2010年8月8日日曜日

12年春 第17節 週間MVP

 今節は雨で順延された試合が組み込まれた週であり、すでに優勝及び順位争いは終了しておりますので消化試合の連続となります。開幕前の予定ではリーグ戦の終了は7月11日の予定でしたが、梅雨を挟んでいる春季リーグ戦のこと、雨天順延はかなりの数にのぼります。シーズン当初は順次翌日などに組み込まていましたが、東西に四チームずつが終結してリーグ戦を続けていくという制約があり、当時の東京と大阪の輸送手段は夜行列車しかなかったわけでシーズン後半の雨天順延は7月11日の後ろに組み込まざるを得ない状況となりました。連盟事務局のスケジュール調整に苦労の跡が偲ばれます。

 これまで見てきたとおり、昭和12年春季リーグ戦はジャイアンツとタイガースによる熾烈な優勝争いが最初から最後まで続いたわけで、両チームのスケジュールを優先せざるを得なかったことは自然のなりゆきであったと思います。少なくとも戦後見られたような巨人を優勝させるための日程調整ではなかったと思います。しかしそのしわ寄せがイーグルスに襲いかかりました。今節の各チームの試合数はジャイアンツ1、タイガース1、セネタース2、阪急3、大東京1、金鯱1、名古屋1、イーグルス5という不公平な状況となり、イーグルスはダブルヘッダーを2回消化しました。

 当時の連盟事務局には週間MVPを表彰するという発想はなかったのでしょう。この変則スケジュールの結果、今節はイーグルスから大量に受賞者が誕生するという結果を見ました。
 今節の成績は、名古屋1勝0敗、タイガース1勝0敗、イーグルス3勝2敗、大東京1勝1敗、セネタース1勝1敗、金鯱1勝2敗、阪急1勝2敗、ジャイアンツ1戦全敗とジャイアンツがダントツ最下位という結果でした。


週間MVP

 阪急 石田光彦 1

 ノーヒットノーランを達成し、イーグルス陣の完全制覇を阻む。

 イーグルス 中根之 1

 7月13日の対金鯱ダブルヘッダー第一試合においてレフト寺内一隆と激突して途中退場、しかし第二試合から戦線に復帰し、1打数1安打1得点4四球の活躍。今節5試合で12打数4安打2得点1打点、二塁打2、2盗塁7四球、打率3割3分3厘、出塁率5割7分9厘、長打率5割、OPS1.079。


殊勲賞

 イーグルス 石井秋雄 1

 対金鯱8回戦において、延長12回表、決勝の押し出し死球を受け、投げては今季初勝利を飾る。


敢闘賞

 イーグルス 漆原進 1

 今節15打数6安打2得点2打点、二塁打3、2盗塁、2四球、打率4割、出塁率4割7分1厘、長打率6割、OPS1.071。打順は八番・九番ながら中根之よりコンスタントに活躍しており週間MVPの有力候補であったが、中根には前年の首位打者に続き今季も松木謙治郎に次ぐ打率二位を記録したことが加味されたことからMVPは譲ることとなった。

 イーグルス 畑福俊英 4

 消化試合の最終節にもフル回転。3完投、2勝1敗、完封勝利1。今季四度目の受賞となった。


技能賞
 
 イーグルス バッキー・ハリス 1

 対金鯱7回戦4回裏、三塁ランナーとなったハリスはマウンド上の古谷倉之助に「ちょっとそのボール見せてください。」と声をかけ、古谷がハリスにトスすると脱兎のごとく本塁めがけて駆け出しまんまとホームインする。

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