2017年5月31日水曜日

18年 巨人vs阪神 10回戦


9月15日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 巨人 38勝20敗2分 0.655 藤本英雄 川畑博
0 0 0 0 0 1 2 1 X 4 阪神 28勝26敗6分 0.519 三輪八郎


勝利投手 三輪八郎   6勝7敗
敗戦投手 藤本英雄 25勝7敗

二塁打 (神)山口、景浦

勝利打点 山口政信 4


藤本の連続完封記録途絶える

 巨人は6試合連続完封を継続中の藤本英雄が先発、阪神は三輪八郎で応戦する。

 藤本はこの日も快調なピッチングを続け、5回まで阪神打線を1安打無四球に抑える。


 一方、三輪八郎も巨人打線を抑えて無失点。3回は先頭の多田文久三に右前打を許すが多田の二盗をキャッチャー門前が刺し、4回は呉昌征の三塁内野安打と白石敏男の送りバントで一死二塁のピンチを迎えるが、小暮力三を歩かせ、青田昇の投ゴロで二走呉を三封し、伊藤健太郎も二飛に打ち取りピンチを切り抜ける。


 阪神は6回、一死後塚本博睦が中前打で出塁、トップに返り山口政信が右中間を破る二塁打、一走塚本が還って1点を先制、藤本の連続完封記録が途絶えた瞬間である。


 三輪八郎は6回、7回と巨人打線を三者凡退に抑える。


 阪神は7回、一死後門前の当りは遊ゴロ、これをショート白石がエラー、続く玉置玉一の投ゴロを今度は藤本が二塁に悪送球、三輪八郎は左飛に倒れて二死一二塁、武智修が中前にタイムリーを放って2-0、塚本が四球を選んで二死満塁、トップに返り山口が左前にタイムリーを放ち3-0と突き放す。


 巨人ベンチは8回から藤本を下げて川畑博をマウンドに送る。

 阪神は8回、一死後景浦将がレフト線に二塁打、門前の左前打で一死一三塁、玉置の三ゴロ併殺崩れの間に三走景浦が還って4-0とダメ押す。


 三輪八郎は8回、9回も無失点で切り抜け、3安打1四球2三振で今季初完封、6勝目をあげる。
 巨人の零封は7月15日の阪神戦で若林忠志に完封されて以来今季5度目。


 連続完封記録が6試合で途切れた藤本英雄は、連続無失点記録も62イニングで途切れた。現時点では日本記録となるが、昭和33年に金田正一が64回3分の1連続無失点の新記録を樹立することとなる。



2017年5月30日火曜日

18年 朝日vs西鉄 10回戦


9月15日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  0 朝日 30勝25敗5分 0.545 内藤幸三
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  0 西鉄 25勝29敗6分 0.463 近藤貞雄 野口二郎

二塁打 (朝)中谷

勝利打点 なし

内藤幸三、一世一代のピッチング

 打線が好調の西鉄はここまで9連勝。その強力打線に内藤幸三が立ち塞がった。

 内藤は初回、中村信一を遊ゴロ、濃人渉を投ゴロ、野口二郎を遊ゴロに打ち取ると調子の波に乗った。


 2回は野口明を二ゴロ、黒沢俊夫を二飛、中村民雄を中飛に、3回は富松信彦を一ゴロ、鵜飼勉を遊ゴロ、近藤貞雄を中飛に打ち取りここまでパーフェクトピッチング。


 4回、先頭の中村信一に四球を与えるが、濃人を三振、野口二郎の一邪飛に一走中村が飛び出しており内藤が一塁ベースカバーに走って「3-1A」のダブルプレー。エンドランで一塁横へのハーフライナーとなったか、バントエンドランが小飛球になったのか。


 5回は野口明、黒沢、中村民雄が3連続中飛。


 6回、先頭の富松に四球を与えると、鵜飼が送りバントを決めて初めてスコアリングポジションに走者を背負う。近藤の当りはレフトライナー、トップに返り坪内と濃人に四球を与えて二死満塁のピンチを迎えるが、野口二郎を三ゴロに打ち取る。


 0対0の膠着状態が続き、西鉄は7回から先発の近藤を下げてライトの野口二郎をマウンドに送る。


 7回、先頭の野口明の当りは一二塁間へのゴロ、これが内野安打となって無死一塁、黒沢の二ゴロで野口明は二封、黒沢が二盗を決めるが中村民雄は二飛、富松も一飛に打ち取り無失点。


 8回、先頭の鵜飼は左邪飛、87回からライトに入っている村瀬秀孝が四球を選び二盗に成功、しかしここも坪内を捕邪飛、濃人を左飛に打ち取る。


 9回、先頭の野口二郎の当りは遊ゴロ、これをショート酒沢政夫がエラー、しかし野口明の右飛に一走野口二郎が飛び出しており「9-3」と送られてダブルプレー、ここはエンドランだったか。黒沢を左飛に打ち取り、9回まで内野安打1本無失点に抑え込み、0対0のまま延長戦に突入する。


 10回、中村民雄を遊ゴロ、富松を二ゴロ、鵜飼を三ゴロに打ち取る。11回、村瀬を三振、トップに返り中村信一を中飛、濃人を三ゴロに打ち取る。


 最終12回、先頭の野口二郎を左飛、野口明を右飛、黒沢を左飛に打ち取り、0対0のまま引分け。


 内藤幸三は12回を1安打5四球2三振無失点。7回の野口明の内野安打がどのような当りであったかは分からないが、「エラー」と判定されていたら空前絶後の記録が樹立されたかもしれない。


 朝日打線も近藤貞雄-野口二郎の継投の前に3安打無得点に抑え込まれた。



*内藤幸三の一世一代のピッチングを伝えるスコアカード。



2017年5月28日日曜日

18年 南海vs阪急 9回戦


9月13日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
4 0 0 0 0 0 0 0 0 4 南海 23勝35敗1分 0.397 丸山二三雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 19勝38敗2分 0.333 江田孝

勝利投手 丸山二三雄 4勝12敗
敗戦投手 江田孝        4勝4敗

二塁打 (南)猪子
三塁打 (南)猪子、岡村

勝利打点 鈴木芳太郎 4


丸山二三雄、4安打完封

 南海は初回、先頭の猪子利男がいきなり左中間に三塁打、鈴木芳太郎が右前に先制タイムリーを放って1-0、岡村俊昭も右中間に三塁打を放ち2-0、中野正雄は投ゴロ、堀井数男は遊飛に倒れるが、増田敏がストレートの四球を選んで二死一三塁、ここで鮮やかにダブルスチールを決めて3-0、丸山二三雄が右前にタイムリーを放って一気に4点を先制する。

 南海は2回以降3安打のみで追加点は無し。


 丸山二三雄は4安打5四球5三振で今季2度目の完封、4勝目をあげる。走者を出しながらのピッチングであったが、3回と6回に「5-4-3」、9回には「4-6-3」」と三つの併殺でピンチを切り抜けた。


 猪子利男は初回の三塁打に続いて2回の第二打席でも二塁打を放つ活躍。勝利打点は鈴木芳太郎に記録されるが、追撃の三塁打を放った岡村俊昭と猪子が「並列の殊勲者」となる。


 完封勝利の丸山二三雄も2安打1打点の活躍であった。丸山は昭和21年の戦後復活初年度に25勝をマーク、最多勝は白木義一郎であるが、真田重蔵と並んで勝利数では2位タイとなる。



18年 大和vs名古屋 9回戦


9月13日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 大和 25勝30敗4分 0.455 片山栄次 畑福俊英
0 2 0 0 0 0 1 1 X 4 名軍 34勝19敗6分 0.642 野口正明


勝利投手 野口正明 6勝2敗
敗戦投手 片山栄次 9勝16敗

二塁打 (和)吉水、木村 (名)野口

勝利打点 野口正明 1


野口正明、完投勝利と勝利打点

 名古屋は初回、先頭の石丸藤吉が四球で出塁、古川清蔵のバントが内野安打となって無死一二塁、小鶴誠が四球を選んで無死満塁のビッグチャンス、ところが吉田猪佐喜の投ゴロで三走石丸藤吉は本封、加藤正二の投ゴロは「1-2-3」と渡るゲッツーとなって無得点に終わる。

 名古屋は2回、先頭の岩本章がレフト線に二塁打、芳賀直一が投前に送りバントを決めて一死二塁、藤原鉄之助は四球を選んで一死一二塁、野口正明のレフト線二塁打で1点を先制、トップに返り石丸藤吉の遊ゴロをショート木村孝平がエラーする間に三走藤原が還って2-0とする。


 大和は7回、先頭の小島利男の遊ゴロをショート芳賀が一塁に悪送球、高橋吉雄の二ゴロの間に小島は二進、鈴木秀雄の右飛で小島がタッチアップから三進、小松原博喜に代わる代打吉水幸夫がレフト線に二塁打を放って1点を返し1-2とする。


 名古屋は7回裏、先頭の芳賀が四球を選んで出塁、藤原の三前バントは当りが強くサード高橋が二塁に送球するが悪送球、一走芳賀は三塁に、打者走者の藤原は二塁に進んで無死二三塁、大和ベンチはここで先発の片山栄次から畑福俊英にスイッチ、野口は三振、トップに返り石丸藤吉が四球を選んで一死満塁、古川の左犠飛で貴重な1点を追加して3-1とする。


 名古屋は8回、先頭の吉田がストレートの四球で出塁、加藤は左飛に倒れるが岩本が四球を選んで一死一二塁、芳賀は二飛に倒れるが藤原が四球を選んで二死満塁、野口が押出し四球を選んで4-1と突き放す。


 野口正明は5安打3四球2三振1失点、自責点ゼロの完投で6勝目をあげる。打っても2回に決勝打を放つ活躍を見せた。


 名古屋は秋季リーグ戦に入って3連勝、巨人がもたつく間に名古屋が2ゲーム差に迫ってきた。



2017年5月27日土曜日

18年 阪神vs朝日 9回戦


9月13日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 2 0 0 0 0 0  0   0   0  2 阪神 27勝26敗6分 0.509 若林忠志
0 0 1 0 0 0 0 0 1  0   0   0  2 朝日 30勝25敗4分 0.545 真田重蔵

勝利打点 なし

猛打賞 (名)坪内道則 2


坪内道則、起死回生の同点タイムリー

 朝日は3回、一死後坪内道則が二遊間にヒット、大友一明は中飛に倒れるが、酒沢政夫が右前打、中谷順次も中前打で続いて二死満塁、小林章良が押出し四球を選んで1点を先制する。

 阪神は4回、先頭の金田正泰が右前打で出塁、藤村冨美男が送りバントを決めて一死二塁、景浦将の遊ゴロで二走金田が三塁に走り、ショート酒沢はサードに送球するが、これが走者に当って白球がファウルグラウンドを転々とする間に金田が一気に生還して1点を先制、打者走者の景浦は二塁に進み、門前真佐人の中前打で一死一三塁、玉置玉一は三振に倒れるが、若林忠志が右前にタイムリーを放って2-0とする。


 阪神打線はこの後、真田重蔵に抑え込まれて11回まで無安打が続く。


 1点ビハインドのまま迎えた9回裏、朝日は先頭の早川平一が四球を選んで出塁、真田が送って一死二塁と同点のチャンス、渡辺時信は3球ファウルで粘って四球を選び一死一二塁、森本清三は三振に倒れて二死一二塁、トップに返り坪内が起死回生の同点タイムリーを放って土壇場で2-2と追い付く。


 阪神は12回表、二死後塚本博睦がライト線にヒット、トップに返り山口政信の打席で塚本が二盗を決め、山口は四球で二死一二塁、しかし金田は二飛に倒れて阪神の勝利はなくなる。


 朝日は12回裏、酒沢のレフトライナーを山口が落球、中谷は中飛に倒れるが、小林が右前打を放って一死一二塁、ここで二走酒沢がディレードスチール、キャッチャー田中義雄がショートの武智修に送球、酒沢は三本間に挟まれて二塁に帰塁するが、既に一走小林も二塁に来ており雪隠詰め、小林がアウトとなって二死二塁、早川に代わる代打内藤幸三はツーストライクから2球ファウルで粘るが最後は三振、延長12回引分け。


 若林忠志は12回を完投して10安打6四球4三振2失点。


 真田重蔵も12回を完投して7安打4四球2三振2失点、自責点ゼロ。投球内容では真田が上回ったが、若林の粘りが光った。



18年 西鉄vs巨人 9回戦


9月13日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 1 0 0 0 2 0 0 4 西鉄 25勝29敗5分 0.463 重松通雄 野口二郎
0 2 0 0 0 0 0 0 0 2 巨人 38勝19敗2分 0.667 川畑博 中村政美

勝利投手 重松通雄 7勝15敗
敗戦投手 川畑博     6勝3敗
セーブ    野口二郎  4

二塁打 (西)濃人 (巨)中島
三塁打 (西)濃人
本塁打 (西)野口明 2号

勝利打点 野口明 6


野口明、決勝ツーラン

 好調西鉄は下手投げの重松通雄が先発。一方、巨人は藤本英雄の連投を避けて川畑博が先発する。

 西鉄は初回、先頭の中村信一が中前打で出塁、濃人渉が右中間に三塁打を放ち早くも1点を先制。


 巨人は2回、先頭の伊藤健太郎が四球で出塁、中島治康は三邪飛に倒れるが、多田文久三の右前打で一死一二塁、川畑の遊ゴロで多田が二封されて二死一三塁、大屋克己が中前に同点タイムリーを放って1-1、坂本茂の右前打で二死満塁、トップに返り呉昌征がストレートの押出し四球を選んで2-1と逆転する。


 西鉄は3回、二死後野口二郎が右前打で出塁、野口明の三ゴロをサード大屋が二塁に送球するがセーフ、内野安打ではなく野選が記録されているので、一塁に投げていれば間に合ったと判断されたようだ。試合経験の乏しい大屋ならではの判定だったか。黒沢俊夫はストレートの四球で二死満塁、中村民雄が押出し四球を選んで2-2の同点に追い付く。


 この後、西鉄は6回まで無安打、立ち直った川畑を打てなかった。


 西鉄は7回、先頭の濃人がレフト線に二塁打、巨人ベンチは川畑から中村政美にスイッチ、野口二郎は三ゴロに倒れて一死二塁、ここで野口明がレフトスタンドに決勝のツーランを叩き込んで4-2と勝ち越す。


 リードを奪った西鉄は7回からライトの野口二郎をマウンドに呼び寄せて逃げ込みを狙う。


 野口二郎はベンチの期待に応えて3イニングを1安打1四球無三振無失点に抑え、今季4個目のセーブを記録する。


 西鉄は巨人も撃破してこれで9連勝、この日も濃人渉と野口明の長打で打ち勝つ。


 巨人は不振が続く中島治康に二塁打が出たのが唯一の収穫であった。



2017年5月24日水曜日

18年 阪急vs名古屋 9回戦


9月12日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 1 0 1 0 3 阪急 19勝37敗2分 0.339 笠松実 天保義夫
0 0 0 0 0 4 0 0 X 4 名軍 33勝19敗6分 0.635 森井茂 石丸進一

勝利投手 森井茂 5勝4敗
敗戦投手 笠松実 5勝7敗
セーブ    石丸進一 2

二塁打 (名)西沢

勝利打点 西沢道夫 2

猛打賞 (急)下社邦男 2


西沢道夫、逆転二塁打

 阪急は4回、先頭の山田伝が中前打で出塁、下社邦男も中前打を放って無死一三塁、笠石徳五郎が左前にタイムリーを放って1点を先制、松本利一は三振に倒れるが、池田久之の左前打で一死満塁、笠松実の左飛で三走下社がタッチアップからホームを狙うが、レフト吉田猪佐喜からのバックホームにタッチアウト。

 阪急は6回、先頭の下社が右前打で出塁、笠石が送りバントを決めて一死二塁、松本利一に代わる代打丸尾千年次の三ゴロをサード小鶴誠が一塁に悪送球して一死一三塁、池田が左前にタイムリーを放って2-0とする。


 名古屋は6回裏、先頭の小鶴がストレートの四球で出塁、吉田猪佐喜は三振に倒れるが、加藤正二が右前打、岩本章も左前打を放って一死満塁、芳賀直一の投ゴロの間に三走小鶴が還って1-2、藤原鉄之助はストレートの四球で二死満塁、阪急ベンチはここで先発の笠松実から天保義夫にスイッチ、名古屋は森井茂に代えて代打として西沢道夫を起用、西沢が期待に応えてライト線に二塁打、満塁走者一掃となって4-2と逆転に成功する。


 2点のリードを奪った名古屋は7回からエース石丸進一を投入する。


 阪急は8回、二死後伊藤健一の当りは二ゴロ、これをセカンド石丸藤吉が一塁に悪送球、更に石丸進一の一塁牽制が悪送球となって二死二塁、中村栄は四球で二死一二塁、上田藤夫の左前打で二死満塁、山田がストレートの押出し四球を選んで3-4、下社の当りは一ゴロ、ファースト加藤から一塁ベースカバーの石丸進一に渡ってスリーアウトチェンジ。


 石丸進一が9回の阪急の反撃を三者凡退に抑えて名古屋が逃げ切る。


 西沢道夫が放った満塁走者一掃の代打逆転二塁打で試合が決まった。


 阪急6回の攻撃で代打として登場した丸尾千年次は昭和12年以来6年ぶりの出場となった。戦後は公式戦に出場することなくスカウトに転じ、昭和48年に阪急が強硬指名した作新学院の江川を担当することとなる。



2017年5月22日月曜日

18年 南海vs大和 9回戦


9月12日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 5 0 0 0 6 南海 22勝35敗1分 0.386 別所昭
0 1 0 0 0 0 0 2 0 3 大和 25勝29敗4分 0.463 石田光彦

勝利投手 別所昭   14勝16敗
敗戦投手 石田光彦 8勝8敗

二塁打 (南)猪子、鈴木 (和)木村

勝利打点 猪子利男 2

猛打賞 (南)猪子 3(和)木村 4


猪子利男が勝利打点と猛打賞

 南海は初回、先頭の猪子利男がいきなりレフト線に二塁打、鈴木秀雄が投前に送りバントを決めて一死二塁、岡村俊昭の中犠飛で1点を先制する。

 大和は2回、先頭の高橋吉雄が中前打で出塁、鈴木秀雄が一前に送りバントを決めて一死二塁、小松原博喜は捕邪飛に倒れるが、石田光彦の左前タイムリーで1-1の同点に追い付く。


 南海は3回、先頭の荒木正が四球を選んで出塁、長谷川善三の初球送りバントはファウルとなって失敗、そこからボールが3つ続いて強攻策に切り替えるがツースリーから捕邪飛、これをキャッチャー鈴木秀雄が落球、鈴木にはエラーが記録されて長谷川は命拾い、ところが次の投球を長谷川は二ゴロ、この打球が一走荒木に当たって守備妨害、トップに返り猪子の打席で長谷川が二盗を試みるが強肩鈴木秀雄からの送球にタッチアウトとなって失敗、猪子が三前にセーフティバントを決めるが、ピッチャー石田からの牽制にタッチアウト。ファウルフライエラーと守備妨害と盗塁失敗とバントヒットと牽制刺が同一回に起きる珍しいイニングとなった。世界野球史上唯一の可能性が高い。


 南海は6回、先頭の荒木がストレートの四球で出塁、長谷川が送りバントを決めて一死二塁、トップに返り猪子が中前に勝越しタイムリーを放って2-1とリード、鈴木芳太郎のライト線二塁打で猪子が還り3-1、送球の間に鈴木は三塁に進み、岡村の中前タイムリーで4-1、中野正雄の左前打で一走岡村は三塁に進み、送球の間に打者走者の中野も二塁に進んで一死二三塁、別所昭の遊ゴロの間に三走岡村が還り5-1、堀井数男の三塁内野安打で三走中野が還って6-1とリードを広げる。
 大和は8回、先頭の杉江文二に代わる代打呉新亨が四球を選んで出塁、トップに返り岡田福吉の打席で呉が二盗に成功、岡田は三振に倒れるが、木村孝平がこの日3安打目となるタイムリー二塁打をレフト線に放って2-6、金子裕の一ゴロの間に二走木村は三進、小島利男のピッチャー強襲ヒットで木村が還り3-6まで追い上げるが反撃もここまで。


 別所昭は6安打2四球4三振の完投で14勝目をマークする。


 南海の核弾頭、猪子利男が4打数3安打2得点1安打で勝利打点と猛打賞を記録した。猪子は戦後、函館太洋倶楽部で都市対抗に出場、昭和24年の日本生命との2回戦は延長14回、10対11で敗れたが、この試合でも一番ショートの核弾頭として出場している。


 この日は二番であたが大和の核弾頭、木村孝平も4打数3安打1得点1打点で猛打賞を記録した。函館太洋倶楽部のOB会長を務めて77歳まで生きた猪子とは対照的に、木村は戦没することとなる。没年は不明とのことで、永く「鎮魂の碑」にもその名は刻まれていなかったが、その後の調査により、「木村孝平」の名は2015年に「鎮魂の碑」に銘記されることとなった。



2017年5月20日土曜日

18年 朝日vs巨人 9回戦


9月12日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 朝日 30勝25敗3分 0.545 内藤幸三
1 0 0 0 0 0 0 0 X 1 巨人 38勝18敗2分 0.679 藤本英雄

勝利投手 藤本英雄 25勝6敗
敗戦投手 内藤幸三   5勝8敗

三塁打 (朝)中谷

勝利打点 なし


藤本英雄、6試合連続完封

 巨人は夏季リーグ戦終盤に5試合連続完封の藤本英雄が秋季開幕戦となった昨日の阪神戦をスキップしてこの試合に先発。朝日はかつての「巨人キラー」内藤幸三で応戦する。

 朝日は初回、二死後中谷順次が右中間に三塁打、しかし早川平一は三振に倒れて無得点。


 巨人は1回裏、先頭の呉昌征が四球で出塁すると二盗に成功、白石敏男の遊ゴロの間に呉は三進、青田昇の三ゴロをファースト森本清三が落球する間に三走呉が還って1点を先制する。


 立ち上がりの藤本は本調子を欠いており、2回は先頭の小林章良に左前打を許すが後続を抑え、3回も一死後坪内道則と酒沢政夫に連続右前打を許し、自らのワイルドピッチで一死二三塁のピンチを迎えるが、中谷を二飛、早川を右飛に打ち取り切り抜ける。


 藤本は4回、一死後大友一明を四球で歩かせるが、大友の盗塁をキャッチャー多田文久三が刺してピンチの芽を摘み取る。5回は一死後森本の二ゴロをセカンド坂本茂がエラー、トップに返り坪内の当りはファーストライナー、小暮力三がそのままベースを踏んで森本は帰れずダブルプレーと、ツキも味方した。


 6回も一死後中谷を四球で歩かせるが、早川の投ゴロで中谷を二封、小林を三振に打ち取る。7回は大友を一邪飛、内藤を三振、大島渡を左飛とこの試合初めての三者凡退。


 8回、先頭の森本を四球で歩かせ、トップに返り坪内の二ゴロの間に森本は二進、酒沢の中前打で二走森本は三塁ベースを蹴って同点のホームに突進、しかしセンター呉からのバックホームにタッチアウト、送球の間に打者走者の酒沢は二進、初回に三塁打を打たれた中谷を敬遠して二死一二塁、早川を遊ゴロに打ち取りここまで無失点。


 9回、先頭の小林を遊ゴロに打ち取るが、大友に中前にゴロで抜けるヒットを許し、センター呉がエラーして一死二塁、しかし内藤を三振、大島に代わる代打真田重蔵を右飛に打ち取る。


 藤本英雄は今一つの調子ながら6安打4四球7三振で6試合連続完封を飾った。この記録は、現在に至るまで日本記録であり、今後も更新は困難であると考えられる。


 内藤幸三は3安打6四球4三振1失点、自責点ゼロと藤本に劣らない快投でかつての「巨人キラー」ぶりを発揮したが、初回の味方エラーに泣いた。


 記録と言えば、呉昌征はこの日3つの盗塁を成功させ、5月17日の西鉄戦以来、28回連続盗塁成功を継続中である。



18年 西鉄vs阪神 9回戦


9月12日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 5 0 2 0 0 0 0 7 西鉄 24勝29敗5分 0.453 近藤貞雄
0 0 0 2 0 0 0 0 0 2 阪神 27勝26敗5分 0.509 渡辺誠太郎 中原宏

勝利投手 近藤貞雄     4勝2敗
敗戦投手 渡辺誠太郎 0勝2敗

二塁打 (西)野口明
三塁打 (西)中村民雄 (神)玉置

勝利打点 野口二郎 3


快調西鉄8連勝!

 西鉄は2回、先頭の野口明が四球を選んで出塁、黒沢俊夫の一ゴロをファースト景浦将が二塁に送球するがベースカバーに入ったショート武智修が落球して無死一二塁、中村民雄の送りバントは捕前へのゴロとなりキャッチャー門前真佐人がダッシュよく飛び出して二走野口明は三封、一死一二塁から富松信彦の左飛に二走黒沢が飛び出しておりダブルプレー。

 阪神は2回裏、一死後玉置玉一がセンター右にヒット、渡辺誠太郎が左前打で続いて一死一二塁、西鉄には嫌な流れになってきたがここで先発の近藤貞雄が踏ん張り、武智を中飛、塚本博睦を右飛に打ち取りピンチを凌いだ。


 試合の流れを引き戻した西鉄は3回、先頭の鵜飼勉が左前打で出塁、近藤も右前打を放って無死一二塁、トップに返り中村信一がストレートの四球を選んで無死満塁、濃人渉は三飛に倒れるが、野口二郎の三遊間ヒットで1点を先制、野口明がレフト線に二塁打を放って3-0として阪神先発の渡辺をKO、黒沢は三飛に倒れるが、中村民雄が阪神二番手の中原宏に左中間三塁打を浴びせて2点を追加、5-0と大きくリードする。


 阪神は4回、先頭の門前が四球で出塁、玉置が右中間に三塁打を放って1-5、中原宏は三振、武智は二ゴロに倒れるが、塚本が中前にタイムリーを放って2-5と追い上げる。


 西鉄は5回、先頭の野口二郎が中前打、野口明の右前打で無死一三塁、明が二盗を決めて無死二三塁、黒沢の二ゴロをセカンド藤村冨美男がエラー、黒沢には打点が記録されて6-1、無死一三塁から中村民雄の投ゴロ併殺の間に三走野口明が還って7-0、この場合中村民雄には打点は記録されない。


 大量リードをバックに近藤貞雄は7安打6四球1三振で完投、4勝目をあげる。


 夏季リーグ戦から打線好調の西鉄は秋季に入っても好調子をキープしてこの日も7得点、西鉄はこれで8連勝をマークした。



2017年5月14日日曜日

18年 南海vs名古屋 9回戦


9月11日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 0 0 0 1 2 南海 21勝35敗1分 0.375 丸山二三雄
0 3 0 0 0 0 0 0 X 3 名軍 32勝19敗6分 0.627 石丸進一


勝利投手 石丸進一   13勝6敗
敗戦投手 丸山二三雄 3勝12敗

二塁打 (名)小鶴
本塁打 (南)鈴木 1号

勝利打点 芳賀直一 3


石丸進一、完投で13勝目

 名古屋は2回、先頭の西沢道夫が三塁に内野安打、更にサード鈴木芳太郎の一塁悪送球が加わり西沢は二塁に進み、加藤正二は中飛に倒れるが、岩本章の左前打で一死一三塁、岩本が二盗を決めて一死二三塁、芳賀直一が右前に先制タイムリーを放って1-0、芳賀が二盗を決めるが三走岩本が三本間に挟まれ「2-6-5」と渡ってタッチアウト、岩本には「盗塁死」が記録されていないので重盗失敗ではなく芳賀には盗塁が記録される。挟殺プレーの間に芳賀は三塁に進み、藤原鉄之助が四球から二盗に成功して二死二三塁、石丸進一が右前に2点タイムリーを放って3-0とする。

 南海は2回、先頭の鈴木がレフトスタンドにホームランを叩き込んで1-3とする。


 名古屋打線は4回以降8回まで南海先発の丸山二三雄に無安打に抑え込まれて追加得点はならず。


 南海は9回表、先頭の岡村俊昭がストレートの四球で出塁、中野正雄に代わる代打別所昭の遊ゴロでランナーが入れ替わり、堀井数男の二ゴロでゲッツー、万事休すかと思われたが、セカンド石丸藤吉からの二塁送球が大悪投となり、別所に代わる代走平井猪三郎が還って2-3と1点差、増田敏が左前打を放って一死一三塁、しかしここで名古屋先発の石丸進一が底力を発揮し、丸山は捕邪飛、荒木正は中飛に倒れて名古屋が逃げ切る。


 石丸進一は6安打1四球1死球2三振の完投で13勝目をあげる。打っても試合を決める追撃の2点タイムリーを放つ活躍であった。


 丸山二三雄は2回に3点を取られたが、1回及び4回~8回を三者凡退に抑える好投を見せた。



コメント返し


「tarou919」様よりコメント欄から質問をいただいておりますので、こちらから回答させていただきます。

「下記の投手について何かわかる事はないでしょうか?」

浅岡三郎投手
繁里栄投手
高橋敏投手
政野岩夫投手
石原繁三投手
吉江英四郎投手
野口明投手


 浅岡三郎は軟投派だったようですが、野口二郎と比較される立場にあったので、球が遅かった訳ではなかった可能性もあります。

 繁里栄は読売新聞に「重い球質」という記事が見られます。


 高橋敏はスコアカードを追っていって分かる通り、戦前では森弘太郎と並ぶコントロールの良さが武器です。


 政野岩夫は読売新聞に「アンダーハンドでシンカーを持っている」という記載があります。


 石原繁三については、遠野中学に転向後、岩手県高校野球史に「石原事件」として名を残しています。父親の仕事の関係で埼玉県川越中学から岩手県遠野中学に転向してきた石原は、福岡中学との対戦で、福岡側から「転校間もない石原繁三に出場資格は無い」と抗議を受けて出場できませんでした。この時福岡中学の選手だった小田野柏のコメントが「岩手県立福岡高等学校 野球部創部100周年史 陣場台熱球録」に残されています。「後年プロ野球で見た石原投手は球も速く、弱小球団の中で孤軍奮闘という感じだった。」


 吉江英四郎は、下の写真を見るとオーバーハンドだったようです。


 野口明は中京商業時代は強肩のキャッチャーで、小さなテイクバックからキレの良いストレートとドロップを投げていたようです。なお、野口明に関しては今年の夏にちょっとした話題がありますのでお楽しみに。



*吉江英四郎のベースボールカード。






2017年5月13日土曜日

18年 阪急vs大和 9回戦


9月11日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 19勝36敗2分 0.345 天保義夫
1 0 0 0 0 0 2 0 X 3 大和 25勝28敗4分 0.472 畑福俊英

勝利投手 畑福俊英 7勝5敗
敗戦投手 天保義夫 5勝12敗

二塁打 (急)天保

勝利打点 なし


畑福俊英、冴えるナックル

 阪急は初回、大和開幕投手の畑福俊英を攻めて、先頭の中村栄が右前打で出塁、上田藤夫の遊ゴロでランナーが入れ替わり、山田伝の右前打で一死一二塁、松本利一の一ゴロが「3-6-3」と渡ってダブルプレー。

 大和は1回裏、一死後木村孝平が四球から二盗に成功、金子裕が四球を選んで一死一二塁、小島利男はセンターライナーに倒れるが、高橋吉雄の遊ゴロをショート中村がエラー、この間に二走木村が還って1点を先制する。


 この後7回表まで両軍無得点が続く。


 大和は7回裏、先頭の小松原博喜が四球を選んで出塁、畑福が送りバントを決めて一死二塁、渡辺絢吾が死球を受けて一死一二塁、トップに返り岡田福吉が左前にタイムリーを放って2-0、木村孝平も左前にタイムリーで続き3-0として試合を決める。


 畑福俊英は阪急打線を5安打に抑えて2四球7三振で今季3回目の完封、7勝目をあげる。かつては巨体からの剛速球を得意としていた畑福も戦場から帰還後はナックルボールを駆使する技巧派に転向した。この日は7奪三振で速球も冴えた。阪急打線は捕邪飛が1個、一飛が1個、一邪飛が2個、遊飛が2個、畑福のナックルにタイミングが合わなかったようだ。


 大和の決勝点は敵失によるもので勝利打点は記録されないが、8回に貴重な追撃のタイムリーを放った岡田福吉と木村孝平が「並列の殊勲者」となった。この二人は戦死することとなる。木村孝平は永く消息が不明で「鎮魂の碑」にその名が刻まれずに「戦没野球人モニュメント」にリストアップされていたが、2015年に「鎮魂の碑」に加えられた。


 専修大学出身の畑福俊英は戦争の時代を生き抜き、戦後は専修大学松戸高等学校(専大松戸)野球部黎明期の監督を務めることとなる。畑福監督の教えを受け継いできた専大松戸は、2015年に悲願の甲子園初出場を成し遂げた。



18年 阪神vs巨人 9回戦


9月11日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 3 1 1 0 5 阪神 27勝25敗5分 0.519 三輪八郎 仁科栄三
0 0 0 0 0 0 2 0 0 2 巨人 37勝18敗2分 0.673 中村政美


勝利投手 三輪八郎 5勝7敗
敗戦投手 中村政美 1勝4敗
セーブ     仁科栄三 1

二塁打 (神)塚本、藤村 (巨)伊藤

勝利打点 藤村冨美男 1


藤村冨美男、帰還後初の殊勲打

 秋季開幕戦の巨人の先発は中村政美。巨人は開幕戦に主戦投手を出さないケースが多いが、阪神よりも明日の朝日をマークして藤本英雄を回すようだ。

 阪神打線は中村に抑え込まれて5回までノーヒット。


 巨人は4回まで毎回走者を出すが、2回は無死一塁で中村が投ゴロ併殺。4回は一死二三塁から中村のショートライナーに三走青田昇が戻れずここもゲッツー。


 阪神は6回、一死後塚本博睦が左中間に二塁打、トップに返り山口政信の投ゴロで二走塚本が二三塁間に挟まれ「1-5-6」と渡てタッチアウト、この間に打者走者の山口は二塁に進み、金田正泰がストレートの四球で二死一二塁、藤村冨美男のライト線二塁打で二者還り2点を先制、景浦将がセンター左にタイムリーを放って3-0とする。


 巨人は6回裏、先頭の呉昌征が四球で出塁、白石敏男は右前打、小暮力三の三塁線バントが内野安打となって無死満塁、阪神ベンチはここで先発の三輪八郎から仁科栄三にスイッチ、仁科は青田を三振、伊藤健太郎を浅い左飛、中村を二ゴロに抑えてピンチを切り抜ける。


 阪神は7回、先頭の玉置玉一が四球で出塁、仁科が送って一死二塁、武智修が右前ンタイムリーを放って4-0とする。


 巨人は7回裏、先頭の多田文久三が左前打、大屋克己の三ゴロでランナーが入れ替わり、坂本茂の右前打で一死一二塁、トップに返り呉の中前打で一死満塁、白石は一飛に倒れて二死満塁、小暮が右前に2点タイムリーを放って2-4と追い上げる。


 阪神は8回、先頭の金田正泰がストレートの四球から二盗に成功、藤村は右飛に倒れるが、景浦の遊ゴロをショート白石が一塁に悪送球する間に二走金田が還って5-2と突き放す。


 巨人は8回裏、先頭の伊藤が四球で出塁するが、中村の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー、多田が左前打を放つが、大屋は遊ゴロに倒れて無得点。


 巨人は9回裏、一死後呉が中前打で出塁、しかし白石の当りはセカンドライナー、小暮の当りもショートライナーで阪神が逃げ切る。


 中村政美が打者として第一打席で「1-6-3」、第四打席で「6-4-3」と2個の併殺打を記録。第二打席のショートライナーも二走青田が戻れずゲッツーとなったが、この場合は「併殺打」は記録されない。


 戦場から戻ってきた藤村冨美男が殊勲の決勝二塁打を放った。こうなると阪神も侮れない。



18年 西鉄vs朝日 9回戦


9月11日 (土) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 0 0 1 0 0 0 2 0 6 西鉄 23勝29敗5分 0.442 野口二郎
0 0 0 1 0 0 1 0 0 2 朝日 30勝24敗3分 0.556 真田重蔵

勝利投手 野口二郎 14勝10敗
敗戦投手 真田重蔵   7勝9敗

二塁打 (西)濃人2、黒沢 (朝)小林2、酒沢
三塁打 (朝)真田2

勝利打点 野口二郎 2


西鉄13安打で快勝

 いよいよ昭和18年秋季リーグ戦が開幕。

 西鉄は初回、先頭の中村信一が左前打で出塁、濃人渉がレフト線に二塁打を放って無死二三塁、野口二郎がレフト線に先制の点タイムリーを放って2-0、送球の間に野口二郎は二塁に進んで無死二塁、野口明が四球を選んで無死一二塁、黒沢俊夫は三振、中村民雄の三ゴロをサード中谷順次がベースを踏んで二死一二塁、富松信彦の二遊間タイムリーで3-0とする。


 西鉄は4回、先頭の富松が四球を選んで出塁、山田秀夫は左飛、鵜飼勉の遊ゴロでランナーが入れ替わり、鵜飼が二盗を決めて二死二塁、中村信一が左前にタイムリーを放って4-0とする。


 朝日は4回裏、先頭の西沢道夫の三ゴロをファースト野口明が落球、中谷の右前打で無死一三塁、早川平一の左犠飛で1-4とする。


 朝日は5回、第一打席でレフト線に二塁打を放った小林章良はレフトライナーに倒れて一死無走者、真田重蔵がライト線に三塁打を放って一死三塁、渡辺時信の右飛で三走真田がタッチアップからホームを狙うが、ライト植田隼美からの返球にタッチアウト。


 朝日は7回、二死後小林がライト線にこの日2本目の二塁打、真田が右中間に2打席連続の三塁打を放って2-4とする。


 西鉄は8回、一死後植田が中前にプロ入り初ヒット、鵜飼は右飛に倒れるが、トップに返り中村信一がこの日4安打目となる中前打を放って二死一三塁、濃人の左越え二塁打で二者還り6-2とダメ押す。


 夏季終盤から打撃好調の西鉄打線は13安打、中村信一は4安打を記録した。


 肘の故障が癒えて夏場から調子を上げてきた野口二郎は8安打無四球2三振の完投で14勝目をあげる。


 朝日は負けたものの、真田重蔵が2打席連続三塁打を記録した。小林章良も第一打席と第三打席で二塁打を2本、第二打席の当りもレフトライナーで、惜しくも3打席連続二塁打を逃した。



*2打席連続三塁打を放った真田重蔵の直筆サインカード。




*惜しくも3打席連続二塁打を逃した小林章良の選手名鑑(戦後)に書かれた直筆サイン。



2017年5月10日水曜日

謎の男


 当ブログは、昭和18年7月・8月の月間MVP打撃部門に、野口二郎と並んで山田秀夫を選出させていただきました。

 当ブログが発掘するまでほぼ無名の選手で、「Wikipedia」にも紹介されていません。高橋敏も当ブログが発掘するまで「Wikipedia」に項がありませんでしたが、現在では詳しく紹介されています。ほぼ当ブログからのパクリですが(笑)。


 荏原中学から昭和18年に西鉄に入団して1年のみの在籍です。旧制・荏原中学は現在の日本体育大学荏原高等学校(日体荏原)、近年は甲子園から遠ざかっていますが高校野球ファンにはお馴染の名門で、東京では早実と並ぶ伝統を誇ります。OBとして、「中澤不二雄」と「横沢三郎」の二人のが野球殿堂入りしています。選手では、戦後の大洋の主砲・桑田武が代表ですね。新人本塁打数31本は清原と並んで歴代トップです。


 お伝えしてきたとおり、山田秀夫は昭和18年夏季に入って3節連続敢闘賞を獲得し、7月15日~8月15日にかけて49打数15安打、打率3割6厘を記録しています。8月7日の朝日戦で頭に死球を受けて途中退場、1試合欠場しますが、復帰後も4打数1安打、3打数1安打、5打数2安打をマークしました。


 1922年2月21日生れですから、プロ入り時点で21歳、日体荏原卒業後の経歴は不明です。昭和18年の出場試合は48試合、夏季までに33試合出場していますので、あと15試合でプロ野球から去ることとなります。恐らく応召と思われますが、その後の消息も不明。


 このような選手を世の中に紹介することも、当ブログに課せられた使命ですね。


2017年5月9日火曜日

18年 7月~8月 月間MVP


月間MVP

投手部門

 巨人 藤本英雄 1

 今月13試合に登板して11勝1敗8完封。防御率0.25、WHIP0.72。

 現在5試合連続完封を継続中である。ライバルは無し。


打撃部門

 西鉄 野口二郎 1

 二刀流・野口二郎は50打数16安打3割2分、5得点6打点。二郎は夏季首位打者にも輝く。

 西鉄 山田秀夫 1

 当ブログが発掘した山田秀夫は49打数15安打3割6厘、4得点4打点。勝利打点を2個記録、今月の3節は全て敢闘賞を受賞する。


2017年5月7日日曜日

18年 第12節 週間MVP


 夏季最終節は巨人が5勝0敗で優勝決定、西鉄も5勝0敗の快進撃、南海が3勝3敗、名古屋が3勝3敗、大和が2勝3敗1分、朝日が1勝3敗1分、阪神が1勝4敗1分、阪急が0勝4敗1分であった。


週間MVP

投手部門

 巨人 藤本英雄 5

 4勝0敗4完封と完璧なピッチング。これで4節連続受賞となった。

 大洋 野口二郎 1

 3勝0敗1セーブ。肘の故障から立ち直って今年初受賞となった。


打撃部門

 大洋 中村民雄 1

 23打数9安打3得点6打点。

 名古屋 吉田猪佐喜 1

 20打数9安打1得点4打点。

 大洋 黒沢俊夫 1

 19打数7安打4得点5打点。

 大洋 野口二郎 1

 24打数7安打4得点3打点。投手部門とのW受賞。


殊勲賞

 南海 増田敏 1

 8月15日の大和戦で3打席連続タイムリー。

 阪急 池田久之 1

 8月8日の朝日戦で4安打。

 南海 丸山二三雄 1

 8月7日の阪神戦で2安打完封。

 西鉄 鵜飼勉 1

 17打数5安打2得点4打点。


敢闘賞

 大和 高橋吉雄 1

 22打数8安打2得点1打点。

 西鉄 山田秀夫 3

 13打数4安打1得点2打点。8月7日の朝日戦で頭に死球を受けて1試合欠場するが、復帰直後に活躍を見せて3節連続で敢闘賞受賞。

 西鉄 濃人渉 1

 21打数8安打4得点1打点。


技能賞

 朝日 坪内道則 2

 8月7日の西鉄戦で三ゴロの間に二塁から生還。

 阪急 下社邦男 2

 今節8四球を選び21打席10出塁。
 
 大和 岡田福吉 1

 今節5盗塁。

2017年5月4日木曜日

18年 名古屋vs阪神 8回戦


8月18日 (水) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
0 0 0 0 0 0 0 0  0  0 名軍 31勝19敗6分 0.620 石丸進一
0 0 0 0 0 0 0 0 1X 1 阪神 26勝25敗5分 0.510 若林忠志

勝利投手 若林忠志 16勝9敗
敗戦投手 石丸進一 12勝6敗

勝利打点 なし


若林忠志、今季8度目の完封

 夏季リーグ戦最終戦。優勝のなくなった名古屋は温存しておいた石丸進一が先発、阪神は若林忠志監督が先発する。

 立ち上がりから石丸進一は快調なピッチングで、1回~3回は三者凡退。4回二死後、金田正泰に四球を与えるが、景浦将を投ゴロに抑えてここまで無安打ピッチング。


 名古屋は2回、先頭の吉田猪佐喜がセカンド強襲ヒット、加藤正二の遊ゴロでランナーが入れ替わり、加藤が二盗に失敗してチャンスの芽を潰す。


 名古屋は2回、先頭の石丸藤吉が二失に生き、古川清蔵が送って一死二塁と先制のチャンスを迎えるが、小鶴誠の三ゴロの際に二走石丸藤吉が守備妨害、吉田は投ゴロに倒れて無得点。


 名古屋は5回、一死後岩本章が5月30日の巨人戦以来となる復帰後初ヒットを左前に放つが、芳賀直一は左飛、藤原鉄之助は二飛に倒れて無得点。


 序盤戦は名古屋が押し気味に試合を進めるが、名古屋は6回以降8回まで三者凡退。


 阪神は5回、先頭の田中が左前にヒット、若林が送って一死二塁、大島武が四球を選んで一死一二塁、しかし乾国雄の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー。


 阪神は6回、二死後野口昇が中前打で出塁、金田が右前打で続き、景浦はストレートの四球で二死満塁、しかし田中は三ゴロに倒れて無得点。


 名古屋は9回、先頭の石丸進一の当りはショートライナー、トップに返り石丸藤吉が左前打を放つと二盗に成功、古川は捕邪飛に倒れるが、小鶴は四球、吉田もストレートの四球で二死満塁と最後のチャンス、しかし加藤が遊ゴロに倒れてこの回も無得点。


 阪神は9回裏、先頭の景浦がストレートの四球で出塁、代走に御園生崇男を起用、田中の一塁線バントが内野安打となって無死一二塁、若林が一前に送りバントを決めて一死二三塁、大島に代わる代打玉置玉一が四球を選んで一死満塁、乾に代わる代打藤村冨美男の三ゴロをサード芳賀がホームに送球、しかしこれが悪送球となって夏季最終戦は阪神がサヨナラ勝ち。


 若林忠志は3安打2四球1三振で今季8度目の完封、16勝目をあげる。


 夏季リーグ戦はこの日で終了し、9月11日から秋季リーグ戦が開始される。



2017年5月3日水曜日

18年 巨人vs朝日 8回戦


8月17日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 4 0 0 0 4 巨人 37勝17敗2分 0.685 藤本英雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 朝日 30勝23敗3分 0.566 内藤幸三

勝利投手 藤本英雄 24勝6敗
敗戦投手 内藤幸三 5勝7敗

二塁打 (巨)呉、青田
三塁打 (巨)多田

勝利打点 なし


巨人、夏季優勝!

 巨人はこの夏季最終戦に勝てば優勝決定、負けると名古屋が断然有利となる。ということで、現在4試合連続完封継続中の藤本英雄が昨日に続いて連投で先発。

 巨人は5回まで2安打無得点。名古屋も5回まで3安打無得点で後半戦を迎える。


 巨人は6回、先頭の呉昌征が四球を選んで出塁、白石敏男も四球を選んで無死一二塁、左腕・内藤幸三に対して左打ちの小暮力三は投前に送りバント、白球を拾った内藤が一塁ベースカバーのセカンド大友一明が後逸、二走呉が三塁ベースを蹴ってホームに還り1点を先制、なお無死二三塁から青田昇がレフト線に二塁打を放って3-0、中島治康は三振、藤本は遊飛に倒れて二死二塁、多田文久三がライト線に三塁打を放って4-0として、夏季優勝に向けて大きく前進する。


 藤本英雄はこの日も快調なピッチングを続け、5安打1四球4三振で5試合連続完封、巨人を夏季優勝に導いた。


 中島治康監督の不振は続いているが、青田昇が主砲に成長し、呉昌征、白石敏男の上位が出塁して、小暮力三、多田文久三の伏兵陣が渋い活躍を続けている。なお、「Wikipedia」には小暮が「右投右打」と書かれていますが(2017年5月3日現在)、「左投左打」なのでご注意ください。




*「左打ち」小暮力三の直筆サイン入りカード。


18年 阪神vs名古屋 7回戦


8月17日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 阪神 25勝25敗5分 0.500 三輪八郎 仁科栄三
3 1 0 0 0 0 0 1 X 5 名軍 31勝18敗6分 0.633 西沢道夫 野口正明


勝利投手 野口正明 5勝2敗
敗戦投手 三輪八郎 4勝7敗

三塁打 (神)金田、仁科

勝利打点 加藤正二 1


名古屋、投打が噛み合い逆転優勝に夢をつなぐ

 夏季優勝にはこの試合に勝って、第二試合で巨人が負けて、明日の夏季最終戦に連勝することが条件の名古屋はエース石丸進一の連投を避けて明日に回し、西沢道夫が先発する。

 阪神は初回、緊張感漂う西沢を攻めて、先頭の塚本博睦が四球で出塁、金田正泰がライト線に三塁打を放って1点を先制、景浦将の三ゴロの間に金田が還ってこの回2点を先制する。


 名古屋は1回裏、先頭の石丸藤吉が四球を選んで出塁、古川清蔵もストレートの四球で無死一二塁、小鶴誠が三遊間を破って無死満塁、吉田猪佐喜が左前にタイムリーを放って1-2、阪神ベンチは早くも先発の三輪八郎から仁科栄三にスイッチ、加藤正二がレフト線に逆転の2点タイムリーを放って3-2とリードする。


 名古屋は2回、一死後石丸藤吉が四球を選ぶと二盗に成功、古川清蔵が左前にタイムリーを放って4-2とリードを広げる。夏季優勝に向けて執念の逆転劇であった。


 西沢はコントロールが安定せず、2回は三者凡退に抑えたものの、3回は先頭の塚本に四球、続く金田にもストレートの四球、しかし景浦を左飛に打ち取り、門前真佐人の三遊間への当りが二走塚本に当たって守備妨害、門前には内野安打が記録されて二死一二塁、大島武を三振に打ち取る。4回、先頭の野口昇にストレートの四球を与えたところで名古屋ベンチは西沢を下げて二番手として野口正明をマウンドに送り、野口は大島武を三振、仁科を二飛、武智修をセカンドライナーに抑えて首脳陣の期待に応える。


 野口正明は5回以降も快投を続け、8回には敵失により追加点の援護もあって9回二死まで無安打ピッチング、ここで仁科に右中間三塁打を浴びるが、武智に代わる代打田中義雄を遊ゴロに打ち取り、夏季優勝に期待をつないだ。


 名古屋は五番までの上位打線が9安打、強力打線が火を噴いて逆転勝利。これで夏季シーズン16勝7敗4分、勝率6割9分6厘とした。巨人はここまで19勝8敗で勝率7割4厘、第二試合の朝日戦に勝てば20勝8敗の勝率7割1分4厘で巨人の夏季優勝が決定、負けると19勝9敗の勝率6割7分9厘となり、名古屋が明日の阪神との最終戦に引分けか勝利で逆転優勝となる。


 二番手野口正明は6イニングを1安打2四球2三振無失点の快投を見せて逆転優勝に夢をつないだ。



2017年5月2日火曜日

横綱佐田の山


 横綱・佐田の山関(元・出羽海理事長)の訃報が伝わっています。

 自宅は千葉県市川市でした。筆者の母校・真間小学校の近く、真間川の畔(ほとり)にあったことから、真間小学校に出羽海部屋の力士がやってくることとなり、真間小の校庭の端に土俵を造って親善相撲が行われました。1968年に蔵前国技館で行われた引退相撲には真間小学校の生徒が招待され、4年生だった筆者も蔵前国技館で佐田の山の断髪式を目の前で見ました。


 ということで、出羽海部屋の大ファンとなり、福の花と海乃山を応援していました。史上初めてファンになった「海乃山」は、得意の「蹴手繰り(けたぐり)」で大鵬をひっくり返したこともあります。その頃目を付けていたのがまだ幕下だった三重ノ海で、筆者が「三重ノ海ファン第一号」であったことは歴史的事実です。横綱昇進の10年以上前から「未来の横綱!」と信じていました。


 相撲史的には、佐田の山は同年生まれの柏戸と2年年下の大鵬の「柏鵬時代」における「第三の横綱」という位置付けになるかもしれませんが、優勝回数では柏戸の5回より多い6回を数えます。大鵬、柏戸に比べて素質に恵まれなかったことは多くの相撲史家が認めるところですが、猛稽古と激しい闘志により相撲史にその名を刻み込みました。


 先代・出羽海の娘と結婚して市川家の婿養子となったことから姓が「佐々田」から「市川」に変わります。千葉県市川市に住むこととなったのと何か関係があるのか、全く分かりません。


 合掌。そして、お疲れさまでした。



18年 巨人vs阪神 8回戦


8月16日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 巨人 36勝17敗2分 0.679 藤本英雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪神 25勝24敗5分 0.510 若林忠志

勝利投手 藤本英雄 23勝6敗
敗戦投手 若林忠志 15勝9敗

三塁打 (巨)小暮

勝利打点 なし


藤本英雄、4試合連続完封

 第一試合で名古屋が勝ったため、夏季優勝に向けて巨人も負けられなくなった。日程の関係で5日間試合がなく、3試合連続完封を続けている藤本英雄が中5日で先発する。

 巨人打線は阪神先発・若林忠志の巧投に手こずった。初回、二死後小暮力三が右中間に三塁打を放つが、青田昇は左飛に倒れる。2回、一死後藤本が中前打を放つが、多田文久三の遊ゴロで藤本は二封、小池繁雄の三ゴロで多田が二封されて無得点。3回、先頭の坂本茂が三塁線にセーフティバントを決めると呉昌征の打席で二塁に盗塁を試みるが、キャッチャー田中義雄からの送球に刺されてタッチアウト、呉も三邪飛、白石敏男も一ゴロに倒れる。


 巨人は4回~6回は三者凡退。7回、先頭の小暮が中前打、青田が投前に送りバントを試みるが、若林が二塁に送球して小暮は二封、青田の盗塁は又もキャッチャー田中に阻まれる。


 藤本は粘りのピッチングで阪神打線を寄せ付けない。2回、一死後門前真佐人が左前打を放ち二盗を決めるが、田中の当りはレフトライナー、若林が死球で二死一二塁とするが野口昇は遊ゴロに倒れる。3回は先頭の武智修が右前打で出塁、トップに返り山口政信が送って一死二塁とするが、塚本博睦は右飛、藤村冨美男は二飛に抑えられて無得点。4回以降も8回まで毎回ヒットか四球で走者を出すが無得点。


 巨人は9回、一死後呉が四球で歩くと二盗に成功、白石が中前打を放って一死一三塁、小暮が四球を選んで一死満塁、阪神はここでセカンドを戦場から帰ってきたばかりのの藤村から守備の巧い乾国雄に交代、青田の遊ゴロでショート武智がバックホームして三走呉は本封、中島治康の二ゴロをセカンド乾が一塁に悪送球、三走白石に続いて二走小暮もホームに還って2-0とする。阪神は守備交代が裏目に出た。


 藤本英雄は9回裏の阪神を3連続中飛の三者凡退に抑え、3安打5四球1死球2三振で4試合連続完封、23勝目をあげる。夏季リーグ戦に入ってコントロールが安定してきた藤本はこの日はコントロールに苦しんだ。中5日と登板間隔が空いたため、肩が軽過ぎたことが原因かもしれない。


 多田文久三が4つの盗塁を刺して藤本を助けた。田中義雄も2つの盗塁を刺しており、両キャッチャーが合計6つの盗塁を刺したことになる。両チームで唯一盗塁を成功させたのは呉昌征のみであった。呉は、5月2日の阪神戦で盗塁を失敗した以降、25回連続盗塁を成功させている。


 明日の甲子園は第一試合が阪神vs名古屋戦で第二試合が巨人vs朝日戦。第一試合で名古屋が勝つと巨人の夏季優勝はお預けとなり、第二試合の朝日戦に勝たなければならない。名古屋は夏季最終日となる明後日の阪神戦に連勝することが優勝の条件となるので、明日は石丸進一を休ませて一か八かの連勝狙いで来るであろう。巨人は藤本英雄の連投で夏季優勝を決めに来るのではないか。



三冠への道2017 その1


 さぁ皆さん、今年も月間MVPの季節がやって来ました。「三冠への道」シリーズも8年目に突入します。ということで、4月の月間MVP予想と行きます。これを6回繰り返せば、年間MVPとサイ・ヤング賞が見えてきます。

 ア・リーグ打撃部門は彗星の如く現れたヤンキースのアーロン・ジャッジ。10本塁打、20打点で打率も3割をキープしています。マイク・トラウトも3割6分4厘、7本塁打、18打点とバランス良く打っていますが、ここはジャッジが得票を集めそうです。ジャンカルロ・スタントン同様、フォロースウィングで右手を離さないバッティングは、今後メジャーの主流になるかもしれません。


 ナ・リーグ打撃部門はライアン・ジマーマンが4割2分、11本塁打、29打点で三冠王ですが、同僚のブライス・ハーパーが26打点で2位、打率と本塁打も3位、そして32得点で4月のメジャー記録を樹立しています。ナショナルズはマーフィーも26打点で上位3位までを独占、東地区独走も当然ですね。ここは三冠王を差し置いて、ハーパーと予想します。


 ア・リーグ投手部門は5勝0敗のダラス・カイケルで決まりか。ベテランのアーヴィン・サンタナも4勝0敗、防御率0.77と大健闘していますが、ローテーションの関係で1試合登板が多かったカイケルに得票が集まると見ます。


 ナ・リーグ投手分門はフィリーズのジェレミー・ヘリクソンが4勝0敗、防御率1.80で優位ですが奪三振が11個と少ない。クレイトン・カーショウは4勝1敗で奪三振39個ですが防御率は2.20。月間MVP投票では伝統的数値の勝利数と防御率が重視される傾向が強いので、ヘリクソンと予想します。