2020年12月31日木曜日

21年 阪急vsグレートリング 10回戦

8月17日 (土) 福岡香椎

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
2 0 0 0 0 0 0 0 0  0  2 阪急 38勝31敗 0.551 今西錬太郎 
0 0 0 0 0 2 0 0 0 1X 3 グ軍 39勝22敗 0.639 丸山二三雄 

勝利投手 丸山二三雄 14勝9敗
敗戦投手 今西錬太郎   2勝4敗

二塁打 (急)山田、野口明、今西、野口二郎 (グ)河西、堀井

勝利打点 (グ)岡村俊昭 3


丸山二三雄、ハーラー単独トップ

 福岡香椎球場の第2試合は今西錬太郎と丸山二三雄の先発で午後4時5分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は初回、先頭の山田伝が左中間に二塁打、上田が左前にタイムリーを放ち1点を先制、バックホームの間に打者走者の上田は二塁に進み、野口二郎は遊飛に倒れるが、野口明が左中間にタイムリー二塁打を放ち2-0とする。

 2回に一死一二塁、3回も二死一三塁のチャンスを逃したグ軍は6回裏、先頭の田川が中前打で出塁、山本一人監督の中前打で田川が三塁に進み、センター山田からの三塁送球の隙をついて打者走者の山本も二塁を陥れて無死二三塁、ここで堀井が左前に同点の2点タイムリーを放ち2-2とする。堀井もバックホームの間に二塁に進み、岡村が送って一死三塁とするが、木村勉は遊ゴロ、丸山は二飛に倒れて同点止まり。

 グ軍は7回裏、一死後安井が四球で出塁、河西の中前打で一死一二塁、ここでダブルスチールを仕掛けるが、キャッチャー坂田清春からの三塁送球に安井の三盗は失敗、田川の一ゴロをファースト野口明がエラー、山本が四球を選んで二死満塁とするが、堀井は中飛に倒れて無得点。

 延長に入ってグ軍は10回裏、先頭の堀井が右中間に二塁打、岡村が中前にサヨナラタイムリーを放ち8連勝、首位タイガースに2ゲーム差で喰らい付いている。

 丸山二三雄は2回以降無失点で8安打2四球4三振の完投、ハーラー単独トップに立つ14勝目をマークする。

 ハーラー2位は13勝の近藤貞雄であるが近藤はこのところ勝ち星が伸び悩んでいる。3位タイは12勝の白木義一郎と先日1か月半ぶりの勝利で12勝とした真田重蔵、5位タイは11勝の呉昌征と内藤幸三、7位タイは10勝で並ぶ渡辺誠太郎、天保義夫、石田光彦となっている。

 面白いことに、二桁勝利投手を複数抱えている球団は、首位タイガース(呉、渡辺)と最下位ゴールドスター(内藤、石田)だけである。


2020年12月30日水曜日

21年 タイガースvsセネタース 10回戦

8月17日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 2 1 0 0 0 3 6 タ軍 39勝18敗 0.684 野崎泰一 
1 0 0 1 0 0 0 1 0 3 セ軍 24勝34敗 0.414 一言多十

勝利投手 野崎泰一 5勝6敗
敗戦投手 一言多十 5勝10敗

二塁打 (タ)金田、野崎、呉 (セ)大下
三塁打 (セ)一言
本塁打 (セ)長持栄吉 1号

勝利打点 (タ)長谷川善三 2

猛打賞 (タ)小林英一 2


藤村の代役、小林英一が活躍

 後楽園の第2試合は野崎泰一と一言多十の先発で午後2時58分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 セ軍は初回、二死後飯島がストレートの四球で出塁、大下がライト線に二塁打を放って二死二三塁、長持栄吉の右前タイムリーで1点を先行、大下も三塁ベースを蹴ってホームに突っ込むが、ライト塚本からの好返球にタッチアウト。

 タ軍は初回、二死一二塁のチャンスを作るが渡辺誠太郎の捕邪飛をキャッチャー熊耳が好捕、3回も二死二三塁から本堂の捕邪飛を熊耳がファインプレー。

 タ軍は4回表、一死後塚本が左前打で出塁、小林英一の右前打で一死一二塁、野崎が右中間に同点のタイムリー二塁打を放ち1-1、一死二三塁から長谷川善三のニゴロの間に三走小林が還って2-1と逆転に成功する。

 セ軍は4回裏、先頭の飯島が三塁に内野安打、しかし大下のニゴロが「4-6-3」と渡ってゲッツー、チャンスは潰えたかに見えたが、長持がライトスタンドに同点ホームランを叩き込んで2-2とする。

 タ軍は5回表、一死後土井垣が中前打で出塁、本堂の三ゴロの間に土井垣が二進、渡辺誠太郎が右前に勝ち越しタイムリーを放ち3-2とリードする。

 セ軍は6回裏、先頭の横沢七郎がツーストライクナッシングから粘って四球、飯島のレフト線ヒットで無死一三塁のチャンスを作るが、期待の大下は遊飛に倒れて一死一三塁、長持の中飛でセンター呉昌征が内野に返球、三走横沢はスタートせず、中継に入ったピッチャー野崎は一走飯島がタッチアップからスタートを切ったのを見て一塁に送球、飯島が一二塁間に挟まれると三走横沢がホームに突っ込み、セカンド本堂からのバックホームでタッチアウト、「8-1-3-4-2」の併殺が記録された。

 セ軍は7回裏、先頭の一言が右中間に三塁打、熊耳は四球を選んで無死一三塁、清水喜一郎は浅い左飛に倒れて一死一三塁、鈴木清一の遊ゴロは「6-4-3」と転送されてこの試合3つ目のダブルプレー。

 セ軍は8回裏、先頭の白木義一郎が四球を選んで出塁、横沢が送って一死二塁、野崎の二塁牽制悪送球で一死三塁、飯島の遊ゴロで三走白木がホームに突っ込み、ショート長谷川からのバックホームはタイミングはアウトであったがキャッチャー土井垣が落球、3-3の同点に追い付く。

 タ軍は9回表、先頭の小林が二遊間にヒット、野崎が送って一死二塁、長谷川が右前に決勝のタイムリーを放ち4-3、バックホームの間に長谷川は二塁に進み、トップに返り金田の右飛でタッチアップから三進、呉がライト線に鋭いライナーのタイムリー二塁打を放ち5-3、土井垣の中前タイムリーで6-3と突き放す。

 野崎泰一は9回裏のセ軍の代打攻勢を三者凡退に抑え、7安打5四球1三振の完投で5勝目をあげる。

 セ軍は熊耳の2度に亘る好守などでよく粘ったが、最後は選手層の差が出た。

 この試合は藤村冨美男監督が欠場してサードには小林英一が入っており、その小林が3安打猛打賞2得点で決勝のホームを踏む活躍を見せた。

 なお、松木謙治郎著「タイガースの生い立ち」には「八月中旬、藤村が家庭の不幸で一時欠場」と書かれており、「Wikipedia」では「最初の妻を1946年8月に失い」とされている。タ軍はこの試合を勝たねばならなかったのである。藤村は8月末まで欠場することとなる。

2020年12月28日月曜日

公式記録員

  戦前唯一の公式資料である「連盟公報」(第9号より「連盟ニュース」に改題)によると、昭和11年の公式記録員は同盟通信社の秋山慶幸、秋山與志己、読売新聞社の宇野庄治、小島六郎の4氏に「委嘱」されていた。

 そして、昭和12年3月25日発行「連盟ニュース13号」に、3月5、6、16、17の4日間に東京銀座連盟事務局で開催された理事会で、「公式記録員の決定」の項に、「公式記録員任命」として、「広瀬謙三(元時事新報記者)」が連盟公式記録員に決定したと書かれている。

 「Wikipedia」などに「1936年(昭和11年)に職業野球が誕生すると同時に連盟から公式記録員としての依頼を受け就任」などと書かれているので世の中には誤って伝わっているが、広瀬謙三が正式に公式記録員に就任したのは昭和12年のシーズンからである。同時に、同盟通信社運動部も公式記録員として「委嘱」されており、関東の試合は広瀬、関西の試合は同盟の記者がスコアを付けることとなった。

 「連盟ニュース」は昭和14年で終了しているので、その後の公式記録員の人事は判然としないが、昭和17年から山内以九士が公式記録員として採用されて関西の試合のスコアを付けていることは確認できている。

 公式の人事記録から分かることは以上であるが、スコアカードの記載から読み取れる「推測」を以下に記する。

 昭和15年のスコアから、関東の試合にはカウントも記載され、投球数も記録されている。関東の公式記録員の人事に、非公式ながら何かの動きがあったことが「推測」されるのである。

 昭和17年に山内以九士が公式記録員に採用された事実と併せて推測すると、昭和15年から山内が広瀬の助手を務めていた可能性が考えられる。その働きぶりが認められて、昭和17年から正式に公式記録員として採用され、当ブログが解読しているスコアカードを残した可能性が考えられるのである。(文中敬称略)


2020年12月27日日曜日

21年 ゴールドスターvs中部日本 12回戦

8月17日 (土) 福岡香椎

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 2 0 0 0 1 0 0 5 ゴ軍 22勝37敗1分 0.373 内藤幸三 
2 0 0 1 1 0 0 0 0 4 中部 22勝36敗2分 0.379 森井茂 

勝利投手 内藤幸三 11勝14敗 
敗戦投手 森井茂      9勝11敗

二塁打 (ゴ)内藤、坪内 (中)古川
三塁打 (ゴ)坪内
本塁打 (中)岩本章 3号

勝利打点 (ゴ)坪内道則 3


ゴ軍、ピストル打線で快勝

 福岡香椎球場の第1試合は内藤幸三、森井茂両ベテランの先発で午後2時15分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 中部は1回裏、先頭の古川がストレートの四球で出塁、続く金山が一二塁間にヒット、杉浦清監督が送って一死二三塁、加藤正二は三振に倒れるが、大沢清が珍しくレフト線に引っ張る2点タイムリーを放ち2-0とリードする。

 ゴ軍は2回表、先頭の坪内の当りは遊ゴロ、これをショート杉浦が一塁に悪送球、末崎の右前打で坪内は三塁に進み、末崎が二盗を決めて無死二三塁、ここで内藤が右越えに同点の2点タイムリー二塁打を放ち2-2と追い付く。続く早川平一は四球、大崎欣一と辻功は連続三振、トップに返り坂本勲の遊ゴロを又も杉浦がエラーして二死満塁、しかし続く大友のショートライナーを杉浦がキャッチしてスリーアウトチェンジ。

 ゴ軍は3回表、先頭の酒沢が左前打で出塁、坪内が右中間に勝ち越しの三塁打を放ち3-2、森井のワイルドピッチで坪内が還って4-2とする。

 中部は4回裏、一死後岩本が中越えにホームランを放ち3-4と追い上げる。

 中部は5回裏、一死後金山の当りは遊ゴロ、これをショート酒沢が一塁に悪送球する間に打者走者の金山が二塁に進み、二死後加藤が左前に同点タイムリーを放ち4-4と追い付く。

 ゴ軍は7回表、先頭の大友が左前打で出塁、酒沢のニゴロが進塁打となって一死二塁、ここで坪内が左中間に決勝の二塁打を放ち5-4とリードする。

 内藤幸三は9安打5四球5三振の完投で11勝目をマークする。

 ゴ軍の四番にはこの九州遠征までは菊矢吉男と田中宣顕が起用されていたが、前日から菊矢と田中はスタメンから外されて坪内監督が自ら四番に座っている。その坪内が2本の長打で勝利を呼び込んだ。坪内の四番は昭和15年最終戦以来6年ぶりとなる(日本プロ野球私的統計研究会様「スタメンアーカイブ」参照)。

 菊矢、田中の大砲を下げたゴ軍はトップから坂本勲、大友一明、酒沢政夫、坪内と並ぶ「ピストル打線」で長距離砲を揃える中部に競り勝ったのである。坪内監督としては会心の勝利ではなかったか。

2020年12月19日土曜日

1打席19球

 昭和22年11月11日、後楽園の太陽ロビンスvs金星スターズ戦。ロビンスの松井信勝が第二打席で13球ファウルで粘り、1打席19球の日本記録を樹立しましたが、山内以九士氏は「雑記」欄に「バントらしいファウルを13個も放つ」と書いています。

 高校野球ではバントと判定されて三振となるところですね。

 山内氏のサインは昭和21年には書かれていませんが、昭和22年の関東の試合では「記録者署名」欄にサインされています。


21年 パシフィックvs巨人 11回戦

8月17日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 3 0 0 0 0 4 パ軍 22勝36敗2分 0.379 真田重蔵 
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 巨人 33勝25敗1分 0.569 多田文久三

勝利投手 真田重蔵  12勝12敗
敗戦投手 多田文久三 1勝2敗

本塁打 (パ)松井信勝 1号

勝利打点 (パ)松井信勝 1


松井信勝が決勝本塁打

 第16節2日目、後楽園の第1試合は真田重蔵と多田文久三の先発で午後1時5分、国友球審の右手が上がりプレイボール。パ軍と巨人は8月5日の札幌円山球場での試合以来の登場となる。

 パ軍は初回、先頭の白石敏男が四球を選んで出塁、富松信彦もストレートの四球で無死一二塁、藤井勇が左前にタイムリーを放ち1点を先制する。

 巨人は初回、先頭の呉新亨が四球を選んで出塁、山田潔の右前打で無死一三塁のチャンスを作り、千葉は浅い右飛に倒れるが、川上が中前にタイムリーを放ち1-1の同点とする。続く黒沢の難しい三邪飛をサード平野徳松が好捕、ここで流れを断ち切ったことが勝利につながる。

 2回から4回まで両軍無安打。

 パ軍は5回表、先頭の松井信勝がライトスタンドにホームランを叩き込んで均衡を破り2-1と勝ち越し、一死後真田がストレートの四球、トップに返り白石のニゴロを千葉が痛恨のエラー、富松がファウルで粘って四球を選び一死満塁、藤井が中前に2点タイムリーを放ち4-1とリードを広げる。

 真田重蔵は7安打2四球4三振の完投、7月4日に11勝目をマークしてから6連敗を続けていたが、1か月半ぶりの勝利で12勝目をあげる。終盤はショート松井、センター富松の好守にも助けられた。

 決勝本塁打を放った松井信勝は3年間のプロ野球在籍で唯一の本塁打となった。松井は昭和22年11月11日の金星戦の第二打席で13球ファウルで粘り、1打席19球の現在も残る日本記録を樹立することとなる。

 松井以外では藤井勇が2本のタイムリーで3打点の活躍。

 パ軍守備陣は3つのファインプレーを含む無失策で真田を助けた。一方、巨人は千葉のエラーが痛かった。

2020年12月13日日曜日

21年 阪急vs中部日本 13回戦

8月16日 (金) 熊本水前寺

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 5 1 1 0 0 0 0 8 阪急 38勝30敗 0.559 笠松実 溝部武夫 
4 0 0 0 0 0 0 0 0 4 中部 22勝35敗2分 0.386 星田次郎 松尾幸造

勝利投手 溝部武夫 5勝0敗 
敗戦投手 松尾幸造 1勝11敗

二塁打 (中)岩本、金山
三塁打 (急)野口明

勝利打点 (急)大平茂 1

猛打賞 (急)大平茂 1


好リリーフの溝部が無傷の5連勝

 熊本水前寺球場の第2試合は笠松実と星田次郎の先発で午後4時丁度、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 星田は5月4日に二番手でプロ入り初登板、この試合が2試合目の登板でプロ入り初先発となった。

 阪急は初回、先頭の山田伝の当りはニゴロ、しかしこれをセカンド金山がエラー、山田が二盗を決め、上田の投ゴロも星田がエラーして無死一三塁、野口二郎の左犠飛で1点を先制する。

 中部は1回裏、先頭の古川が左前打で出塁、金山が四球を選んで無死一二塁、杉浦清監督の二塁へのヒットがタイムリーとなって1-1の同点、無死一三塁から加藤正二の中犠飛で2-1と逆転、大沢清が得意の右打ちで一二塁間を破り一死一三塁、藤原鉄之助の一ゴロの間に三走杉浦が還って3-1、二死二塁から岩本が中越えにタイムリー二塁打を放ち4-1とリードする。

 阪急は2回表、一死後日比野が左前打で出塁、荒木茂は中飛に倒れるが、大平茂がレフト線にヒット、笠松はストレートの四球で二死満塁、しかしトップに返り山田は中飛に倒れて無得点。

 中部は2回裏、先頭の三村が右前打で出塁、トップに返り古川の打席で笠松の一塁牽制に三村が釣り出されて「1-3-6-3」と渡ってタッチアウト、阪急ベンチはここで笠松に代えて溝部武夫にスイッチ、古川は三ゴロ、金山も投ゴロに倒れて無得点。

 溝部vs星田のアンダーハンド対決となった3回表、阪急は先頭の上田が四球を選んで出塁、野口二郎の遊ゴロをショート杉浦が一塁に悪送球、野口明のカウントがスリーボールナッシングとなったところで中部ベンチは星田から松尾幸造にスイッチ、野口明はストレートの四球で無死満塁、この場合の与四球は星田に記録される。坂井豊司の遊ゴロの間に三走上田が還って2-4、一死二三塁から日比野が左前に同点の2点タイムリーを放ち4-4、荒木の右前打で日比野は三塁に進んで一死一三塁、大平が逆転の左前タイムリーを放ち5-4、一死一二塁から溝部のニゴロをセカンド金山は二塁に送球するがベースカバーに入ったショート杉浦が落球して一死満塁、トップに返り山田の左犠飛でこの回5点、6-4とする。

 阪急は4回表、一死後野口明が中越えに三塁打、坂井の中犠飛で7-4とする。

 阪急は5回表、先頭の荒木の三ゴロをサード三村が一塁に悪送球して打者走者の荒木は二塁に進み、大平の三遊間ヒットで無死一三塁、溝部のニゴロで大平が二封される間に三走荒木が還って8-4とリードを広げる。

 2回途中からロングリリーフとなった溝部武夫は7回3分の2を3安打2四球1三振無失点の好投で無傷の5連勝をマークする。

 中部は5失策で自滅、特に2回にショート杉浦監督が犯した2つのエラーが痛かった。序盤は中部ペースで進んでいたが、杉浦の2失策で試合の流れが変わり、溝部に抑え込まれたのである。

 好調阪急は8月に入って8勝3敗。この日は3本の犠牲フライが効果的であった。

 大平茂が今季初の猛打賞と勝利打点を記録した。8月12日のゴ軍戦では荒木茂が今季初の猛打賞と勝利打点を記録するなど、伏兵が活躍するチームは強い。


2020年12月6日日曜日

21年 ゴールドスターvsグレートリング 9回戦

8月16日 (金) 熊本水前寺

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ゴ軍 21勝37敗1分 0.362 江田孝 
0 0 3 0 0 0 0 0 X 3 グ軍 38勝22敗 0.633 松川博爾

勝利投手 松川博爾 7勝3敗
敗戦投手 江田孝    1勝8敗

二塁打 (ゴ)坂本、辻

勝利打点 (グ)岡村俊昭 2


グ軍、松川の完封で虎の尻尾を捕える

 第16節は4チームがプロ野球公式戦としては初めてとなる九州遠征。

 熊本水前寺球場の第1試合は江田孝と松川博爾の先発で金政球審の右手が上がりプレイボール。

 ゴ軍は初回、一死後大友が四球を選んで出塁、酒沢は二飛に倒れるが、坪内の中前打で二死一三塁、しかし末崎はニゴロに倒れて無得点。

 グ軍は1回裏、先頭の安井が左前打で出塁、河西の遊ゴロでランナーが入れ替わり、田川の遊ゴロで再びランナーが入れ替わり、田川が二盗に成功、鶴岡は四球で二死一二塁、しかし堀井の遊ゴロで鶴岡が二封されて無得点。

 グ軍の初回のアウトは全て「6-4B」であった。これはプロ野球史上初の可能性がある。

 ゴ軍は2回表、二死後大崎欣一が右前打で出塁、しかし江田は捕邪飛に倒れて無得点。

 グ軍は2回裏、一死後木村勉が四球を選んで出塁、松川の中前打で一死一二塁、しかし宮崎は左飛、トップに返り安井はショートライナーに倒れて無得点。

 ゴ軍は3回表、この日プロ入り初めてトップに起用された坂本がレフト線に二塁打を放ち無死二塁、大友は捕邪飛、酒沢は中飛、キャッチャー木村の二塁牽制が悪送球となって二死三塁、坪内は二飛に倒れて無得点。

 グ軍は3回裏、先頭の河西が中前打で出塁、しかし江田の牽制に釣り出されて「1-3-6」でタッチアウト、田川が左前打から捕逸で二進、鶴岡は四球で一死一二塁、堀井の遊撃内野安打で一死満塁、岡村の一ゴロが野選を誘って1点を先制、なおも一死満塁から木村が左前に2点タイムリーを放ち3-0とリードする。

 松川博爾は4回以降もゴ軍打線を無得点に抑え、6安打3四球無三振の完封で7勝目をマークする。

 この試合の勝利打点は一ゴロ野選の岡村俊昭であるが、「真の殊勲打」を放ったのは追撃の2点タイムリーの木村勉であった。木村は粉河中学時代は投手であり、外野を守ることが多いが強肩を活かしてキャッチャーを務めることもある。今季でグ軍を離れて国民リーグに移るが、昭和23年には大洋ロビンスでプロ野球に復帰、昭和25年の松竹水爆打線にも名を連ねることとなる。その後も大洋、広島、近鉄で主軸打者として活躍を続け、無名ではあるが名選手であった。

 グ軍はこれで7連勝、いつの間にかタ軍に2ゲーム差と迫ってきており、虎の尻尾を捕らえた。

*この試合で「真の殊勲打」を放った木村勉の直筆サイン入りカード。


2020年12月5日土曜日

5円20銭

  現在日本経済新聞に連載されている福川伸次氏の「私の履歴書」では、福川氏は昭和21年の後楽園球場によく通っていたと記されており、入場料金は「1日2試合制で5円20銭だった。」とのことです。

 2019年9月5日付けブログ「入場料金」では、「昭和21年4月21日発行『体育週報』に『1試合5円、2試合10円』という記述が認められます。」と書かせていただきました。

 福川氏の記憶が正しいのか、「体育週報」の記述が正しいのか、謎は深まるばかりとなりました。


2020年11月23日月曜日

訂正のお知らせ

 2020年11月4日付け、昭和21年8月10日 (土)の「21年 中部日本vs阪急 12回戦」において、この試合で戦後初ヒットを放った田中幸男について「昭和16年以来5年ぶり、戦後初出場となる田中幸男」と記載していましたが、田中幸男の戦後初出場は2日前の8月8日のことでしたので、お詫びして訂正させていただきます。


21年 中部日本vsグレートリング 11回戦

8月12日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 中部 22勝34敗2分 0.393 松尾幸造 森井茂 
0 0 3 0 6 0 0 0 X 9 グ軍 37勝22敗 0.627 丸山二三雄

勝利投手 丸山二三雄 13勝9敗
敗戦投手 松尾幸造     1勝10敗

二塁打 (中)加藤 (グ)堀井

勝利打点 (グ)山本一人 6


丸山二三雄、ハーラートップタイに躍り出る

 第15節最終日の第2試合は松尾幸造と丸山二三雄の両左腕の先発で午後3時12分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 中部は初回、先頭の古川が四球を選んで出塁するが、杉浦清監督のニゴロが「4-6-3」と渡ってダブルプレー、しかし小鶴がツーストライクナッシングから粘って四球を選び、加藤正二の右前打で二死一二塁、大沢清が珍しく引っ張って三遊間を破るタイムリーを放ち1点を先制、続く藤原も四球を選ぶが、岩本は三ゴロに倒れて1点止まり。

 グ軍は3回裏、先頭の丸山が左前に流し打って出塁、宮崎の捕邪飛は送りバント失敗か、トップに返り安井が四球を選び、河西もストレートの四球で一死満塁、田川が中前に同点タイムリーを放ち1-1、山本一人監督の遊ゴロ併殺崩れの間に三走安井が還って2-1と逆転、二死一三塁からダブルスチールを決めて3-1とする。

 グ軍は5回裏、先頭の宮崎が左前打で出塁、トップに返り安井も左前打、河西の投前送りバントが野選を誘って無死満塁、田川が押出し四球を選んで4-1、山本の左前タイムリーで5-1、堀井が左中間に2点タイムリー二塁打を放ち7-1、無死二三塁から岡村の一ゴロで三走山本が還って8-1、一死三塁となって木村勉の遊ゴロで三走堀井も還り9-1として試合を決める。

 丸山二三雄は4安打7四球7三振の完投で13勝目をマーク、近藤貞雄に並んでハーラートップタイに躍り出る。5回まで6四球と苦しいピッチングが続いたが、129球で2回以降を無失点に抑える力投であった。

 グ軍は今節5勝0敗で6連勝、丸山、別所、松川の3本柱がオール完投で2勝ずつをあげている。

 中部は初回、2安打3四球ながら3残塁で1点止まり。グ軍は5回、4安打1四球で4得点から内野ゴロで2点を追加して残塁無しの6得点。中部打線は8球団随一の強力打線であるが、この差が順位差に直結している。

2020年11月15日日曜日

21年 阪急vsゴールドスター 8回戦

8月12日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 1 0 4 0 1 2 2 11 阪急 37勝30敗 0.552 溝部武夫
0 1 1 0 0 0 0 3 0  5  ゴ軍 21勝36敗1分 0.368 江田孝 内藤幸三

勝利投手 溝部武夫 4勝0敗
敗戦投手 江田孝    1勝7敗

二塁打 (急)荒木2、上田、青田、坂井、日比野 (ゴ)大友2、坪内
三塁打 (急)野口二郎 (ゴ)菊矢

勝利打点 (急)荒木茂 1

猛打賞 (急)上田藤夫 10、坂井豊司 3、日比野武(4安打)2、荒木茂 1


阪急、19安打で快勝

 第16節の最終日は溝部武夫と江田孝の先発で午後1時丁度、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は初回、先頭の山田伝が四球を選んで出塁、上田が一塁に内野安打、青田は遊飛に倒れて一死一二塁、野口明のニゴロをセカンド大友が二塁ベースカバーのショート酒沢に送球するがセーフ、野選が記録されて一死満塁、坂井豊司のニゴロの間に三走山田が還って1点を先制する。

 ゴ軍は2回裏、先頭の菊矢が四球を選んで出塁、早川は中飛に倒れるが、坂本勲が三塁に内野安打、辻功は三振に倒れて二死一二塁、江田が中前に同点タイムリーを放ち1-1とする。

 阪急は3回表、先頭の青田がストレートの四球で出塁、野口明は投前内野安打、坂井もストレートの四球で無死満塁、日比野の中犠飛で2-1と勝ち越す。

 ゴ軍は3回裏、一死後坪内がレフト線に二塁打、田中宣顕の遊ゴロで坪内は三塁に走り、ショート上田がサードの坂井に送球するがセーフ、野選の間に打者走者の田中が二塁に向かい、サード坂井から二塁ベースカバーのセカンド荒木に送球されてタッチアウト、しかしこの間に三走坪内がホームに還る好走塁を見せて2-2の同点に追い付く。

 阪急は5回表、一死後坂井が左前打で出塁、日比野も左前に痛烈なヒット、鳥居兵治に代わる代打野口二郎はストレートの四球で一死満塁、ここで荒木がレフト線に2点タイムリー二塁打を放ち4-2と勝ち越し、溝部がストレートの四球を選んで再度一死満塁、トップに返り山田が左前に2点タイムリーを放ち6-2と突き放す。

 阪急は7回表、二死後上田がライト線に二塁打、青田の右前タイムリーで7-2とする。

 阪急は8回表、一死後日比野が左前打で出塁、野口二郎が左中間にタイムリー三塁打を放ち8-2、荒木もレフト線にタイムリー二塁打を放ち9-2とダメ押す。

 ゴ軍は8回裏、先頭の田中が中前打で出塁、菊矢は捕邪飛に倒れるが、早川が左前打を放って一死一二塁、続く坂本も左前打、レフト青田からの返球をピッチャー溝部がエラーする間に三塁に達していた田中がホームに還って3-9、一走早川は三塁に、打者走者の坂本も二塁に達して一死二三塁、辻に代わる代打内藤が右前に2点タイムリーを放ち5-9と追い上げるが、江田に代わる代打末崎の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 ゴ軍の9回のマウンドには代打でタイムリーヒットを打った内藤が上がる。

 阪急は9回表、先頭の上田は三振に倒れるが、青田がレフト線に二塁打、野口明の投ゴロに青田が飛び出して二三塁間でタッチアウト、打者走者の野口明は二塁に進み、坂井がレフト線にタイムリー二塁打を放ち10-5、日比野もレフト線にタイムリー二塁打で続いて11-5と再度突き放す。

 溝部武夫は14安打2四球4三振で完投、無傷の4勝目をマークする。

 阪急は19安打で14残塁、ゴ軍は14安打で9残塁の乱打戦となった。

 阪急は第16節を3勝2敗、勝った3試合は全て二桁得点であった。打線が好調であることは確かだが、あっさりと負ける試合も多い。

 荒木茂が5打数3安打3打点、二塁打2本の活躍を見せた。好打者の揃う阪急打線では打力で少し見劣りし、前日のグ軍戦ではチャンスで悉く凡退して敗因となっていたが、この日は見事に雪辱した。

*昭和25年大洋ホエールズ時代のチームサイン色紙に残された荒木茂の直筆サイン。左は中津正三、右は岩本信一。



2020年11月11日水曜日

21年 グレートリングvs阪急 9回戦

8月11日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 2 0 2 0 4 グ軍 36勝22敗 0.621 別所昭 
0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 阪急 36勝30敗 0.545 今西錬太郎

勝利投手 別所昭        9勝5敗
敗戦投手 今西錬太郎 2勝3敗

二塁打 (急)坂井

勝利打点 なし

猛打賞 (急)野口明 4、坂田清春 1


2安打のグ軍が13安打の阪急に勝つ

 第2試合は別所昭と今西錬太郎の先発で午後2時40分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 グ軍は初回、二死後田川の当りは遊ゴロ、これをショート上田がエラー、山本一人監督の中前打で二死一二塁、しかし堀井は投ゴロに倒れて無得点。

 阪急は2回裏、二死後野口明が中前打で出塁、坂田清春の右前打で二死一三塁、しかし荒木茂は三振に倒れて無得点。

 阪急は3回裏、先頭の今西が右前打 グ軍は2回、3回、4回と三者凡退。5回は先頭の岡村が四球で歩くが、木村勉の投ゴロが「1-6-3」と渡ってダブルプレー。で出塁、トップに返り山田伝の遊ゴロでランナーが入れ替わり、、山田が二盗を試みるがキャッチャー木村からの送球にタッチアウト。

 阪急は4回裏、二死後野口二郎が三塁に内野安打、野口明が右前打、坂田は四球を選んで二死満塁、しかし荒木は二飛に倒れて無得点。

 阪急は5回裏、一死後山田が左前打で出塁、坂井も中前打で続いて一死一二塁、しかし上田の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 5回まで0対0であるがグ軍は1安打、阪急は7安打と圧倒的に阪急が優勢に試合を進める。

 グ軍は6回表、先頭の宮崎仁郎が四球を選んで出塁、トップに返り安井が中前打、河西の投前送りバントを今西がファンブル、犠打とエラーが記録されて無死満塁、次のプレーは珍しい。田川の当りは右前に落ちるが、三走宮崎はハーフウェイからスタートできず、野口二郎からのバックホームで本塁封殺、記録はライトゴロとなって一死満塁、山本の三ゴロは「5-4-3」と転送されるが一塁セーフ、併殺崩れとなって三走安井はホームイン、二走河西も三塁ベースを蹴ってホームに還る好走塁を見せて2点を先制する。

 阪急は6回裏、先頭の青田が二遊間にヒット、野口二郎の三ゴロの間に青田は二進、野口明の中前タイムリーで1-2、センター田川からのバックホームが悪送球となる間に打者走者の野口明は二塁に進み、坂田の右前打で一死一三塁、荒木の遊ゴロ併殺崩れの間に三走野口明が還って2-2の同点とする。

 阪急は7回裏、一死後坂井が左中間に二塁打を放つが、上田は遊ゴロ、青田は捕邪飛に倒れて無得点。

 グ軍は8回表、二死後安井が四球を選ぶと二盗に成功、河西の三ゴロをサード坂井がトンネルする間に二走安井が還って3-2と勝ち越し、バックアップのレフト青田からのバックホームの間に打者走者の河西は二塁に進み、今西の二塁牽制が悪送球となり、バックアップのセンター山田も後逸する間に河西が一気にホームに還って4-2とする。

 阪急は8回裏、二死後坂田が中前打、荒木に代わる代打日比野も中前打を放って二死一二塁、しかし今西は三振に倒れて無得点。9回も三者凡退でゲームセット。

 別所昭は13安打1四球3三振の完投で9勝目をマークする。

 グ軍は2安打で13安打の阪急に快勝した。安井と河西の走塁が勝因である。阪急は5失策を重ねて敗れた。グ軍ではショートの宮崎仁郎が10補殺を記録して無失策であった(チームとしては1失策)。

 勝ったチームが負けたチームより11本安打が少ないのは日本記録の可能性がある。


2020年11月8日日曜日

21年 中部日本vsゴールドスター 11回戦

8月11日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 中部 22勝33敗2分 0.400 松尾幸造 
0 0 0 0 0 2 0 0 X 2 ゴ軍 21勝35敗1分 0.375 内藤幸三

勝利投手 内藤幸三 10勝14敗
敗戦投手 松尾幸造   1勝9敗

二塁打 (中)大沢、服部 (ゴ)坪内、早川

勝利打点 (ゴ)菊矢吉男 4


内藤-松尾の初対決

 第16節4日目の第1試合は内藤幸三と松尾幸造の両ベテラン左腕の先発で午後零時55分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 松尾と内藤はプロ野球黎明期から投げ続けている古参同士であるが、不思議なことに両者の先発対決はこの試合が初めてである。ウソだと思ったら調べてみてください(笑)。

 ゴ軍は1回裏、二死後坪内が三塁に内野安打、サード小鶴が間に合わない一塁に悪送球する間に打者走者の小鶴は二塁に進む。このところ目に付く小鶴のエラーでゴ軍が先制のチャンスを作ったが、田中宣顕の四球後、末崎正隆は三振に倒れて無得点。

 ゴ軍は2回裏、先頭の内藤が三塁線にセーフティバントを決めて出塁、坂本勲の中前打で無死一二塁と初回に続いてチャンス到来、しかしキャッチャー藤原鉄之助からの二塁牽制に二走内藤が戻れず「2-6-5」と転送されてタッチアウト。これは内藤の走塁ミスとは言い切れない。打者辻功は初球を見逃しててストライク、この時藤原が内藤のリードが大きいのを見て二塁に送球した。これは送りバントのサインが出ていた可能性が高い。無死一二塁での送りバントの場合、二塁走者からは投球がストライクかボールかが分かるので、ストライクの場合どうしてもバットにボールが触れる直前に三塁方向に体重が移動する。これを打者がバントの構えから見逃すと、二塁走者は三塁へスタート体勢になっているのでキャッチャーからの二塁牽制には逆モーションとなってしまい帰塁できない。素人の解説者は「バットにボールが当たってからスタートを切らなきゃダメですね。」と解説するが、実際に二塁走者になってみれば、打者がバントの構えでストライクと判断すればどうしても三塁方向にスタートを切ってしまう。このようなケースで打者がストライクを見逃して二塁走者がアウトになった場合の責任は、走者よりも打者の方が重いのである。ということで一死一塁、辻は右前打を放って一死一二塁、しかし早川平一の遊ゴロが「6-4-3」と転送されてダブルプレー。

 ゴ軍はその後3回、4回と三者凡退。

 中部は5回表、先頭の岩本が左中間に三塁打、松尾は三振に倒れ、金山が四球から二盗を決めて一死一三塁、トップに返り古川の遊ゴロで三走岩本はホームを狙うが三本間に挟まれる。しかし挟殺プレーでキャッチャー辻の落球があって岩本が三塁に戻り一死満塁、しかし杉浦清監督は一邪飛、小鶴も三振に倒れて無得点。

 ゴ軍は5回裏、二死後早川が左中間にヒットを放つが二塁を欲張りタッチアウト。

 中部は6回表、先頭の加藤正二が右前打で出塁、加藤が二盗を決め、大沢清が珍しく引っ張って三ゴロ、この間に二走加藤は三進、藤原の左犠飛で1点を先制する。

 ゴ軍は6回裏、先頭の酒沢が中前打、これをセンター古川がファンブルする間に打者走者の酒沢は二塁に進み、大友一明の中前打で無死一三塁、坪内がレフト線に同点のタイムリー二塁打を放ち1-1、田中は浅い中飛に倒れて一死二三塁、末崎に代わる代打菊矢が決勝の右犠飛を打ち上げて2-1と勝ち越す。

 中部は9回表、二死後松尾に代わる代打服部がレフト線に二塁打、更に三盗を決めて二死三塁、しかし金山に代わる代打西沢は左飛に倒れてゲームセット。

 内藤幸三は6安打1四球6三振の完投で初めてとなる松尾との投げ合いを制し10勝目をマークする。

 内藤と松尾の先発対決が戦後になって初めてだったとは、歴史的大発見ですね(笑)。

2020年11月4日水曜日

21年 中部日本vs阪急 12回戦

8月10日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 1 4  5  中部 22勝32敗2分 0.407 森井茂 井上嘉弘 
0 2 0 6 1 0 0 6 X 15 阪急 36勝29敗 0.554 溝部武夫

勝利投手 溝部武夫 3勝0敗
敗戦投手 森井茂    9勝10敗

二塁打 (中)藤原、古川 (急)鳥居、坂田、荒木、上田
三塁打 (急)野口明

勝利打点 (急)坂田清春 3

猛打賞 (中)藤原鉄之助 4 (急)山田伝 7、上田藤夫(4安打)9


好調阪急、21安打で快勝

 第2試合は森井茂と溝部武夫の先発で午後3時丁度、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は2回裏、先頭の野口明の当りは三ゴロ、これをサード小鶴がエラー、この日六番ライトに起用された鳥居兵治が右中間に二塁打を放って無死二三塁、このチャンスに坂田清春が中前に2点タイムリーを放ち2-0とする。

 阪急は4回裏、先頭の坂田が左中間に二塁打、荒木茂もレフト線に連続二塁打で続いて3-0、溝部も中前にタイムリーを放ち4-0、トップに返り山田伝も中前打で無死一二塁、中部ベンチはここで先発の森井から井上嘉弘にスイッチ、しかし阪急の勢いは止まらず坂井豊司のレフト戦二塁打で無死満塁、上田のライト線タイムリーで5-0、青田は二飛に倒れて一死満塁、野口明が右中間に走者一掃の三塁打を放ち8-0、続く鳥居と坂田は連続二飛に倒れてこの回は6点止まり。

 阪急は5回裏、二死後山田が左前打から二盗に成功、坂井は四球を選んで二死一二塁、上田がレフト線にタイムリー二塁打を放ち9-0とする。

 中部は8回表、先頭の井上が右前打で出塁、金山の遊ゴロをショート上田がエラー、トップに返り古川は中飛に倒れるが、7回から杉浦清監督に代わってショートに入っている三村がストレートの四球を選んで一死満塁、小鶴の左犠飛で1点返して1-9とする。

 阪急は8回裏、先頭の坂井に代わって戦後2度目の出場となる田中幸男が代打に起用されるがニゴロ、一死後上田が4本目のヒットを左前に放って出塁、青田と野口明も左前打で続いて一死満塁、鳥居に代わる代打大平茂が左前に2点タイムリーを放ち11-1、坂田が四球を選んで再度一死満塁、荒木が中前に2点タイムリーを放ち13-1、溝部は三振に倒れ、トップに返り山田が四球を選んで二死満塁、ここでこの回2度目の打席に立った田中が昭和16年以来5年ぶりのヒットを左前に放ち、これが2点タイムリーとなって15-1とする。

 中部は9回表、先頭の大沢清が右中間にヒット、藤原も右前打を放って無死一二塁、石田政良に代わる代打岩本の当りも右前に抜けるが、投手も務める強肩のライト大平が二塁に送球して一走岩本はフォースアウト、記録はライトゴロで一死一三塁、井上の三ゴロをサード田中がエラーする間に三走大沢が還って2-15、金山の投前内野安打で一死満塁、トップに返り古川がレフト線に2点タイムリー二塁打を放ち4-15、三村の左犠飛で5-15まで追い上げるが反撃もここまで。

 溝部武夫は11安打2四球3三振で完投、3勝目をマークする。5失点ではあったが自責点は1であった。

 阪急は相変わらず打線が好調で、4回には6連打、8回には4連打もあって合計21安打の猛攻を見せた。

 小鶴誠が今季6本目の犠飛を記録して本堂保次、千葉茂に並んで「犠飛王」の座についた。小鶴の三塁守備は破綻しており中部低迷の原因となっている。打撃を活かして外野にコンバートするべきでしょう。


2020年11月1日日曜日

21年 グレートリングvsゴールドスター 8回戦

8月10日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 2 0 3 0 1 2 0 2 12 グ軍 35勝22敗 0.614 松川博爾 大橋一郎 
0 1 0 0 1 0 0 0 0  2  ゴ軍 20勝35敗1分 0.364 江田孝

勝利投手 松川博爾 6勝3敗
敗戦投手 江田孝    1勝6敗

二塁打 (ゴ)江田
三塁打 (グ)松川、筒井 (ゴ)坪内

勝利打点 (グ)岡村俊昭 1

猛打賞 (グ)河西俊雄 6、田川豊 3


グ軍、控え陣の活躍で大量得点

 第16節3日目の第1試合は松川博爾と江田孝の先発で午後1時丁度、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 グ軍は初回、一死後河西が四球を選ぶと二盗に成功、田川の右前打で一三塁、山本一人監督はストレートの四球で一死満塁、堀井は一邪飛に倒れるが、岡村が三遊間に2点タイムリーを放ち2-0、一走山本は二塁をオーバーランしてタッチアウトとなりスリーアウトチェンジ。これは二走田川のホームインをアシストしたものと考えられる。田川の得点が認められたのは山本のアウトよりも田川が早くホームインしたからであり、山本がゴ軍の中継を引き付けたものでしょう。このシーンはグ軍の機動力野球を象徴するものとして記憶しておきたい。
 グ軍は2回表、一死後松川が中前打で出塁、宮崎も左前打、トップに返り安井がストレートの四球を選んで一死満塁、河西が左前に2点タイムリーを放ち4-0とする。

 ゴ軍は2回裏、一死後大友が四球を選んで出塁、辻功の捕前ゴロをキャッチャー木村勉が二塁に悪送球、更に白球を拾い上げたセカンド安井も一塁に悪送球して大友は三進、打者走者の辻も二塁に進んで一死二三塁、江田のニゴロの間に三走大友が還って1-4とする。

 2回までに5安打を許した江田は3回表のグ軍の攻撃を三者凡退に退ける。

 ゴ軍は3回裏、先頭の中村信一がピッチャー強襲ヒット、酒沢は右前打、坪内も左前打で続いて無死満塁、ここで田中宣顕のサードライナーに一走坪内が飛び出しており「5-3」と送球されてダブルプレー、続く末崎は遊ゴロに倒れて無得点。ゴ軍はこの回、向かいかけていた流れを自ら放棄してしまった。

 グ軍は4回表、先頭の松川が四球で出塁、宮崎の投前送りバントを江田がファンブル、犠打とエラーが記録されて無死一二塁、トップに返り安井は中飛に倒れるが、河西が中前にタイムリーを放ち5-1、一走宮崎は三塁に進み、河西が二盗を決めて一死二三塁、田川が中前に2点タイムリーを放ち7-1として決定的リードを取る。

 ゴ軍は5回裏、一死後坪内が走塁ミスを挽回する右中間三塁打を放って出塁、田中のニゴロの間に坪内が還り2-7とする。

 グ軍は6回表、一死後6回の守備から宮崎に代わってショートに入っている桶川隆が右前打で出塁、トップに返り安井が左前打、河西も左前打で続いて一死満塁、田川の右犠飛ですかさず8-2と突き放す。

 グ軍は7回表、一死後岡村が右前打で出塁、6回の守備から木村に代わってマスクを被っている筒井敬三が三遊間にヒット、松川が左中間に2点タイムリー三塁打を放ち10-2とする。

 グ軍は9回表、8回の守備から岡村に代わってライトに入っている櫛田由美彦が中前打で出塁、筒井が左越えにタイムリー三塁打を放ち11-2、8回から先発の松川をリリーフ下大橋一郎が四球を選び、桶川は浅い右飛に倒れて一死一三塁、トップに返り安井のニゴロ併殺崩れの間に三走筒井が還って12-2とする。

 松川博爾は7イニングを7安打4四球1三振2失点に抑えて6勝目をマークした。

 江田孝は6安打7四球12失点で完投した。

 3裏と4表の攻防で決まった試合であった。ゴ軍が3回裏に少しでも追い付いていたら試合の展開は分からなかった。

 グ軍は大量リードということもあってレギュラー陣を休ませて試合途中から順次控え選手を繰り出したが、その控えがことごとく活躍した。長期シーズンを見据えて夏場にレギュラー陣を休ませる山本一人監督の戦略が功を奏したのである。

 8回から松川をリリーフした大橋一郎はこれが今季唯一にしてプロでは最後の登板となった。この試合で大橋一郎が付けた背番号「19」は、京都商業時代の盟友である神田武夫が戦前に付けていたものであった。


2020年10月29日木曜日

21年 ゴールドスターvs中部日本 10回戦

8月9日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 2 0 0 2 0 0 0 0 5 ゴ軍 20勝34敗1分 0.370 内藤幸三 
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 中部 22勝31敗2分 0.415 服部受弘

勝利投手 内藤幸三 9勝14敗
敗戦投手 服部受弘 6勝4敗

勝利打点 (ゴ)田中宣顕 2

猛打賞 (ゴ)中村信一 3、内藤幸三 2


ゴ軍、全て短打の15安打で快勝

 本日の第2試合は内藤幸三と服部受弘の先発で午後3時丁度、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 中部は金山次郎が久しぶりに二番セカンドでスタメン出場、杉浦清監督が初めて三番に入った。

 ゴ軍は初回、先頭の中村信一が左前打で出塁、酒沢のニゴロの間に中村は二進、坪内は左飛に倒れるが、田中宣顕が中前にタイムリーを放ち1点を先制する。

 ゴ軍は2回表、先頭の内藤が二塁に内野安打、大友が中前打、辻功の投ゴロで二走内藤は三封、これは送りバント失敗か、一死一二塁から坂本勲がライト線にタイムリーを放ち2-0、一走辻は三塁に進み、更に本塁も狙うがタッチアウト、この間に打者走者の坂本は二塁に向かい、トップに返り中村の左前タイムリーで3-0とリードを広げる。

 ゴ軍は5回表、先頭の坂本の当りは三ゴロ、これをサード小鶴がエラー、トップに返り中村のニゴロの間に坂本は二進、酒沢が右前打から二盗を決めて一死二三塁、坪内が中前に2点タイムリーを放ち5-0と突き放す。

 中部は5回裏、先頭の古川が中前打で出塁、金山の三塁線ヒットで古川が三塁に進んで無死一三塁、杉浦の左前タイムリーでようやく1点を返す。

 内藤幸三は6回以降中部の反撃を許さず、7安打3四球6三振の完投で9勝目をマークする。
 ゴ軍は全て短打で15安打、3回を除いて毎回安打であった。

 中部は打線組み換え効果での得点はあったが全体につながりを欠いた。杉浦監督に代わって選手の入れ替えなどで調子を上げていたがここにきて勢いが落ちている。6球団随一の重量打線を持ちながらチームが一つにまとまっていないことが原因である。

 「お家騒動」と言えばタイガースの代名詞のようなものであるが、中部日本にも同様の構造がある。プロ野球草創期、新愛知新聞が「名古屋軍」、名古屋新聞が「金鯱軍」を結成してプロ野球に参入した。プロ野球創設のきっかけとなった昭和9年の日米野球では、主催の読売新聞は将来のプロ野球参入を見込んで鳴海球場の試合の主催権利を新愛知新聞に譲った。読売の思惑通り新愛知新聞が「名古屋軍」を結成してプロ野球に参入したが、ライバルの名古屋新聞も黙っておらず「金鯱軍」を結成してプロ野球に参入した。ところが戦時中の「新聞統制」により新愛知新聞と名古屋新聞が統合させられたことにより、旧新愛知新聞派と旧名古屋新聞派による派閥争いが続くことになる。現在の中日ドラゴンズのルーツは新愛知新聞が結成した「名古屋軍」とされているが、戦前-戦中-戦後を通して旧名古屋新聞派の赤嶺昌志が最大の功労者であったという複雑な経緯が中部日本の「お家騒動」のルーツであり、赤嶺昌志が「赤嶺旋風」を引き起こすきっかけは、このような経緯によるものである。

2020年10月27日火曜日

21年 阪急vsグレートリング 8回戦

8月9日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 35勝29敗 0.547 天保義夫 今西錬太郎 
0 0 0 4 0 1 0 1 X 6 グ軍 34勝22敗 0.607 丸山二三雄

勝利投手 丸山二三雄 12勝9敗
敗戦投手 天保義夫    10勝6敗

二塁打 (急)上田、青田 (グ)岡村、丸山
三塁打 (グ)田川

勝利打点 (グ)堀井数男 6


岡村俊昭、2試合連続3打点の活躍

 第16節2日目の第1試合は天保義夫と丸山二三雄の先発で午後1時5分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は初回、先頭の上田の当りは右中間を破り、上田は二塁ベースを蹴って三塁を狙うがライト岡村からの送球を中継したセカンド安井の三塁送球でタッチアウト、山田伝が一二塁間に内野安打、青田のニゴロで山田が二封されて二死一塁、ここでファースト山本一人監督の「隠し球」に青田が引っ掛かりタッチアウト。山本が白球を握っていたのは青田のニゴロが「4-6-3」と転送されたが一塁セーフとなったからでしょう。5月23日にパシフィック辻井弘の「隠し球」にグ軍の筒井敬三が引っ掛かって以来、戦後2度目の「隠し球」であった。

 グ軍は1回裏、二死後田川が右前打で出塁、山本が四球を選んで二死一二塁、ここでダブルスチールを決めて二死二三塁、しかし堀井は投ゴロに倒れて無得点。

 阪急は2回表、先頭の野口明がストレートの四球で出塁するが、坂井の投ゴロが「1-6-3」と渡ってダブルプレー。

 阪急は3回表、先頭の荒木茂が四球で出塁、大平茂の左前打で無死一二塁、続く天保はスリーボールツーストライクから三振、この時一走荒木が離塁しておりキャッチャー木村勉は一塁に送球、二走荒木が三塁に向かうとファースト山本がサード河西に送球して荒木はタッチアウトとなり記録は併殺、この間に大平は二塁に進んで二死二塁、トップに返り上田の三遊間のゴロが大平に当たって守備妨害でスリーアウトチェンジ。

 グ軍は4回裏、先頭の田川が中越えに三塁打、山本の中飛は浅い当りで田川は動かず、堀井が中前に先制タイムリーを放ち1-0、岡村の左中間タイムリー二塁打で2-0、木村も中前にタイムリーを放ち3-0、バックホームの間に打者走者の木村は二塁に進み、丸山が中越えにタイムリー二塁打を放ちこの回4点、4-0とリードする。

 グ軍は6回裏、先頭の山本が四球で出塁、堀井の右前打で無死一三塁、岡村のニゴロの間に三走山本が還って5-0とする。

 阪急は7回から先発の天保に代えて今西錬太郎をマウンドに送る。

 グ軍は8回裏、先頭の田川の遊ゴロをショート上田がエラー、山本が送って一死二塁、堀井の遊飛を上田が落球、一死一二塁からダブルスチールを敢行するが田川はキャッチャー日比野からの送球に刺されて盗塁失敗、堀井は当然二塁に残って二死二塁、岡村の二遊間タイムリーで堀井が還って6-0とする。

 丸山二三雄は得意のカーブが冴えて6安打5四球4三振で今季3度目の完封、12勝目をマークする。好調阪急打線を抑える好投であった。

 阪急は今季10回目の完封負けでゴ軍と並んで6球団ワースト記録。次はセ軍の6回なのでゴ軍と阪急の10回は他を大きく引き離している。ゴ軍は最下位争いをしているので分かるが、上位争いを繰り広げてきた阪急は打てない時はからっきしダメ。好選手が揃っているが、これといった決め手に欠けるところが原因でしょうか。

 しばらく休んでいて復帰してきた岡村俊昭が2試合連続3打点の活躍。タ軍に4ゲーム差で首位を狙うグ軍の勢いが増してきた。


2020年10月23日金曜日

21年 阪急vs中部日本 11回戦

8月8日 (木) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 6 4 2 0 0 0 14 阪急 35勝28敗 0.556 笠松実
2 0 0 0 0 1 1 2 0  6  中部 22勝30敗2分 0.423 松尾幸造 西沢道夫

勝利投手 笠松実     8勝8敗
敗戦投手 松尾幸造 1勝8敗

二塁打 (急)笠松、大平 (中)西沢、小鶴、古川
三塁打 (急)上田

勝利打点 (急)坂田清春 2

猛打賞 (急)山田伝(4安打)6、笠松実(4安打)1


笠松デー

 第16節初日の第2試合は笠松実と松尾幸造の両ベテランの先発で午後3時3分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 中部は初回、先頭の古川清蔵が中前打、これをセンター山田伝が後逸して古川は一気に三塁に進み、杉浦清監督の三塁内野安打で古川は三塁ストップして無死一三塁、小鶴誠の中犠飛で1点を先制、加藤正二の中前打で杉浦は三塁に進んで一死一三塁、大沢清は三振に倒れて二死一三塁、ここで三走杉浦が単独ホームスチールを決めて2-0とする。

 阪急は3回表、二死後九番笠松が中前打で出塁、トップに返り上田藤夫は四球を選んで二死一二塁、山田の右前タイムリーで1-2、上田は三塁に進み、山田が二盗を決めて二死二三塁、青田昇の左前タイムリーで2-2の同点に追い付く、二走山田も三塁ベースを蹴ってホームを狙うがレフト岩本章からのバックホームにタッチアウトで同点止まり。

 阪急は4回表、先頭の野口二郎の当りは三ゴロ、これをサード小鶴がエラー、続く野口明のニゴロもセカンド三村勲がエラーして無死一二塁、坂井豊司の左前打で無死満塁、坂田清春が右前に2点タイムリーを放ち4-2と勝ち越し、一走坂井は三塁に進み、送球の間に打者走者の坂田も二塁に進んで無死二三塁、荒木茂の左犠飛で5-2、二走坂田もタッチアップから三塁に進んで一死三塁、笠松の中前タイムリーで6-2、トップに返り上田が右中間にタイムリー三塁打を放ち7-2、続く山田がカウントツーボールツーストライクから2球ファウルを続けたところで中部ベンチは先発の松尾から西沢道夫にスイッチ、その初球を山田が左前にタイムリーしてこの回一挙6点、8-2とする。

 阪急は5回表、一死後坂井が左前打、坂田も右前打で続いて一死一二塁、荒木の三ゴロをサード小鶴がエラーする間に二走坂井が還って9-2、笠松がレフトにタイムリー二塁打を放ち10-2、トップに返り上田が四球を選んで一死満塁、山田の左前タイムリーで11-2、青田の左犠飛でこの回4点、12-2とする。

 阪急は6回表、先頭の野口明に代わる代打森田定雄が四球で出塁、坂井も四球を選んで一二塁、二死後笠松が右前に3打席連続タイムリーを放ち13-2、トップに返り上田も右前にタイムリーを放ち14-2とする。

 中部は6回裏、一死後大沢が得意の右前打で出塁、藤原鉄之助も右前打を放って一二塁、二死後西沢のタイムリー二塁打で3-14と反撃開始。

 中部は7回裏、一死後6回の守備から杉浦監督に代わってショートに入っている金山次郎が中前打、小鶴が中越えにタイムリー二塁打を放ち4-14とする。

 中部は8回裏、二死後西沢が左前打で出塁、7回の守備から三村に代わってセカンドに入っている山本尚敏が四球を選んで一二塁、トップに返り古川が右中間にタイムリー二塁打を放ち5-14、金山が二遊間にタイムリーを放ち6-14とするが反撃もここまで。

 笠松実は14安打を許しながら2四球5安打で完投、8勝目をあげる。打っては5打数4安打3得点3打点で3打席連続タイムリーを放つ活躍。本日は笠松デーであった。


2020年10月20日火曜日

21年 ゴールドスターvsグレートリング 7回戦

8月8日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ゴ軍 19勝34敗1分 0.358 石田光彦 江田孝 
0 2 6 0 0 0 0 0 X 8 グ軍 33勝22敗 0.600 松川博爾

勝利投手 松川博爾   5勝3敗
敗戦投手 石田光彦 10勝14敗

二塁打 (グ)山本、岡村

勝利打点 (グ)松川博爾 2

猛打賞 (グ)山本一人 9


松川博爾、2安打完封

 第16節は西宮で5日間、ゴ軍、グ軍、阪急、中部の4チームのみによる10試合の変則開催。巨人、タ軍、セ軍、パ軍の札幌遠征組は北海道近隣地区で非公式試合(オープン戦)を行った可能性がある。まだ未調べですが、これは資料が残っているでしょう。

 初日の第1試合は石田光彦と松川博爾の先発で午後1時2分、杉村主審の右手が上がりプレイボール。

 グ軍は2回裏、先頭の山本一人監督が左前打で出塁、堀井数男の中前打で山本は三塁に進んで無死一三塁、堀井が二盗に失敗して一死三塁、木村勉は遊ゴロに倒れて二死三塁、岡村俊昭が四球から二盗を決めて二死二三塁、松川が中前に先制の2点タイムリーを放ち2-0とする。

 グ軍は3回裏、先頭の安井亀和が三塁に内野安打、河西俊雄は左前打、田川豊は二遊間ヒットでグ軍自慢の上位打線が無死満塁のチャンスを作ると、山本が左中間に2点タイムリー二塁打を放ち4-0、堀井はストレートの四球で再度無死満塁、木村の左前タイムリーで5-0、更に岡村が左中間に走者一掃の二塁打を放ち8-0と大きくリードする。一死後宮崎仁郎の左前打で一三塁とするとダブルスチールを試みるが三走岡村の本盗は失敗。

 松川博爾は初回、先頭の中村信一に左前打から二盗を許して無死二塁のピンチを迎えるが後続を抑え、2回に先制の2点タイムリーを放つとピッチングでも調子の波に乗り4回に末崎正隆に三遊間ヒットを許しただけの好投で、5回以降はゴ軍打線を無安打に抑え、2安打2四球2三振でプロ入り初完封、5勝目をマークする。

 山本一人監督はサードを守ることが多く、後半戦もサードに入っていたがこの試合ではファーストに入った。鶴岡一人の自伝「御堂筋の凱歌」には「賭け屋との対決」の項で「八百長対策」について触れており、「南海でなんとなく臭いと思われたのは、21年再開第1年度の夏ごろであったが、八百長やるのは、投手、二塁、センターを結ぶ中心線が多いということを聞かされていたので、ぼくは三塁手であったが、それらの線のよく見える一塁を守って監視の目を注いだりした。」と書いている。この試合のことです。鶴岡の目には、相手の石田光彦の投球はどう映ったでしょうか。

*現在「野球殿堂博物館」で特集展示「鶴岡一人と南海ホークス」が開催されています(12月20日までの予定)。

2020年10月18日日曜日

21年 第15節 週間MVP

週間MVP

投手部門
 阪急 溝部武夫 1
 2勝0敗。後半戦好スタートの阪急快進撃は溝部の復帰によるもの。

打撃部門
 阪急 野口二郎 1
 23打数10安打6得点7打点。野口の31試合連続ヒットは8月末にスタートするが、今節まで2割台中頃に低迷していた野口二郎の快進撃を予感させる打撃ぶりであった。

殊勲賞
 阪急 青田昇 2
 23打数8安打6得点9打点、V打2個。

 グレートリング 安井亀和 3
 20打数9安打7得点4打点。8月1日の中部戦で決勝の逆転スリーラン。

 パシフィック 森下重好 2
 12打数7安打、二塁打3本、3試合で猛打賞2回。

 パシフィック 伊勢川真澄 1
 12打数6安打1得点4打点。8月5日のタ軍戦で4打数4安打3打点。

敢闘賞
 ゴールドスター 坪内道則 2
 20打数11安打3得点4打点、二塁打4本、三塁打1本。

 タイガース 金田正泰 3
 15打数10安打7得点6打点、二塁打2本、三塁打2本。

 阪急 山田伝 2
 21打数10安打6得点3打点。

 タイガース 本堂保次 2
 13打数7安打1得点3打点。

技能賞
 中部日本 岩本章 1
 8月4日のゴ軍戦で決勝犠飛を含む2犠飛。

 グレートリング 木村勉 2
 約1か月ぶりの出場ながら17打数7安打2得点2打点3盗塁。

2020年10月15日木曜日

21年 パシフィックvsタイガース 9回戦

8月5日 (月) 札幌円山

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 1 2 0 1 0 0 0  4  パ軍 21勝36敗2分 0.368 森下重好 真田重蔵 
1 2 1 0 1 3 0 2 X 10 タ軍 38勝18敗 0.679 渡辺誠太郎 野崎泰一

勝利投手 野崎泰一 4勝6敗
敗戦投手 森下重好 0勝1敗

二塁打 (パ)森下、木暮、中谷、伊勢川 (タ)本堂、金田、渡辺
三塁打 (タ)金田

勝利打点 (タ)土井垣武 8

猛打賞 (パ)森下重好 9、伊勢川真澄(4安打)3 (タ)金田正泰(5安打)14


パ軍の追い上げをタ軍が突き放す

 第15節最終戦、札幌円山の第2試合は午後3時50分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 タ軍の先発は一昨日先発して3イニングで交代した渡辺誠太郎と順当な起用。一方、パ軍は何と森下重好がプロ入り初登板のマウンドに上がる。

 タ軍は初回、先頭の金田正泰がいきなり右中間に三塁打、土井垣武の中前タイムリーで1点を先制する。

 タ軍は2回裏、先頭の渡辺が四球で出塁、高山泰夫は三振に倒れるが、長谷川善三の中前打で一死一三塁、塚本博睦のピッチャー返しが森下ののグラブを弾き、バックアップしたセカンド松井信勝からの一塁送球に塚本はアウト、この間に三走渡辺が還って2-0、二死二塁となってトップに返り金田の右前タイムリーで3-0とする。

 パ軍は3回表、先頭の木暮力三がライト線に二塁打、白石敏男の一塁線タイムリーで1点返して1-3とする。

 タ軍は3回裏、先頭の藤村冨美男が中前打、本堂保次の左中間タイムリー二塁打で4-0、先発森下はここで交代、真田重蔵がリリーフのマウンドに上がって後続を抑える。

 無死二塁で真田がリリーフに出て最初の打者となった御園生崇男の記録は投ゴロ併殺であるが、二走本堂にインターフェアランスが記録されている。二走本堂が「×1」でワンアウト、打者御園生の記録は投ゴロで「1-3」と送球されてツーアウトで「併殺」が記録された。二走本堂が直接ピッチャー真田の守備を妨害するとは考えられないので、御園生のショート寄りの打球が本堂に当たり、跳ね返った打球を真田が拾い上げて一塁に送球したものと考えられる。これだと御園生の記録は投ゴロとなる。実質的には守備妨害と言うよりアシストですが・・・。

 パ軍は4回表、先頭の中谷順次がレフト線に二塁打、富松信彦は四球を選んで無死一二塁、真田の三ゴロで富松は二封、何故か二走中谷は進塁しておらず一死一二塁、伊勢川真澄が左中間に2点タイムリー二塁打を放ち3-4と追い上げる。タ軍ベンチは先発の渡辺を一塁に回し、野崎泰一をリリーフのマウンドに送って後続を抑える。

 タ軍は5回裏、先頭の金田が三塁に内野安打、次の記録は土井垣の投ゴロで金田は二進したが土井垣は守備妨害でアウト、これは一塁線送りバントで土井垣が真田の守備を妨害したと考えられる。金田の進塁は認められて一死二塁、藤村の三塁内野安打で一死一三塁、藤村が二盗を決めて一死二三塁、本堂の左前タイムリーで5-3と突き放す。

 パ軍は6回表、先頭の富松が右前打から二盗に成功、真田のニゴロが進塁打となって一死三塁、伊勢川が又も左前にタイムリーを放ち4-5と追い上げる。

 タ軍は6回裏、一死後長谷川が左前打で出塁、塚本が四球を選んで一死一二塁、トップに返り金田がライト線にタイムリー二塁打を放ち6-4、一死二三塁から土井垣が中前に2点タイムリーを放ち8-4と突き放す。

 タ軍は8回裏、先頭の塚本が四球で出塁、トップに返り金田がこの日5本目のヒットをライト線に放って無死一二塁、土井垣はストレートの四球で無死満塁、藤村の遊ゴロをショート白石が二塁に悪送球する間に三走塚本が還って9-4、更に無死満塁から本堂の二ゴロ併殺の間に三走金田が還って10-4とダメ押して試合を決める。

 リリーフの野崎泰一は5回3分の2を6安打1四球無三振1失点に抑えて4勝目をマークする。

 パ軍は中盤までよく喰らい付いていったが、タ軍の波状攻撃にしてやられた。

 プロ入り初登板となった森下重好は2回3分の0を投げて6安打2四球2三振、4失点、自責点4の成績。森下の今季の登板はこの試合だけなので、0勝1敗、防御率18.00の記録を残すこととなった。本職の打撃の方は5打数3安打二塁打1本と、相変わらず好調をキープしている。


2020年10月14日水曜日

21年 中部日本vs阪急 10回戦

8月5日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 中部 22勝29敗2分 0.431 西沢道夫 松尾幸造 
2 1 0 0 0 0 0 0 X 3 阪急 34勝28敗 0.548 溝部武夫

勝利投手 溝部武夫 2勝0敗
敗戦投手 西沢道夫 5勝7敗

二塁打 (中)小鶴 (急)上田、坂田、坂井

勝利打点 (急)野口明 2

猛打賞 (急)野口二郎 1


溝部武夫、4安打1失点完投勝利

 西宮の第2試合は西沢道夫と溝部武夫の先発で午後3時10分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 中部は初回、先頭の古川清蔵が左前打で出塁すると二盗に成功、杉浦清監督の三塁内野安打でで無死一三塁、小鶴誠の三ゴロをサード坂井豊司がエラーして1点を先制、小鶴には打点が記録された。古川は8月1日のグ軍戦では2個の手痛い盗塁失敗があったが、この日は下手投げの溝部ということで初回から積極的な走塁を見せた。

 阪急は1回裏、先頭の上田藤夫が左中間に二塁打、山田伝は三ゴロ、青田昇の遊ゴロの間に上田は三進、野口二郎が右前に同点タイムリーを放ち1-1、ライト加藤正二からの返球をショート杉浦が逸らす間に野口二郎は二塁に進み、野口明が左前にタイムリーを放ち2-1と逆転に成功する。ここは杉浦の小さなミスが痛かった。

 阪急は2回裏、一死後荒木茂がストレートの四球で出塁、溝部も四球を選び、トップに返り上田の中前打で一死満塁、中部ベンチはここで西沢から松尾幸造にスイッチするが、山田が左前にタイムリーを放ち3-1とする。続く青田の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 阪急は3回も野口二郎が右前打で出塁するが野口明のファーストライナーに戻れずゲッツー、4回も一死一塁から上田の三ゴロが「5-4-3」と渡って3イニング連続ダブルプレー。

 松尾は8回までの6イニング3分の2で7安打を打たれるが無四球のピッチングで無失点に抑える。

 溝部は初回こそ2安打で1点を失ったが2回以降は中部打線を2安打無失点に抑え、7回からは9回まで3イニング連続三者凡退と尻上がりに調子を上げる好投、結局4安打1四球1三振の完投で2勝目をあげる。

 シーズン当初首位を走っていた阪急は前半戦終盤は失速気味であったが、後半戦スタートの5連戦を4勝1敗で乗り切った。要因は溝部の加入にある。

 戦前は中田武夫の登録名で投げていた溝部武夫は前半戦終盤の7月26日の中部戦でリリーフ登板して3年ぶりに復帰、8月2日の中部戦で復帰後初先発して7回3分の0を投げて戦後初勝利を飾った。この試合では4失点であったが、満塁の走者を残して降板した後にリリーフの天保義夫が打たれて3失点が加わったものである。2度目の先発となった本日は下手からの変化球が冴えて強打の中部打線を翻弄した。ヒットを打たれたのは一番古川に1本、二番杉浦に1本、三番小鶴に2本だけで、四番以降は無安打に抑え込んだ。


2020年10月12日月曜日

感動

  久しぶりに面白いネット記事を見つけましたのでご紹介します。

「働き方改革」と称し、年代や成長ステージ、労働意欲の違いに関わらず一律に規制しようとする昨今。そのため「ブラック企業」と批判されやすい、長時間労働、厳しいプレッシャーとノルマ、低い給与で膨大な仕事量の会社。

しかし私は逆に、そのような環境は、未熟な自分を鍛えてくれる養成ギプスのようなものであり、結果的には仕事の実力を高めるチャンスだと考えています。

たとえば陸上競技。全力で走ったときのスピードが遅い人は、どう走っても遅い。しかし、全力で走ったときのトップスピードが上がれば上がるほど、流して走ったときも速いものです。

仕事も同じく、量をこなすことでスピード感覚が身に付き、その量が質に転換する。私自身もそれを身をもって体験してきたし、私の周りで成功している起業家も、若き日は同じようにブラック的な働き方をしてきた人がほとんどだからです。

もうひとつは、自分に自信がつくことです。自分がどこまで頑張れるのか、自分の限界まで頑張ったときに、いったいどれくらいの力が出せるのか、知っている人はどれくらいいるでしょうか。

死に物狂いでがんばったという経験がなければ、自分がどれほどの力を持っているのかわからないし、その力をどうやって出せばいいかもわからないでしょう。

ギリギリまで追い込まれて、何度も「もう無理だ」「もう諦めよう」と思ったけど、なんとか乗り越えられた、無理じゃなかった、がんばったらできた。それが自信になる。

底力を出せる人間と、底力を出したことのない人間とでは、その後の職業人生に大きなさがつくのではないでしょうか。

そういう自分の中に眠る「底力」は、限界までがんばったときでなければ目を覚ましてくれないものです。そして、限界だと思っていた状況で踏ん張っていると、さらに遠い限界に行けるようになる。 

しかし、自分で自分を追い込めるほど、意志の強い人はそう多くありません。であれば強制的に追い込まれて、限界まで努力せざるを得ない環境に身を置くことが必要で、それがブラック的な働き方です。

部活動だって、全国大会常連の強豪校ほど練習はハードで、弱小校から見ればそれこそブラックでしょう。でも、だから選手たちは限界を超えて力をつけ、全国レベルで戦えるようになる。

◆人の限界はそれぞれ違う。休む勇気、逃げ出す勇気も必要

私はここで、精神を病むまで追い込まれたり、体調を崩すまで無理をすることを勧めているわけではありません。休憩なしにがんばっても集中力は続きません。

人の限界はそれぞれ違いますから、「これじゃもたない」という場面では休む勇気、逃げ出す勇気も必要です。

しかし、昨今の価値観である、残業が少なく休日出勤もなく、定時で帰れる超ホワイト企業を理想として働いていたらどうか。

それが実力と自信をつけた30代後半以降であれば、仕事と家庭の両立ができるうえに健康面からも理想的ですが、20代でその環境に慣れてしまうと、将来使い物にならない人材の一丁上がりというリスクをはらんでいます。

今やっていることが未来の自分を作ります。では自分はいったいどういう人物になりたいのか? どういう未来を理想としているのか? そう考えたとき、「ブラック企業はけしからん」とただ糾弾することが、個人の職業人生にとって本当に正しいことなのか。

寿命100年時代を迎えるという説が本当ならば、職業人生は70年近くあるかもしれないわけで、数年の武者修行など誤差の範囲。

「仕事はそこそこ」という価値観が覆っている時代のいま、20代で未来を見据え、自分の人生の初期に意図的にブラック労働を組み込める人こそ、末恐ろしい戦略家であると思います。

ちなみに採用側からすると、そんなことを言っては誰も入社してくれないし、早期離職を繰り返されて採用コストが上がるうえ、定着率が悪ければ将来を担う人材は育ちません。

今は前述のような価値観を企業が押し付けては人は採れないのです。あくまで働く個人サイドに立った考え方です。


 当ブログの場合、定年退職後1年半音沙汰の無かった元の職場から突然オファーが来たので、11月からまた働くことになりました。土日出勤や残業100時間は当たり前という職場です。もちろん、ベースボールプレイヤーとしての活動は続けますのでご安心ください(笑)。


野球週報2020 その38

10月5日(月) 休養日

10月6日(火) 秋葉原のバッティングセンターで110キロのストレートを2セット、カーブを1セット、スライダーを2セット。

10月7日(水) 天王洲アイルのグラウンドで品川ベースボールクラブの練習。先週の試合で走りまくって右膝に違和感があるのでキャッチャーはやりませんでした。

10月8日(木) 休養日

10月9日(金) 仕事の前にジムでストレッチとViPRトレーニング、ラン15分。

10月10日(土) 秋のリーグ戦第3戦は雨天中止

10月11日(日) 休養日。今週は右膝を休めることに専念。試合が中止になって助かりました。来週は試合が無いのでしばらくゆっくりします。まだ右膝を深く曲げると痛みがあります。こういう時はViPRトレーニングが最適。


2020年10月10日土曜日

21年 巨人vsセネタース 7回戦

8月5日 (月) 札幌円山

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 4 0 0 0 0 0 0 4 巨人 33勝24敗1分 0.579 多田文久三 
0 2 0 1 0 0 0 2 X 5 セ軍 24勝33敗 0.421 白木義一郎

勝利投手 白木義一郎 12勝10敗
敗戦投手 多田文久三   1勝1敗

二塁打 (巨)黒沢、川上 (セ)飯島
三塁打 (巨)林

勝利打点 なし


巨人、3位転落

 札幌円山の第1試合は多田文久三と白木義一郎の先発で午後2時丁度、桝主審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は藤本英雄が監督を降ろされてから登板を拒否しており、主軸の近藤貞雄が不振。ということで多田をキャッチャーからピッチャーにコンバートしてこの日が初先発となった。7月29日のテスト登板ではリリーフで3イニングを無失点に抑えて勝利投手となっている。このところ谷口記念治を試合途中からキャッチャーに起用して試運転してきたがこの日は先発マスク。

 セ軍は2回裏、一死後長持栄吉が四球で出塁、熊耳武彦の中前打で長持は三塁に進み、送球の間に打者走者の熊耳も二塁を陥れて一死二三塁、このチャンスに八番清水喜一郎がセンター右に2点タイムリーを放ち2-0とリードする。

 巨人は3回表、二死後黒沢俊夫がレフトに二塁打、川上哲治が左中間にタイムリー二塁打を放ち1-2、中島治康はストレートの四球で二死一二塁、多田の一塁線タイムリーで2-2の同点、中島は三塁に進み、ファースト飯島の送球ミスの間に中島も還って3-2と逆転、林清一が右中間にタイムリー三塁打を放ち4-2とする。

 セ軍は4回裏、白木、長持が連続四球、一死後清水の右前打で満塁、鈴木清一が押出し四球を選んで3-4と追い上げる。

 セ軍は8回裏、一死後長持がレフト線にヒット、熊耳は右飛に倒れるが、ライト中島型の返球が悪送球となる間に長持は二塁に進み、清水はストレートの四球で二死一二塁、鈴木がレフト線に同点タイムリーを放ち4-4、二死一二塁からトップに返り一言多十の三ゴロをサード宮下信明が一塁に悪送球、この間に二走清水が生還して5-4と逆転する。

 3回まで7安打を打たれた白木義一郎は4回以降を谷口の内野安打1本に抑え、8安打2四球2三振の完投で12勝目をマークする。

 セ軍は八番清水喜一郎と九番鈴木清一が2打点ずつを記録する活躍で巨人に逆転勝ちした。

 この結果、札幌で3連敗の巨人はグレートリングに抜かれて3位に転落したのである。

2020年10月8日木曜日

21年 グレートリングvsゴールドスター 6回戦

8月5日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 1 0 3 0 2 8 グ軍 32勝22敗 0.593 別所昭 
1 0 2 0 0 0 0 0 0 3 ゴ軍 19勝33敗1分 0.365 江田孝

勝利投手 別所昭 8勝5敗
敗戦投手 江田孝 1勝5敗

二塁打 (グ)田川、河西、阪本

勝利打点 なし


グ軍、がめつく加点

 第15節最終日、西宮の第1試合は別所昭と江田孝の先発で午後1時6分、国友主審の右手が上がりプレイボール。

 グ軍は初回、先頭の安井亀和がストレートの四球で出塁、河西俊雄の一前送りバントをファースト末崎正隆がファンブル、犠打とエラーが記録されて無死一二塁、田川豊が投前に送りバントを決めて一死二三塁、山本一人監督の三ゴロで三走安井がホームに突っ込むが、サード酒沢政夫からの本塁送球にタッチアウト、一死一三塁からダブルスチールを敢行、河西の本盗が決まって1点を先制、二死二塁から堀井数男の中前タイムリーで2-0とする。

 グ軍らしいがめつい点の取り方であった。

 ゴ軍は1回裏、先頭の中村信一が右前打で出塁、酒沢の遊ゴロをショート宮崎仁郎がベースを踏んでから一塁に送球するが悪送球、打者走者の酒沢は二塁に進んで一死二塁、坪内道則の遊ゴロの間に酒沢は三進、田中宣顕の遊ゴロを宮崎がエラーする間に三走酒沢が還って1-2とする。3本連続遊ゴロで宮崎は2失策。

 ゴ軍は3回裏、一死後中村が中前打で出塁、酒沢は中飛に倒れるが、坪内の右前打で二死一三塁、田中の投ゴロを別所が一塁に悪送球する間に三走中村に続いて一走坪内も一気にホームに還り3-2と逆転する。

 ゴ軍は4回裏、先頭の辻功が三塁内野安打で出塁、この時サード山本に何かアクシデントがあったのか、グ軍はセンター河西がサードに入り、ライトの田川がセンターに回り、山本に代わって岡村俊昭が入ってライト。江田は中飛、坂本勲のショートライナーに一走辻が飛び出してダブルプレー。

 グ軍は5回表、一死後安井が二遊間にヒット、二死後安井が二盗に成功、田川の右中間タイムリー二塁打で3-3の同点に追い付く。

 グ軍は7回表、一死後宮崎の当りはニゴロ、これをセカンド大友一明がエラー、トップに返り安井の二遊間ヒットで宮崎が三塁に進んで一死一三塁、ここで安井がディレード気味に塁を離れピッチャー江田は一塁に送球、ファースト末崎からの二塁送球が悪送球となる間に三走宮崎が還って4-3と勝ち越し、安井は三塁に進み、河西の左中間タイムリー二塁打で5-3、田川の投ゴロの間に河西は三進、岡村の右前タイムリーで6-3と突き放す。

 グ軍は8回表、二死後木村勉が四球を選ぶと二盗に成功、宮崎、安井も連続四球で二死満塁、しかし河西は三ゴロに倒れて追加点はならず。

 グ軍は9回表、田川、岡村の連続四球で無死一二塁、堀井に変わる代打阪本政数の中越えタイムリー二塁打で7-3、木村は三振に倒れて一死二三塁、別所の遊ゴロの間に三走岡村が還って8-3として試合を決める。

 別所昭は7安打2四球4三振3失点、自責点ゼロの完投で8勝目をあげる。

 グ軍は8安打で8得点、江田から9個の四球を選んで9残塁、4失策を犯すなど必ずしも好ゲームとは言えない面もあったが、5盗塁を絡めて加点するがめつい野球で勝越し二桁に復帰した。


2020年10月6日火曜日

野球週報2020 その37

9月28日(月) 秋葉原のバッティングセンターで110キロのストレートを3セット、カーブを1セット。

9月29日(火) 休養日

9月30日(水) 天王洲アイルのグラウンドで品川ベースボールクラブの練習。午後は仕事なので早めに切り上げました。

10月1日(木) 秋葉原のバッティングセンターで110キロのストレートを1セット、120キロのストレートを2セット、カーブを1セット、スライダーを1セット。

10月2日(金) 秋葉原のバッティングセンターで110キロのストレートを1セット、115キロのストレートを1セット、120キロのストレートを1セット、カーブを1セット、スライダーを1セット。試合の週は打ち込みを主体にします。

10月3日(土) 三鷹大沢球場で秋季リーグ戦第2戦。相手のピッチャーからは練習試合では2本ヒットを打ちましたがこの日は2打数無安打1四球。何であの球が打てなかったのか。練習不足ですね(笑)。

10月4日(日) 休養日


21年 巨人vsパシフィック 10回戦

8月4日 (日) 札幌円山

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 4 1 0 5 巨人 33勝23敗1分 0.589 諏訪裕良
1 3 2 0 0 1 1 0 X 8 パ軍 21勝35敗2分 0.375 井筒研一 真田重蔵

勝利投手 井筒研一 8勝12敗
敗戦投手 諏訪裕良 6勝6敗
セーブ    真田重蔵  2

二塁打 (巨)川上 (パ)富松2、森下
三塁打 (パ)木暮

勝利打点 (パ)白石敏男 1

猛打賞 (パ)富松信彦 1


パ軍、序盤で試合を決める

 札幌円山の第2試合は諏訪裕良と井筒研一の先発で午後4時丁度、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は初回、一死後坂本茂がストレートの四球で出塁、黒沢俊夫の投ゴロが「1-6-3」と渡ってダブルプレー。

 パ軍は1回裏、先頭の木暮力三が右中間に三塁打、白石敏男の左前タイムリーで1点を先制する。

 パ軍は2回裏、先頭の富松信彦が中前打で出塁、伊勢川真澄のニゴロをセカンド坂本が大エラーする間に一走富松が一気に生還して2-0、打者走者の伊勢川は二塁に進み、松井信勝の遊ゴロで二走伊勢川が飛び出して「6-5-4」と転送されてタッチアウト、井筒の遊ゴロをショート山田潔がエラー、トップに返り木暮の三塁内野安打で一死満塁、キャッチャー多田文久三からの一塁牽制をファースト川上哲治が落球する間に三走松井が還って3-0、白石が四球を選んで再度一死満塁、藤井勇のニゴロ併殺崩れの間に三走井筒が還って打者9人で3点をあげて4-0とする。

 パ軍は3回裏、この回も先頭の富松がレフト線に二塁打、伊勢川の中前タイムリーで5-0、松井のニゴロの間に伊勢川は二進、井筒の中前打で一死一三塁、トップに返り木暮が四球を選び、白石の左前タイムリーで着々と2点を追加、6-0とする。

 パ軍は3回までに7残塁を記録しているが6得点と試合の主導権を握った。

 巨人は5回の守備からキャッチャー多田がセンターに回り、センター呉新亨が退いてプロ入り2度目の出場となる谷口記念治がマスクを被る。

 パ軍は6回裏、一死後森下重好がライト線に二塁打、二死後富松もライト線にタイムリー二塁打を放ち7-0と突き放す。

 巨人は6回まで井筒に3安打無得点に抑えられてきたが7回表、先頭の多田が四球で出塁、諏訪はレフト線にヒット、宮下信明のニゴロで諏訪が二封されて一死一三塁、山田の三ゴロをサード中谷順次が一塁に悪送球、三走多田が生還して1-7、山田には打点が記録される。トップに返り谷口が3球ファウルで粘って四球を選び一死満塁、坂本は二飛に倒れるが、黒沢が右前に2点タイムリーを放ち3-7、川上のライト線タイムリー二塁打で4-7と追い上げる。

 パ軍は7回裏、一死後井筒が左前打、これをレフト黒沢が後逸して井筒は三塁に進み、トップに返り木暮はストレートの四球で一死一三塁、白石のニゴロの間に三走井筒が還って8-4と再度突き放す。

 巨人は8回表、一死後諏訪の当りは遊ゴロ、これをショート白石がエラー、宮下がレフト線ヒット、山田も左前打で続いて一死満塁、パ軍藤本定義監督はここで井筒から真田重蔵にスイッチ、谷口の遊ゴロ併殺崩れの間に三走諏訪が還って5-8とするが反撃もここまで。

 パ軍の序盤戦の得点がこの試合の全てであったが、2回、3回と先頭打者として出塁した富松信彦の活躍が目に付いた。富松はこの日は六番であったがトップを打つことも多く、四球を選んで出塁率が高い。6回には追撃のタイムリー二塁打も放った。