2010年5月31日月曜日

一騎討ち ③

 今年のナショナル・リーグサイ・ヤング賞争いを論じる「一騎討ち」第3回をお届けいたします。
 5月30日現在、ティム・リンスカムは5勝1敗、ここ2戦で防御率を1.76から3.00に落としていますが、奪三振80は指定席のナショナル・リーグ第1位。
 一方、ロイ・ハラデーは5月29日のマーリンズ戦で完全試合を達成して7勝3敗、防御率1.99、奪三振70。今期これまで11回先発して完投勝利が4回、うち、完全試合を含めて完封勝利が3回。メジャーのピッチャーは球数制限があるため完投はしないものだと思っている方も多いかと思いますが、ロイ・ハラデーに限っては例年日本の投手よりも完投が多いのです。これはすべて彼のピッチングスタイルに起因しており、ぐにゃりと曲がるツーシーム、シンカーで内野ゴロの山を築きます。

 ナショナル・リーグ投手部門では、勝利数、防御率共にロッキーズのヒメネス投手が他を圧しておりますが、本拠地クアーズ・フィールドが高地にあるため打撃戦になることが多く、今後は極めて厳しいのではないでしょうか。
 ということでリンスカムVSハラデーの構図に変わりはなく、依然として70対30でハラデー有利と考えております。


*写真はロイ・ハラデーのサイン。ハラデーは商業用サインをしませんので意外と珍しいのではないでしょうか。


 

三冠への道 ⑩

 アルバート・プホルスの三冠達成を信ずる皆様お待たせいたしました。本日(現地時間5月30日)のシカゴ・カブス戦で3打数3安打3本塁打4打点、ようやく長いスランプから抜け出しました。本日のMLBホームページでは何故か3本目の画像しか見ることができません。外角低めのスクリューボールをセンターバックスクリーンにぶち込んでおります。流石に3本目とあってベンチでは本人も周りの連中も苦笑しております。11時からのNHKBSメジャーリーグハイライトでご確認ください。

*11時35分追記。BSで拝見したところ、1本目及び2本目は共に左翼場外に消えて行きました。特に1本目のスイングは完璧でした。

 今年のナショナル・リーグバットマンレースは5月とは思えないほど各部門とも数字が伸びておりません。プホルスはここまで近年にないスランプが続いておりましたが、おかげで大きく離されることなく各部門で上位に付けております。5月30日現在、187打数58安打、打率3割1分0厘、38打点、12本塁打、打率はトップと1分5厘差と射程圏内、打点はトップと3点差に迫ってきました。本塁打はトップに並んでおります。

 各部門のライバル候補は、打率ではブルワースのライアン・ブラウンが最大のライバルとなるでしょう。本拠地が高地にあることから打撃部門に有利となるロッキーズのトゥロウィツキーも怖い存在です。打点・本塁打は矢張りライアン・ハワードが最大のライバル、前回も書きましたがマーリンズのダン・アグラが本塁打部門の大穴ではないかと考えております。

12年春 タイガースvsイーグルス 4回戦

5月16日(日)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 1 4 0 0 0 3 2 2 12 タイガース 16勝6敗1分 0.727 西村幸生
0 0 0 0 0 0 0 0 1  1  イーグルス 5勝18敗   0.217 畑福俊英


勝利投手 西村幸生 5勝2敗
敗戦投手 畑福俊英 4勝11敗


二塁打 (タ)松木、門前、伊賀上、西村
三塁打 (タ)奈良 (イ)寺内


タイガース連日の圧勝


 タイガースは初回からこのところ大当たりのトップバッター松木謙治郎が右翼線二塁打で出塁、この回は無得点ながら2回、右前安打の伊賀上良平を門前真佐人が左中間二塁打で還して1点を先制。2回は二死から打線が爆発、山口政信が三遊間を破りレフトのエラーで二進、景浦将左前打で二死一三塁、伊賀上良平の左翼線二塁打で二者が還り3-0。奈良友夫が中前に弾き返して4-0。更に門前の中前打と西村幸生の遊ゴロエラーで1点追加してこの回4点、5-0とする。

 このままで終わらないのがタイガース打線の特徴、タイガースは7回、この回先頭の松木が投手内野安打で出塁、藤井勇との間でヒットエンドランを決めて無死一三塁、藤井が二盗、山口四球で無死満塁、景浦将の三ゴロの間に松木が還ってなお一死二三塁、伊賀上の二ゴロをセカンド野村実がバックホームするもこれが野選となり7-0。更に山口、伊賀上がダブルスチールを決めて8-0とする。8回は、西村左中間二塁打、皆川定之右前打、松木四球で無死満塁とし、藤井の中犠飛と山口の遊ゴロで2点を追加。9回も奈良のタイムリー三塁打と西村の中犠飛で2点を追加して12-0とする。

 イーグルスは9回裏に畑福俊英のタイムリー中前打で1点を返して何とか零封だけは免れるものの泥沼の5連敗。杉田屋守をサードに回して打線のてこ入れを図るも内野を固定できず、本日も不慣れなセカンドで野村実が野選を犯し、投手の古川正男を野村の後のセカンドに起用する状態。最終回の粘りに希望の光を見出すことができるか。

 西村幸生は余裕のピッチングで8安打3四球8三振の完投で5勝目をあげる。西村から8本の安打を奪ったのは寺内一隆、杉田屋守、太田健一、畑福俊英でそれぞれが2安打づつで1安打の打者はゼロという珍記録を樹立する。
 また、3回のイーグルスの攻撃で、畑福中堅左へのヒット、寺内一隆三前内野安打、金井清中飛の一死一二塁で三番中根之が打ち上げた投手頭上へのフライにインフィールドフライが宣告されたものの西村幸生がこれを落球、この間に畑福と寺内はそれぞれ三塁と二塁へ走った。中根の記録はピッチャーフライでアウト、西村には失策が記録され、二走畑福及び一走寺内はそれぞれ三塁・二塁への進塁が認められた。

12年春 セネタースvs名古屋 4回戦

5月16日(日)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
1 0 1 0 0 0 0 0 0  2  4 セネタース 15勝8敗 0.652 伊藤次郎
0 2 0 0 0 0 0 0 0  0  2 名古屋   8勝15敗 0.348 遠藤忠二郎


勝利投手 伊藤次郎   3勝1敗
敗戦投手 遠藤忠二郎 2勝2敗


二塁打 (セ)中村信 (名)三浦、小島


中村民雄連日の殊勲


 セネタースは初回、中村信一が中前打で出塁、尾茂田叶の三ゴロは野選を誘い一死一二塁、中村信が三盗を決めて一死一三塁、中村民雄の遊ゴロゲッツー崩れの間に中村信が還って1点を先制。名古屋は2回、前田喜代志三遊間安打と三浦敏一右中間二塁打でチャンスを作り、志手清彦が右前に2点タイムリーを放ち2-1と逆転。しかしセネタースは3回、中越え二塁打の中村信を中村民の左前タイムリーで還してすかさず2-2の同点に追い付く。

 その後はセネタース伊藤次郎と名古屋遠藤忠二郎の投げ合いが続く。伊藤は3回から8回まで名古屋打線を無安打1四球に抑える好投。セネタースは7回、ヒットで出塁した今岡謙次郎、苅田久徳が相次いで盗塁失敗。名古屋も9回、小島茂男の二塁打と前打のヒットで一死一三塁とサヨナラのチャンスを作るが後続がなく延長へ。

 セネタースは10回表、この回先頭の中村信が中前打で出塁、尾茂田が送り一死二塁として中村民が左前に3打点目となる決勝タイムリーを放ち3-2と1点リード。更に中村民が二盗を決めると伊藤次郎がとどめのタイムリーを放って4-2とする。伊藤は10回裏の名古屋の攻撃を無得点で切り抜け延長10回を完投して3勝目をあげる。

 野口明の穴を埋める伊藤次郎の健投によりセネタースは首位ジャイアンツに2.5ゲーム差で喰らいついている。

2010年5月30日日曜日

12年春 大東京vs阪急 4回戦

5月16日(日)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 2 0 0 0 1 0  3  大東京 7勝15敗1分 0.318 桜井七之助
0 0 0 4 5 0 0 1 X 10 阪急   14勝9敗    0.609 笠松実-重松通雄


勝利投手 重松通雄   3勝1敗
敗戦投手 桜井七之助 0勝2敗


二塁打 (大)桜井2 (阪)西村、倉本、黒田、山下好
三塁打 (大)煤孫 (阪)堀尾

ジミー堀尾4打点の活躍


 大東京は3回まで阪急先発の笠松実に抑えられて無安打、一方阪急は1回2人、2回3人、3回2人とランナーは出るが要所を大東京先発の桜井七之助に抑えれて無得点。
 試合が動いたのは4回大東京の攻撃、この回先頭の中村三郎が遊失で無死一塁、煤孫伝の中前打で中村三塁を狙うがセンター強肩の山下好一の好返球にタッチアウト、この間に煤孫は二塁へ進む。この後藤浪光雄、代打大友一明四球で二死満塁となり桜井が右翼線に二塁打を放ち2点を先制。阪急は4回裏、先頭の林信一郎が三遊間を破り出塁、一死後西村正夫がセーフティバントを試みるが一塁アウトで記録は送りバント、黒田健吾左前打、上田藤夫四球で二死満塁、山下好一が押出しの四球を選んで1-2。尚も続く二死満塁のチャンスで山田伝に代えて代打ジミー堀尾文人を起用、堀尾は期待に応えて左翼線に走者一掃の三塁打を放ち4-2と一挙に逆転、堀尾は昨日に続く代打タイムリーの殊勲。

 阪急は続く5回、倉本信護の左翼線二塁打に始まり、林三失、西村タイムリー二塁打、黒田中犠飛、上田四球、山下好一の右飛をライト水谷則一が落球、ジミー堀尾2打席連続タイムリーと打者10人で5点の猛攻を見せて試合を決める。
 大東京は8回、煤孫の三塁打で1点を返すも、阪急もその裏山下好一のタイムリーで1点を追加し、結局10A対3で阪急が快勝。好リリーフを見せた重松通雄が3勝目をあげる。

 大東京では煤孫伝が3安打の活躍、本日もショートからの送球を落球する場面があり守備面は相変わらず不安定ではあるがバッティングは捨てがたい。一方阪急では何といっても4打点のジミー堀尾文人の活躍が光る。ジミー堀尾に関しては、「ベースボールの社会史 ジミー堀尾と日米野球」に詳しい。


12年春 ジャイアンツvs金鯱 4回戦

5月16日(日)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
3 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  3 ジャイアンツ 17勝5敗1分 0.773 スタルヒン- 前川八郎
0 0 0 0 2 0 0 1 0  0   0   0  3 金鯱       8勝14敗1分 0.364 古谷倉之助


三塁打 (ジ)水原、白石 (金)瀬井、三上


古谷倉之助2回以降をピシャリ抑える


 ジャイアンツは初回一死後、水原茂が右中間に三塁打、三原脩の三ゴロに水原飛び出し三本間に挟まれタッチアウト、この間に二塁へ進んだ三原はサードからの悪送球の隙に三塁へ進む。中島治康四球後盗塁、白石敏男の遊ゴロはファーストが落球して三原が還り1点を先制。更に中島、白石がダブルスチールを決めて2-0、捕手悪送球で三進した白石は単独ホームスチールを決めて3-0。この後も筒井修、山本栄一郎が連続四球を得てチャンスが続くが内堀保は左飛に倒れて追加点はならず。

 ジャイアンツ先発のスタルヒンは4回まで2安打4四球とランナーを出しながらも金鯱打線を封じる。金鯱は5回、黒澤俊夫が投手強襲安打、相原輝夫四球の一死一二塁から三上良夫が右中間に三塁打を放ち3-2。

 金鯱先発の古谷倉之助は初回の3点以降ジャイアンツ打線を無得点に抑える。金鯱は8回、この回先頭の相原が三遊間を破り出塁し、代走に島秀之助を起用、三上は二失で無死一二塁、本日四番に入った古谷倉之助が送り一死二三塁、小林茂太の当りはショートゴロ、三走島は本塁突入、ショート白石バックホームするが島のベースタッチが一瞬早くホームイン。代走島起用がズバリ的中して金鯱は3-3の同点に追い付く。ジャイアンツはスタルヒンが降板して前川八郎をリリーフに送る。

 古谷は8回、先頭の三原にヒットで出塁を許すが続く中島治康の投手強襲ラーナーを好捕、一塁に送り三原帰れずゲッツー、直後に白石に右中間三塁打を許すも筒井修を左飛に抑える。9回も山本栄一郎のヒットと2四球で二死満塁のピンチを迎えるが三原の当りはサードライナーで難を逃れる。前川も9回濃人渉のヒットと四球で二死一二塁のピンチを迎えるが松元三彦を三振に抑え延長へ。

 ジャイアンツ10回、遊失と四球で二死一二塁のチャンスをつくるが内堀保が左飛に倒れてチェンジ。10回裏の金鯱は三者凡退。11回表のジャイアンツも三者凡退。11回裏、金鯱は先頭の瀬井清が遊失で生きる。小林利蔵の三前送りバントは決まったかに見えたがサード水原~の送球を受けたファースト永澤富士雄が瀬井のオーバーランを見逃さずセカンドに送球して瀬井はタッチアウト。ベテラン永澤の冷静なプレーが光る。ジャイアンツは12回表、先頭の三原が内野安打で出塁すると代走に津田四郎主将を起用、中島右飛で一死後津田は二盗を決めて一死二塁、白石のショートゴロで津田は三塁を狙うがタッチアウト、白石二盗を試みるが相原の後のマスクを被るピッチャー松元三彦が白石を刺してチェンジ。金鯱は12回裏三者凡退で規定により引き分け。

 古谷倉之助は2回以降、11イニングを無得点に抑えて12回を完投、8安打7四球2三振の粘りのピッチングでジャイアンツの7連勝を阻止する。金鯱は3回戦で澤村に古谷をぶつけずに温存して今日に賭けたことが効を奏す。金鯱の残塁8に対してジャイアンツの残塁は11、その内下位打線で8個の残塁を記録している。トップの呉波が無安打、二番水原も第1打席の三塁打以降は無安打で下位打線が作ったチャンスを生かせなかったことが勝利を逃した要因であるが、古谷倉之助がそうさせなかったということでもある。

2010年5月29日土曜日

12年春 名古屋vsセネタース 3回戦

5月15日(土)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 4 0 0 0 3 0 0 7  名古屋    8勝14敗 0.364 木下博喜-森井茂-田中実
0 0 0 0 6 2 0 1 X 9 セネタース 14勝8敗 0.636 野口明-金子裕-浅岡三郎


勝利投手 金子裕 1勝0敗
敗戦投手 森井茂 3勝7敗
セーブ    浅岡三郎 1


二塁打 (名)志手 (セ)中村
三塁打 (名)志手、小島 (セ)中村信、今岡、尾茂田
本塁打 (名)桝嘉一 1



中村民雄が逆転二塁打


 一、二回三者凡退の名古屋は3回、内野安打の前田喜代志を木下博喜が送り、二死後トップに還って志手清彦が右中間に三塁打を放ち1点を先制。小坂三郎が右翼線タイムリーで続き2-0、更に桝嘉一が左中間スタンドに叩き込み4-0と大きく先制する。

 名古屋先発の木下博喜に4回まで1安打に抑え込まれていたセネタースは5回、先頭の七番大貫賢四球、4回から先発野口明に代わりリリーフに立った金子裕四球で無死一二塁、ここで木下降板し森井茂がリリーフ登板、しかし木下は1安打しか許しておらず、ここは我慢でもよかったのではないか。今岡謙次郎の遊ゴロで金子二封、捕逸で大貫が還り1点還して一死二塁、苅田久徳四球後中村信一が左超えに三塁打を放ち4-3と1点差に迫る。尾茂田叶の遊ゴロはショート小坂一塁に投げられず三塁に送球するも中村信戻ってオールセーフ、中村民雄左中間に逆転二塁打を放ち5-4。綿貫惣司の遊ゴロで中村民は三進、家村相太郎四球で二死一三塁、ここでダブルスチールを決めてこの回一挙6点をあげる。続く6回も金子が左翼線安打で出塁すると今岡が左中間に三塁打を放ち7-4、苅田の中前タイムリーで8-4とリードを広げる。

 粘る名古屋は7回、この回先頭の三浦敏一四球、志手投手強襲ヒット、桝四球の満塁から、岩田次男の一ゴロと小島茂男の二失で3点を返して8-7と一点差に追い上げる。しかし名古屋の粘りもここまで、セネタースは8回、二死から四球の中村信を一塁に置いて尾茂田が右中間に三塁打を放ち9-7と突き放しリリーフの浅岡三郎が8、9回を抑えて接戦を制す。
 

12年春 イーグルスvsタイガース 3回戦

5月15日(土)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
1 1 0 0 0 0 0 0 0   2  イーグルス   5勝17敗    0.227  石井秋雄-望月潤一-古川正男
2 3 0 3 4 0 0 2 X 14  タイガース  15勝6敗1分 0.714 御園生崇男-菊矢吉男


勝利投手 御園生崇男 4勝0敗
敗戦投手 石井秋雄   0勝2敗


二塁打 (イ)石井 (タ)松木、藤井


猛虎打線爆発


 イーグルスは初回、金井清、中根之の連安打とサム高橋吉雄の四球で一死満塁、杉田屋守の投ゴロを御園生崇男が本塁悪送球して1点を先制。タイガースはその裏、藤井勇が四球で出塁して二盗、山口政信の中前打ですかさず同点、山口は二盗と捕手悪送球で三塁に進み景浦将の左犠飛で2-1と逆転。
 イーグルスは2回、左中間二塁打の石井秋雄を金井の左前タイムリーで還して2-2の同点。タイガースはその裏、二死無走者から松木謙治郎が右中間スタンドに第1号ホームラン。更に藤井、山口、景浦の三連打で2点を追加して5-2。

 打ち合いとなればタイガースのもの。タイガースは4回、この回先頭の松木が右翼線に二塁打して先発石井秋雄をKO。代わった望月潤一から藤井が左中間二塁打して6-2、山口、景浦連続四球で無死満塁。御園生崇男の遊ゴロは6-4-3と渡りゲッツー、この間に三走藤井が還って7-2。伊賀上良平四球で二死一三塁、ここでダブルスチールが決まり山口が生還してこの回3点、8-2とリードを広げる。更に5回、5回の守備から奈良友夫に代わってセカンドに入った控えの上田正が三遊間を破り捕逸で二進、門前真佐人、岡田宗芳連続四球で無死満塁、トップに返り松木の右前タイムリーで二者生還して10-2。ここで望月潤一降板して古川正男と交代、藤井の右翼線タイムリーで岡田生還、山口の右犠飛で松木生還して12-2。8回にも5四死球で2点を追加して14A-2で大勝。

 松木謙治郎が3安打4打点、藤井、山口、景浦が各2打点ではイーグルスに勝ち目はない。御園生崇男は余裕のピッチングで無傷の4連勝、8回からは菊矢吉男にマウンドを譲る。
 イーグルスではこの日二番レフトに起用された金井清が4打数4安打と一人気を吐く活躍。このところイーグルスは負けても何かしら収穫を得ており今後に期待が持てる。

2010年5月28日金曜日

12年春 金鯱vsジャイアンツ 3回戦

5月15日(土)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
1 1 0 0 0 0 3 0 0   5 金鯱      8勝14敗 0.364 松元三彦-中山正嘉
2 6 1 0 0 1 0 4 X 14 ジャイアンツ 17勝5敗 0.773 澤村栄治


勝利投手 澤村栄治 12勝1敗
敗戦投手 中山正嘉  3勝5敗


二塁打 (金)三上、江口、中山 (ジ)三原、中島
三塁打 (金)平川 (ジ)呉、白石


三原脩5打席連続打点


 金鯱は初回、江口行男、相原輝夫の当りはファースト筒井修、セカンド三原脩のエラーを誘い無安打で1点を先制。ジャイアンツはその裏、四球の呉波を一塁に置いて三原が汚名挽回の二塁打で呉を還し、中島治康もタイムリー二塁打で続き2-1と逆転。

 金鯱は2回、先頭の三上良夫が右翼線に二塁打で出塁、瀬井清が左前にタイムリーを放ち2-2と同点。ジャイアンツは2回、伊藤健太郎左前打、内堀保四球の無死一二塁で澤村栄治が右前にタイムリーを放ち3-2。呉波の左翼線三塁打で5-2、水原茂四球後三原が左前にタイムリーで6-2、更に内野ゴロと捕手悪送球で2点を追加してこの回6点、8-2とする。ジャイアンツは3回に三原の3イニング3打席連続タイムリーで1点、6回も三原が中前に4打席連続タイムリーヒットを放ち1点、8回も三原が5打席連続打点となる中犠飛、白石の2点タイムリー三塁打等で4点を加える。

 澤村は大量リードのためかスピードを抑えた緩速球中心のピッチングで5点を許す。自責点も3であり、防御率を0.64から0.84に落とす。タイガースであればこの点差なら菊矢に代えるところ、ここは成田友三郎に経験を積ませるためにも交代しても良かったのではないか(一部読売新聞市岡忠男の論評を参考にさせていただいております。)。

 初回のエラーで発奮したか三原脩が5打数4安打5打点の活躍、4打席連続適時打に5打席連続打点のおまけ付き。

12年春 阪急vs大東京 3回戦

5月15日(土)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 0 2 0 0 0 2 1 0 8 阪急   13勝9敗    0.591 中田武夫
1 0 0 0 0 0 2 0 0 3 大東京 7勝14敗1分 0.333 大友一明-近藤久


勝利投手 中田武夫 3勝1敗
敗戦投手 近藤久  4勝8敗


二塁打 (阪)宇野


ジミー堀尾、ナイスカバー


 阪急は初回、西村正夫四球、川村徳久三失から上田藤夫が送って一死二三塁、山下好一四球で一死満塁、ここから山田伝、宇野錦次が連続押出し四球を選んで2点、倉本信護の三ゴロで1点追加、結局無安打で3点を先制。大東京は初回、坪内道則、鬼頭数雄が連続四球、水谷則一の二ゴロは6-4-3と転送されるがショート上田の一塁送球が悪送球となる間に坪内道則が還りこちらも無安打で1点を返す。

 阪急は3回、一死後倉本四球、林信一郎右前打、中田武夫四球で一死満塁、ここで大友一明が退き近藤久がリリーフへ、西村左犠飛、上田三遊間タイムリーで2点を追加して5-1。6回まで中田、近藤の投げ合いが続くが阪急は7回、川村、山下好四球の二死一二塁でフランク山田伝に代わり代打ジミー堀尾文人が登場、堀尾は中前にタイムリーを放ち6-1、宇野錦次も左翼線にタイムリー二塁打で続き7-1とリードを広げる。

 大東京は7回、この回先頭の煤孫伝の当りは三ゴロ、これをサード川村がエラー、続く成瀬芳輝の当りは遊ゴロ、ショート上田のセカンド送球は悪送球となり無死一三塁。せっかくリードを広げたにもかかわらずこの守備はいただけない。成瀬二盗を決めて無死二三塁、続く藤浪光雄の当りはショートゴロ、あまり出場経験のない二走成瀬は打球につられて三塁へ走る、ショート上田からサード川村へ送球、成瀬は二三塁間に挟まれ二塁へ戻る、追う川村からセカンド宇野に送球、成瀬は再度三塁へ走る、サードベースカバーには何とショートゴロのバックアップに前進してきたレフトのジミー堀尾がそのままの勢いで三塁ベースカバーに走り三塁ベース上に仁王立ち、宇野からジミー堀尾に白球が渡り成瀬はタッチアウト。スコアブックには【6・5・4・7C】と記載されている。本来ならサードベースカバーにはショートの上田かピッチャーの中田が入るべきところ、上田はジミー堀尾の仲介でハワイ野球チームから阪急に入団しただけにここはジミーに華を持たせたか。いかにも好漢ジミー堀尾文人らしいプレーぶりである。スタンドからも「ジミー、ナイスカバー」の声が飛んだか。この間に煤孫が還って7-2、更に近藤のタイムリーで7-3。

 阪急は8回にも四球とエラーで無安打で1点を加えて8-3で快勝、大東京2投手は14四球と大乱調。一方中田武夫は3点を許すも大東京打線を近藤のヒット1本に抑える快投で3勝目をあげる。

 ジミー堀尾は体調を崩しておりなかなか試合には出られないが、山下実の欠場が続き宮武三郎も常時出場できる状態になく、ジミーの元気な姿を待ち望むファンも多い。

*写真は昭和10年ジャイアンツ第1回アメリカ遠征時のジミー堀尾のサイン。堀尾はベーブ・ルース等と対戦した昭和9年全日本チームに参加しており、第1回アメリカ遠征には東京ジャイアンツの一員として参加しています。堀尾は遠征終了後一人帰国せずにウエストコーストに残りメジャー・リーグ昇格を狙いますが、結局メジャーからは声が掛からず日本で職業野球入りし、阪急に入団します。



*下がジミー堀尾がレフトから三塁ベースカバーに駆けつけタッチアウトしたシーン。私は学生時代、高校・大学で通算6年間外野手(高3の一年間だけキャッチャー)をやっており、ランダンプレーへの参加を何度か試みましたが一度も実現しませんでした。これをやるには参加してやろうという意欲と脚力が必要ですが、私には意欲はありましたが脚力が不足しておりました。

2010年5月27日木曜日

12年春 セネタースvsイーグルス 3回戦

5月13日(木)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 2 2 0 0 1 6 セネタース 13勝8敗 0.619 伊藤次郎
0 0 0 0 0 1 3 0 0 4 イーグルス 5勝16敗 0.238 畑福俊英


勝利投手 伊藤次郎 2勝1敗
敗戦投手 畑福俊英 4勝10敗


二塁打 (イ)佐藤
本塁打 (イ)中根 1

 
伊藤次郎、粘りのピッチング


 セネタースは2回、一死後綿貫惣司、伊藤次郎が連続中前打、センター中根の悪送球があり一死一三塁、ここで宝塚協会以来の歴戦の雄、大貫賢が左犠飛を打ち上げて1点を先制。セネタースは5回、この回先頭の大貫が左前打を放ち今度はチャンスメイク、家村相太郎も左前打で続き無死一二塁、今岡謙次郎の投ゴロで大貫三封、苅田久徳の遊ゴロをショート辻信夫が失して一死満塁、中村信一が左翼に2点タイムリーを放ち3-0。更に6回、先頭の中村民雄が左前打で出塁し捕逸で二進、綿貫の遊ゴロをショト辻が悪送球して無死一二塁、一死後大貫の遊ゴロをまたもや辻がはじき一死満塁、ここで乗りに乗る家村が中前に痛烈に2点タイムリーを弾き返して5-0とワンサイドの様相。


 イーグルスは6回に反撃開始、一死後中根之が中前打、センター尾茂田叶がはじく間に中根は二塁へ進む、記録はワンヒットワンエラー。杉田屋守の右前打で中根が還り5-1。更に7回、先頭の佐藤武夫が左中間二塁打、7回の守備から辻に代わりショートに入る野村実が三遊間を破り無死一三塁、畑福俊英の三ゴロゲッツー崩れの間に佐藤が還り5-2。二死後畑福を二塁に置いて中根が右中間スタンドに第1号ホームランを放ち5-4と1点差に迫る。


 セネタースは9回、家村が二失に生きると今岡中前打で無死一二塁、苅田が左翼線にタイムリーを放ち6-4と突き放す。中村信の投ゴロで今岡は三封、尾茂田四球で一死満塁から中村民が左翼フライを打ち上げる。レフト寺内一隆からのバックホームはピッチャー畑福がカット、ハーフウェイから戻る二走中村信が帰塁を遅らせ畑福からセカンド高橋に送球、この隙を突いて三走苅田がホームを狙う、しかしセカンド高橋バックホームして三本間の挟殺プレーの末苅田はタッチアウト。しかし最後まで魅せようとする苅田のショーマンシップは中々のもの。


 このところ好調の伊藤次郎が7安打2四球2三振で完投勝利。エース野口明が調子を落としてきているだけに伊藤が出てきたのはセネタースにとって大きい。
 一方、今節4試合に4連投の畑福俊英は6失点ながら自責点はゼロ、ショート辻の3つを筆頭に5失策に足を引っ張られて10敗一番乗り。イーグルスはこのセネタース二連戦では粘りを見せており、徐々にチーム状態は上向き気味。

12年春 タイガースvs名古屋 3回戦

5月13日(木)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 4 0 0 0 2  6 タイガース 14勝6敗1分 0.700 若林忠志-景浦将
0 3 4 0 0 0 0 2 X  9 名古屋    8勝13敗   0.381 遠藤忠二郎


勝利投手 遠藤忠二郎 2勝1敗
敗戦投手 若林忠志   2勝1敗


二塁打 (タ)藤井


タイガース守乱


 名古屋は2回、一死後大沢清が相変わらずの右前打で出塁、小島茂男の二ゴロをセカンド藤村富美男がエラー、前田喜代士が中前にタイムリーを放ち1点を先制。この打球をセンター山口政信が後逸する間に小島が一塁から長駆ホームを駆け抜け2-0、前田は三塁へ。三浦敏一の三ゴロを今度はサード伊賀上良平がエラー、3-0とする。
 名古屋は3回、この回先頭の小坂三郎が左前打で出塁、桝嘉一四球、岩田次男の送りバントは内野安打となって無死満塁と追加点のチャンス。大沢清の一ゴロを松木謙治郎がエラーして1点、小島右翼線に2点タイムリー、一走大沢清は鈍足を飛ばして三塁へ、ここで若林忠志が退きライトから景浦将が救援に駆けつける。代りばなを捕えて前田が左犠飛を打ち上げこの回合計4点をあげて7-0と大量リード。

 タイガースは4回まで名古屋先発の遠藤忠二郎から5四球を選ぶも超スローボールにタイミングが合わず無安打無得点。しかし5回に反撃、この回先頭の岡田宗芳が四球、トップに返り松木の右前打で岡田は三塁に走り送球の隙に松木も二塁を陥れて無死二三塁、藤井勇が左中間に流し打って二塁打とし2点を返す。山口中堅左に安打して無死一三塁、山口二盗を決めて無死二三塁、景浦将の遊ゴロの間に1点追加して山口は三塁へ、藤村も遊ゴロで山口還って7-4。タイガース得意の波状攻撃で試合は分からなくなってきた。

 しかし今日の名古屋は違った。8回、前田の一ゴロを又も松木がエラー、遠藤の送りバントは内野安打となり無死一二塁、三浦の送りバントも内野安打となり無死満塁。しかし景浦が踏ん張り志手清彦は二飛、小坂は遊飛に打ち取られ二死満塁、ここで桝が右翼線に2点タイムリーを放ち9-4、矢張り名古屋打線で最も頼りになるのは桝嘉一である。
 タイガースは9回、先頭の岡田が四球で出塁、松木右翼線安打で無死一三塁、藤井がライトに痛打を放ち9-5として尚も無死一三塁、山口の遊ゴロで藤井が二封される間に松木が還り9-6として尚も一死一三塁で景浦将を迎える。一発出れば同点、しかし景浦は投ゴロに倒れゲッツーとなり試合終了。

 遠藤忠二郎は結局9四球を許しながらも5安打4三振の完投で移籍後2勝目をあげる。
 タイガースの敗因は6失策と守備の乱れに尽きる。若林の打たせて取るピッチングが全く機能しなかった。

2010年5月26日水曜日

12年春 ジャイアンツvs大東京 3回戦

5月13日(木)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 3 0 0 0 0 0 0 4 ジャイアンツ 16勝5敗    0.762 前川八郎
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大東京    7勝13敗1分 0.350 近藤久


前川八郎 2勝2敗
近藤久   4勝7敗


三塁打 (大)中村


ジャイアンツ脚の勝利


 ジャイアンツは初回、先頭の呉波が右前打で出塁、水原茂四球、三原脩送りバントで一死二三塁、中島治康は三振、しかし白石敏男が左前に快打を放ち1点を先制。更に3回、一死後水原四球、三原との間にエンドランを敢行、三原一二塁間を破り水原は三塁へ進み一死一三塁、ここでダブルスチールを敢行、水原生還して2-0、セカンドからのホーム返球が逸れる間に三原は三塁へ進む。二死後白石四球、更に白石が二盗を決めて二死二三塁、筒井修の当りはショート内野安打となり三原が生還、更にショートからファーストへの送球が逸れる間に白石も生還してこの回3点をあげて4-0、全く隙のない見事な走塁で大東京内野陣を翻弄する。

 5回以降は大東京近藤久とジャイアンツ前川八郎の投げ合いが続く。近藤は5回以降ジャイアンツを無安打に封じ込めるが前川は大東京に得点を許さず、結局4-0でジャイアンツもタイガース同様6連勝。前川は5安打1四球1三振で今季初完封。

12年春 阪急vs金鯱 3回戦

5月13日(木)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 2 0 2 0 2 0 7 阪急 12勝9敗 0.571 石田光彦-重松通雄
0 0 0 1 2 0 0 0 1 4 金鯱 8勝13敗 0.381 中山正嘉-鈴木鶴雄


勝利投手 重松通雄 2勝1敗
敗戦投手 鈴木鶴雄 1勝2敗


三塁打 (阪)林


阪急、下位打線がチャンスメイク


 阪急は2回、山下好一が四球で出塁、山田伝の投ゴロはピッチャー中山正嘉がゲッツーを狙ってショート濃人渉に送球、しかしこれを濃人が落球して無死一三塁、宇野錦次の当りはショートライナー、山田が飛び出して今度はゲッツー、チャンスは潰えたかに見えたが続く林信一郎が右中間を破る三塁打で1点を先制。阪急は4回、一死後林が四球、倉本信護左翼線安打、石田光彦の一ゴロでランナー進塁して二死二三塁。ここで西村正夫が中前に弾き返して二者還り3-0とリードを広げる。

 追う金鯱は4回、この回先頭の黒澤俊夫はショートフライ、しかしこれをショート上田藤夫が落球する間に黒澤は二塁を陥れる。三上良夫の遊ゴロで黒澤三進、小林茂太の中前打で1点を返す。更に5回、鈴木鶴雄四球、濃人の送りバントは内野安打となり無死一二塁、安永正四郎四球で無死満塁。小林利蔵の投手横を襲う当りはピッチャー石田光彦が捕ってホームに送球、これがフィルダースチョイスとなり3-2、小林には打点が記録される。更に黒澤押出し四球で3-3の同点。ここで石田から重松通雄に交代、重松は無死満塁からのリリーフとなったが三上良夫を遊ゴロ、瀬井清を三ゴロに仕留めていずれも三塁ランナーを本封、小林茂を中飛に抑えてピンチを切り抜ける。金鯱はここで一気に逆転と行きたかったところであるが追加点はならず。

 阪急は6回、林四球、倉本三遊間安打と4回と同じメンバーでチャンスを作り西村の二ゴロをセカンド安永が大きくはじく間に二者が還り5-3と突き放す。更に8回、又も林が四球で出塁し攻撃の起点となる。倉本の投ゴロでランナーが入れ替わり重松の中前打で一死一三塁、西村投ゴロで二死二三塁、川村徳久が中堅右にタイムリーを放ち6-3、上田の二ゴロはエラーを誘い7-3とリードを広げる。

 好リリーフを見せた重松は下手からのくせ球で5回を2安打2四球2三振に抑えて2勝目をあげる。阪急は、七番林信一郎が1安打4四球で2得点、八番倉本信護が2安打で3得点と、下位打線がチャンスメイクして上位で還すという試合運びで久々の快勝。

2010年5月25日火曜日

12年春 名古屋vsタイガース 2回戦

5月12日(水)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0   0 名古屋    7勝13敗    0.350 森井茂 田中実
4 0 0 0 0 5 0 1 X 10 タイガース 14勝5敗1分 0.737 西村幸生 菊矢吉男


勝利投手 西村幸生 4勝2敗
敗戦投手 田中実   3勝4敗


二塁打 (タ)山口、景浦、門前


ワンサイドゲーム


 タイガースは初回からつるべ打ち。トップの松木謙治郎、二番藤井勇が共に中前に痛烈に弾き返すと三番山口政信が左翼線二塁打を放ち二者が還って2-0。四番景浦将も左翼線に痛烈な二塁打を放ち3-0。更に伊賀上良平の左前タイムリーで4-0とリードする。2回も岡田宗芳、松木が連続右前打で先発の森井茂をKO、ここは代わった田中実がしのぎ5回まで膠着状況が続く。

 タイガースは6回、門前真佐人左翼線二塁打、西村幸生中前打、岡田宗芳三遊間を破りまず1点。松木四球で無死満塁、藤井の遊ゴロの間に2点目、山口の三ゴロの間に3点目。景浦、藤村富美男連続四球、伊賀上が左前に2点タイムリーを放ってこの回5点、9-0試合を決する。8回にも門前の中犠飛で1点追加して10-0。

 西村幸生は大量点に守られて余裕のピッチングで7回を志手清彦のヒット1本に抑え、3四球3三振で4勝目をあげる。伊賀上良平が2安打3打点、山口政信も3打点の活躍。
 タイガースは澤村にノーヒット・ノーランを食らった以降これで6連勝。圧勝あり、競り勝ちありで手のつけられない強さを発揮。

12年春 イーグルスvsセネタース 2回戦

5月12日(水)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8  9 計
0 4 1 0 0 0 1 0  2  8 イーグルス 5勝15敗 0.250 大石綱-畑福俊英
1 0 0 6 0 0 0 1 1X 9 セネタース 12勝8敗  0.600 野口明-金子裕-浅岡三郎


勝利投手 浅岡三郎 4勝5敗
敗戦投手 畑福俊英 4勝9敗


二塁打 (イ)中根 (セ)家村
三塁打 (イ)高橋


“元祖”意外性の男 家村相太郎


 セネタースは初回、苅田久徳が四球で出塁し、中村信一の二ゴロで苅田二進、尾茂田叶が中前にタイムリーを弾き返して1点を先制。イーグルスは2回、この回先頭のサム高橋吉雄が左翼ポール直撃の同点弾を放ち1-1の同点。この後太田健一が投手強襲ヒット、佐藤武夫中前打、大石綱の三失の間に太田が還り逆転、寺内一隆右前打から中根之が左翼線に二塁打を放ち4-1とリードを広げる。イーグルスは3回、田村稔が二失で生き盗塁、野村実の右前タイムリーで5-1。セネタースは先発野口明を諦め4回から金子裕にスイッチ。

 セネタースは4回に反撃。この回先頭の大貫賢遊失、北浦三男、金子連続四球で無死満塁、大石綱が降板して畑福俊英がリリーフで登板、ここで今岡謙次郎は中前に弾き返して5-2、苅田の左犠飛で5-3、中村信四球、尾茂田の二ゴロをセカンド高橋が失し三走金子、二走今岡が相次いでホームに還り5-5の同点。尚も一死一三塁から尾茂田が二盗を決める、更に中村民雄が左前に逆転のタイムリーを放ち6-5として又も一死一三塁と理想的な波状攻撃を繰り返す。中村民も二塁へスタート、キャッチャーからの送球の間に三走尾茂田がホームに突っ込みダブルスチール成功でこの回一挙6点をあげて7-5とする。

 しかし今日のイーグルスは粘る。7回、四球の杉田屋守を代打古川正男の左中間二塁打で還して7-6と1点差に詰め寄る。しかしセネタースは8回、北浦三前バントヒット、今岡今日三本目のヒット、苅田四球から中村信遊ゴロの間に北浦が還り8-6と突き放す。
 イーグルスは9回、この回先頭の中根が死球、杉田屋死球で無死一二塁。セネタースベンチは金子から三番手浅岡三郎にスイッチ、ここで四番高橋が中越えに大三塁打を放ち遂に8-8の同点に追い付く。しかし後続を浅岡が抑えて9回裏へ。

 セネタースは9回裏、先頭の中村民の当りは遊ゴロ、これをショート野村がはじき無死一塁。伊藤次郎が送って一死二塁、バッターは7回の代打から登場しこの日二打席目となる家村相太郎、家村の当りは右翼線を襲う二塁打となりセネタースが9-8と劇的なサヨナラを飾りゲームセットのサイレンが鳴り響く。

 セネタースは九番今岡謙次郎が3安打1打点の活躍、横沢三郎監督の弟七郎からサードのレギュラーを奪う活躍。殊勲の家村相太郎は開幕2戦目に満塁走者一掃の二塁打を放ち殊勲賞を獲得して以来の活躍。あまり試合には出られないがやる時はやる。当ブログでは家村相太郎に“元祖”意外性の男の称号を与えます。
 一方イーグルスはいつにない粘りを見せる。四番サム高橋は本塁打、三塁打で3打点、八番佐藤武夫は4打数4安打の活躍。ジャイアンツ、タイガースの強さは主力もさることながら下位まで万遍なく打っているところにある。本日の両チームのように伏兵陣が活躍すれば上位も狙えるはず。


 本日4勝目をあげた浅岡三郎投手は、96歳の現在もご健在でいらっしゃいます。野球小僧6月号に浅岡氏のインタビュー記事が掲載されております。

2010年5月24日月曜日

12年春 金鯱vs阪急 2回戦

5月12日(水)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 1 0 0 2 金鯱 8勝12敗 0.400 古谷倉之助
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 11勝9敗 0.550 笠松実
 
勝利投手 古谷倉之助 4勝5敗
敗戦投手 笠松実    4勝4敗


二塁打 (金)小林茂
三塁打 (阪)西村


古谷倉之助2安打完封、奪三振ゼロの巧投


 金鯱は2回、黒澤俊夫四球、古谷倉之助中前打で無死一二塁、三上良夫の当りは一ゴロ、ファースト倉本信護が一塁ベースを踏んで二塁に送球してダブルプレー、二死三塁となる。瀬井清四球で二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて黒澤に本盗が記録され1点を先制。金鯱は7回、瀬井が中前打で出塁、小林茂太が左翼線に二塁打を放ち瀬井一塁から長駆生還して2-0。

 阪急は2回、山田伝が四球で出塁するも倉本信護は6-4-3のゲッツー。4回、先頭の西村正夫が投手強襲ヒットで出塁するも川村徳久が1-4-3のゲッツー。9回にも先頭の西村が右中間三塁打で出塁し最後の反撃のチャンスを迎えるも後続なし。

 古谷倉之助はコントロール主体のピッチングで阪急打線を翻弄して今季2度目の完封勝利。西村正夫に打たれた2安打のみに抑え、3四球、奪三振はゼロ。アウトの内容は、内野ゴロが15(ダブルプレー2を含む)、内野ライナーが1、外野飛球が9、他に内野ゴロエラーが1。緩急をつけたピッチングで阪急打線のタイミングをはずしている様子がうかがえる。

12年春 大東京vs ジャイアンツ 2回戦

5月12日(水)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8   9  計
1 0 0 0 2 0 0 0   0  3 大東京     7勝12敗1分 0.368 近藤久-大友一明
2 1 0 0 0 0 0 0 1X  4 ジャイアンツ 15勝5敗    0.750 澤村栄治


勝利投手 澤村栄治 11勝1敗
敗戦投手 近藤久    4勝6敗


二塁打 (大)坪内、藤浪 (ジ)水原、伊藤、中島
三塁打 (大)鬼頭 (ジ)呉


山本栄一郎の粘り、サヨナラを呼び込む


 大東京は初回、トップの坪内道則が左中間を破るや二塁を蹴って三塁へ、レフト伊藤健太郎-ショート白石敏男-サード水原茂と転送されてタッチアウト。続く鬼頭数雄は一二塁間を破り、水谷則一も中前打で続き鬼頭は三塁へ走り一死一三塁。水谷の盗塁にキャッチャー内堀保は二塁へ悪送球し鬼頭還り1点を先取。一番から三番の三連打で1点だけは痛い。ジャイアンツはその裏、トップの呉波が右中間へ三塁打、続く水原が左中間に二塁打してあっさり同点。三原脩四球で無死一二塁、大東京小西得郎監督はスパっとエース近藤久を引っ込め大友一明をリリーフに送る。中島治康のショート内野安打の際に悪送球が重なり水原が還ってジャイアンツが2-1と逆転。白石もサード内野安打で続くが後を大友が抑えチェンジ。
 ジャイアンツは2回、一死後呉が一二塁間を破り出塁、水原死球後ワイルドピッチで呉が三塁に進むと三原が中犠飛を打ち上げ3-1とリードを広げる。

 この日の澤村はいつものスピードに欠け、2回は藤浪光雄に二塁打を浴び3回も坪内に三遊間を破られるが何とか持ちこたえる。大東京は5回、遂に澤村を捕え遊失の藤浪とヒットの大友を置いて鬼頭が右中間に2点タイムリー三塁打を放ち3-3の同点に追い付く。更に大東京は6回、柳澤騰市が中前打を放つが続く浅原直人が6-4-3のゲッツー、ジャイアンツは大東京に傾きかけた流れを強引に土俵中央に寄り戻す。

 澤村は後半立ち直り7回、8回は三者凡退、9回は2三振を奪う。大友もよく投げジャイアンツ打線を抑えて試合は延長へ。10回表、澤村は大友、坪内を連続三振に斬って取る。投げれば投げる程力を発揮して最終回に最速を記録する、江川、野茂、松坂、斎藤祐ちゃん同様、大投手特有の底力を発揮するタイプである。

 ジャイアンツは10回裏、伊藤健太郎に代えてチーム最長老山本栄一郎を代打に起用、昨年、澤村の一度目のノーヒットノーランゲームでも代打決勝タイムリーを放った代打の切り札、日本運動協会ではエース兼三番打者として鳴らし、各倶楽部チームを渡り歩いてきたつわもの、ここでも粘りを発揮して四球を選び出塁。更に大きくリードをとりキャッチャー藤浪光雄の一塁牽制に釣り出されるが二塁へ爆走、ファースト浅原直人からの送球をショート筒井隆雄が落球して二塁に進塁、内堀は何とか送ろうと右飛を放つが浅い当たりで山本は動けず、続く澤村は普段は流し打ちが多いがここはランナーを進めるために引っ張って二ゴロとなり山本は三塁へ進塁し二死三塁、トップに返り呉が三遊間を破り山本栄一郎がサヨナラのホームを踏む。日本運動協会以来、くぐってきた修羅の数が違う。山本栄一郎については、好著「もうひとつのプロ野球 山本栄一郎の数奇な生涯」に詳しい。

*写真は昭和9年全日本時代の山本栄一郎のサイン(一番右)




2010年5月23日日曜日

三冠への道 ⑨

 昨日、今日とNHKBSでカージナルス戦の中継がありました。2008年まではスカパーで30球団万遍なくカバーしてくれていましたが、放映権料高騰のあおりで放映権の更新ができず、今では日本人選手所属チームの試合しか見れなくなるという異様な事態を迎えております(あくまでも噂ですがNHKがスカパー潰しのために価格を吊り上げているなどという穿った見方もあります。)。いずれにしろまともな大リーグファンが迷惑を被っている状況には違いがありません。


 アルバート・プホルスのスランプは異常事態となってきました。ラルーサ監督も気分転換のためか5月17日のナショナルズ戦からマット・ホリデーと三、四番を入れ替えました(今日から三番に戻しています。)。現在8試合連続打点ゼロ、ここ数年で最悪の状態となっております。まだライバル連中も調子が上がってきていないのがせめてもの救いか。本塁打、打点のライアン・ハワードが最大の強敵となりますが、今年私が恐れているのは、本塁打のダン・アグラ(マーリンズ)です。昨年ライバルのハンリー・ラミレスが首位打者一本に的を絞ってプホルスを凌いで首位打者になりましたが、今年はダン・アグラが本塁打一本に絞ってくるような気がしております。

 BSでも放映されていましたが、ブッシュスタジアムには10本のチャンピオンフラッグが掲揚されています。すなわち過去10回のワールドシリーズ制覇の歴史を誇っています。カージナルスは10~20年周期で黄金時代を迎えてきました。

1930年代 ガスハウス・ギャング
 毎試合ユニホームを泥だらけにする激しい試合ぶりで、近くのガス工場の労働者のようだったことから付けられたニックネームがガスハウス・ギャング。代表格がペッパー・マーチン。特にワールドシリーズになると大暴れするのがペッパー・マーチンの特徴です。

1940年代 スタン・ミュージアル
 大リーグ史上最高の選手を3人挙げるならルー・ゲーリッグ、スタン・ミュージアル、ロベルト・クレメンテ。タイ・カップは人格に問題があり、ベーブ・ルースは生活ぶりに問題があることから選に漏れます。

1960年代 ボブ・ギブソン
 ワールドシリーズでの強さは圧巻。1968年日米野球で来日して一塁側に大きく倒れこむ大リーグ式投法を日本人に印象付けました。当時放映されていた巨人の星にも来日中のカージナルスが登場しています。アームストロング・オズマもメンバーの一人。因みにこの時来日したまだ無名のスティーブ・カールトンはロッテ・オリオンズの成田投手のスライダーに興味を持ち、自分の持ち球として磨いてゆき、フィラデルフィア・フィリーズ移籍後歴代ベストスリー左腕となる活躍に結びつけました(因みにWikipediaにはカールトンが1967年と68年に最多勝をとったという出鱈目が書いてありますので(2010年5月23日現在)当ブログの賢明な読者の方々はくれぐれも信用しないようにしてください。*2010年5月31日追記。2010年5月31日に確認したところ、賢明なWikipedia編集者により削除されております。)。

1980年代 ホワイティ・ボール
 ホワイティ・ハーゾク監督に率いられた1980年代最強チームのひとつ。1982年にパドレスからオジー・スミスを引き抜いたところから物語は始まります。同年、新人として大活躍したのがウィリー・マギー。1982年のワールドシリーズはウィリー・マギーの活躍によって勝利をもぎ取ったと言っても過言ではありません。後にMVP、首位打者2回の活躍。因みにウィリー・マギーと私は生年月日が同一です。*写真はウィリー・マギーのサイン




2000年代 アルバート・プホルス
 2006年ワールドチャンピオン。プホルス健在のうちにあと2回はワールドシリーズを制覇するのではないでしょうか。2006年ワールドシリーズでMVPに輝いたのが“現代のペッパー・マーチン”デビッド・エクスタイン。私が付けたニックネームは突貫小僧。彼のようなファイターにワールドシリーズMVPのチャンスが巡ってくるのも当然か。

*写真は2006年ワールドシリーズ第4戦に使用された試合球にデビッド・エクスタインがサインと共にスタッツを書き込んだもの。この試合でエクスタインは5打数4安打二塁打3本2打点。ワールドシリーズMVPを決定づけた試合です。ワールドシリーズ終了直後のMLBオークションに出品されたものです。








12年春 第7節 週間MVP

 第7節はジャイアンツとタイガースが4連勝、セネタースと阪急が2勝、大東京、金鯱、名古屋、イーグルスがそれぞれ1勝と、順位通りの成績。ジャイアンツとタイガースによる一騎打ちムードが高まってきた。セネタース、阪急の3位争いも熾烈。下位球団も大物食いの可能性を秘めており、最下位イーグルスに粘りが出てきたので今後が楽しみ。


週間MVP

 ジャイアンツ 澤村栄治 4
 
 今節は1完封を含む2勝。

5月9日現在の成績
 
 11試合、うち先発9回、完投9、うち完封勝利4、10勝1敗、投球回数88回3/2、打者344人、打数310、被安打47、被本塁打0、与四球30、与死球0、奪三振74、暴投0、ボーク0、失点16、自責点6、防御率0.61

他に、代打出場1。


 タイガース 景浦将 1

 これまではあまり目立った活躍はなかったので今節が初選出。4試合で10打点(金鯱4回戦で5打点、セネタース3回戦で4打点)。投げてもセネタース4回戦で5安打完封と八面六臂の活躍。


殊勲賞

 名古屋 志手清彦 1
 
 イーグルス4回戦で一番に起用されるや5打数4安打の活躍。


敢闘賞

 大東京 近藤久 1

 金鯱3回戦で4勝目をあげる。打っても3打数3安打三塁打2本の活躍。


技能賞

 イーグルス 太田健一 1
 
 名古屋3回戦で八番ながら3打数3安打2打点の活躍。

12年春 名古屋vs イーグルス 4回戦

5月9日(日)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 0 3 0 1 5 名古屋    7勝12敗  0.368 遠藤忠二郎
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 イーグルス 5勝14敗 0.263 畑福俊英


勝利投手 遠藤忠二郎 1勝1敗
敗戦投手 畑福俊英   4勝8敗


二塁打 (名)桝、大沢、志手


志手清彦4安打の活躍


 イーグルスは初回、トップの寺内一隆が四球で出塁、中根之左前打で続き杉田屋守の送りバントで一死二三塁、四番サム高橋吉雄の中犠飛で1点を先制する。名古屋は3回、岡本利三四球、志手清彦左前打で二死一二塁から芳賀直一が中前タイムリーを放ち1-1の同点とする。


 名古屋は7回、この回先頭の岡本が投手強襲ヒットで出塁、しかし三浦敏一の三ゴロで5-4-3のゲッツーとなりチャンスは潰えたかに見えた。ところがここから粘りを見せてトップの志手が右前打、盗塁後芳賀四球、桝嘉一の二ゴロを高橋がはじく間に志手がホームに還り2-1。岩田次男の中前打で3-1としてなお二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて桝が還って4-1とリードを広げる。9回にも二塁打で出塁した志手を三塁に進め大沢清の右犠飛で5-1として試合を決める。


 遠藤忠二郎は球威こそないものの丁寧なピッチング、3安打6四球3三振の完投で大東京から名古屋移籍後初勝利をあげる。


 名古屋は本日トップに起用された志手清彦が4安打の活躍。一方イーグルスは1回~4回まで連続で無死から出塁した走者を送りバントで進める手堅い戦法をとったが後続がなく、散発の3安打では勝ち目はない。

12年春 阪急vsジャイアンツ  4回戦

5月9日(日)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8  9 計
1 0 0 0 0 1 1 0  1  4 阪急       11勝8敗 0.579 中田武夫-重松通雄
2 0 0 0 0 0 0 1 2X 5 ジャイアンツ 14勝5敗 0.737 前川八郎-スタルヒン


勝利投手 スタルヒン   3勝2敗
敗戦投手 重松通雄  1勝1敗


二塁打 (阪)山下好 (ジ)中島
本塁打 (阪)宮武 1 (ジ)中島 3


藤本定義監督の執念、サヨナラを呼び込む


 阪急は初回、西村正夫が四球、黒田健吾が送って上田藤夫中前打で一死一三塁と先制のチャンス。山下好一の遊ゴロをショート白石敏男がバックホームして西村を刺して二死一二塁、宮武三郎が右前に先制タイムリーを放ち1-0と先制する。ジャイアンツはその裏、呉波、水原茂の連打で無死一三塁とし、三原脩の中前打で同点、更に中島治康が左翼線に二塁打を放ち2-1と逆転する。阪急先発の中田武夫は一死も取れずに降板、後を重松通雄に託す。重松は後続を抑え7回までジャイアンツを無得点に封じる。

 阪急は6回、一死から宮武が左翼観覧席にホームランを放ち2-2と再度同点とする。宮武三郎は西宮球場第1号ホームランとしてその名を残すこととなった。この後二死から宇野錦次、島本義文が連打を放ち一二塁のチャンスを作るが重松は遊ゴロに倒れ追加点はならず。阪急は7回、この回先頭の西村が三遊間を破り出塁、黒田は強攻策に出るが二ゴロで西村二封、上田も遊ゴロで黒田が二封とランナーを進めることができない。上田盗塁後山下好一は四球で二死一二塁となったところでジャイアンツベンチは前川八郎からスタルヒンにスイッチ、続く宮武の当りは一ゴロ、ファースト筒井修からベースカバーに入ったスタルヒンに送球されるが呼吸が合わず悪送球となる間に上田が還り3-2と逆転。
 ジャイアンツは8回、二死から中島が左翼スタンドへ起死回生の同点ホームランを放ち3-3と再度同点に追い付く。

 阪急は9回、この回先頭の西村が四球で出塁、今度は黒田が送り一死二塁、二死後山下好一が右中間に二塁打を放ち4-3と再度リードする。続く期待の宮武は二ゴロに倒れ追加点はならず。

 ジャイアンツは9回裏、この回の先頭は9回の守備から筒井に代わりファーストに入ったベテラン永澤富士雄、永澤の当りは二ゴロとなるがこれをセカンド宇野が失して無死一塁とすると代走に最長老の山本栄一郎を起用、伊藤健太郎の送りバントが内野安打となると伊藤の代走に津田四郎主将を起用する。内堀保が送り一死二三塁とするとスタルヒンに代えて昨日タイムリーヒットを放った澤村栄治を代打に送るが澤村は三振。しかし、ジャイアンツナインは藤本定義監督の執念を感じ取ったか続く呉が四球を選び二死満塁、水原も四球を選び三走山本がホームに還り遂に4-4と同点に追い付く。続く三原が三遊間を破り津田主将を迎え入れて逆転サヨナラで二日続きの激戦を制する。

*写真は昭和10年第1回アメリカ遠征時の津田四郎主将と永澤富士雄のサイン




2010年5月22日土曜日

12年春 大東京vs 金鯱 4回戦

5月9日(日)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 2 0 0 0 0 0 3 大東京 7勝11敗1分 0.389 大友一明-桜井七之助
0 0 2 0 0 4 1 0 X 7 金鯱   7勝12敗    0.368 鈴木鶴雄-古谷倉之助


勝利投手 古谷倉之助 3勝5敗
敗戦投手 大友一明   2勝4敗


二塁打 (金)安永、小林


煤孫伝、三つのタイムリーエラー


 大東京はこれまでの鬼頭数雄ー坪内道則の一二番コンビを入れ替えて一番坪内二番鬼頭、浅原直人をサードに回して前日代打でクリーンヒットを放った煤孫伝を五番ファーストに起用。
 大東京は初回、坪内道則が中前打で出塁、鬼頭遊撃内野安打で無死一二塁とすると、水谷則一が中前にタイムリーを弾き返して1点を先制。早くも新打線が効を奏す。

 金鯱は3回、鈴木鶴雄が四球、濃人渉左翼線へのヒットで無死一二塁。ここで安永正四郎が左中間を破り二者が還って2-1と逆転。
 大東京は4回、この回先頭の浅原が右翼線安打、続く藤浪光雄が左前打で無死一二塁とすると、ここでダブルスチールを敢行、見事に決まって無死二三塁とする。一死後大友一明が右前に2点タイムリーを放ち3-2と再逆転。金鯱は5回から鈴木鶴雄に代えて古谷倉之助を投入。古谷はその後を無得点に抑える。

 金鯱は6回、黒澤俊夫四球、三上良夫中前打で黒澤は快足を飛ばして三塁へ進み無死一三塁、三上のディレードスチールにキャッチャー藤浪は二塁へ送球、三上挟まれセカンド中村三郎からファースト煤孫に送球、これを煤孫が後逸して黒澤生還し3-3の同点、三上は三塁へ進む。一死後、七番小林茂太が右前にタイムリーを放ち4-3とみたび逆転。相原輝夫投手強襲ヒット、古谷四球で一死満塁、トップに返り濃人渉の当りはファーストゴロ、煤孫捕球してバックホーム、これが大暴投となり三走小林に続き二走相原もホームに還り6-3。金鯱は7回、三上が中前打と盗塁で二死二塁、佐々木常助の当りは遊ゴロ、ショート筒井隆雄からファースト煤孫に送球、これを又も煤孫が落球して三上が還り7-3とする。


 煤孫伝は東北では名の知れた強打者、しかし本日は3つのタイムリーエラーで勝星を金鯱にプレゼント、当時はまだDHは無いので守備力強化がレギュラーへの鍵となる。

12年春 セネタースvsタイガース 4回戦

5月9日(日)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 セネタース 11勝8敗    0.579 伊藤次郎
0 1 0 0 0 0 0 0 X 1 タイガース 13勝5敗1分 0.722 景浦将


勝利投手 景浦将   4勝2敗
敗戦投手 伊藤次郎 1勝1敗


景浦将投げても5安打完封


 剛球景浦将と緩球伊藤次郎の投げ合い、共に許した安打は5安打、勝敗を分けたのはコントロール、景浦の与四球1に対して伊藤は6であった。
 タイガースは2回、御園生崇男中前打、伊藤の三ゴロはサード今岡謙次郎が間に合わない二塁に投げて野選となる。二死後岡田宗芳四球で満塁、ここで松木謙治郎も四球を選んで押出し。この虎の子の1点を景浦が守り抜きタイガースが接戦を制する。

 チャンスらしいチャンスがなかったセネタースは7回、この回先頭の中村民雄が中前打で出塁、綿貫惣司が送り一死二塁のチャンス到来、しかし伊藤次郎の右前打はライト山口政信の好返球で中村民が本塁憤死となり得点できず。

 このところ豪打を発揮していた景浦将は本日は4打数無安打、しかし剛球を披露して5安打1四球3三振で今季初完封勝利を飾る。

2010年5月21日金曜日

12年春 ジャイアンツvs阪急 3回戦




5月8日(土)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 1 0 2 ジャイアンツ 13勝5敗 0.722 澤村栄治
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 阪急       11勝7敗 0.611 重松通雄-笠松実


勝利投手 澤村栄治 10勝1敗
敗戦投手 笠松実    4勝3敗


二塁打(阪)宇野


澤村栄治以外の補殺がゼロ


 序盤戦はジャイアンツ先発の澤村栄治、阪急先発の重松通雄が持ち味を発揮しての投手戦、澤村はホップするストレートで凡フライの山を築き5回まで散発の3安打、重松は下手からのくせ球を駆使して凡ゴロの山を築き5回まで呉波のバントヒット1本に抑える。

 ジャイアンツは6回、一死後呉が中前打で出塁、水原茂の右前打で呉は三塁を陥れ一死一三塁、ここで三原脩が一塁前にスクイズ、ファースト宮武三郎がバックホームするも間に合わず犠打野選となり1点を先制する。更に中島治康四球で一死満塁、阪急は重松から笠松実にスイッチ、笠松は白石敏男を遊ゴロ併殺に仕留め追加点は許さず。
 阪急はその裏、一死後山下好一が四球で歩くと盗塁を決める、宮武三郎が一飛に倒れ二死二塁、続く山田伝の遊ゴロを白石敏男がはじく間に山下好一がホームに還り1-1の同点に追い付く。あまりにも阪急の各打者がぽんぽんとフライばかり打ち上げるものだから白石に油断があったか。澤村の無失点記録は28イニングスで終了。

 ジャイアンツは8回、又も呉が四球で出塁、水原が送り主砲中島治康の中前打で呉が還り2-1とリードする。澤村は9回二死から宇野錦次に二塁打を許すが代打ジミー堀尾文人を右直に抑えてゲームセット。

 阪急打線は澤村への投ゴロが2つ、投前送りバントが1つ、上田藤夫が放った一塁ゴロもファーストの筒井修がそのままベースを踏んだので筒井には補殺は記録されず、山田伝の遊ゴロも白石がエラーで補殺は記録されず、後は三振かフライアウトで結局ジャイアンツ守備陣は澤村の3以外に補殺を記録する者がなしという珍記録を作った。二番の黒田健吾と五番の宮武三郎は共に4打席連続フライアウトを記録する。翌日の読売新聞誌上で市岡忠男は、「殊に捕邪飛が4、一、三邪飛がそれぞれ1を記録しているとは一面澤村の球威を物語るものであろう。」と記している。

*少し見辛いと思いますが、写真のオーダーの横の集計欄左から2列目、澤村の3以外ゼロが並んでいる列が補殺の数字です。

12年春 イーグルスvs名古屋 3回戦

5月8日(土)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 2 3 0 5 イーグルス 5勝13敗 0.278 畑福俊英
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 名古屋    6勝12敗  0.333 森井茂-田中実


勝利投手 畑福俊英 4勝7敗
敗戦投手 森井茂   3勝6敗


畑福俊英2安打完封


 イーグルス先発の畑福俊英は、低めにコントロールされたストレートとカーブで名古屋打線を寄せ付けず、一方、イーグルス打線は名古屋先発の森井茂の緩球に手を焼きヒットは出るも点が入らず6回までは0-0の投げ合いが続く。

 均衡が破れたのは7回イーグルスの攻撃、この回先頭の杉田屋守が右前打で出塁、田村稔の一ゴロをファースト岡本利三が失して無死二三塁、佐藤武夫三振後、太田健一がスクイズを決めて遂に1点を先制。更に畑福が左翼線タイムリーで続き2-0とする。更にイーグルスは8回、寺内一隆四球、捕逸とキャッチャー牽制悪送球で三進、サム高橋吉雄四球、名古屋は森井茂から田中実にスイッチ、田村稔四球で一死満塁、佐藤武夫死球で押出し、キャッチャーからの三塁牽制をサード岩田次男がはじいて1点追加、更に太田のタイムリーで計3点を追加して5-0とリードを広げる。

 畑福は最後まで安定した投球で6回以降2四球のみの無安打ピッチング、バックも寺内の好返球など二つのダブルプレーで盛りたて、結局2安打4四球5三振で今季二度目の完封勝利。イーグルスは八番太田健一が3打数3安打2打点と活躍するなど久しぶりに投・攻・守に見るべきものがあり4連敗でストップ。

2010年5月20日木曜日

12年春 タイガースvsセネタース 3回戦

5月8日(土)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 3 0 0 3 0 1 0 1 11 タイガース 12勝5敗1分 0.706 御園生崇男
0 0 0 1 0 0 0 0 1  2  セネタース 11勝7敗   0.611 野口明-浅岡三郎


勝利投手 御園生崇男 3勝0敗
敗戦投手 浅岡三郎   3勝5敗


二塁打 (タ)岡田、藤村、門前、藤井 (セ)伊藤
三塁打 (タ)岡田、松木


景浦将2試合で9打点


 タイガースは初回から怒涛の攻撃、松木謙治郎中前、藤井勇右前打から山口政信の投前送りバントが内野安打となり無死満塁、ここで主砲景浦将が右前に2点タイムリーを放つ。この後遊失で1点加えて3-0。更に2回、先頭の岡田宗芳が左中間に二塁打、松木の中前打はサードをオーバーランした岡田がカットに入った中村信一からの送球に刺されるが、野口明はここで降板、浅岡三郎に後を託す。しかし藤井右前打、山口四球で又も満塁、景浦が中前に2点タイムリーを放ち5-0。御園生崇男も中前タイムリーで続き6-0とする。


 セネタースは4回、浅岡のタイムリーで1点を返すが、タイガースは5回、藤村富美男、門前真佐人の連続二塁打と3四球で3点を加え9-1。7回にも松木の内野ゴロの間に1点、9回も松木三塁打、藤井二塁打で1点追加する。セネタースは最終回、苅田久徳のタイムリーで1点を返すが焼け石に水、御園生崇男は大量リードに守られて余裕のピッチング、先制、中押し、ダメ押しと理想的な点の取り方で結局11-2でタイガースが圧勝。


 タイガースは松木が4安打、景浦は前の試合の5打点に続いて本日も4打点の活躍。澤村にノーヒット・ノーランを食らってから以降は、目が覚めたかのように猛打さく裂となってきた。
 2位タイガース対半ゲーム差で追う3位セネタースの戦いはタイガースが力の違いを見せつける形となった。セネタースはシーズン序盤からフル回転のエース野口明に陰りが見えてきたのが気掛かり。

12年春 金鯱vs大東京 3回戦


5月8日(土)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 2 0 0 0 1  3 金鯱   6勝12敗    0.333 古谷倉之助-中山正嘉
0 0 0 0 0 2 0 0 2X 4 大東京 7勝10敗1分 0.412 近藤久-桜井七之助


勝利投手 近藤久   4勝5敗
敗戦投手 中山正嘉 3勝4敗


二塁打 (金)黒澤 
三塁打 (大)近藤2、大友、鬼頭


近藤久投打に活躍、サヨナラを呼び込む


 大東京先発の近藤久は3回まで3人づつで抑える好投、奪三振こそないもののコーナーをつく丁寧なピッチング。一方金鯱先発の古谷倉之助は毎回走者を背負いながらも切り抜け、前半は両軍無得点。

 ゲームが動いたの5回金鯱の攻撃、一死後三上良夫が中前打、瀬井清四球で一死一二塁、キャッチャー藤浪光雄が2連続捕逸を犯し1点先制してなお一死三塁、相原輝夫四球で一死一三塁、ここで相原がディレードスチール、近藤からセカンド中村三郎に送球され相原は挟まれランダンプレーに、中村からの送球をファースト浅原直人が落球して三走瀬井がホームに還り2-0とリードする。
 大東京は6回、浅原に代わり煤孫伝を代打に起用、煤孫は5月1日の対名古屋3回戦に9回表のファースト守備のみでデビューを果たしているが、これが職業野球入り初打席。珍名ランキング第1位の煤孫は期待に応えて右前にクリーンヒット、しかし藤浪の三ゴロでゲッツー、チャンスは潰えたかに見えたが筒井隆雄、代打大友一明連続四球で二死一二塁、ここで金鯱ベンチは古谷から中山正嘉にスイッチ、しかし近藤久が中越えにこの日二本目の三塁打を放ち2-2の同点に追い付く。

 金鯱は9回、この回先頭の黒澤俊夫が左翼線に二塁打、中山が送り一死一三塁、三上の一ゴロの間に黒澤がホームを陥れて3-2とリード。なおも瀬井四球、相原右前打と続いたところで、ここまでよく投げた近藤久は桜井七之助と交代、桜井は江口を遊ゴロに仕留め9回裏へ。

 大東京は9回裏、この回先頭の大友が中越え三塁打を放ち無死三塁と同点のチャンス到来。桜井は三振に倒れ一死三塁、トップに返り鬼頭数雄の一打はセンターの頭上を越える。大友ゆっくりと生還して3-3と同点、なおも一死三塁と今度はサヨナラのチャンス到来。坪内のカウントワンストライクワンボールからの第三球目に三走鬼頭がスタート、しかし坪内はボールを見送る、スクイズサイン見落としか、キャッチャー相原は鬼頭を刺さんとサードの瀬井に送球、しかし瀬井はスクイズを警戒して前進していたため鬼頭は瀬井のタッチをかいくぐり三塁ベースめがけて疾走、ところが勘のいいショート濃人渉がサードベースカバーに入っており瀬井は濃人に送球する。しかしこれが悪送球となり白球が外野を転々とする間に鬼頭がホームベースを駆け抜け大東京のサヨナラ勝利となる(このサヨナラシーンはスコアブックには(2)5'-6(「捕手発のプレーで三塁手が遊撃手に悪送球する」を意味する)と記載されているだけでここまでの内容を読み取るのは不可能です。翌日の読売新聞の記事を参考にさせていただきました。)。

 瀬井清にサヨナラエラーが記録されたが、濃人渉の動きが良すぎたがための悪送球とも言える。これから33年後、1970年に濃人渉はロッテオリオンズを率いてパ・リーグを制することとなる。当ブログのこれまでの登場人物で、戦後監督を務めてリーグ優勝を成し遂げた人物は、三原脩、水原茂を除くと濃人渉だけである。いかにも策士という面構えであったが、その策士ぶりは本日の動きにもうかがわれる。なお、1970年の日本シリーズ第1戦で巨人の堀内がロッテの主砲アルトマンを4打席連続敬遠するという卑怯極まりない手に出たことが、私のアンチ巨人を決定づけました。


 近藤久は9回2死で降板しており、現行ルールでは一人だけを抑えた桜井七之助が勝利投手となるが、公式記録では近藤久が勝利投手となっている。本日のケースでは誰が見ても当時の記録員の判断が正しく、現行ルールは形式的にしか見えない。

2010年5月19日水曜日

12年春 ジャイアンツvsイーグルス 4回戦

5月6日(木)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
4 0 2 0 0 0 6 0 4 16 ジャイアンツ 12勝5敗 0.706 スタルヒン
0 0 1 0 1 0 0 0 0  2  イーグルス   4勝13敗 0.235 古川正男-大石綱


勝利投手 スタルヒン 2勝2敗
敗戦投手 大石綱   0勝1敗


二塁打 (ジ)中島2、筒井、津田 (イ)寺内
三塁打 (ジ)呉、山本、白石 (イ)野村


中島治康5安打3打点


 ジャイアンツは初回、無死満塁から主砲中島治康が左中間に二塁打を放ち2点を先制。本日は上井草で景浦将が、西宮の第一試合では宮武三郎が爆発、中島も黙ってはいられない。更に筒井修も二塁打を放ち2点追加して4-0とする。更にジャイアンツは3回、三原脩中前打、中島二打席連続二塁打、白石敏男四球の無死満塁で又も筒井が2点タイムリーを放ち6-0とリードを広げる。


 イーグルスは3回と5回、いずれも寺内一隆のタイムリーで1点ずつ返すが、ジャイアンツは6回、津田四郎主将が今季初打席で中前にクリーンヒット、7回は、筒井の本日5打点目のタイムリー、津田主将のタイムリー二塁打、呉波の2点タイムリー三塁打等で6点を追加する。9回もチーム最年長の山本栄一郎の代打三塁打をきっかけに、中島の5本目のヒット等で4点、最後はセンターオーバーを放った白石敏男が三塁を回ってランニングホームランを狙うがこれはイーグルス守備陣の中継に阻まれてチェンジとなる。


 大量リードに守られてスタルヒンは7安打5四球3三振の完投で2勝目をあげる。

12年春 阪急vs名古屋 4回戦

5月6日(木)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 1 0 2 0 0 0 2 6 阪急   11勝6敗 0.647 石田光彦-中田武夫
2 0 1 0 0 0 0 0 0 3 名古屋 6勝11敗 0.353 遠藤忠二郎


勝利投手 中田武夫   2勝1敗
敗戦投手 遠藤忠二郎 0勝1敗


二塁打 (阪)上田、宮武
三塁打 (阪)山下好


宮武三郎、代打逆転二塁打


 阪急は初回、遊失で出た西村正夫を上田藤夫の左中間二塁打で還して1点を先制。名古屋はその裏、トップの志手清彦三失、芳賀直一三左前に落とし無死一二塁、桝嘉一が送り二三塁から大沢清の二ゴロをセカンド川村徳久が大きくはじき二者が還り2-1と逆転。阪急は3回、西村、黒田健吾、上田の三連打で2-2と追い付く。しかし名古屋はその裏、桝、岩田次男の連打から大沢清が送り一死二三塁とし、白木一二の二ゴロで桝が還り再び3-2とリードを奪う。


 このシーソーゲームに決着をつけたのは宮武三郎。阪急は5回、この回先頭の黒田が三遊間を破り出塁、上田の一二塁間安打でサードへ向かった黒田が刺され一死一塁、山下好一が四球で歩き一死一二塁、ここでこの日六番レフトで先発出場の北井正雄に代わり代打宮武三郎が登場、宮武は期待に応えて左超えに大二塁打を放ち二者を迎え入れ、阪急が4-3と逆転。


 阪急は9回にも山下好一の三塁打と山田伝のタイムリーで2点を加え、石田光彦-中田武夫のリレーで6-3と快勝。大東京から名古屋に移籍した遠藤忠二郎は移籍後初登板を白星で飾れず。

 北井正雄投手の事情に詳しくない方にとっては何故六番レフトで出場しているのか疑問を持たれるかもしれません。すでにこの時点で投げられる状態ではなかったのです

2010年5月18日火曜日

12年春 セネタースvs大東京 4回戦

5月6日(木)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 0 0 1 0 2 セネタース 11勝6敗    0.647 伊藤次郎-野口明
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 大東京     6勝10敗1分 0.375 大友一明


勝利投手 伊藤次郎 1勝0敗
敗戦投手 大友一明 2勝3敗
セーブ   野口明  1S


二塁打 (セ)尾茂田 (大)藤浪
三塁打 (大)水谷


野口明、好リリーフ


 セネタースは3回まで三者凡退、大東京も初回先頭の鬼頭数雄の三前バントヒットのみと静かな立ち上がり。セネタースは4回、トップの苅田久徳が中前に弾き返すとすかさず二塁に盗塁、中村信一の中前打で無死一三塁、尾茂田叶の右犠飛で苅田が還り1点を先制、中村信はバックホームの間にタッチアップから二塁を陥れる。相変わらずの一二番コンビの隙のない走塁。大東京は4回、一死から水谷則一が右中間に三塁打、中村三郎の左犠飛で1-1と同点に追い付く。
 セネタースは8回、一二番が倒れた二死から尾茂田が左翼線に二塁打、四番中村民雄が中前に決勝タイムリーを放ち2-1とする。

 伊藤次郎は8回まで大東京打線を5安打に抑える、奪三振は僅かに2ながらも1四球と安定実のある投球、8回も先頭の大友一明にヒットを許すが鬼頭を二ゴロに打ち取り4-6-3とセネタース得意の併殺網が得点を許さず。大東京9回の攻撃は三番水谷から、伊藤は水谷を四球で歩かせると続く中村三郎に三塁線を破られ無死一二塁のピンチを招く。更にここで痛恨のボークを犯し無死二三塁と一打サヨナラの大ピンチ、ここでセネタースベンチは伊藤からエース野口明にスイッチ。浅原直人は遊飛に倒れるが藤浪光雄四球で一死満塁、続く筒井隆雄の当りは三ゴロ、サード今岡謙次郎バックホーム、この回から中村民雄に代わってマスクを被る北浦三男に渡り本塁フォースアウト、野口明は最後は代打近藤久を三振に仕留めてゲームセット。伊藤次郎は嬉しい今季初勝利。9回裏無死二三塁からリリーフに立ったエース野口明はベンチの期待に応えて後続を抑えて今季初セーブをあげる。

12年春 タイガースvs金鯱 4回戦

5月6日(木)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 3 0 4 0 0 1 1 9 タイガース 11勝5敗1分 0.688 西村幸生
1 0 0 0 0 1 2 0 0 4 金鯱      6勝11敗   0.353 中山正嘉-鈴木鶴雄-松元三彦

勝利投手 西村幸生 3勝2敗
敗戦投手 中山正嘉 3勝3敗


二塁打 (タ)岡田 (金)佐々木、小林
三塁打 (タ)景浦2 (金)安永


景浦将の豪打さく裂

 金鯱は初回、安永正四郎、小林利蔵が連続右前打、三上良夫二失で満塁とし、瀬井清が押出し四球を選んで1点を先制。タイガースは3回、この回先頭の八番岡田宗芳が左中間二塁打、続く西村幸生四球、一死後藤井勇が左前に痛烈に流し打って1-1の同点とする。更に二死一三塁から主砲景浦将を迎える。マウンド上の中山正嘉は松山商業時代一昨年夏の甲子園優勝投手、景浦は松山商業の大先輩、景浦の打球は右中間を真っ二つに破る三塁打となり3-1と逆転。

 更にタイガースは5回、西村、松木謙治郎が連続四球、金鯱ベンチは中山を諦め鈴木鶴雄を投入、藤井の一ゴロで西村三封、御園生崇男四球で一死満塁となり景浦将を迎える。景浦の打球はセンター頭上を越える大三塁打となり満塁走者一掃、6-1とリードを広げる。奈良友夫の二ゴロで景浦も還り7-1と勝負を決める。
 金鯱は6回、佐々木常助の二塁打と濃人渉の内野安打で一三塁とし、重盗を決めて7-2。7回にも小林の二塁打、瀬井、松元三彦のヒットなどで2点を返し7-4と粘るが、タイガースは8回敵失で1点、9回も本堂保次の二ゴロの間に1点を加えて9-4で快勝。西村幸生は12安打を許すも要所を締め3四球10三振の完投で3勝目をあげる。

 今季のタイガースの勝利は総合力によるものが多く、景浦一人が目立つゲームはここまで無かったが、本日は3打数2安打三塁打2本で5打点、景浦一人で金鯱投手陣を粉砕した試合であった。


*当ブログ秘話
  本日完投勝利を飾った西村幸生が奪った三振は10個ですが、公式スコアブックの投手成績欄には12個と誤った数字が記載されています。これは推測ですが、そもそも投手成績欄に記入する数字は打者成績欄で集計した数字を転記することになると思いますが、恐らく転記する時に隣の残塁数12と間違えたのではないでしょうか。現在であればエクセルで集計していれば間違いは起こりませんが何分全て手作業で行っていた時代ですから。因みに当時の新聞記事にも実際の記録と誤った記述が多く見られます。現場の記者が書いたスコアを原稿にする際に間違いが起こるのは当時の情報伝達手段からすれば当然のことでしょう。

2010年5月17日月曜日

12年春 名古屋vs阪急 3回戦

5月5日(水)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 3 0 0 0 0 0 0 0  3  名古屋 6勝10敗 0.375 笠松実
4 3 1 0 1 0 9 0 X 18 阪急  10勝6敗  0.625 森井茂 田中実

勝利投手 笠松実 4勝2敗
敗戦投手 森井茂 3勝5敗


二塁打 (名)大沢 (阪)倉本、笠松、山下好
三塁打 (阪)林


阪急フランチャイズ初戦に快勝


 阪急は新フランチャイズとなる西宮球場での初戦とあって、是が非でも勝たなくてはならないゲーム。
 
 阪急は初回、トップの西村正夫が二失に生きると、二番黒田健吾が三前内野安打で続く。三番上田藤夫が送り一死二三塁、四番山下好一が左前にタイムリーを放ち二者を迎え入れる。五番宇野錦次が四球を選び一死一二塁、六番山田伝は一飛に倒れるが七番倉本信護がセンターオーバーを放ち二者が還り4-0、倉本は三塁に向かうが中継のショート芳賀直一からの送球にタッチアウト。打線を大幅に入れ替えて臨んだ必勝ゲームの主導権を握る。

 しかし名古屋は2回、大沢清四球、白木一二中前打の無死一二塁から前田喜代志が中前にタイムリーを放ち4-1、森井茂の投前送りバントを笠松実が間に合わない三塁に投げて野選となり無死満塁、三浦敏一押出し四球を選び4-2、芳賀直一の左犠飛で4-3と1点差に詰め寄る。負けられない阪急はその裏、笠松が左超え二塁打、西村三前バントヒットから黒田右前タイムリー、上田も右前にタイムリー、山下好一左犠飛とたたみかけて7-3と突き放す。
 三回以降立ち直った笠松が名古屋打線を無得点に抑えると、阪急は3回、八番に起用された林信一郎のタイムリー三塁打で1点、5回にも西村の二ゴロで一点を加え9-3。

 阪急は7回、宇野中前打、ヘソ伝一二塁間安打、倉本、林、笠松が連続四球、代わった田中実から西村も四球、黒田三失、上田遊失、山下好一右翼線タイムリー二塁打で依然ノーアウトで7点を加えて無死二三塁。宇野の右犠飛で三走上田が還り、三進した山下好一もワイルドピッチで生還して五番から四番まで9人連続得点を記録する。


 阪急は記念すべき新フランチャイズ球場での初戦を18A対3で快勝して2,042人の観衆に応える。

12年春 イーグルスvsジャイアンツ 3回戦

5月5日(水)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 イーグルス  4勝12敗 0.250 畑福俊英
0 2 0 0 0 0 0 1 X 3 ジャイアンツ 11勝5敗 0.688 澤村栄治

勝利投手 澤村栄治 9勝1敗
敗戦投手 畑福俊英 3勝7敗

三塁打 (ジ)平山


澤村栄治2試合連続完封


 竣工したばかりの西宮球場のこけら落としとなるゲーム。


 イーグルスは初回、現在首位打者の二番中根之が左前にヒットで出塁、澤村栄治の連続無安打イニングは14回2/3で途切れる。しかし杉田屋守の遊ゴロは白石敏男-三原脩-筒井修と渡りゲッツー。ジャイアンツは2回、この回先頭の筒井が三塁内野安打で出塁、二死後八番平山菊二が中越えに大三塁打を放ち1点を先制。更に九番澤村が二遊間を破り2-0。

 自らタイムリーを放ち気を良くした澤村は、2回、3回を三者凡退、4回中根に二本目のヒットを許すが続く杉田屋守を三振。5回、先頭の田村稔に中前にヒットを許すが佐藤武夫をサードゴロゲッツーに打ち取る。6回以降はパーフェクトピッチング。9回二死、最後の打者は今日2安打を許した中根之、5回以降三振ゼロと打たせて取るピッチングを続けてきたがここは三振を取りに行き中根は空振り三振、キャッチャー内堀保も捕り損ねる程の鋭いドロップ。三振ナットアウトを内堀が一塁に送球して試合終了。前回5月1日タイガース戦の無安打無得点に続き2試合連続完封勝利、本日は正真正銘二塁を踏ませず、現在22回1/3連続無失点を継続中。
 畑福俊英も6安打3四球5三振とよく投げたが相手が悪すぎた。

 三原脩が三番セカンドに入ってからジャイアンツの守備陣も打線も一層締まってきた。早稲田大学時代から名二塁手として鳴らしてきた三原としては、職業野球入り後セカンドに転身してきた苅田には負けられないところ。