2015年10月31日土曜日

17年 名古屋vs阪神 11回戦


10月13日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 1 3 0 0 0 4 名古屋 34勝50敗4分 0.405 西沢道夫 森井茂
0 1 0 0 0 1 0 0 0 2 阪神     42勝41敗5分 0.506 玉置玉一 御園生崇男

勝利投手 西沢道夫       6勝8敗
敗戦投手 御園生崇男 11勝13敗
セーブ      森井茂         1

二塁打 (名)岩本 (神)平林
本塁打 (名)西沢 1号

勝利打点 本田親喜 2


西沢道夫、プロ入り初本塁打

 阪神は2回、先頭のカイザー田中義雄が左前打で出塁、玉置玉一は三塁に内野安打、野口昇が送りバントを決めて一死二三塁、乾国雄に代わる代打門前真佐人が四球を選んで一死満塁、平林栄治が先制のスクイズを決めて1-0とする。

 名古屋は5回、一死後西沢道夫がレフトスタンドに同点ホームランを叩き込んで1-1とする。

 名古屋は6回、一死後岩本章がレフト線に二塁打、古川清蔵の三ゴロの間に岩本が三進して二死三塁、阪神ベンチはここで先発の玉置から御園生崇男にスイッチするが、これが誤算となった。吉田猪佐喜は四球から二盗、小鶴誠も四球を選んで二死満塁、本田親喜はストレートの押出し四球で2-1と勝越し、桝嘉一の遊ゴロの間に三走吉田が還って3-1、西沢はストレートの四球で再度二死満塁、芳賀直一も押出し四球を選んで4-1とする。結局、御園生は5四球を与えた。

 阪神は6回裏、一死後御園生が中前打、野口も中前打で続いて一死一二塁、門前は三振に倒れるが、平林が左中間に二塁打を放って御園生が還り2-4とする。

 阪神は7回、先頭の山口政信が四球で出塁、藤井勇も四球を選んで無死一二塁、田中の当りはセンターにン抜けるが、センター桝からサード芳賀に送球されて二走山口は三塁フォースアウト、センターゴロが記録されて一死一二塁、名古屋ベンチはここで先発の西沢を下げて森井茂をマウンドに送る。御園生の二ゴロで一走田中が二封されて二死一三塁、ここでダブルスチールを敢行するが、「2-4-2」と折り返されて三走藤井は本塁タッチアウト。


 戦後、ホームラン打者に成長して通算212本塁打を記録することとなる西沢道夫が貴重なプロ入り初本塁打を放った。


 翌日の読売新聞によると、6回にレフト線二塁打を放った岩本章は間に合わないかもしれないタイミングであったが好走塁で二塁を陥れ、古川清蔵の三ゴロで三塁に滑り込んだ時も泥だらけであったとのこと。一方、7回阪神の攻撃ではセンターゴロの原因となった山口政信と、ダブルスチールに失敗した藤井勇の走塁を「鈍走」と評している。


 

2015年10月30日金曜日

17年 大和vs大洋 11回戦


10月13日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大和 22勝56敗9分 0.282 畑福俊英
0 1 0 0 0 1 0 0 X 2 大洋 50勝32敗5分 0.610 野口二郎

勝利投手 野口二郎 32勝13敗
敗戦投手 畑福俊英   3勝14敗

本塁打 (大)野口明 4号

勝利打点 なし


野口二郎、今季15度目の完封

 大洋は2回、先頭の浅岡三郎が三塁に内野安打、祖父江東一郎がレフト線ヒットで続き無死一二塁、ここでダブルスチールを敢行して成功、更にキャッチャー木下政文からの二塁送球が悪送球となる間に浅岡がホームインして1点を先制する。

 大洋は6回、一死後野口明がレフトスタンドに第4号ホームランを叩き込んで2-0とする。

 大洋戦発の野口二郎は4安打4四球6三振で今季15度目の完封、32勝目をあげる。


 大和戦発の畑福俊英は2失点完投だったが無四球ピッチングであった。


 大和打線の4安打は七番渡辺絢吾が2本、八番畑福俊英が1本、九番杉江文二が1本で、一番~六番までは無安打であった。これでは勝てない。






*大和打線は4安打を放ったが、上位打線は無安打。






 

2015年10月29日木曜日

17年 巨人vs朝日 14回戦


10月12日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 1 2 2 0 6 巨人 60勝24敗4分 0.714 藤本英雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 朝日 37勝44敗6分 0.457 内藤幸三

勝利投手 藤本英雄 4勝0敗
敗戦投手 内藤幸三 2勝7敗

二塁打 (巨)中島 (朝)酒沢
三塁打 (巨)呉、白石

勝利打点 青田昇 3

猛打賞 (巨)呉波 5、中島治康 9 (朝)酒沢政夫 1


中島治康、3安打2打点

 日本シリーズも無事終了しましたので、実況中継を再開させていただきます。

 初回の二死満塁を逃した巨人は3回、先頭の白石敏男が中前打、楠安夫は三振に倒れるが、スリーストライク目に白石が二盗に成功、キャッチャー広田修三の悪送球が重なり白石は三塁に進み、中島治康が四球を選んで一死一三塁、青田昇の二ゴロの間に三走白石が還り1点を先制する。


 4回、5回と三者凡退の巨人は6回、先頭の中島が左前打、青田は一邪飛に倒れ、永沢富士雄の二ゴロでランナーが入れ替わり、藤本英雄のライト線ヒットで二死一二塁、小池繁雄の右前タイムリーで2-0とする。


 リードを広げた巨人は7回、先頭の呉波が左中間に三塁打、続く白石も右越えに三塁打を放って3-0、楠は四球、中島が左前にタイムリーを放って4-0とする。


 更にリードを広げた巨人は8回、二死後呉が三塁に内野安打、白石の遊ゴロをショート酒沢がエラーして二死一二塁、楠の右前タイムリーで5-0、中島も右中間にタイムリー二塁打を放って6-0として試合を決める。


 藤本英雄は6安打2四球2三振で2度目の完封、デビュー以来4連勝を飾った。




 勝利打点は内野安打で先制点をあげた青田昇に記録されたが、真の殊勲者は4打数3安打2打点の中島治康であった。





*藤本英雄は6安打完封でデビューから4連勝。



 

2015年10月25日日曜日

17年 南海vs 阪急 13回戦


10月12日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
4 0 0 0 0 0 0 0 0 4 南海 43勝44敗 0.494 川崎徳次 神田武夫
0 0 3 0 3 0 0 0 X 6 阪急 43勝40敗5分 0.518 天保義夫

勝利投手 天保義夫   7勝4敗
敗戦投手 神田武夫 24勝16敗

二塁打 (急)山田、山下好一、黒田

勝利打点 なし

猛打賞 (急)山下好一 2


山下好一、3安打4打点

 南海は初回、先頭の柳鶴震の当りは遊ゴロ、これをショート中村栄がエラー、猪子利男は右飛に倒れるが岡村俊昭が左前打を放って一死一二塁、岩本義行が四球を選んで一死満塁、国久松一の遊ゴロをショート中村がホームに悪送球する間に三走柳が還って1点を先制、中野正雄の投ゴロで「1-2-3」のゲッツー、と思われたところキャッチャー池田久之からの一塁送球が大悪投となり、二走岩本に続いて一走国久までもがホームインして3-0、打者走者の中野は二塁に進み、川崎徳次の左前タイムリーでこの回4点を先制する。阪急先発天保義夫の自責点はゼロであった。

 阪急は1回裏、先頭の西村正夫が四球で出塁、フランク山田伝のライト線二塁打で無死二三塁と反撃開始、ところが上田藤夫の二ゴロで三走西村がホームを狙うがセカンド国久からのバックホームにタッチアウト、一死一三塁から山下好一の二ゴロは「4-6-3」と渡ってダブルプレー。

 2回は三者凡退に終わった阪急は3回、初回にダブルエラーを犯した中村が四球を選んで出塁、天保の二ゴロの間に中村は二進、トップに返り西村は右飛に倒れるが、山田はストレートの四球、上田もワンスリーから四球を選んで二死満塁、このチャンスに第一打席は併殺打に終わった四番山下好一が右中間に走者一掃の二塁打を放ち3-4と追い上げる。

 南海は4回から先発の川崎に代えて神田武夫をマウンドに送る。

 4回は神田に抑えられて三者凡退の阪急は5回、先頭の天保が左前打で出塁、トップに返り西村が三前に送りバントを決めて一死二塁、山田は四球を選んで一死一二塁、上田は中飛に倒れて二死一二塁、ここで山下好一が左前に同点タイムリーを放ち4-4、一走山田は三塁に進み、山下好一も二盗を決めて二死二三塁、黒田健吾の遊ゴロで同点止まり、と思われたところショート柳が一塁に大悪投、三走山田に続いて二走山下好一までもホームに還り6-4と大逆転。

 初回は自責点ゼロながら4失点の天保義夫は2回以降、国久と猪子のヒット2本に抑えて6回以降は無安打ピッチング、4安打2四球1三振、自責点ゼロの完投で7勝目をあげる。


 大味な試合のようにも見えるが阪急の好走塁も勝因の一つであった。2回は天保の二ゴロで二封されなかった中村栄、5回は山下好一の左前打で一塁から三塁に進んだ山田伝の2つの走塁が目に見えない殊勲であった。


 

2015年10月24日土曜日

17年 大洋vs名古屋 12回戦


10月12日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大洋     49勝32敗5分 0.605 古谷倉之助
0 0 0 1 0 0 0 1 X 2 名古屋 33勝50敗4分 0.398 松尾幸造 石丸進一

勝利投手 古谷倉之助 3勝5敗
敗戦投手 石丸進一   13勝16敗

勝利打点 なし


古谷倉之助、1安打ピッチングも虚し

 名古屋は初回、一死後岩本章がストレートの四球で出塁、古川清蔵の遊ゴロをショート濃人渉がエラーして一死一二塁、しかし吉田猪佐喜は中飛、小鶴誠は投ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 名古屋は2回、先頭の本田親喜が左前打で出塁するが、桝嘉一は遊ゴロ、松尾幸造は二ゴロ、この間に本田は三塁に進んだが、芳賀直一は遊ゴロに倒れて無得点。

 3回は三者凡退に終わった名古屋は4回、二死後本田が四球から二盗に成功、桝も四球を選んで二死一二塁、松尾の二ゴロをセカンド佐々木光雄がエラーする間に二走本田が還って1点を先制する。

 名古屋先発の松尾幸造は3回まで毎回スコアリングポジションに走者を送りながら無失点、4回は三者凡退に抑えた。しかし5回、制球力の悪さが出て一死後佐々木、中村信一、濃人に3連続四球を与えて一死満塁、名古屋・桝嘉一監督はここで松尾に代えて石丸進一をマウンドに送り込む。石丸は富松信彦を三振、野口明を三飛に打ち取り無失点。

 名古屋は8回、一死後桝が四球を選んで出塁、石丸進一の三ゴロで桝は二進、サード中村からの送球を受けたファースト野口明が二塁に送球するがこれが悪送球となる間に桝が一気にホームに還り2-0とする。


 名古屋は1安打で2得点をあげて快勝した。


 大洋戦発の古谷倉之助はタテに落ちるドロップが冴えて強打の名古屋打線を1安打5四球無三振に抑えたが2失点、当然自責点はゼロであった。


 

17年 大和vs阪神 13回戦


10月12日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 大和 22勝55敗9分 0.286 松本操 金子裕 広島清美
4 5 0 0 0 0 0 0 X 9 阪神 42勝40敗5分 0.512 御園生崇男 藤村隆男

勝利投手 藤村隆男 3勝4敗
敗戦投手 松本操     1勝9敗

二塁打 (神)松尾、田中、藤村2
三塁打 (神)山口

勝利打点 御園生崇男 5


阪神、序盤に大量リード

 大和は初回、一死後木村孝平の遊ゴロをショート野口昇がエラー、木村が二盗を決めて一死二塁、金子裕の当りは左前打、これをレフト山口政信が失する間に二走木村が還って1点を先制する。金子には打点は記録されていない。

 阪神は1回裏、先頭の塚本博睦が四球で出塁、松尾五郎の遊ゴロでランナーが入れ替わり、山口政信が四球を選び一死一二塁、藤井勇の当りは右前に落ちるがライト渡辺絢吾が二塁に送球して山口は二封、ライトゴロとなって二死一三塁、藤井が二盗を決めて二死二三塁、御園生崇男が中前に逆転の2点タイムリーを放って2-1、カイザー田中義雄が四球を選んで二死一二塁、御園生が三盗を決めて二死一三塁、ここで一走田中がディレードスチール、この隙に三走御園生がホームに走り、「1-3-2」と送球されるがセーフ、田中も二塁に達して記録は「ダブルスチール」、更に野口昇が中前にタイムリーを放って4-1とリードを広げる。

 阪神は2回、再び先頭の塚本が四球で出塁、松尾の右中間二塁打で塚本が還り5-1、山口の右中間三塁打で6-1、藤井は三振に倒れるが、御園生が左前にタイムリーを放ち7-1、田中の右翼線二塁打で一死二三塁、野口昇の右前タイムリーで8-1としてなお一死一三塁、野口が二盗に成功、ここでキャッチャー木下政文の送球が逸れる隙に三走田中が還って9-1と序盤で大量リードする。
 阪神戦発の御園生は大量リードをもらいながら2回先頭の鈴木秀雄から連続四球、3回も先頭の金子を歩かせ、初回の失点だけではあるが不安定なピッチング。阪神ベンチは4回から藤村隆男をマウンドに送る。



 藤村隆男は6イニングを1安打5四球3三振の無失点に抑えて3勝目をあげる。阪神の両投手は御園生崇男が3打数2安打3打点2盗塁、藤村隆男が2打数2安打二塁打2本とバッティングで活躍した。


 翌日の読売新聞に書かれている鈴木惣太郎の論評によると「断っておくが飛ばないボールを使った試合である」とのことで、当時はあからさまに飛ぶボールと飛ばないボールの使用を区分している。現代であれば「飛ぶボール」の使用には神経過敏となるところですが。


 

2015年10月22日木曜日

17年 巨人vs阪急 11回戦


10月11日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 3 2 0 6 巨人 59勝24敗4分 0.711 須田博
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 42勝40敗5分 0.512 笠松実

勝利投手 須田博 19勝6敗
敗戦投手 笠松実 14勝15敗

二塁打 (巨)伊藤

勝利打点 白石敏男 7


須田博、今季6度目の完封

 巨人は初回、先頭の呉波がストレートの四球で出塁、呉が二盗を決めて無死二塁、キャッチャー井野川利春からピッチャー笠松実への返球が逸れる間に二走呉は三進、白石敏男の右犠飛で1点を先制する。

 巨人は7回、先頭の楠安夫が四球で出塁、中島治康は右飛に倒れるが、青田昇の中前打で一死一二塁、永沢富士雄が四球を選んで一死満塁、坂本茂の三ゴロで三走楠は本封、キャッチャー井野川がゲッツーを狙って一塁に送球するがセーフ、この間に二走青田がホームに還って2-0、二死一三塁から小池繁雄に代わる代打伊藤健太郎の左中間二塁打で二者還り4-0とする。

 巨人は8回、一死後白石が左前打で出塁、楠が四球を選んで一死一二塁、中島の投ゴロをピッチャー笠松実が三塁に送球するがセーフ、サード黒田健吾が一塁に送球して打者走者の中島はアウトとなって二死二三塁、青田の二遊間内野安打で二者還って6-0とする。


 巨人先発の須田博は阪急打線を4安打6四球5三振に抑えて今季6度目の完封、19勝目をあげる。






*須田博は4安打完封で19勝目をあげる。








 

2015年10月20日火曜日

17年 南海vs朝日 11回戦


10月11日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 南海 43勝43敗 0.500 神田武夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 朝日 37勝43敗6分 0.463 内藤幸三

勝利投手 神田武夫 24勝15敗
敗戦投手 内藤幸三   2勝6敗

勝利打点 岡村俊昭 7


元祖トリプルスリー

 南海は胸を病む神田武夫、朝日は9月・10月の月間MVPに輝いた絶好調の内藤幸三が先発。


 南海は2回、先頭の岩本義行が四球で出塁、続く国久松一の打席で岩本が二盗に成功、国久は投ゴロに倒れて一死二塁、更に岡村俊昭の打席で岩本が三盗に成功して一死三塁、岡村の二ゴロの間に岩本が還って1点を先制する。この1点が決勝点となった。


 神田武夫は6安打1四球3三振で今季6度目の完封、24勝目をあげる。神田の完封勝利は5月2日以来約半年ぶりとなる。


 2回一死三塁の場面で岡村俊昭の二ゴロの間に三走岩本義行がホームに還り岡村に勝利打点が記録されたが、‟真の殊勲者”は2つの盗塁を決めて三塁に進んでいた岩本義行であった。


 岩本は今季一試合3本塁打を記録するなど豪打で名高いが、快足を飛ばす駿足ランナーでもあった。2015年の野球界はヤクルトの山田、ソフトバンクの柳田が「トリプルスリー」を達成して大いに盛り上がったが、「トリプルスリー」の元祖こそ、この日2盗塁を決めた岩本義行であった。岩本は1950年に打率3割1分9厘、39本塁打、34盗塁を記録して「トリプルスリー」第一号となる。同年に別当薫が打率3割3分5厘、43本塁打、34盗塁を記録、一シーズンで「トリプルスリー」二人は1950年以来65年ぶりのこととなった。1950年は「ラビットボール」を使用した年ですが、2015年は「飛ぶボール疑惑」は話題になりませんでした。



*岩本義行が二盗、三盗を決めた場面。




 

17年 大洋vs阪神 14回戦


10月11日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 2 0 2 0 0 0 0 0 6 大洋 49勝31敗5分 0.613 野口二郎
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 阪神 41勝40敗5分 0.506 若林忠志

勝利投手 野口二郎 31勝13敗
敗戦投手 若林忠志 19勝13敗

二塁打 (大)浅岡
三塁打 (大)濃人、富松

勝利打点 濃人渉 4


野口二郎、飛ぶボールを克服

 大洋は初回、先頭の中村信一が右前打で出塁、濃人渉の三前送りバントをサード乾国雄が二塁に送球するがセーフ、犠打と野選が記録されて無死一二塁、野口二郎の遊ゴロで濃人は二封、野口明がライト線に先制タイムリーを放って1-0、富松信彦が四球を選んで一死満塁、浅岡三郎の中犠飛で2-0とする。

 阪神は1回裏、先頭の塚本博睦が四球で出塁、10月に入ってから二番を打つカイザー田中義雄が送って一死二塁、山口政信が三塁内野安打から二盗を決めて一死二三塁、藤井勇が右前に同点の2点タイムリーを放って2-2と追い付く。

 大洋は2回、先頭の佐藤武夫が左前打、レフト山口のエラーで佐藤は二進、佐々木光雄は三塁内野安打、二走佐藤は動かず無死一二塁、トップに返り中村の左前打で無死満塁、濃人が押出し四球を選んで3-2と勝越し、野口二郎の投ゴロで三走佐々木は本封、野口明の右犠飛で4-2とする。

 大洋は4回、一死後濃人が左中間に三塁打、野口二郎は投ゴロに倒れるが、野口明が四球を選んで二死一三塁、ここで富松が右中間に三塁打を放って二者還り6-2とする。


 大洋は11安打6得点で、この試合も久保田製のニューボールが使用された可能性が高い。ところが、飛ぶボールを苦手とする野口二郎は阪神打線に2点を許したものの3安打に抑えて完投、31勝目をあげた。


 野口二郎は苅田久徳の自伝によると体が細くてプロで通用するか心配だったとのこと、球質はキレはあるが軽かった可能性がある。飛ぶボールを使用するようになってから打たれるケースが増えたのも球質が軽かったからであると思料されるが、この試合は好投した。


 野口二郎が残した数字だけを見るとスタミナタイプと思われている方が大宗を占めていると思いますが、当ブログの見立ては180度真逆です。苅田は自伝に「実は、この二郎投手については、不安があった。キャンプ最初の夜、ふろで一緒になった二郎の体をみてからだ。いかにもキャシャだ。細いのだ。この体でやっていけるのだろうか。」と書いている。


 当ブログは、野口二郎のピッチングの神髄は「手抜きの天才」にあったと考えています。当ブログでご紹介している野口二郎のピッチング内容をもう一度読み直していただければご理解いただけると思います。スタルヒンも「手抜き」が多いのですが、スタルヒンの場合は演技が下手で手を抜いていることが見え見えなのです。野口二郎はバレないように手を抜く天才です。全投球内容を見ているからこそできる分析なのですが。


 もちろん、投手の絶対数が少なく、エースに負担がかかる時代であったからこその話であることをご理解ください。


 

2015年10月18日日曜日

17年 大和vs名古屋 13回戦


10月11日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 0 0 0 1 0 0 0 3 大和     22勝54敗9分 0.289 畑福俊英
0 4 2 0 0 0 3 0 X 9 名古屋 32勝50敗4分 0.390 石丸進一 森井茂 西沢道夫

勝利投手 森井茂     4勝8敗
敗戦投手 畑福俊英 3勝13敗

二塁打 (名)小鶴
本塁打 (名)本田 1号、2号 小鶴 1号

勝利打点 岩本章 6


名古屋打線爆発

 大和は2回、先頭の小松原博喜の当りは遊ゴロ、これをショート小鶴誠が一塁に悪送球、鈴木秀雄は四球、杉江文二の右前打で無死満塁、畑福俊英はストレートの押出し四球を選んで1点を先制、渡辺絢吾は遊飛に倒れて一死満塁、トップに返り山田潔も押出し四球を選んで2-0とする。名古屋ベンチはここで先発の石丸進一に代えて森井茂をマウンドに送り、森井は木村孝平を三振、金子裕を三飛に打ち取りスリーアウトチェンジ。

 名古屋は2回裏、先頭の小鶴が四球を選んで出塁、本田親喜がレフトスタンドに同点ツーランを叩き込んで2-2、桝嘉一は遊ゴロ、森井は三ゴロに倒れるが、芳賀直一が左前打を放って二死一塁、トップに返り石丸藤吉の中前打で一走芳賀は三塁に進み、送球の隙に打者走者の石丸も二塁に進んで二死二三塁、岩本章がレフト線にタイムリーを放って二者を迎え入れ4-2と一気に逆転。

 名古屋は3回、先頭の古川清蔵が左前打、吉田猪佐喜が四球を選んで無死一二塁、小鶴が左中間に二塁打を放って5-2、本田は浅い右飛に倒れるが桝嘉一が四球を選んで一死満塁、森井がスクイズを決めて6-2とする。

 大和は6回、先頭の鈴木が右前打、杉江はストレートの四球で無死一二塁、畑福の遊ゴロの間に二者進塁、渡辺がレフト線にタイムリーを放ち3-6とする。

 名古屋は7回、一死後古川が四球から二盗に成功、吉田は中飛に倒れて二死二塁、小鶴がレフトスタンドにツーランを叩き込んで8-3、本田もレフトスタンドに連続ホームランを叩き込み9-3として試合を決める。


 後楽園の試合ということで久保田製のニューボールが使われたようで、小鶴誠が1本、本田親喜が2本の本塁打を放った。但し、小鶴は4失策も記録した。


 

2015年10月16日金曜日

17年 巨人vs南海 12回戦


10月10日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 0 0 0 0 1 0 3 巨人 58勝24敗4分 0.707 藤本英雄
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 南海 42勝43敗 0.494 川崎徳次

勝利投手 藤本英雄   3勝0敗
敗戦投手 川崎徳次 13勝14敗

二塁打 (南)国久
三塁打 (巨)中島

勝利打点 なし

猛打賞 青田昇 2


別所昭、ほろ苦いデビュー

 南海は三番レフトにプロ入り初出場となる別所昭を起用する。この試合では戦場から帰還してきた清水秀雄も登場する。

 巨人は3回、先頭の呉波の当りは遊ゴロ、これをショート柳鶴震がエラーして無死一塁、小暮力三の打球は三遊間を抜けて快足呉は三塁に向かう。ここでレフト別所が後逸、呉が還って2-0とする。

 巨人先発の藤本英雄に6回まで3安打無得点に抑えられてきた南海は7回、先頭の岡村俊昭が四球で出塁、国久松一の右中間二塁打で無死二三塁、中野正雄は三振に倒れるが、川崎徳次が四球を選んで一死満塁、南海ベンチはここで八木進に代えて清水秀雄を代打に送り、清水は期待に応えて右犠飛を打ち上げて1-2とする。

 巨人は8回、先頭の中島治康が左中間に三塁打、青田が右前にタイムリーを放って3-1とする。

 藤本英雄は6安打3四球3三振の完投でプロ入り3連勝。


 プロ入り初出場の別所昭は4打数2安打であったが3回の守りで決勝のタイムリーエラー、ほろ苦いデビューとなった。


 藤本英雄が勝利投手、青田昇が猛打賞、別所昭がデビューと、戦後につながる人材が徐々に登場してくる。


 

2015年10月15日木曜日

メッツ有利と見ますがいかがでしょうか?



 激戦が続いたディビジョンシリーズも残り1試合を残すのみとなりました。


 アメリカン・リーグはブルージェイズとロイヤルズが勝ち上がり、ナショナル・リーグは中地区3位のカブスが同じ中地区で2位と1位だったパイレーツとカージナルスを撃破して勝ち上がりました。残るは明日の決戦でメッツかドジャースに決まります。


 当ブログはメッツ有利と予想します。ドジャースはグリンキー中心のローテーションを組むべきではなかったでしょうか。プレーオフでは毎年背信投球を続けるカーショウを初戦に持ってきた時点で負けは決まったと見ます。ドジャースはグリンキーで初戦を取るべきでした。そうすればプレッシャーから解放されるカーショウで2連勝、となればメッツはデグロムを中3日で使わなければならなかったところ、逆にドジャースがカーショウを中3日で使わざるをえない展開となりました。


 最初から2戦、5戦のグリンキーで勝負するローテであれば当ブログの読み間違いとなりますが、相手有利の2戦目を勝ってきたグリンキーと、カーショウを打ち破ってきたデグロムでは、デグロム有利と見るのが当ブログの流儀です。


 当ブログは、ゲリット・コールとデグロムは数年以内にサイ・ヤング賞を取る器であると見ています。明日の決戦は、デグロムがグリンキーに投げ勝つと予想します。仕事を休んで見たいところですが、ちょっと休める状況ではないのが残念ですね(笑)。


 

2015年10月13日火曜日

17年 朝日vs阪急 13回戦


10月10日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  0 朝日 37勝42敗6分 0.468 林安夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  0 阪急 42勝39敗5分 0.519 小田野柏

勝利打点 なし


林安夫の好牽制

 朝日先発・林安夫と、阪急先発・小田野柏との投げ合いは延々と続き、延長12回0対0で引き分けた。

 序盤戦は朝日が押し気味に試合を進める。朝日は初回、一死後原秀雄が四球で出塁、二死後好調・浅原直人が中前打を放つが、岩田次男は三飛に倒れてスリーアウトチェンジ。2回も一死後早川平一が右前打、斉藤忠二の三塁内野安打で一二塁とするが、酒沢政夫、坪内道則が連続右飛に倒れて無得点。朝日としてはここで何とかしておきたかった。

 阪急は8回、先頭の中村栄の当りは右前に抜けるが、ライト浅原が一塁に送球してアウト、ライトゴロが記録される。トップに返り西村正夫が三前に得意のバントヒットを決めるが、ピッチャー林からの牽制球にタッチアウト。

 阪急は10回、先頭の日比野武が左前打で出塁、しかし小田野の投前バントを林が二塁に送球して日比野は二封、中村の左前打で一死一二塁、しかし二走小田野が林からの牽制球にタッチアウト、続いて一走中村も林の牽制球に釣り出されて「1-3-6-1」と渡ってタッチアウト。

 10回、11回は両軍三者凡退で延長12回引き分く。


 朝日は林安夫の好フィールディングと牽制球で終盤の阪急の攻撃を防いだ。




*林安夫と小田野柏の投げ合いで延長12回引分け。昭和17年の「小田野柏」のスタンプは全て「小野田柏」に間違えられている。戦後の「清書版」作製作業で、素人のアルバイトを使っていたことが原因でしょう。今では「小田野柏」の名前を知らない人が大宗を占めていますが、清書版作成作業当時、「小田野柏」と「小野田柏」を間違えるのは相当の素人であったと考えられます。







 

2015年10月12日月曜日

17年 9月・10月 月間MVP



月間MVP

投手部門

 朝日 内藤幸三 1

 今月(9月16日~10月6日 対象:58試合)の投手部門の候補は以下の3人。

 巨人 須田博 
 9試合に登板して5勝1敗1完封。66回を投げて22奪三振、防御率1.09、WHIP0.83、奪三振率3.00。

 朝日 林安夫
 7試合に登板して4勝1敗2完封。51回を投げて20奪三振、防御率0.88、WHIP0.78、奪三振率3.67。

 朝日 内藤幸三
 7試合に登板して2勝3敗1完封。56回3分の2を投げて33奪三振、防御率0.79、WHIP1.09、奪三振率5.30。


 巨人は広瀬習一が虫垂炎で離脱し、中尾輝三が応召、藤本英雄が本格稼働するまでの過渡期とあって須田博に負担が掛かっていることが分かる。一方、朝日は鬼才・竹内愛一監督が二本柱を巧みに使い分けている。

 内藤幸三は33奪三振に対して与四球41個ということでWHIPは悪いが、9月26日の阪神戦では延長15回を零封して引分け、10月5日の阪神戦では9回一死まで無安打無得点に抑えて1安打完封。

 軟式の東京リーガル倶楽部の速球王として鳴らし、プロに入って初めて硬球を握って昭和11年には沢村栄治 を上回る三振を奪い初代奪三振王に輝いた。昭和17年のピッチングはほとんど語られることがなかったが、全盛期を思わせる「三振か四球か」のピッチングスタイルは健在である。



打撃部門

 名古屋 古川清蔵 1

 打撃部門の候補は以下の3人。

 巨人 青田昇
 15試合に出場して59打数23安打11得点10打点、本塁打1本。打率3割9分、出塁率3割9分3厘、長打率4割9分2厘、OPS0.885。

 巨人 中島治康
 15試合に出場して63打数17安打14得点14打点、本塁打3本。打率2割7分、出塁率3割2分9厘、長打率4割6分0厘、OPS0.789。

 名古屋 古川清蔵
 15試合に出場して62打数19安打13得点12打点、本塁打4本。打率3割6厘、出塁率3割8分、長打率5割8分1厘、OPS0.961。


 古川清蔵は4本塁打が効いた。中島治康は6打数0安打と5打数0安打が一度ずつあり、相変わらず波の大きなバッターであることが分かる。ルーキー青田は今後の活躍を想起させる活躍であった。

 古川清蔵氏はご存命の可能性が高い。これは野球界の資料からではなく、競馬界の資料から分かる。古川は競馬関係者の娘と結婚して「競馬評論家」に転身した。「平成27年度顕彰馬記者投票名簿」には、「131 古川清蔵 会友」と掲載されている。


 

2015年10月11日日曜日

17年 第19節 週間MVP



 今節は巨人が4勝1敗、朝日が3勝2敗、名古屋が3勝2敗、南海が3勝2敗、阪急が2勝3敗、阪神が2勝3敗、大和が2勝3敗、大洋が1勝4敗であった。


週間MVP

 投手部門

 巨人 須田博 3

 今節3勝0敗。

 朝日 内藤幸三 2

 今節2勝1敗1完封。10月5日の阪神戦では9回一死まで無安打無得点。


 打撃部門

 巨人 中島治康 5

 今節22打数7安打8得点4打点。

 巨人 青田昇 1

 今節23打数8安打5得点4打点。5日の大洋戦でプロ入り初本塁打を放つ。

 名古屋 古川清蔵 3

 今節21打数8安打5得点4打点。


殊勲賞

 朝日 酒沢政夫 1

 今節20打数6安打。10月4日の大洋戦では 二塁打と決勝三塁打を放つ。

 大和 畑福俊英 2

 10月5日の阪急戦で完封勝利。

 巨人 藤本英雄 1

 10月6日の朝日戦でプロ入り初完封を無四球で飾る。


敢闘賞

 巨人 白石敏男 3

 今節21打数8安打4得点2打点。

 名古屋 吉田猪佐喜 1

 今節20打数7安打5得点1打点4盗塁。

 朝日 浅原直人 1

 今節16打数7安打3得点2打点。


技能賞

 南海 八木進 2

 10月4日の阪急戦で山田伝の盗塁を2度刺す。八木は第9節でも一試合3補殺を記録して技能賞を獲得している。

 阪急 高柳常治 1

 今節二度の「ファインプレー賞」を獲得。何れもサードライナーを好捕したものであった。



 

2015年10月10日土曜日

17年 名古屋vs阪急 13回戦


10月6日 (火) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 名古屋 31勝50敗4分 0.383 西沢道夫 石丸進一
0 0 0 0 0 1 1 0 X 2 阪急    42勝39敗4分 0.519 笠松実 森弘太郎

勝利投手 笠松実     14勝14敗
敗戦投手 石丸進一 12勝16敗
セーブ 森弘太郎 7

二塁打 (名)笠松

勝利打点 山田伝 1

ファインプレー賞 (急)高柳常治 2


笠松実、投打に活躍

 名古屋は1回、2回と三者凡退。3回、一死後石丸進一が四球を選んで出塁するが、野口正明の二ゴロは「4-6-3」と渡ってダブルプレー。

 一方、阪急は初回二死から上田藤夫がレフト線ヒット、2回一死後森田定雄が左前打、3回は笠松実の左前打と西村正夫のバントヒットで無死一二塁とするが、何れも後続なく無得点。

 名古屋は4回、一死後岩本章が四球から二盗に成功、古川清蔵も四球を選んで一死一二塁、吉田猪佐喜は一邪飛に倒れて二死一二塁、桝嘉一が左前にタイムリーを放ち1点を先制する。

 阪急は4回裏、一死後森田が左前打、日比野武も四球を選んで一死一二塁、しかし高柳常治の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー。5回も先頭の笠松が四球を選び、トップに返り西村が送って一死二塁、しかしフランク山田伝は左飛、上田も右飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪急は6回裏、先頭の山下好一が左前打で出塁、黒田健吾は四球を選んで無死一二塁、森田が三前に送りバントを決めて一死二三塁、ここで名古屋ベンチは先発の西沢道夫をベンチに下げてショートの石丸進一をマウンドに上げる。西沢に代わって芳賀直一が入ってサード、サードの小鶴誠がショートに回る。日比野の二ゴロの間に三走山下好一が還り1-1の同点とする。

 阪急は7回裏、先頭の笠松が右中間に二塁打、トップに返り西村が三前に送りバントを決めて一死三塁、フランク山田伝が中前にタイムリーを放って2-1と勝ち越す。

 名古屋は8回、先頭の石丸藤吉が四球を選んで出塁、阪急ベンチはここで先発の笠松から森弘太郎にスイッチ、岩本章が送って一死二塁、古川清蔵の初球ファウルの場面で阪急ベンチはレフトを山下好一から小田野柏に代える。古川は三振、吉田のストレートの四球は敬遠か、二死一二塁となって桝は遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 名古屋は9回、先頭の小鶴が四球を選んで出塁、芳賀が送って一死二塁、しかし石丸進一は左飛、田中金太郎は二飛に倒れて阪急が逃げ切る。


 笠松実は7回3分の0を4安打4四球1三振1失点で14勝目。打っても2打数2安打二塁打1本の活躍であった。


 このところ阪急のホットコーナーを守る高柳常治が石丸進一のサードライナーを好捕してファインプレー賞を獲得した。高柳は10月4日の南海戦でも八木進のサードライナーを好捕してファインプレー賞を獲得している。


 

9月の月間MVPについて



 昭和17年秋季リーグ戦は9月12日に開幕して11月18日に終了します。9月は38試合、10月は62試合、11月は40試合という変則開催となっています。


 月間MVPについては変則開催であっても月毎に表彰することが多いのですが、今季は用球が東西で全く違うという現象が生じており、9月単独で表彰することは著しく公平性を欠きます。そこで、今季は9月12日~10月6日までの58試合を「9月・10月」として、10月10日~11月18日までの82試合を「10月・11月」として月間MVPの表彰を行いますのでご了承ください。


 過去においても、昭和16年には「6月・7月」、「9月・10月」、「10月・11月」で月間MVPの表彰を行った事例があります。

2015年10月9日金曜日

17年 大和vs南海 13回戦


10月6日 (火) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
0 0 0 3 0 0 0 0  0  3 大和 22勝53敗9分 0.293 畑福俊英
3 0 0 0 0 0 0 0 1X 4 南海 42勝42敗 0.500 神田武夫

勝利投手 神田武夫 23勝15敗
敗戦投手 畑福俊英   3勝12敗

二塁打 (南)岡村、猪子
三塁打 (南)岡村

勝利打点 猪子利男 5

猛打賞 (南)岡村俊昭 3


神田武夫、完投で23勝目

 南海は初回、先頭の柳鶴震が中前打で出塁、猪子利男が送って一死二塁、岡村俊昭の中前打で一死一三塁、岩本義行がレフトに先制タイムリーを放って1-0、岡村は三塁に進み、岩本が二盗を決めて一死二三塁、国久松一の投ゴロで三走岡村が飛び出し三本間に挟まれる。この間に二走岩本は三塁に進み、岡村は「1-5-2C」の雪隠詰めでタッチアウト、中野正雄が四球を選んで二死満塁、神田武夫がレフト線に2点タイムリーを放ちこの回3点を先制する。

 南海戦発の神田は立ち上がり快調なピッチングを見せて3回までパーフェクトピッチング。

 大和は4回、一死後木村孝平が中前打、金子裕も右前打で続いて一死一二塁、木下政文はストレートの四球で一死満塁、小松原博喜が中前に2点タイムリーを放ち2-3、センター岩本が打球処理を誤り一死二三塁、鈴木秀雄が同点スクイズを決めて3-3と追い付く。

 神田は5回、6回とヒットを許すが終盤立ち直り7回以降は無安打ピッチング。

 南海は9回裏、一死後長谷川善三が中前打で出塁、トップに返り柳が左前打で続いて一死一二塁、ここで猪子が左越えにサヨナラ二塁打を放って試合を決める。


 4回に突然乱れた神田武夫は胸の病の影響でしょう。後半立て直し、5安打1四球3三振の完投で23勝目をあげて林安夫に並ぶ。打っても2打点の活躍を見せた。


 サヨナラヒットを放った猪子利男は戦後、函館太洋倶楽部に入り、昭和24年、25年の都市対抗に出場して活躍することとなる。その後も函館に住み続けて太洋倶楽部の発展に貢献し、函館太洋倶楽部初代OB会長に就任することとなる。


 

2015年10月8日木曜日

17年 阪神vs大洋 13回戦


10月6日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 1 0 4 0 6 阪神 41勝39敗5分 0.513 若林忠志
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 大洋 48勝31敗5分 0.608 重松通雄

勝利投手 若林忠志 19勝12敗
敗戦投手 重松通雄   3勝4敗

本塁打 (神)藤井 1号、塚本 1号

勝利打点 三輪裕章 1


三輪裕章2打点

 阪神は2回、先頭の藤井勇が四球で出塁、しかし門前真佐人の三ゴロが「5-4-3」と渡ってゲッツー、ところが若林忠志がレフト線にヒット、野口昇の中飛をセンター野口二郎が落球して二死二三塁、乾国雄が四球を選び二死満塁、三輪裕章が押出し四球を選んで1点を先制する。

 阪神は6回、先頭の藤井勇がライトスタンドにソロホームランを叩き込んで2-0とする。

 阪神は8回、先頭の門前が中前打、若林忠志の一ゴロをファースト野口明が二塁に悪送球して無死一三塁、野口昇は三振に倒れるが、乾が四球を選んで一死満塁、三輪裕章の右犠飛で3-0、トップに返り塚本博睦がライトスタンドにスリーランホームランを叩き込み6-0として試合を決める。

 8回まで無得点の大洋は9回裏、一死後重松が四球を選んで出塁、祖父江東一郎が左前打を放ち一死一二塁、中村民雄の遊ゴロで祖父江が二封されて二死一三塁、佐々木光雄が中前にタイムリーを放って1-6とするが焼け石に水。

 若林忠志は7安打2四球4三振の完投で19勝目をあげる。


 三輪裕章が押出し四球と犠飛で2打点、勝利打点も記録した。三輪の今季の通算打点は2打点なので、この日の2打点が今季の全てであった。


 大洋は野口明、野口二郎兄弟のエラーが響いて4連敗。




 

2015年10月7日水曜日

17年 朝日vs巨人 13回戦


10月6日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 朝日 37勝42敗5分 0.468 林安夫 渡辺時信
5 0 2 0 0 0 1 1 X 9 巨人 57勝24敗4分 0.704 藤本英雄

勝利投手 藤本英雄 2勝0敗
敗戦投手 林安夫  23勝19敗

二塁打 (朝)坪内 (巨)中島2
三塁打 (巨)藤本

勝利打点 中島治康 16

猛打賞 (巨)中島治康 8


藤本英雄、無四球でプロ入り初完封

 巨人は初回、先頭の呉波が四球から二盗に成功、小暮力三は三振に倒れるが、白石敏男の三塁内野安打で一死一三塁、中島治康の中前タイムリーで1点を先制、五番に入った青田昇がセンター右にタイムリーを放ち2-0、ピッチャー林安夫の二塁牽制球が悪送球となり、バックアップのセンター坪内道則も後逸して二走中島が生還し3-0、坂本茂が三塁内野安打から二盗を決めて一死二三塁、この日先発の藤本英雄が左中間に三塁打を放って5-0と大量リードする。

 巨人は3回、先頭の中島が四球で出塁、青田のセンター右へのヒットで無死一二塁、坂本は中飛に倒れるが、藤本が右前打を放って一死満塁、小池繁雄の中犠飛で6-0、多田文久三が右前にタイムリーを放ち7-0とリードを広げる。

 巨人は7回、先頭の中島が左中間に二塁打、青田は二飛に倒れるが中島が二盗に成功、坂本が四球を選んで一死一三塁、藤本の二ゴロ併殺崩れの間に三走中島が還って8-0とする。藤本はラッキーな3打点目。

 巨人は8回、二死後又も中島が左中間二塁打、青田の遊ゴロをショート酒沢政夫がエラーする間に中島が還り9-0と一方的にリードする。

 中島治康は16個目の勝利打点と8回目の猛打賞、4得点を記録した。


 巨人戦発の藤本英雄は朝日打線を4安打無四球4三振に抑えてプロ入り初完封、無四球のオマケ付きであった。打っても4打数2安打3打点、三塁打1本の活躍を見せる。



*藤本英雄は無四球でプロ入り初完封!



 

2015年10月6日火曜日

三冠への道 2015 その16



 今季のペナントレースは10月4日まで続きましたので、9月・10月の月間MVP予想を発表させていただきます。


 ナショナル・リーグ打撃部門はコロラド・ロッキーズのノーラン・アレナドと予想します。

 アレナドは9月・10月、128打数48安打、打率3割3分6厘、23得点35打点、本塁打12本、二塁打11本でした。

 ライバルのブライス・ハーパーは99打数33安打、打率3割3分3厘、26得点22打点、本塁打11本、二塁打8本。

 ハーパーの打数が少ないのはサボっていた訳ではなく、四球がハーパーの26個に対してアレナドは8個だったからであり、打席数はほとんど変わりません。


 アメリカン・リーグ打撃部門はテキサス・レンジャースのエイドリアン・ベルトレと予想します。

 ベルトレは9月・10月、128打数44安打、打率3割1分6厘、21得点38打点、本塁打5本、二塁打12本でした。

 ライバルは二人です。ボルチモア・オリオールズのクリス・デービスは107打数34安打、打率3割1分8厘、27得点25打点、本塁打12本、二塁打10本。テキサス・レンジャースの秋信守は119打数46安打、打率3割8分7厘、30得点23打点、本塁打6本、二塁打7本三塁打1本。

 打率なら秋信守、本塁打ならクリス・デービス、打点ならエイドリアン・ベルトレ。当ブログは打点を重視しますのでエイドリアンと予想しますが、誰が受賞しても不思議ではありません。秋信守は9月の打率が4割4厘でしたが、10月に入って打率を落としたのが惜しまれます。4割をキープしていれば秋信守と予想する予定でした。


 アメリカン・リーグ投手部門は奇跡のルーキー、コディ・アンダーソンと予想します。

 アンダーソンは6月にデビューして8月まで僅かに2勝。ところがぎっちょん、9月に入ると快進撃を続けて5勝0敗、39イニングスを投げて自責点は僅かに6で、防御率1.38でした。奪三振が20個と少なく、WHIPも1.10ですから誰も取り上げないと思いますが、進取の精神を持つ当ブログは敢然と月間MVPと予想させていただきます。

 同じく5勝0敗のデビット・プライスは奪三振こそ37個とさすがではありますが防御率は2.32と悪く圏外と見ます。寧ろ、4勝1敗ながら37奪三振、防御率1.88のアーヴィン・サンタナをライバルの一番手と見ますが、アンダーソンの予想を変えるつもりはありません。日本でコディ・アンダーソンを取り上げるのは当ブログが史上初めてではないでしょうか(笑)。


 ナショナル・リーグ投手部門はサイ・ヤング賞を争う3人による空前の争いとなりました。

 当ブログ一押しのジェイク・アリエタは9月・10月、46イニングスを投げて5勝0敗、防御率0.39、奪三振46個と空前絶後の成績を残しましたが月間MVP当確とならないところが凄い。

 クレイトン・カーショウは47回3分の2を投げて5勝1敗、防御率1.72、奪三振65個。最終戦にも登板してシーズン通算奪三振は300個に乗せました。

 ザック・グリンキーは43回3分の1を投げて5勝0敗、防御率1.88、奪三振36個。相変わらずの安定した投球を見せています。

 当ブログが高く評価する点は、3人ともプレーオフを控えているのに10月も登板しているところです。カーショウの場合は300奪三振を狙ってきたという記録的側面もありますが、ここが大リーガーのプライドであり、高収入を得ている者に課せられている「社会的責任」を果たしています。金まみれに慣れてしまった日本人とは最も異なる点ですね。

 ということで、当ブログ一押しのジェイク・アリエタと予想させていただきます。


 

2015年10月4日日曜日

17年 南海vs名古屋 14回戦


10月5日 (月) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 南海     41勝42敗 0.494 川崎徳次 石田光彦
0 0 1 2 1 0 0 2 X 6 名古屋 31勝49敗4分 0.388 森井茂

勝利投手 森井茂     3勝8敗
敗戦投手 川崎徳次 1勝13敗

二塁打 (名)古川

勝利打点 なし

猛打賞 (名)石丸藤吉 3


森井茂、無四球完投

 南海は1回、2回と先頭打者がヒットで出るが後続なく無得点。

 名古屋は3回、先頭の石丸進一が左前打で出塁、森井茂の投前送りバントをピッチャー川崎徳次が一塁に悪送球、犠打とエラーが記録されて無死一二塁、野口正明の投前送りバントを今度は川崎が三塁に送球して二走石丸進一を三封、トップに返り石丸藤吉の三塁内野安打で一死満塁、岩本章の三ゴロが「5-4-3」と送球されるが一塁はセーフ、この間に三走森井が還って1点を先制、二走野口正明も三塁ベースを蹴ってホームに突っ込むがファースト中野正雄からの送球にタッチアウト。

 名古屋は4回、先頭の古川清蔵がライト線に二塁打、吉田猪佐喜の遊ゴロをショート柳鶴震がエラーして無死一三塁、桝嘉一は浅い左飛に倒れるが吉田が二盗を決めて一死二三塁、小鶴誠がレフト線に2点タイムリーを放ち3-0とリードを広げる。

 名古屋は5回、一死後石丸藤吉が中前打、岩本章の三ゴロでランナーが入れ替わり、岩本が二盗を決めて二死二塁、古川の中前タイムリーで4-0と突き放す。

 南海は6回から先発の川崎に代えて石田光彦をマウンドに送る。

 南海は7回、先頭の岩本義行がバントヒットから二盗に成功、岡村俊昭の一ゴロで岩本は三進、中野の遊ゴロの間に岩本が還り1-4とする。

 名古屋は8回、先頭の古川が四球で出塁、吉田が三塁に内野安打、桝の投前送りバントをピッチャー石田が一塁に大悪投、二走古川に続いて一走吉田もホームに還り6-1として試合を決める。


 南海は5エラーで自ら墓穴を掘った。


 森井茂はスローカーブを駆使して8安打無四球1三振で完投、3勝目をマークする。


 

2015年10月2日金曜日

17年 阪急vs大和 14回戦


10月5日 (月) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 41勝39敗4分 0.513 義川泰造 森弘太郎
2 0 0 0 0 0 0 0 X 2 大和 22勝52敗9分 0.297 畑福俊英

勝利投手 畑福俊英 3勝11敗
敗戦投手 義川泰造 0勝2敗

二塁打 (和)小松原
三塁打 (和)金子

勝利打点 小松原博喜 2


畑福俊英、今季3度目の完封で3勝目

 大和は初回、先頭の山田潔の打球は遊ゴロ、これをショート黒田健吾がエラーして無死一塁、木村孝平が左前打を放って無死一二塁、金子裕の遊ゴロで木村が二封されて一死一三塁、金子が二盗を決めて、木下政文が四球を選んで一死満塁、小松原博喜のライト線タイムリーで1点を先制、阪急ベンチは早くもここで先発の義川泰造から森弘太郎にスイッチ、鈴木秀雄の右犠飛で2-0とする。

 大和戦発の畑福俊英は武器のナックルを駆使して好投を続ける。初回はフランク山田伝と黒田に四球を与えるが無失点。2回は三者凡退。3回は森と西村正夫に連続四球を与え、山田に送られて一死二三塁のピンチを迎えるがここも無失点で切り抜ける。4回も先頭の山下好一に四球を与えるが無失点に抑える。

 畑福は5回、先頭の森に初ヒットを許し、上田にも四球を与えて二死一二塁とするが黒田を三ゴロに打ち取り無失点。6回にこの試合最大のピンチを迎える。先頭の山下好一に中前打を打たれ、森田定雄を三ゴロ併殺に打ち取り無死二走者、これで安心したか、日比野武に左前打、高橋常治にも左前打を打たれて二死一二塁、森田定雄に四球を与えて二死満塁、しかし西村を投ゴロに打ち取りここも無失点で切り抜ける。7回も一死後上田二三塁内野安打を許すが後続を抑え、8回も一死後日比野に中前打を打たれるが、高橋を中飛、森を右飛に打ち取り無失点。9回は三者凡退に退けた。


 畑福俊英は6安打7四球1三振で今季3度目の完封、3勝目をあげる。すなわち、畑福の今季の全勝利が完封勝ちである。





*畑福俊英は3勝すべてが完封となった。



 

2015年10月1日木曜日

17年 大洋vs巨人 13回戦


10月5日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 大洋 48勝30敗5分 0.615 古谷倉之助
0 0 0 3 0 1 0 0 X 4 巨人 56勝24敗4分 0.700 須田博

勝利投手 須田博      18勝6敗
敗戦投手 古谷倉之助 3勝4敗

二塁打 (大)野口二郎 (巨)白石
三塁打 (巨)坂本
本塁打 (巨)青田 1号

勝利打点 中島治康 15


青田昇、プロ入り初本塁打

 巨人は3回、先頭の白石敏男が右中間に二塁打、中島治康が中前にタイムリーを放って1点を先制、青田昇がレフトスタンドにプロ入り初ホームランを放って3-0とする。

 巨人先発の須田博に抑えられてきた大洋は9回、一死後野口二郎が左中間に二塁打、野口明は右飛に倒れるが、古谷倉之助のショート内野安打で野口二郎が還って1-3とするが反撃もここまで。

 須田博は6安打1四球1三振の完投で18勝目をあげる。


 決勝タイムリーを放った中島治康が15個目の勝利打点を記録した。二位古川清蔵の10個を大きく引き離してトップであるが、56勝中の15個であれば占める比率は2割6分8厘。一方、古川のそれは30勝中の10個であり3割3分3厘を占める。


 青田昇がプロ入り初本塁打を放った。本塁打王に5回輝き通算265本塁打を記録して戦後のホームランブームを牽引することとなる青田の輝かしいプロ第一号であった。





*青田昇のプロ入り初本塁打の瞬間。