2019年6月28日金曜日

吉江一行の奮闘


 飛田穂州の指示により相田暢一が買い集めておいた野球用具は相田の応召後、早稲田大学野球部倉庫に眠っていた。この乱雑に積み重ねられていたボール300ダース、バット300本、ノックバット10数本を管理したのが早稲田大学野球部戦前最後の主将、福島県磐城中学出身の吉江一行であった。

 当ブログで伝えている各校の復活戦では、早稲田大学野球部に残されていた野球用具が使用されたのである。吉江は応召後、戦病死する。相田は2014年に野球殿堂入りし、近年急速に評価が高まっている。



2019年6月25日火曜日

別当薫復員


 昭和20年8月23日、別当薫が復員。早速日吉の合宿所に出向き野球部長の浅井清教授と再会し、慶大野球部は復活に向けて動き出した。

 早大野球部も飛田穂州の指揮の下、10月には戸塚球場で練習を開始し、昭和20年10月28日、ステートサイドパークで六大学OBによる紅白戦が行われた。この試合は午後2時開始予定であったが、午前中から野球ファンが詰めかけてスタンドは満員となり、午前中に予定していた運動記者vs超OBの前座試合を後回しにして、午前11時半プレイボール。紅軍は白木(慶大出)-松永(慶大出)、白軍は高橋(早稲田出)-室井(明大出)のバッテリー、11対3で白軍が勝利した。


 昭和20年11月18日、ステートサイドパークで全早慶戦が行われ(早稲田大学野球部史には10月28日と書かれているが間違い)、4万5千の観衆が集まった。試合は現役6名の早稲田に対して慶應は別当、大島の2名だけ。白木の好投で慶大が延長11回シーソーゲームを制した。


全慶應vs全早稲田 

11月18日 (日)  ステートサイドパーク 


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計

0 1 0 1 0 0 0 1 0  0   3   6  全慶應  1勝0敗 白木
0 0 0 0 0 3 0 0 0  0   0   3  全早稲田 0勝1敗 若原 岡本


勝利投手 白木義一郎
敗戦投手 若原又は岡本


勝利打点 別当薫
(勝利打点は慶大野球部史の記述から当ブログの推測)


猛打賞 白木(全慶應)、笠原(全早稲田)

*参照「慶応義塾大学野球部史」、「早稲田大学野球部史」、「体育週報」。

2019年6月14日金曜日

東大野球部復活への道


 昭和20年10月24日、安田講堂の倉庫で発見された野球道具が一誠寮に運び込まれた。東京帝国大学野球部が復活に向けて動き出したのである。

 昭和20年11月7~9日、御殿下グラウンドにおいて「学内軟式野球大会」を開催、決勝進出は成蹊と静岡となった。

 昭和20年11月17日、「復員学徒慰労全学運動会」を開催。学内軟式野球大会の決勝戦が行われ成蹊が1対0で優勝を決めた。

 この「学内軟式野球大会」は野球部員のスカウトも兼ねていた。更に11月19日、「飯より野球の好きな人へ!明朗健全なる学生生活を送らんとする者は来れ!!21日12時半 2食2階に集合!」のビラを掲示板に掲載、22名が集合した。

 昭和20年11月26日、御殿下グラウンドでトレーニング開始、12月8~14日検見川グラウンドで合宿、そして12月16日には上井草球場で現役軍vsOB軍の試合を行い、現役チームがOBチームを破った。

 東大野球部は、復活初年度となる昭和21年春季リーグ戦で、史上唯一の「二位」という成績をおさめることとなる。早稲田OBの森茂雄をコーチに招き、エース山崎諭と主砲山崎喜暉が中心となっていち早くチームの体制を整えたことが勝因となった。

 因みに筆者は中学時代、東大検見川グラウンドで開催された学内ソフトボール大会でランニングホームランを打ちました。スカウトは来ていませんでしたが(笑)。


*参照「東京大学野球部史」
 

サイクル


 定年退職後はベースボールプレイヤーとしての活動が忙しくてメジャー中継を見るヒマはあまりないのですが、本日は久々のテレビ観戦。

 第一打席のホームランに驚いたばかりなので、サイクルはあまり驚くほどのこともない。実際、野球資料を整理しながら見ていたので、4本目のシングルの場面は目を逸らしていました。

 どうせシーズンオフになれば世間は「二刀流じゃぁ~~」と騒ぐことが目に見えていますが、当ブログは「打者」に専念するべきという考えは変わりません。

 

抜けたとは思ったけど・・・


抜けたとは思ったけど、そのまま入っちゃいました。

大谷の左中間は伸びますね。

当ブログが高校時代から「打者」としてやっていくべきと主張し続けてきた意味がお分かり?(笑)。

 

2019年6月13日木曜日

明大野球部復活への道


 昭和20年9月30日午前10時、和泉グラウンドにおいて明大野球部は戦後最初の練習を開始した。

 それに先立って、神田校舎の掲示板に「野球のできる者は集まれ」というビラが張り出された。起案者は岡田源三郎であったと推測されている。そして9月中旬過ぎに、和泉のグラウンドで入部テストが行われた。明大野球部・別府隆彦の日記には、9月24日の項に「野球か、勉強か。家の者は猛烈に反対する」と記されており、入部テストはその2、3日前に行われたと推測される。テストに合格した別府は、9月29日の日記に「ともかく野球部に入ることにした。それがどんな結果をもたらすか・・・」と記し、教師にしたかった親を説得して野球部に入部した。この入部テストの審査委員長は岡田源三郎であったことが確認されており、岡田の指導により明大野球部は復活する。まだ大下弘は復学していない。

 昭和20年11月4日午前10時、ステートサイドパーク(神宮球場)において明大OBチームである「駿台倶楽部」と「現役チーム」による試合が行われた。

 駿台 13-8 現役 (一部の新聞には12対8との記録も残されている)

 OBチームの先発は「大正時代の名投手」として知られる湯浅禎夫でリリーフは「八十川ボーク事件」で知られる八十川胖、現役チームの先発は「復学」してきた大下弘であった。現役チームで参加した小川善治の手記によると、「この試合で大下がワンバウンドで外野席に打ち込んだ」とのこと。この一打を見た明大OBの横沢三郎が大下をセネタースに引っ張ったことから、大下が明大野球部員として試合をするのはこの試合が最後となったのである。

 昭和20年12月9日、現役・OB混成チームの駿台倶楽部が早稲田OBチーム稲門倶楽部と対戦し、6対4で駿台倶楽部が勝利を飾った。この試合が明大野球部の戦後最初の対外試合であった。試合のメンバー表は当時の「体育週報」に掲載されており、駿台の投手は現役の小川善治(後に大映スターズに入団して二桁勝利3回を記録)であり、前述のとおり大下はプロ入りしてこの試合には出場していない。稲門のメンバーは大半が早稲田OBであったが、駿台は大半を現役が占めていた。早稲田大学野球部の復活が遅れていたことがうかがわれる。

稲門vs駿台

12月9日 (日)  ステートサイドパーク

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 2 0 0 0 0 0 4 稲門 1勝0敗 高橋 若原
0 0 0 0 2 4 0 0 0 6 駿台 0勝1敗 小川善治 江原

勝利投手 小川善治
敗戦投手 高橋
(責任投手は 当ブログの推測)

猛打賞 辻井(稲門)3安打

*参照「明治大学野球部史」、「体育週報」。

 

2019年6月12日水曜日

タコ足


 「タコ足」と言えば中河美芳であることは当ブログの読者であれば知らない人はいません。

 大洋時代の松原も「タコ足」を見せていました。

 さて、本日の日ハムVS広島戦、吉田輝星のプロ入り初登板で注目を集めていますが、ファーストを守った清宮が両足を180度開く見事な「タコ足」を見せて低目の送球をナイスキャッチ。解説の梨田さんも「体が柔らかいですね」と感心していました。

 ところがぎっちょん、次の打席で「代打」を送られました。まだ情報は無いのですが、どうやら「タコ足」で腿の内側辺りを伸ばしてしまった可能性があります。明日のニュースを見れば判明するでしょうね。

 当ブログは、中河、松原に続いて清宮に「タコ足三世」の称号を送るつもりだったのですが、ちょっと厳しいか。やっぱり「DH」でないとダメなのかなぁ~~。

 吉田輝星の方ですが、プロの世界で見てみるとちょっと球質が軽いかな。この手の球は「切れ」ているうちはいいのですが、ちょっと鈍ってくると「打ち頃」のボールになります。テレビや新聞の解説は「批判」しませんので「真実」が伝わることはない。まぁ、「真実」よりも「売上」や「視聴率」の方が「重要」なのだから度し難い。読む方や見る方の問題ですけどね。

 

2019年6月2日日曜日

三冠への道 令和元年 その1


5月の月間MVP予想

 ア・リーグ打撃部門はボストンのラファエル・デバースが3割5分1厘、8本塁打、24打点で最有力。3割6分8厘、8本塁打、19打点のスプリンガーは試合数が18と少ないので厳しいか。

 ナ・リーグ打撃部門はピッツバーグのジョシュ・ベルが3割9分、12本塁打、31打点で有力。アレナドも4割2分5厘、9本塁打、29打点なので、守備も含めるとかなりの票が流れそう。

 ア・リーグ投手部門はホワイトソックスのルーカス・ジオリトが5勝0敗、防御率1.74で最有力。昨年は173回3分の1で90個とア・リーグ与四球王に輝いたが、5月は41回3分の1で10個と改善してWHIPも0.82。ミネソタのオドリッジも4勝0敗、防御率0.94で有力ではあるが投球回数が28回3分の2と少ないのがネックとなる。大穴はバーランダーで、4勝1敗、防御率2.29ではあるが、35回3分の1で被安打15本、与四球6個、WHIP0.59と、投球内容から票が流れる可能性がある。

 ナ・リーグ投手部門はロスの柳賢振が5勝0敗、防御率0.59で当選確実。45回3分の2で36奪三振と少ないのが嫌気されなければ満票まである。