21敗3分 0.741 中尾輝三 スタルヒン
0 0 0 0 0 0 0 1 3X 4 セネタース    43勝33敗8分 0.566 野口二郎


二塁打 (ジ)白石
本塁打 (ジ)水原 2号、リベラ 4号

日没コールド
 
 第一試合が2時間20分もかかる熱戦だったため第二試合の開始時間は3時45分となった。


 セネタースは肩を痛めて8日のジャイアンツ戦では3回5失点と打ち込まれた野口二郎が久々の快投を見せた。8回まで千葉茂に2本の単打、白石敏男に二塁打を許したのみで3安打無失点。ジャイアンツ先発の中尾輝三も7回までセネタース打線を4安打無失点に抑える。


 セネタースは8回裏、先頭の尾茂田叶がセンター右にヒット、野口が中前打で続いて無死一二塁、柳鶴震の投前送りバントは中尾が尾茂田を三封、浅岡三郎の三塁内野安打で一死満塁、佐藤武夫に代わる代打小島二男が押出し四球を選んで遂に均衡が破れて1-0とする。続く村松長太郎の中飛に三走柳が飛び出し「8-2-5」と送球されてタッチアウト。


 薄暮となったジャイアンツ9回の攻撃、先頭の白石が四球と暴投で無死二塁、水原茂が左翼スタンドに逆転ツーランを放って2-1、一死後中島治康の三飛を横沢七郎がエラー、二死後アチラノ・リベラ(アデラーノ・リベラ)が左翼スタンドにツーランホームランを放って4-1とする。


 逆転に成功したジャイアンツは9回から中尾に代えてスタルヒンをマウンドに送って逃げ込みをはかる。


 ところがスタルヒンはストライクが入らずセネタースは9回裏、先頭の織辺由三が四球を選んで出塁、トップに返り苅田久徳が右前打を放ち織辺は三塁に走る。ライト中島からの送球を中継したセカンド千葉が三塁に悪送球する間に織辺が生還して2-4、横沢は捕邪飛に倒れるが尾茂田は四球、野口も四球を選んで一死満塁、柳が押出し四球を選んで3-4、ジャイアンツは一息入れるためセンターをリベラから呉波に交代、しかしスタルヒンは落ち着きを取り戻すことが出来ず浅岡が押出し四球を選んで遂に4-4の同点とする。既に辺りは真っ暗闇となっており試合続行不可能、日没コールドで引き分ける。





*9回には打ち込まれたが野口二郎が久々に快投を見せる。一方、スタルヒンは3分の1イニングで5四球3失点の大乱調。

2012年4月24日火曜日

14年 ライオンvs名古屋 11回戦


10月18日 (水) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 0 0 0 1 1 0 0 0  0   1   3 ライオン 29勝51敗5分 0.363 菊矢吉男 近藤久 福士勇
0 2 0 0 0 0 0 0 0  0   0   2 名古屋  31勝51敗4分 0.378 西沢道夫


勝利投手 福士勇  12勝16敗
敗戦投手 西沢道夫 5勝9敗


二塁打 (ラ)鬼頭、山本
三塁打 (ラ)山本 (名)村瀬
本塁打 (ラ)水谷 2号


山本尚敏、起死回生の三塁打
 
 ライオンは初回、先頭の好調・水谷則一が中前打で出塁、しかし坪内道則は中飛、鬼頭数雄は遊飛、本日四番に入った室井豊は中飛と凡フライを打ち上げてスリーアウトチェンジ。


 名古屋は1回裏、一死後石田政良が中前打で出塁、大沢清が右前打を放って石田は三塁に進み大沢が二盗を決めて一死二三塁、しかし菊矢吉男の力投の前に加藤正二、中村三郎が連続三振に倒れる。


 ライオンは2回、二死後井筒研一が左前打を放つが山本尚敏は三振に倒れる。


 名古屋は2回裏、一死後芳賀直一が一塁に内野安打、西沢道夫の二ゴロでランナーが入れ替わり、村瀬一三が右中間に三塁打を放って1点を先制、トップに返り桝嘉一の三ゴロをサード井筒が一塁に低投する間に村瀬が還って2-0とする。


 ライオンは3回、一死後水谷が二失に生きるが坪内は二飛、鬼頭は右飛と又も凡飛を打ち上げて無得点。4回は一死後岡本利之が左前打、西端利郎が四球を選んで一死一二塁とするが井筒の三ゴロは「5C-3」と渡ってダブルプレー。


 名古屋は3回、二死後中村が左前打で出塁、菊矢がボークを犯して二死二塁、ここでライオンはファーストの岡本利之をキャッチャーに回してキャッチャーの室井に代えて鈴木秀雄が入ってファースト、三浦敏一は三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。4回は芳賀が左前打、西沢が中前打を放って無死一二塁、村瀬三振後、桝の一直に二走芳賀が飛び出してゲッツー。


 ライオンは5回、二死後水谷が右翼スタンドにホームランを放って1-2とする。


 ライオンは5回から先発の菊矢吉男に代えて近藤久をマウンドに送る。


 名古屋は5回、一死後大沢が四球で出塁、加藤の二ゴロでランナーが入れ替わり、中村の三ゴロをサード井筒がエラー、パスボール後、三浦が四球を選んで二死満塁、芳賀のカウントがスリーボールナッシングとなったところでライオンベンチは近藤から福士勇にスイッチ、近藤はストライクを二つ続けてカウントツースリー、芳賀は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。


 ライオンは6回、先頭の鬼頭数雄が四球を選んで出塁、鈴木が送って一死二塁、岡本の二塁内野安打で一死一三塁、西端利郎の中犠飛で2-2の同点に追い付く。


 6回以降は福士勇、西沢道夫の投げ合いで10回まで両軍無得点が続く。


 ライオンは11回表、一死後西端が四球を選んで出塁、二死後山本尚敏が中越えに起死回生の三塁打を放って3-2とする。福士は11回裏、二死後加藤に四球を与え、中村に代わる代打服部受弘に左前打を許して二死一二塁、最後は三浦を三振に打ち取りライオンが接戦を制す。


 福士勇は6回3分の2を5安打2四球4三振無失点の好リリーフを見せて12勝目をあげて3連勝を飾る。


 西沢道夫は11回を完投して9安打4四球8三振。西沢は11日のセネタース戦の引分けに続いて2試合連続で延長11回を完投した。まぁ西沢は昭和17年には延長28回を完投することとなる訳ですから「何ぞこれしき」といったところでしょうが。

2012年4月22日日曜日

ハードバージ、ラッキールーラ、プレストウコウ


 先月のスポニチの「我が道」では具志堅用高でインターグシケンが登場し、今月は武邦彦が主役ですので懐かしい名前が多く出てきます。当ブログでは昭和51年と昭和53年のクラシックロードをお伝えしてきまたが昭和52年が抜けており画竜点睛を欠いておりました。武邦彦編で昭和52年の皐月賞馬・ハードバージの名前が出てきましたので、昭和52年のクラシックロードをお伝えします。



 前年の朝日杯3歳ステークスはマルゼンスキーが1分34秒4の奇跡的大レコードでヒシスピードを13馬身の大差で破りますが当時は持込馬にはクラシックの出走権がありませんでした。年明けの京成杯とトキノミノル記念をそのヒシスピードが勝ったので今年のクラシックはレベルが低いと言われるようになります。毎日杯を10番人気で勝ったはハードバージは皐月賞でも8番人気の低評価でしたが天才・福永洋一が直線で内を突いて勝ちました。このレースはユーチューブで見ることができますので天才・福永洋一の天才的騎乗ぶりをご覧ください。ラッキールーラが2着、プレストウコウは13着でした。私はパドックで見ていましたがラッキールーラの気合乗りが物凄く、プレストウコウの元気のなさが目に付きました。もちろんハードバージはノーマークでした。大学1年生ですから当然馬券は買っていません(笑)。免許を取るのに手間取っていたため準硬式野球部に入部するのは5月のこととなりますので皐月賞の頃はヒマでした。


 NHK杯でプレストウコウが復活して迎えた日本ダービー、マルゼンスキーは当然出走していませんが、主戦の中野渡騎手は「大外でいい、賞金もいらない、決して他馬の邪魔はしないから出走させてほしい。」と悲痛な叫びをあげていました。天才・福永洋一はホリタエンジェルに乗り替わり、ハードバージには武邦彦が騎乗することとなります。今月の「我が道」にハードバージの名前が登場するのはこうした経緯によるものです。レースはラッキールーラが逃げて逃げて逃げ粘って大外を強襲したハードバージを抑えて勝ちました。この年のオークスのリニアクインよりも勝時計が遅かったため、レベルの低い世代と言われています。


 日本短波賞にマルゼンスキーとプレストウコウが出走しました。マルゼンスキーが三コーナーで厩舎に帰ろうとしてしまい失速してから再び走り出してプレストウコウを7馬身ちぎったレースです。このレースもユーチューブで見ることが出来ますので是非マルゼンスキーの天才ぶりをご覧ください。春のリーグ戦も終っていましたので中山競馬場で観戦していました。マルゼンスキーが光り輝いていたのをよく覚えています。


 セントライト記念を勝ち京都新聞杯をレコード勝ちしたプレストウコウは何故か菊花賞では低評価でした。グレイソブリン系グスタフの血が長距離に向かないと決めつけられていました。プレストウコウを本命に推して予想は大的中、当然馬券は買っていませんが(笑)。1年生の私が予想を的中させたことは瞬時に部内に伝わり、初めてキャプテンから褒められました。野球では一度も褒められたことはありませんが。


 マルゼンスキーは有馬記念には出走することができず、引退して種牡馬として大成功をおさめました。プレストウコウは有馬記念に出走しましたがTTGには全く歯が立ちませんでした。


 ハードバージは種牡馬では成功せず、荷車を引きながら熱射病でこの世を去ることとなります。プレストウコウとラッキールーラは韓国に売られて行きました。彼の地では手厚くもてなされたとも言われていますが。


 私が最も競馬に熱中していた3年間についてお伝えしてきました。偶然「我が道」に具志堅用高と武邦彦が2か月連続で登場してくれたお陰です。
 
 
     *昭和52年有馬記念のパドックにおけるプレストウコウの雄姿。
 
 
 
 
 
     *プレストウコウと郷原洋行騎手。
 
 
 
 
 
 
 
 
*プレストウコウの引退式の模様。4歳秋には銭形が浮かび上がっていましたがこの頃は真っ白でした。因みに芦毛馬は銭形が浮かび上がっている時が好調時であると言われています。
 
 
 
 
 

14年 阪急vs南海 12回戦


10月15日 (日) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 1 0 0 1 4 阪急 54勝28敗2分 0.659 森弘太郎 重松通雄
0 0 0 1 0 0 1 0 0 2 南海 35勝46敗4分 0.432 劉瀬章 宮口美吉


勝利投手 重松通雄 11勝10敗
敗戦投手 劉瀬章       7勝12敗


二塁打 (阪)石井
三塁打 (南)国久、岡村


重松通雄、好リリーフ
 
 阪急は初回、一死後西村正夫が四球を選んで出塁、上田藤夫の中前打で一死一三塁、山下好一が右前に先制タイムリーを放って1-0、黒田健吾が左前にタイムリーを放って2-0とする。


 3回までノーヒットの南海は4回、先頭の岡村俊昭が左前打で出塁、鶴岡一人の遊ゴロでランナーが入れ替わり、吉川義次が左中間にヒット、一走鶴岡が三塁を陥れ打者走者吉川も二塁に向かうがこれは「8-5-4」と渡ってタッチアウト、国久松一が左中間に三塁打を放って鶴岡が還り1-2とする。


 阪急は6回、先頭の西村が中前打で出塁、上田の三前送りバントをファースト吉川が逸らす間に西村は三塁に進み無死一三塁、山下好一の遊ゴロで上田が二封される間に西村が還って3-1とする。


 南海は7回、二死後平井猪三郎が左前打で出塁、岡村が右中間に三塁打を放って2-3、鶴岡は四球で二死一三塁、阪急ベンチはここで先発の森弘太郎から重松通雄にスイッチ、吉川は捕邪飛に倒れてスリーアウトチェンジ。


 南海は7回途中から劉瀬章が降板して宮口美吉がマウンドに上る。


 阪急は9回、二死後石井武夫が中越えに二塁打、重松の左翼線タイムリーで4-2とする。


 森弘太郎は掌理投手の権利を持ったまま降板しておりその後はは同点に追い付かれていないので現行ルールでは森に勝利投手が記録されて重松にセーブが記録されるが、公式記録では重松通雄に勝利投手が記録されて11勝目をあげる。

14年 金鯱vsイーグルス 11回戦


10月15日 (日) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 金鯱           31勝49敗3分 0.388 大宮清 鈴木鶴雄 古谷倉之助
0 0 1 1 0 0 0 1 X  3 イーグルス 23勝58敗1分 0.284 亀田忠


勝利投手 亀田忠 13勝23敗
敗戦投手 大宮清   2勝8敗


二塁打 (金)濃人 (イ)岩垣、寺内



亀田忠、好守に守られて今季3度目の完封
 
 イーグルスは3回、先頭の山田潔が右前打で出塁、トップに返り岩垣二郎の投ゴロでランナーが入れ替わり、太田健一が四球を選んで一死一二塁、寺内一隆の二ゴロで太田が二封されて二死一三塁、亀田忠は四球で二死満塁、菅利雄が押出し四球を選んで1点を先制する。翌日の読売新聞によると一死一三塁からの亀田の四球は敬遠であったとのこと。亀田は1回の二死三塁でも敬遠されており、この時は菅は三ゴロに倒れれている。


 金鯱は4回から先発の大宮清に代わって鈴木鶴雄が二番手としてマウンドに上る。


 イーグルスは4回、先頭の杉田屋守が中前打で出塁すると二盗に成功、一死後山田が右前にタイムリーを放って2-0とする。


 イーグルスは5回、先頭の太田が四球を選んで出塁、寺内が右中間に二塁打を放って無死二三塁、金鯱ベンチはここで鈴木から三番手として古谷倉之助にスイッチ、古谷は亀田を歩かせず果敢に勝負、亀田の当りは遊ゴロ、二走寺内がインターフェアをとられ、更に三走太田が三本間に挟まれて「6-2-5」でタッチアウト、「×6-2-5」の変則ダブルプレーが記録された。守備妨害の場合原則としてボールデッドとなりますが、寺内をかすめた打球を処理したショート濃人渉が太田がホームに突っ込んだのを見てキャッチャー松元三彦に送球してそのままプレーが続行したということでしょうか?


 イーグルスは8回、6回から菅に代わってファーストに入っている中河美芳が四球を選んで出塁、一死後杉田屋の二ゴロをセカンド五味芳夫がエラー、伏見五郎の中前打で一死満塁、山田の投ゴロで中河は本封、トップに返り岩垣が押出し四球を選んで3-0とする。


 イーグルス先発の亀田忠は立ち上がりいきなり先頭の濃人渉に左中間を抜かれ、五味に四球を与えて無死一二塁のピンチを招くが、続く野村高義を投ゴロ併殺に打ち取り波に乗った。いつもは投手の足を引っ張るイーグルス内野陣はこの日は珍しく無失策、3つの併殺を記録して亀田を助けた。亀田忠は3安打3四球4三振、5月25日以来となる今季3度目の完封で13勝目をあげる。



               *亀田忠は約5カ月ぶりの完封で13勝目をあげる。

2012年4月21日土曜日

14年 ジャイアンツvsタイガース 10回戦


10月15日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 1 0 0 0 2  3 ジャイアンツ 60勝21敗2分 0.741 中尾輝三 スタルヒン
0 2 0 2 3 0 0 2 X  9 タイガース    56勝25敗2分 0.691 若林忠志


勝利投手 若林忠志  23勝5敗
敗戦投手 スタルヒン 37勝13敗


二塁打 (ジ)呉 (タ)門前、景浦
三塁打 (タ)富松

本塁打 (タ)岡田 1号、門前 4号


首の皮一枚
 
 タイガースは2回、先頭の門前真佐人がセンター左奥に二塁打、伊賀上良平の遊ゴロに門前が飛び出し「6-5-4」と渡ってタッチアウト、富松信彦は右飛に倒れて二死一塁、岡田宗芳が左翼スタンドに第1号先制ツーランを叩き込んで2-0とする。


 ジャイアンツは3回から先発の中尾輝三に代わってスタルヒンがマウンドに上る。


 タイガースは4回、先頭の景浦将が四球を選んで出塁、門前がレフトスタンドに2試合連続の第4号ツーランを叩き込んで4-0とする。


 ジャイアンツは5回、先頭のアチラノ・リベラ(アデラーノ・リベラ)が四球で出塁、平山菊二は遊飛に倒れ、吉原正喜の遊ゴロでランナーが入れ替わり、スタルヒンの中前打で二死一二塁、トップに返り白石敏男が中前にタイムリーを放って1-4とする。


 タイガースは5回裏、若林忠志が右翼線にヒット、皆川定之が左翼線にヒットを放って無死一二塁、トップに返り本堂保次は三振に倒れるがジミー堀尾文人が中前にタイムリーを放って5-1、景浦が左翼線に2点タイムリー二塁打を放って7-1とリードを広げる。


 タイガースは8回、一死後門前が四球を選んで出塁、伊賀上の三ゴロでランナーが入れ替わり、富松が右中間に三塁打を放って8-1、岡田四球後、若林がセンター右にタイムリーを放って9-1とする。


 ジャイアンツは9回、先頭の平山が中前打で出塁、一死後スタルヒンに代わる代打呉波が左翼線にタイムリー二塁打を放って2-9、白石の一ゴロの間に呉は三進、本日も4打数無安打と元気がない水原茂に代わる代打楠安夫が四球を選んで二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて3-9とするがここまで。


 若林忠志は9安打を許しながら2四球1三振の完投で23勝目をあげる。ここまで3試合連続二けた得点のジャイアンツ打線を抑えた要因は打線を切ったことにある。ジャイアンツ打線は9安打を放ったが二番水原茂、四番中島治康、八番吉原正喜が無安打で打線がつながらなかった。というより、若林が打線をつなげなかったと見た方が適切であろう。若林は南海戦では鶴岡一人を徹底マークしているがこの日は偶数打順を徹底マークしたようだ。


 ジャイアンツに5ゲーム差を付けられていたタイガースは今日負ければ終戦となるところであったが4ゲーム差に詰めて首の皮一枚残った。

14年 セネタースvsライオン 11回戦


10月15日 (日) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 セネタース 43勝33敗7分 0.566 浅岡三郎
0 0 0 0 0 0 0 2 X  2 ライオン     28勝51敗5分 0.354 福士勇


勝利投手 福士勇  11勝16敗
敗戦投手 浅岡三郎 8勝6敗


二塁打 (ラ)岡本


福士勇今季3度目の完封
 
 セネタース先発は11日の名古屋戦で延長11回を完投した浅岡三郎、野口二郎の肩は回復していないようだ。一方、ライオン先発は7日の阪急戦で8連敗から脱出して10勝目をあげた福士勇。7回まで両先発の投げ合いが続いて0対0のまま8回に進む。


 セネタースは8回、先頭の苅田久徳が左前打で出塁、横沢七郎が送って一死二塁、野口二郎は四球に歩いて一死一二塁、尾茂田叶の二ゴロで野口は二封、尾茂田が二盗を決めて柳鶴震は四球で二死満塁、しかし浅岡は左飛に倒れてこの回無得点。


 ライオンは8回裏、二死後福士が四球を選んで出塁、トップに返り水谷則一も四球で二死一二塁、ここで坪内道則が中前に先制タイムリーを放って1-0、鬼頭数雄も左前にタイムリーを放って2-0とする。


 福士勇は9回も三者凡退に抑えて6安打4四球無三振、今季3度目の完封で11勝目をあげる。浅岡三郎も4安打3四球3三振の好投であった。


 翌日の読売新聞は「浅岡も福士もよく投げた。・・・両投手の比較であるが福士は内角低めに流れ込むシンカーを得意とし、浅岡は急速変化とカーブの使い分けを巧みにしているが矢張り得意中の得意は内角を衝く一手であり、結局両軍とも手許を抉(えぐ=筆者注)られて存分に快打を挙げることが出来なかったのである。」と伝えている。福士の「内角低めに流れ込むシンカー」とはツーシームでしょう。浅岡の「得意中の得意は内角を衝く一手」もツーシームの可能性がある。


 ツーシームはシュートと同じ握りです。回転方向に縫い目が2本しかこないので浮力が付かず右ピッチャーであれば人差し指に力を入れれば右打者の膝元に落ちながら喰い込んでいきます。フォーシームは回転方向に縫い目が4本くるので浮力が付いてホップするストレートとなります。すなわちツーシームはシュート、フォーシームはストレートのことです。ツーシームやフォーシームは最近の球種だと勘違いされている方もいらっしゃるかもしれませんが、既に福士勇も浅岡三郎も投げています。



               *福士勇と浅岡三郎の投げ合いを伝えるスコアカード

14年 金鯱vs南海 10回戦


10月14日 (土) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 2 0 0 0 0 0 0  2 金鯱 31勝48敗3分 0.392 中山正嘉
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 南海 35勝45敗4分 0.438 政野岩夫


勝利投手 中山正嘉 21勝16敗
敗戦投手 政野岩夫 16勝17敗


二塁打 (金)武笠
三塁打 (金)濃人


くせ者コンビ
 
 金鯱は3回、先頭の武笠茂男が左翼線に二塁打、中山正嘉が送って一死三塁、ここで濃人渉がセンターに三塁打を放って1点を先制、続く五味芳夫がスクイズを決めて2-0とする。翌日の読売新聞によると濃人の三塁打は「国久が遮二無二前進ノー・バウンドでとらんとした為僅かに左を抜かれて逆に三塁打を記録し」とのこと。


 この2点を中山正嘉が守り抜いた。1回、2回は三者凡退。3回は二死後上田良夫、平井猪三郎の連打と四球で二死満塁のピンチを迎えるが鶴岡一人を三邪飛に抑える。ここが功名が辻であった。


 4回は先頭の吉川義次に左前打を許すがキャッチャー長島進の好送球で三振ゲッツー。5回は政野岩夫に右前打を許すが後続を抑え、7回も小林悟楼の中前打と政野の右前打で二死一三塁とするが無失点。8回、9回を1四球ずつで逃げ切った。


 中山正嘉は6安打3四球4三振、今季7度目の完封で21勝目をあげた。


 南海先発の政野岩夫も4回以降1安打ピッチング、9回を完投して4安打3四球3三振2失点であったが、濃人、五味の「くせ者」一二番コンビにしてやられた。




 濃人渉は昭和12年春季リーグ戦を最後に応召し、翌13年10月に戦場で負傷する。永田陽一著「ベースボールの社会史」によると「翌年(昭和13年=筆者注)10月広東で左前半身を爆傷」とのこと。本年7月16日のライオン6回戦で戦地から帰還後初スタメン、その後五味芳夫との一二番コンビで低迷していた金鯱を復活させた立役者の一人となっている。


 五味芳夫は名門・甲府中学(現・山梨県立甲府第一高等学校)の出身。この試合では4打席0打数0安打2四球2犠打1打点、更に2盗塁死を記録した。五味は今季の盗塁王となるが本日は強肩中田道信に2度刺された。甲府中学時代には昭和10年の夏の甲子園1回戦の青島中学戦で現在でも最多記録として残っている1試合5盗塁を記録した。因みにセンバツでは昭和38年に北海高校の谷木恭平(後に立教大学、新日鉄室蘭を経て中日)が1試合5盗塁を記録している。甲府第一高等学校出身者でプロ野球で成功したのは五味と内藤博文であるが、内藤は選手以上に評論家としての評価が高い。異色の出身者は三神吾朗となる。三神は「ジャップ・ミカド」とされてきたが、どうやら違うらしい。名門校らしく政界、経済界に多くの人材を輩出しており、キティちゃんでお馴染みのサンリオの創業者・辻信太郎も同校の出身である。因みに「サンリオ」は「山梨王」から「サンリオウ→サンリオ」となったらしい。
 
 
 
            *中山正嘉は今季7度目の完封で21勝目をあげる。
 
 
 
 
 
 
 
 
       *濃人渉、五味芳夫の「くせ者」一二番コンビで2点をあげた場面。
 
 

14年 阪急vsイーグルス 10回戦

10月14日 (土) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
1 0 0 0 0 1 2 0 4  8 阪急       53勝28敗2分 0.654 石田光彦 高橋敏
3 0 0 0 0 0 0 0 0  3 イーグルス 22勝58敗1分 0.275 望月潤一 亀田忠


勝利投手 高橋敏  16勝6敗
敗戦投手 望月潤一 4勝24敗


二塁打 (阪)上田、黒田、山田
三塁打 (イ)寺内
本塁打 (阪)山田 1号



山下好一4打席連続四球
 
 阪急は初回、フランク山田伝の三ゴロをサード木下政文が一塁に悪送球、上田藤夫が右中間にタイムリー二塁打を放って1点を先制する。



 イーグルスは1回裏、先頭の岩垣二郎が四球を選んで出塁、太田健一が右前打を放って無死一二塁、菅利雄が送りバントを決めて一死二三塁、ここで寺内一隆が中越えに三塁打を放って2-1と逆転、阪急ベンチは早くも先発の石田光彦をあきらめて高橋敏をマウンドに送る。続く木下がエラーを挽回する右犠飛を打ち上げて3-1とする。


 イーグルス先発の望月潤一は2回、3回を三者凡退、4回は3四球に野選、盗塁があったが何とか無失点で切り抜け、5回も三者凡退。しかし6回に捕まった。


 阪急は6回、先頭の山下好一が四球で歩くと二盗に成功、黒田健吾が左翼線にヒットを放って無死一三塁、日比野武の右前タイムリーで2-3とする。伊東甚吉が送って石井武夫に代わる代打浅野勝三郎は四球で一死満塁、しかし高橋の遊ゴロは「6B-3」と渡ってスリーアウトチェンジ。


 阪急は7回、一死後山田が甲子園の広い左中間の真ん真ん中を破りイーグルス野手陣のリレーが手間取る間にホームに還る。記録はランニングホームランとなって3-3の同点、二死後山下好一が3打席連続の四球を選んで出塁、黒田が山田と同じところにタイムリー二塁打を放って4-3と逆転に成功する。


 イーグルスは8回から亀田忠が二番手としてマウンドに上る。


 阪急は9回、先頭の西村正夫が四球を選んで出塁、山田の右翼線二塁打で無死二三塁、上田藤夫が右前に2点タイムリーを放って6-3、亀田の牽制悪送球で上田は二進、山下好一は4打席連続となる四球を選んで無死一二塁、黒田が三遊間を破り無死満塁、一死後伊東の中前タイムリーで7-3、二死後高橋の右前タイムリーで8-3として試合を決める。


 阪急二番手の高橋敏は8回3分の2のロングリリーフとなったが4安打無四球2三振の安定したピッチングで無失点の好投を見せて16勝目をあげる。


 山下好一が4打席連続四球を選んで3得点と四番ながらつなぎ役に徹して勝利に貢献した。
 
 
 
 
     *高橋敏は8回3分の2のロングリリーフで16勝目をあげる。
 
 
 
 
 
 
 
               *山下好一は4打席連続四球を選ぶ。