2018年12月31日月曜日

19年 近畿vs阪急 6回戦


7月23日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 2 0 0 0 0 2 近畿 7勝16敗1分 0.304 中本政夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 14勝10敗1分 0.583 木暮英路 天保義夫

勝利投手 中本政夫 3勝9敗
敗戦投手 天保義夫 3勝2敗

二塁打 (急)野口明、坂井

勝利打点 なし


近畿守備陣、5併殺

 ダブルヘッダー第二試合、阪急は木暮英路がプロ入り初先発。エース笠松実は7月16日の阪神戦で3試合連続完投勝利を飾った試合が戦前最後の登板となり、以降姿を見せなくなります。この頃になると突然消息が不明となる選手が多く見られますが、新聞報道などの資料もなく、おそらく戦場に狩り出されたのでしょう。

 近畿は初回、先頭の松川博爾がストレートの四球で出塁、吉川義次が送って一死二塁、続く堀井数男の三ゴロはサード坂井豊司が二塁に送球、松川はタッチアウトとなっています。このプレーは別稿で解説させていただきます。堀井は二盗に失敗してスリーアウトチェンジ。

 近畿は2回、先頭の清水秀雄が四球で出塁するが、岡村俊昭の投ゴロが「1-6-3」と転送されてダブルプレー、続く八木進はストレートの四球、しかし荒木正は左飛に倒れて無得点。

 3回は三者凡退に終わった近畿は4回、この回も先頭の吉川が四球で出塁、続く堀井の遊ゴロをショート伊藤健一がエラー、無死一二塁となったところで阪急ベンチは先発の木暮をあきらめてダブルヘッダー第一試合に完投した天保義夫を連投のマウンドに送り、天保が気魄のピッチングで後続を抑える。

 近畿は5回、先頭の荒木が四球を選んで出塁、中本政夫は三振、野口渉の二ゴロの間に荒木は二進、トップに返り松川の三遊間ヒットで二死一三塁、吉川が5球ファウルで粘って四球を選び二死満塁、ここで堀井の遊ゴロを伊藤が又もエラー、二者還って2-0とする。

 中本政夫は7安打5四球を許したが3三振で今季2度目の完封、3勝目をあげる。近畿守備陣は5個の併殺を完成させた。

 近畿は2安打での守り勝ち。

 

2018年12月30日日曜日

19年 阪急vs近畿 5回戦


7月23日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 2 0 2 阪急 14勝9敗1分 0.609 天保義夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 近畿 6勝16敗1分 0.273 清水秀雄

勝利投手 天保義夫 3勝1敗
敗戦投手 清水秀雄 4勝7敗

二塁打 (急)三木

勝利打点 なし


天保義夫、2試合連続完封勝利

 甲子園は阪急vs近畿のダブルヘッダー。

 第一試合、阪急は2回、一死後三木久一がレフト線に二塁打、しかし坂井豊司は遊ゴロ、大平茂はピッチャーライナーに倒れる。

 阪急は3回、一死後一死後伊藤健一が左前にヒット、トップに返り山田伝が四球を選んで一死一二塁、しかし上田藤夫の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 阪急は4回、二死後三木の三ゴロをサード吉川義次がエラー、坂井がライト線にヒットを放ち二死一二塁、しかし大平は右飛に倒れて無得点。

 近畿は阪急先発の天保義夫に3回まで三者凡退を続ける。

 近畿は4回、一死後吉川が左前打で出塁するが二盗に失敗、堀井数男が三塁にヒットを放つが、清水秀雄は中飛に倒れて無得点。

 阪急は8回、先頭の上田藤夫が四球を選んで出塁、坂田清春が送って一死二塁、野口明のニゴロで二走上田は三進、三木の遊ゴロをショート松川博爾がエラーする間に上田が先制のホームに還り1-0、坂井の右前打で三木は三塁に進み、大平が三塁にタイムリーを放って2-0とする。

 近畿は9回裏、二死後清水が中前打で出塁、岡村俊昭も一塁にヒットを放ち二死一二塁と最後の反撃、しかし八木進は三振に倒れてゲームセット。

 天保義夫は5安打2四球3三振で2試合連続完封、3勝目をあげる。

 清水秀雄も2失点ながら自責点ゼロの完投であった。

 好調阪急はこれで6連勝。

 

19年 阪神vs巨人 6回戦


7月23日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 阪神 17勝5敗2分 0.773 若林忠志
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 巨人 13勝9敗2分 0.591 藤本英雄

勝利投手 若林忠志 14勝3敗
敗戦投手 藤本英雄   6勝4敗

三塁打 (神)藤村

勝利打点 本堂保次 2


藤村冨美男、攻守に活躍

 5連敗で後がなくなった巨人はこのところ打撃好調の川畑博を四番に据えるテコ入れ策をとるが効を奏さなかった。

 阪神は初回、先頭の呉昌征が二塁にヒット、しかし辻源兵衛の放ったセカンドライナーに呉が戻れずダブルプレー。巨人先発の藤本英雄はこの後、3回まで無安打ピッチングを続ける。

 巨人は初回、一死後黒沢俊夫が中前打で出塁すると二盗に成功、中村政美の二ゴロの間に黒沢は三進、しかし新四番・川畑は三ゴロに倒れて無得点。

 巨人は2回、先頭の藤本の当りは三ゴロ、これをサード藤村冨美男がエラー、近藤貞雄の遊ゴロで藤本は二封、近藤が二盗を決めて初回に続き先制のチャンスを迎えるが、佐藤武夫は中飛、宮下信明は二ゴロに倒れて無得点。

 巨人は3回、先頭の渡部弘は三ゴロ、トップに返り呉新亨の強烈な三ゴロを藤村がファインプレー、黒沢は二ゴロに倒れて無得点。

 阪神は4回、先頭の呉昌征が中前打で出塁、辻も中前打を放って無死一二塁、御園生崇男の投ゴロで辻が二封、御園生が二盗を決めて一死二三塁、藤村冨美男が四球を選んで一死満塁、しかし本堂保次は二飛、門前真佐人は中飛と後続が続かず無得点。

 阪神は6回、一死後辻が四球を選んで出塁、御園生の右前打で辻は三塁に走り一三塁、御園生が二盗を決めて一死二三塁、藤村の右飛で三走辻がタッチアップからホームを狙うが、ライト近藤からのバックホームにタッチアウト。

 巨人は7回、先頭の藤本がストレートの四球で歩くが、近藤が初球を打って出て遊ゴロ、「6-4-3」と転送されてダブルプレー、佐藤も遊ゴロに倒れて無得点。

 巨人は8回、先頭の宮下は三ゴロに倒れるが、渡部が左前打を放って出塁、トップに返り呉新亨が三塁にヒットを放ち一死一二塁、しかし二走渡部は若林からの二塁牽制にタッチアウト、呉新亨が二盗を決めて二死二塁、黒沢は四球を選んで二死一二塁、中村の右前打で二死満塁とこの試合最大のチャンス、川畑の当りは強烈な三ゴロ、これを藤村が好捕して二塁に送球、一走中村が二封されてこの回も無得点。

 阪神は9回、一死後藤村がセンター右奥に三塁打、本堂が決勝の中犠飛を打ち上げて1-0とする。

 若林忠志は7安打2四球無三振で5月6日の阪急戦以来今季4回目の完封、14勝目をあげる。

 巨人はこれで6連敗。黒沢以外の8人の右打者が三ゴロを7個と遊ゴロを5個記録、若林の変化球を引っ掛けていたことが敗因であった。作戦面でも疑問が残る。7回裏先頭の五番・藤本が四球で出塁した場面、六番・近藤が初球を打って遊ゴロ併殺。折角強打の佐藤武夫が加入して七番に座っているのだからここは送るべきではなかったか。但し佐藤が歩かされると八番・宮下、九番・渡部と打撃に期待できない下位打線となる。須田が残っていれば代打に起用するところであるが須田は軽井沢に幽閉されている。まぁ、チームの状況が悪い時はこんなものでしょう。

 藤村冨美男が2つのファインプレーで若林を助け、9回には決勝点に結び付く三塁打を放った。その前の3打席は中飛、四球、右飛。センター右奥に放った第4打席の三塁打はスリーボールツーストライクからのもの、ボールをよく見てセンターから右に弾き返す打撃が最後に花開いた。

 

2018年12月29日土曜日

19年 朝日vs産業 4回戦


7月23日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 2 0 0 0 0 0 2 朝日 7勝15敗1分 0.318 内藤幸三
1 0 0 0 0 0 2 0 X 3 産業 10勝13敗1分 0.435 野口正明

勝利投手 野口正明 4勝3敗
敗戦投手 内藤幸三 6勝7敗

二塁打 (朝)田中2 (産)金山
本塁打 (朝)菊矢 1号

勝利打点 金山次郎 2


金山次郎、攻守に溌剌

 産業は初回、二死後加藤正二がストレートの四球を選ぶと二盗に成功、金山次郎がレフト線に二塁打を放って1点を先制する。

 朝日は4回、先頭の田中豊一がライトに二塁打、坪内道則がセンター左にタイムリーを放って1-1の同点、金光彬夫の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー、この直後に菊矢吉男が初球をレフトスタンドにホームラン、2-1と逆転する。

 産業は7回、二死後須原武志に代わる代打藤野美登が四球を選んで出塁、トップに返り小坂三郎の遊ゴロをショート酒沢政夫が一塁に悪送球、この間に藤野は三塁に進み、小坂が二盗を決めて二死二三塁、鈴木秀雄が四球を選んで二死満塁、加藤が押出し四球を選んで2-2の同点、ここで金山が中前にタイムリーを放ち3-2と逆転に成功する。

 このところ調子を上げてきている野口正明はこの日も好投を見せて5安打無四球3三振で3試合連続完投勝利、4勝目をあげる。

 先制打と決勝打を放った金山次郎は2回の守備でも金光彬夫も強烈なライナーを好捕するなど、攻守に活躍を見せた。

 朝日では、前の試合で戦前最後の満塁本塁打を放った田中豊一が二塁打2本を放つ活躍であった。

 

2018年12月27日木曜日

19年 第6節 週間MVP


 今節は阪急が3勝0敗、産業が2勝1敗、朝日が1勝1敗、近畿が1勝1敗、阪神が1勝2敗、巨人が0勝3敗であった。


週間MVP

投手部門

 阪急 笠松実 1

 2勝0敗。

 産業 野口正明 1

 2勝0敗。

 阪急 天保義夫 1

 1勝0敗、7月15日の産業戦で1安打完封。


打撃部門

 阪急 上田藤夫 1

 13打数6安打2得点5打点、二塁打3本。3試合連続並列の殊勲打。

 阪急 三木久一 1

 9打数4安打3得点3打点、二塁打2本、V打1個。

 朝日 田中豊一 1

 7月16日の近畿戦で戦前最後の満塁本塁打。

 近畿 吉川義次 1

 3打数1安打3得点3盗塁7四球、出塁率8割。7月16日の朝日戦で3盗塁と好走塁。


殊勲賞

 産業 藤原鉄之助 1

 7月16日の巨人戦で猛打賞、勝利打点。

 朝日 金光彬夫 1

 8打数5安打2得点3打点。

 
敢闘賞

 阪急 坂井豊司 1

 13打数4安打2得点1打点、V打1個。

 産業 鈴木秀雄 1

 7打数2安打4得点7四球1死球4盗塁。出塁率6割6分7厘。

 近畿 岡村俊昭 3
 
 9打数4安打1得点2盗塁。

 巨人 川畑博 3

 12打数5安打1得点2打点、二塁打2本。


技能賞

 朝日 坪内道則 1

 7月16日の近畿戦で幻の4打点。

 阪神 小林英一 1

 7月15日の巨人戦で3盗塁。

19年 近畿vs朝日 5回戦


7月16日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 0 2 0 2 0 1 7 近畿 6勝15敗1分 0.286 清水秀雄
0 0 0 0 0 0 4 0 0 4 朝日 7勝14敗1分 0.333 菊矢吉男 内藤幸三

勝利投手 清水秀雄 4勝6敗
敗戦投手 菊矢吉男 0勝1敗

本塁打 (朝)田中 1号(満塁)

勝利打点 清水秀雄 2


田中豊一、戦前最後のグランドスラム

 ダブルヘッダー第二試合は午後2時26分、川久保喜一プレートアンパイアの右手が上がりプレイボール。

 近畿は3回、先頭の野口渉が二塁にヒット、トップに返り松川博爾が送って一死二塁、吉川義次は四球、堀井数男も四球を選んで一死満塁、清水秀雄の二ゴロの間に三走野口が生還、更に送球の隙を突いて二走吉川もホームに還り2点を先制する。

 近畿は5回、一死後松川が中前にクリーンヒット、ピッチャー菊矢吉男がボークを犯して松川は二進、吉川は四球、この4球目がワイルドピッチとなって一死一三塁、吉川が二盗を決め、堀井が四球を選んで一死満塁、ここで朝日は内藤幸三をリリーフに送り、菊谷はファーストに回りファースト金光彬夫がセカンドに入りセカンドの桜沢三郎が下がってここに内藤が入る。清水の一ゴロをファーストに回ったばかりの菊矢がエラー、この間に三走松川に続いて二走吉川も還って4-0とする。清水はここでも1打点、内野ゴロだけで3打点を記録する。

 近畿は7回、先頭の吉川がショートにヒットを放つとこの試合3個目の盗塁に成功、堀井は三振に倒れるが、清水の遊ゴロをショート酒沢がエラーする間に二走吉川が還って5-0、この打席では清水には打点は記録されないが、吉川は清水の内野ゴロの間に3度目の生還となった。続く岡村俊昭の三ゴロの間に清水は二進、八木進の三塁へのヒットで二死一三塁、木下勇が三塁にタイムリーヒットを放って6-0と大きくリードする。

 朝日は7回裏、先頭の大島渡に代わる代打仁木安が四球を選んで出塁、吉田弘は左飛、ここはエンドランが掛かっていたのか一走仁木が大きく離塁しており、レフト堀井が一塁に送球するがファースト丸山二三雄が後逸、仁木は一塁ベースを踏み直して二塁に進み、更に二塁ベースを蹴って三塁を狙うが、白球を拾い直した丸山からの三塁送球にタッチアウト、二死無走者となって万事休したかと見えたが、内藤が右前打、田端美夫が左前打、更にトップに返り酒沢が四球を選んで二死満塁、ここで田中豊一がライトスタンドに満塁ホームランを放って4-6と追い上げる。

 近畿は9回、一死後岡村が一塁線にヒット、岡村が二盗を決め、八木は四球、ここでダブルスチールを決めて一死二三塁、木下は三振に倒れるが、丸山のピッチャー強襲ヒットで岡村が還り7-4と突き放して試合を決める。

 清水秀雄は9安打6四球5三振、田中に満塁本塁打を浴びたが145球の完投で4勝目をマークする。

 田中豊一が放った満塁本塁打は、戦前最後のグランドスラムであった。

 

19年 朝日vs近畿 4回戦


7月16日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 1 0 0 0 5 0 0 1 10 朝日 7勝13敗1分 0.350 内藤幸三
0 0 0 0 2 0 0 0 0  2  近畿 5勝15敗1分 0.250 中本政夫 木下勇

勝利投手 内藤幸三 6勝6敗
敗戦投手 中本政夫 2勝9敗

二塁打 (朝)金光2、吉田

勝利打点 なし

猛打賞 (朝)田中、金光 2 (近)岡村 5


坪内道則、幻の4打点

 本日の甲子園は朝日vs近畿によるダブルヘッダー。

 朝日は初回、先頭の酒沢政夫が一二塁間に内野安打、酒沢が二盗を決め、田中豊一が四球を選んで無死一二塁、坪内道則の投前送りバントをピッチャー中本政夫が一塁に悪送球、この間に二走酒沢に続いて一走田中もホームに還って2点を先制、犠打が記録された打者走者の坪内も三塁に進み、金光彬夫は四球を選んで無死一三塁、近畿ベンチはここで中本から木下勇にスイッチ、しかし菊矢吉男も四球を選んで無死満塁、内藤幸三の投ゴロは「1-2-3」と渡ってダブルプレー、二死二三塁から大島渡が中前にタイムリーを放って3-0とする。

 朝日は2回、二死後田中が中前打で出塁、坪内が三前にバントヒットを決めて二死一二塁、金光が左中間に二塁打を放ち4-0と突き放す。

 近畿は5回、先頭の荒木正がストレートの四球で出塁、木下も四球を選んで無死一二塁、松川博爾の遊ゴロは「6-4-3」と転送されるが、セカンド金光が一塁に悪送球、この間に二走荒木が還って1-4、一走木下の二封は認められ、打者走者の松川は二塁に進んで一死二塁、トップに返り野口渉の右前打で一死一三塁、吉川義次が四球を選んで一死満塁、堀井数男の三ゴロ併殺崩れの間に三走松川が還って2-4と追い上げる。

 朝日は6回、先頭の田端義夫が死球を受けて出塁、トップに返り酒沢の二ゴロの間に田端は二進、田中の中前打で一死一三塁、坪内の三ゴロをサード吉川が悪送球する間に三走田端に続いて一走田中も還って6-2、打者走者の坪内は三塁に進み、金光の三ゴロを又も吉川が悪送球して7-2、金光には打点が記録され、菊矢の三ゴロの間に金光は二進、内藤の二ゴロをセカンド野口渉がエラーして二死一三塁、大島に代わる代打仁木安が中前にタイムリーを放って8-2、吉田弘も中前打で続いて二死満塁、田端の右中間タイムリーで三走内藤が還り9-2として試合を決める。二走仁木も三塁ベースを蹴ってホームを狙うが、センター岡村俊昭からのバックホームにタッチアウト。

 朝日は9回にも四球で歩いた坪内を金光がレフト線二塁打で還して10-2とする。

 内藤幸三は7安打6四球2三振、自責点ゼロの完投で6勝目をあげる。

 坪内が2個の内野エラーを誘い、この間に4人の走者が生還した。当然坪内には打点は記録されないが、この4得点が試合を決めたものである。こういう「記録に表れない記録」を見つけ出す作業こそ、野球史研究の醍醐味ですね(笑)。

 

2018年12月25日火曜日

19年 阪神vs阪急 5回戦


7月16日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 0 0 0 0 0 0 0 2 阪神 16勝5敗2分 0.762 御園生崇男
0 0 0 0 2 1 0 0 X 3 阪急 13勝9敗1分 0.591 笠松実

勝利投手 笠松実        7勝5敗
敗戦投手 御園生崇男 1勝1敗

二塁打 (神)辻、小林、森田 (急)坂井

勝利打点 坂井豊司 3


笠松実、3試合連続完投勝利

 阪神は初回、先頭の塚本博睦が二遊間を破って出塁、しかし続く呉昌征のサードライナーに塚本が飛び出しゲッツー。

 阪急は初回、先頭の山田伝の三ゴロをサード藤村冨美男がファインプレー、続く上田藤夫の左邪飛もレフト呉昌征が好捕、この二つのプレーは「雑記」欄に「好守」、「好捕」と書かれています。


 阪神は2回、一死後辻源兵衛    が右中間に二塁打、武智修は右邪飛に倒れるが、小林英一がライト線に二塁打を放って1点を先制、森田明義も左中間に二塁打を放ち2-0とリードする。


 阪神先発の御園生崇男は、味方の攻守にも助けられて4回まで無安打無失点ピッチング、しかし5回に捕まる。


 阪急は5回、先頭の坂井豊司が四球を選んで出塁、続く大平茂の当りはセンターへの小飛球、センター前にポトリと落ちるが、一走坂井はセンター塚本からの二塁送球にフォースアウト、記録はセンターゴロとなって一死一塁、笠松実が中前打を放って一死一二塁、伊藤健一に代わる代打天保義夫の三ゴロをサード藤村が三塁ベースを踏んで二死一二塁、トップに返り山田が四球を選んで二死満塁、ここで上田がレフト線に同点の2点タイムリーを放ち2-2と追い付く。


 阪急は6回、一死後三木久一が四球を選ぶと二盗に成功、坂井がレフト線に決勝二塁打を放って3-2と勝ち越す。


 このところ好投を続けている笠松実は、阪神終盤の反撃を凌いで9安打を許しながら1四球1失点で完投、7勝目をあげる。


 

2018年12月24日月曜日

19年 産業vs巨人 6回戦


7月16日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 1 1 0 0 0 0 1 5 産業 9勝13敗1分 0.409 野口正明
0 0 0 0 0 1 1 0 0 2 巨人 13勝8敗2分 0.619 中村政美

勝利投手 野口正明 3勝3敗
敗戦投手 中村政美 0勝1敗

二塁打 (産)藤原 (巨)川畑、黒沢
本塁打 (産)松尾 1号

勝利打点 藤原鉄之助 2

猛打賞 (産)藤原鉄之助 1、松尾幸造 1 


巨人5連敗

 産業は初回、一死後鈴木秀雄がストレートの四球で出塁、加藤正二は中飛に倒れるが、金山次郎が三遊間を破って二死一二塁、藤原鉄之助のライトオーバー二塁打で二者還り2点を先制する。

 産業は3回、一死後鈴木が四球を選ぶと二盗に成功、加藤は三邪飛に倒れて二死二塁、金山の三ゴロをファースト近藤貞雄が落球して二死一三塁、藤原が左前に2打席連続となるタイムリーを放って3-0とリードを広げる。

 産業は4回、先頭の松尾幸造がライトスタンドにホームランを叩き込んで4-0と突き放す。

 巨人は産業先発野口正明の前に5回まで5安打を放ちながら無得点。

 巨人は6回、一死後川畑博が左中間に二塁打、近藤が左前にタイムリーを放って1点を返す。

 巨人は7回、先頭の杉江繁雄がセンター右にヒット、トップに返り黒沢俊夫の右中間二塁打で無死二三塁、呉新亨が四球を選んで無死満塁、藤本英雄は遊飛に倒れるが、中村政美の中犠飛で1点返し2-4と詰め寄る。

 産業は9回、先頭の金山の当りは三ゴロ、これをサード宮下信明がエラー、藤原の左前打で無死一二塁、野口正明の捕前バントにキャッチャー川畑がダッシュ良く飛び出し二走金山は三封、一死一二塁から松尾が右前にタイムリーを放って5-2としてダメ押す。

 野口正明は9安打を打たれながらも3四球4三振で完投、3勝目をマークする。

 藤原鉄之助が2本のタイムリーを含む猛打賞と勝利打点を記録。同じく猛打賞の松尾幸造も本塁打とタイムリーで2打点を上げて「並列の殊勲打」であった。このコンビは7月9日の近畿戦でも藤原が勝利打点、松尾が並列の殊勲打をマークしている。

 巨人は元気なくこれで5連敗。須田博が軽井沢に幽閉された影響が大きい。

 

2018年12月18日火曜日

19年 阪神vs巨人 5回戦


7月15日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 4 0 0 0 1 0 0 2 7 阪神 16勝4敗2分 0.800 若林忠志
0 0 3 0 0 0 0 1 0 4 巨人 13勝7敗2分 0.650 藤本英雄

勝利投手 若林忠志 13勝3敗
敗戦投手 藤本英雄   6勝3敗

二塁打 (神)若林、呉昌征 (巨)呉新亨2、川畑
三塁打 (神)御園生

勝利打点 若林忠志 2

猛打賞 (巨)呉新亨 3


阪神、独走体勢

 笠松実に2連敗して後がなくなった巨人は藤本英雄が先発。阪神は当然、若林忠志監督が先発。

 阪神は2回、先頭の藤村冨美男が中前にクリーンヒット、金田正泰も中前にライナーで弾き返して無死一二塁、本堂保次の三前バントが内野安打となって無死満塁、ここで若林が一前にスクイズバントを決めて1点を先制、武智修の三前バントがタイムリー内野安打となって2-0、武智が二盗を決めて一死二三塁、ここでキャッチャー川畑博がパスボールを犯す間に三走本堂が還り3-0、小林英一は三振に倒れるが、トップに返り塚本博睦の三ゴロをサード中村政美がエラーする間に三走武智が還りこの回4点を先制する。

 巨人は3回、一死後水野忠彦の当りは遊ゴロ、しかしこれをショート武智がエラー、トップに返り黒沢俊夫はストレートの四球、呉新亨が左中間に2打席連続となる二塁打を放って1-4、藤本の三塁線2点タイムリーで3-4と1点差に迫る。

 阪神は6回、先頭の御園生崇男が右中間を深々と破る三塁打、藤村の二ゴロで御園生がホームに突っ込み、セカンド水野がバックホームするがセーフ、野選が記録されて5-3と突き放す。この1点は効果的であった。

 巨人は8回、先頭の黒沢が二遊間にヒット、呉新亨の三前バントが内野安打となって無死一二塁、藤本は中飛、中村の右飛をライト呉昌征が好捕して二死二三塁、川畑の三遊間ヒットで4-5と再び1点差、同点を狙って呉新亨が三塁からホームを狙うが三本間に挟まれ、「7-5-1」と渡ってタッチアウト。

 阪神は9回、先頭の若林が左中間に二塁打、武智の三振ナットアウトの間に二走若林は三進、すなわち、武智のスリーストライク目をキャッチャー川畑が捕球できず、武智はタッチアウトとなって三振が記録されたがボールインプレーのためその隙に二走若林が三塁に進んだということです。スコアカードの記載は「K -2」となっていることから川畑は武智をタッチアウトにしたことが分かります。武智が一塁に走って川畑が一塁に送球してアウトになっていれば「K 2-3」と記録されるからです。因みにキャッチャーが捕球して三振が記録された場合は「SO -2」と記録されますので三振ナットアウトと峻別できます。詳しくお勉強されたい方は、広瀬謙三著「野球スコアのつけ方」(昭和32年8月5日第1刷発行)をお読みください。ということで一死三塁、小林の一塁線ヒットで三走若林は動けず一死一三塁、トップに返り塚本博睦も三振ナットアウト、どうも急造キャッチャーの川畑はキャッチングが悪い。走者は動かず二死一三塁、ここでダブルスチールに成功、若林には「本盗」が記録される。更に二塁に盗塁を決めた小林が三盗、キャッチャー川畑からの三塁送球が悪送球となって小林が生還してこの回2点を追加、7-4とダメ押す。

 若林忠志は巨人打線に9安打を許しながら1四球1三振で完投、13勝目をマークする。

 この結果、阪神が独走体勢に入った。

 因みに、8回の中村政美の右飛を「ライト呉昌征が好捕」と実況中継させていただきましたが、スコアカードの「雑記」欄にこのプレーが「好捕」と書かれていることが理由であり、適当に書いている訳ではありませんので念のため。

 9回のダブルスチールも単純な「重盗」ではなかった可能性がありますが、これは直接スコアカードを見ながら解説しないと分からないと思いますのでここではやめておきましょう。

 

2018年12月17日月曜日

19年 阪急vs産業 4回戦


7月15日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
5 0 0 0 0 1 0 1 0 7 阪急 12勝9敗1分 0.571 天保義夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 産業 8勝13敗1分 0.381 森井茂

勝利投手 天保義夫 2勝1敗
敗戦投手 森井茂    5勝10敗

二塁打 (急)上田2、三木、坂田

勝利打点 三木久一 1

猛打賞 (急)上田藤夫(4安打) 1、大平茂 2 


天保義夫、1安打完封

 阪急は初回、先頭の山田が二前にプッシュバントヒットを決めて出塁、上田藤夫がレフト線に二塁打を放ち無死二三塁、坂田清春は遊ゴロに倒れるが、野口明が四球を選んで一死満塁、坂井豊司の三ゴロで三走山田はホームに走るがサード井上嘉弘からの送球に本封されて二死満塁、しかし三木久一がレフト線に二塁打を放って2点を先制、大平茂のショート内野安打で3-0、ショート金山次郎からの一塁送球が悪送球となる間に二走三木も還って4-0、打者走者の大平は二塁に進み、天保義夫の三塁内野安打で二死一三塁、伊藤健一の右前タイムリーでこの回5点を先制する。

 阪急は6回、一死後上田がこの試合2本目の二塁打をレフト線に放ち、坂田もレフト線二塁打で続いて6-0とリードを広げる。

 阪急は8回、先頭の山田がセンター右にヒット、ここで山田が二盗に成功、キャッチャー藤原鉄之助からの二塁送球が悪送球となる間に山田は三進、上田の中前タイムリーで7-0として試合を決定付ける。

 阪急先発の天保義夫は快調なピッチング。4回二死から野口正明に許した三塁内野安打が唯一の被安打。1安打6四球3三振の完封で2勝目をマークする。天保は昭和18年5月2日の南海戦でノーヒットノーランを達成したが、この時も6四球であった。

 上田藤夫が5打数4安打二塁打2本、前日の巨人戦でも勝利打点は記録されないものの並列の殊勲打を放っているが、2試合連続で「並列の殊勲打」を記録した。

 戦前最後のノーヒットノーランは昭和18年10月12日に記録した石丸進一である。昭和19年は試合数が少ないもののノーヒットノーランが記録されていてもおかしくないと思われるかもしれませんが、昭和19年になると職業野球聯盟も野球の継続は難しいと考えたのか、ストックしておいたニューボールを試合で使うようになり、活発な打撃戦が展開されたことがこの年ノーヒットノーランが記録されなかった要因であったと考えられる。実際、昭和18年の首位打者は巨人時代の呉昌征で打率3割ちょうど、三割打者は呉一人であったが、昭和19年の首位打者岡村俊昭の打率は戦前最高の3割6分9厘(初年度11年の中根之の3割割7分6厘を除く)で、三割打者は6人誕生することとなる。ホームランが乱発するほどではなかったものの、ボールの反発力が改善されたことが要因であると考えられている。

 現に、この試合の阪急は17安打を放っており、天保義夫の1安打完封は貴重な記録であったと考えられる。

 

2018年12月16日日曜日

19年 阪急vs巨人 5回戦


7月14日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 4 0 1 1 0 0 0 0 6 阪急 11勝9敗1分 0.550 笠松実
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 巨人 13勝6敗2分 0.684 近藤貞雄

勝利投手 笠松実     6勝5敗
敗戦投手 近藤貞雄 1勝3敗

二塁打 (急)上田、三木
本塁打 (急)三木 1号

勝利打点 山田伝 1


キラー笠松実、巨人に2連勝

 阪急は2回、先頭の坂井豊司が三遊間を破って出塁、三木久一が送って一死二塁、大平茂の中前打で一死一三塁、大平が二盗を決め、笠松実が四球を選んで一死満塁、伊藤健一の三ゴロで三走坂井は本封されて二死満塁、トップに返り山田伝が三前にタイムリーセーフティバントを決めて1点を先制、上田藤夫が左中間に二塁打を放って二者還り3-0、坂田清春の遊ゴロをショート杉江繁雄がエラーする間に三走山田が還ってこの回4点を先制する。

 7月10日の4回戦で巨人打線を封じ込めた笠松はこの日も好調、3回まで26球でパーフェクトピッチングを続ける。

 阪急は4回、一死後山田が四球で出塁すると二盗に成功、上田の三ゴロの間に山田は三進、坂田が四球を選んで二死一三塁、野口明が左前にタイムリーを放って5-0と笠松を援護する。

 巨人は4回裏、先頭の黒沢俊夫がライト線にヒット、呉新亨は左飛、藤本英雄は右飛に倒れるが、中村政美が中前打を放って二死一二塁、川畑博の右前打で二走黒沢が還って1-5とする。

 阪急は5回、先頭の三木がレフトスタンドにホームランを叩き込んで6-1と突き放す。

 笠松実は77球で6安打1四球無三振1失点、2試合連続で巨人打線を封じ込め、6勝目をマークする。


 首位阪神を僅差で追う巨人は笠松に2連敗して阪神に追い付けなかった。ここから阪神の独走が始まり昭和13年春以来の優勝を遂げて巨人の連覇を防ぐこととなる。笠松の投球は歴史を変えたピッチングと言っても過言ではない。

 

19年 阪神vs産業 4回戦


7月14日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
1 0 0 0 3 0 0 0  0  4 阪神 15勝4敗2分 0.789 辻源兵衛 若林忠志
3 0 0 0 1 0 0 0 1X 5 産業 8勝12敗1分 0.400 野口正明

勝利投手 野口正明   2勝3敗
敗戦投手 若林忠志 12勝3敗

二塁打 (神)金田 (産)加藤、藤野、野口、井上
本塁打 (産)金山 3号

勝利打点 なし


鈴木秀雄の三盗が悪送球を誘いサヨナラ

 阪神は初回、先頭の塚本博睦が死球を受けて出塁、呉昌征は四球を選んで無死一二塁、御園生崇男は左飛に終わるが、藤村冨美男がストレートの四球を選んで一死満塁、本堂保次はツーナッシングからキャッチャー後方へのフライ、しかしこれを藤野美登が落球、捕邪失が記録されて命拾いした本堂が中犠飛を打ち上げて1点を先制する。

 産業は1回裏、先頭の小坂三郎が右中間にヒット、中野道義のパスボールで小坂は二進、更に小坂が三盗を決め、鈴木秀雄は四球から二盗を決めて無死二三塁、加藤正二がレフト線に逆転二塁打を放って2-1、金山次郎の遊ゴロをショート武智修が一塁に悪送球して無死一三塁、金山が二盗を決めて無死二三塁、松尾幸造は三振に倒れるが、野口正明の三遊間タイムリーヒットで3-1とリードする。

 阪神は5回、先頭の呉昌征が二遊間にヒット、御園生は遊飛に倒れるが、呉が二盗を決めて一死二塁、藤村はストレートの四球、本堂もストレートの四球で一死満塁、金田正泰の右飛をライト大沢紀三男が落球する間に三走呉が還って2-3、辻源兵衛が押出し四球を選んで3-3の同点、武智がスクイズを決めて4-3と逆転に成功する。

 リードを奪った阪神は5回から先発の辻に代わって若林忠志監督がマウンドに上がり、辻がセカンドに回って本堂が中野に代わってマスクを被るが、この布陣が裏目に出た。

 産業は5回裏、二死後金山がレフトスタンドに同点ホームランを叩き込んで4-4とする。

 産業は9回裏、先頭の鈴木が中前打で出塁、加藤が四球を選んで無死一二塁、金山は三振、松尾幸造も中飛に倒れて二死一二塁、ここで鈴木が勝負の三盗、キャッチャー本堂からの送球が逸れる間に鈴木がサヨナラのホームを駆け抜け、阪神は10連勝でストップした。

 29年後の1973年センバツ準決勝、怪物江川に襲いかかった広島商業は二走金光が三盗を試み、キャッチャー小倉の悪送球を誘って決勝点をあげることとなる。

 

19年 第5節 週間MVP


 今節は阪神が4勝0敗1引分、阪急が2勝2敗1引分、近畿が2勝2敗1引分、巨人が2勝2敗1引分、朝日が2勝3敗、産業が1勝4敗であった。


週間MVP

投手部門

 阪神 若林忠志 4

 3勝0敗1セーブ。

 近畿 清水秀雄 1

 2勝0敗1完封。

 朝日 内藤幸三 2

 2勝1敗。7月8日の巨人戦で延長11回1失点完投勝利。


打撃部門

 阪神 呉昌征 1

 15打数5安打6得点8四球8盗塁。7月3日の朝日戦で1試合3盗塁。阪神移籍後初受賞。

 巨人 呉新亨 3

 23打数9安打6得点5盗塁。

 近畿 堀井数男 1

 20打数8安打4得点5打点。

 近畿 岡村俊昭 1

 19打数9安打。

 朝日 菊矢吉男 1

 21打数6安打6打点、勝利打点2。


殊勲賞

 巨人 近藤貞雄 1

 7月1日の産業戦で4打数4安打4打点。

 産業 藤野美登 1

 7月1日の巨人戦で夏季開幕戦1回表初球先頭打者ホームラン。

 阪急 笠松実 1

 7月10日の巨人戦で完封勝利。巨人は今季初の完封負け。


敢闘賞

 阪神 御園生崇男 2

 16打数4安打6四球7盗塁。

 巨人 藤本英雄 2

 18打数7安打3得点4打点。

 巨人 川畑博 2

 22打数9安打3打点。


技能賞

 近畿 鬼頭勝治 1

 7月3日の阪急戦でタイムリーを防ぐライトゴロ。

 阪急 坂井豊司 1

 15打数4安打8四球。

 産業 金山次郎 1

 7月2日の巨人戦で前日の藤野美登に続いて2試合連続先頭打者ホームラン。
 

2018年12月2日日曜日

19年 阪急vs巨人 4回戦


7月10日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 1 1 2 阪急 10勝9敗1分 0.526 笠松実
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 巨人 13勝5敗2分 0.722 近藤貞雄

勝利投手 笠松実     5勝5敗
敗戦投手 近藤貞雄 1勝2敗

二塁打 (急)野口明、上田

勝利打点 なし


巨人キラー復活!

 阪急打線は巨人先発の近藤貞雄を打ちあぐみ、7回まで4安打無得点。2回と6回に満塁のチャンスを迎えたが、いずれも笠松実が凡退した。

 一方、巨人打線は序盤から笠松に襲いかかる。


 巨人は初回、先頭の黒沢俊夫がレフト線にヒット、呉新亨が送って一死二塁と先制のチャンス、しかし藤本英雄は一邪飛、中村政美は一飛に倒れて無得点。


 巨人は2回、先頭の川畑博が左前打で出塁、近藤が送って一死二塁、佐藤武夫は中飛に倒れるが、宮下信明の右前打で二死一三塁、しかし杉江繁雄は三振に倒れて無得点。


 巨人は3回、先頭の黒沢が四球を選んで出塁、二死後黒沢が二盗を決めるが、中村はニゴロに倒れて無得点。
 巨人は4回、二死後佐藤が左前打を放つが宮下が三振に倒れて無得点。


 巨人は5回、先頭の杉江が四球を選んで出塁、トップに返り黒沢が送って一死二塁、しかし呉新亨は捕飛、藤本も中飛に倒れて無得点。


 巨人は6回、先頭の中村が右前打を放って出塁、川畑が送って一死二塁、近藤はストレートの四球で一死一二塁、佐藤の三ゴロをサード坂井豊司が三塁ベースを踏んで中村は三封、宮下はニゴロに倒れて無得点。


 巨人は7回、先頭の杉江が四球を選んで出塁、トップに返り黒沢の投ゴロを笠松が二塁に送球するが二塁ベースカバーに入ったショート伊藤健一が落球して無死一二塁、呉新亨の投前送りバントを笠松が三塁に送球して杉江は三封、藤本の投ゴロが「1-4-3」と渡ってダブルプレー。


 阪急は8回表、一死後髙橋敏が中前にクリーンヒット、野口明の三ゴロの間に高橋は二進、三木久一に代わる代打天保義夫の三ゴロをファースト佐藤が後逸する間に二走高橋が還って1点を先制する。
 巨人は8回裏、先頭の川畑が中前打で出塁、近藤の三ゴロでランナーが入れ替わり、近藤が二盗を試みるがキャッチャー坂田清春からの送球にタッチアウト。


 阪急は9回表、先頭の笠松が四球を選んで出塁するが、キャッチャー川畑からの牽制にタッチアウト、伊藤も四球を選んで出塁、川畑の二ゴロをセカンド宮下がエラーして一死一二塁、上田が左中間に二塁打を放ち2-0と突き放す。


 巨人は9回裏、二死後杉江が3打席連続となる四球を選んで出塁、しかしトップに返り黒沢は左飛に倒れて零封された。


 笠松実は6安打5四球4三振で今季2度目の完封。巨人戦での完封勝利は昭和17年4月23日以来、2年3か月ぶりのもの。巨人キラーが復活した。



 

2018年11月25日日曜日

辻源兵衛の通算記録


 辻源兵衛の通算記録はネット上では「83打数」となっています。

 一方、「日本プロ野球記録大全集」では「82打数」となっており、当ブログがスコアカードから手作業で集計した記録でも「82打数」となっていますので、「82打数」が正解であると考えられます。

 辻源兵衛の通算記録は20安打、18四球なので、通算打率は2割4分4厘、通算出塁率は3割8分となります。ネット上では通算打率が2割4分1厘、通算出塁率が3割7分6厘とされているようですが、多分間違いでしょうね。NPBの公式記録が間違っていることに起因しているのでしょう。よくある話です(笑)。

 

19年 阪神vs朝日 5回戦


7月10日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 4 1 5 阪神 15勝3敗2分 0.833 辻源兵衛 若林忠志
2 0 0 0 1 0 0 0 0 3 朝日   6勝13敗1分 0.316 内藤幸三

勝利投手 若林忠志 12勝2敗
敗戦投手 内藤幸三   5勝6敗

二塁打 (神)武智、呉昌征 (朝)内藤

勝利打点 武智修 2


武智修が決勝二塁打

 阪神は初回、二死後御園生崇男が四球を選ぶと二盗に成功、藤村冨美男も四球を選んで二死一二塁、ここで御園生が三盗を決め、続いて藤村も二盗に成功。これは重盗ではない。後ほど解説しましょう。ということで二死二三塁、本堂保次は左飛に倒れて無得点。

 朝日は1回裏、先頭の酒沢政夫がストレートの四球で出塁、田中豊一は三塁へのヒットで無死一二塁、坪内道則の送りバントをピッチャー辻源兵衛が三塁に送球して酒沢は三封、金光彬夫が四球を選んで一死満塁、菊矢吉男が中前にタイムリーを放って1点を先制、二走坪内も三塁を回りかけ、ライト呉昌征からのバックホームをキャッチャー中野道義が三塁に送球するがこれが悪送球、坪内も生還してこの回2点を先制する。阪神ベンチはここで先発の辻を下げて若林忠志監督がマウンドに上がる。

 朝日は5回、先頭の酒沢の当りは遊ゴロ、ショート武智修が一塁に送球するがファースト金田正泰が落球して無死一塁、田中の遊ゴロでランナーが入れ替わり、田中が二盗に成功、坪内が四球を選んで一死一二塁、金光の遊ゴロで坪内が二封されて二死一三塁、菊矢が中前にタイムリーを放ち3-0と突き放す。
 朝日先発の内藤幸三は7回まで阪神打線を2安打に抑え込んで無失点、しかし8回に波乱が起こる。


 阪神は8回、一死後呉昌征が四球を選んで出塁、御園生の初球がボールとなったところで朝日ベンチはライトの田中をベンチに下げて仁木安を入れて内藤を落ち着かせようと試みる。御園生の記録は「1-6-3」で二塁セーフの一塁アウト、これは二通り考えられ、ピッチャー内藤を強襲した当りをショート酒沢がバックアップして御園生を一塁に刺したか、ピッチャーゴロで内藤がゲッツーを狙って二塁に送球するが一走呉がスタートを切っていて二塁はセーフ、二塁ベースカバーの酒沢が一塁に送球して御園生を刺したか、いずれにせよ二死二塁、ワイルドピッチで呉は三進、藤村が右前にタイムリーを放ち1-3、本堂が四球を選んで二死一二塁、金田の一塁へのヒットで二死満塁、若林の三ゴロをサード田端義夫がエラーする間に三走藤村が生還して2-3、ここで朝日ベンチはレフトの坪内とセンターの大島渡を入れ替える布陣を敷いて何とか内藤を立ち直らせようとするが、武智がライト線に逆転の2点タイムリー二塁打を放って4-3とリードする。

 阪神は9回、先頭の塚本が四球を選んで出塁、呉昌征の左中間二塁打で無死二三塁、ここでキャッチャー吉田弘からの三塁牽制に三走塚本がタッチアウト、しかし呉が三盗を決めて一死三塁、御園生は三振に倒れるが、藤村のピッチャー強襲ヒットで呉が還り5-3とリードを広げる。

 若林忠志は8回3分の2のロングリリーフで5安打2四球2三振1失点、12勝目をあげる。

 朝日ベンチは内藤しか頼れるピッチャーがいないのであの手この手で内藤を引っ張ったが効を奏さなかった。

 阪神は辻源兵衛がプロ入り初先発。海草中学時代にピッチャーをやっていた実績を買っての起用でしょう。辻はプロ野球に1年在籍して戦死することとなる。本職の打撃では規定打席にこそ達していないものの打率2割4分4厘をマーク、出塁率は3割8分を記録している。

*阪神初回の攻撃。二死後御園生崇男が四球から二盗に成功、藤村冨美男も四球を選ぶと御園生が三盗、続いて藤村が二盗、これは重盗ではありません。御園生の三盗は「’’」で、藤村の二盗は「’」となっています。本堂の2球目が「’’」、3球目が「’」となっており、御園生の三盗は本堂の2球目に、藤村の二盗は本堂の3球目に行われていますので重盗ではありません。ちょっとした「慶應式スコアカード」のお勉強の時間でした(笑)。








2018年11月18日日曜日

19年 近畿vs産業 6回戦


7月10日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 2 0 0 2 0 0 0 6 近畿 5勝14敗1分 0.263 清水秀雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 産業 7勝12敗1分 0.368 森井茂

勝利投手 清水秀雄 3勝6敗
敗戦投手 森井茂     5勝9敗

二塁打 (近)岡村、丸山
本塁打 (近)八木 1号

勝利打点 八木進 1


八木進、生涯唯一の本塁打

 近畿は2回、一死後八木進がレフトスタンドに先制ホームラン、続く木下勇の遊ゴロをショート金山次郎が一塁に悪送球、丸山二三雄の右前打で一死一三塁、松川博爾の右前タイムリーで2-0とする。

 近畿は3回、一死後堀井数男が三塁にヒット、清水の右前打で一走堀井が三塁に走り、ライト野口正明が三塁に送球するがこれが悪送球、堀井がホームに還って3-0、三塁カバーに入ったピッチャー森井茂の本塁送球も悪送球となって打者走者の清水は三塁に進み、岡村俊昭は二ゴロに倒れて二死三塁、八木がレフト線にタイムリーを放って4-0とする。

 近畿は6回、先頭の丸山が右中間に二塁打、松川の中前打で無死一三塁、トップに返り加藤喜作がスクイズバントを決めて5-0、吉川義次は三ゴロに倒れて二死三塁、堀井の三塁へのタイムリーで6-0としてダメ押す。

 近畿先発の清水秀雄は5四球1死球を出しながら産業打線を3安打に抑えて今季2度目の完封、3勝目をあげる。 

 カロリン諸島ポナペ島出身の八木進が決勝本塁打を放った。八木は今期フル出場を果たすが応召し、戦死することとなる。八木にとって、プロ野球公式戦での唯一のホームランであった。

 

2018年11月4日日曜日

3連覇


 「3連覇」と言えば昭和31~33年の西鉄ライオンズが代表格でしょうか。

 慶大野球部は今期、1971年秋~72年秋以来の「3連覇」にあと1勝までいきましたが早大に連敗してチャンスを逃しました。

 つい先日も白井健三が世界体操で得意の「床」3連覇を逃したばかりです。広島東洋カープもリーグ3連覇は達成しましたが日本シリーズでは勝てません。

 そんな中、伊藤美誠がやってくれました。

 ついさっき、スウェーデンオープン準々決勝で劉詩文、準決勝で丁寧、そして決勝で朱雨玲と、中国のトップスリーを「3連覇」して優勝したニュースが飛び込んできました。

 卓球ネタで恐縮ですが、私の父親はインターハイ団体優勝、国体出場のカットマンで、真間小学校時代はいつも相手をさせられていて「市川の愛ちゃん」と呼ばれていたものです(笑)。

 ということで、卓球は荘則棟の時代からよく知っています。

 美誠パンチが炸裂したようです。Tリーグを無視して海外武者修行を続ける根性を評価するべきですね。「西鉄3連覇」以来の快挙、日本卓球史におけるエポックメーキングであると断言させていただきます。私は中国の世代交代では丁寧がネックになると見ていますので、東京五輪は行けますよ!!


*西鉄3連覇を伝える西日本新聞。当時の熱狂的西鉄ファンが残してくれた「スクラップブック」は、私が引き継いでいます!



 

2018年11月3日土曜日

51年ぶり


 シリーズMVPは甲斐拓也。

 6個の盗塁阻止で阻止率100%が評価されました。

 古田や阿部は打撃も評価されたもので、守備を評価された捕手のMVPは1967年の森昌彦以来、51年ぶりとなります。


*シリーズMVPに輝いた森。「攻守に健闘」とありますがこのシリーズでは22打数5安打。堀内を立ち直らせた好リードが評価されたものでした。(日本スポーツ出版社「日本シリーズ50年」より)

 

19年 巨人vs阪神 4回戦


7月9日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 1 0 0 1 2 0 1  0   2   0   7 巨人 13勝4敗2分 0.765 藤本英雄
0 0 3 1 0 0 0 1 0  0   2   0   7 阪神 14勝3敗2分 0.824 若林忠志

二塁打 (巨)藤本 (神)若林、呉昌征

勝利打点 なし

猛打賞 (巨)呉新亨(4安打) 2、藤本 1


三重盗と三重殺

 巨人は初回、二死後藤本英雄がピッチャー強襲ヒット、しかし中村政美は中飛に倒れて無得点。

 巨人は2回、先頭の近藤貞雄がピッチャー強襲ヒット、しかし川畑博は中飛、佐藤武夫はサードライナー、宮下信明は左飛に倒れて無得点。

 阪神は1回、2回と無安打で無得点。

 巨人は3回、二死後呉新亨が二塁にヒット、呉が二盗を決め、藤本は四球を選んで二死一二塁、中村のカウントがワンボールワンストライクとなったところで阪神ベンチは門前真佐人から中野道義に交代、阪神の先発は若林忠志監督であるが、誰がどういう経緯でキャッチャーを代えたのか理由は不明。ここで中村が左前に先制タイムリーを放って1-0とする。

 阪神は3回裏、先頭の若林が巨人先発の藤本英雄から四球を選んで出塁、武智修が送りバントを決めて一死二塁、トップに返り塚本博睦は四球、呉昌征も四球を選んで一死満塁、御園生崇男が三前にタイムリーバントヒットを決めて1-1の同点、藤村冨美男は浅い右飛に倒れて二死満塁、本堂保次が押出し四球を選んで2-1と逆転、なお続く二死満塁から金田正泰の打席で3走者がスタート、三重盗が決まって3-1とする。

 阪神は4回、一死後若林がレフト線に二塁打、武智が右前にタイムリーを放って4-1とする。

 巨人は6回、先頭の藤本が左中間に二塁打、中村の二ゴロの間に藤本は三進、近藤は浅い中飛に倒れるが、川畑が三塁にタイムリーを放って2-4と追い上げる。

 巨人は7回、一死後杉江繁雄が四球を選んで出塁、トップに返り黒沢俊夫も四球、呉新亨の中前打で一死満塁、藤本のカウントがツーボールノーストライクとなったところで阪神ベンチは二番手キャッチャーの中野をベンチに下げてセカンドの本堂がマスクを被る。これはどうも、マウンドの若林監督の采配のようです。余程サインが合わなかったのでしょう。しかし若林は藤本に2つボールを続けて押出し四球で3-4、続く中村の同点右犠飛で4-4と追い付く。

 阪神は8回裏、先頭の御園生が四球から二盗に成功、藤村の一二塁間へのヒットがタイムリーとなって5-4と勝ち越す。

 巨人は9回表、二死後呉新亨がレフト線にヒットを放つと二盗に成功、ここで藤本が左前に同点タイムリー、5-5と追い付く。

 阪神は9回裏、一死後武智が四球を選んで出塁、トップに返り塚本の当りはライトライナー、一走武智がスタートを切っており、ライト近藤からファースト佐藤に送球されてダブルプレー、試合は延長戦に突入する。

 巨人の10回表は三者凡退。

 阪神は10回裏、先頭の呉昌征が左中間に二塁打、御園生の送りバントをピッチャー藤本は三塁に送球するがセーフ、犠打と野選が記録されて無死一三塁とサヨナラのチャンス、藤村はスリーボールワンストライクから四球を選んで無死満塁、ここは藤本が塁を詰めたか。無死満塁となって、本堂の当りはショートへの内野飛球、インフィールドフライが宣告されて本堂はアウト、この打球をショート杉江繁雄が落球、この場合はインプレーなので三走呉昌征がホームに突っ込むが白球を拾いあげた杉江からの本塁送球にタッチアウト、この時、二走御園生は二三塁間、一走藤村は一二塁間に立っており、キャッチャー川畑が御園生を追いかけてタッチアウト、トリプルプレーが成立する。御園生と藤村がルールを勘違いしていたようだ。

 巨人は11回表、先頭の宮下が三遊間にヒット、杉江が送りバントを決めて一死二塁、トップに返り黒沢がストレートの四球を選んで一死一二塁、呉新亨の中前打で一死満塁、中村の遊ゴロでゲッツーかと思われたが、ショート武智からの二塁送球をセカンド小林英一が後逸する間に三走宮下に続いて二走黒沢も生還して7-5とリードする。

 阪神は11回裏、先頭の金田正泰がストレートの四球、小林に代わる代打辻源兵衛の三塁内野安打で無死一二塁、若林監督が中前にタイムリーを放ち6-7と1点差、武智の送りバントをピッチャー藤本は三塁に送球するがセーフ、10回に続いて犠打と野選が記録されて無死満塁、トップに返り塚本の左犠飛で7-7の同点に追い付く。

 結局、12回を戦って7-7の同点、球史に残る激闘は引分け。

 若林と藤本が投げ合ったこの試合で、三重盗と三重殺が記録された。


*「三重殺」の場面を説明する「雑記」欄。「インフィールドフライを落球し呉本塁を得んとしてアウトとなり、御園生、藤村判断をあやまり、二~三、一、二塁間にありしを川畑二塁近くまで追って御園生を刺す。」と書かれています。



 

2018年10月31日水曜日

髪を切ったデグロム


 「か~み~を~切~いった~わたぁ~~しに~~♪♪(聖子ぉ~~)違~うひとぉ~み~た~い~とぉ~~~♬♪」と言えば松田聖子の楽曲「夏の扉」(作詞:三浦徳子)ですが、髪を切って違う人みたいになったデグロムがCy Young賞有力候補となっています。

 ワールドシリーズも終わりましたので、MLBファンの注目は各種賞争いに移行しています。今年は候補が絞れますので予想は楽ですね(笑)。

 ア・リーグMVPはベッツでしょう。数字的にJ.D.マルティネスを推す声も聞こえますが、今年のボストン打線を考えればベッツだと思いますね。アメリカの記者はプロが多いので安心していますが、数字しか見れない人はJ.Dに投票するでしょうか。
 ナ・リーグMVPはイエリッチで決まりでしょう。


 ア・リーグのサイ・ヤング賞もブレイク・スネルでしょうね。

 問題はナ・リーグのサイ・ヤング賞です。

 私はデグロムだと思っていますが、10勝9敗の成績がネックとなります。勝星がデグロムを上回っている投手が21人いますからね。

 しかし、防御率1.70は二位を0.67引き離し断トツ。WHIPは下二桁までだとシャーザーと並びの0.91ですが、厳密にはシャーザーの0.91088に対してデグロム0.91244と僅かに劣ります。被打率もシャーザー1割8分8厘に対してデグロム1割9分6厘、奪三振もシャーザー300個に対してデグロム269個。何と言ってもシャーザーは18勝7敗ですから、数字だけを見れば圧倒的にシャーザー有利なのです。

 それでも多くの人がデグロムを推す理由は、不振のチーム状況の中でメッツの先輩グッデンの持つ連続QS記録を塗り替えた投球内容にあります。まぁ、グッデンの時代にQSの発想があったのか記憶に定かではありませんので、連続QS新記録は後付けの感がしないでもありませんが(笑)。

 あのスライダーだけでも、Cy Young賞の資格は十分だと思います。

*デグロムのカードは長髪時代が大宗を占めていますが、こちらは髪を切ったデグロムなので2018年Toppsです。



 

2018年10月20日土曜日

19年 阪急vs朝日 5回戦


7月9日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 3 0 4 0 1 0 1 9 阪急 9勝9敗1分 0.500 天保義夫
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 朝日 6勝12敗1分 0.333 大橋一郎 菊矢吉男

勝利投手 天保義夫 1勝1敗
敗戦投手 大橋一郎 0勝3敗

三塁打 (朝)大島

勝利打点 坂田清春 2


両軍合わせて22四球

 朝日は初回、一死後田中豊一が四球を選んで出塁、坪内道則のニゴロをセカンド上田藤夫が二塁に悪送球する間に一走田中は三塁に、打者走者の坪内も二塁に進んで一死二三塁、金光彬夫の三ゴロをサード坂井豊司は三走田中が飛び出したところにタッチに行くがセーフ、野選が記録されて一死満塁、菊矢吉男が押出し四球を選んで1点を先制する。

 阪急は3回、先頭の伊藤健一が二遊間にヒット、トップに返り山田伝が四球を選んで無死一二塁、上田が送りバントを決めて一死二三塁、坂田清春が中前に逆転2点タイムリーを放って2-1、バックホームの間に打者走者の坂田は二塁に進み、髙橋敏は右飛に倒れるが、野口明はストレートの四球、三木久一も四球を選んで二死満塁、坂井が押出し四球を選んで3-1とする。

 阪急は5回、先頭の坂田が三前にセーフティバントを決めて出塁、高橋が四球を選んで無死一二塁、ここでワイルドピッチが飛び出して無死二三塁、野口は遊飛に倒れるが、三木が四球を選んで一死満塁、朝日は8四球を乱発した先発の大橋一郎を下げてファーストの菊矢吉男をマウンドに送り込むが、坂井が三遊間にタイムリーを放って4-1、天保義夫の遊ゴロでショート伊藤はセカンドゲッツーを狙って二塁に送球するがこれが悪送球、三走高橋に続いて二走三木も還って6-1、高橋の生還に対して天保に打点が記録されて一死一二塁、伊藤の捕前の当りをキャッチャー吉田弘が三塁に送球するがセーフ、野選が記録されて一死満塁、トップに返り山田が押出し四球を選んで7-1とダメ押す。

 阪急は7回、一死後山田が中前打で出塁、上田も中前打を放って一死一二塁、坂田は一飛に倒れるが、高橋の右前打で二死満塁、野口が押出し四球を選んで8-1とする。

 阪急は9回、一死後高橋が四球で出塁、ここで菊矢がワイルドピッチ、野口の二ゴロをセカンド桜沢三郎がエラーして一死一三塁、三木の二ゴロで三走高橋が還り9-1、ここで菊矢がこの回2個目のワイルドピッチ、坂井も四球を選ぶが、天保は三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 天保義夫は4安打8四球4三振1失点、自責点ゼロの完投で今季初勝利をあげる。

 朝日先発の大橋一郎が8四球、二番手の菊矢吉男が6四球を乱発し、阪急の天保も8四球、両軍22四球の乱戦ということで、12時31分に始まったこの試合は14時21分に終了、当時としては異例の9イニングでの試合時間1時間50分を要した。

 阪急では坂井豊司が4四球、山田伝が3四球、髙橋敏が3四球を選び、野口明と三木久一も2四球と、5人で14四球を選んだのであった。

 菊矢吉男が9回に1イニング2暴投を記録。菊矢は1939年に14暴投を記録して永く日本記録保持者であったが、この記録は1990年に最晩年の村田兆治が17暴投を記録して更新した。

 

2018年10月18日木曜日

中飛失が犠飛


 お伝えしたとおり、産業1回表の攻撃、一死満塁で藤原鉄之助の中飛を近畿のセンター岡村俊昭が落球しましたが、三走小坂三郎がタッチアップから生還、この得点に「自責点」が記録されていますので藤原の「中飛失」は「犠牲フライ」と認定できます。

 「犠飛」が記録されていなかった時代であるにもかかわらず、公式記録員山内以九士氏は岡村のエラーが無くても三走小坂は生還できたと判断して「自責点」を記録しました。

 これは日本野球史における「記録」の正確性を伝える「貴重な記録」であると考えられますので再度ご紹介させていただきます。

*小坂の得点が〇で囲われていますので「自責点」を意味します。


 

19年 産業vs近畿 5回戦


7月9日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
4 0 0 0 0 0 1 0 0 5 産業 7勝11敗1分 0.389 森井茂
0 0 0 0 0 0 0 1 1 2 近畿 4勝14敗1分 0.222 中本政夫

勝利投手 森井茂     5勝8敗
敗戦投手 中本政夫 2勝8敗

二塁打 (産)藤原

勝利打点 藤原鉄之助 1


森井茂、自責点ゼロの完投

 産業は初回、先頭の小坂三郎が四球で出塁、鈴木秀雄が死球を受けて無死一二塁、加藤正二は左飛に倒れるが、金山次郎が四球を選んで一死満塁、藤原鉄之助の中飛をセンター岡村俊昭が落球、三走小坂はタッチアップから生還、この得点には「自責点」が記録されていることから、藤原の中飛失は当ブログルールに則り「犠飛」と記録される。この当時は公式記録では「犠飛」は記録されていませんが、「中飛失」で「自責点」が記録されているということは、山内以九士公式記録員は「犠飛」を意識した上で「中飛失」であるにもかかわらず「自責点」を記録したと推測されます。

 野口正明が中前打で続いて2-0、なお一死満塁から松尾幸造が右前に2点タイムリーを放ち4-0とする。

 産業は7回、一死後加藤が遊失に生き、金山は二飛に倒れて二死一塁、藤原の左中間二塁打で加藤が生還して5-0とする。

 近畿は8回、一死後松川博爾の三ゴロをサード井上嘉弘が一塁に悪送球、トップに返り加藤喜作の左前打で一死一二塁、吉川義次の当りは三ゴロ、これを又もサード井上が一塁に悪送球する間に二走松川がホームに還り1-5とする。

 近畿は9回、先頭の岡村が右中間にヒット、八木進の三ゴロをサード井上がエラー、井上は2イニングで3失策、荒木正が四球を選んで無死満塁の大チャンス、中本政夫に代わる代打木下勇は浅い右飛に倒れて一死満塁、松川の三ゴロ併殺崩れの間に三走岡村が還って2-5とするが、トップに返り加藤が三ゴロに倒れてゲームセット。

 森井茂は6安打2四球4三振2失点、自責点ゼロの完投で5勝目をあげる。
 中本政夫も9回を完投して森井茂と同じく被安打は6本であったが、6四死球を与えたことが敗因となった。