4月26日 (日) 後楽園
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 2 黒鷲 5勝11敗 0.250 金子裕
1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1X 3 名古屋 4勝12敗 0.313 森井茂 石丸進一
勝利投手 石丸進一 2勝2敗
敗戦投手 金子裕 1勝1敗
三塁打 (黒)金子
本塁打 (黒)鈴木 1号、木下 1号 (名)木村 1号
勝利打点 木村進一 1
二人の進一
名古屋は初回、先頭の木村進一が死球を受けて出塁、古川清蔵の遊ゴロでランナーが入れ替わり、山下実は四球、古川が三盗を決めて一死一三塁、飯塚誠が左前にタイムリーを放って1点を先制する。
黒鷲は2回、二死後鈴木秀雄がライトスタンドに同点ホームランを叩き込んで1-1と追い付く。
名古屋は3回、先頭の山下実が右前打で出塁、飯塚の三前バントが内野安打となって無死一二塁、吉田猪佐喜の三ゴロはサード木下政文が三塁ベースを踏んで二走山下実は三封、岩本章の三ゴロは「5-4-3」と転送されるが一塁はセーフ、この隙を突いて二走飯塚が快足を飛ばして一気にホームを陥れ2-1と勝ち越す。
黒鷲は4回、一死後木下がレフトスタンドに同点ホームランを叩き込んで2-2と再度追い付く。
序盤戦は名古屋がこまめに得点を重ね黒鷲が一発で追い付くシーソーゲームとなったが、5回以降は黒鷲先発・金子裕、名古屋先発・森井茂の両技巧派投手の投げ合いで無得点が続く。
黒鷲は8回、先頭の金子が右中間に三塁打を放ち均衡を破るチャンスを迎える。名古屋ベンチはここで先発の森井から石丸進一にスイッチ、次のプレーは山田潔への第一球がボールとなり三走金子が「2-1」でタッチアウト、キャッチャー古川に補殺、ピッチャー石丸進一に刺殺が記録されている。おそらく石丸のドロップがワンバウンドしてキャッチャー古川が弾き、三走金子が突っ込んだが古川からホームベースカバーの石丸進一に送球されて間一髪金子がタッチアウトというプレーでしょう。山田は四球を選ぶが、トップに返り渡辺絢吾は二ゴロ、谷義夫は右飛に倒れてスリーアウトチェンジ。
黒鷲は9回、先頭の小松原博喜がレフト線にヒットを放ち二盗を試みるがキャッチャー古川からの送球にタッチアウト、二死後玉腰忠義が四球を選ぶが鈴木は三振で無得点。
名古屋は9回裏、一死後木村進一が三塁に内野安打、古川は左飛に倒れるが木村が二盗を決めて二死二塁とサヨナラのチャンス、しかし山下実は右飛に倒れて延長戦に突入する。
黒鷲は10回表、二死後山田がセンター右にヒット、トップに返り渡辺絢吾の右前打で山田は三塁に進み、谷に代わる代打寺内一隆監督の打席で渡辺が二盗を決めて二死二三塁、寺内はツーワンと追い込まれるが粘って四球を選び二死満塁、しかし小松原が中飛に倒れて無得点。
黒鷲は11回表、先頭の木下が死球を受けて出塁、玉腰の三ゴロでランナーが入れ替わり、玉腰が二盗を決めて一死二塁、鈴木は歩かされて一死一二塁、しかし木村孝平は遊飛、金子も投ゴロに倒れて2イニング連続でチャンスを逃す。
名古屋は11回裏、先頭の芳賀直一が遊飛、石丸進一が右飛に倒れてツーアウトランナーなし、ここでトップに返り木村進一がレフトスタンドに劇的なサヨナラホーマーを叩き込んで3-2で粘り勝つ。
石丸進一は4イニングを3安打4四球1死球1三振と苦しみながらも無失点に抑えて2勝目をあげる。
木村進一がサヨナラホームランを放ち、開幕から苦戦を続ける名古屋の救世主となった。石丸進一と木村進一は球史に特異な形で名を残している。石丸は特攻で戦死し、特に旅立つ直前の「最後のキャッチボール」で知られる。木村は戦場で右手首を失うが、戦後は母校平安高校の監督となり、義手にボールを乗せて左手一本での猛ノックで平安ナインを鍛え上げ甲子園優勝監督となる。二人の進一が、苦戦を続ける名古屋のピンチを救った。
*石丸進一は苦しみながらも4イニングを無失点で切り抜け2勝目をあげる。
*木村進一のサヨナラホームランを伝えるスコアカード。