2016年4月30日土曜日

訂正のお知らせ



 3月26日付けブログ「18年 朝日vs阪神 1回戦」朝日5回の攻撃で、「小林章良は浅い左飛に倒れるが、真田の右犠飛で7-0」とお伝えしていましたが、実際は「小林章良の左犠飛で7-0」の間違いでした。

 お詫びして訂正させていただきますのでご了承ください。

 因みに小林章良は今季「強打者」として活躍することとなりますのでお楽しみに。


 

2016年4月29日金曜日

18年 阪神vs阪急 2回戦


4月21日 (水) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪神 5勝4敗 0.556 御園生崇男
1 0 0 0 0 0 0 0 X 1 阪急 5勝3敗 0.625 中田武夫

勝利投手 中田武夫     1勝1敗
敗戦投手 御園生崇男 0勝2敗

勝利打点 山下好一 1


中田武夫3安打完封

 阪急は初回、先頭の下社邦男が四球を選んで出塁、フランク山田伝のショートへの内野安打で無死一二塁、上田藤夫の投ゴロをピッチャー御園生崇男が二塁に送球するが、ベースカバーに入ったショート野口昇が落球して無死満塁、池田久之は浅い右飛に倒れて一死満塁、山下好一の遊ゴロで一走上田が二封される間に三走下社が還って1点を先制する。

 このスミ一を中田武夫が守り切った。阪急先発の中田は初回、先頭の塚本博睦に二塁内野安打を許すが牽制で刺して波に乗った。許したヒットは内野安打3本だけ、下手からの巧投に阪神打線は翻弄された。


 中田と共に、2つの盗塁を刺したキャッチャー池田久之の肩も特筆される。これまで井野川利春、日比野武の陰に隠れて出番の少なかった池田は、昭和18年には開幕から四番に起用されて活躍しているが、今季を限りに応召し戦死することとなる。


 阪神先発の御園生崇男も8回を完投して2安打5四球3三振1失点、2本のヒットのうち1本は内野安打であり、この試合両チームで外野に抜けたヒットは上田藤夫が4回にはなった中前打1本だけであった。




*中田武夫は下手からの巧投で3安打完封。





 

18年 名古屋vs朝日 1回戦


4月21日 (水) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 名軍 6勝2敗 0.750 石丸進一
2 0 0 1 0 0 1 0 X 4 朝日 4勝5敗 0.444 内藤幸三

勝利投手 内藤幸三 1勝0敗
敗戦投手 石丸進一 1勝1敗

二塁打 (名)吉田 (朝)内藤
三塁打 (名)岩本 (朝)浅原

勝利打点 原秀雄 1


兄さんしっかり守ってください

 名古屋は石丸進一が先発、朝日は昨日の阪神戦で7イニング3安打1失点の好投を見せた内藤幸三が連投。

 名古屋は初回、連投の疲れが見られる内藤を攻めて、先頭の石丸藤吉がセンター左にヒット、岩本章が左中間奥深く三塁打を放ち一走石丸藤吉が還って1点を先制、古川清蔵は捕邪飛に倒れるが、小鶴誠の左犠飛で2-0とする。

 朝日は1回裏、一死後酒沢政夫がライト線にヒット、早川平一は三振に倒れるが、浅原直人が右中間奥深く三塁打を放って1-2、内藤幸三のタイムリー内野安打ですかさず2-2の同点に追い付く。

 朝日は4回、先頭の内藤の二ゴロをセカンド石丸藤吉がエラー、マウンドの石丸進一から「兄さんしっかり守ってください」の声が飛ぶ。兄のエラーにマウンドの弟が動揺したか渡辺時信は四球、大友一明の投ゴロを石丸進一が三塁に送球して二走内藤は三封、広田修三は三振に倒れて二死一二塁、ここで原秀雄が中前にタイムリーを放ち3-2と勝ち越す。これが決勝打となった。

 朝日は7回、一死後酒沢が四球を選んで出塁、早川は遊飛に倒れるが浅原が四球を選んで二死一二塁、内藤のライト線二塁打で4-2とダメ押す。二死二三塁から三走浅原が本盗を試みるがこれは失敗。


 内藤幸三は7安打3四球4三振の完投で今季初勝利、打っても4打数2安打2打点の活躍であった。


 石丸進一は8イニングを投げて7安打5四球3三振4失点、自責点は4であった。4回に失った決勝点は兄石丸藤吉のエラーがきっかけだが、エラーの走者は石丸進一が好フィールディングで三封したため、決勝点となった3失点目には「自責点」が記録されている。


 牛島英彦著「消えた春」は石丸進一を美化し過ぎているきらいはあるが、石丸進一を伝える貴重な著作となっている。同著には「まるで‟佐賀にわか”もどきの石丸兄弟のやりとりは、当時球界の名物だった、と名古屋軍の一塁手だった野口正明は、回想している。」と書かれている。


 石丸藤吉は戦後タクシー会社を経営して成功、石丸進一は特攻で戦死することとなる。


 

18年 阪神vs朝日 2回戦


4月20日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 3 0 1 0 0 0 0 0 4 阪神 5勝3敗 0.625 若林忠志
0 0 0 0 2 0 0 0 1 3 朝日 3勝5敗 0.375 真田重蔵 内藤幸三

勝利投手 若林忠志 3勝0敗
敗戦投手 真田重蔵 2勝2敗

二塁打 (神)金田 (朝)浅原
三塁打 (神)玉置

勝利打点 乾国雄 1


阪神、下位打線が活躍

 阪神は若林忠志、朝日は真田重蔵が先発。新旧対決となった。

 阪神は2回、先頭の玉置玉一が右中間に三塁打、野口昇は四球を選んで無死一三塁、乾国雄がライト線にタイムリーを放って1点を先制、若林が送りバントを決めて一死二三塁、トップに返り塚本博睦が投前にスクイズバントを決めて2-0、金田正泰のライト線二塁打で3-0とする。

 朝日は3回から先発の真田に代えて内藤幸三をマウンドに送る。

 阪神は4回、先頭の野口が四球で出塁、乾が送って一死二塁、若林が右前にタイムリーを放って4-0として試合の主導権を握る。

 朝日は5回、一死後広田修三が中前打で出塁、内藤の右前打で無死一二塁、原秀雄のバントで二死二三塁、犠打が記録されたが自らも生きようとした可能性は否定できない。トップに返り坪内道則の当りは三ゴロ、これを2回に先制のきっかけとなる貴重な三塁打を放ったサード玉置が一塁に大暴投、二走広田に続いて一走内藤も還って2-4、打者走者の坪内は三塁に進むが、酒沢政夫は投ゴロに倒れて追加点はならず。

 朝日二番手の内藤は4回以降阪神打線を1安打無失点に抑えて味方の反撃を待つ。

 朝日は9回裏、先頭の浅原直人が左中間に二塁打、渡辺時信はストレートの四球、同点の走者となるがここは塁を詰めたか。一塁代走に野本良雄が起用されて無死一二塁、大友一明に代わる代打林安夫が左前にタイムリーを放って3-4と1点差、なお無死一二塁のチャンスが続くが、二走野本が若林からの牽制球に刺されて一死一塁、広田に代わる代打小林章良の当りは痛烈なピッチャーライナー、これを若林がはっしと掴むや一塁に送球し、飛び出していた一走林が戻れずダブルプレーであっけなく試合終了。


 若林忠志は5安打4四球2三振の完投で開幕3連勝。


 阪神は六番玉置が1得点、七番野口が2得点、八番乾が1得点を記録、八番乾、九番若林、一番塚本、二番金田が1打点ずつを記録した。一方、二番金田は3残塁を記録して得点0、クリーンナップトリオは3人で10打数1安打0打点で残った走者を掃除できなかった。


 

2016年4月24日日曜日

18年 阪急vs名古屋 1回戦


4月20日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
0 0 0 0 0 1 0 0  0  1 阪急 4勝3敗 0.571 森弘太郎
0 0 0 0 0 0 0 0 2X 2 名軍 6勝1敗 0.857 西沢道夫

勝利投手 西沢道夫 3勝0敗
敗戦投手 森弘太郎 1勝1敗

勝利打点 古川清蔵 1


西沢道夫、開幕3連勝

 阪急は森弘太郎、名古屋は西沢道夫が先発。

 阪急は3回まで無安打。4回一死後、上田藤夫が中前に初ヒットを放つが、池田久之は三振、笠石徳五郎は二ゴロに倒れて無得点。5回、先頭の下社邦男が右前打で出塁するが、中村栄の送りバントをピッチャー西沢が二塁に送球して下社を二封、伊藤健一はセンターライナーに倒れるが、一走中村が飛び出していたのを見てセンター古川清蔵が一塁に送球するがこれが低く逸れる悪送球となり、一塁に戻った中村がベースタッチしてから再度二塁に走って二死二塁、しかし森は中飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪急は6回、一死後フランク山田伝がストレートの四球を選んで出塁、上田の二ゴロの間に山田が二進、池田の左前タイムリーで1点を先制する。

 名古屋は1回、2回と三者凡退。3回、一死後金山次郎が三塁線にセーフティバントを決めて出塁、しかし西沢の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー。

 名古屋は4回から6回まで三者凡退。7回、先頭の石丸藤吉が中前打で出塁するが、岩本章の投ゴロが「1-4-3」と渡ってダブルプレー、古川は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。ここまで21人で終了して残塁はゼロ。

 名古屋は8回、二死後芳賀直一が四球を選んで出塁、藤原鉄之助の遊ゴロで芳賀が二封されて藤原がこの試合初めての「残塁」を記録する。

 名古屋は9回裏、一死後西沢が中前打で出塁、トップに返り石丸藤吉がストレートの四球を選んで一死一二塁、岩本が右前に同点タイムリーを放って1-1、一走石丸は三塁に進み、岩本が二盗を決めて一死二三塁、古川の遊ゴロの間に三走石丸藤吉が還って名古屋が逆転サヨナラ勝ち。


 スコアカードの記載を見ると、古川の遊ゴロは「6-3」で一塁アウトと記録されている。この結果名古屋のサヨナラ勝ちが決まった訳で、ショート中村栄がアウトカウントを間違えた可能性があるが、前進守備を敷いていたはずなのでバックホームしなかったのは解せない。前進守備でなかったとしたら阪急の組織的ボーンヘッドとなりますがちょっと考えにくいですね。


 西沢道夫は4安打5四球3三振の完投で3勝目をあげてハーラートップの別所昭に並ぶ。この時午後2時6分、この20分後に後楽園球場で別所が4勝目をあげてハーラー単独トップに立つこととなる(既報のとおり)。


 

18年 巨人vs西鉄 2回戦


4月20日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 巨人 3勝5敗1分 0.375 須田博
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 西鉄 1勝8敗 0.111 重松通雄

勝利投手 須田博     1勝2敗
敗戦投手 重松通雄 0勝3敗

勝利打点 中島治康 2


須田博、今季初勝利

 巨人は初回、先頭の呉昌征が一塁に内野安打、青田昇はストレートの四球で無死一二塁、白石敏男も四球を選んで無死満塁、中島治康が先制の押出し四球を選んで1-0、続く小暮力三の中犠飛でこの回2点を先制する。

 初回コントロールが乱れた西鉄戦発の重松通雄は2回以降立ち直り、4回に多田文久三に中前打を許したのみで無失点を続ける。

 西鉄は初回、二死後濃人渉が中前打、野口明が左前打を放って二死一二塁、祖父江東一郎の遊ゴロをショート白石が失して二死満塁とするが、黒沢俊夫は投ゴロに倒れて無得点。2回も先頭の宇野錦次が死球を受けて出塁、佐藤武夫は左飛に倒れて一死一塁、重松は捕邪飛に倒れたかに見えたがキャッチャー多田文久三が落球して命拾いからレフト線にヒットを放ち一死一二塁、しかしトップに返り中村信一は三振、富松信彦は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 西鉄は6回、先頭の野口明が四球を選んで出塁、続く祖父江が打ち上げた捕邪飛を多田が又も落球して祖父江は四球を選び、黒沢が送りバントを決めて一死二三塁、宇野のライト線タイムリーで1-2として1点差、一死一三塁から佐藤武夫が放った痛烈なライナーはサード小池繁雄の正面に飛び、がっちり捕球した小池がそのまま三塁ベースを踏んでダブルプレー。


 巨人先発の須田博は7回、8回、9回を三者凡退に抑えて4安打3四球1死球6三振1失点、自責点ゼロの完投で今季初勝利を飾る。


 6回の西鉄の得点はエラーによる進塁がなく自責点にも見えるが、祖父江東一郎の捕邪飛を落球したキャッチャー多田文久三にエラーが記録されており、捕球していれば得点に結びつかなかったと判定されて須田に自責点は付かなかった。多田はこの試合で2個の捕邪飛を落球して2失策が記録されている。


 この試合でも4月17日の「南海vs西鉄1回戦」同様、スコアカードに「重松通雄」と間違えて「富松信彦」のスタンプが押されている。スコアカードでは二番センター「富松信彦」、九番ピッチャーも「富松信彦」となっていますが、この試合の西鉄の先発投手は「重松通雄」でした。


 「日本プロ野球記録大全集」にはこの試合の負け投手が「富松信彦」と書かれており、「富松信彦」の通算記録でも登板が1試合で通算0勝1敗と書かれているがこれは間違いです。この結果「日本プロ野球記録大全集」では「重松通雄」の昭和18年の記録が「9勝17敗」となっているがこれも間違いで「9勝18敗」が正解です。公式記録では昭和18年の重松通雄の成績は「9勝18敗」と正しく訂正されています。



*須田博は今季初勝利。西鉄のピッチャーが「富松信彦」となっているが、これは「重松通雄」の間違いです。前所有者の福室正之助氏によるものと思われる赤線が引かれています。






*西鉄打線は二番センターが「富松信彦」、九番ピッチャーにも「富松信彦」のスタンプが押されている。




 

2016年4月23日土曜日

18年 南海vs大和 1回戦


4月20日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 0 3 0 0 1 0 0 6 南海 6勝2敗 0.750 別所昭
0 0 0 0 0 0 3 0 0 3 大和 3勝4敗1分 0.429 片山栄次

勝利投手 別所昭     4勝1敗
敗戦投手 片山栄次 2勝3敗

二塁打 (南)八木

勝利打点 なし


別所昭、4日間で3完投

 南海は2日連続完封のルーキー別所昭が中一日で3連投、大和は片山栄次で応戦。片山は昭和11年に大東京に入団して応召、昭和18年の今季7年ぶりにプロ野球の舞台に戻ってきて大和のエースとなっている。

 南海は初回、先頭の猪子利男が四球で出塁するが、長谷川善三の三ゴロは「5-4-3」と渡ってダブルプレー。

 大和1回裏、先頭の木村孝平がストレートの四球で出塁するが、苅田久徳の送りバントはピッチャーへの小フライとなって一走木村は帰れずダブルプレー。

 南海は2回、先頭の四番別所が中前打、八木進のレフト線二塁打で無死二三塁、鈴木芳太郎の三ゴロをサード大塚鶴雄が一塁に悪送球して三走別所が生還、1点を先制する。無死二三塁から中野正雄は三ゴロに倒れ、堀井数男が四球を選んで一死満塁、加藤喜作の三ゴロをサード大塚がバックホームするがセーフ、野選が記録されて三走八木が還り2-0とする。

 南海は4回、先頭の鈴木が中前打、中野の遊ゴロをショート木村が二塁に悪送球して無死一三塁、堀井の中前タイムリーで3-0、一走中野は二塁に進み、堀井が二盗を決めて一死二三塁、加藤が中前にタイムリーを放って4-0、トップに返り猪子も左前にタイムリーを放ち5-0とリードを広げる。

 南海は7回、先頭の岡村俊昭が一塁に内野安打、別所がレフト線ヒット、八木進も左前打を放って無死満塁、鈴木は二飛に倒れるが、中野の二ゴロの間に三走岡村が還って6-0とダメ押す。

 大和は7回裏、先頭の大塚が左前打で出塁、金子裕が四球を選んで無死一二塁、呉新亨は三振、小松原博喜の投ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、鈴木秀雄がセンター右に2点タイムリーを放って2-6、続く片山も右前打、ライト堀井からの三塁送球が高く逸れる悪送球となって一走鈴木秀雄が一気にホームに還り3-6と反撃するが時すでに遅し。

 別所昭は8回、9回を無失点に抑え、5安打3四球3三振の完投で今季早くも4勝目をあげてハーラートップに躍り出た。

 別所は4日間で3完投うち2完封、とんでもない投手が出てきた。


 

2016年4月22日金曜日

訓練空襲警報



 昭和18年4月18日、甲子園球場午後12時56分、金政卯一主審の右手が上がり、名古屋vs朝日1回戦が開始された。


 1回表名古屋の攻撃、朝日先発の内藤幸三は先頭の石丸藤吉に左前打を打たれ、岩本章は三飛に打ち取るが石丸に二盗を許す。更にキャッチャー小林章良の悪送球が加わり岩本が三塁に進んで一死三塁、古川清蔵の三ゴロで三走岩本がホームに突っ込むがサード芳賀直一からの送球にタッチアウト、一塁に残った古川が二盗を決め、小鶴誠に四球を与えて二死一二塁、吉田猪佐喜を二ゴロに打ち取り名古屋は無得点。

 1回裏朝日の攻撃、名古屋先発の西沢道夫は先頭の坪内道則を投ゴロに打ち取り、酒沢政夫の投前セーフティバントを西沢が一塁に送球して二死無走者、三番早川平一の初球はストライク、ワンストライクナッシングとなった午後1時6分、空襲警報がけたたましく鳴り響いた。


 「雑記」欄には「1時6分訓練空襲警報のため一時中止す。2時30分解除されず、中止す。」と書かれている。


 ちょうど1年前の昭和17年4月18日、日本本土に対する初の空襲となるドーリットル空襲が行われた。1年後の本日、関西地方で空襲訓練が行われたようである。



*スコアカードは1回で中断。







*天候は晴なので雨天中止ではない。









*「雑記」欄に「訓練空襲警報」と書かれている。





 

2016年4月21日木曜日

18年 南海vs巨人 1回戦


4月18日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 1 0 0 0 0 0 0 2 南海 5勝2敗 0.714 別所昭
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 巨人 2勝5敗1分 0.286 藤本英雄

勝利投手 別所昭     3勝1敗
敗戦投手 藤本英雄 2勝2敗

勝利打点 鈴木芳太郎 1 


別所昭、2日連続完封

 南海は昨日の西鉄戦でプロ入り初完封を飾った別所昭が連投で先発、巨人は新・エースの座を狙う藤本英雄が先発する。

 南海は2回、先頭の四番別所が四球を選んで出塁、八木進の二塁内野安打で無死一二塁、キャッチャー多田文久三が捕逸を犯して無死二三塁、中野正雄は四球を選んで無死満塁、鈴木芳太郎が押出し四球を選んで三走別所が還り1点を先制する。捕逸による進塁があったが、四球が2個続いたため「自責点」が記録された。これは「雑記」欄に書かれています。

 南海は3回、一死後岡村俊昭が四球を選んで出塁、別所が中前打を放ち一死一二塁、八木の投ゴロは「1-6-3」と転送されたが、ショート白石敏男が一塁に手痛い悪送球する間に三塁に進んでいた二走岡村が還って2-0とする。


 藤本英雄は4回以降、南海打線を6回に別所に許したヒット1本に抑えるが、味方の援護がなかった。


 別所昭は3回、4回、5回と2安打ずつを許すが無失点で切り抜け、残りのイニングは全て無安打ピッチング、6安打2四球5三振で2日連続完封を記録する。


 藤本も9回を完投して3安打5三振であったが、6個の四球を許したことが敗因となる。2失点の走者は何れも四球で出した走者であった。


 

2016年4月20日水曜日

18年 西鉄vs大和 2回戦


4月18日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 西鉄 1勝7敗 0.125 野口二郎
0 0 0 0 0 3 0 0 X 3 大和 3勝3敗1分 0.500 石田光彦

勝利投手 石田光彦 1勝0敗
敗戦投手 野口二郎 1勝4敗

二塁打 (西)佐藤

勝利打点 なし

猛打賞 富松信彦 1


石田光彦、3球団目での勝利投手

 西鉄はエース野口二郎の先発、大和は南海から移籍してきた石田光彦が今季初登板初先発。
 試合は5回まで石田が無安打無得点、野口二郎は1安打ピッチングを続ける白熱の投手戦となった。


 西鉄は6回、二死後濃人渉が左前に両チーム初ヒット、しかし金子裕は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 大和は6回裏、先頭の鈴木秀雄がストレートの四球で出塁、トップに返り木村孝平の投前送りバントをファースト野口明が落球、犠打とエラーが記録されて無死一三塁、苅田久徳は遊飛に倒れて一死一三塁、ここでダブルスチールを成功させて1点を先制、三走鈴木の本盗が決勝点となった。大塚鶴雄は右飛に倒れて二死二塁、金子の遊撃内野安打で二走木村が好走塁を見せてホームに還り2-0、呉新亨が左前打を放って二死一二塁、小松原博喜の左前タイムリーで3-0とする。

 大和先発の石田は7回、二死後富松信彦に右前打、佐藤武夫に左中間二塁打を許して二三塁のピンチを迎えるが、宇野錦次を三ゴロに打ち取り無失点。8回は三者凡退。9回、一死後野口二郎を遊ゴロに打ち取ったがショート木村がエラー、祖父江東一郎のレフト線ヒットで一死一三塁、富松信彦にセンター右にタイムリーを許して1点を失うが、三塁に走った一走祖父江をセンター渡辺絢吾のバックサードで刺してタッチアウト、佐藤を中飛に打ち取り大和移籍後初勝利を記録する。


 石田光彦は6安打2四球1三振1失点、自責点ゼロの完投であった。


 これで石田は阪急、南海、大和で勝利投手を記録した。詳しく調べていないので明言はできませんが、昭和18年現在で3球団で勝利投手を記録した最初の投手でしょう。いろいろ言われることが複数球団を渡り歩くこととなった要因でもありますが、‟球のキレ”では戦前随一、調べれば調べるほど面白い投手です。当ブログでも、畑福俊英と並ぶ名物男と言えるでしょう。



 

2016年4月17日日曜日

18年 阪急vs朝日 3回戦


4月17日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 2 0 0 0 0 1 0 1 5 阪急 4勝2敗 0.667 天保義夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 朝日 3勝4敗 0.429 真田重蔵

勝利投手 天保義夫 2勝1敗
敗戦投手 真田重蔵 2勝1敗

二塁打 (朝)坪内
本塁打 (急)山田 1号

勝利打点 池田久之 1


天保義夫、無四球完封

 阪急は初回、一死後フランク山田伝が四球から二盗、上田藤夫も四球を選んで一死一二塁、池田久之が右前にタイムリーを放って1点を先制する。

 阪急は2回、先頭の下社邦男がレフト線にヒット、伊藤健一が送りバントを決めて一死二塁、天保義夫の三ゴロをサード原秀雄がジャッグル、一死一二塁からトップに返り仁木安の二ゴロで天保は二封されて一三塁、仁木が二盗を決めて二死二三塁、山田がセンター右に2点タイムリーを放って3-0として試合の主導権を握る。

 阪急は7回、先頭の山田が四球で出塁、上田のライト線ヒットで無死一三塁、上田が二盗を決め、池田は三振に倒れて一死二三塁、笠石徳五郎の遊ゴロの間に三走山田が還り4-1と貴重な追加点をあげる。

 阪急は9回、先頭の山田がレフトスタンドにホームランを叩き込んで5-0として試合を決める。


 天保義夫は7安打無四球2三振で今季初完封、2勝目をあげる。


 天保のテンポのいいピッチングが阪急打線に好影響をもたらして先制、中押し、ダメ押しと理想的な得点経過となった。


 

2016年4月16日土曜日

18年 名古屋vs阪神 1回戦


4月17日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 名軍 5勝1敗 0.833 松尾幸造 野口正明
1 4 0 0 1 0 0 0 X 6 阪神 4勝3敗 0.571 若林忠志

勝利投手 若林忠志 2勝0敗
敗戦投手 松尾幸造 1勝1敗

二塁打 (神)御園生

勝利打点 田中義雄 1

ファインプレー賞 (名)古川清蔵 1


若林忠志、5安打完封

 阪神は初回、先頭の塚本博睦がストレートの四球で出塁、金田正泰の二ゴロをセカンド石丸藤吉が二塁に悪送球して無死二三塁、カイザー田中義雄の二塁内野安打で1点を先制する。

 阪神は2回、先頭の玉置玉一が三塁に内野安打、野口昇が送って一死二塁、乾国雄は三塁線にバントヒット、若林忠志が右前にタイムリーを放って2-0、トップに返り塚本も右前打で続いて一死満塁、金田に代わる代打御園生崇男が左中間に二塁打を放って4-0、田中が四球を選んで一死満塁、ここで名古屋ベンチは先発の松尾幸造から野口正明にスイッチ、続く山口政信の打席でキャッチャー藤原鉄之助がパスボールを犯して5-0とする。これでほぼ試合は決まったか、代打御園生の二塁打が効いた。サウスポー松尾が続投していたので、第二打席ながら左の金田に代えて右の御園生を代打に送った積極策が効を奏した。

 阪神は5回、一死後玉置が三前にバントヒット、キャッチャー藤原からの牽制球に一走玉置が飛び出すが、ファースト小鶴誠が二塁に悪送球して玉置は三進、野口昇の左犠飛で6-0とダメ押す。


 若林忠志は5安打3四球1三振で今季初完封、2勝目をあげる。


 開幕から5連勝と快調に飛ばしてきた名古屋は若林の巧投の前に3併殺を喫して零封され今季初黒星。


 

2016年4月14日木曜日

18年 南海vs西鉄 1回戦


4月17日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 3 0 0 0 0 0 0 0 3 南海 4勝2敗 0.667 別所昭
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 西鉄 1勝6敗 0.143 重松通雄

勝利投手 別所昭     2勝1敗
敗戦投手 重松通雄 0勝2敗

勝利打点 なし


別所昭、プロ入り初完封

 南海は初回、一死後長谷川善三が左前打、岡村俊昭も右前打を放って一死一二塁、しかし別所昭は中飛、清水秀雄は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 西鉄は初回、一死後黒沢俊夫がストレートの四球、濃人渉の中前打で一死一二塁、しかし野口明の遊ゴロで黒沢は二封、祖父江東一郎も三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 南海は2回、先頭の八木進が右前打で出塁、中野正雄が左前打で続き無死一二塁、鈴木芳太郎が四球を選んで無死満塁、加藤喜作の一ゴロをファースト野口明がエラーして三走八木が生還し1点を先制、トップに返り猪子利男の一ゴロも野口明がエラー、三走中野が還って2-0、長谷川が押出し四球を選んで3-0としてなお無死満塁、岡村の左飛で三走猪子が中途半端な走塁、「7-1-6」と渡ってタッチアウト、更に二走加藤も「6-2-6」と渡ってタッチアウト、このプレーが連続と判定されて「三重殺」が記録された。


 南海打線は3回以降、西鉄先発の重松通雄の下手からの浮き上がる球に翻弄されて内野安打1本で追加点はならなかった。


 南海先発の別所昭は4安打4四球5三振でプロ入り初完封、2勝目をあげる。別所は通算72個の完封勝利を記録することとなるが、この試合がその始まりとなった。



*別所昭の初完封を伝えるスコアカード。西鉄投手の欄には重松通雄と間違えて富松信彦のスタンプが押されている。前所有者の福室正之助氏も気が付いて赤線を引いたようです。





*六番センターと九番ピッチャーの欄に「富松信彦」のスタンプが押されている。戦後のスコアカード清書作業の際、アルバイトを雇ってスタンプを押していたが間違えたようです。アルバイトではなく、編集に携わった人が間違えた可能性もありますが。











*2回に西鉄が記録した三重殺は「7-1-6」、「6-2-6」と転送されたものです。






 

2016年4月13日水曜日

18年 大和vs巨人 3回戦


4月17日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 0 1 0 0 0 5  0   0   0  6 大和 2勝3敗1分 0.400 畑福俊英 片山栄次
3 0 0 0 1 2 0 0 0  0   0   0  6 巨人 2勝4敗1分 0.333 中村政美 須田博

三塁打 (和)大塚
本塁打 (巨)呉 1号

勝利打点 なし

猛打賞 (巨)呉昌征 3


大和粘る

 巨人は初回、先頭の呉昌征が中前打から二盗に成功、青田昇の右前タイムリーで1点を先制、白石敏男が中前打を放ち無死一二塁、、中島治康も中前タイムリーで続いて2-0、白石は三塁に進んでなお無死一三塁、伊藤健太郎は捕邪飛に倒れて一死一三塁、坂本茂の投ゴロで中島が二封される間に三走白石が還り3-0とする。「併殺崩れ」であり本来であれば坂本に打点が記録されるところだが、ピッチャー畑福俊英の二塁送球に問題があったため併殺を免れたと判定されて坂本には打点は記録されていない。但し、畑福にエラーが付くほどのプレーではなく自責点は記録されている。

 大和は5回、一死後小松原博喜が四球を選んで出塁、畑福の三ゴロをサード小池繁雄が一塁に悪送球する間に一走小松原は三塁に進んで一死一三塁、鈴木秀雄の右犠飛で1点返して1-3とする。

 巨人は5回裏、先頭の呉昌征がライトにホームランを放って4-1とする。

 巨人は6回、先頭の多田文久三が中前打、小池の投ゴロの間に多田は二進、更に中村政美の二ゴロで三進、トップに返り呉昌征は四球、青田も四球を選んで二死満塁、白石が中前に2点タイムリーを放って5-1と突き放す。この一打で試合は決まったかと思われたが、9回に波乱が待っていた。

 5点を追う大和は9回、先頭の小松原が右前打で出塁、畑福も左前打を放って無死一二塁、鈴木に代わる代打吉水幸夫のスウィングがキャッチャー多田のミットに触れて打撃妨害となり無死満塁、渡辺絢吾は浅い中飛に倒れて一死満塁、トップに返り木村孝平も多田の打撃妨害、三走小松原が還って2-6としてなお一死満塁、多田が犯した2つの打撃妨害にはエラーが記録されているので打点にも自責点にもならない。巨人ベンチはここでキャッチャーを多田から清水善秋に交代、しかし苅田久徳がレフト線に2点タイムリーを放って4-6、一走木村は三塁に進み、打者走者の苅田も返球の隙を突いて二塁を陥れ一死二三塁、試合は風雲急を告げてきた。巨人ベンチはピッチャーも先発の中村から須田博にスイッチ、大塚鶴雄は三振に倒れて二死二三塁、ここで四番・金子裕が中前に同点の2点タイムリーを放って遂に6-6と追い付く。続く呉新亨は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。


 奇跡的に同点に追い付いた大和は9回から先発の畑福に代えて片山栄次を投入、10回以降は須田博と片山が抑えて延長12回、6対6で引き分く。


 畑福俊英は8イニングを投げて6失点で自責点も6。中村政美は8回3分の1を投げて同じく6失点であったが自責点はゼロであった。


 

2016年4月11日月曜日

18年 朝日vs阪急 2回戦


4月15日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 朝日 3勝3敗 0.500 林安夫 内藤幸三
0 0 0 1 4 0 0 0 X 5 阪急 3勝2敗 0.600 中田武夫 笠松実

勝利投手 笠松実 1勝0敗
敗戦投手 林安夫 1勝3敗

二塁打 (急)池田2、笠松
三塁打 (急)下社2

勝利打点 下社邦男 1

猛打賞 (朝)小林章良 1


下社邦男、2打席連続三塁打

 阪急は2回、二死後下社邦男が左中間に三塁打、しかしフランク山田伝は一ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 朝日は3回、二死後林安夫が四球で出塁、小林章良が右前打を放って二死一三塁、渡辺時信がライト線に先制タイムリーを放って1-0とする。

 阪急は4回の守備から先発の中田武夫に代えて笠松実をマウンドに送り込む。

 阪急は4回裏、先頭の上田藤夫が三前にセーフティバント、サード景浦賢一が一塁に大悪投して打者走者の上田は一気に三塁に進む。上田の記録は内野安打、池田久之が四球を選んで無死一三塁、笠石徳五郎の二ゴロをセカンド原秀雄がエラーして1-1の同点、笠石には打点が記録された。無死一二塁から中村栄の投前送りバントをピッチャー林が三塁に送球して二走池田は三封、松本泰三が四球を選んで一死満塁、ここで林の三塁牽制に三走笠石が刺されてツーアウト、伊藤健一も左飛に倒れてこの回は同点止まり。林はこの回2個の補殺を記録した。

 阪急は5回、先頭の笠松が左前打で出塁、トップに返り下社が左中間に2打席連続三塁打を放って2-1と勝越し、山田が四球から二盗を決めて無死二三塁、ピッチャー林の二塁牽制悪送球の間に三走下社が還って3-1、二走山田も三塁に進み、上田の二ゴロの間に山田が還って4-1、池田が右中間に二塁打を放って一死二塁、笠石の遊ゴロをショート酒沢政夫がエラーして一死一三塁、中村がセンター右にタイムリーを放って5-1とする。


 阪急二番手の笠松実は6イニングを1安打ピッチング、2四球2三振無失点に抑えて今季初勝利を飾る。


 阪急は下社邦男が2本の三塁打を放って勝利打点も記録、池田久之も二塁打2本、笠松も二塁打を放ってチームで5本の長打を記録した。


 朝日では小林章良が3本の右前打を放って猛打賞を記録した。


 

2016年4月9日土曜日

18年 阪神vs南海 2回戦


4月15日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪神 3勝3敗 0.500 三輪八郎 渡辺誠太郎
0 1 0 2 5 0 0 0 X 8 南海 3勝2敗 0.600 清水秀雄
 
勝利投手 清水秀雄 2勝1敗
敗戦投手 三輪八郎 2勝2敗

二塁打 (神)野口昇 (南)加藤2、長谷川

勝利打点 加藤喜作 1

猛打賞 (南)加藤喜作(4安打) 1



加藤喜作が4安打!

 阪神は三輪八郎、南海は清水秀雄、両サウスポーの先発。

 南海は2回、先頭の清水が四球を選んで出塁、八木進は左飛に倒れるが中野が四球を選んで一死一二塁、平井猪三郎は三振に倒れるが、加藤喜作が左中間に二塁打を放って1点を先制する。

 南海は4回、一死後平井が四球を選んで出塁、加藤が三塁に内野安打、トップに返り猪子利男の投ゴロで加藤が二封されて二死一三塁、ここで重盗を敢行、戦場から復帰して昭和14年以来の登場となる平井が本盗を決めて2-0、長谷川善三の右中間二塁打で3-0とする。

 阪神は5回から先発の三輪八郎に代えて渡辺誠太郎をマウンドに送るが、火に油を注ぐ結果となった。

 南海は5回、先頭の別所昭の遊ゴロをショート野口昇が一塁に悪送球、清水が四球、八木の三前バントが内野安打となって無死満塁、中野が左前に2点タイムリーを放って5-0、平井が送りバントを決めて一死二三塁、加藤のレフト線二塁打で7-0、トップに返り猪子が三塁内野安打から二盗を決めて一死二三塁、長谷川の三ゴロの間に三走加藤が還って8-0として試合を決める。


 清水秀雄は5安打4四球8三振の力投で今季初完封、2勝目をあげる。


 平井猪三郎は4月11日の阪急戦で4年ぶりに復帰、本日が帰還後初のスタメン登場となって本盗と送りバントを決める渋い活躍を見せた。


 加藤喜作が4打数4安打3打点、二塁打2本を記録。様々な形で日本球界に寄与することとなる加藤にとっては小さな出来事かもしれないが、プロ野球選手時代の加藤喜作の記録としては特別のものであったと推察される。



*加藤喜作は4打数4安打3打点、二塁打2本を記録した。戦前最高の遊撃手とも言われる加藤もセカンドを守っている。




 

2016年4月7日木曜日

18年 西鉄vs名古屋 2回戦


4月15日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 西鉄 1勝5敗 1.667 野口二郎
0 0 2 0 0 0 0 0 X 2 名軍 5勝0敗 1.000 森井茂

勝利投手 森井茂    1勝0敗
敗戦投手 野口二郎 1勝3敗

二塁打 (名)石丸藤吉

勝利打点 岩本章 2


森井茂、5安打完封

 西鉄は野口二郎が先発、名古屋は森井茂が今季初先発。快速球vs超技巧派の対決となった。

 名古屋は3回、一死後金山次郎が中前打、森井も中前打を放って一死一二塁、トップに返り石丸藤吉の中前打で一死満塁、岩本章が中前に痛烈な2点タイムリーを放って2-0とする。

 西鉄は2回、先頭の野口明がストレートの四球、野口二郎が中前打を放って無死一二塁、しかし中村民雄は一飛、祖父江東一郎も遊飛、宇野錦次は三ゴロに倒れる。

 西鉄は5回、先頭の祖父江がレフト線に二塁打、宇野は左飛に倒れるが、富松信彦の左前打で一死一二塁、トップに返り中村信一の遊ゴロで富松は二封されて二死一三塁、中村の二盗はキャッチャー藤原鉄之助に刺されてスリーアウトチェンジ。

 西鉄は6回、一死後濃人渉が中前打、野口明が四球を選んで一死一二塁、しかし野口二郎の三ゴロは「5-4-3」と渡ってダブルプレー。

 西鉄は9回、先頭の濃人が中前打、野口明は捕邪飛に倒れて一死一塁、野口二郎の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってダブルプレーで試合終了。


 名古屋先発の森井茂は5安打3四球1三振の完封で今季1勝目。野口二郎を2つの併殺打に仕留めたことが勝因であった。


 名古屋はこれで開幕5連勝。うち、完封勝利は4回目となった。松尾幸造、石丸進一、西沢道夫、森井茂の4人が完封勝利を飾っている。


 

2016年4月5日火曜日

18年 巨人vs大和 2回戦


4月15日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 1 0 2 巨人 2勝4敗 0.333 藤本英雄
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 大和 2勝3敗 0.400 広島清美 片山栄次

勝利投手 藤本英雄 2勝1敗
敗戦投手 片山栄次 2勝2敗

本塁打 (和)苅田 1号 (巨)多田 1号


小池繁雄、意地の三封

 開幕から1勝4敗と調子の出ない巨人は藤本英雄が先発。一方、開幕から2勝2敗といつになく好調の大和は巨人戦で時々好投する広島清美が先発する。

 巨人は初回、先頭の呉昌征が四球で出塁、青田昇は右飛に倒れるが呉が二盗に成功、白石敏男も四球を選んで一死一二塁、しかし中島治康は中飛、伊藤健太郎も中飛に倒れて無得点。

 巨人は2回、先頭の坂本茂がストレートの四球で出塁、大和ベンチはここでコントロールの定まらない広島から片山栄次にスイッチ、これが効を奏して多田文久三は二飛、小池繁雄の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってスリーアウトチェンジ。

 巨人は3回、一死後呉がストレートの四球で出塁、青田は中飛に倒れるが白石がレフト線にヒット、中島も四球を選んで二死満塁とするが、伊藤の遊ゴロで中島が二封されてこの回も無得点。

 大和は5回まで藤本に封じ込まれて無安打無得点。序盤のチャンスを逃した巨人も4回、5回、6回と三者凡退。

 大和は6回裏、先頭の苅田久徳がレフトスタンドにアーチを架けて1点を先制する。大和が藤本から奪った初ヒットであった。巨人には嫌な流れになりかけた。

 巨人は7回、一死後多田がレフトスタンドに同点ホームランを叩き込んで1-1の同点とする。多田の一発が巨人の悪循環を断ち切った。

 巨人は8回、一死後青田の打球は三ゴロ、これをサード大塚鶴雄がエラー、白石がライト線にヒットを放ち一死一三塁、中島が右中間に決勝タイムリーを放って2-1と勝ち越す。

 藤本英雄は3安打5四球7三振の完投で2勝目をあげたが、苦しいピッチングであった。


 大和7回の攻撃、一死後鈴木秀雄が四球で出塁、片山の二ゴロの間に鈴木は二進、杉江が四球を選んで二死一二塁、トップに返り木村孝平の三ゴロを捕球したサード小池繁雄は二走鈴木を封殺せんと三塁ベースに駆け込むがセーフ、このプレーに野選が記録されて二死満塁、続く苅田の当りも三ゴロ、この打球を捕球したサード小池は今度はしっかりと三塁ベースを踏んで二走杉江を三封して意地を見せた。


 ということで、この試合の見出しは「小池繁雄、意地の三封」とさせていただきます。


2016年4月3日日曜日

18年 第1節 週間MVP



 昭和18年第1節は、名古屋が4勝0敗、朝日が3勝2敗、阪神が3勝2敗、大和が2勝2敗、南海が2勝2敗、阪急が2勝2敗、西鉄が1勝4敗、巨人が1勝4敗であった。


週間MVP

投手部門

 名古屋 西沢道夫 1

 今節2勝1完封。打っても4月13日の巨人戦で勝利打点。


打撃部門

 朝日 浅原直人 1

 今節17打数6安打5得点7打点、勝利打点2個。

 巨人 呉昌征 1

 今節18打数9安打5四球4盗塁、猛打賞2回。


殊勲賞

 名古屋 小鶴誠 1

 4月3日の大和戦で10回サヨナラ二塁打。

 名古屋 岩本章 1

 4月11日の大和戦で決勝ホーマー。

 大和 苅田久徳 1

 4月13日の巨人戦で沢村栄治から決勝打。


敢闘賞

 朝日 真田重蔵 1

 今節2勝。

 南海 別所昭 1

 打者として12打数4安打。

 大和 片山栄次 1

 今節2勝。

 阪急 上田藤夫 1

 今節13打数4安打。

 阪神 乾国雄 1

 今節13打数4安打。


技能賞

 大和 呉新亨 1

 4月13日西鉄戦の単独本盗を含む4盗塁。

 阪急 下社邦男 1

 4月13日阪神戦で「雪隠詰め」を演出するバックホーム。

 名古屋 金山次郎 1

 4月13日巨人戦で勝利呼び込む進塁打。


 

2016年4月2日土曜日

18年 阪急vs阪神 1回戦


4月13日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 3 0 0 0 0 0 0 3 阪急 2勝2敗 0.500 森弘太郎
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 阪神 3勝2敗 0.600 三輪八郎 若林忠志

勝利投手 森弘太郎 1勝0敗
敗戦投手 三輪八郎 2勝1敗

二塁打 (急)仁木、森 (神)塚本2、武智、門前

勝利打点 なし

猛打賞 (神)塚本博睦 1


雪隠詰め

 阪急は初回、一死後フランク山田伝が四球で出塁、二死後山田が二盗に成功、池田久之も四球を選んで二死一二塁とするが、笠石徳五郎は三ゴロに倒れて無得点。

 阪急は2回、先頭の中村栄が四球で出塁すると下社邦男が送って一死二塁、しかし伊藤健一は捕邪飛、森弘太郎も三振に倒れてこの回も無得点。

 阪神は2回裏、先頭のンカイザー田中義雄のセーフティバントをピッチャー森がお手玉、エラーが記録されて無死一塁、パスボールで田中は二進、門前真佐人が送りバントを決めて一死三塁、乾国雄が四球を選んで一死一三塁、三輪八郎の二ゴロで三走田中がホームを狙うが、セカンド上田藤夫がホームに送球すると田中は三塁ベースに逆戻り、キャッチャー池田が三塁に送球するがこれをサード伊藤が後逸、二塁に進んでいた乾はこれを見て三塁に走り、田中も再度ホームを狙うがバックアップしたレフト下社が素早くホームに送球、田中は又も三塁に逆戻りするが既に乾も三塁ベースに到着しており「雪隠詰め」、占有権は田中にあるので乾が「7-2-5」でタッチアウトとなった。打者走者の三輪は二塁に進んでおり二死二三塁、武智修は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪急は3回、先頭の仁木安が右中間に二塁打、山田が四球を選んで無死一二塁、上田の一塁線送りバントをファースト門前が間に合わない三塁に送球、しかもこれが高く逸れる悪送球となって仁木が還り1点を先制、このワンプレーで犠打と野戦とエラーが記録された。一走山田は三塁に、打者走者の上田は二塁に進んで無死二三塁、池田の右犠飛で2-0、二走上田もタッチアップから三塁に進み、笠石が四球から二盗を決めて一死二三塁、中村は浅い左飛に倒れるが、下社の一塁内野安打で三走上田が還って3-0とリードする。

 阪神は6回、一死後田中が左前打、門前の左中間二塁打で一死二三塁、乾に代わる代打御園生崇男の中犠飛で1点返して1-3とするが反撃もここまで。


 森弘太郎は8安打2四球無三振の完投で今季初勝利を飾る。名投手森弘太郎の、戦前最後の勝利となった。


 阪神打線は8安打を放ち二塁打も4本飛び出したがあと1本が出ずじまいで8残塁。

 阪急は4安打ながら9四球を選んだが3回以降は得点できずに11残塁。

 フランク山田伝が4四球3盗塁を記録する活躍を見せた。



*2回に記録された「雪隠詰め」の場面。





*「雑記」欄には「三塁に走者二人でて
アウトされる」と記載されている。昭和15年3月31日のライオンvsタイガース1回戦(2012年7月7日掲載)で起きた「雪隠詰め」は「雑記」欄の記載がなく、スコアカードから読み解いたものでした。





 

18年 南海vs朝日 1回戦


4月13日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 2 0 0 0 0 0 1 4 南海 2勝2敗 0.500 別所昭
0 0 0 3 0 0 0 0 0 3 朝日 3勝2敗 0.600 内藤幸三 林安夫

勝利投手 別所昭 1勝1敗
敗戦投手 林安夫 1勝2敗

二塁打 (南)別所、加藤 (朝)酒沢

勝利打点 猪子利男 1

ファインプレー賞 (朝)浅原直人 1


別所昭、プロ入り初勝利!

 南海は2回、四番ピッチャー別所昭が一塁に内野安打、清水秀雄が四球を選んで無死一二塁、鈴木芳太郎の送りバントは捕邪飛となって失敗、八木進の投ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、中野正雄の左前タイムリーで1点を先制する。

 南海は2回、先頭の猪子利男がストレートの四球で出塁、長谷川善三の送りバントが野選を誘い無死一二塁、岡村俊昭が投前に送りバントを決めて一死二三塁、別所の三ゴロで三走猪子がホームを突き、サード景浦賢一のバックホームはセーフ、野選が記録されて2-0、一死一三塁から清水の一ゴロで三走長谷川が還り3-0とリードを広げる。

 南海4回の攻撃、一死後中野のカウントがワンツーとなったところで朝日はキャッチャーを広田修三から小林章良に交代、2球目のファウルの時に広田が怪我をしたか、3球目を捕球した時に突き指したのでしょうか。

 朝日は4回、先頭の酒沢政夫がライト線に二塁打、早川平一の遊ゴロの間に酒沢は三進、浅原直人の三塁内野安打がタイムリーとなって1-3、内藤幸三の三ゴロをサード鈴木がエラー、続く小林の打席でダブルスチールを決めて一死二三塁、4回途中からマスクを被る小林が中前に同点の2点タイムリーを放って3-3と追い付く。

 南海は8回、二死後別所が左中間に二塁打、続く清水のヒット性の打球をライト浅原がファインプレー、無得点に終わる。

 南海は9回、一死後八木の当りは遊ゴロ、これをショート酒沢が一塁に悪送球、中野は左邪飛に倒れるが、加藤喜作が右中間に二塁打を放って二死二三塁、猪子の三塁内野安打が決勝タイムリーとなって4-3と勝ち越す。


 南海先発の別所昭は4回に3安打を許して3点を失ったが、4回以降は9回まで三者凡退を続けるパーフェクトピッチング、3安打2四球4三振の完投でプロ入り初勝利をあげる。別所はこの後309個の勝利を積み重ねて通算310勝を記録することとなる。




*別所昭は125球の熱投でプロ入り初勝利をあげる。