2018年10月31日水曜日

髪を切ったデグロム


 「か~み~を~切~いった~わたぁ~~しに~~♪♪(聖子ぉ~~)違~うひとぉ~み~た~い~とぉ~~~♬♪」と言えば松田聖子の楽曲「夏の扉」(作詞:三浦徳子)ですが、髪を切って違う人みたいになったデグロムがCy Young賞有力候補となっています。

 ワールドシリーズも終わりましたので、MLBファンの注目は各種賞争いに移行しています。今年は候補が絞れますので予想は楽ですね(笑)。

 ア・リーグMVPはベッツでしょう。数字的にJ.D.マルティネスを推す声も聞こえますが、今年のボストン打線を考えればベッツだと思いますね。アメリカの記者はプロが多いので安心していますが、数字しか見れない人はJ.Dに投票するでしょうか。
 ナ・リーグMVPはイエリッチで決まりでしょう。


 ア・リーグのサイ・ヤング賞もブレイク・スネルでしょうね。

 問題はナ・リーグのサイ・ヤング賞です。

 私はデグロムだと思っていますが、10勝9敗の成績がネックとなります。勝星がデグロムを上回っている投手が21人いますからね。

 しかし、防御率1.70は二位を0.67引き離し断トツ。WHIPは下二桁までだとシャーザーと並びの0.91ですが、厳密にはシャーザーの0.91088に対してデグロム0.91244と僅かに劣ります。被打率もシャーザー1割8分8厘に対してデグロム1割9分6厘、奪三振もシャーザー300個に対してデグロム269個。何と言ってもシャーザーは18勝7敗ですから、数字だけを見れば圧倒的にシャーザー有利なのです。

 それでも多くの人がデグロムを推す理由は、不振のチーム状況の中でメッツの先輩グッデンの持つ連続QS記録を塗り替えた投球内容にあります。まぁ、グッデンの時代にQSの発想があったのか記憶に定かではありませんので、連続QS新記録は後付けの感がしないでもありませんが(笑)。

 あのスライダーだけでも、Cy Young賞の資格は十分だと思います。

*デグロムのカードは長髪時代が大宗を占めていますが、こちらは髪を切ったデグロムなので2018年Toppsです。



 

2018年10月20日土曜日

19年 阪急vs朝日 5回戦


7月9日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 3 0 4 0 1 0 1 9 阪急 9勝9敗1分 0.500 天保義夫
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 朝日 6勝12敗1分 0.333 大橋一郎 菊矢吉男

勝利投手 天保義夫 1勝1敗
敗戦投手 大橋一郎 0勝3敗

三塁打 (朝)大島

勝利打点 坂田清春 2


両軍合わせて22四球

 朝日は初回、一死後田中豊一が四球を選んで出塁、坪内道則のニゴロをセカンド上田藤夫が二塁に悪送球する間に一走田中は三塁に、打者走者の坪内も二塁に進んで一死二三塁、金光彬夫の三ゴロをサード坂井豊司は三走田中が飛び出したところにタッチに行くがセーフ、野選が記録されて一死満塁、菊矢吉男が押出し四球を選んで1点を先制する。

 阪急は3回、先頭の伊藤健一が二遊間にヒット、トップに返り山田伝が四球を選んで無死一二塁、上田が送りバントを決めて一死二三塁、坂田清春が中前に逆転2点タイムリーを放って2-1、バックホームの間に打者走者の坂田は二塁に進み、髙橋敏は右飛に倒れるが、野口明はストレートの四球、三木久一も四球を選んで二死満塁、坂井が押出し四球を選んで3-1とする。

 阪急は5回、先頭の坂田が三前にセーフティバントを決めて出塁、高橋が四球を選んで無死一二塁、ここでワイルドピッチが飛び出して無死二三塁、野口は遊飛に倒れるが、三木が四球を選んで一死満塁、朝日は8四球を乱発した先発の大橋一郎を下げてファーストの菊矢吉男をマウンドに送り込むが、坂井が三遊間にタイムリーを放って4-1、天保義夫の遊ゴロでショート伊藤はセカンドゲッツーを狙って二塁に送球するがこれが悪送球、三走高橋に続いて二走三木も還って6-1、高橋の生還に対して天保に打点が記録されて一死一二塁、伊藤の捕前の当りをキャッチャー吉田弘が三塁に送球するがセーフ、野選が記録されて一死満塁、トップに返り山田が押出し四球を選んで7-1とダメ押す。

 阪急は7回、一死後山田が中前打で出塁、上田も中前打を放って一死一二塁、坂田は一飛に倒れるが、高橋の右前打で二死満塁、野口が押出し四球を選んで8-1とする。

 阪急は9回、一死後高橋が四球で出塁、ここで菊矢がワイルドピッチ、野口の二ゴロをセカンド桜沢三郎がエラーして一死一三塁、三木の二ゴロで三走高橋が還り9-1、ここで菊矢がこの回2個目のワイルドピッチ、坂井も四球を選ぶが、天保は三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 天保義夫は4安打8四球4三振1失点、自責点ゼロの完投で今季初勝利をあげる。

 朝日先発の大橋一郎が8四球、二番手の菊矢吉男が6四球を乱発し、阪急の天保も8四球、両軍22四球の乱戦ということで、12時31分に始まったこの試合は14時21分に終了、当時としては異例の9イニングでの試合時間1時間50分を要した。

 阪急では坂井豊司が4四球、山田伝が3四球、髙橋敏が3四球を選び、野口明と三木久一も2四球と、5人で14四球を選んだのであった。

 菊矢吉男が9回に1イニング2暴投を記録。菊矢は1939年に14暴投を記録して永く日本記録保持者であったが、この記録は1990年に最晩年の村田兆治が17暴投を記録して更新した。

 

2018年10月18日木曜日

中飛失が犠飛


 お伝えしたとおり、産業1回表の攻撃、一死満塁で藤原鉄之助の中飛を近畿のセンター岡村俊昭が落球しましたが、三走小坂三郎がタッチアップから生還、この得点に「自責点」が記録されていますので藤原の「中飛失」は「犠牲フライ」と認定できます。

 「犠飛」が記録されていなかった時代であるにもかかわらず、公式記録員山内以九士氏は岡村のエラーが無くても三走小坂は生還できたと判断して「自責点」を記録しました。

 これは日本野球史における「記録」の正確性を伝える「貴重な記録」であると考えられますので再度ご紹介させていただきます。

*小坂の得点が〇で囲われていますので「自責点」を意味します。


 

19年 産業vs近畿 5回戦


7月9日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
4 0 0 0 0 0 1 0 0 5 産業 7勝11敗1分 0.389 森井茂
0 0 0 0 0 0 0 1 1 2 近畿 4勝14敗1分 0.222 中本政夫

勝利投手 森井茂     5勝8敗
敗戦投手 中本政夫 2勝8敗

二塁打 (産)藤原

勝利打点 藤原鉄之助 1


森井茂、自責点ゼロの完投

 産業は初回、先頭の小坂三郎が四球で出塁、鈴木秀雄が死球を受けて無死一二塁、加藤正二は左飛に倒れるが、金山次郎が四球を選んで一死満塁、藤原鉄之助の中飛をセンター岡村俊昭が落球、三走小坂はタッチアップから生還、この得点には「自責点」が記録されていることから、藤原の中飛失は当ブログルールに則り「犠飛」と記録される。この当時は公式記録では「犠飛」は記録されていませんが、「中飛失」で「自責点」が記録されているということは、山内以九士公式記録員は「犠飛」を意識した上で「中飛失」であるにもかかわらず「自責点」を記録したと推測されます。

 野口正明が中前打で続いて2-0、なお一死満塁から松尾幸造が右前に2点タイムリーを放ち4-0とする。

 産業は7回、一死後加藤が遊失に生き、金山は二飛に倒れて二死一塁、藤原の左中間二塁打で加藤が生還して5-0とする。

 近畿は8回、一死後松川博爾の三ゴロをサード井上嘉弘が一塁に悪送球、トップに返り加藤喜作の左前打で一死一二塁、吉川義次の当りは三ゴロ、これを又もサード井上が一塁に悪送球する間に二走松川がホームに還り1-5とする。

 近畿は9回、先頭の岡村が右中間にヒット、八木進の三ゴロをサード井上がエラー、井上は2イニングで3失策、荒木正が四球を選んで無死満塁の大チャンス、中本政夫に代わる代打木下勇は浅い右飛に倒れて一死満塁、松川の三ゴロ併殺崩れの間に三走岡村が還って2-5とするが、トップに返り加藤が三ゴロに倒れてゲームセット。

 森井茂は6安打2四球4三振2失点、自責点ゼロの完投で5勝目をあげる。
 中本政夫も9回を完投して森井茂と同じく被安打は6本であったが、6四死球を与えたことが敗因となった。

 

2018年10月17日水曜日

19年 阪急vs阪神 4回戦


7月8日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 2 0 0 2 阪急   8勝9敗1分 0.471 笠松実
0 0 0 1 0 1 1 0 X 3 阪神 14勝3敗1分 0.824 御園生崇男 若林忠志

勝利投手 御園生崇男 1勝0敗
敗戦投手 笠松実        4勝5敗
セーブ      若林忠志 3

二塁打 (急)野口明 (神)本堂

勝利打点 なし


呉昌征、2試合連続3盗塁

 阪急は初回、先頭の山田伝が四球で出塁するが後続なく、2回も先頭の坂田清春が左前打で出塁するが、続く三木久一のサードライナーに飛び出しゲッツー、坂井豊司もセカンドライナーに倒れて無得点。

 阪神は初回、二死後三番・呉昌征が四球から二盗を決めるが、四番・藤村冨美男は遊飛に倒れる。2回も先頭の御園生崇男が四球で出塁、一死後御園生が二盗を決めるが門前真佐人の当りはセンターライナー、辻源兵衛もニゴロに倒れて無得点。

 阪神は4回、先頭の呉が四球を選んで出塁、藤村の三ゴロをサード坂井が二塁に送球するがセーフ、呉の快足が野選を呼んで無死一二塁、御園生の一ゴロをファースト野口明が二塁に送球するがこれが悪送球となる間に二走呉が三塁ベースを蹴ってホームに還り1点を先制する。

 阪神は6回、先頭の呉が左前打で出塁すると二盗に成功、藤村の中前打で無死一二塁、御園生は一邪飛に倒れるが、本堂保次の左中間二塁打で二走呉が還り2-0とする。

 阪急は7回、一死後髙橋敏が左前打を放って出塁、坂田も三塁にヒットをを放って一死一二塁、三木が四球を選んで一死満塁、坂井の中前タイムリーで1-2、笠松実の投ゴロで三走坂田が本封、キャッチャー門前は「1-2-3」のゲッツーを狙って一塁に送球するが悪送球、二走三木がホームに還って2-2の同点に追い付く。

 阪神は7回裏、一死後塚本博睦が三塁へのヒットで出塁、塚本が二盗を決め、金田正泰の右飛で塚本がタッチアップから三進、呉が四球から二盗を決めて二死二三塁、キャッチャー坂田の三塁牽制が悪送球となる間に三走塚本が決勝のホームを踏んで3-2とする。

 阪神は8回から先発の御園生に代わって若林忠志監督が登板、若林は2イニングをパーフェクトに抑えて阪神が快勝。

 夏季シーズンから阪神で復帰した呉昌征が2試合連続3盗塁を記録して2得点、この試合の勝利打点は「なし」であったが、「真の殊勲者」は呉昌征であった。

 

2018年10月8日月曜日

19年 朝日vs巨人 4回戦

7月8日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 0 0 0 0 0 0 0 1  0   1  2 朝日 6勝11敗1分 0.353 内藤幸三
0 0 1 0 0 0 0 0 0  0   0  1 巨人 13勝4敗1分 0.765 近藤貞雄

勝利投手 内藤幸三 5勝5敗
敗戦投手 近藤貞雄 1勝1敗

二塁打 (巨)藤本、佐藤

勝利打点 菊矢吉男 2

猛打賞 (巨)黒沢俊夫 3、中村政美 2、佐藤武夫 1


田中豊一、3補殺の活躍

 巨人は初回、先頭の黒沢俊夫が二遊間にヒット、呉新亨は三振に倒れるが、藤本英雄の左前打で一死一二塁、中村政美の右前打で一死満塁、近藤貞雄の右飛で二走黒沢がタッチアップからホームに向かうが、ライト田中豊一からの返球にタッチアウト、先制のチャンスを逃す。

 巨人は3回、先頭の杉江繁雄の当りは三ゴロ、サード金光彬夫からの送球をファースト菊矢吉男が後逸する間に打者走者の杉江は二塁に進み、トップに返り黒沢の中前打で無死一三塁、黒沢が二盗を決めて無死二三塁、呉の遊ゴロで三走杉江がホームを狙うが、ショート酒沢政夫からのバックホームにタッチアウト、打者走者の呉は一二塁間に挟まれ、「2-4-3-8」の挟殺プレーでタッチアウト、最後はセンター坪内道則が二塁ベースカバーに入ってタッチアウトにしている。三走黒沢は動けず二死三塁、藤本のレフトへの二塁打で黒沢が還り1点を先制する。続く中村の三遊間の打球が二走藤本に当たって守備妨害でスリーアウトチェンジ。

 朝日打線は巨人先発の近藤貞雄の前に8回まで3四球のみで無安打無得点。

 朝日は9回、先頭の田中が四球を選んで出塁、坪内のチーム初ヒットとなる左前打で無死一二塁、金光の三塁へのヒットで無死満塁、菊矢の投ゴロで三走田中が本封されて一死満塁、ここで三走坪内が何かを考えて離塁するとキャッチャー川畑博が三塁に送球、「2-5-1-6C」の挟殺プレーで坪内はタッチアウト、この間に二走金光は二塁ベースを大きく離塁しており三塁ベースで坪内にタッチしたショート杉江が二塁ベースカバーのセカンド渡部弘に送球、金光は二三塁間に挟まれ、渡部が三塁に送球するがこれが悪送球となる間に金光が還って1-1の同点とする。結果的に坪内のトリック走塁が効を奏した形となった。

 朝日は11回、一死後田中がピッチャー強襲ヒット、坪内の遊ゴロでランナーが入れ替わり、金光の三ゴロをサード中村がエラーして二死一二塁、菊矢が中前に決勝タイムリーを放って朝日が逆転勝ち。

 内藤幸三は13安打を打たれながら11回を完投して今季5勝目をあげる。

 8回まで無安打ピッチングの近藤貞雄も11回を完投したが自責点ゼロで敗戦投手となった。

 巨人は黒沢俊夫、中村政美、佐藤武夫の3人が3安打を記録したが13残塁の拙攻であった。

 朝日のライト田中豊一が3補殺を記録した。初回一死満塁から近藤の右飛をバックホームして三走黒沢を刺し、4回一死一塁から宮下信明のライトライナーを捕球すると一塁を飛び出していた川畑を刺し、5回には一死一塁から黒沢の右前に抜ける当りを二塁に送球して一走佐藤武夫を刺した。佐藤の鈍足に助けられたのかもしれない。

 

2018年10月1日月曜日

Wワンデープレーオフ


 ナショナル・リーグは中地区でカブスとブルワーズ、西地区でロッキーズとドジャースが同率首位となり、2地区でワンデープレーオフが行われることになりました。

 ということで、思い出のワンデープレーオフ特集。

  2007年ナショナル・リーグ西地区、ロッキーズとパドレスとのワンデープレーオフは死闘の末ロッキーズが延長13回逆転サヨナラ勝ち。サヨナラのホームにダイブしたのがマット・ホリデイでした(確か、勘違いかも、誰か教えて)。まだ30試合全部をカバーしていた頃のスカパーで見ていましたね。

  この年のホリデイは216安打、50二塁打を記録して137打点、打率3割4分0厘の二冠。当然MVPと思っていましたが、打球が飛ぶクアーズフィールドを本拠地とするロッキーズの打者には得票が集まらず、MVPは地味な成績のジミー・ロリンズでした。

  この頃は163試合目のワンデープレーオフの記録もシーズン記録に組み込まれたことから、この試合で2打点を記録したホリデイが136打点のライアン・ハワードを逆転して打点王となったのです。このことも、記者投票が集まらなかった理由かもしれませんね。

  今年もこのルールが存続しているのか知りませんが、存続しているとしたら、イエリッチが1本塁打2打点をマークすれば逆転三冠王の可能性が残されていることになります。1本差で本塁打トップのアレナドも、2打点差で打点トップのバイエスも出場しますので、2本塁打4打点程度は必要かもしれませんが・・・。

*ホリデイの原点、コロラド時代。2007年TOPPSです。