2025年2月28日金曜日

チーム名変更

 昭和22年6月1日より、近畿グレートリングは南海ホークスにチーム名を変更した。

 変更理由は有名なのでここでは省略する。


2025年2月27日木曜日

22年 金星vs阪急 6回戦

6月1日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 1 3 0 0 0 5 金星 12勝15敗 0.444 重松通雄 
0 0 1 0 2 0 0 0 0 3 阪急 11勝17敗 0.393 野口二郎

勝利投手 重松通雄 5勝2敗 
敗戦投手 野口二郎 4勝5敗

二塁打 (金)小前、重松、坪内 (急)青田
本塁打 (金)大友一明 1号

勝利打(金)大友一明 1


大友一明、逆転ツーラン

 西宮の第1試合は重松通雄と野口二郎の先発で午後1時丁度、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 金星は2回表、先頭の西沢道夫が左前打で出塁、小前博文が左中間にタイムリー二塁打を放ち1点を先制する。

 阪急は3回裏、二死後上田藤夫が四球を選んで出塁、青田昇が左中間に同点タイムリー二塁打を放ち1-1と追い付く。

 金星は5回表、先頭の重松がレフト線に二塁打、一死後坂本勲に代わる代打内藤幸三が中前にタイムリーを放ち2-1と勝ち越す。

 阪急は5回裏、一死後山田伝が三塁線にヒット、トップに返り田中幸男が三遊間にヒット、上田は四球で無死満塁、青田が中前に逆転の2点タイムリーを放ち3-2と試合をひっくり返す。

 金星は6回表、先頭の現在首位打者清原初男が左前打で出塁、西沢の二ゴロで清原は二進、小前の投ゴロに二走清原が飛び出して二三塁間でタッチアウト、二死一塁となって大友一明がレフトスタンドに逆転ツーランを叩き込んで4-3、重松が左前打、辻勇夫の右前打で二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて5-3とリードする。

 重松通雄は8安打3四球1死球3三振の完投で5勝目をマークする。

 大友一明は昭和11年のプロ入り以来、通算4本目のホームランが殊勲打となった。

 金星は三走重松通雄、一走辻勇夫のバッテリーでダブルスチールを決めて貴重な追加点をあげた。

 この試合の結果、好調金星は単独4位をキープ。熾烈な順位争いから一歩抜け出した。

2025年2月25日火曜日

22年 東急vs太陽 5回戦

6月1日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 1 0 0 0 2 東急   9勝16敗 0.360 黒尾重明 北川桂太郎 白木義一郎 
1 1 0 0 0 0 0 1 X 3 太陽 11勝15敗 0.423 真田重蔵

真田重蔵     5勝5敗 
北川桂太郎 1勝4敗

二塁打 (東)飯島、大下 (太)中谷、佐竹

勝利打点(太)森下重好 3

猛打賞 (東)長持栄吉 2


太陽、打線のつながりで競り勝つ

 第7節4日目、日曜の後楽園には33,541人の観客が詰めかけた。昭和21年11月3日の34,708人に次ぐ史上二番目の記録である。

 後楽園の第1試合は黒尾重明と真田重蔵の先発で午後零時58分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 太陽は初回、先頭の荒川昇治が四球を選んで出塁、一死後中谷信夫が左中間にタイムリー二塁打を放ち1点を先制する。

 太陽は2回裏、先頭の森下重好が左前打で出塁、伊勢川真澄のライト線ヒットで無死一三塁、松井信勝が中前にタイムリーを放ち2-0とする。

 東急は4回表、一死後飯島滋弥が四球を選んで出塁、大下弘の右中間二塁打で一死二三塁、長持栄吉の二塁への内野安打がタイムリーとなって1-2とする。

 東急は6回表、一死後飯島が右前打で出塁、大下の中前打で一死一二塁、長持が中前にタイムリーを放ち2-2の同点に追い付く。

 太陽は8回裏、先頭の藤井勇の当りは一ゴロ、これをファースト飯島がエラー、佐竹一雄がレフト線に二塁打を放ち無死二三塁、森下の中犠飛で3-2と1点を勝ち越す。

 東急は最終回、先頭の長持が中前打で出塁、鈴木圭一郎の投前送りバントを真田が二里に送球して長持はフォースアウト、二死後大沢喜好に代わる代打熊耳武彦が右前打を放って二死一三塁、しかし鈴木清一は二ゴロに倒れてゲームセット。

 真田重蔵は8安打1四球4三振の完投で5勝目をマークする。最終回のバント処理が大きかった。

 東急は長持が3安打2打点の活躍、飯島と大下も2安打ずつを放ったが、チーム8安打の内このクリーンナップトリオに7安打が集中し、もう1点の追加ができなかった。

 一方、太陽はチームでは7安打であったが、二番から八番までが1本ずつで、打線のつながりで競り合いを制した。

 Aクラス入りとなる4位争いは太陽と金星が争っている。早速、実況中継を西宮の金星vs阪急戦に移そう。
 

2025年2月24日月曜日

22年 4月・5月 月間MVP

月間MVP
投手部門 大阪 御園生崇男 3
 投手部門は別所昭、藤本英雄、御園生崇男の3人の争いとなった。
 別所は13試合に登板して110回3分の2を投げて9勝4敗3完封。防御率1.87、WHP1.11。
 藤本は10試合に登板して73回3分の0を投げて8勝2敗1完封。防御率1.97、WHP0.97。
 御園生は9試合に登板して45回3分の0を投げて7勝0敗1完封。防御率2.20、WHP1.09。

 当初は別所と藤本の争いと見られていた。
 別所は5月4日までの6試合では5勝1敗3完封、防御率0.58、WHP0.96と圧倒的成績であったが、5月8日以降の7試合では4勝3敗、防御率2.78、WHIP1.21と成績を落とした。特に5月23日の大阪戦で8対1とリードしていながら8回、9回に10失点で逆転負けし、大阪を勢い付かせてしまったという大きなマイナスポイントがあり脱落した。
 藤本で決まりとの声も多かったが、藤本は上位の大阪と近畿戦に一度も登板していない。
 御園生は登板回数が少ないものの、先発にリリーフに安定した活躍を見せて7戦不敗。

 これら要因を総合的に判断した結果、御園生崇男が選出された。


打撃部門 金星 清原初男 1
 打撃部門は川上哲治、藤井勇、清原初男の争いとなった。
 川上は3割4分7厘、13得点、13打点。二塁打7本、三塁打2本、本塁打2本、OPS0.992。
 藤井は3割3分7厘、13得点、11打点。二塁打7本、三塁打2本、本塁打2本、OPS0.904。
 清原は3割6分7厘、13得点、7打点。二塁打3本、三塁打0本、本塁打0本、OPS0.819。

 近年のOPSを重視する流れで行くと川上で決まりとなるが、事はそう単純ではない。川上の前後の打者が不振で、各チーム川上を歩かせておけば勝てるため敬遠が多く、出塁率が高くなってOPSを引き上げているだけなのである。実際、巨人は最下位に沈んでいる。したがって、今月に限っては川上には得票が集まらなかった。
 打撃内容だけ見ると藤井が有利であるが、清原は開幕から103打席連続無三振で4月・5月では1三振だけであった。

 藤井も3三振と少なく、三振が少ないことが必ずしも良いわけではないが、清原の打撃技術を評価する声も多く、清原初男が選出された。

2025年2月23日日曜日

22年 阪急vs近畿 5回戦

5月31日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 阪急 11勝16敗 0.407 今西錬太郎 天保義夫 
0 0 0 0 0 2 2 0 X 4 近畿 16勝10敗 0.615 丸山二三男

勝利投手 丸山二三雄 4勝2敗 
敗戦投手 今西錬太郎 5勝4敗

二塁打 (急)田中 (近)坂田、朝井、岡村、丸山

勝利打点(近)岡村俊昭 3


さらばグレートリング

 西宮の第2試合は今西錬太郎と丸山二三男の先発で午後2時55分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は初回、先頭の田中幸男がレフト線に二塁打、上田藤夫が送りバントを決めて一死三塁、しかし青田昇、野口明は連続三振。この初回の先制チャンスを逃したのが痛かった。

 近畿先発の丸山は2回以降6回まで、荒木茂のヒット1本に抑えて無失点。

 阪急先発の今西も5回まで1安打無失点の好投を続ける。

 近畿は6回裏、一死後この日二番に起用された朝井昇が左中間に二塁打、怪我で欠場の河西俊雄に代わって先発出場の岡村俊昭が中前にタイムリーを放ち1点を先制、山本一人監督も中越えにタイムリー二塁打を放ち2-0とする。

 近畿は7回裏、先頭の丸山がレフト線に二塁打、坂田清春が送りバントを決めて一死三塁、この日九番に下がった安井亀和が中前にタイムリーを放ち3-0、安井が二盗に成功、田川が中前にタイムリーを放ち4-0と突き放す。

 阪急は8回表、先頭の山田伝が左前打を放つとワイルドピッチで二進、田中は四球、上田も四球を選んで無死満塁、青田の遊ゴロで上田が二封される間に三走山田が還って1-4、青田が二盗を決め、野口明は四球を選んで一死満塁、しかし後続なく反撃もここまで。

 丸山二三男は5安打4四球6三振の完投で4勝目をマークする。

 近畿は打線の組み換えが成功して「近畿グレートリング」としての最終戦を飾った。

2025年2月22日土曜日

22年 太陽vs巨人 5回戦

5月31日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 1 0 0 0 0 0 0 0  0   1  2 太陽 10勝15敗 0.400 スタルヒン 
0 0 0 0 0 0 0 0 1  0   0  1 巨人 10勝17敗 0.370 中尾輝三

勝利投手 スタルヒン 3勝5敗 
敗戦投手 中尾輝三     2勝5敗

三塁打 (太)森下
本塁打 (太)スタルヒン 1号

勝利打点(太)スタルヒン 1


スタルヒンが決勝本塁打

 後楽園の第2試合はスタルヒンと中尾輝三の先発で午後2時50分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 太陽は2回表、先頭の藤井勇が中前打で出塁、佐竹一雄の三ゴロでランナーが入れ替わり、森下重好が左中間にタイムリー三塁打を放ち1点を先制する。

 巨人先発の中尾は3回から5回まで1四球ずつを出すが無失点、6回以降は三者凡退を続けるナイスピッチング。

 太陽先発のスタルヒンは走者を出しながらも8回まで無失点。

 巨人は9回裏、先頭の山川喜作が中前打で出塁、千葉茂の投前送りバントをスタルヒンが二塁に送球するがセーフ、野選が記録されて無死一二塁、川上哲治の強烈な当りがライナーで一塁線を襲うがファースト佐竹一雄が内野安打に抑えて無死満塁、抜けていれば同店は確実でサヨナラまであった。ここで平山菊二に代わる代打小松原博喜が中犠飛を打ち上げて1-1の同点、一死一二塁から黒沢俊夫の右前打で二走千葉が三塁ベースを蹴ってホームに突入するが、ライト辻井弘からの送球にタッチアウト、後続も倒れて試合は延長戦に突入する。

 太陽は大ピンチを好守で粘り切った。

 太陽は11回表、先頭のスタルヒンが劇的な決勝ホームランを放ち接戦を制す。

 スタルヒンは7安打4四球6三振で11回を完投、3勝目をマークする。

 中尾輝三も11回を完投、被安打は3本だけであったが、森下の三塁打とスタルヒンの本塁打で敗れた。

 4位金星から最下位巨人まで1.5ゲーム差で5チームがひしめき合う展開は変わらず、順位は日替わりで変化している。

2025年2月21日金曜日

22年 東急vs大阪 5回戦

5月31日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
0 0 0 0 0 0 0 0  0  0 東急 9勝15敗 0.375 白木義一郎 
0 0 0 0 0 0 0 0 1X 1 大阪 18勝7敗 0.720 若林忠志

勝利投手 若林忠志     5勝3敗 
敗戦投手 白木義一郎 4勝6敗

勝利打点(大)長谷川善三 2


長谷川善三、又もサヨナラ打

 後楽園の第1試合は白木義一郎と若林忠志の先発で午後1時10分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 若林はヒットを打たれながら要所を締めるピッチング。終盤はピンチの連続で、8回は先頭の白木に右前打を許し、バントで送られて一死二塁とするが後続を抑える。9回は一言多十と飯島滋弥の連打で無死一二塁のピンチを迎えるが、大下弘以下を抑えてここまで7安打を許すも無失点。

 一方、白木はほぼ完璧なピッチングであった。3回までは三者凡退の連続。初回には金田正泰の投ゴロをキャッチャー鈴木圭一郎に転がして「1-2-3」でアウトにする得意のプレーも披露した。4回一死後金田に初ヒットを許すが「5-4-3」のゲッツーに抑える。5回から7回も三者凡退。8回は二死後本堂保次を初の四球で歩かせるが、キャッチャー鈴木圭一郎が二盗を刺して、8回まで1安打、残塁ゼロの24人で無失点。

 大阪は9回裏、先頭の玉置玉一に代わる代打御園生崇男が中前打で出塁、代走に呉昌征を起用、若林のライト線ヒットで無死一三塁、ここで長谷川善三が左前にサヨナラヒットを放ち決着を付ける。

 若林忠志は7安打1四球無三振の芸術的な完封で5勝目をマークする。

 5月26日の近畿戦も延長10回を若林が完封して長谷川のサヨナラ打で勝ったが、この日も同じコンビで勝利を掴み、大阪は6連勝で首位の座をキープした。

 白木義一郎がピッチャーゴロをキャッチャーに転がしてキャッチャーが一塁に刺す「1-2-3」のプレーは、今季の開幕戦となった4月18日金星戦での2回裏、小前博文の投ゴロが最初であった。この時のキャッチャーが熊耳武彦だったことから、白木のこのプレーは熊耳とのコンビであったと伝わるが、この日のキャッチャーはこのところ好調で熊耳に代わってマスクを被っている鈴木圭一郎であった。

 このプレーは今季5度目で、キャッチャーは熊耳武彦が3回、直近の2回は鈴木圭一郎で、ファーストは全て飯島滋弥である。

2025年2月20日木曜日

22年 金星vs中日 4回戦

5月31日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 2 0 2 金星 11勝15敗 0.423 三富恒雄 重松通雄 内藤幸三 
0 0 0 0 0 0 0 6 X 6 中日 17勝7敗 0.708 星田次郎

勝利投手 星田次郎 2勝0敗 
敗戦投手 三富恒雄 1勝3敗

二塁打 (中)古川 2

勝利打点(中)古川清蔵 2


星田次郎、自責点ゼロの完投で2連勝

 第7節3日目、西宮の第1試合は三富恒雄と星田次郎の先発で午後1時丁度、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 金星先発の三富は7回まで中日に恐竜打線を1安打無得点に抑える。

 中日先発の星田も7回まで金星打線を1安打無得点に抑える。

 三富は7四球を出して走者を置く投球が続くが無失点、星田は無四球である。

 金星は8回表、一死後大友一明の当りは二ゴロ、これをセカンド金山次郎がエラー、続く三富の右前打をライト加藤正二が後逸する間に大友が還って1点を先制、打者走者の三富も三塁に進み、辻勇夫が三前にスクイズバントを決めて2点をリードする。

 均衡が破れた直後の中日8回裏の攻撃、先頭の三村勲に代わる代打大沢清が四球を選んで出塁、藤原鉄之助に代わる代打藤本英雄が左前打を放って無死一二塁、続く星田に対して2球ボールが続いたところで金星ベンチは三富に代えて重松通雄をリリーフに投入、しかし星田はストレートの四球で無死満塁、トップに返り岩本章に代わる代打清水秀雄が押出し四球を選んで1-2、金山もストレートの押出し四球で2-2の同点、金星はここで重松から内藤幸三にスイッチ、古川清蔵がレフト線に2点タイムリー二塁打を放ち4-2と逆転、一死後杉浦清監督の中犠飛で5-2、加藤が中前タイムリーで続いて6-2と突き放す。

 星田次郎は3安打1四球3三振、自責点ゼロの完投で2勝目をマークする。今季2度目の登板の星田は、前回の2安打完封に続いて18イニング自責点ゼロで、規定投球回数には達していないが防御率は0.00である。

 金山次郎が4打席連続四球を記録した。

 中日は試合終了時点で首位大阪に並んだ。その大阪は、後楽園で10分遅れで開始された東急との試合が続いているが、現在0対0の同点で9回に入っている。

2025年2月19日水曜日

1.5ゲーム差に5球団

 昭和22年5月30日現在、4位の金星は11勝14敗勝率4割4分、最下位の太陽は9勝15敗勝率3割7分5厘。

 1.5ゲーム差の中に4位から8位の5球団がひしめき合う大混戦となっている。

 開幕から出遅れていた阪急が盛り返してきており、一時は単独最下位だった巨人もようやく上向いてきた。最下位の金星は投手陣が6完封を記録しているように好調。太陽も打線が好調で、東急は安定した試合運びが続いている。

 月間MVP争いは、投手部門は藤本英雄、別所昭、御園生崇男の上位3球団の争いであるが、打撃部門は藤井勇、川上哲治、清原初男の下位球団の争いになっているのが特徴である。


2025年2月18日火曜日

22年 中日vs阪急 4回戦

5月30日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 中日 16勝7敗 0.696 藤本英雄 
0 0 0 0 1 1 0 0 X 2 阪急 11勝15敗 0.423 野口二郎

勝利投手 野口二郎 4勝4敗 
敗戦投手 藤本英雄 8勝3敗

二塁打 (中)小鶴 (急)山田、上田

勝利打点(急)山田伝 2


野口二郎、円熟の完封

 西宮の第2試合は藤本英雄と野口二郎の先発で午後3時丁度、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 中日は5回表、一死後藤本が三塁へのヒットで出塁、上林繫次郎の三ゴロをサード荒木茂が一塁に悪送球、藤本は三塁に進んで一死一三塁、三村勲は浅い右飛に倒れて二死一三塁、ここで一走上林がスタート、キャッチャー日比野武からの送球をピッチャー野口二郎がカット、上林は一二塁間に挟まれ「2-1-4」と渡ってタッチアウト、上林には盗塁失敗が記録された。

 三走の藤本英雄は通算で29盗塁を記録しているように走塁にも優れているので、上林のディレードスチールから重盗を狙ったようだが、日比野-野口二郎のバッテリーが上手く対応した。

 阪急は5回裏、先頭の坂元義一がストレートの四球で出塁、日比野が送って一死二塁、二死後山田伝が左中間にタイムリー二塁打を放ち1点を先制する。

 阪急は6回裏、先頭の上田藤夫が左中間に二塁打、青田昇の左前タイムリーで2-0とする。

 中日は、8回、9回と4人を代打に送る代打攻勢を見せたが、全て内野フライに打ち取られた。

 野口二郎は5安打1四球3三振で今季初完封、4勝目をマークする。戦前の快速球時代と違って、円熟の完封劇であった。

 中日は今季初のシャットアウト負けで首位の座から陥落した。

2025年2月17日月曜日

22年 大阪vs太陽 3回戦

5月30日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 5 0 0 0 0 0 0 0 5 大阪 17勝7敗 0.708 御園生崇男 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 太陽 9勝15敗 0.375 池田善蔵

勝利投手 御園生崇男 7勝0敗 
敗戦投手 池田善蔵  3勝3敗

勝利打点(大)本堂保次 2


御園生崇男、今季初完封で開幕7連勝

 後楽園の第2試合は御園生崇男と池田善蔵の先発で午後2時52分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は2回表、藤村富美男、土井垣武が連続四球で無死一二塁、本堂保次の中前タイムリーで1点を先制、センター森下重好が打球の処理にもたつく間に一走土井垣も還って2-0、御園生の投前送りバントをピッチャー池田がファンブル、犠打とエラーが記録されて無死一二塁、玉置玉一は死球を受けて無死満塁、長谷川善三の遊ゴロで玉置が二封される間に三走本堂が還って3-0、トップに返り塚本博睦の左前タイムリーで4-0、池田の一塁牽制悪送球で二走長谷川は三塁に進み、金田正泰の一ゴロエラーの間に長谷川も還ってこの回5点を先制する。

 御園生崇男は序盤のリードに気を良くして好投、5安打3四球1三振で今季初完封、開幕から7連勝を飾った。8人の走者出したが、大阪守備陣は5併殺を記録、太陽の残塁は「8マイナス5」で3つだった。

 月間MVP投手部門は、激しいハーラー争いを繰り広げる別所と藤本に絞られていたが、7連勝の御園生も大きく浮上してきた。5月後半になって別所の内容が悪くなってきているので、意外と混戦模様となってきた。

2025年2月15日土曜日

開幕から103打席無三振

 昭和22年5月30日現在、3割7分2厘で首位打者の清原初男は、開幕から103打席で無三振。

 ルーキーシーズンの昭和21年も101打席で1三振だけだっだので、プロ入り以来、通算204打席で1三振である。

 三振が少ないミート打法なので長打は少ない。月間MVPは、川上哲治、藤井勇との争いとなるが、その点がネックになる可能性もある。


2025年2月14日金曜日

22年 金星vs近畿 3回戦

5月30日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 1 1 0 1 0 2 1 0 7 金星 11勝14敗 0.440 江田孝
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 近畿 15勝10敗 0.667 中谷信夫 飯田徳治 松川博爾

勝利投手 江田孝     4勝6敗 
敗戦投手 中谷信夫 3勝3敗

二塁打 (金)西沢、辻

勝利打点(金)西沢道夫 3

猛打賞 (金)清原初男 3


江田孝、2安打完封

 西宮の第1試合は江田孝と中谷信夫の先発で午後1時5分、関西に帰ってきた金政球審の右手が上がりプレイボール。

 金星は初回、一死後酒沢政夫の当りは遊ゴロ、これをショート朝井昇がエラー、清原初男の右前打で一死一三塁、西沢道夫の中犠飛で1点を先制する。

 金星は2回表、先頭の大友一明が左前打で出塁、一死後江田が中前打、二死後トップに返り坪内道則監督の右前タイムリーで2-0とする。

 金星は3回表、先頭の酒沢が左前打で出塁、清原も三塁線にヒット、一死後キャッチャー坂田清春からの二塁牽制が悪送球となって一死二三塁、小前博文の一ゴロの間に三走酒沢が還って3-0と着々と加点する。

 この間、先発の江田は九番朝井に四球を与えただけで無安打ピッチング。

 近畿ベンチは4回からファーストの飯田徳治をマウンドに上げて飯田はプロ入り初登板。

 金星は5回表、一死後清原が四球で出塁、西沢が中前打、小前の三ゴロで清原が三封されて二死一二塁、大友の左前タイムリーで4-0とする。

 金星は7回表、先頭の酒沢がストレートの四球から二盗に成功、坂田の送球も悪送球となって無死三塁、清原の左前タイムリーで5-0、西沢の左中間タイムリー二塁打で6-0と更に加点する。

 近畿ベンチは7回から飯田をファーストに戻して松川博爾をマウンドに上げる。

 江田は7回裏を三者凡退に抑えて、この回まで2四球無安打ピッチングを続ける。

 金星は8回表、先頭の辻勇夫が左前打で出塁、江田の一ゴロの間に辻は二進、坂本勲に代わる代打山本秀男の中前タイムリーで7-0とダメ押す。

 近畿は8回裏、一死後松川が右前にチーム初ヒット、江田はノーヒットノーランを逃す。

 江田孝は、9回にも代打丸山二三男にヒットを許したが、2安打4四球2三振で今季2度目の完封、4勝目をマークする。

 西沢道夫は2試合連続で決勝犠飛を打ち上げた。もちろん、当時は公式記録では犠飛は記録されていない。

 現在3割7分2厘で首位打者の清原初男は、この日も3安打で3度目の猛打賞を獲得。

 金星投手陣は今月絶好調で、重松通雄、内藤幸三、江田孝の3人が2度ずつ完封勝利を記録した。

2025年2月13日木曜日

22年 巨人vs東急 3回戦

5月30日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 4 1 0 0 0 6 巨人 10勝16敗 0.385 小松原博喜 
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 東急   9勝14敗 0.391 一言多十

勝利投手 小松原博喜 4勝3敗 
敗戦投手 一言多十     3勝2敗

三塁打 (巨)呉新亨
本塁打 (巨)千葉茂 2号 (東)飯島滋弥 2号

勝利打点(巨)千葉茂 2

猛打賞 (巨)千葉茂 4


千葉茂、2試合連続猛打賞&勝利打点

 第7節2日目、後楽園の第1試合は午後1時1分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 東急は初回、二死後飯島滋弥が2試合連続となるホームランをレフトスタンドに叩き込んで幸先よく1点を先制する。

 巨人は4回表、先頭の川上哲治は勝負してもらえずストレートの四球、平山菊二の左前打で無死一二塁、黒沢俊夫が打ち上げたファウルフライをキャッチャー鈴木圭一郎がベンチに飛び込みキャッチするファイト溢れるプレー、しかしこの場合はボールデッドとなって走者には進塁権が与えられるため、川上と平山が進塁して一死二三塁、小松原が左前に同点タイムリーを放ち1-1と追い付く。

 巨人は5回表、先頭の呉新亨が中越えに三塁打、山川喜作は四球から二盗に成功、昨日の殊勲者千葉茂が中前に勝越しタイムリーを放ち2-1と逆転、川上のファウルフライをピッチャー一言がマウンドを駆け下りてキャッチするファインプレー、「1FF」(投邪飛)が記録されて一死一三塁、千葉が二盗を決めて一死二三塁、平山の遊ゴロショート鈴木清一がエラーする間に二者還って4-1、平山に打点は記録されず、黒沢、小松原は連続四球で一死満塁、内堀保の左犠飛で5-1とリードする。

 巨人は6回表、二死後千葉がライトスタンドに第2号ホームランを叩き込んで6-1とダメ押す。

 小松原博喜は3安打2四球1死球無三振の完投で4勝目をマークする。

 不振が続いていた千葉茂が2試合連続で猛打賞と勝利打点を記録した。

 巨人は久々の快勝であった。これまで川上が歩かされるとそこで打線が切れていたが、この日は川上の四球を足掛かりに同点に追い付いた。こうなると相手チームも簡単に川上を歩かせることができなくなる。この調子だと最下位を抜け出す日も近いのではないか。

 東急も、不振が続いていた飯島滋弥が2試合連続本塁打。鈴木圭一郎と一言多十がファイト溢れるプレーを連発して9,447人の観衆を沸かせた。

2025年2月11日火曜日

22年 巨人vs太陽 4回戦

5月29日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 0 1 2 巨人 9勝16敗 0.360 川崎徳次 
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 太陽 9勝14敗 0.391 真田重蔵

勝利投手 川崎徳次 3勝4敗 
敗戦投手 真田重蔵 4勝5敗

二塁打 (巨)川崎、呉新亨 (太)真田
三塁打 (巨)千葉

勝利打点(巨)千葉茂 1

猛打賞 (巨)千葉茂 3


不振の千葉が決勝の三塁打

 後楽園の第2試合は川崎徳次と真田重蔵の先発で午後3時7分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は初回、先頭の呉新亨の当りは投ゴロ、これを真田がエラー、山川喜作は四球を選んで無死一二塁、しかし千葉茂の二ゴロは「4-6-3」と渡ってダブルプレー、川上哲治は敬遠されて二死一三塁、平山菊二は左飛に倒れて無得点。

 巨人は、川上が歩かされる毎度お馴染みのパターンでチャンスを潰した。

 巨人は2回表、一死後当たっている内堀保が中前打で出塁、川崎のライト線二塁打で一死二三塁、二死後呉新亨の右前タイムリーで1点を先制する。

 太陽は5回裏、一死後真田が左中間に二塁打、松井信勝の遊ゴロをショート田中資昭がエラーして一死一三塁、ここでダブルスチールを決めて1-1の同点に追い付く。真田に本盗が記録された。

 両投手の投打に亘る活躍で1対1のまま試合は最終回に進む。

 巨人は9回表、一死後呉新亨がライト線に二塁打、山川の二ゴロが進塁打となって二死三塁、不振の続く千葉が右中間にタイムリー三塁打を放ち2-1と勝ち越す。

 川崎徳次は6安打2四球4三振の完投で3勝目をマークする。

 巨人が最下位に低迷する要因は、四番川上が孤立していることにある。川上は3割6分台の打率をマークしているが、前後を打つ千葉と平山は2割そこそこ。二番の山川と八番の内堀が3割をマークしているが、川上と打順が離れているため打線に繋がりがない。したがって、川上を歩かせておけば点を取られないため、各チームとも川上を敬遠する策を多用している。

 川上のIsodは1.000を超えており、出塁率は4割6分5厘であるが、前後が打てないので得点にならないパターンが続いていた。

 この日は千葉茂が決勝の三塁打を放ち、今季初の勝利打点をマークした。「勝利打点」はあてにならないと考える素人は多いが、極めて重要な指標なのである。表面づらの数字だけを見るのではなく、試合の内容を吟味することが重要である。

2025年2月10日月曜日

22年 中日vs近畿 4回戦

5月29日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 1 0 0 2 0 0 0 1  0  4 中日 16勝6敗 0.727 清水秀雄 服部受弘 
1 0 0 0 0 1 0 2 0 1X 5 近畿 15勝9敗 0.625 別所昭

勝利投手 別所昭     9勝4敗 
敗戦投手 清水秀雄 2勝3敗

二塁打 (中)加藤 2 (近)坂田

勝利打点(近)岡村俊昭 2

猛打賞 (中)杉浦清 2 (近)田川豊(4安打)3


白熱の首位攻防戦

 西宮の第2試合は清水秀雄と別所昭の先発で午後2時55分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 金政卯一審判員は5月16日から関東に出張していたが、杉村正一郎審判員が5月24日の試合中断の件の報告のため関東に出張したので、金政審判員が関西に呼び戻されたのである。

 近畿は初回、一死後河西俊雄が三塁に内野安打、続く田川豊も三塁に内野安打、二死一二塁となってダブルスチール、これがキャッチャー藤原鉄之助の三塁悪送球を誘い、河西が還って1点を先制する。

 中日は2回表、一死後杉浦清監督が三遊間を破るヒット、これをレフト堀井数男が後逸する間に打者走者の杉浦は三塁に進み、加藤正二がライトにタイムリー二塁打を放ち1-1の同点、三村が三塁に内野安打、二死後藤原が四球を選んで満塁とするが、トップに返り岩本章は三振に倒れて追加点はならず。

 中日は4回も一死満塁のチャンスを逃す。

 中日は5回表、先頭の金山次郎が三塁に内野安打、一死後四番小鶴誠に代わる代打大沢清が得意の右位置で右前打、杉浦はストレートの四球で一死満塁、加藤が中越えに2点タイムリー二塁打を放ち3-1とリードする。

 近畿は6回裏、先頭の河西の当りは三ゴロ、これをサード三村がエラー、河西が二盗を決め、田川の遊ゴロもショート杉浦がエラー、田川が二盗を決めて無死二三塁、山本一人監督の右犠飛で2-3と追い上げる。

 近畿は8回裏、先頭の安井亀和が四球を選んで出塁、河西が送りバントを決め、田川が中前に同点タイムリーを放ち3-3、バックホームの間に打者走者の田川は二塁に進み、二死後田川が三盗に成功、飯田徳治が左前に勝越しタイムリーを放ち4-3と試合をひっくり返す。

 中日は9回表、一死後大沢が四球を選んで出塁、杉浦の投ゴロを別所が二塁に送球するがセカンド安井が落球して一死一二塁、二死後三村に代わる代打上林繁次郎が中前に同点タイムリーを放ち4-4と追い付く。

 中日は10回表、先頭の藤原が中前打で出塁、しかしトップに返り岩本の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってゲッツー。

 近畿は10回裏、先頭の河西が一塁に内野安打、この時河西が怪我をして代走に筒井敬三を起用、続く田川も一二塁間に内野安打で無死一二塁、中日ベンチはここで先発の清水から服部受弘にスイッチ、山本が送って一死二三塁、飯田は敬遠で歩かされて一死満塁、堀井に代わる代打岡村俊昭がライトにサヨナラ犠飛を放ち激戦に終止符を打つ。

 別所昭は172球の力投で13安打6四球5三振の完投、9勝目をマークする。

 中日は13安打を放ったが別所の粘りの前に13残塁。

 近畿の勝因は、田川豊が4安打4盗塁を記録するなど、チーム合計7盗塁を決めた機動力にあった。

2025年2月9日日曜日

22年 大阪vs東急 4回戦

5月29日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 1 0 1 0 0 0 0 3 大阪 16勝7敗 0.696 梶岡忠義 
0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 東急 9勝13敗 0.409 北川桂太郎

勝利投手 梶岡忠義     5勝2敗 
敗戦投手 北川桂太郎 1勝3敗

二塁打 (大)本堂 (東)一言

勝利打点(大)富樫淳 2


富樫が2本の適時打

 後楽園の第1試合は梶岡忠義と北川桂太郎の先発で午後1時8分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は初回、先頭の呉昌征が捕前に内野安打、金田正泰の三前バントも内野安打となって無死一二塁、富樫淳の左前タイムリーで1点を先制する。

 大阪は3回表、先頭の梶岡が右前打で出塁、トップに返り呉の三ゴロの間に梶岡は二進、二死後富樫がライト線に2打席連続タイムリーを放ち2-0とする。

 大阪は5回表、一死後金田がストレートの四球で出塁、二死後金田が二盗を決め、藤村富美男の三ゴロをサード横沢七郎がエラーして二死一三塁、ここで北川がボークを犯して三走金田がホームに還り3-0とする。

 東急は6回裏、先頭の一言多十がライト線に二塁打、一死後飯島滋弥がレフトスタンドにツーランを叩き込んで2-3と1点差に迫る。

 東急は8回裏、先頭の苅田久徳監督がレフト線にヒット、トップに返り一言が送りバントを決めて一死二塁、大阪ベンチはここでライトを富樫から塚本博睦に交代、東急も横沢に変えて代打に打撃の良い白木義一郎を送るが中飛に倒れ、飯島は四球を選んで二死一二塁、しかし期待の大下弘は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 東急は最終回、長持栄吉、鈴木圭一郎が連続三振、鈴木清一の当りは遊ゴロで万事休す、と思われたがショート長谷川善三が一塁に悪送球して二死一塁、北川に代わる代打黒尾重明の三遊間へのゴロをショート長谷川がエラー、しかし一走鈴木が二塁をオーバーランして二三塁間に挟まれ長谷川はセカンド本堂に送球、鈴木が三塁に逃げると本堂はサード藤村に送球、鈴木は再び二塁方向に逃げるが二塁ベースはがら空き、と思われたところセンターの呉昌征が機転を利かせて二塁ベースカバーに入っており「6-4-5-8」の挟殺プレーで鈴木はタッチアウト、試合終了となった。

 梶岡忠義は4安打4四球10三振の力投で完投、5勝目をマークする。

 富樫淳が2本のタイムリーを放つ活躍を見せた。

 東急も不振の飯島滋弥に一発が出て今後の巻き返しが期待できる。

 センターの呉昌征が挟殺プレーに加わるナイスカバーを見せた。外野手が挟殺プレーに加わった事例は、昭和12年春の阪急vs大東京3回戦で、阪急のレフトを守っていたジミー堀尾が「6-5-4-7C」で三塁ベースカバーに入ったことがあり、史上2度目となる。

*センター呉昌征が挟殺プレーに加わったシーン。 


2025年2月8日土曜日

22年 阪急vs金星 5回戦

5月29日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 10勝15敗 0.400 溝部武夫 森弘太郎 
1 0 0 0 0 0 0 0 X 1 金星 10勝14敗 0.417 内藤幸三

勝利投手 内藤幸三 2勝3敗 
敗戦投手 溝部武夫 0勝1敗

二塁打 (急)青田

勝利打点(金)西沢道夫 2

猛打賞 (金)坪内道則 2


内藤幸三、無四球完封

 第7節初日、西宮の第1試合は溝部武夫と内藤幸三の先発で午後1時丁度、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 金星は初回、先頭の坪内道則監督が一塁線にヒット、酒沢政夫の遊ゴロが野選を誘い、清原初男はストレートの四球で無死満塁、西沢道夫の中犠飛で1点を先制する。

 坪内-西沢の子弟コンビによる得点であった。西沢は戦争中に肩を痛めて中部日本では投手を断念したが、坪内が西沢を金星に誘って打者に転向させ、長距離砲に育て上げた。昭和24年に西沢が中日に呼び戻された際には、坪内も中日に移籍することを条件にしたと言われている。

 内藤幸三はスミ一を守り切った。初回、二死後青田昇に二塁打を許すが野口明を投ゴロに打ち取る。3回は山田伝と上田藤夫のヒットで一死一二塁のピンチを迎えるが後続を抑える。

 内藤は、4回以降9回まで阪急打線を6イニング連続三者凡退に抑え込み、4安打無四球3三振で5月19日の太陽戦に続いて今季2度目の完封、2勝目をマークする。

 無四球完封は、5月16日にスタルヒンが記録して以来、リーグ全体でも2度目となる。内藤のピッチングは円熟味を増してきた。

 この試合の三塁塁審は山口茂次審判員が務めた。山口は第2試合でも一塁塁審を務めるが、この日を最後に連盟の審判員を退き、国民リーグに移る。

 第7節から、関西を主戦場にしていた杉村正一郎審判員が関東地区に出張した。5月24日に甲子園球場で行われた、山口審判員が三塁塁審を務めていた大阪vs巨人戦で、呉昌征のレフト線二塁打の判定を巡って25分間試合が中断した件について、報告を求められたのであろう。協議の結果、山口茂次審判員が責任を取らされたと見るのが妥当のようだ。

2025年2月7日金曜日

22年 第6節 週間MVP

 

週刊MVP
投手部門 中日 星田次郎 1 フラナガン神父に捧げる2安打完封勝利。 
打撃部門 阪急 日比野武 1 15打数6安打3得点4打点。甲子園での戦後初ホームラン。 

殊勲賞
 大阪 長谷川善三 1 26日の近畿戦で延長10回サヨナラ打。 
 太陽 藤井勇 1  12打数4安打2本塁打。 
 巨人 山川喜作 1 17打数7安打。前節から4試合連続猛打賞。 
 阪急 山田伝 1  11打数4安打4打点 。

敢闘賞
 巨人 内堀保 1  14打数7安打1得点2打点。 
 阪急 野口明 1  19打数7安打2得点2打点。 
 中日 藤本英雄 1 23日の太陽戦で完封と決勝本塁打。 

技能賞
 大阪 武智修 1  7打数4安打に1セーブと投打で活躍。 
 近畿 飯田徳治 1 24日の阪急戦で坂田清春の一飛でタッチアップからホームイン。 
 大阪 若林忠志 1 別所に投げ勝ち延長10回完封勝利。

2025年2月6日木曜日

22年 近畿vs大阪 4回戦

5月26日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  0 近畿 14勝9敗 0.609 別所昭 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 1X 1 大阪 15勝7敗 0.682 若林忠志

勝利投手 若林忠志 4勝3敗 
敗戦投手 別所昭    8勝4敗

二塁打 (近)堀井 (大)富樫、長谷川

勝利打点(大)長谷川善三 1


長谷川善三、サヨナラ打

 甲子園の第2試合は別所昭と若林忠志の先発で午後3時20分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪を0.5ゲーム差で追う近畿としては先制点が欲しいところであったが、若林の軟投の前に無得点を重ねていった。

 別所も剛球でダイナマイト打線を封じて大阪も無得点。

 0対0のまま試合は延長戦に突入した。

 近畿は10回表、先頭の堀井数男が中越えに二塁打を放ってチャンス到来、しかし続く別所の遊ゴロで堀井がスタートを切ってしまい、二三塁間に挟まれてタッチアウト、一死一塁から坂田清春の遊ゴロは「4-6-3」と渡ってダブルプレー。

 大阪は10回裏、一死後玉置玉一が三塁線にヒット、若林の三ゴロで玉置は二進、ここで長谷川善三が右前に劇的なサヨナラ打を放ち玉置を迎え入れて大阪が接戦をものにする。

 若林忠志は10回を4安打2四球2三振に抑えて今季初完封、4勝目をマークする。

 雨に祟られた第6節は13試合が行われただけであったが、その内5試合がシャットアウトゲームであった。週間MVP投手部門の争いは、2安打完封と最も内容の良かった星田次郎と、別所に投げ勝った若林忠志との一騎打ちになるのではないかと見られている。

2025年2月5日水曜日

22年 阪急vs巨人 5回戦

5月26日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 2 1 0 2 2 7 阪急 10勝14敗 0.417 野口二郎 今西錬太郎 
0 0 0 0 1 3 1 0 0 5 巨人   8勝16敗 0.333 中尾輝三 川崎徳次

勝利投手 今西錬太郎 5勝3敗 
敗戦投手 中尾輝三    2勝4敗

二塁打 (急)野口明、坂元 (巨)山川 2、平山
三塁打 (急)山田 (巨)小松原 2
本塁打 (急)日比野武 1号

勝利打点(急)野口明 3

猛打賞 (急)野口明 1


日比野武、甲子園での戦後初ホームラン

 5月25日(日)は東西とも雨のため中止。東京は26日も雨が続き、雨に祟られた第6節最終日は甲子園の2試合が行われた。

 昨日、雨の中で突貫工事が行われ、この日から甲子園球場にラッキーゾーンが設置された。これにより、これまで左中間、右中間の最深部は119mであったが105mに短縮された。レフトポール際までは91mが公式発表であるが、実測は87mであったとも言われている。

 甲子園の第1試合は野口二郎と中尾輝三の先発で午後1時3分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は5回表、先頭の日比野武が四球を選んで出塁、山田伝が右中間にタイムリー三塁打を放ち1点を先制、トップに返り田中幸男の左前タイムリーで2-0とする。

 巨人は5回裏、先頭の小松原博喜が左中間に三塁打、一死後内堀保の三ゴロの間に三走小松原が還って1-2と追い上げる。

 阪急は6回表、一死後坂元義一が中前打出塁、野口二郎の三ゴロをサード山川喜作がエラーして一死一二塁、日比野の投ゴロは「1-4-3」と転送されるが二塁はセーフで一塁アウト、二死二三塁から中尾の二塁牽制が悪送球となる間に三走坂元が還って3-1とする。

 巨人は6回裏、先頭の山川が左中間に二塁打、千葉茂の右飛で山川はタッチアップから三塁に進み、川上哲治の中前タイムリーで2-3、平山菊二の左中間二塁打で一死二三塁、阪急ベンチはここで野口二郎から今西錬太郎にスイッチ、しかし小松原が右中間に逆転の2点タイムリー三塁打を放ち4-3と試合をひっくり返す。

 巨人は7回裏、当たっている山川が右中間に2打席連続の二塁打、千葉の左飛で山川はタッチアップから三塁に進み、川上が四球から盗塁を決めて二死二三塁、平山の中前タイムリーで5-3と突き放す。

 阪急は8回表、先頭の坂元が右越えに二塁打、一死後日比野が左中間にホームランを叩き込んで5-5の同点とする。

 甲子園球場は、昭和21年は進駐軍に接収されていてプロ野球では使用させてもらえず、昭和22年に使用許可が下りて開幕からラッキーゾーンが設置されるまでは本塁打0本だったので、日比野の一発は甲子園での戦後初ホームランであった。これがスタンドインしたのかラッキーゾーンに吸い込まれたのかは、スコアカードからは不明である。当時の野球雑誌を調べれば判明するでしょう。

 阪急は9回表、先頭の上田藤夫が四球を選んで出塁、青田昇の右前打で無死一三塁、巨人ベンチはここで中尾から川崎徳次にスイッチ、野口明が右前にタイムリーを放ち6-5と逆転、坂元の遊ゴロで三走青田がホームに突っ込み、ショート田中資昭がバックホームするがセーフ、野選が記録されて7-5と突き放す。

 今西錬太郎は9回裏の巨人の反撃を抑えて5勝目をマーク、その内巨人からは4勝目となった。

2025年2月4日火曜日

ラッキーゾーン開設秘話

 昭和22年5月26日から、甲子園球場にラッキーゾーンが設置された。

 この年の第6節は5月22日から25日に行われる予定であったが、25日(日)は雨天により中止となり、26日(月)に順延されたため、雨の日曜日にラッキーゾーンが設置され、初試合が5月26日になったのである。

 第7節は5月29日から西宮球場で組まれていたので、当初の予定では6月5日から始まる第8節が初お目見えであったはずである。中途半端に第6節の最終日からになった事情は推測しかできない。

 工事の予定が本来であれば第6節終了翌日の5月26日から第8節が始まる前日の6月4日までに組まれていたはずであるが、5月25日に設置工事が行われたということは、元々26日(月)に工事が予定されていて、27日以降は施工業者の予定が詰まっていたところ、25日(日)が雨で試合中止となってしまって26日にも順延試合を行わなければならなくなったため、設置工事を1日早めて雨の中、25日(日)に工事を行い、26日が初試合になったとしか考えられない。

 戦後の復興期だったので、施行業者のスケジュールもギリギリ一杯だったのだろう。当然、施工に従事した方々には休日出勤手当てが支払われたはずである。


2025年2月3日月曜日

22年 大阪vs巨人 4回戦

5月24日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 1 0 1 0 0 0 0 3 7 大阪 14勝7敗 0.667 御園生崇男 武智修 
0 0 0 2 1 0 0 0 1 4 巨人 8勝15敗 0.348 諏訪裕良 多田文久三

勝利投手 御園生崇男 6勝0敗 
敗戦投手 諏訪裕良    1勝2敗

二塁打 (大)呉昌征 2、本堂 (巨)多田

勝利打点(大)呉昌征 1

猛打賞 (大)呉昌征(4安打)3 (巨)黒沢俊夫 1


呉昌征の二塁打を巡る判定、物議を醸す

 甲子園の第2試合は御園生崇男と諏訪裕良の先発で午後3時13分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は初回、先頭の塚本博睦がストレートの四球で出塁、呉昌征のライト線タイムリー二塁打で1点を先制、二死後土井垣武の中前タイムリーで2点を先制する。

 大阪は2回表、先頭の御園生が中前打で出塁、玉置玉一の投ゴロでランナーが入れ替わり、ワイルドピッチで玉置は一気に三塁に進み、長谷川善三の中犠飛で3-0とする。

 大阪は4回表、先頭の本堂保次がレフト線に二塁打、御園生の二ゴロが進塁打となって一死三塁、玉置の右前タイムリーで4-0とリードを広げる。

 巨人は4回裏、先頭の山川喜作が四球を選んで出塁、千葉茂の一二塁間のゴロはファースト玉置がキャッチ、セカンド本堂が一塁ベースカバーに入って「3-4A」で一塁アウト、川上哲治は敬遠気味に歩かされて一死一二塁、二死後黒沢俊夫のライト線タイムリーで1-4、内堀保も右前タイムリーを放ち2-4と反撃開始。

 巨人は4回の攻撃で八番ピッチャー諏訪に代打小松原博喜を起用して攻撃を終えた。小松原はそのままライトに入り、ライトの平山菊二がセンターに回り、九番センター呉新亨に代わって多田文久三が入ってピッチャー。

 巨人は5回裏、先頭の多田が左中間に二塁打、一死後山川の中前打で一三塁、千葉の左犠飛で3-4と1点差に詰め寄る。

 大阪は6回から御園生に代えて武智修をリリーフのマウンドに送る。

 大阪は9回表、先頭の武智が三遊間にヒット、玉置が送って一死二塁、長谷川の中前タイムリーで5-3、二死後長谷川が二盗に成功、呉昌征の左前タイムリーで6-3、金田正泰の右前打で二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて7-4と突き放す。

 巨人は9回裏、先頭の内堀が左前打で出塁、小松原の二ゴロでランナーが入れ替わり、二死後古家武夫の三塁線ヒットで一二塁、山川の右前タイムリーで4-7とするが反撃もここまで。9回表の3点が重かった。

 大阪3回表の攻撃で呉昌征が放ったレフト線二塁打に対して巨人の中島治康監督がファウルではないかと猛抗議、試合は25分間中断した。三塁塁審の山口茂次は、この時の責任をとって退任することとなり、国民リーグに移る。中島監督も6月初旬に三原脩が復帰すると、実質的に指揮権を三原に譲ることとなる。

2025年2月1日土曜日

22年 東急vs太陽 4回戦

5月24日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 2 0 0 0 2 0 4 東急 9勝12敗 0.429 白木義一郎 
0 0 0 0 0 3 0 0 0 3 太陽 9勝13敗 0.409 スタルヒン

勝利投手 白木義一郎 4勝5敗 
敗戦投手 スタルヒン 2勝5敗

二塁打 (東)大下
本塁打 (太)藤井勇 2号

勝利打点 なし


白木が粘りのピッチングで4勝目

 後楽園の第2試合は白木義一郎とスタルヒンの先発で午後3時5分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 東急は4回表、先頭の飯島滋弥の当りは遊ゴロ、これをショート松井信勝がエラー、大下弘が中越えに二塁打を放って無死二三塁、長持栄吉の右犠飛で1点を先制、二走大下もタッチアップから三塁に進み、白木がライトに2者連続となる犠牲フライを打ち上げて2点を先制する。

 太陽は6回裏、先頭の辻井弘の当りは遊飛、これをショート鈴木清一が落球、荒川昇治の右前打で無死一二塁、ここで藤井勇がライトスタンドに逆転スリーランを叩き込んで3-2と試合をひっくり返す。続く森下重好のキャッチャーへのファウルフライを鈴木圭一郎が落球、しかし白木が踏ん張って森下は三振、白木は後続も抑えた。ここで崩れなかったことが逆転劇を呼び込むことになる。

 東急は8回表、一死後横沢七郎の遊ゴロを鈴木清一が一塁に悪送球、飯島は四球を選んで一死一二塁、大下の中前タイムリーで3-3の同点、飯島は三塁に進み、伊勢川真澄のパスボールで飯島が還って4-3と逆転する。

 白木義一郎は7安打1死球4三振の完投で4勝目をマークする。

 スタルヒンも良く投げたが、バックのミスに足を引っ張られた。