2013年6月30日日曜日

4割への道 ①



 ミゲール・カブレラ(以下「ミギー」)が1941年のテッド・ウィリアムス以来72年ぶりとなる4割打者に挑戦しています。ミギーは6月29日現在79試合にフル出場して312打数117安打、打率3割7分5厘を記録しています。まだ2分5厘もあるじゃないかとお嘆きの諸兄のために当ブログががミギーになり代わって4割達成の根拠を述べさせていただきます。


 ミギーの月別の成績を分析すると4月は102打数37安打で打率3割6分3厘、5月は116打数44安打で打率3割7分9厘、6月は1試合を残して94打数36安打で打率3割8分3厘と明らかに上昇曲線を描いています。当ブログはこの上昇曲線を踏襲して7月以降の3カ月を100打数40安打、100打数43安打、100打数45安打で乗り切ると仮定しました。すると、今季通算成績は612打数245安打で打率4割ちょうどとなると結論付けた次第です。どうです、皆さまご安心されたのではないでしょうか(笑)。

 
 今季の成績をもう少し詳細に分析すると、79試合で無安打は12試合、1安打が34試合、2安打が22試合、3安打が5試合、4安打が6試合となっています。何でそんなことが分かるのかと問われれば、それは毎日の成績をエクセルシートに手打ちして分析しているからさとお答えいたします。データ分析の最強の法則は手作業で作った独自の資料を分析することであり、ネットからデータをちゃちゃっとパクってきて分析したつもりになっているだけでは真実は見えません。当ブログの予想がよく当る理由はここにあります(笑)。


 もう一つの根拠はミギーのバッティング技術が人類最高のものであるとの確信からです。2010年ア・リーグMVP予想では薬禍から立ち直ったジョシュ・ハミルトンに相当数の票が流れるのを承知の上で「アメリカン・リーグMVPはミゲール・カブレラと予想します。ジョシュ・ハミルトンに相当数の票が流れることは想像に難しくありませんが、今年のバッティング内容であればカブレラでしょう。フロリダ時代はアルバート・プホルス、ライアン・ハワードがいたため無冠に終始しましたが、ア・リーグに移った途端に本塁打王となり、今年は打点王とタイトルの常連となっています。懐の深い柔らかなスウィングに力強さも備わっているバッティングセンスは当代随一と言ってよいでしょう。」と書かせていただきました(2010年11月22日付けブログ「三冠への道 ⑲ & 一騎討ち ⑮」参照)。2011年ア・リーグMVP予想でも「アメリカン・リーグMVPは、私に投票権があればジャスティン・バーランダーに投票します。但し、打者でなければダメということであれば、玉砕覚悟で二年連続ミゲール・カブレラを本命とする予定です。数字よりもバッティングの内容を評価したいと考えるからです。」と書かせていただきました(2011年10月8日付けブログ「ラスト・スパート ⑪」参照)。


 2010年、2011年と比較しても現在のミギーのバッティングは柔らかさと力強さを増しています。一度獲った三冠王など今更騒いでも意味はないでしょう。当ブログは今年のミギーは4割を達成すると予想させていただきます。じゃぁ6月の月間MVPもクリス・デービスとミギーの争いかというと、意外な伏兵を本命とする予定です。明日の6月最終試合の結果を見て公表させていただきます。



*注)当ブログの予想はまず結論を決めてその結論へ向けての過程を楽しむというものです。あくまでも素人のお遊び予想ですので真に受けないでください。たまに当ってしまうところが玉に瑕ですが(笑)。













 

15年 ライオンvs翼 13回戦


11月9日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 1  1 ライオン 23勝69敗4分 0.250 菊矢吉男 近藤久 井筒研一
0 0 0 4 1 0 0 1 X  6 翼         47勝36敗10分 0.566 三富恒雄
 
勝利投手 三富恒雄 5勝9敗
敗戦投手 菊矢吉男 8勝26敗

二塁打 (ラ)戸川、坪内 (翼)野口、佐藤

勝利打点 柳鶴震 3


ラッキーボーイ

 翼は4回、一死後野口二郎がピッチャー強襲ヒットから二盗に成功、西岡義晴は四球を選び、小林茂太の右前打で一死満塁、柳鶴震が押出し四球を選んで1点を先制、ライオンベンチはここで先発の菊矢吉男から近藤久にスイッチ、小島二男に代わる代打佐藤武夫の打席でキャッチャー広田修三が捕逸を犯して三走西岡が還って2-0、なお一死二三塁から佐藤が左前に2点タイムリーを放って4-0とする。

 翼は5回、一死後横沢七郎が四球で出塁、野口が左中間に二塁打を放って一死二三塁、西岡の二ゴロで三走横沢が飛び出しセカンド戸川信夫は三塁に送球するがこれが悪送球となる間に横沢が還って5-0とする。ライオンはファーストの玉腰年男をセカンドに回し、ファーストには灰山元章が入る。

 翼は8回、一死後柳が左前打で出塁、佐藤が左中間にタイムリー二塁打を放って6-0とする。
 ライオンは9回、一死後坪内道則が左中間に二塁打、鬼頭数雄がピッチャー強襲ヒットを放って一死一三塁、鬼頭政一の左犠飛で一矢を報いるがここまで。


 三富恒雄は8安打1四球2三振の完投で5勝目をあげる。


 翼4回の攻撃で野口二郎の後に西岡義晴が登場したので三番野口、四番西岡と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、この試合の翼の先発オーダーは三番野口二郎、四番山崎文一でした。山崎が2回の第一打席で二失に生きると代走に高橋輝彦が起用され、3回の守備から西岡義晴がライトに入り四番に座ったものです。西岡は2打数無安打でしたが、最初の打席で四球を選んで三塁に進むとパスボールで2点目のホームを踏み、次の打席では二ゴロに終わりますがセカンド戸川の悪送球で横沢を迎え入れるなど、途中出場ながらラッキーボーイとなりました。


 日本シリーズにおけるラッキーボーイと言えば1970年のロッテ・井石礼司でしょう。現在当ブログで活躍中の濃人渉監督が率いたこの年のロッテ打線はロペス、アルトマン、山崎、池辺、有藤が20本塁打以上を記録し、更に前田、榎本、江藤もいるという強力打線でした。投手陣も木樽、成田、小山の三本柱がおり、V9時代の巨人を破る可能性が最も高かったチームでした。ところが初戦で堀内がアルトマンを5打席連続敬遠するという卑劣極まりない戦法をとり、第5戦ではショートの飯塚とレフトのアルトマンが激突するという不運もあって巨人がV6を達成しました。因みにアルトマンは激突して動けなくなった飯塚の側を離れないという人道的行動で絶賛されました。その隙に黒江がホームインしたのです。堀内のアルトマンに対する5打席連続敬遠はリアルタイムでテレビの画像を通じて見ておりましたが、筆者の約50年に及ぶ野球観戦の中であれほどの憤りを感じた試合はありません。筆者がアンチ巨人となる決定的事件でした。巨人には松井秀樹の5打席連続敬遠を批判する資格はありません。因みに堀内による打5席連続敬遠を敬遠は3つだったとか4つだったとか書いている書籍やサイトが数多くありますが、筆者の目をごまかすことはできません。森が立ち上がった明らかな敬遠は3つか4つであったかもしれませんが、堀内はアルトマンの全ての打席で勝負を避けていました。


 力を発揮できないロッテ勢の中で、唯一井石は代打で2本のホームランを放って敢闘賞を獲得し、ラッキーボーイとなりました。







                 *三富恒雄は8安打完投で5勝目をあげる。












     *途中出場の西岡義晴がラッキーボーイとなった翼打線。












*1970年日本シリーズ第5戦でアルトマンと激突した飯塚佳寛のサインカード。Wikipediaによると飯塚はロッテのスカウト時代に内竜也を発掘したとのこと。野球強豪校を避けて川崎工業に進んだ内は神奈川No1投手の評価でロッテが2003年ドラフトで1位指名しました。2010年日本シリーズでは優秀選手賞を獲得しています。















 

15年 巨人vs名古屋 12回戦


11月9日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 3 4 3 0 0  10 巨人    69勝26敗 0.726 中尾輝三
0 0 0 0 0 0 0 0 0   0 名古屋 52勝38敗5分 0.578 森井茂 河村章

勝利投手 中尾輝三 23勝11敗
敗戦投手 森井茂       0勝1敗

二塁打 (巨)呉
三塁打 (巨)吉原
本塁打 (巨)川上 8号、吉原 1号

勝利打点 川上哲治 16


アベックホームラン

 翌日の読売新聞は「返り咲き初陣の森井」と伝えています。名古屋の先発は森井茂です。公式戦における森井の先発は昭和13年9月11日以来のこととなります。13年に応召して今年戦地から戻ってきたようです。8月24日に新京 児玉公園球場で名古屋vsジャイアンツによる関東軍献金試合が行われましたが、満州日日新聞に残された記事によると名古屋の先発は「森井」となっています。これが森井茂のことであると考えられますので、満州遠征にも帯同していたようです。戦地から戻って体調を整えてきたのでしょう。


 巨人打線は森井のスローカーブにタイミングが合わず、初回白石敏男の中前打、2回吉原正喜の左前打だけで4回まで2安打無得点を続ける。

 巨人は5回、先頭の中尾輝三の遊ゴロをショート村瀬一三がエラー、トップに返り白石の遊ゴロで中尾は二封、水原茂は遊飛に倒れるが、中島治康が中前打を放って二死一二塁、ここで川上哲治が右翼スタンドにスリーランホームランを放って3点を先制する。

 巨人は6回、先頭の吉原が左中間に三塁打、呉波も左中間に二塁打を放って4-0、平山菊二の左前打で無死一三塁、ここでダブルスチールを決めて5-0、中尾、白石が連続四球で無死満塁、水原の遊ゴロで白石が二封される間に呉が還って6-0、中島の投ゴロで水原が二封される間に中尾が還って7-0とする。

 名古屋は7回からの番手として河村章がマウンドに上がる。

 巨人は7回、先頭の千葉の二ゴロをセカンド中村三郎がエラー、吉原がレフトスタンドにツーランホームランを放って9-0、呉が右前打、平山は四球、中尾の一塁内野安打で無死満塁、白石が押出し四球を選んで10-0とする。

 中尾輝三は3安打5四球1死球8三振で今季5度目の完封、23勝目をあげる。


 吉原正喜と川上哲治によるアベックホームランは史上初となります。来季はともに4本のホームランを打っていますが二度目はあるのでしょうか。昭和16年の実況中継は8月にスタートする予定です。








                 *中尾輝三は3安打完封で23勝目をあげる。 












     *巨人は吉原正喜と川上哲治によるアベックホームランで圧勝した。












 

15年 金鯱vs阪神 11回戦


11月9日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 3 0 0 0 2 0 0   5 金鯱 30勝57敗7分 0.345 中山正嘉 長尾貞利
0 1 1 3 0 0 1 4 X 10 阪神 57勝33敗3分 0.633 藤村隆男 木下勇 若林忠志

勝利投手 木下勇  17勝11敗
敗戦投手 長尾貞利 2勝3敗
セーブ 若林忠志 7

二塁打 (金)五味 (神)本堂2、伊賀上、宮崎
三塁打 (金)室脇 (神)中田

勝利打点 中田金一 2


中田金一決勝犠飛

 阪神は2回、先頭の松尾五郎が左前打で出塁、宮崎剛が三前にバントヒット、藤村隆男の投ゴロで松尾は三封、ダブルスチールを決めて一死二三塁、中田金一は三振に倒れるが、トップに返りジミー堀尾文人の三塁内野安打で1点を先制する。

 5連勝と波に乗る金鯱は2回、先頭の中山正嘉がストレートの四球で出塁、五味芳夫が右翼線に二塁打を放って無死二三塁、トップに返り濃人渉が四球を選んで無死満塁、室脇正信が押出し四球を選んで1-1の同点、森田実の遊ゴロで一走室脇が二封される間に三走五味がホームイン、2-1と逆転に成功する。更に森田が二盗を決めて一死二三塁、黒澤俊夫の二ゴロで三走濃人がホームに突っ込みセカンド宮崎からのバックホームが悪送球となって濃人がホームイン、3-1とする。上野義秋が四球を選んで一死一三塁、阪神ベンチはここで先発の藤村をあきらめて木下勇をリリーフに送り、倉本信護が三ゴロ併殺に打ち取られてスリーアウトチェンジ。

 阪神は3回裏、先頭の本堂保次が左前打で出塁、伊賀上良平の投ゴロが「1-4-3」と転送されるがセカンド五味からの一塁送球が悪送球となって打者走者の伊賀上は二塁に進む。カイザー田中義雄は左飛に倒れるが、松尾が四球を選んで二死一二塁、宮崎が左前にタイムリーを放って2-3とする。

 阪神は4回、先頭の中田が中越えに三塁打、トップに返り堀尾は遊ゴロに倒れるが、皆川が中前に同点タイムリーを放って3-3、本堂の三ゴロでランナーが入れ替わり本堂が二盗に成功、伊賀上が四球を選ぶとダブルスチール、キャッチャー飯塚達雄からの三塁送球が悪送球となる間に本堂が還って4-3と逆転、伊賀上も三塁に進み、田中の三塁内野安打がタイムリーとなって5-3とリードする。

 金鯱は5回から先発の中山に代えて長尾貞利をマウンドに送る。

 3回のピンチを併殺で切り抜けた阪神二番手の木下は5回も二死一二塁のピンチを切り抜け、6回の一死一塁では二ゴロ併殺に打ち取るなど粘りのピッチングを見せたが7回に捕まった。

 金鯱は7回、先頭の五味が中前打で出塁、トップに返り濃人は左飛に倒れるが、室脇が右中間に三塁打を放って4-5、森田の左犠飛で5-5の同点に追い付く。

 金鯱二番手の長尾に抑えられてきた阪神は7回裏、先頭の松尾が四球で出塁、宮崎も四球を選び、木下が送って一死二三塁、中田が決勝の右犠飛を打ち上げて6-5と勝ち越す。

 1点リードした阪神は8回から三番手として若林忠志をマウンドに送る。

 阪神は8回裏、先頭の皆川が四球で出塁、本堂が左翼線にタイムリー二塁打を放って7-5、伊賀上は右飛に倒れるが、田中の三塁内野安打で本堂が還って8-5、松尾は右飛に倒れるが、宮崎が左中間にタイムリー二塁打を放って9-5、8回からライトに入っている森国五郎の二遊間内野安打で宮崎が還り10-5として試合を決める。

 若林忠志は2イニングを無安打2四球1三振無失点に抑えて当ブログルールによりセーブが記録される。若林はこれで7セーブ目となってセーブランキングトップの中山正嘉に並んだ。


 阪神の外野陣はセンターがジミー堀尾文人で固定されており、本堂保次がライトに入ることが多く、残る一枠を森国五郎、山根実、松尾五郎、中田金一で争っている。本日は本堂がファーストに起用されたため六番に松尾、九番に中田が入って松尾は3打数2安打1得点2四球、中田は3打数1安打1得点1打点1犠飛、三塁打1本で勝利打点を記録する活躍を見せた。中田は応召されるが戦後はシベリア抑留から帰国してプロ野球に復帰、審判を務めることとなる。明るい性格で、松木謙治郎著「タイガースの生いたち」によると「彼ほどユーモアのある選手はいない。」とのこと。シベリア抑留を乗り切ったのも野球で鍛えた体力と明るい性格によるものだったのでしょう。








*昭和25年大阪タイガースのチームサイン色紙。松木謙治郎と中田金一が入っているので昭和25年と特定できます。







*中田金一の右隣は田宮謙次郎と考えられます。左隣は御園生崇男、その左は野崎泰一です。野崎は広島のコーチ時代、昭和50年広島初優勝の年、ジョー・ルーツ監督が辞任して古葉監督に交代する間の4試合で監督代行を務め、三連勝で古葉監督にバトンを渡しました。



















 

2013年6月29日土曜日

15年 黒鷲vs阪神 12回戦


11月7日 (木) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 黒鷲 44勝44敗4分 0.500 長谷川重一
0 0 3 0 0 0 1 1 X  5 阪神 56勝33敗3分 0.629 木下勇

勝利投手 木下勇        16勝11敗
敗戦投手 長谷川重一 12勝10敗

三塁打 (神) 本堂

勝利打点 なし


木下勇、今季4度目の完封

 黒鷲は初回、二死後玉腰忠義が中前打で出塁、中河の中前打で玉腰は三塁に進み、センタージミー堀尾文人がお手玉する間に打者走者の中河も二塁に進んで二死二三塁、しかし長谷川重一は一ゴロに倒れて先制のチャンスを逃す。

 阪神は3回、森国五郎の一ゴロをファースト中河がエラー、トップに返って堀尾の三ゴロでランナーが入れ替わり、皆川定之の右前打で一死一三塁、皆川が二盗を決め本堂保次が四球を選んで一死満塁、伊賀上良平の遊ゴロをショート山田潔が失する間に三走堀尾に続いて二走皆川もホームに還って2点を先制、なお一死一三塁からカイザー田中義雄の右犠飛で1点を追加して3-0とする。黒鷲は中河、山田という守備の名手によるエラーで失点した。

 阪神は7回、一死後皆川が四球で出塁、本堂が左中間に三塁打を放って4-0とする。

 阪神は8回、一死後木下勇が四球で出塁、森の三塁内野安打で一死一二塁、トップに返り堀尾の三ゴロで森は二封、堀尾が二盗を決め、皆川が四球を選んで二死満塁、本堂が押出し四球を選んで5-0として試合を決める。

 木下勇は5安打2四球1三振で今季4度目の完封、16勝目をあげる。


 木下は今季は阪神で17勝をあげる。戦後は昭和23年の大洋ロビンスでも17勝、二リーグ分裂後の昭和25年には西鉄クリッパースで11勝と、激動の時代を生き抜き3球団で二桁勝利をあげて通算70勝をマークすることとなる。


 米子中学(現・鳥取県立米子東高等学校)出身の木下勇は、プロ野球引退後は岡本利之と共に山陰高校野球界の指導者として重要な役割を果たすこととなる。境高校監督時代はエース米田哲也を擁しながら甲子園出場を逃すが、母校の米子東高校と島根県・大田高校の監督として甲子園に出場することとなる。








             *木下勇は今季4度目の完封で16勝目をあげる。








            *昭和26年西鉄ライオンズ初年度時代の木下勇のサイン。














*境高校時代は木下の指導を受けた米田哲也のサインカード。BBM「エースの系譜」20枚限定バージョンです。











 

2013年6月27日木曜日

チェンジアップ




 日本経済新聞スポーツ面に連載されている豊田泰光のコラム「チェンジアップ」は意外とファンが多い。



 本日のテーマは「スピードガンと体感球速」で、「大谷翔平は・・・160キロといっても、体感速度はおそらく140キロ台後半くらいというのは困りもので・・・世の中にはいかにも客観的、科学的でもっともらしいスピードガン的数値があふれている。それにだまされないためには自分の感覚を磨き、信じることだ。」と書いています。



 当ブログが1年以上前から主張してきたことが活字となったようです。流石は球界のご意見番!



*ということで、本日は貴重なサインをアップさせていただきます。昭和28年、博多の岩田屋で開催されたサイン会での豊田泰光のサイン。豊田のルーキーシーズンです。近年の商業用サインとは違い、こちらが正真正銘のオリジナルサインとなります。

 

15年 南海vs金鯱 13回戦


11月7日 (木) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 南海 25勝66敗6分 0.275 清水秀雄 政野岩夫 川崎徳次
0 0 0 0 0 1 0 2 X 3 金鯱 30勝56敗7分 0.349 内藤幸三 長尾貞利

勝利投手 長尾貞利    2勝2敗
敗戦投手 政野岩夫 10勝23敗

二塁打 (金)飯塚

勝利打点 なし


金鯱5連勝

 金鯱は2回、2四球で一死一二塁とする。南海ベンチはここで早くも先発の清水秀雄をファーストに回して政野岩夫をマウンドに送りピンチを切り抜ける。

 試合は5回まで両軍無得点で進むが、金鯱は6回、先頭の濃人渉が四球で出塁、室脇正信が送って一死二塁、森田実は四球、黒澤俊夫も四球を選んで一死満塁、上野義秋が左前に先制タイムリーを放って1点を先制、二走森田も2点目を狙ってホームに突っ込むがレフト木村勉からのバックホームにタッチアウト。二死一三塁から上野がこの日2個目となる二盗を決めて二死二三塁とするが倉本信護は捕邪飛に倒れる。

 南海は7回、一死後前田貞行が四球で出塁、加藤喜作の三塁内野安打で一死一二塁、パスボールから岩出清の四球で一死満塁、金鯱ベンチはここで先発の内藤幸三から長尾貞利にスイッチ、国久松一之一ゴロをファースト上野がホームに送球するがセーフ、野選が記録されて1-1の同点とする。

 金鯱は8回、一死後森田が四球で出塁、黒澤俊夫の右前打で森田は三塁に進み、黒澤が二盗を決めて一死二三塁、上野の投ゴロで三走森田が三本間に挟まれるが巧く時間を稼いで二死二三塁を作る。倉本の三ゴロをサード前田が一塁に悪送球する間に二者還って3-1と勝越しに成功、更に飯塚が左中間に2試合連続となる二塁打を放って二死三塁、南海ベンチはここで政野に代えて三番手として川崎徳次をマウンドに送り、長尾が三振に倒れてスリーアウトチェンジ。


 長尾貞利は最終回の南海の反撃を三者凡退に抑えて2勝目をあげる。











 

2013年6月25日火曜日

ヤシエル・プイグ!実況中継



 ヤシエル・プイグの名前もだいぶ浸透してきました。当ブログも連日のように活躍ぶりをお伝えしておりますが、本日のジャイアンツ戦は先制ホームランと決勝タイムリーを含む4打数3安打2打点1本塁打。6月3日にメジャーデビューして以来20試合で77打数34安打14打点7本塁打1退場で打率は4割4分2厘。出塁率4割7分6厘、長打率7割5分9厘でOPSは1.229となっています。


 19日の現地放送ではデビューから15試合で27安打はジョー・ディマジオ以来というようなことを言っていたようです(英語は得意ではありませんので違っている可能性があります。)。当ブログでは既に「ジャッキー・ロビンソン二世」、「チェ・ゲバラ二世」、「ロベルト・クレメンテ二世」の称号を贈っておりますが、「ジョー・ディマジオ二世」の称号も贈らせていただきます。



 フォロースルーだけ見ると泳いでいるように見えるのですが下半身は粘っています。いわゆる懐の深いバッティングと云うやつで、素質では2003年にデビューしたミゲール・カブレラ以来と言ってよいでしょう。10年振りに出現した10年に一人の逸材という訳です。


 まぁ昨年デビューしたマイク・トラウトとブライス・ハーパーもミッキー・マントルとウィリー・メイズがデビューした1951年以来61年振りのルーキーコンビと言われた訳ですから来年も「~~以来」と呼ばれるルーキーが出現する可能性もある訳ですが。


 但し、ヤシエル・プイグの逸材振りは真に10年に一人と言えるのではないでしょうか。当ブログではそろそろ「2010年代プレイヤー・オブ・ザ・ディケードへの道(長期連載)」を開始する予定としておりますが、本命をヤシエル・プイグにする予定であることを宣言させていただきます。







   *左からウィリー・メイズ、ジョー・ディマジオ、ミッキー・マントル三巨頭のサインボール。




 

15年 南海vs黒鷲 12回戦


11月6日 (水) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0 南海 25勝65敗6分 0.278 川崎徳次 政野岩夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0 1X 1 黒鷲  44勝43敗4分 0.506 亀田忠

勝利投手 亀田忠     24勝19敗
敗戦投手 政野岩夫 10勝22敗

勝利打点 岩垣二郎 6


亀田忠、延長10回1安打完封!

 亀田忠が久しぶりに快投を見せた。10回を投げて3回二死後国久松一に許したバントヒット1本に抑え、通算9回目の1安打ピッチングを完封で飾った。


 南海は上記のとおり国久松一の内野安打1本だけ。5回は岡村俊昭、上田良夫、前田貞行が三者三振に倒れる。

 南海は先発の川崎徳次が3回に先頭の山田潔を四球で歩かせるとすかさず政野岩夫にスイッチ。政野は9回まで黒鷲打線を無得点に抑える。南海はこの試合で川崎を3試合連続先発で起用、期待の程がうかがわれます。

 黒鷲は10回裏、先頭の寺内一隆が中前打で出塁、清家忠太郎が送って一死二塁、山田は二飛に倒れるが、トップに返り岡田福吉が中前打を放って二死一三塁、岩垣二郎が中前にタイムリーを放ってサヨナラ勝ち。

 亀田忠は10回を投げ切り1安打5四球2死球6三振で今季10度目の完封、24勝目をあげる。


 南海打線はほぼ手も足も出ない状態でしたが岩出清が4打席1打数無安打2四球1死球と健闘した。亀田は9回と10回に死球を与えており、バテてきたようだったので政野がもう少し粘っていたら南海が勝っていた可能性が高い。政野は延長戦に縁があるようで、これで3試合連続延長戦に登板している。


 今季6個目の勝利打点を記録した岩垣二郎は6個ともタイムリーヒット。9月16日の名古屋戦でも延長16回裏にサヨナラ打を放っている。





*亀田忠は延長10回を投げて通算9度目の1安打ピッチング、今季10度目の完封を記録する。








     *南海打線は亀田の前に国久松一の内野安打1本に抑え込まれる。








 

2013年6月24日月曜日

倉本信護的生き方



 昭和15年11月6日付け読売新聞は「倉本、金鯱へ移籍」の見出しで「日本野球聯盟理事会では5日、嘗て阪急、名軍に在籍した倉本選手の金鯱移籍を承認した 背番10 倉本信護 内野 広陵出 28歳」と伝えている。昭和13年秋季11月17日以来プロ野球の世界から姿を消していた倉本信護が帰ってまいりました。


 倉本信護の経歴は「Wikipedia」を始め多くのサイトで誤って伝えられています。「Wikipedia」では「1940年に金鯱に移籍して二度目の応召で満州に渡り撫順市満鉄倶楽部の4番打者として代表決定戦で新京電々の西村幸生を打ち込み、第14回都市対抗野球大会に出場。」と書かれていますが順番が逆です。倉本は昭和15年8月の都市対抗野球に撫順市代表の満鉄倶楽部の四番打者として出場していますが金鯱に移ったのは同年11月のことです。


 「商売人と言われた職業野球」様が書いているとおり、「36年阪急軍の結成に参加・・・37年8月名古屋軍に移籍・・・同年限りで退団。退団後の40年撫順満鉄倶楽部の四番打者として都市対抗に出場している・・・同年11月名古屋金鯱軍で復帰。」が正解です。


 「聯盟理事会が金鯱移籍を承認」とのことなので、聯盟としては名古屋に所属していると認識していたようですが8月の都市対抗に撫順満倶の四番打者として出場しているところがこの人らしいところです。およそ権威、組織などとは無縁の人生を送ってきた訳です。この時の撫順満倶のエースは川崎徳次でした。川崎も10月に南海入りしていますので倉本もプロ復帰を打診されたのでしょう。


 戦後は国民リーグでホームラン王になり、48年には前橋市代表として山藤商店で都市対抗に出場(四番キャッチャー)、49年には鹿沼市代表として古沢建設で都市対抗に出場(六番ファースト)するなどバット一本で社会人球界を渡り歩いています。






 

15年 金鯱vsライオン 12回戦


11月6日 (水) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 0 0 2 2 0 0 0  1  5 金鯱      29勝56敗7分 0.341 古谷倉之助 中山正嘉
0 1 0 0 0 0 1 0 2  0  4 ライオン 23勝68敗4分 0.253 近藤久 山本秀雄 福士勇

勝利投手 中山正嘉 15勝27敗
敗戦投手 福士勇       7勝19敗

二塁打 (金)飯塚
三塁打 (ラ)前田

勝利打点 中山正嘉 1


倉本信護復帰!

 金鯱の七番サードは倉本信護です。倉本が金鯱に入団した経緯については別の項で書きます。


 ライオンは2回、二死後戸川信夫が三塁に内野安打、前田諭治が左前打を放って二死一二塁、トップに返り村上重夫の右前タイムリーで1点を先制する。

 4回まで無安打の金鯱は5回、先頭の上野義秋が左前打で口火を切ると、古谷倉之助は二直に倒れるが、倉本が復帰後初ヒットとなる中前打、飯塚達雄が左中間に逆転二塁打を放って2-1としてライオン先発の近藤久をKO、二番手に山本秀雄がマウンドに上がり五味芳夫三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 金鯱は6回、二死後黒澤俊夫の遊ゴロをショート前田がエラー、上野が二打席連続となる左前打、古谷の右前打で二死満塁、ここで倉本が中前に2点タイムリーを放って4-1とする。

 ライオンは7回、二死後前田がセンター奥に三塁打、センター森田実からの返球を中継したショート濃人渉の三塁送球が悪送球となる間に打者走者の前田は一気にホームを駆け抜け2-4とする。

 ライオンは9回、先頭の鬼頭政一が四球で出塁すると代走に井筒研一を起用、山本に代わる代打野村高義も四球を選んで無死一二塁、金鯱ベンチはここで力投を続けてきた先発の古谷から中山正嘉にスイッチ、伊勢川眞澄も四球を選んで無死満塁、中山がワイルドピッチを犯して三走井筒が還り3-4、なお一死二三塁から戸川に代わる代打菊矢吉男の中犠飛で4-4の同点に追い付く。

 ライオンは10回から三番手として福士勇がマウンドに上がる。

 金鯱は10回表、二死後森田が四球を選んで二盗に成功、黒澤も四球で二死一二塁、上野も四球を選んで二死満塁、中山が決勝の押出し四球を選んで5-4とする。

 中山正嘉は2イニングを無安打2四球1三振に抑えて15勝目をあげる。


 昭和13年11月17日の名古屋時代以来のプロ野球の舞台となった倉本信護はいきなり5打数2安打1得点2打点の活躍であった。金鯱はこれで4連勝を飾った。








     *倉本信護が昭和13年11月17日以来プロに世界に戻ってきた。

















 

2013年6月23日日曜日

三冠への道 2013 ⑨



 6月の月間MVP予想第一弾といきましょう。


 ナショナル・リーグ打撃部門はキューバからやって来たヤシエル・プイグがデビューいきなり月間MVPとなるかに話題が集中することでしょう。6月3日のパドレス戦でメジャーデビューして以来ここまで18試合に出場して69打数30安打12打点6本塁打1退場で打率4割3分5厘を記録しています。6月の月間記録では安打数30本とOPS1.212はトップ、長打率7割3分9厘もカルロス・ゴンザレスを1厘抑えてトップです。


 月間MVPに選出されるには本塁打が多い方が有利なようですのでここまで10本でトップに立つジェイ・ブルースがライバルとなります。数字のバランスが良かったトロイ・トゥロウィツキーは心配されたとおり欠場が続いて脱落しました。24打点で打点トップのポール・ゴールドシュミットは打率が2割4分台に低迷しており、23打点のカルロス・ゴンザレスも打率は2割8分台です。


 最大のライバルだったパドレスのエバース・カブレラはここ6試合欠場していますので脱落した模様です。昨年ナ・リーグ盗塁王に輝いたE.カブレラは今季も2年連続盗塁王が確実視されていましたが黄信号が灯ってきました。今月は15試合に出場して61打数28安打12盗塁、打率4割5分9厘でしたが復活はあるのでしょうか。話題性も加味されて、ヤシエル・プイグが受賞するのではないかと見ています。





 キューバ旋風はナショナル・リーグだけではありません。アメリカン・リーグ打撃部門の大穴中の大穴はレッドソックスのホセ・イグレシアスです。守備では「オジー・スミス二世」の呼び声が高いイグレシアスは「打撃が課題」と言われてきましたが、今月はここまで18試合に出場して59打数26安打、打率4割4分1厘で2位に付けるエンゼルスのケンドリックを抑えて堂々の1位です。極め付けはOPS1.118でアダム・リンド1.099を抑えてこちらも何と1位です。二塁打3本、三塁打2本、本塁打1本だけですがベースとなる打率が高いので打率3割9分2厘で二塁打4本、本塁打6本のアダム・リンドを抑えている訳です。まだ分母の数字が小さいので残り試合で大きく結果が変わってしまう可能性がありますが、キューバからやってきたホセ・イグレシアスにもご注目ください。「オジー・スミス二世」と呼ばれる守備は是非画像でご確認ください。とにかくスローイングが素晴らしい。但し最近はショートよりサードで使われている方が多い。打順は一度だけ二番があるだけで専ら七番、八番、九番の下位です。これだけ打っても使ってもらえない試合もあります。なお、今月のここまでの出場は18試合ですが、その内の一つにはデイビッド・オルティスの代走に起用されてそのまま指名打者に入って打席を記録していない試合が含まれています。


 純粋に打撃だけを考えたら74打数29安打19打点6本塁打、打率3割9分2厘のアダム・リンドが候補No1でしょう。ウェイトリフティングをやっていたパワー全開です。76打数30安打で3割9分5厘のケンドリックは7打点1本塁打1盗塁と中途半端な成績なのでこのままでは票は集まりにくいと考えます。



 昨年当ブログがミゲール・カブレラを抑えてMVP候補に推奨したマイク・トラウトが本来の調子を取り戻してきました。今月はここまで20試合に出場して81打数29安打、打率3割5分8厘。二塁打は8本ありますが本塁打が2本なので月間MVPまでは残り試合で余程打ちまくらないと無理ですが、ミゲール・カブレラが打率を3割3分台まで落としてくれば今年こそ逆転首位打者の可能性があると見ています。一方で、ミゲール・カブレラには4割を期待していますが、こちらは別の項で書かせていただく予定です。








*アメリカン・リーグ6月の月間MVP打撃部門の有力候補、元重量挙げ選手のアダム・リンドと、女子重量挙げ界期待の星・八木かなえの直筆サイン入りカード。









 

15年 阪急vs巨人 13回戦


11月6日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 阪急 56勝34敗5分 0.622 石田光彦
1 0 0 1 0 0 0 1 X  3 巨人 68勝26敗 0.723 須田博

勝利投手 須田博    35勝11敗
敗戦投手 石田光彦 15勝12敗

三塁打 (巨)川上

勝利打点 中島治康 10


上田藤夫、一試合6併殺

 巨人は初回、先頭白石敏男がストレートの四球で出塁、水原茂の三ゴロの間に白石が二進、中島治康が中前に先制タイムリーを放って1-0とする。川上哲治が四球を選んで一死一二塁とするが、千葉茂の投ゴロは「1-6-3」と転送されてダブルプレー。

 巨人は3回、先頭の須田博の二ゴロをセカンド伊東甚吉がエラー、トップに返り白石が左翼線にヒットを放ち無死一二塁、しかし水原の投直に二走須田博が飛び出し「1-6B」のダブルプレー。中島も遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 巨人は4回、先頭の川上がセンター奥深く三塁打、千葉が中前にタイムリーを放って2-0、吉原正喜は右飛に倒れて一死一二塁、平山菊二の遊ゴロが「6-4-3」と転送されてダブルプレー。

 巨人は6回、先頭の水原がストレートの四球で出塁、中島が左前打で続き、川上は三邪飛に倒れて一死一二塁、千葉の遊ゴロが又も「6-4-3」と転送されてダブルプレー。

 巨人は7回、先頭の吉原の三ゴロをサード黒田健吾がエラー、しかし平山の遊ゴロが三度「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 巨人は8回、先頭の白石が四球で出塁、水原が左前打、中島が中前打を放って無死満塁、川上の二ゴロが「4-6-3」と転送されてダブルプレーとなる間に三走白石が還って3-0とする。この場合川上には打点は記録されない。千葉が四球を選んで二死一三塁、ここでダブルスチールを敢行するが「2-4-2」と転送されて水原はタッチアウト。

 須田博は阪急打線を5安打1四球2三振に抑えて今季16度目の完封、35勝目をあげる。


 上記のとおり巨人打線は6個の併殺を喫し、阪急守備陣は6個の併殺を記録した。「一試合最多併殺記録」は1970年4月23日の阪急、1995年5月17日の巨人、1996年8月18日の横浜が記録した「6個」のようです。本日の阪急守備陣が記録した6併殺も日本記録である可能性があります。

 ショートの上田藤夫は全ての併殺に絡んでおり、個人で一試合6併殺の記録を樹立しました。正式に記録が残されているのか不明ですが、史上最多記録の可能性も否定できないでしょう。

 上田藤夫の守備の記録としては「ショートとしての一試合最多補殺記録12個」が伝わっています。「Wikipedia」には「1943年の名古屋軍戦では遊撃手として12補殺のプロ野球記録」と書かれていますが(2013年6月23日現在)、これは毎度のことながら間違いです。この記録が達成されたとされる日付けは1938年9月24日の名古屋vs阪急戦です。


 永田陽一著「ベースボールの社会史 ジミー堀尾文人と日米野球」には「上田は1938年9月24日の名古屋戦に1試合12補殺という地味だが、いまだに破られていないプロ野球記録を残している」と書かれています。但し、スコアカードにはこの試合の上田の補殺は「11個」という記録が残されています。全プレーを確認しても11個で間違いありません。ショートフライを捕球して「刺殺」が1個記録されています。


 なお、「Wikipedia」によると金子誠が2004年7月6日の大阪近鉄戦で「1試合遊撃手最多11補殺」を記録しているとのことです。これだと1938年9月24日に記録された上田藤夫の11補殺はタイ記録ということになります。





                *須田博は今季16度目の完封で35勝目をあげる。










      *6個の併殺を喫した巨人打線。













*ショートの上田藤夫は6個の併殺全てに絡む。名前の左横の守備成績欄は左から「刺殺」、「補殺」、「失策」、「併殺」、「守備位置」となっています。














*昭和13年9月4日の名古屋vs阪急戦でショートの上田藤夫は11補殺を記録しました。












 

2013年6月22日土曜日

15年 名古屋vs翼 12回戦


11月6日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 3 0 0 2 1 0 0 0 6 名古屋 52勝37敗5分 0.584 西沢道夫
0 0 0 0 1 0 0 1 0 2 翼        46勝36敗10分 0.561 三富恒雄 浅岡三郎

勝利投手 西沢道夫 18勝9敗
敗戦投手 三富恒雄   4勝9敗

二塁打 (名)芳賀、大沢
本塁打 (名)村瀬 2号 (翼)山崎 1号

勝利打点 村瀬一三 2


村瀬一三決勝スリーラン

 名古屋は2回、先頭の中村三郎が四球で出塁、服部受弘は左飛、岩本章は遊飛に倒れるが西沢道夫が左前打を放って二死一二塁、トップに返り村瀬一三が左翼ポール直撃の先制スリーランホームランを放って3-0とする。

 翼・苅田久徳監督は4回の守備からファーストの高橋輝彦に代えて石井豊を起用、5回から先発の三富恒雄に代えて浅岡三郎を投入、更にレフトの織辺由三に代えて野口二郎を入れてファースト、ファーストの石井に代えて西岡義晴を入れてレフト、キャッチャーも佐藤武夫から小島二男に交代する。

 名古屋は5回、代わったばかりの浅岡を攻めて、大沢清が中前打で出塁、一死後中村の三ゴロでランナーが入れ替わり、服部が中前打を放って二死一二塁、岩本が四球を選んで二死満塁、西沢が左前に2点タイムリーを放って5-0と突き放す。

 翼は5回裏、先頭の苅田が左前打で出塁、横沢七郎の三ゴロの間に苅田は二進、西岡の中前打で一死一三塁、小林茂太の遊ゴロをショート村瀬が失する間に苅田が還って1-5とする。小林には打点が記録されている。

 名古屋は6回、先頭の芳賀直一が四球で出塁、桝嘉一は二飛に倒れるが、大沢が右中間に二塁打を放って一死二三塁、吉田猪佐喜の遊ゴロの間に芳賀が還って6-1とする。

 翼は8回、先頭の山崎文一がレフトスタンドにホームランを放って2-6、更に柳鶴震、小島が連続四球を選んで無死一二塁、しかしここで西沢が踏ん張り浅岡、野口、苅田を三者連続三振に打ち取りピンチを脱する。

 西沢は最終回も一死一塁から小林、山崎を連続三振で締めくくり、4安打10四球5三振の完投で18勝目をあげる。


 2回に決勝スリーランを放った村瀬一三は昭和13年~16年まで在籍して全シーズンで本塁打を放っている(16年は阪神在籍時)強打の遊撃手であったが惜しくも戦死することとなる。


 一方、山崎文一はこの日のホームランがプロ在籍では唯一の本塁打となった。山崎は昭和11年にセネタースの結成に参加し、同年4月29日に行われた第1回日本職業野球リーグ戦において、セネタース初の公式戦となった阪急戦でセネタース初代四番を務めている。11年限りで応召し、15年にプロ野球に復帰してきたがプロでの活躍は今季が最後となった。恐らく2度目の応召でしょう。山崎は戦争の時代を生き抜き、戦後もノンプロでプレーを続ける。「商売人と言われた職業野球」様によると、「戦後は豊岡物産でプレーした」とのことです。「都市対抗野球大会60年史」には、昭和23年の第19回大会準決勝、西日本鉄道vs豊岡物産戦のテーブルスコアに「六番ライト山崎」と書かれていますので、これが山崎文一のことでしょう。








*西沢道夫は10四球を与えるが終盤5三振を奪う力投、150球の完投で18勝目をあげる。











          *村瀬のホームランは「雑記欄」に「ポールに当る」と書かれています。










   *昭和11年5月25日発行「聯盟広報」第二号に掲載されたセネタース軍の結成メンバー。














     *セネタース公式戦初試合で四番に入った山崎文一を伝える聯盟広報。












































 

15年 第23節 週間MVP



 今節は金鯱が3勝1敗、阪急が3勝1敗、阪神が3勝1敗、巨人が3勝1敗、黒鷲が1勝1敗、名古屋が1勝2敗、翼が1勝2敗、南海が1勝3敗、ライオンが0勝4敗であった。



週間MVP

投手部門

 金鯱 古谷倉之助 1

 今節1勝1セーブ。のらりくらり投法で快調金鯱を引っ張る。


 巨人 須田博 9

 今節1勝1セーブ。21イニングスを投げて自責点は0であった。


 阪神 藤村隆男 2

 今節2勝0敗1完封。17イニングスを投げて自責点は1であった。


 南海 政野岩夫 2

 2節連続受賞。11月1日の巨人戦では延長15回まで須田博と投げ合いサヨナラ暴投で0対1と惜敗。3日のライオン戦では5回途中からリリーフ登板して延長16回まで投げ抜き勝利投手となる。26回3分の1を投げて自責点は1であった。




打撃部門

 金鯱 森田実 1

 今節18打数7安打3得点3打点2四球1盗塁、二塁打2本。不動の三番として快調金鯱を引っ張る。


 巨人 川上哲治 4

 今節17打数7安打2得点2打点2四球1盗塁、二塁打1本、三塁打1本。今季通算打率でも一時鬼頭数雄に2分の差を付けられていたが1分3厘差まで盛り返してきた。


 金鯱 黒澤俊夫 1

 今節16打数5安打4得点4打点4四球、二塁打1本、本塁打1本。3日の名古屋戦、5日のライオン戦で2試合連続勝利打点を記録。不動の四番として快調金鯱を引っ張る。







殊勲賞

 阪急 浅野勝三郎 1

 今節11打数2安打であったが3得点4打点を記録。3日の翼戦では決勝スリーランを放って完投勝利という“二刀流“ぶりであった。


 名古屋 松尾幸造 2

 5日の阪急戦で完封勝利。



敢闘賞

 金鯱 濃人渉 3

 今節17打数5安打2得点3打点3四球1盗塁、二塁打1本、三塁打1本。不動の核弾頭として快調金鯱を引っ張る。


 阪急 日比野武 1

 今節9打数5安打1得点1打点、二塁打1本。井野川利春との併用で出番は少ないが出ればこの活躍。


 阪神 カイザー田中義雄 3

 今節16打数6安打2得点1打点1死球。
 




技能賞

 金鯱 古谷倉之助 1

 11月3日の名古屋戦、5回無死一二塁でリリーフ登板して岩本章のピッチャーライナーで飛び出した三走中村三郎を刺して「1-5」のゲッツー。6回にも一死一塁で桝嘉一のピッチャーライナーで飛び出した一走芳賀直一を刺して「1-3」のゲッツー。2イニング連続「投直ゲッツー」を記録する。


 黒鷲 清家忠太郎 1

 11月1日の名古屋戦で服部受弘、岩本章、木村進一の二盗を全て刺して3補殺を記録する。


 名古屋 服部受弘 1

 同じく11月1日の黒鷲戦で清家忠太郎、木下政文、岡田福吉の二盗を全て刺して3補殺を記録する。







 

2013年6月20日木曜日

15年 南海vs阪神 13回戦


11月5日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 南海 25勝64敗6分 0.281 川崎徳次 劉瀬章
0 0 0 0 0 7 0 0 X  7 阪神 55勝33敗3分 0.625 藤村隆男

勝利投手 藤村隆男 4勝2敗
敗戦投手 川崎徳次 0勝1敗

二塁打 (阪)本堂、藤村

勝利打点 なし


藤村隆男、今季3度目の完封

 南海は川崎徳次がプロ入り2度目の先発。

 その川崎は阪神打線を3回まで3人ずつで片付けてパーフェクトピッチング。

 阪神は4回、先頭のジミー堀尾文人が二遊間に内野安打、堀尾が二盗を決め、皆川定之のバントが内野安打となって無死一三塁、本堂保次の投ゴロで皆川は二進して一死二三塁、しかし伊賀上良平は三振、カイザー田中義雄は投ゴロに倒れる。新人川崎は、秋季リーグ首位打者の田中と四位の伊賀上を抑え切った。

 阪神は5回、一死後宮崎剛がバントヒット、藤村隆男が四球を選んで一死一二塁、森国五郎は左飛に倒れて二死一二塁、次のプレーは堀尾に「5FC」とだけ記録されている。堀尾の三ゴロをサード前田貞行がどこにも投げずベースタッチに行ったが二走宮崎の足の方が速く三塁ベースに到達したこととなる。内野安打ではなく野選が記録されて二死満塁、しかし皆川は三振に倒れてこの回も無失点。

 一方、南海は2回~5回まで毎回先頭打者がヒットで出塁するが2回は吉川義次が遊ゴロ併殺、5回は川崎が二ゴロ併殺に倒れて無得点。

 阪神は6回、先頭の本堂が左翼線に二塁打、伊賀上が四球を選んで無死一二塁、田中の投前送りバントが内野安打となり、ピッチャー川崎徳次の悪送球の間に二走本堂が生還して1点を先制、なお無死二三塁から松木謙治郎は遊ゴロに倒れて一死二三塁とするが宮崎がスクイズを決めて2-0、藤村が左中間に二塁打を放って3-0、森に代わる代打松尾五郎の左前打で二死一三塁、松尾が二盗を決め、キャッチャー吉川からの送球をセカンド国久松一が逸らす間に三走藤村が還って4-0、堀尾が四球を選び、皆川が中前にタイムリーを放って5-0としてなお二死一三塁、皆川の二盗の際にキャッチャー吉川が二塁に悪送球する間に三走堀尾が還って6-0、皆川は三塁に走り、バックアップしたセンター岩本義行からのバックサードが悪送球となる間に皆川が還って7-0として試合を決める。

 7回から川崎に代わって二番手としてマウンドに上がった劉瀬章は7回、8回を三者凡退で切り抜ける。

 藤村隆男は7安打2四球1死球1三振で今季3度目の完封、4勝目をあげる。


 5回まで好投を続けた川崎徳次は6回に捕まったが、南海守備陣はこの回4失策を記録している(うち一つは川崎自身)。4回、5回のピンチを切り抜けたあたりに戦後も投げ続けて通算188勝することとなる片鱗が見られる。


 藤村隆男も戦後まで投げ続けて通算133勝を記録することとなる。藤村は昭和14年センバツに呉港中学のエースとして出場するが一言多十の島田商業に2回戦で敗れている。この時藤村の控え投手であった野崎泰一とは戦後阪神でチームメイトとなる。


 阪神から東急を経て地元広島に移籍した野崎は引退後長く広島でコーチ等を務める。1975年の広島初優勝の年は、ジョー・ルーツ監督からシーズン序盤で古葉監督に交代したことで有名ですが、ジョー・ルーツ監督が退団して古葉監督が就任する間の5試合は野崎監督代行が指揮を執っており、4月27日の甲子園での阪神とのダブルヘッダーは第一試合が引分け、第二試合は敗戦、しかし29日からの中日球場での中日三連戦に3連勝して古葉監督に絶妙のタイミングでバトンを渡します。野崎監督代行も後任監督の有力候補でしたが、本人が固辞したと言われています。古葉監督は即座に野崎にヘッドコーチ就任を要請します。広島ナイン、ファンの誰からも愛される人柄でした。初優勝時、チームフラッグを持って行進するナインの先頭は古葉監督と野崎コーチだったのです。


*6月21日追記:ルーツ監督は阪神とのダブルヘッダー第一試合の8回、佐伯の投じた球がボールと判定されたのに抗議して退場処分となり、第二試合の指揮権を放棄しましたので、正確には野崎が監督代行を務めたのは4試合となります。









               *藤村隆男は今季3度目の完封で4勝目をあげる。















 

2013年6月19日水曜日

15年 ライオンvs金鯱 11回戦


11月5日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 ライオン 23勝67敗4分 0.256 福士勇 菊矢吉男 近藤久
2 0 0 0 0 0 0 2 X 4 金鯱      28勝56敗7分 0.333 中山正嘉
 
勝利投手 中山正嘉 14勝27敗
敗戦投手 福士勇       7勝18敗

勝利打点 黒澤俊夫 4


金鯱3連勝!

 金鯱は初回、先頭の濃人渉が中前打で出塁、室脇正信は中飛に倒れるが森田実の右前打で一死一三塁、黒澤俊夫の一ゴロの間に三走濃人が還って1点を先制する。黒澤の一ゴロは「3.4-3」と記録されている。考えられる可能性としては強烈な一ゴロがファースト玉腰年男のミットを弾くがセカンド戸川信夫のところに飛んでファーストベースに入った玉腰に送球されたというところでしょうか。二死二塁から上野義秋が右前にタイムリーを放って2-0とする。

 ライオンは4回、先頭の鬼頭政一が左前打で出塁、鬼頭(弟)が二盗を決めて更にパスボールで三進、戸川が四球を選んで無死一三塁、前田諭治の三ゴロで三走鬼頭(弟)はホームに突っ込み、サード漆原進がバックホームするがセーフ、野選が記録されて1-2とする。無死一二塁となったところで金鯱・石本秀一監督はキャッチャーを柴田多摩男から飯塚達雄に交代、伊勢川眞澄が送って一死二三塁、福士勇は三振に倒れ、トップに返り村上重夫が四球を選んで二死満塁、玉腰は左飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 ライオンは8回から先発の福士に代えて菊矢吉男をマウンドに送る。

 金鯱は8回、先頭の黒澤が左前打で出塁、上野が送って一死二塁、飯塚は中飛に倒れるが漆原が四球を選んで二死一二塁、中山正嘉が中前にタイムリーを放って3-1、五味芳夫が四球を選んで二死満塁、ライオンベンチはここで菊矢から近藤久にスイッチ、濃人の遊ゴロで三走漆原は当然スタート、ショート前田は一塁に投げればよいところを何故かホームに投げて間に合わず漆原が生還、野選が記録されて4-1とする。濃人の当りがボテボテでショート前田はどうせ一塁に投げても間に合わないのでホームに投げたという可能性も考えられます。

 中山正嘉は8安打5四球4三振の完投で14勝目をあげる。4回1点を取られてなお無死一二塁で石本監督はキャッチャーを柴田から飯塚に交代させたが、この交代がライオンに傾きかけた流れを金鯱に引き戻した。


 金鯱はこれで3連勝、勝利数が敗戦数の半分となって勝率は3割3分3厘まで上昇した。南海、ライオンと激しい最下位争いを繰り広げてきた金鯱は秋季シリーズに入って10勝9敗と勝ち越し、巨人、阪神、阪急の三強に続いて秋季シリーズ四位に浮上した。打線が活発で、一番濃人渉、クリーンナップの森田実、黒澤俊夫、上野義秋がよく当っている。本日は金鯱もライオンも共に8安打5四球であったが、3点の差は両チームの勢いの差を物語っている。





               *中山正嘉は8安打完投で14勝目をあげる。







     *3連勝を記録した好調金鯱打線。


















 

2013年6月18日火曜日

15年 翼vs巨人 11回戦


11月5日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
3 0 0 0 0 0 0 0 2  5 翼     46勝35敗10分 0.568 野口二郎
0 0 0 0 0 0 0 0 1  1 巨人 67勝26敗 0.720 中尾輝三

勝利投手 野口二郎 29勝11敗
敗戦投手 中尾輝三 22勝11敗

二塁打 (翼)小林

勝利打点 野口二郎 4


野口二郎、粘りのピッチング

 翼は初回、中尾輝三の立ち上がりを攻めて先頭の苅田久徳が四球で出塁、横沢七郎が三前に送りバントを決めて一死二塁、野口二郎が左前に先制タイムリーを放って1-0、小林茂太が四球、山崎文一の右翼線タイムリーで2-0、柳鶴震も右前にタイムリーを放って3-0とする。

 翼打線は立ち直った中尾に抑えられて2回~6回まで三者凡退を続ける。7回は先頭の山崎が中前打を放つが柳の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー。

 翼は9回、一死後小林が右中間に二塁打、山崎が左前にタイムリーを放って4-0、ジャイアンツベンチはここでキャッチャーを吉原正喜から楠安夫に交代、柳の遊ゴロでランナーが入れ替わり、石井豊が四球を選んで二死一二塁、佐藤武夫が左翼線にタイムリーを放って5-0とダメ押す。

 巨人は9回裏、一死後川上哲治が中前打、千葉茂がストレートの四球を選んで一死一二塁、楠は三飛に倒れるが、呉波が右翼線にタイムリーを放って1-5と一矢を報いるがここまで。

 野口二郎は6安打2四球7三振、惜しくも完封は逃したが完投で29勝目をあげる。


 一見、野口二郎は快調なピッチングのように見えるが144球を投げている。一方、コントロールが悪いと見られがちな中尾輝三は9回を完投して7安打4四球3三振で113球であった。


 この試合で野口は四球を与えた2人以外にも延べ7人の打者にスリーボールまで許している。この日は決して調子が良かったとは言えないようであるが、粘りのピッチングで巨人打線を封じ込めたのであった。









                *野口二郎は144球を投げて完投で29勝目をあげる。














     *山崎文一が猛打賞を記録した翼打線。
















     *呉波が猛打賞を記録した巨人打線。