2014年3月31日月曜日

16年 名古屋vs南海 8回戦


8月17日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 0 0 1 0 0 0 0 1  0   2  4 名古屋 25勝30敗 0.455 西沢道夫
1 0 1 0 0 0 0 0 0  0   0  2 南海     22勝29敗 0.431 石田光彦 川崎徳次

勝利投手 西沢道夫 4勝8敗
敗戦投手 川崎徳次 4勝12敗

二塁打 (名)古川 (南)村上、岡村
本塁打 (名)服部 6号

勝利打点 服部受弘 4

ファインプレー賞 (南)安井鍵太郎 4、国久松一 1、前田貞行 3 (名)木村進一 3、本田親喜 6、7


服部受弘、延長11回第6号決勝本塁打

 南海は初回、一死後安井鍵太郎の遊ゴロをショート木村進一が一塁に悪送球、岩本義行の左前打で一死一二塁、村上一治が左中間に二塁打を放って1点を先制する。

 南海は3回、先頭の安井の遊ゴロを又も木村がエラー、岩本は中飛に倒れるが村上が三塁に内野安打、国久松一の三塁線バントが犠打となって二死二三塁、木村勉が右前にタイムリーを放って2-0、二走村上も三塁ベースを蹴ってホームに向かうがライト古川清蔵からのバックホームにタッチアウト。

 名古屋は4回、好返球を見せた古川が左翼線にヒット、服部受弘が四球を選んで無死一二塁、南海ベンチはここで先発の石田光彦から川崎徳次にスイッチ、本田親喜の三ゴロで服部が二封されて一死一三塁、石丸進一の二ゴロの間に三走古川が還って1-2とする。

 南海二番手の川崎は8回まで無安打ピッチング、この間サード安井、ショート前田貞行、セカンド国久のファインプレーにも助けられた。

 一方、名古屋先発の西沢道夫も3回以降立ち直り無失点、ショート木村とこの日はファーストに入った本田監督のファインプレーも見られた。

 名古屋は9回、先頭の古川が右中間に二塁打、服部の中飛で古川はタッチアップから三進、本田は三ゴロに倒れるが、石丸進一が右前に起死回生の同点タイムリーを放って2-2と追い付く。

 南海は9回裏、二死後前田、川崎徳次が連続四球、トップに返り鬼頭数雄が右前打、二走前田は三塁ベースを蹴ってサヨナラのホームに向かうがライト古川からの返球をカットしたピッチャー川崎からのバックホームにタッチアウト、試合は延長戦に突入する。南海の中継プレーは「9-1-2」と記録されており、黒鷲とは違いまだピッチャーが中継に入っている。

 南海は10回裏も二死から村上が四球を選び、国久の左前打で二死一二塁とサヨナラのチャンスを掴むが木村勉が左飛に倒れて無得点。

 名古屋は11回、先頭の牧常一が四球を選んで出塁、古川は左飛に倒れて一死一塁、ここで服部がレフトスタンドに決勝の第6号ツーランホームランを叩き込んで4-2とする。

 南海は11回裏、先頭の岡村俊昭の一ゴロをファースト本田がこの日2個目のファインプレー、前田が左前打を放って一死一塁、川崎徳次の投ゴロが「1-4-3」と渡ってゲームセット、好守オンパレードの試合らしい幕切れであった。


 西沢道夫は11回を投げ抜き10安打3四球3三振2失点、自責点ゼロの完投で4勝目をあげる。



 本日のお立台は完投の西沢と決勝本塁打の服部の“永久欠番コンビ”となりますが、ルーキー古川清蔵もヒーローであった。すなわち、打っては4回に左翼線ヒットから追撃のホームを踏み、9回には右中間二塁打から同点のホームを踏む。守っては2補殺を記録して南海の反撃を抑える活躍であった。












               *西沢道夫は11回を完投して自責点ゼロ、4勝目をあげる。

















 

2014年3月30日日曜日

16年 巨人vs阪急 8回戦


8月16日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15  計
0 0 0 0 0 2 0 0 0  0   0   0   0   0   0   2 巨人 36勝13敗1分 0.735 中尾輝三
0 0 0 0 0 0 2 0 0  0   0   0   0   0   0   2 阪急 33勝20敗1分 0.623 笠松実 森弘太郎

二塁打 (巨)白石 2 (急)上田
三塁打 (巨)川上

勝利打点 なし


今季初の引分け

 第一試合の阪神対大洋戦が1時間57分かかった関係で第二試合は3時半試合開始。

 巨人は6回、二死後川上哲治が右中間に三塁打、中島治康が四球から二盗を決めて二死二三塁、吉原正喜が左前に2点タイムリーを放って2-0とする。

 阪急は7回、先頭の西村正夫が左翼線にヒット、フランク山田伝が四球を選んで無死一二塁、上田藤夫が送って一死二三塁、黒田健吾の遊ゴロの間に三走西村が還って1-2、中島喬が中前に同点タイムリーを放って2-2と追い付く。

 巨人は8回、先頭の千葉茂が四球で出塁、川上も四球を選んで無死一二塁、阪急ベンチはここで先発の笠松実から森弘太郎にスイッチ、中島治康は左飛、吉原は三ゴロ、平山菊二は遊ゴロに倒れて勝ち越しのチャンスを逃す。

 巨人は13回表、先頭の平山が右前打で出塁、呉波とのバントエンドランが決まって一死三塁、しかし中尾輝三は浅い中飛、白石敏男は三振に倒れて無得点。

 阪急は13回裏、伊東甚吉が投前にセーフティバント、中尾の一塁送球が悪送球となって伊東は一気に三塁に進む。巨人ベンチは満塁策をとり森弘太郎と西村が歩かされて無死満塁、山田の遊ゴロはショート白石のバックホームで三走伊東は本封、上田は浅い中飛に倒れて二死満塁、続く黒田のカウントはスリーボールとなったが中尾が踏ん張って黒田は一邪飛に倒れる。


 その後も両軍決め手を欠き、3時間12分を経過して午後6時42分、延長15回日没再試合となった。今季初の引分け試合である。

 中尾輝三は15回を完投して9安打10四球8三振2失点。阪急先発の笠松実は7回3分の0で4安打7四球1死球1三振2失点、二番手の森弘太郎は8イニングを投げて6安打3四球3三振無失点であった。

 巨人は10安打10四球1死球、三者凡退は1回だけで毎回のように走者を出し続けたが3併殺を喫し15残塁であった。阪急は9安打10四球、三者凡退は4回で17残塁を記録した。


 生き残りを賭けるプロ野球は敵性スポーツと見做す軍部と巧みに付き合って生き延びていく。その一つとして今季から引分けを廃止した。試合の決着を付けるまでやり通して敢闘精神を見せるためである。アマチュア野球はこの柔軟性を欠き、高校野球、大学野球、都市対抗野球と中止を余儀なくされるが、プロ野球は昭和19年まで生き延びていくこととなる。この試合の再試合は9回戦として8月25日に行われる。









 

16年 阪神vs大洋 8回戦


8月16日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
1 0 2 0 0 0 0 0 0  0   0   0  3 阪神 27勝26敗 0.509 三輪八郎 若林忠志
3 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0  1X 4 大洋 33勝18敗 0.647 三富恒雄 中山正嘉 浅岡三郎 野口二郎

勝利投手 野口二郎 18勝6敗
敗戦投手 若林忠志 11勝9敗

二塁打 (神)田中
三塁打 (神)田中、松木

勝利打点 濃人渉 4

猛打賞 (大)森田実 4、濃人渉 1


濃人渉、延長12回サヨナラ打

 阪神は初回、先頭の宮崎剛が三塁に内野安打、皆川定之が四球を選んで無死一二塁、しかし皆川がピッチャー牽制に刺されて一死二塁、ここでカイザー田中義雄が左中間に三塁打を放って1点を先制する。

 大洋は1回裏、先頭の中村信一が四球で出塁、森田実が中前打、濃人渉の三前バントは内野安打、更にサード野口昇からの一塁送球が悪送球となる間に二走中村に続いて一走森田も還り2-1と逆転、打者走者の濃人も二塁に進み野口二郎が送って一死三塁、石井豊の中犠飛で3-1とする。

 阪神は3回、先頭の宮崎が四球で出塁、大洋の苅田久徳現場監督は早くも先発の三富恒雄から中山正嘉にスイッチ、皆川が送って一死二塁、田中が左中間に二塁打を放って2-3、土井垣武に代わる代打松木謙治郎監督は左邪飛に倒れるが、松下繁二が左前にタイムリーを放って3-3の同点に追い付く。

 大洋二番手の中山は4回~6回を三者凡退に抑える。7回、先頭の野口昇に四球を与えると三番手の浅岡三郎と交代、浅岡はいきなり一走野口昇を牽制で刺す。

 阪神先発の三輪八郎は2回~5回を無安打に抑える。6回、先頭の森田に四球、濃人に左翼線ヒットを許し、野口二郎が送りバント、石井を浅い右飛に打ち取るが山川喜作に四球を与えて二死満塁、阪神はここで三輪をあきらめて若林忠志をリリーフに送り佐藤武夫を二直に打ち取りスリーアウトチェンジ。

 阪神は8回、二死後松木が右翼線に三塁打を放つが松下は三振に倒れる。

 阪神は9回、一死後野口昇が四球で出塁、若林の遊ゴロが野選を誘い一死一二塁、大洋は浅岡を下げて野口二郎をライトからマウンドに呼び寄せる。森国五郎の中飛をセンター森田が候補、飛び出していた二走野口昇を刺してダブルプレーで切り抜ける。

 野口二郎は12回まで無安打ピッチンング。阪神二番手の若林も走者を出しながら無失点で切り抜けてきた。

 大洋は12回裏、先頭の織辺由三が左前打で出塁、トップに返り中村が四球を選んで無死一二塁、森田が左前打を放って無死満塁、濃人が中前にサヨナラタイムリーを放って1時間57分の熱戦にけりを付ける。

 大洋の四番手・野口二郎は3回3分の2を無安打1四球1死球無三振無失点に抑えて18勝目をあげる。


 森田実が4打数3安打、サヨナラ打を放った濃人渉が6打数3安打で猛打賞を獲得する。


 翌日の読売新聞には「阪神宮崎、大洋森田の美技」と書かれているがどの場面かは特定しておらず、スコアカードにも「好守」又は「好捕」は記録されていないので当ブログが推測しましょう。森田の美技は9回、森国五郎の中飛をキャッチして飛び出していた二走を刺し「8-4」のダブルプレーとした場面でしょう。宮崎はこの試合補殺はゼロ、刺殺が2個記録されており、6回無死一二塁の場面での送りバントを「1-4A」と一塁ベースカバーに入った場面と二死満塁から佐藤武夫のセカンドライナーをキャッチした場面しか該当する箇所はありません。佐藤の二直を好捕したと考えられます。








 

2014年3月29日土曜日

16年 名古屋vs朝日 8回戦


8月16日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 1 0 0 0 0 0  1 名古屋 24勝30敗 0.444 村松幸雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 朝日     17勝36敗 0.321 野村高義 山本秀雄

勝利投手 村松幸雄 7勝5敗
敗戦投手 野村高義 0勝3敗

二塁打 (名)服部
三塁打 (朝)内藤

勝利打点 石丸進一 1


村松幸雄、今季3度目の完封

 名古屋は4回、一死後四番・服部受弘がレフト線に二塁打、本田親喜もレフト線にヒットを放って一死一三塁、ここで石丸進一がスクイズ、打球はピッチャー正面のゴロとなったが野村高義がエラーして三走服部が生還する。石丸には犠打と打点が記録され、これが決勝点となったためプロ入り初の勝利打点も記録された。

 無得点の朝日は9回、一死後三番・灰山元章に代えて代打に内藤幸三を起用、内藤は右中間を破る三塁打を放つが鬼頭政一は浅い左飛、伊勢川真澄も右飛に倒れて万事休す。

 村松幸雄は110球を投げて4安打2四球3三振で今季3度目の完封、7勝目をあげる。


 翌日の読売新聞によると「朝日の野村は短日の間に異常な進歩を示し素晴らしい速球とアウドロを急所に持込んで3回まで名古屋を無安打に抑える・・・」とのこと。享栄商業から「花の13年組」としてジャイアンツに入団するが、ジャイアンツでは13年春・秋に合計21試合に出場しただけで翌14年に金鯱に移籍して主力打者となり主に三番を打つ。15年シーズン途中にライオンに移籍し、朝日となった今期は、ピッチャーとなった。激動の時代に激動の野球人生を歩んできた野村高義も今季で退団、恐らく応召でしょうがその後の消息は知られてない。対戦相手の村松幸雄も勝利打点を記録した石丸進一も戦死することとなるが、野村の名前は“鎮魂の碑”には見られない。








               *村松幸雄は今季3度目の完封で7勝目をあげる。









 

16年 南海vs黒鷲 7回戦


8月16日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 3 0 1 0 5 南海 22勝28敗 0.440 神田武夫
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 黒鷲 15勝36敗 0.294 石原繁三

勝利投手 神田武夫 14勝9敗
敗戦投手 石原繁三   1勝5敗

二塁打 (南)柳、木村 (黒)山田

勝利打点 木村勉 2

ファインプレー賞 (南)岡村俊昭 1


技巧派・神田

 南海は3回、先頭の岡村俊昭が一塁に内野安打、柳鶴震の左中間二塁打で無死二三塁、神田武夫が四球を選んで無死満塁、トップに返り鬼頭数雄の右犠飛で1点を先制する。続く安井鍵太郎の中飛で三走柳がタッチアップからホームを突くが、センター谷義夫から中継のファースト中河美芳に送られ本塁タッチアウト、「8-3-2」のダブルプレーが記録される。当ブログの古くからの読者の方はご存知と思いますが、黎明期の野球では外野飛球の中継に投手が入ることが多かった。プロ野球も6年目を迎えて近代化が図られてきたようです。中河美芳は一塁捕球のプレーばかりが評価されるが、中継プレーに革命を起こしたことも評価に加えなければならないかもしれません。

 黒鷲は5回、渡辺絢吾が中前打で出塁、石原繁三が送って一死二塁、トップに返り山田潔の遊ゴロの間に渡辺は三進、宗宮房之助がレフト線に同点タイムリーを放って1-1と追い付く。

 南海は6回、岩本義行が左翼線にヒット、村上一治が中前打で続き、国久松一の三前バントが内野安打となって無死満塁、木村勉が左翼線に二塁打を放って二者を迎え入れ3-1と勝越し、岡村は四球で再度無死満塁、柳の中犠飛で4-1とする。

 南海は8回、先頭の木村が四球で出塁、岡村の二ゴロで木村が二進、柳の中前打で一死一三塁、神田の投ゴロをピッチャー石原が失する間に三走木村が還って5-1とリードを広げる。


 神田武夫は107球を投げて7安打2四球無三振の完投、14勝目をあげる。神田は快速球投手と言われるが無三振での完投勝利を飾った。プロ1年目にして長期リーグ戦に対応する順応性の高さがうかがわれる。


 南海は神田を除く先発全員の12安打で快勝、春季シリーズは12勝16敗であたが夏季シリーズはここまで10勝12敗、残り6試合で勝利5割も夢ではなくなってきた。











       *神田武夫は無三振で完投、107球の省エネピッチングであった。真夏の暑さを考えての投球でしょう。









 

16年 第11節 週間MVP



 今節は阪急が4勝0敗、大洋が3勝1敗、南海が2勝1敗、阪神が2勝1敗、朝日が1勝2敗、巨人が1勝2敗、名古屋が1勝3敗、黒鷲が0勝4敗であった。



週間MVP

投手部門

 阪急 森弘太郎 4

 今節は4日間四連投で3勝0敗1セーブ。大洋戦の完封を含めて15回3分の1を投げて7安打1四球9三振無失点であった。

 阪神 若林忠志 1

 8月10日の巨人戦で澤村栄治と投げ合い延長16回を完投、自ら決勝打を放つ。



打撃部門

 阪急 黒田健吾 1

 今節9打数2安打ながら勝利打点2個、四球を6個選んで出塁率は5割を超える。

 阪急 中島喬 1

 今節10打数3安打2打点、決勝打を2本放つ。

 大洋 山川喜作 1

 今節12打数5安打、猛打賞1回、勝利打点1個。



殊勲賞

 南海 岩本義行 1

 今節12打数5安打猛打賞1回。

 阪神 御園生崇男 1

 今節13打数5安打。10日の巨人戦では7打数4安打を記録する。



敢闘賞

 大洋 浅岡三郎 1

 今節2勝0敗1完封。

 大洋 中山正嘉 1

 11日の黒鷲戦で故障から復帰後今季初登板初勝利。これが戦前最後の勝利となった。

 南海 神田武夫 1

 9日の阪神戦での完封を含み2勝を記録する。



技能賞

 大洋 苅田久徳 2

 このところスタメンを外れている苅田は代打で2打数2安打2打点三塁打1本を記録する。

 名古屋 桝嘉一 2

 10日の黒鷲戦で5打席1打数1安打4四球を記録、桝は7月29日の阪神戦でも1打数1安打4四球を記録している。

 阪急 江口行男 1

 11日の名古屋戦で戦場から帰還後3年ぶりのヒットととなるタイムリー二塁打を放つ。
 
























 

2014年3月27日木曜日

16年 大洋vs名古屋 8回戦


8月12日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 2 1 0 0 0 0  3 大洋     32勝18敗 0.640 長尾貞利 浅岡三郎
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 名古屋 23勝30敗 0.434 村松幸雄

勝利投手 浅岡三郎 9勝2敗
敗戦投手 村松幸雄 6勝5敗

勝利打点 野口二郎 2

猛打賞 服部受弘 1


浅岡三郎、好リリーフ

 大洋は4回、先頭の中村信一の遊ゴロをショート木村進一が一塁に悪送球、森田実のバントが内野安打となって無死一二塁、濃人渉が四球を選んで無死満塁、野口二郎が左前に先制タイムリー、石井豊が押出し四球を選んで2-0とする。山川喜作は三振、佐藤武夫は遊邪飛、長尾貞利も三振に倒れてこの回は2点止まり。

 大洋は5回、織辺由三が左翼線にヒットで出塁しパスボールで二進、中村も左翼線にヒットを放って無死一三塁、森田の中犠飛で3-0とする。

 名古屋は4回裏、二死後吉田猪佐喜が中前打、服部受弘も中前打で続き、本田親喜の四球で二死満塁、しかしここで先発の長尾に代わってリリーフに立った浅岡三郎に石丸進一は遊ゴロに打ち取られてスリーアウトチェンジ。

 名古屋は6回、一死後再び吉田、服部が連続中前打を放って一死一二塁、しかし本田の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー。7回も二死後村松幸雄がピッチャー強襲ヒット、木村も右前打で続いてスコアリングポジションに走者を進めるが桝嘉一が投ゴロに倒れて無得点。


 5回3分の1を投げて5安打無四球無三振無失点の好リリーフを見せた浅岡三郎が9勝目をマークする。


 名古屋は三番吉田猪佐喜が3打数2安打1四球、四番服部受弘が4打数3安打を記録したが前後の打者が無安打、ヒット数は8安打で7安打の大洋を上回ったが打線がつながらず完敗。





 

16年 阪急vs黒鷲 8回戦


8月12日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
1 0 0 0 0 0 0 0 0  1 阪急 33勝20敗 0.623 江田孝 森弘太郎
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 黒鷲 15勝35敗 0.300 畑福俊英

勝利投手 江田孝     2勝1敗
敗戦投手 畑福俊英 3勝8敗
セーブ     森弘太郎 3

勝利打点 黒田健吾 2

ファインプレー賞 (黒)山田潔 6


再び完封リレー

 阪急は初回、先頭の西村正夫が中前打で出塁、フランク山田伝が四球を選んで無死一二塁、上田藤夫の遊ゴロで山田が二封されて一死一三塁、黒田健吾の左犠飛で1点を先制する。

 阪急はこの1点を江田孝-森弘太郎のリレーで守り抜いた。江田は3回以外毎回走者を出しながら無失点、8回はこの試合2度目の三者凡退で最終回を迎える。

 黒鷲は9回裏、先頭の玉腰忠義が中前打で出塁、阪急ベンチはここで好投の江田に代えて9日の黒鷲7回戦から4日間四連投の森弘太郎をマウンドに送る。中河美芳が送って一死二塁、しかし木下政文は三振、寺内一隆に代わる代打清家忠太郎は遊ゴロに倒れて阪急が辛くも逃げ切る。
 江田孝は8回3分の0を投げて4安打2四球1三振無失点で2勝目、森弘太郎は3セーブ目をあげて現時点で最多勝&最多セーブとなる。江田-森の継投は8月2日の名古屋戦でも無安打無得点リレーであったが本日も黒鷲打線を4安打零封。



 黒鷲先発の畑福俊英も好投を見せた。9回を完投して阪急打線を3安打に抑えたが6四球、初回西村のヒットに続いて山田に四球を与えたことが致命傷となった。


 黒鷲のショート山田潔は5回に美技を見せて今季6個目のファインプレー賞を獲得、ショートでは二位の阪神・皆川定之4個に2個差を付けてトップに立っている。




 

2014年3月26日水曜日

ばったり




 仕事帰りの有楽町線で高校時代の先輩とばったり会いました。私が1年の時の3年のキャプテンです。お互いのマンションが近いので時々偶然出会うのですが。「ちょっと行くか」と言うことで、豊洲駅近くの「珉珉」でビールを一杯呑むと30数年前にタイムスリップします。


 私が軟式野球部に入った時は3年生が二人で2年生が7人、1年生が3人入って12人になりました。夏の大会は1回戦で負けて3年生の二人が抜け、10人のチームで私だけがベンチ、これが私の野球人生のスタートだったのです。徐々に部員も加わって陣容が整っていき、翌年の夏の大会は私が五番を打って神奈川で優勝しました。


 うちの高校は大学の準硬式野球部とつながっているので高校時代の仲間とは大学時代も付き合うことになります。本日ばったり出会った先輩は某大手百貨店に就職しましたが偶然にも私が入った会社に転職してきました。しかも私が人事部に在籍していた時に中途入社の履歴書をめくっていた時よく見た顔写真を見つけたものです。「あれ~」いう感じでしたが、会社でも同僚となった次第です。その会社も倒産し、先輩は某大手銀行に再就職して関連会社に転出したとのことです。


 私の周りの多くは金融機関に就職しましたが、30数年の業界再編の荒波をくぐり抜けて今日に至っています。ほとんどが関連会社に出ていますが、私を軟式野球部に誘ってくれた中学時代も同級生だったヤツだけは某大手証券の執行役員として活躍しています。そいつも最初は最も安定していそうな大銀行に入ったのですが、人生分からないものです。高校時代に身体を壊して退部したので縁も切れたと思っていたら就職してから仕事の場でばったり会いました。その後はもう20年以上会っていませんが。


 学生時代の仲間、旧職場の仲間、現職場の仲間、そしてブログ活動を通じて知り合った野球仲間、これからどういう付き合いが広がっていくのでしょうか。











 

2014年3月25日火曜日

16年 巨人vs南海 8回戦


8月11日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 2 0 3 巨人 36勝13敗 0.735 中尾輝三 泉田喜義
0 0 0 1 0 0 0 4 X 5 南海 21勝28敗 0.429 川崎徳次 神田武夫

勝利投手 神田武夫 13勝9敗
敗戦投手 中尾輝三 12勝5敗

二塁打 (巨)中尾、川上

勝利打点 神田武夫 1

ファインプレー賞 村上一治 2


中尾輝三、一人相撲

 巨人は2回、先頭の川上哲治が中前打、中島治康の右邪飛で一走川上が好走塁を見せてタッチアップから二塁に進み、吉原正喜の左前打で一死一三塁、筒井修の一邪飛をファースト村上一治が倒れ込んでのファインプレー、これを見た三走川上がタッチアップからホームイン、ピッチャー川崎徳次のホームベースカバーも遅れた。翌日の読売新聞は「筒井が一塁側本部席近くへ打ちあげた邪飛球を村上快絶の美技で捕えたとき茫然投手板上に突っ立ち本塁の防衛を怠った川崎の頭脳的大失策に乗じて川上が素早く本塁を陥れ・・・」と伝えている。筒井に一邪犠飛が記録されて1-0とする。

 南海は4回、二死後木村勉の一飛を川上が落球、岡村俊昭の二ゴロをセカンド筒井がトンネルする間に一走木村が一気にホームを陥れて1-1の同点とする。

 巨人は8回、先頭の水原茂が四球で出塁、千葉茂の左前打で無死一二塁、南海ベンチはここで先発の川崎から神田武夫にスイッチ、川上が神田の代わりばなを捕えて左中間に二塁打、二者還って3-1、しかし後続が抑えられて追加得点はならず。

 南海は8回裏、一死後村上が四球で出塁、国久松一の左前打を挟んで木村が四球、岡村も押出し四球を選んで2-3、前田貞行に代わる代打柳鶴震のカウントワンスリーのところで中尾輝三は降板して泉田喜義がマウンドに上がるが、柳も押出し四球で3-3の同点、神田の遊ゴロで三走木村が還って4-3と逆転、ショート白石はこの遊ゴロをエラーしてなお一死満塁、トップに返り鬼頭数雄の右犠飛で5-3とする。


 神田武夫は最終回に2四球を出したが無失点で切り抜け13勝目をあげてハーラー単独4位に躍り出る。

 中尾輝三は南海打線を2安打に抑え7三振を奪ったが10四球を与える一人相撲で5敗目を喫す。









 

2014年3月24日月曜日

16年 阪神vs朝日 8回戦


8月11日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 2 1 3 阪神 27勝25敗 0.519 松本貞一 藤村隆男 三輪八郎
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 朝日 17勝35敗 0.327 山本秀雄
 
勝利投手 藤村隆男 7勝6敗
敗戦投手 山本秀雄 5勝12敗
セーブ    三輪八郎 1

二塁打 (神)松木、三輪 (朝)鬼頭

勝利打点 なし

猛打賞 宮崎剛 2


宮崎剛猛打賞

 朝日は2回、先頭の鬼頭政一が左中間に二塁打、伊勢川真澄が左前打で続いて無死一三塁、続く室脇正信のファーストライナーに一走伊勢川は戻れずダブルプレー、二死三塁となって岩田次男が左前に先制タイムリーを放ち1-0とする。

 阪神は3回から先発の松本貞一に代えて藤村隆男が登板する。

 朝日先発の山本秀雄は再三のピンチを凌ぎながら7回まで5安打無失点。初回、いきなり先頭の宮崎剛に左前打、皆川定之に四球を与えるがクリーンナップトリオを抑え、3回の一死二塁、4回の一死満塁、7回の一死一二塁のピンチも切り抜けてきた。

 阪神は8回、先頭の土井垣武がショートに内野安打、代走に山根実を起用、松下繁二が送って一死二塁、御園生崇男が四球を選んで一死一二塁、野口昇に代わる代打若林忠志の投ゴロで一走御園生が二封されて二死一三塁、藤村隆男に代わる代打松木謙治郎が右中間に二塁打を放って1-1の同点、森国五郎の遊ゴロをショート前田諭治がエラーする間に三走若林が還って2-1と逆転する。

 逆転に成功した阪神は8回から三輪八郎をマウンドに上げる。

 阪神は9回、一死後カイザー田中義雄が左前打で出塁、三輪八郎の左翼線二塁打で一死二三塁、松下繁二の左犠飛で3-1とする。

 阪神二番手の藤村隆男は5イニングを投げて2安打5四球1三振無失点で今季7勝目、三輪八郎は2イニングを無安打2四球1三振無失点に抑え、当ブログルールによりセーブが記録される。


 阪神は勝つには勝ったがトップバッターの宮崎剛が5打数3安打を記録しながら得点はゼロ、打線のつながりを欠いていた。








 

2014年3月23日日曜日

江口梧人



 土佐高校や済々黌高校が甲子園に出場してくると必ず「文武両道」の文字が新聞紙上を賑わせます。学生野球なので「文武両道」は当たり前のはずですが、矢張り特別な存在のようです。


 プロ野球史上最高の文武両道の選手は誰でしょうか?


 東大出身のプロ野球選手と言えば新治伸治、井手峻、小林至、遠藤良平、松家卓弘がいます。新治はリリーフで活躍して戦力となりました。井出は投手として入団しましたが外野手に転向して好守で活躍、決勝本塁打を放ってお立ち台に上がったシーンはよく覚えています。小林は入った時から「何しに来たの?」程度のレベルで最初からタレント狙いでしょう。遠藤はお情けで1試合だけ公式戦に投げさせてもらいました。松家は高松高校時代も活躍した好投手でプロレベルの実力がありました。


 東大出身のプロ野球選手は以上の5人ですが、「雅号」を持つ選手はプロ野球史上江口行男だけです。「江口梧人」の筆名で同人誌を出していたと言われています(「商売人と言われた職業野球」様より)。「悟人」とも言われますが、竹中半平著「背番号への愛着」にも「梧人」と書かれています。


 「梧」は「アオギリ」(梧桐)という落葉高木のことです。文学を愛した江口行男は文人「河東碧梧桐」にあやかったのではないでしょうか。碧梧桐は高浜虚子と共に正岡子規の薫陶を受け「子規門下の双璧」と言われた文人です。正岡子規が野球おたくであったことは江口行男も知っていたのでしょう(笑)。


 江口行男は昭和9年に全米軍と対戦した全日本チームに選ばれています。「日米大野球」のパンフレットに書かれた江口の紹介文には「享栄商業にあって目覚ましい活躍をした一人・・・彼の本領は一番或は三番を打った心強き打力と走力、塁から塁へ弾丸のような熱球を送る強肩・・・今春享栄を出てから一時立命館に籍を置いたが郷里の先輩伊藤、石井木両氏の紹介で愛電に入り・・・」と経歴が書かれています。東大から全日本大学選抜に選ばれた選手はいますが、プロレベルの全日本に選ばれた選手はいません。


 当ブログは、江口行男こそがプロ野球史上最高の「文武両道」であると認定させていただきます。


 子規は「虚子は熱き事火の如し、碧梧桐は冷やかなる事氷の如し」と評したそうです。江口行男は碧梧桐のような沈着冷静なプレーを目指していたのではないでしょうか。昭和13年春は盗塁王、3年ぶりのスタメン出場でもタイムリー二塁打を放つ沈着冷静なプレーこそ、江口行男が目指していたものなのです。



 下のサインで確認できるように、昭和9年時点で「江口梧人」の雅号を使っていたようです。










*昭和9年に読売新聞社が作製した「日米野球アルバム」に残された江口行男のサイン。最初は誰のサインか分かりませんでしたが「江口梧人」のものであることが判明しました。サインから見ると「悟」ではなく「梧」であることが分かります。








*関係者だけに配られた「日米野球アルバム」はまずお目に掛かることはできないでしょう。読売新聞以外では、野球殿堂博物館に遺族から寄贈された数点が保存されているほか、吉沢野球博物館に展示されているだけです。アメリカのコレクターに流出している可能性は否定できないと思いますが。民間で所有しているのは当ブログだけでしょう。日米両チームの参加選手が残した直筆サインは最高レベルのものです(江口梧人の左は矢島粂安、右上は水原茂です。)。

























 

16年 阪急vs名古屋 8回戦


8月11日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 1 0 0 0 0 0 2 阪急  32勝20敗 0.615 笠松実 森弘太郎
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 名古屋 23勝29敗 0.442 松尾幸造 西沢道夫

勝利投手 森弘太郎 20勝5敗
敗戦投手 松尾幸造   0勝5敗

二塁打 (急)江田

勝利打点 中島喬 3


江口行男、3年ぶりの快打

 阪急は初回、先頭の西村正夫がストレートの四球で出塁、しかしフランク山田伝の三ゴロが「5-4-3」と渡ってゲッツー、ところが上田藤夫がストレートの四球、黒田健吾もストレートの四球で二死一二塁、中島喬が右前に先制タイムリーを放って1-0とする。

 名古屋先発の松尾幸造は立ち上がり全くストライクが入らなかったが2回から見違えるように立ち直り7回まで投げて無四球であった。

 阪急は4回、一死後中島が二遊間に内野安打、森田定雄は三飛に倒れるが日比野武が死球を受けて二死一二塁、戦場から帰還してきて6試合目の出場で今季初スタメンの江口行男がセンター右奥に二塁打を放って中島喬を迎え入れ2-0とする。

 阪急先発の笠松実は2回までに3四球、しかしヒットは石丸進一に許した2回の1本だけで3回~6回は三者凡退に抑えて無失点。

 名古屋は7回、先頭の服部受弘が四球を選んで出塁、古川清蔵の二ゴロはゲッツーコースであったがショート上田が落球、石丸進一が2本目のヒットを中前に弾き返して無死満塁、阪急ベンチはここで笠松に代えて三連投となる森弘太郎を投入、松尾に代わる代打岩本章が押出し四球を選んで1-2、しかし木村進一の三ゴロは「5-2」と渡って三走古川は本封、トップに返り桝嘉一は浅い左飛、石丸藤吉は三振に倒れて同点機を逸す。


 阪急先発の笠松実はリードを保ったまま7回途中で降板して阪急はその後追い付かれていないので現行ルールであれば笠松に勝利投手が記録されるが公式記録では森弘太郎が勝利投手となっている。森は3イニングを投げて1安打1四球5三振無失点の力投で20勝目をあげる。


 貴重な追撃の二塁打を放った江口行男は金鯱時代の13年春、盗塁王に輝いたシーズンを最後に兵役に就き、帰還した今季は阪急に移籍してプロ野球の世界に復帰した。江口のヒットは昭和13年7月16日以来3年ぶりのこととなる。










*江口行男が3年ぶりにヒットを放った場面。スタンプの押し間違いで「江田孝」になっていますが「江口行男」で間違いありません。








 

16年 大洋vs黒鷲 8回戦


8月11日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 0 1 3 1 6 大洋 31勝18敗 0.633 三富恒雄 中山正嘉
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 黒鷲 15勝34敗 0.306 石原繁三 中河美芳

勝利投手 中山正嘉 1勝0敗
敗戦投手 石原繁三 1勝4敗

二塁打 (大)濃人、山川 2、織辺 (黒)木下

勝利打点 濃人渉 3

猛打賞 (大)石井豊 1、織辺由三 1

ファインプレー賞 (黒)山田潔 5


中山正嘉、今季初登板

 大洋は初回、中村信一、森田実が連続四球、濃人渉の三塁線バントが内野安打となって無死満塁、しかし四番野口二郎は三振、山川喜作の遊ゴロが黒鷲内野陣の併殺網に掛かって無得点。

 大洋は3回、一死後中村が四球で出塁、森田の遊ゴロでランナーが入れ替わり、濃人の左中間二塁打で二死二三塁、野口は歩かされて二死満塁、山川は一邪飛に倒れてこの回も無得点。

 黒鷲も1回、2回とヒットの走者を出すが2回は一死一塁で清家忠太郎の投ゴロがピッチャー三富恒雄からセカンド中村信一、ファースト石井豊と渡ってダブルプレー。

 大洋は4回、先頭の石井が左翼線にヒット、柴田多摩男が送って一死二塁、三富の三ゴロの間に石井は三進、織辺由三の三塁内野安打で石井が還り1点を先制する。

 黒鷲は4回裏、二死後富松信彦が四球で出塁、木下政文の左中間二塁打で富松が還り1-1の同点とする。

 大洋は6回から先発の三富に代えて今季初登板となる中山正嘉をマウンドに送り込む。

 大洋は7回、先頭の織辺が中前打で出塁、黒鷲ベンチはここで先発の石原から中河美芳にスイッチ、トップに返り中村が送って一死二塁、森田が左前打を放って一死一三塁、濃人の中犠飛で2-1と勝ち越す。

 大洋は8回、山川が右中間に二塁打、しかしキャッチャー清家からの牽制球にタッチアウト、石井が中前打を放って一死一塁と“リ・スタート”、柴田は二飛に倒れるが中山が四球を選んで二死一二塁、織辺が左中間に二塁打を放って3-1、中村に代わる代打苅田久徳が左翼線に2点タイムリーを放って5-1と突き放す。苅田は9日の名古屋戦からスタメンを外れセカンドを法政の後輩となる中村信一に譲っているが、昨日の阪急戦でも9回二死で代打に出て三塁打を放っている。

 大洋は9回、先頭の山川が左中間に二打席連続二塁打、石井が左前にタイムリーを放って6-1とダメ押す。


 故障のため今季初登板となった中山正嘉は4イニングを投げて1安打2四球無三振無失点の好投で1勝目をあげる。昭和14年に25勝、15年にも18勝をあげた中山の戦前の勝利はこれが最後となり、中山が次に勝利投手を記録するのは9年後の昭和25年、広島カープの創設初年度まで待つこととなる。大洋は中山抜きでもこれだけ好調なだけに、中山が順調で野口二郎、浅岡三郎との三本柱が組めていたら巨人の独走を阻止したのではないでしょうか。



               *中山正嘉は今季初登板で好リリーフ、戦前最後の勝利投手となた。









 

2014年3月22日土曜日

逆転サヨナラ




 小粒と言われる今年のセンバツで最も注目を集める27年ぶり出場の池田高校が終盤集中打で逆転サヨナラ勝ち。


 3点ビハインドの8回裏、先頭の喜多がいい当たりの二塁打、“やまびこ打線”爆発を予感させましたがこの後の展開はちょっと違っていました。


 代走と代打を繰り出して林が三前にセーフティバント、これが内野安打となって無死一三塁、続く名西が右前にポテンを放って1対3、九番上徳はバントの構えで牽制しながらが四球を選んで無死満塁、海南高校はここで3度目の守備のタイムを掛けて伝令に怪我のためベンチを暖めるエースが走る。これが功を奏したか代打の大西は3球連続見逃しの三振、しかし二番高井の詰まったゴロが三遊間を抜けて2対3、三宅の当りはセンターに抜けるかと見られたがショート空山(アキヤマ)がダイビングキャッチしてそのまま二塁ベースを踏み一塁に送球、ダブルプレーでスリーアウトチェンジ。


 海南のショート空山は5回と7回に貴重なタイムリーを放っておりこのままいけば最大のヒーローとなるところであった。


 池田は9回裏、先頭の四番岡本が右前に痛烈なライナーのヒット、当然バントかと思われたが強硬策、木村の遊ゴロはお誂え向きのゲッツーコース、と思いきやショート空山が弾いて無死一二塁、ゲッツーを焦ったようだ。喜多の代走からそのままライトに入っていた藤田の三塁側への送りバントをピッチャー神崎が一塁に悪送球、同点かと思われたがセカンド福田がナイスカバー、しかしノーアウト満塁、林の当りはピッチャー左を抜け、ショート空山が捕れない打球ではなかったがバウンドが合わずそのままセンターに抜けて二者還り池田が逆転サヨナラ勝ち。


 甲子園の空に池田高校の校歌「ひ~かり~、ひ~かり~」が27年ぶりに響き渡った。夏も入れれば22年ぶりですが。


 “やまびこ打線”の猛打を知る当時の高校野球ファンとしては喜ぶべきか現実を嘆くべきか、あまりにも小粒な池田打線が小技を駆使して1回戦を突破しました。筆者も一昨年の秋、久々に関東大会に進出してきた銚子商業の試合を見に行きましたが、あまりの線の細さに“黒潮打線”の見る影も見出せませんでした。30年も過ぎれば時代も高校野球も移り変わります。県立高校の限界を感じさせられる今日この頃です。


 明日のスポーツ紙は“池田復活”を大々的に報じることとなるでしょうが、生粋の高校野球ファンである当ブログのコメントはこのようになります。








 

大失態



 当ブログ開闢以来の大失態をやらかしてしまいました。8月10日の後楽園球場第二試合、大洋vs阪急7回戦の実況中継を飛ばしていました。本日実況中継させていただいております。申し訳ございませんでした。気が付いて良かった(笑)。笑っている場合じゃありません。二度とないように気を引き締めていきます。




 

16年 大洋vs阪急 7回戦


8月10日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 大洋 30勝18敗 0.625 野口二郎
0 0 0 0 0 0 1 0 X  1 阪急 31勝20敗 0.608 森弘太郎

勝利投手 森弘太郎 19勝5敗
敗戦投手 野口二郎 17勝6敗

二塁打 (急)日比野
三塁打 (大)苅田

勝利打点 中島喬 2

ファインプレー賞 (大)石井豊 6、7 (急)フランク山田伝 7


遠いホーム

 大洋は初回、一死後濃人渉が左前打で出塁、しかし森田実の投ゴロが「1-6-3」と渡ってダブルプレー。

 大洋は2回、野口二郎が左前打で出塁、佐藤武夫が三邪飛に倒れて一死一塁、山川喜作の遊ゴロが「6-4-3」と渡って又もやダブルプレー。

 1回、2回と三者凡退の阪急は3回、先頭の日比野武が左中間に二塁打を放ち先制のチャンスを掴むが伊東甚吉は三振、森弘太郎の投ゴロに日比野が飛び出し「1-6」と渡ってタッチアウト、トップに返り西村正夫が中飛に倒れて無得点。4回~6回は三者凡退。

 大洋は6回、一死後西岡義晴がピッチャー強襲ヒット、森の一塁悪送球が加わって西岡は二塁に進み、織辺由三の中前打で二走西岡が三塁ベースを蹴ってホームに向かうがセンターフランク山田伝からのバックホームにタッチアウト。7回も濃人の左前打とショート上田藤夫のエラーで一死一三塁のチャンスを掴むが佐藤の三ゴロに三走濃人がホームに突っ込みサード黒田健吾からのバックホームにタッチアウト。大洋にホームは遠かった。

 阪急は7回、先頭の山田の遊ゴロをショート濃人がエラー、上田の一邪飛をファースト石井がファインプレー、黒田が四球を選んで一死一二塁、中島喬が中前にタイムリーを放って1点を先制する。

 大洋は8回も三者凡退。9回、二死後森田に代わる代打苅田久徳が左中間に三塁打、しかし野口は投ゴロ、捕球した森がそのまま一塁ベースに駆け込んで試合終了。

 森弘太郎は6安打無四球2三振で今季7度目の完封、19勝目をあげる。


 ここまで17勝の野口二郎は18勝の森弘太郎に投げ負けて2勝差を付けられた。今季森は30勝をあげて最多勝、野口は25勝に終わるが、この試合がターニングポイントになったのである。野口が勝って18勝で並んでいたら今季の最多勝争いも分からなくなっていたのではないでしょうか。









*森弘太郎は野口二郎との投げ合いを制して19勝目をあげる。この試合をターニングポイントとして最多勝に突っ走ることとなる。























 

2014年3月21日金曜日

16年 阪神vs巨人 7回戦


8月10日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 計
0 0 0 0 0 0 3 0 0  0   0   0   0   0   0   3  6 阪神 26勝25敗 0.510 若林忠志
2 0 1 0 0 0 0 0 0  0   0   0   0   0   0   0  3 巨人 36勝12敗 0.750 澤村栄治

勝利投手 若林忠志 11勝8敗
敗戦投手 澤村栄治   6勝4敗

二塁打 (神)松下、田中、若林、御園生 (巨)千葉
三塁打 (神)御園生、田中 2 (巨)川上、水原

勝利打点 若林忠志 1

猛打賞 (神)御園生崇男(四安打) 1、カイザー田中義雄 1 (巨)千葉茂 2

ファインプレー賞 (巨)呉波 3 


死闘の果て

 巨人は初回、先頭の白石敏男が左前打で出塁、水原茂は左邪飛に倒れるが千葉茂が左前打を放って一死一二塁、川上哲治が右翼線に三塁打を放って2点を先制する。

 巨人は3回、先頭の水原が右中間に三塁打、千葉が右前にタイムリーを放って3-0とする。

 巨人先発の澤村栄治は6回まで無四球、初回の比留木虎雄に許した三塁内野安打と4回松下繁二に打たれた左前打の2安打に抑える。

 阪神は7回、一死後松下が左中間に二塁打、若林忠志は左飛に倒れるが、御園生崇男が右翼線に三塁打を放って1-3、野口昇に代わる代打カイザー田中義雄も右中間に三塁打を放って2-3、澤村のワイルドピッチで三走田中が還り3-3の同点に追い付く。

 澤村は8回、9回を無安打に抑え、若林は4回~9回まで3安打無失点、試合は両投手の投げ合いで延長戦に突入する。

 阪神は10回、先頭の田中が右中間に二塁打、森国五郎の三前バントが内野安打となって無死一三塁、トップに返り宮崎剛の捕前バントで三走田中は動かず一走森は二進、一応犠打が記録されて一死二三塁、当時はまだ“セーフティスクイズ”はなかたと思いますが。続く皆川定之の記録は「-4A」。これは二ゴロでセカンド千葉が直接一塁ベースを踏んだことになります。皆川のスクイズを警戒してファーストの川上は前進守備をとっていたと考えられます。と言うことで二死二三塁、松木も二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ、こちらは普通に「4-3」と記録されています。

 11回は三者凡退に終わった阪神は12回、先頭の御園生が中前打で出塁、田中が送って一死二塁、しかし森は中飛、宮崎は三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 巨人は10回~12回は三者凡退、延長に入って阪神が押し気味に試合を進める。

 巨人は13回裏、先頭の白石の遊ゴロをショート皆川が一塁に悪送球、しかし水原の一ゴロをファースト松木が一塁ベースを踏んでから二塁に送球して白石は二封されダブルプレー、ところが千葉が中前打から二盗に成功、川上が四球を選び、重盗に成功して二死二三塁、しかし期待の中島治康は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪神は14回、一死後若林が四球で出塁、御園生が中前打を放って一死一二塁、しかし田中の三ゴロが「5C-3」と渡ってダブルプレー。

 巨人は14回裏、先頭の吉原正喜が左前打で出塁すると平山菊二が送って一死二塁、呉波は投ゴロに終わるが澤村の遊撃内野安打で二死一三塁とサヨナラのチャンス、しかし白石は遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 15回の攻撃を三者凡退で終えた阪神は16回、先頭の松木が右翼線に二塁打、比留木のバントは一邪飛、松下の三ゴロの間に松木は三進、ここで若林が中前にタイムリーを放ち均衡が破れて4-3、御園生の左中間二塁打で一走若林を迎え入れて5-3、田中も左中間に三塁打を放ち6-3とする。

 巨人は16回裏、一死後呉が二塁に内野安打、澤村に代わる代打楠安夫が四球を選んで一死一二塁、しかし白石に代わる代打筒井修の二ゴロが「4-6-3」と渡って万事休す、阪神が激闘を制す。


 巨人対阪神史に残る死闘をお伝えしたのは当ブログが初めてのことでしょう。御園生崇男が7打数4安打2打点、二塁打1本、三塁打1本、途中出場のカイザー田中義雄が4打数3安打2打点、二塁打1本、三塁打2本、千葉茂が6打数4安打1打点、二塁打1本と、3人が猛打賞を獲得した。


 若林忠志は13安打4四球6三振で16回を完投、11勝目をあげる。

 澤村栄治は16回を完投して13安打2四球5三振、珍しく暴投を1個記録している。





               *若林忠志vs澤村栄治の死闘を伝えるスコアカード。














               *延長16回の死闘を伝えるスコアカード。













2014年3月20日木曜日

16年 朝日vs南海 7回戦


8月10日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 3 0 1 0 0 5 朝日 17勝34敗 0.333 福士勇
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 南海 20勝28敗 0.417 石田光彦 川崎徳次

勝利投手 福士勇   12勝18敗
敗戦投手 石田光彦 4勝7敗

二塁打 (朝)坪内、岩田、鬼頭政一 (南)安井、村上

勝利打点 岩田次男 2

猛打賞 (朝)戸川信夫 1、鬼頭政一 1 (南)岩本義行 4


猛打賞3人

 朝日の先発オーダーは二番にセカンド戸川信夫、六番にレフト戸川須賀男となりますのでお間違いなく。

 朝日は初回、先頭の好調・坪内道則が右中間に二塁打、戸川信夫が中前打から二盗に成功して無死二三塁、しかし灰山元章は浅い左飛、鬼頭政一のサードライナーに三走坪内が飛び出してダブルプレー、絶好の先制のチャンスを逃す。

 南海は1回裏、一死後安井鍵太郎が左中間に二塁打、鬼頭数雄が四球を選んで一死一二塁とするが岩本義行の遊ゴロが「6-4-3」と転送されてダブルプレー、こちらも先制のチャンスを逃す。

 朝日は2回、先頭の伊勢川真澄が中前打で出塁、戸川須賀男の送りバントはピッチャー石田光彦が巧く処理して伊勢川が二封され一死一塁、岩田次男の左中間二塁打で一走戸川須賀男が還って1点を先制する。

 南海は2回裏、先頭の村上一治が左翼線に二塁打、しかし国久松一は投ゴロに倒れ二走村上もファースト灰山からの送球に刺されて又もダブルプレー。

 朝日は5回、一死後坪内が三塁に内野安打、戸川信夫が二塁に内野安打、灰山元章も三塁に内野安打と3本の内野安打で一死満塁、鬼頭政一が左中間に走者一掃の二塁打を放って3点を加え4-0とする。

 朝日は7回、一死後戸川信夫が四球で出塁、灰山は捕邪飛に倒れるが鬼頭政一の左前打で戸川信夫が三塁に進み二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて5-0と突き放す。

 南海は8回、先頭の岩本義行が左前打から二盗に成功、村上が四球を受けて無死一二塁、国久は中飛に倒れて一死一二塁、ここで重盗を試みるが二走岩本が三塁で刺されて二死二塁、キャッチャー伊勢川からピッチャー福士勇への返球が悪送球となる間に二走村上は三進、再び伊勢川から福士への返球が悪送球となる間に村上が生還して1-5とする。

 福士勇は8安打4四球1死球3三振1失点、自責点ゼロの完投で12勝目をあげる。8回の失点は誠につまらないもので、実質的には完封であった。


 朝日では戸川信夫が3打数3安打、鬼頭政一が4打数3安打、南海では岩本義行が4打数3安打と3人が猛打賞を獲得した。このところ質の良いボールを供給しているので打線が活発になってきている。翌日の読売新聞にも「最近真球の使用からか双方打撃のOOという華々しい試合が演ぜられるが・・・」と書かれている。但し新聞の紙質とインクは質の低下が著しいようで、判読不能のケースが増えている。


 質の良いボールを使用している理由を想像すると、日米開戦は必至の状況であり、プロ野球存続もどうなるか分からないと言うことで、ストックしておいた質の良いボールを供給していると考えられます。






               *福士勇は8安打を許しながら自責点ゼロの完投で12勝目をあげる。














*南海8回の攻撃、死球で出塁した村上一治が、キャッチャー伊勢川真澄からピッチャー福士勇への返球が2度悪送球となって生還した場面。福士勇はこのつまらない失点で完封勝利を逃した。「2’-1」はキャッチャーからピッチャーへの送球が悪送球となったことを表します。











 

2014年3月19日水曜日

16年 黒鷲vs名古屋 7回戦


8月10日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 2 0 3 黒鷲     15勝33敗 0.313 畑福俊英 金子裕
1 0 3 0 0 0 0 0 X 4 名古屋 23勝28敗 0.451 村松幸雄 河村章 西沢道夫

勝利投手 村松幸雄 6勝4敗
敗戦投手 畑福俊英 3勝7敗
セーブ     西沢道夫 3

二塁打 (名)桝 
三塁打 (黒)山田、清家

勝利打点 なし

猛打賞 (黒)清家忠太郎 2

ファインプレー賞 (黒)菅利雄 1


12安打の黒鷲、3安打の名古屋に敗れる

 黒鷲は初回、先頭の山田潔が左中間に三塁打、ところが谷義夫jは三振、玉腰忠義は遊ゴロ、富松信彦は中飛に倒れて絶好の先制のチャンスを逃す。黒鷲にとってはこれがケチの付き始めであった。

 名古屋は1回裏、先頭の桝嘉一が四球で出塁、芳賀直一は右飛に倒れるが三浦敏一が四球、吉田猪佐喜は三振に倒れるがこの時重盗を決めて二死二三塁、服部受弘の三ゴロをサード木下政文が一塁に悪送球する間に三走桝が還って1点を先制する。

 黒鷲は2回、3回、4回と2安打ずつを放つが無得点。

 名古屋は3回、先頭の三浦が四球で出塁、吉田の遊ゴロが野選を誘って無死一二塁、服部の三ゴロを捕ったサード木下は三塁ベースを踏んで二走三浦は三封、木下は返す刀で一塁に送球するがこれが悪送球となる間に二者進塁して一死二三塁、古川清蔵の投前スクイズをピッチャー畑福俊英がホームにトスするがセーフ、犠打と野選が記録されて2-0としてなお一死一三塁、石丸進一のスクイズが内野安打となって3-0、一走古川も三塁を陥れる好走塁を見せて再び一死一三塁、村松幸雄の投ゴロの間に古川が生還して4-0とする。

 黒鷲は4回から先発の畑福に代えて金子裕をマウンドに送る。

 名古屋も5回まで無失点ながら8安打を許した村松に代わって河村章が二番手のマウンドに上がる。

 5回まで7残塁の黒鷲は6回、一死後金子が中前打で出塁、4回から菅に代わってファーストに入っている中河美芳も中前打を放って無死一二塁、清家の三ゴロをサード芳賀がエラーして一死満塁、宗宮房之助の遊ゴロをショート木村進一がエラーする間に三走金子が還って1点を返す。なお一死満塁で山田は二飛、谷は左飛に倒れて追加点はならず。

 黒鷲は8回、先頭の金子の二ゴロをセカンド石丸進一がエラー、中河の一ゴロで金子は二封、清家が右中間に三塁打を放って2-4、名古屋は河村に代えて三番手として西沢道夫を投入、宗宮の遊ゴロの間に清家が還って3-4、トップに返り山田が四球を選ぶが谷は右飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 黒鷲は9回、一死後富松が四球を選んで出塁、木下の左前打で一死一二塁、しかし金子が右飛、中河が遊ゴロに倒れて西沢にセーブが記録される。


 清家忠太郎は4打数3安打で猛打賞、桝嘉一は5打席1打数1安打4四球を記録した。桝は7月29日の阪神戦でも一試合4四球を記録している。


 名古屋は3安打で12安打の黒鷲に勝った。名古屋は10個の四球を選んだが内野陣が4エラー、黒鷲は3四球で2エラー、残塁は名古屋が12個で黒鷲が13個。名古屋は5回を除いて毎回四球、黒鷲は7回を除いて毎回安打、流石にこの試合は1時間43分を要した。








               *3安打の名古屋は12安打の黒鷲を破った。












               *12安打の黒鷲は3安打の名古屋に敗れた。

















 

2014年3月18日火曜日

国久の肩



 国久松一の強肩については大和球士著「真説日本野球史」昭和篇その三に「特にバカ肩では、タイガースの景浦以上と評価される」と書かれています。


 当ブログでは、国久の強肩を客観的データから証明することに成功しました。


 昭和15年のレギュラー捕手であった吉川義次を兵役で欠いた南海は昭和16年開幕の黒鷲戦に松本光三郎をキャチャーに起用、松本は開幕戦で満塁ホームランを放つ華々しい活躍を見せました。しかしこの試合で3盗塁を許した松本は続く巨人戦でも6盗塁を許すこととなり、南海は三戦目から木村勉をキャッチャーに起用することとなります。その木村が7月6日の名古屋戦で途中退場し、これまでも時々キャッチャーとして起用されたことがあるセカンドの国久松一が代わってマスクを被ることとなり、国久は12試合続けてキャッチャーとして出場することとなりました。


 この間の国久の盗塁阻止率は「企図数18、許盗塁8、盗塁刺10」で5割5分6厘となり、これだけでも高い盗塁阻止率ではありますが当ブログが大騒ぎする程の数字でもありません。数字の中身をさらに精査すると、許盗塁8個には、一三塁からの二盗が4個と重盗の合計6盗塁が含まれており、これを除くと盗塁阻止率は8割3分3厘に跳ね上がります。


 7月6日名古屋戦で吉田猪佐喜の二盗を刺したのを皮切りに、8日の朝日戦では戸川信夫の二盗を2個と室脇正信の二盗を刺し、14日の巨人戦で吉原正喜の二盗を刺し、15日の阪急戦でフランク山田伝の三盗を刺し、17日の名古屋戦でも石丸進一の二盗を刺します。更に8月2日の巨人戦で平山菊二の二盗を刺し、吉原の二盗はショート前田貞行にエラーが記録されているのでこのケースでは盗塁刺が記録されることになります。昨日お伝えしたとおり9日の阪神戦で松下繁二の三盗を刺しました。


 一三塁からの二盗と重盗を除くと、国久が許した盗塁は7月17日名古屋戦での服部受弘の二盗と8月4日阪急戦でのフランク山田伝の二盗だけです。


 8月11日の巨人戦から木村勉がキャッチャーに復帰し、国久松一はセカンドに戻ることとなります。僅かなサンプル数ではありますが、12試合で実質盗塁阻止率8割3分3厘を記録した国久の強肩ぶりが数字で証明されたのです。


 木村勉が何故欠場していたのかは定かではありません。恐らく怪我のためではないかと考えられます。木村は戦争の時代を生き延びて戦後は松竹水爆打線に名を連ねることとなりますが、国久は戦死することとなります。




 

2014年3月17日月曜日

16年 南海vs阪神 7回戦


8月9日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 1 0 0 0 0 0  1 南海 20勝27敗 0.426 神田武夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 阪神 25勝25敗 0.500 松本貞一 三輪八郎 若林忠志

勝利投手 神田武夫 12勝9敗
敗戦投手 松本貞一   2勝2敗

二塁打 (南)岩本 (神)松下

勝利打点 村上一治 5


神田武夫、完封で12勝目

 3回まで1四球無安打の南海は4回、二死後岩本義行中前打で出塁すると二盗に成功、村上一治の左前タイムリーで1点を先制する。両チームの得点はこの1点のみであった。

 神田武夫は5安打1四球2三振で3度目の完封、12勝目をあげる。


 南海の得点のきっかけはヒットで出た岩本の盗塁にあったが、対照的なシーンが2回の阪神の攻撃で見られた。すなわち、一死後左翼線に二塁打を放った松下繁二が続く御園生崇男の打席で三盗を試みたがキャッチャー国久松一の強肩に刺されたのである。国久の肩が南海の勝因の一つであったということである。


 「国久の肩」については稿を改めてお伝えします。知られざる記録なのでお楽しみに!




          *神田武夫は阪神打線を5安打に抑えて今季3度目の完封、12勝目をあげる。






       *2回に岩本義行が中前打で出塁して二盗に成功し、村上一治の左前にタイムリーで生還した場面。







*左翼線二塁打で出塁した松下繁二が三盗に失敗した場面。「2-5」と渡って、松下を刺したキャッチャー国久松一に補殺が記録されました。