2020年11月23日月曜日

訂正のお知らせ

 2020年11月4日付け、昭和21年8月10日 (土)の「21年 中部日本vs阪急 12回戦」において、この試合で戦後初ヒットを放った田中幸男について「昭和16年以来5年ぶり、戦後初出場となる田中幸男」と記載していましたが、田中幸男の戦後初出場は2日前の8月8日のことでしたので、お詫びして訂正させていただきます。


21年 中部日本vsグレートリング 11回戦

8月12日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 中部 22勝34敗2分 0.393 松尾幸造 森井茂 
0 0 3 0 6 0 0 0 X 9 グ軍 37勝22敗 0.627 丸山二三雄

勝利投手 丸山二三雄 13勝9敗
敗戦投手 松尾幸造     1勝10敗

二塁打 (中)加藤 (グ)堀井

勝利打点 (グ)山本一人 6


丸山二三雄、ハーラートップタイに躍り出る

 第15節最終日の第2試合は松尾幸造と丸山二三雄の両左腕の先発で午後3時12分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 中部は初回、先頭の古川が四球を選んで出塁するが、杉浦清監督のニゴロが「4-6-3」と渡ってダブルプレー、しかし小鶴がツーストライクナッシングから粘って四球を選び、加藤正二の右前打で二死一二塁、大沢清が珍しく引っ張って三遊間を破るタイムリーを放ち1点を先制、続く藤原も四球を選ぶが、岩本は三ゴロに倒れて1点止まり。

 グ軍は3回裏、先頭の丸山が左前に流し打って出塁、宮崎の捕邪飛は送りバント失敗か、トップに返り安井が四球を選び、河西もストレートの四球で一死満塁、田川が中前に同点タイムリーを放ち1-1、山本一人監督の遊ゴロ併殺崩れの間に三走安井が還って2-1と逆転、二死一三塁からダブルスチールを決めて3-1とする。

 グ軍は5回裏、先頭の宮崎が左前打で出塁、トップに返り安井も左前打、河西の投前送りバントが野選を誘って無死満塁、田川が押出し四球を選んで4-1、山本の左前タイムリーで5-1、堀井が左中間に2点タイムリー二塁打を放ち7-1、無死二三塁から岡村の一ゴロで三走山本が還って8-1、一死三塁となって木村勉の遊ゴロで三走堀井も還り9-1として試合を決める。

 丸山二三雄は4安打7四球7三振の完投で13勝目をマーク、近藤貞雄に並んでハーラートップタイに躍り出る。5回まで6四球と苦しいピッチングが続いたが、129球で2回以降を無失点に抑える力投であった。

 グ軍は今節5勝0敗で6連勝、丸山、別所、松川の3本柱がオール完投で2勝ずつをあげている。

 中部は初回、2安打3四球ながら3残塁で1点止まり。グ軍は5回、4安打1四球で4得点から内野ゴロで2点を追加して残塁無しの6得点。中部打線は8球団随一の強力打線であるが、この差が順位差に直結している。

2020年11月15日日曜日

21年 阪急vsゴールドスター 8回戦

8月12日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 1 0 4 0 1 2 2 11 阪急 37勝30敗 0.552 溝部武夫
0 1 1 0 0 0 0 3 0  5  ゴ軍 21勝36敗1分 0.368 江田孝 内藤幸三

勝利投手 溝部武夫 4勝0敗
敗戦投手 江田孝    1勝7敗

二塁打 (急)荒木2、上田、青田、坂井、日比野 (ゴ)大友2、坪内
三塁打 (急)野口二郎 (ゴ)菊矢

勝利打点 (急)荒木茂 1

猛打賞 (急)上田藤夫 10、坂井豊司 3、日比野武(4安打)2、荒木茂 1


阪急、19安打で快勝

 第16節の最終日は溝部武夫と江田孝の先発で午後1時丁度、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は初回、先頭の山田伝が四球を選んで出塁、上田が一塁に内野安打、青田は遊飛に倒れて一死一二塁、野口明のニゴロをセカンド大友が二塁ベースカバーのショート酒沢に送球するがセーフ、野選が記録されて一死満塁、坂井豊司のニゴロの間に三走山田が還って1点を先制する。

 ゴ軍は2回裏、先頭の菊矢が四球を選んで出塁、早川は中飛に倒れるが、坂本勲が三塁に内野安打、辻功は三振に倒れて二死一二塁、江田が中前に同点タイムリーを放ち1-1とする。

 阪急は3回表、先頭の青田がストレートの四球で出塁、野口明は投前内野安打、坂井もストレートの四球で無死満塁、日比野の中犠飛で2-1と勝ち越す。

 ゴ軍は3回裏、一死後坪内がレフト線に二塁打、田中宣顕の遊ゴロで坪内は三塁に走り、ショート上田がサードの坂井に送球するがセーフ、野選の間に打者走者の田中が二塁に向かい、サード坂井から二塁ベースカバーのセカンド荒木に送球されてタッチアウト、しかしこの間に三走坪内がホームに還る好走塁を見せて2-2の同点に追い付く。

 阪急は5回表、一死後坂井が左前打で出塁、日比野も左前に痛烈なヒット、鳥居兵治に代わる代打野口二郎はストレートの四球で一死満塁、ここで荒木がレフト線に2点タイムリー二塁打を放ち4-2と勝ち越し、溝部がストレートの四球を選んで再度一死満塁、トップに返り山田が左前に2点タイムリーを放ち6-2と突き放す。

 阪急は7回表、二死後上田がライト線に二塁打、青田の右前タイムリーで7-2とする。

 阪急は8回表、一死後日比野が左前打で出塁、野口二郎が左中間にタイムリー三塁打を放ち8-2、荒木もレフト線にタイムリー二塁打を放ち9-2とダメ押す。

 ゴ軍は8回裏、先頭の田中が中前打で出塁、菊矢は捕邪飛に倒れるが、早川が左前打を放って一死一二塁、続く坂本も左前打、レフト青田からの返球をピッチャー溝部がエラーする間に三塁に達していた田中がホームに還って3-9、一走早川は三塁に、打者走者の坂本も二塁に達して一死二三塁、辻に代わる代打内藤が右前に2点タイムリーを放ち5-9と追い上げるが、江田に代わる代打末崎の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 ゴ軍の9回のマウンドには代打でタイムリーヒットを打った内藤が上がる。

 阪急は9回表、先頭の上田は三振に倒れるが、青田がレフト線に二塁打、野口明の投ゴロに青田が飛び出して二三塁間でタッチアウト、打者走者の野口明は二塁に進み、坂井がレフト線にタイムリー二塁打を放ち10-5、日比野もレフト線にタイムリー二塁打で続いて11-5と再度突き放す。

 溝部武夫は14安打2四球4三振で完投、無傷の4勝目をマークする。

 阪急は19安打で14残塁、ゴ軍は14安打で9残塁の乱打戦となった。

 阪急は第16節を3勝2敗、勝った3試合は全て二桁得点であった。打線が好調であることは確かだが、あっさりと負ける試合も多い。

 荒木茂が5打数3安打3打点、二塁打2本の活躍を見せた。好打者の揃う阪急打線では打力で少し見劣りし、前日のグ軍戦ではチャンスで悉く凡退して敗因となっていたが、この日は見事に雪辱した。

*昭和25年大洋ホエールズ時代のチームサイン色紙に残された荒木茂の直筆サイン。左は中津正三、右は岩本信一。



2020年11月11日水曜日

21年 グレートリングvs阪急 9回戦

8月11日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 2 0 2 0 4 グ軍 36勝22敗 0.621 別所昭 
0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 阪急 36勝30敗 0.545 今西錬太郎

勝利投手 別所昭        9勝5敗
敗戦投手 今西錬太郎 2勝3敗

二塁打 (急)坂井

勝利打点 なし

猛打賞 (急)野口明 4、坂田清春 1


2安打のグ軍が13安打の阪急に勝つ

 第2試合は別所昭と今西錬太郎の先発で午後2時40分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 グ軍は初回、二死後田川の当りは遊ゴロ、これをショート上田がエラー、山本一人監督の中前打で二死一二塁、しかし堀井は投ゴロに倒れて無得点。

 阪急は2回裏、二死後野口明が中前打で出塁、坂田清春の右前打で二死一三塁、しかし荒木茂は三振に倒れて無得点。

 阪急は3回裏、先頭の今西が右前打 グ軍は2回、3回、4回と三者凡退。5回は先頭の岡村が四球で歩くが、木村勉の投ゴロが「1-6-3」と渡ってダブルプレー。で出塁、トップに返り山田伝の遊ゴロでランナーが入れ替わり、、山田が二盗を試みるがキャッチャー木村からの送球にタッチアウト。

 阪急は4回裏、二死後野口二郎が三塁に内野安打、野口明が右前打、坂田は四球を選んで二死満塁、しかし荒木は二飛に倒れて無得点。

 阪急は5回裏、一死後山田が左前打で出塁、坂井も中前打で続いて一死一二塁、しかし上田の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 5回まで0対0であるがグ軍は1安打、阪急は7安打と圧倒的に阪急が優勢に試合を進める。

 グ軍は6回表、先頭の宮崎仁郎が四球を選んで出塁、トップに返り安井が中前打、河西の投前送りバントを今西がファンブル、犠打とエラーが記録されて無死満塁、次のプレーは珍しい。田川の当りは右前に落ちるが、三走宮崎はハーフウェイからスタートできず、野口二郎からのバックホームで本塁封殺、記録はライトゴロとなって一死満塁、山本の三ゴロは「5-4-3」と転送されるが一塁セーフ、併殺崩れとなって三走安井はホームイン、二走河西も三塁ベースを蹴ってホームに還る好走塁を見せて2点を先制する。

 阪急は6回裏、先頭の青田が二遊間にヒット、野口二郎の三ゴロの間に青田は二進、野口明の中前タイムリーで1-2、センター田川からのバックホームが悪送球となる間に打者走者の野口明は二塁に進み、坂田の右前打で一死一三塁、荒木の遊ゴロ併殺崩れの間に三走野口明が還って2-2の同点とする。

 阪急は7回裏、一死後坂井が左中間に二塁打を放つが、上田は遊ゴロ、青田は捕邪飛に倒れて無得点。

 グ軍は8回表、二死後安井が四球を選ぶと二盗に成功、河西の三ゴロをサード坂井がトンネルする間に二走安井が還って3-2と勝ち越し、バックアップのレフト青田からのバックホームの間に打者走者の河西は二塁に進み、今西の二塁牽制が悪送球となり、バックアップのセンター山田も後逸する間に河西が一気にホームに還って4-2とする。

 阪急は8回裏、二死後坂田が中前打、荒木に代わる代打日比野も中前打を放って二死一二塁、しかし今西は三振に倒れて無得点。9回も三者凡退でゲームセット。

 別所昭は13安打1四球3三振の完投で9勝目をマークする。

 グ軍は2安打で13安打の阪急に快勝した。安井と河西の走塁が勝因である。阪急は5失策を重ねて敗れた。グ軍ではショートの宮崎仁郎が10補殺を記録して無失策であった(チームとしては1失策)。

 勝ったチームが負けたチームより11本安打が少ないのは日本記録の可能性がある。


2020年11月8日日曜日

21年 中部日本vsゴールドスター 11回戦

8月11日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 中部 22勝33敗2分 0.400 松尾幸造 
0 0 0 0 0 2 0 0 X 2 ゴ軍 21勝35敗1分 0.375 内藤幸三

勝利投手 内藤幸三 10勝14敗
敗戦投手 松尾幸造   1勝9敗

二塁打 (中)大沢、服部 (ゴ)坪内、早川

勝利打点 (ゴ)菊矢吉男 4


内藤-松尾の初対決

 第16節4日目の第1試合は内藤幸三と松尾幸造の両ベテラン左腕の先発で午後零時55分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 松尾と内藤はプロ野球黎明期から投げ続けている古参同士であるが、不思議なことに両者の先発対決はこの試合が初めてである。ウソだと思ったら調べてみてください(笑)。

 ゴ軍は1回裏、二死後坪内が三塁に内野安打、サード小鶴が間に合わない一塁に悪送球する間に打者走者の小鶴は二塁に進む。このところ目に付く小鶴のエラーでゴ軍が先制のチャンスを作ったが、田中宣顕の四球後、末崎正隆は三振に倒れて無得点。

 ゴ軍は2回裏、先頭の内藤が三塁線にセーフティバントを決めて出塁、坂本勲の中前打で無死一二塁と初回に続いてチャンス到来、しかしキャッチャー藤原鉄之助からの二塁牽制に二走内藤が戻れず「2-6-5」と転送されてタッチアウト。これは内藤の走塁ミスとは言い切れない。打者辻功は初球を見逃しててストライク、この時藤原が内藤のリードが大きいのを見て二塁に送球した。これは送りバントのサインが出ていた可能性が高い。無死一二塁での送りバントの場合、二塁走者からは投球がストライクかボールかが分かるので、ストライクの場合どうしてもバットにボールが触れる直前に三塁方向に体重が移動する。これを打者がバントの構えから見逃すと、二塁走者は三塁へスタート体勢になっているのでキャッチャーからの二塁牽制には逆モーションとなってしまい帰塁できない。素人の解説者は「バットにボールが当たってからスタートを切らなきゃダメですね。」と解説するが、実際に二塁走者になってみれば、打者がバントの構えでストライクと判断すればどうしても三塁方向にスタートを切ってしまう。このようなケースで打者がストライクを見逃して二塁走者がアウトになった場合の責任は、走者よりも打者の方が重いのである。ということで一死一塁、辻は右前打を放って一死一二塁、しかし早川平一の遊ゴロが「6-4-3」と転送されてダブルプレー。

 ゴ軍はその後3回、4回と三者凡退。

 中部は5回表、先頭の岩本が左中間に三塁打、松尾は三振に倒れ、金山が四球から二盗を決めて一死一三塁、トップに返り古川の遊ゴロで三走岩本はホームを狙うが三本間に挟まれる。しかし挟殺プレーでキャッチャー辻の落球があって岩本が三塁に戻り一死満塁、しかし杉浦清監督は一邪飛、小鶴も三振に倒れて無得点。

 ゴ軍は5回裏、二死後早川が左中間にヒットを放つが二塁を欲張りタッチアウト。

 中部は6回表、先頭の加藤正二が右前打で出塁、加藤が二盗を決め、大沢清が珍しく引っ張って三ゴロ、この間に二走加藤は三進、藤原の左犠飛で1点を先制する。

 ゴ軍は6回裏、先頭の酒沢が中前打、これをセンター古川がファンブルする間に打者走者の酒沢は二塁に進み、大友一明の中前打で無死一三塁、坪内がレフト線に同点のタイムリー二塁打を放ち1-1、田中は浅い中飛に倒れて一死二三塁、末崎に代わる代打菊矢が決勝の右犠飛を打ち上げて2-1と勝ち越す。

 中部は9回表、二死後松尾に代わる代打服部がレフト線に二塁打、更に三盗を決めて二死三塁、しかし金山に代わる代打西沢は左飛に倒れてゲームセット。

 内藤幸三は6安打1四球6三振の完投で初めてとなる松尾との投げ合いを制し10勝目をマークする。

 内藤と松尾の先発対決が戦後になって初めてだったとは、歴史的大発見ですね(笑)。

2020年11月4日水曜日

21年 中部日本vs阪急 12回戦

8月10日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 1 4  5  中部 22勝32敗2分 0.407 森井茂 井上嘉弘 
0 2 0 6 1 0 0 6 X 15 阪急 36勝29敗 0.554 溝部武夫

勝利投手 溝部武夫 3勝0敗
敗戦投手 森井茂    9勝10敗

二塁打 (中)藤原、古川 (急)鳥居、坂田、荒木、上田
三塁打 (急)野口明

勝利打点 (急)坂田清春 3

猛打賞 (中)藤原鉄之助 4 (急)山田伝 7、上田藤夫(4安打)9


好調阪急、21安打で快勝

 第2試合は森井茂と溝部武夫の先発で午後3時丁度、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は2回裏、先頭の野口明の当りは三ゴロ、これをサード小鶴がエラー、この日六番ライトに起用された鳥居兵治が右中間に二塁打を放って無死二三塁、このチャンスに坂田清春が中前に2点タイムリーを放ち2-0とする。

 阪急は4回裏、先頭の坂田が左中間に二塁打、荒木茂もレフト線に連続二塁打で続いて3-0、溝部も中前にタイムリーを放ち4-0、トップに返り山田伝も中前打で無死一二塁、中部ベンチはここで先発の森井から井上嘉弘にスイッチ、しかし阪急の勢いは止まらず坂井豊司のレフト戦二塁打で無死満塁、上田のライト線タイムリーで5-0、青田は二飛に倒れて一死満塁、野口明が右中間に走者一掃の三塁打を放ち8-0、続く鳥居と坂田は連続二飛に倒れてこの回は6点止まり。

 阪急は5回裏、二死後山田が左前打から二盗に成功、坂井は四球を選んで二死一二塁、上田がレフト線にタイムリー二塁打を放ち9-0とする。

 中部は8回表、先頭の井上が右前打で出塁、金山の遊ゴロをショート上田がエラー、トップに返り古川は中飛に倒れるが、7回から杉浦清監督に代わってショートに入っている三村がストレートの四球を選んで一死満塁、小鶴の左犠飛で1点返して1-9とする。

 阪急は8回裏、先頭の坂井に代わって戦後2度目の出場となる田中幸男が代打に起用されるがニゴロ、一死後上田が4本目のヒットを左前に放って出塁、青田と野口明も左前打で続いて一死満塁、鳥居に代わる代打大平茂が左前に2点タイムリーを放ち11-1、坂田が四球を選んで再度一死満塁、荒木が中前に2点タイムリーを放ち13-1、溝部は三振に倒れ、トップに返り山田が四球を選んで二死満塁、ここでこの回2度目の打席に立った田中が昭和16年以来5年ぶりのヒットを左前に放ち、これが2点タイムリーとなって15-1とする。

 中部は9回表、先頭の大沢清が右中間にヒット、藤原も右前打を放って無死一二塁、石田政良に代わる代打岩本の当りも右前に抜けるが、投手も務める強肩のライト大平が二塁に送球して一走岩本はフォースアウト、記録はライトゴロで一死一三塁、井上の三ゴロをサード田中がエラーする間に三走大沢が還って2-15、金山の投前内野安打で一死満塁、トップに返り古川がレフト線に2点タイムリー二塁打を放ち4-15、三村の左犠飛で5-15まで追い上げるが反撃もここまで。

 溝部武夫は11安打2四球3三振で完投、3勝目をマークする。5失点ではあったが自責点は1であった。

 阪急は相変わらず打線が好調で、4回には6連打、8回には4連打もあって合計21安打の猛攻を見せた。

 小鶴誠が今季6本目の犠飛を記録して本堂保次、千葉茂に並んで「犠飛王」の座についた。小鶴の三塁守備は破綻しており中部低迷の原因となっている。打撃を活かして外野にコンバートするべきでしょう。


2020年11月1日日曜日

21年 グレートリングvsゴールドスター 8回戦

8月10日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 2 0 3 0 1 2 0 2 12 グ軍 35勝22敗 0.614 松川博爾 大橋一郎 
0 1 0 0 1 0 0 0 0  2  ゴ軍 20勝35敗1分 0.364 江田孝

勝利投手 松川博爾 6勝3敗
敗戦投手 江田孝    1勝6敗

二塁打 (ゴ)江田
三塁打 (グ)松川、筒井 (ゴ)坪内

勝利打点 (グ)岡村俊昭 1

猛打賞 (グ)河西俊雄 6、田川豊 3


グ軍、控え陣の活躍で大量得点

 第16節3日目の第1試合は松川博爾と江田孝の先発で午後1時丁度、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 グ軍は初回、一死後河西が四球を選ぶと二盗に成功、田川の右前打で一三塁、山本一人監督はストレートの四球で一死満塁、堀井は一邪飛に倒れるが、岡村が三遊間に2点タイムリーを放ち2-0、一走山本は二塁をオーバーランしてタッチアウトとなりスリーアウトチェンジ。これは二走田川のホームインをアシストしたものと考えられる。田川の得点が認められたのは山本のアウトよりも田川が早くホームインしたからであり、山本がゴ軍の中継を引き付けたものでしょう。このシーンはグ軍の機動力野球を象徴するものとして記憶しておきたい。
 グ軍は2回表、一死後松川が中前打で出塁、宮崎も左前打、トップに返り安井がストレートの四球を選んで一死満塁、河西が左前に2点タイムリーを放ち4-0とする。

 ゴ軍は2回裏、一死後大友が四球を選んで出塁、辻功の捕前ゴロをキャッチャー木村勉が二塁に悪送球、更に白球を拾い上げたセカンド安井も一塁に悪送球して大友は三進、打者走者の辻も二塁に進んで一死二三塁、江田のニゴロの間に三走大友が還って1-4とする。

 2回までに5安打を許した江田は3回表のグ軍の攻撃を三者凡退に退ける。

 ゴ軍は3回裏、先頭の中村信一がピッチャー強襲ヒット、酒沢は右前打、坪内も左前打で続いて無死満塁、ここで田中宣顕のサードライナーに一走坪内が飛び出しており「5-3」と送球されてダブルプレー、続く末崎は遊ゴロに倒れて無得点。ゴ軍はこの回、向かいかけていた流れを自ら放棄してしまった。

 グ軍は4回表、先頭の松川が四球で出塁、宮崎の投前送りバントを江田がファンブル、犠打とエラーが記録されて無死一二塁、トップに返り安井は中飛に倒れるが、河西が中前にタイムリーを放ち5-1、一走宮崎は三塁に進み、河西が二盗を決めて一死二三塁、田川が中前に2点タイムリーを放ち7-1として決定的リードを取る。

 ゴ軍は5回裏、一死後坪内が走塁ミスを挽回する右中間三塁打を放って出塁、田中のニゴロの間に坪内が還り2-7とする。

 グ軍は6回表、一死後6回の守備から宮崎に代わってショートに入っている桶川隆が右前打で出塁、トップに返り安井が左前打、河西も左前打で続いて一死満塁、田川の右犠飛ですかさず8-2と突き放す。

 グ軍は7回表、一死後岡村が右前打で出塁、6回の守備から木村に代わってマスクを被っている筒井敬三が三遊間にヒット、松川が左中間に2点タイムリー三塁打を放ち10-2とする。

 グ軍は9回表、8回の守備から岡村に代わってライトに入っている櫛田由美彦が中前打で出塁、筒井が左越えにタイムリー三塁打を放ち11-2、8回から先発の松川をリリーフ下大橋一郎が四球を選び、桶川は浅い右飛に倒れて一死一三塁、トップに返り安井のニゴロ併殺崩れの間に三走筒井が還って12-2とする。

 松川博爾は7イニングを7安打4四球1三振2失点に抑えて6勝目をマークした。

 江田孝は6安打7四球12失点で完投した。

 3裏と4表の攻防で決まった試合であった。ゴ軍が3回裏に少しでも追い付いていたら試合の展開は分からなかった。

 グ軍は大量リードということもあってレギュラー陣を休ませて試合途中から順次控え選手を繰り出したが、その控えがことごとく活躍した。長期シーズンを見据えて夏場にレギュラー陣を休ませる山本一人監督の戦略が功を奏したのである。

 8回から松川をリリーフした大橋一郎はこれが今季唯一にしてプロでは最後の登板となった。この試合で大橋一郎が付けた背番号「19」は、京都商業時代の盟友である神田武夫が戦前に付けていたものであった。