2021年9月26日日曜日

白木義一郎の表記について

 「白木義一郎」について、昭和21年と22年のスコカアードでは「白木儀一郎」の表記となっている。

 多くの資料では「白木義一郎」の表記が認められるだけで、この2年間の登録名が「義」に人偏が付く「白木儀一郎」であったかどうか定かではない。

 昭和21年4月1日発行「体育週報」に各球団の登録選手名簿が掲載されており、そこには写真のとおり「白木儀一郎」と掲載されている。

 白木義一郎のキャリアがベースボールプレーヤーが主であれば「スコアカード」及び「体育週報」の表記に従うところであるが、白木義一郎氏のキャリアの大半は政治家としてのものであることから、野球人としても「白木義一郎」の表記のままとさせていただきますのでご了承ください。

*昭和21年4月1日発行「体育週報」に掲載されている選手名簿では「白木儀一郎」の表記となっている。


野球週報 ㉑

9月15日(水) 天王洲アイルBで品川ビッグスターズ(旧・品川ベースボールクラブ)の練習。本日は期待のルーキー投手とシートバッティングで真剣勝負。5打席で3安打でしたが納得のいく当りは1本だけ。彼との勝負は試合以上の価値がある。

9月16日(木) 出勤日。

9月17日(金) 出勤日。

9月18日(土) 台風のため休養日。

9月19日(日) ジムで体幹、ViPR、筋トレ。

9月20日(月) ジムでラン4キロ&ウォーク1キロ。

9月21日(火) 出勤日。 


21年 ゴールドスターvsパシフィック 10回戦

9月13日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 ゴ軍 29勝44敗1分 0.397 内藤幸三 
3 1 0 0 0 0 0 0 X 4 パ軍 31勝44敗2分 0.413 真田重蔵

勝利投手 真田重蔵 18勝16敗 
敗戦投手 内藤幸三 15勝18敗

二塁打 (パ)松井
三塁打 (ゴ)大友

勝利打点 (パ)松井信勝 3

猛打賞 (パ)松井信勝 5、真田重蔵 2


真田と松井が投打のヒーロー

 第21節2日目の第2試合は内藤幸三と真田重蔵の先発で午後3時2分、沢球審の右手が上がりプレイボール。

 ゴ軍は初回、一死後大友一明が右中間に三塁打、二死後坪内道則監督が左前に先制タイムリーを放ち1点をリードする。

 パ軍は1回裏、白石敏男、木暮力三、小島利男が3連続四球で無死満塁、主砲森下重好は一邪飛に倒れるが、伊勢川真澄の中前タイムリーで1-1の同点、松井信勝も中前に逆転タイムリーを放ち2-1、二走小島もホームに突っ込むが、センター坪内からのバックホームにタッチアウト、一走伊勢川は三塁に進んで二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて3-1とする。
 パ軍は2回裏、先頭の平野徳松がショートに内野安打、酒沢政夫の悪送球が加わり無死二塁、真田が中前打で続いて無死一三塁、トップに返り白石は三振に倒れて一死一三塁、小暮の一ゴロ併殺崩れの間に三走平野が還って4-1とリードを広げる。

 ゴ軍は3回以降8回まで毎回走者を出すがあと1本が出ず無得点。

 パ軍も3回以降毎回走者を出すが追加点を奪えず。

 真田重蔵は最終回を三者凡退に抑え、6安打4四球3三振で完投、18勝目をあげてハーラートップの白木義一郎に1勝差と迫る。

 初回に逆転の決勝打を放ったのは松井信勝。この日の投打のヒーロー真田と松井は昭和14年夏の甲子園で対戦している。嶋清一が全試合完封、準決勝・決勝連続無安打無得点で知られるこの大会で海草中学と嘉義中学は1回戦で対戦し、嘉義中の二番ショートで出場した松井信勝は嶋清一に対して4打数無安打であった。真田は五番サードで出場して4打数2安打。四番でエースの嶋清一は4打数2安打、二塁打1本、三塁打1本を記録している。

2021年9月23日木曜日

野球週報 ⑳

9月8日(水) 天王洲アイルAで品川ビッグスターズ(旧・品川ベースボールクラブ)の練習。試合形式のシートバッティングングではダッシュを連発。かなり腰にきました。

9月9日(木) 出勤日。

9月10日(金) 出勤日。

9月11日(土) 秋葉原のバッティングセンターで110㌔、110㌔、110。腰の調子が気になるので緩めの球を右打ち。ライトへのライナー連発でしたが早めに切り上げました。

9月12日(日) 腰のための休養日。

9月13日(月) 出勤日。

9月14日(火) 出勤日。


訂正のお知らせ

 セ軍vsグ軍8回戦5回表の併殺について、「一言の一ゴロが「3-2-3」と転送されて4つ目のダブルプレー」とお伝えしていましたがこれは誤りで、正しくは「一言の一ゴロでファースト堀井がベースを踏んでツーアウト、この時三走長持がスタートを切り、堀井がキャッチャー筒井に送球してタッチアウト、4つ目のダブルプレー」でした。お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです。

*5回の併殺はまず一言が一塁でアウトになってツーアウト、続いて三走長持がホームでタッチアウトで併殺。




21年 セネタースvsグレートリング 8回戦

9月13日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 1 0 2 セ軍 33勝41敗 0.446 白木義一郎 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 グ軍 48勝28敗1分 0.632 別所昭

勝利投手 白木義一郎 19勝13敗 
敗戦投手 別所昭        12勝8敗

二塁打 (セ)飯島

勝利打点 (セ)長持栄吉 2

白木義一郎、エース対決を制す

 第21節2日目の第1試合は白木義一郎、別所昭のエース対決で午後1時丁度、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 セ軍は初回、先頭の横沢七郎が四球で出塁、しかし一言多十の二ゴロをセカンド安井亀和がベースを踏んで一塁転送してダブルプレー、直後に飯島が右前打、しかし期待の大下は三振に倒れて無得点。

 グ軍はその裏、一死後河西俊雄、田川豊が連続四球、山本一人監督の遊ゴロをショート鈴木清一は三塁に送球して河西は三封、田川の三盗はキャッチャー熊耳武彦からの送球にタッチアウト。

 セ軍は2回表、先頭の白木が中前打で出塁、熊耳がスリーボールツーストライクから2球ファウルで粘って四球を選び無死一二塁、しかし鈴木の二ゴロが「4-6-3」と渡って2イニング連続のダブルプレー、二死三塁から長持栄吉が中前に先制タイムリーを放ち1点をリードする。

 セ軍は3回表、一死後一言が中前打で出塁するが、飯島の三ゴロが「5-4-3」と渡って3イニング連続ダブルプレー。

 セ軍は5回も一死満塁のチャンスを作るが一言の一ゴロでファースト堀井がベースを踏んでツーアウト、この時三走長持がスタートを切り、堀井がキャッチャー筒井に送球してタッチアウト、4つ目のダブルプレー。

 白木は味方の拙攻を横目に好投を続け、3回に筒井に中前打を許しただけで7回まで1安打ピッチング。

 セ軍は8回表、一死後一言が三前に内野安打、飯島はストレートの四球で無死一二塁、キャッチャー筒井からの一塁牽制に飯島が一二塁間に挟まれタッチアウトとなる間に一言は三塁に進み、大下は歩かされて二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて2-0とリードを広げ白木を援護する。

 グ軍は8回裏、先頭の宮崎仁郎が死球を受けて出塁、トップに返り安井は一邪飛、河西は左飛に倒れるが、田川が一二塁間にヒット、宮崎は三塁に進んで二死一三塁、白木は山本との勝負を避けて二死満塁、堀井の二遊間への当りをセカンド清水喜一郎が捕球してそのまま二塁ベースを踏みスリーアウトチェンジ。

 グ軍は最終回、先頭の別所は三ゴロ、岡村俊昭の二ゴロをセカンド清水がファインプレーでアウト、最後は筒井が投ゴロに倒れて完封負け。この時はまだ白木は一塁にそのまま送球している。白木が投ゴロをキャッチャー熊耳に投げて「1-2-3」でアウトにしたのは翌年、昭和22年4月18日のことである。

 白木義一郎は2安打4四球1死球4三振、今季3度目の完封でエース対決を制し、激しいハーラー争いから一歩抜け出した。

2021年9月21日火曜日

野球週報 ⑲

9月1日(水) 天王洲アイルCで品川ビッグスターズ(旧・品川ベースボールクラブ)の練習。久しぶりに涼しくて体がよく動きました。シートバッティングングでは内角低めをレフトに鋭いライナー。雨が降る前に4時間みっちり練習。

9月2日(木) 出勤日。

9月3日(金) 出勤日。

9月4日(土) ジムで体幹、ViPR、筋トレ、ランのフルコース。

9月5日(日) 有明ガーデンの「ドクターストレッチ」で100分間ストレッチ。股関節と上半身のメンテナンス。

9月6日(月) 出勤日。

9月7日(火) 出勤日。


語り継がれるべき試合

 実況のとおり、昭和21年9月12日、中部vsタ軍のダブルヘッダー第2試合は語り継がれるべき名勝負となりました。

 杉浦清監督は1点リードの8回裏に手痛いタイムリーエラーを犯しますが、9回裏には藤村富美男監督のサヨナラ二塁打を防ぐ中継プレーを見せ、12回表に決勝の2点タイムリー三塁打を放ちました。

 藤村富美男監督も5回裏に逆転の2点タイムリー二塁打を放ち、8回表には一死二三塁で杉浦清監督の三ゴロをバックホームして三走服部を刺し、12回裏には中前打で出塁して御園生の三塁打で1点差に迫るホームを踏むなど、両軍監督の意地と意地がぶつかり合う好ゲームとなったのです。

 当ブログは森下博と藤原鉄之助の走塁が勝負の分岐点と見ました。森下はこの日がプロ入り3試合目の出場で3回裏に初めて打席に立ち四球で初出塁、長谷川善三の右飛に目測を誤り併殺を喫ました。これは試合経験の不足が原因です。藤原は5回表に先頭打者で三塁打を放ち、三村の二ゴロでスタートを切りかけますがセカンド宮崎剛がサードに送球すると帰塁して野選を誘いました。中部はここから5点を取ります。

 中盤のこの二つの走塁が勝負の明暗を分けたと見ます。

 客観的に見て、タ軍が戦後復活初年度の優勝を逃した最大の原因はこの日の最下位中部とのダブルヘッダーに連敗したことにあります。

 最下位に低迷する中部は9月7日のゴ軍戦で16対1の快勝をしてチームが変わりました。この日のダブルヘッダーで10対7、10対9の死闘を制したことで、選手たちの勝負に対する考え方も変わったと考えられます。

 藤原鉄之助は赤嶺旋風で昭和24年に巨人に移り、正捕手として巨人の戦後初優勝に貢献します。

 小鶴誠、金山次郎、三村勲は松竹水爆打線に名を連ねてセリーグ初代優勝の核となります。

 加藤正二はプロでは優勝経験がありませんが、現役引退後は母校の中央大学監督としてリーグ戦優勝に導きます。

 服部受弘は8年後も中日ドラゴンズに在籍しており、チーム初優勝に貢献します。

 古川清蔵は現役引退後は競馬評論家に転じて勝負の世界に生き続けます。

 このような語り継がれるべき試合を語り継ぐのが、当ブログの使命です。 


2021年9月19日日曜日

21年 中部日本vsタイガース 7回戦

9月12日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12  計
0 0 0 0 5 2 0 1 0  0   0   2  10 中部 28勝46敗2分 0.378 森井茂 服部受弘
1 0 1 0 5 0 0 1 0  0   0   1   9  タ軍 46勝29敗 0.613 森下博 富樫淳 野崎泰一

勝利投手 服部受弘 10勝6敗 
敗戦投手 野崎泰一   6勝8敗

二塁打 (中)服部、岩本 (タ)藤村2
三塁打 (中)藤原、三村、杉浦 (タ)呉、御園生

勝利打点 (中)杉浦清 2

猛打賞 (タ)呉昌征 6、金田正泰 16、藤村富美男 7


語り継がれるべき試合

 ダブルヘッダー第2試合は森井茂と森下博の先発で午後2時55分、沢球審の右手が上がりプレイボール。

 タ軍は初回、先頭の呉昌征が二塁にヒット、金田の右前打で無死一三塁、土井垣の二ゴロで金田が二封される間に三走呉が還って1点を先制する。

 タ軍は3回裏、先頭の森下がプロ入り初打席でストレートの四球を選んでプロ入り初出塁、しかし長谷川の右飛に戻れず「9-3」と送球されてダブルプレー、試合経験の乏しさが出たか、直後にトップに返り呉昌征が右中間に三塁打、中部ベンチは早くも森井に代えて第1試合で好リリーフを見せた服部受弘を投入、金田が四球を選んで二死一三塁、土井垣の初球にダブルスチールを決めて2-0とする。

 4回まで1安打無得点の中部は5回表に反撃。先頭の藤原が右越えに三塁打、三村の二ゴロで三走藤原がスタートを切りかけ、セカンド宮崎剛がサードに送球するが藤原が戻ってセーフ、野選が記録されて無死一三塁、服部が四球を選んで無死満塁、金山に代わる代打大沢清が押し出し四球を選んで1-2、タ軍ベンチはここで先発の森下に代えて富樫淳を投入、しかし富樫はストライクが入らず岩本も押出し四球を選んで2-2の同点、ストライクを取りに行った初球を杉浦清監督が左前に2点タイムリーして4-2と逆転、レフト金田からの返球を中継した野崎の本塁送球が逸れる間に岩本は三塁に進み、タ軍はここで三番手として野崎泰一を投入、野崎が奮起して古川、小鶴は連続三振、しかし加藤正二の遊ゴロをショート長谷川が一塁に悪送球する間に三走岩本が還って5-2とする。

 タ軍は5回裏、先頭の宮崎が三遊間にヒット、一死後長谷川の右前打で一三塁、トップに返り呉昌征が四球を選んで一死満塁、金田の中前2点タイムリーで4-5と1点差、土井垣が四球を選んで再度一死満塁、藤村富美男監督が右中間に逆転の2点タイムリー二塁打を放ち6-5、御園生が四球を選んで三度一死満塁、山口政信の二ゴロの間に三走土井垣が還って7-5と再び2点差とする。

 中部は6回表、先頭の三村が左中間に三塁打、服部は四球、山本尚敏も四球を選んで無死満塁、トップに返り岩本の遊ゴロ併殺の間に三走三村が還って6-7、杉浦の遊ゴロをショート長谷川が一塁に悪送球する間に岩本の併殺打で三塁に残っていた服部が還って7-7の同点とする。

 中部は8回表、先頭の服部が左中間に二塁打、山本の送りバントは捕邪飛となって一死二塁、土井垣の二塁けん制が悪送球となって服部は三進、岩本が四球から二盗を決めて一死二三塁、杉浦の三ゴロで三走服部が決死のスタートを切るがサード藤村からのバックホームにタッチアウト、二死一三塁となったところでダブルスチールを決めて8-7と勝ち越す。

 タ軍は8回裏、先頭の御園生が二遊間をゴロで抜けるヒット、これをセンター古川が後逸する間に打者走者の御園生は三塁に進み、山口は三振に倒れて一死三塁、宮崎の遊ゴロで三走御園生がホームに突っ込み、ショート杉浦のバックホームはタイミング的にはアウトであったが高く逸れて御園生が生還、8-8の同点とする。

 タ軍は9回裏、先頭の呉昌征は一ゴロ、このプレーは「3-1A」と記録されており、この時代には既に一ゴロで投手が一塁ベースカバーに入っていたことが判明した。一般には投手の一塁ベースカバーは巨人がドジャース戦法を取り入れてベロビーチキャンプで練習してからと言われている。金田が中前打を放って一死一塁、土井垣の二ゴロでランナーが入れ替わり、藤村の右中間二塁打で土井垣はサヨナラのホームに突っ込むが、センター古川-ショート杉浦-キャッチャー藤原と中継されてタッチアウト。試合は延長戦に突入する。

 中部は12回表、一死後服部が四球で出塁、山本も四球を選び、トップに返り岩本は左飛に倒れて二死一二塁、ここで杉浦清監督が左中間に2点タイムリー三塁打を放ち土壇場で10-8とリードする。

 タ軍は12回裏、二死後藤村富美男監督が中前打で出塁、御園生が右中間にタイムリー三塁打を放ち9-10と1点差、しかし最後は山口が遊ゴロに倒れて激戦に終止符を打つ。

 中部は9日と本日のダブルヘッダーに4連勝、服部受弘は3勝1セーブを記録した。

 杉浦清監督と藤村富美男監督の意地がぶつかり合ったこの試合は戦後最初の名勝負であり、永く後世に語り継がれるべきゲームであった。


2021年9月16日木曜日

岩本章もプロ野球初のサイクルを逃す

 第21節初戦で岩本章が5打数4安打、二塁打1本、三塁打2本、本塁打1本を記録して先日の杉浦清に続いてプロ野球初のサイクルヒットを逃した。岩本にとっては開幕2戦目の巨人戦で藤本英雄から放ったプロ野球戦後初本塁打となる逆転サヨナラスリーラン以来の華々しい活躍となった。

 岩本は川上や吉原と共に巨人軍花の13年組であったが巨人では芽が出ず、名古屋に移籍して成功した。息子は灘高出身の秀才で経済学者の岩本武和氏。現役引退後は阪神のコーチからフロント入りしているので神戸か西宮近辺に住んでいたのではないか。


野球週報 ⑱

8月25日(水) 南埠頭で品川ビッグスターズ(旧・品川ベースボールクラブ)の練習。シートバッティングングでは右に左に鋭いライナーの連発でした。

8月26日(木) 出勤日。

8月27日(金) 出勤日。

8月28日(土) 天王洲アイルCで品川ビッグスターズ(旧・品川ベースボールクラブ)の練習。レギュラークラスだけが集まって試合形式の打撃練習。低めの変化球を左中間に持って行きました。

8月29日(日) 有明ガーデンの「ドクターストレッチ」で100分間ストレッチ。股関節と上半身のメンテナンス。

8月30日(月) 出勤日。帰宅後、夜はジムで30分ラン&ウォークとViPRトレーニング。

8月31日(火) 出勤日。


2021年9月13日月曜日

21年 タイガースvs中部日本 6回戦

9月12日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 1 0 0 4 2 0 0 0  7  タ軍 46勝28敗 0.622 野崎泰一 御園生崇男 藤村冨美男 森下博 
1 0 2 0 5 1 1 0 X 10 中部 27勝46敗2分 0.370 松尾幸造 服部受弘

勝利投手 松尾幸造    3勝13敗 
敗戦投手 御園生崇男 6勝5敗
セーブ     服部受弘  4

二塁打 (中)岩本、金山、藤原
三塁打 (タ)藤村 (中)岩本2
本塁打 (中)小鶴誠 5号、岩本章 5号

勝利打点 (中)小鶴誠 6

猛打賞 (中)岩本章(4安打)4


中部、チーム一丸の勝利

 第21節は後楽園で巨人を除く7球団で行われる変則開催。初日はタ軍と中部のダブルヘッダー。第1試合は野崎泰一と松尾幸造の先発で午後1時丁度、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 中部は初回、先頭の岩本章がいきなり左中間に三塁打、杉浦清監督の左犠飛で1点を先制する。

 タ軍は2回表、先頭の藤村富美男監督が右中間に三塁打、富樫淳の遊ゴロに藤村は動かず一死三塁、高山泰夫の二ゴロで藤村がホームに還り1-1の同点とする。

 中部は3回裏、先頭の金山がレフト戦にヒット、トップに返り岩本の左中間二塁打で無死二三塁、杉浦が中前に2点タイムリーを放ち3-1とする。タ軍はここで先発の野崎から御園生崇男にスイッチ、後続を抑える。

 タ軍は5回表、先頭の御園生は遊ゴロ、続く長谷川善三の当りも遊ゴロ、しかしショート杉浦が一塁に悪送球して打者走者の長谷川は二塁に進み、トップに返り呉昌征は四球、金田の中前タイムリーで2-3、土井垣の中前打で一死満塁、藤村の三ゴロの間に三走呉が還って3-3の同点、富樫の遊ゴロを杉浦が又も一塁に悪送球する間に三走金田に続いて二走土井垣も還って5-3と逆転する。

 ところが中部はすかざず反撃、5回裏、先頭の金山がレフト戦にライナーの二塁打、トップに返り岩本の左中間三塁打で4-5、センター呉昌征からの返球が悪送球となる間に岩本が還って5-5の同点、杉浦は右飛、古川は三ゴロに倒れて二死無走者、ここで小鶴がレフトスタンドに第5号ホームランを叩き込んで6-5と逆転、続く加藤が中前打、藤原の右中間タイムリー二塁打で7-5、三村の二飛をセカンド宮崎剛が落球する間に藤原が還って8-5とする。

 タ軍は6回表、一死後御園生が四球で出塁、長谷川の三塁線バントが内野安打となって一死一二塁、トップに返り呉昌征の中前打で一死満塁、金田が押出し四球を選んで6-8、中部ベンチはここで松尾から服部受弘にスイッチ、土井垣も押出し四球を選んで7-8と1点差、しかし藤村の二ゴロが「4-6-3」と渡ってダブルプレー。

 タ軍は6回から御園生をファーストに回してサードの藤村富美男監督がマウンドに上がる。

 中部は6回裏、先頭の岩本がレフトスタンドに第5号ホームランを叩き込んで9-7とリードを広げる。

 中部は7回裏、先頭の加藤が四球で出塁、藤原の一二塁間のゴロをセカンド乾国雄が捕球すると一塁ベースカバーに入ったピッチャー藤村に送球して一塁アウト、記録は「4-1A」、一死二塁から三村が中前にタイムリーを放ち10-7と突き放す。

 リリーフ服部受弘は3回3分の2を無安打3四球2三振無失点に抑えて4セーブ目をマーク、松尾幸造は3勝目をあげる。

 中部は杉浦清監督が手痛いタイムリーエラーを犯して窮地に立ったがチーム一丸となって逆転した。

 一般には、温厚な竹内愛一監督から謹厳実直な杉浦清に監督交代したことが中部低迷の原因と誤解されている。「Wikipedia」杉浦清の項に「7月からは選手兼任監督も引き受けたが、就任時に「本社(=運営母体の中部日本新聞社)からきた監督」と宣言した事から、当時名古屋軍時代からの赤嶺昌志球団代表の影響下にあった選手達の反発を買った。」などと書かれていることが典型事例である。しかしながら、昭和22年に前年最下位から2位に躍進したことが「Wikipedia」杉浦清の項では無視されているように、極めて恣意的な表記により杉浦清の評価は貶められている。

 この試合では杉浦に反目していたとされる「赤嶺一派」の小鶴誠、岩本章、加藤正二、松尾幸造、藤原鉄之助、三村勲、金山次郎の活躍で杉浦清監督の手痛いタイムリーエラーをカバーしているのである。

 成績優秀であった杉浦清は高等文官試験(現在の国家公務員上級職試験に相当)にチャレンジしていたが、一宿一飯の義により海草中学の監督を引き受けて嶋清一を日本一の投手に育て上げ、高級官僚への道を自ら拒絶した熱い男である。

 極めて複雑な人的関係が交錯していた中部日本において、現場では「杉浦イズム」が浸透してきたのである。この試合がそれを実証している。これが、当ブログが「実況中継」から解き明かした「真実」である。

2021年9月12日日曜日

重大な発表

 当ブログではこれまで「藤村富美男」を「藤村冨美男」と表記していました。すなわち、「富」と「冨」が間違っていました。

 当ブログでは登録全選手を「単語登録」して管理していましたが、「藤村富美男」を「藤村冨美男」と誤って登録していたことが原因です。

 訂正するのも面倒なので過去の文章は訂正しませんが、今後は訂正しますのでご了承ください。