昭和12年春季リーグ戦最終期となる第四期が終了いたしましたので月間MVPを発表させていただきます。
投手部門
ジャイアンツ 澤村栄治 2
澤村は今期8試合に登板して6勝1敗、投球回数71回、被安打39、与四球14、奪三振53、自責点6。防御率0.76、WHIP0.75。
6月26、27日のタイガースとの決戦直前の6月25日、対名古屋6回戦の試合前の練習中に右眼にボールを当てる事態となった。その晩常宿としている日本橋布袋家で馬肉を患部に当てて熱を冷ます治療が徹夜で行われた結果奇跡的に回復し、タイガース戦に連投して優勝を引き寄せる。27日の8回戦は延長12回を3安打8三振無四球に抑える完封であった。
WHIPの世界記録は2000年のペドロ・マルチネスの0.74である。あの頃のペドロのチェンジアップは人間が打てるボールではなかった。WHIPも短期であれば特異な数値は出るが、澤村は第三期も0.76で春季リーグ戦通算でも0.84であり、澤村のピッチングは全盛期のペドロ・マルチネスをイメージするとより具体像が浮かび上がってくる。澤村のドロップはペドロのチェンジアップ並みであったわけである。
打撃部門
金鯱 黒澤俊夫 1
黒澤は今期16試合で52打数22安打13得点4打点7盗塁。特筆すべきは22個の四球を選んでいること。打率4割2分3厘、出塁率5割9分5厘、長打率5割9分6厘、OPS1.191。
金鯱は第四期に五連勝が2回あり全チームトップの10勝をあげた。うち5勝はエース古谷倉之助、2勝はタイガース戦二試合連続完封の中山正嘉で、打の立役者は黒澤俊夫であった。タイガースが何故突然の如く二連敗したのか不思議であり、チーム内の模様を邪推することは簡単であるが、金鯱が最もチーム状態の良い時にぶつかっただけのことである。
第四期の成績は以下のとおり
ジャイアンツ 9勝3敗1分
金鯱 10勝6敗
タイガース 8勝6敗
阪急 8勝7敗
セネタース 7勝8敗
大東京 6勝8敗1分
名古屋 6勝8敗
イーグルス 4勝12敗
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