2010年8月29日日曜日

紅白戦

 昭和12年9月11日、後楽園球場の公式戦開始を明日に控え、八球団による紅白戦が行われた。先攻の紅軍はジャイアンツ、阪急、名古屋、イーグルス。後攻の白軍はタイガース、セネタース、金鯱、ライオン。両チーム26名ずつ、合計52名が選出された。メンバーは以下のとおり。

紅軍

投手 :澤村栄治、石田光彦、木下博喜、畑福俊英
捕手 :倉信雄、島本義文、三浦敏一、バッキー・ハリス
一塁 :山下実、小島茂男
二塁 :筒井修、石丸藤吉
三塁 :水原茂、黒田健吾
遊撃 :白石敏男、芳賀直一
左翼 :山下好一、寺内一隆
中堅 :伊藤健太郎、杉田屋守
右翼 :中島治康、西村正夫
補欠 :中根之、大沢清、サム高橋吉雄


白軍 

投手 :若林忠志、野口明、古谷倉之助、近藤久
捕手 :門前真佐人、中村民雄、相原輝夫、藤浪光雄
一塁 :松木謙治郎、浅原直人
二塁 :藤村富美男、苅田久徳
三塁 :伊賀上良平、矢野槇雄
遊撃 :岡田宗芳、瀬井清
左翼 :黒澤俊夫、鬼頭数雄
中堅 :山口政信、尾茂田叶
右翼 :景浦将、水谷則一
補欠 :大貫賢、綿貫惣司、江口行男、島秀之助



 先発は、紅軍が石田光彦、白軍が若林忠志。紅軍初回の攻撃で水原茂が若林からホームランを放ち、これが後楽園第1号ホームランとして記憶されている。試合は白軍が2対1でサヨナラ勝ちした。補欠を含めた両軍26名、合計52名が全員出場したが、古谷倉之助に何かアクシデントがあったのか古谷は出場しておらず、白軍の四番手投手は公式戦同様ライトから景浦将がマウンドに上った。

 金鯱・古谷倉之助の代役として、イーグルスの望月潤一が出場した。9回裏白軍の攻撃は、江口行男右飛後、景浦が四球を選び代走に望月潤一が起用された。松木謙治郎四球、綿貫惣司左翼安打で一死満塁となり、矢野槇雄が押し出し四球を選んで望月がサヨナラのホームを踏んだ。

 イーグルスは紅軍の所属であるにもかかわらず白軍の古谷倉之助の代役に望月潤一が選ばれた理由は不明である。現在であれば金鯱から代役が選ばれなくてはならないとネット上で非難の嵐となっているでしょう。

 何でもかでもルールでがんじがらめになっている現代と比べて何とおおらかなことでしょうか。ことと場合によってはこのような柔軟な対応が求められる場合もあります。


*この試合は公式戦ではありませんので私の所有するスコアブックには記録は残っておりません。本稿は読売新聞の記事に基づき作成させていただいております。

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