2020年4月30日木曜日

21年 第11節 週間MVP


週間MVP

投手部門
 タイガース 野崎泰一 1

 今節は2勝以上の投手がおらず、完封勝利を飾った野崎泰一と藤本英雄の争いとなった。
 共に2安打ピッチングであったが、野崎は1四球無三振、藤本は6四球7三振。大荒れの藤本より安定した内容の野崎が評価されて受賞した。


打撃部門
 ゴールドスター 辻功 1

 今節11打数6安打1得点5打点、二塁打1本、V打1個。全く無名の辻功が名だたる強打者連中を抑えて受賞した。V打は延長11回裏のサヨナラ打。歴史に埋もれた辻功が爆発した瞬間であった。



殊勲賞
 タイガース 藤村冨美男 2
 11打数4安打3得点4打点、V打2個。

 阪急 野口二郎 1
 15打数6安打1得点4打点、V打1個。

 パシフィック 木暮力三 1
 15打数6安打3得点2打点、V打1個。


敢闘賞
 巨人 川上哲治 1
 17打数7安打5得点2打点、二塁打2本、三塁打2本。復帰後3試合は無安打であったが、実力を発揮してきた。

 グレートリング 堀井数男 2
 16打数6安打2得点3打点、V打1個。

 タイガース 長谷川善三 1
 9打数5安打2得点2打点。
 
 パシフィック 平野徳松 1
 14打数5安打2得点2打点、二塁打2本。

 ゴールドスター 末崎正隆 1
 13打数5安打3得点1打点。


技能賞
 パシフィック 白石敏男 1
 7月7日のグ軍戦で奇跡的な3塁ベースカバー。

 タイガース 呉昌征 2
 7月4日のゴ軍戦で牽制で1イニング2補殺。

 中部日本 加藤正二 1
 7月6日のゴ軍戦で単独ホームスチール。

2020年4月29日水曜日

画像消失のお知らせ


 過去記事を検索されている方であればお気付きかもしれませんが、2011年6月17日~同年7月17日の記事に掲載した画像が消失しているようです。

 原因は不明です。その他にも同様の事象が発生しているかもしれませんが、気がついた範囲でご報告いたします。


 記事は残っており、参考のために掲載した画像が消えているだけなので問題はないと思います。



21年 中部日本vsタイガース 5回戦


7月7日 (日) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 1 0 0 0 1 2 4 中部 12勝20敗2分 0.375 松尾幸造 西沢道夫 
0 0 4 1 1 0 0 0 X 6 タ軍 24勝16敗 0.600 藤村冨美男 

勝利投手 藤村冨美男 6勝0敗
敗戦投手 松尾幸造        0勝5敗 

二塁打 (中)小鶴 (タ)金田、本堂

本塁打 (タ)藤村冨美男 1号

勝利打点 (タ)藤村冨美男 3


藤村冨美男、戦後初ホームラン

 第11節の最終戦、後楽園の第2試合は松尾幸造と藤村冨美男監督の先発で午後3時25分、池田主審の右手が上がりプレイボール。藤村は三番ピッチャーに入った。

 藤村投手は快調な立ち上がりで3回までパーフェクトピッチング。


 タ軍は3回裏、一死後九番呉昌征が四球を選んで出塁、トップに返り金田の右前打で呉は三塁に進み、送球の間に打者走者の金田も二塁に進塁、土井垣が四球を選んで一死満塁、藤村が押出し四球を選んで1点を先制、中部ベンチはここで松尾から西沢道夫にスイッチするが、本堂も押出し四球で2-0、富樫の右犠飛で3-0、二走藤村がタッチアップから三塁に進んで二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて4-0とする。


 中部は4回表、一死後鈴木秀雄が右中間にヒット、加藤正二の右前打で一死一三塁、小鶴の三ゴロで三走鈴木がスタート、サード本堂からのバックホームはタイミングはアウトであったがキャッチャー土井垣が落球して鈴木が生還、1-4とする。一死二塁から大沢清のセカンドライナーに二走小鶴が飛び出してダブルプレー。


 タ軍は4回裏、一死後長谷川善三がショートに内野安打、呉昌征の投ゴロの間に長谷川は二進、トップに返り金田がレフト線にタイムリー二塁打を放ち5-1と突き放す。


 タ軍は5回裏、先頭の藤村がレフトスタンドに戦後初ホームランを叩き込んで6-1とする。


 中部は8回表、先頭の笠石徳五郎が四球を選んで出塁、三村は一塁に内野安打、西沢の中前打で無死満塁、藤原鉄之助は浅い中飛に倒れて一死満塁、トップに返り岩本章が押出しの四球をを選んで2-6、続く鈴木の3球目にキャッチャー土井垣が二塁牽制球を投げると三走三村がスタート、しかしショート長谷川から土井垣に折り返されてタッチアウト、鈴木はニゴロに倒れてこの回1点止まり。


 中部は9回表、先頭の加藤が四球を選んで出塁、小鶴のレフト戦二塁打で無死二三塁、大沢がライト線に2点タイムリーを放ち4-6と追い上げるが、笠石の代打服部受弘は三振、三村の代打木下政文は投ゴロ、最後は西沢がショートライナーに倒れて反撃もここまで。


 藤村冨美男は6安打3四球3三振の完投で無傷の6連勝。終盤は少しバテたが中部打線の拙攻に助けられた。


 いつもは荒っぽいタ軍打線がこの日は効率の良い攻めを見せて6安打で6得点であった。守りでも3回には藤原の三塁線強襲の当りをサード本堂がファインプレー、6回の岩本の三遊間深い当りもショート長谷川がファインプレーで藤村を助けた。



2020年4月28日火曜日

野球週報2020 その17


4月22日(水) 休養日

4月23日(木) 休養日


4月24日(金) 休養日


4月25日(土) お台場一周10キロランニング。晴海通りを渡って直進すると有明テニスの森の脇を通ってレインボーブリッジ入口を通過してお台場海浜公園の横を直進、大きく左に回って直進すると湾岸警察署を通過して突き当りが折り返し地点の大江戸温泉物語でここまでが5キロ。左に曲がって直進して青海食堂に突き当たって左折、直進するとシンボルプロムナード公園への階段を登って右折、ひたすら直進するとりんかい線の国際展示場駅に出ます。突き当りのがん研有明病院を左折して東雲までの道を右折して10キロ。このコースだとほとんど信号待ちがありません。


4月26日(日) 休養日


4月27日(月) 自宅マンションで1階から最上階の45階まで階段登り。途中で重そうなリュックを背負って登山トレーニングをやっている人と出会いました。最近は近所をランニングする人も急増しています。皆な考えることは一緒ですね(笑)。


4月28日(火) お台場一周10キロランニング。9キロ過ぎから雨が降ってきてくれて助かりました。



21年 阪急vs巨人 8回戦


7月7日 (日) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 24勝18敗 0.571 今西錬太郎 
0 0 0 0 0 1 1 0 X 2 巨人 26勝14敗1分 0.650 藤本英雄  

藤本英雄     6勝3敗
今西錬太郎 2勝2敗 

二塁打 (急)尾西 (巨)山川

勝利打点 なし

猛打賞 (巨)山川喜作 4


復帰の藤本英雄、大荒れの投球ながら2安打完封

 西宮の第2試合は今西錬太郎と藤本英雄の先発で午後2時45分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 藤本は6月6日の阪急戦で完封勝利をおさめて以来約1か月ぶりの登板。怪我ではなく、中島治康との監督交代に絡む確執が原因であった可能性が高い。


 阪急は初回、先頭の上田藤夫が6球ファウルで粘り10球目を選んで四球で出塁、山田伝は左飛に倒れ、青田昇はスリーボールツーストライクから三振、スタートを切っていた上田もキャッチャー多田文久三の強肩に刺されて三振ゲッツー。


 阪急は2回表、一死後荒木茂が四球で出塁するが、森田定雄の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー。


 巨人は2回裏、二死後多田が中前打で出塁、宮下のライト線ヒットで多田は三塁に向かうが、ライト野口二郎からの返球を中継したショート坂井豊司の送球にタッチアウト。


 阪急は4回表、先頭の上田が第1打席に続いてファウルで粘るが6球目を三振、山田は三塁内野安打から二盗に成功、青田も2球ファウルで粘るが7球目を三振、野口二郎はスリーボールツーストライクから四球を選び、荒木もスリーボールツーストライクから四球を選んで二死満塁、しかし森田は三球三振に倒れて無得点。


 藤本は4回だけで32球を要し、ここまで1安打4四球5三振。4回で73球と、戦前に後戻りしたかのような大荒れの投球が続く。


 巨人は6回裏、先頭の山川喜作が右前打で出塁、千葉が送って一死二塁、復帰後大当たりの四番川上哲治は敬遠、黒沢俊夫の右飛で二走山川はタッチアップから三塁に進み、中島治康の遊ゴロをショート尾西信一がエラーする間に山川が還って均衡を破り1点を先制する。


 阪急は7回表、一死後タイムリーエラーを犯した尾西が左越えに汚名返上の二塁打を放つが、日比野武は三邪飛、今西もニゴロに倒れて無得点。


 巨人は7回裏、一死後藤本が四球を選んで出塁、トップに返り呉新亨は中飛に倒れるが、山川の左中間二塁打で藤本が還り2-0と突き放す。


 藤本英雄は2安打6四球7三振で1か月ぶりの復帰登板を完投で飾った。139球を要したように大荒れの内容で、阪急打線は打てなかったというより的が絞れなかったようだ。


 巨人は3連敗後2連勝して首位の座をがっちりと守った。後楽園の第2試合はまだ終了していないがタ軍リードで終盤を迎えている。このまま行けば首位巨人から2ゲーム差でタ軍、更に1ゲーム差で阪急が追う展開となってきた。タ軍は今日勝てば7連勝と勢いに乗る。逆に勢いが落ちてきた阪急は苦しくなった。



2020年4月26日日曜日

21年 セネタースvsゴールドスター 6回戦


7月7日 (日) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計 
0 0 0 0 1 1 0 0 0  0   0  2 セ軍 15勝26敗 0.366 黒尾重明 
0 0 0 1 0 0 0 0 1  0  1X 3 ゴ軍 15勝20敗1分 0.429 石田光彦 

勝利投手 石田光彦 9勝9敗
敗戦投手 黒尾重明 5勝9敗 

二塁打 (セ)鈴木 (ゴ)大友

本塁打 (セ)飯島滋弥 1号

勝利打点 (ゴ)辻功 2

猛打賞 (セ)鈴木清一 2


延長11回、辻功がサヨナラ打

 後楽園の第1試合は黒尾重明と石田光彦の先発で午後1時4分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 西宮は2万人越えであるが後楽園の観客数は11,539人。このところの日曜の後楽園は6月30日が13,866人、6月23日が8,006人、16日は中止、6月9日は13,115人という推移であった。


 3回まで無安打のゴ軍は4回裏、先頭の酒沢が左前打で出塁、坪内のニゴロでランナーが入れ替わり、続く菊矢の打席で4球目に坪内が二盗、キャッチャー熊耳の二塁送球がセンターに抜ける悪送球、これをセンター大下が後逸するダブルエラーの間に坪内が還って1点を先制する。セ軍は5回裏の守備からレフトの宮下を下げて一言多十をセンターに入れ、大下をレフトに回すこととなる。


 セ軍は5回表、失点のきっかけを作った熊耳が汚名返上の左前打を放って出塁、大沢喜好が送って一死二塁、宮下義雄は三振に倒れて二死二塁、今季初めて一番に起用された鈴木清一が右中間に二塁打を放ち1-1の同点に追い付く。


 セ軍は6回表、先頭の飯島がレフトスタンドに勝ち越しホームランを叩き込んで2-1とリードする。


 セ軍は9回表、一死後一言が中前打で出塁、トップに返り鈴木も右前打、酒沢が送りバントを決めて二死二三塁で打席はホームランを放っている飯島、次が当たってきた大下ということで石田は飯島と勝負、くさい所をつきながらカウントスリーボールツーストライクから四球となって二死満塁、しかし大下は左飛に倒れて追加点はならず。


 ゴ軍は9回裏、一死後菊矢が中前打を放つと代走に早川平一を起用、石田の打席で4球目に早川が勝負の二盗を決めて一死二塁、しかし石田の三ゴロに早川が飛び出してしまい二三塁間で挟殺プレー、「5-4-1-6」と転送されてタッチアウト、早川が時間を稼いで打者走者の石田は二塁に進み、末崎正隆がレフト線にライナーのヒット、これを大下が又もエラーする間に二走石田が還って土壇場で2-2と追い付く。


 セ軍は10回表、先頭の北川圭太郎に代わる代打長持栄吉が四球を選んで出塁するがキャッチャー辻功からの牽制にタッチアウト、黒尾は四球で出塁、熊耳は捕邪飛に倒れ、大沢の一ゴロをファースト末崎がエラーして二死一二塁、しかし一言は三振に倒れて無得点。


 ゴ軍は10回裏、先頭の辻が死球を受けて出塁、坂本勲の三ゴロをサード鈴木が二塁に送球するが、併殺を焦ったセカンド酒沢が落球して無死一二塁、トップに返り大崎欣一に代わる代打内藤幸三の送りバントをピッチャー黒尾が三塁に送球して二走辻は三封、酒沢のニゴロの間に二者進塁して二死二三塁として打席には三番坪内、ゴ軍は9回の攻撃で菊矢に代走早川を起用して早川がそのまま四番に入っているので黒尾は坪内を歩かせて早川と勝負、この満塁策が成功して早川は三振に倒れ無得点。


 ゴ軍は11回表の守備でサード大崎の代打に出た内藤をファーストに入れ、ファースト末崎をライトに回し、ライト早川をレフトに回し、レフト坂本をサードに入れる総力戦となった。


 ゴ軍は11回裏、一死後末崎が四球を選んで出塁、大友一明が左中間に二塁打を放って一死二三塁、打順は八番辻功、九番坂本勲と続く場面でセ軍は辻功と勝負、ここで辻が中前にサヨナラ打を放ち激戦を制す。


 石田光彦は11回を7安打7四球5三振で完投して9勝目をマークする。


 サヨナラ打を放った辻功は6月30日まで101打数16安打、打率は1割5分8厘で長打はゼロと打撃が弱く、セ軍が勝負するのも無理はない。ところが、7月に入ってからの直近3試合では12打数7安打4打点、二塁打1本と当たっていたのである。セ軍が先乗りスコアラーを雇うか、当ブログを閲覧していれば、辻を敬遠して坂本勲と勝負していたでしょう。データ分析の重要性を再認識させる試合であった。


 辻の殊勲打を引き出したのは4回と9回に大下が犯した2個のタイムリーエラーであった。飛球に対しては先日好プレーがあったが、この日は2個ともゴロに対するエラー。外野ゴロのエラーは失点に直結する。



2020年4月24日金曜日

補殺22個


 パ軍は7月7日のグ軍戦で先攻で敗れたので、8回で守備を終え、この8イニングで22個の補殺を記録した。1試合最多補殺記録は調べてみないと分からないが、「雑記」欄にわざわざ「パシフィックは24刺殺をなすに22補殺を要した。」と書かれているので珍しい記録であることは間違いない。

 特筆すべきは、グ軍の24個の刺殺の内、フライアウトが8個(ライナー1個を含む)もあるにもかかわらず達成された記録である点であろう。完投した井筒研一の奪三振数が「ゼロ」であることからキャッチャー伊勢川真澄の刺殺が「ゼロ」であったことも影響している。補殺無しの刺殺(フライアウトや三振)が少ない方が補殺数が増える可能性が高いためである。


 実況のとおり、パ軍は2つの「挟殺プレー」を完成させた。初回の1つ目は「5-2-6-1」の三本間の挟殺プレーで補殺は3個。3回の2つ目は一三塁から一走田川のディレードスチールに端を発した複雑な挟殺プレーで「2-6-3-5-4-6」で5個の補殺が記録された。この他に12個のゴロアウトと、伊勢川が1個盗塁を刺して、センター森下が中飛で飛び出した二走田川を刺して記録した補殺が1個で「3+5+12+1+1」=「22個」の補殺が記録された。


 「挟殺プレー」に一人の選手が複数回絡んでも記録される補殺は「1個」だけとなる。3回のプレーでは複数回絡んだ選手はおらず、5人が1回ずつ絡んで5個の補殺を記録した。ショート白石は二塁ベースからの送球で補殺1個と、三塁ベースに走ってセカンド高須からの送球を捕球し三走堀井をタッチアウトにして刺殺も「1個」記録した。


 この白石の機敏な動きこそ、高く評価できるプレーであった。白石は自伝のタイトルが「背番号8は逆シングル」であるように、バックハンドでの守備を得意としている。走者二塁で三遊間深くのゴロを逆シングルで捕球した際、二塁走者が三塁に走っていて一塁が間に合わないと判断した場合は、一塁に偽投して三塁でのオーバーランを誘い、三塁ベースに走ってタッチアウトにするプレーを得意としており、常に三塁走者を警戒しながらの守備が白石の特徴である。この日の三塁ベースカバーは、日ごろから三塁走者を観察する観察眼が優れていたことを証明している。


 実例を一つご紹介しよう。「V1記念 広島東洋カープ球団史」によると、昭和27年8月12日、北海道夕張で行われた対巨人戦で、1点リードの9回裏二死一二塁でバッター川上という場面、川上の三遊間を抜けるかという当りを逆シングルで捕球した白石は一塁に偽投、これに引っ掛かった内藤博文が三塁ベースをオーバーランしたところに白石が走り込んでタッチアウトにして広島が激戦を制した。この時内藤を追う白石の形相は「鬼神もこれを避けるほどすごいもの」であったという。


 昭和11年夏、茂林寺の特訓で打撃練習の際、白石は前川八郎の投球を頭に受けて昏倒するも練習を続けた。この気迫に押されて練習をさぼり気味だった沢村がトレーニングに励むようになり、秋の洲崎決戦で快投を見せることになる。沢村を蘇らせた白石の気迫は、16年後もいささかの衰えは無かったのである。


 なお、上記の北海道の試合で白石の偽投に引っ掛かった内藤は国体にも出場した陸上選手で昭和23年に巨人の入団テストに合格して入団、25年に白石が巨人に移籍してショートのレギュラーを掴むが26年には西日本パイレーツから名手平井三郎が巨人に移籍してきたことからこの年は得意の足を生かして代走要員であった。この時もヒットで出塁した千葉茂の代走に起用されたものである。内藤はこの後精進して名内野手、名指導者としての道を歩むことになる。白石の偽投に引っ掛かったことがきっかけとなったのでしょうか。


*「鬼神も避ける白石の形相」。「V1記念 広島東洋カープ球団史」(中国新聞社編集、昭和51年6月発行)より。


2020年4月23日木曜日

21年 パシフィックvsグレートリング 9回戦


7月7日 (日) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 パ軍 18勝21敗2分 0.462 井筒研一 
2 0 0 0 0 0 0 0 X 2 グ軍 19勝18敗 0.514 丸山二三雄 

勝利投手 丸山二三雄 7勝7敗
敗戦投手 井筒研一     5勝9敗 

二塁打 (パ)伊勢川 (グ)安井、堀井、宮崎

勝利打点 (グ)堀井数男 4


パ軍、22補殺

 第11節の最終日は東西で4試合。西宮の第1試合は井筒研一と丸山二三雄の先発で午後1時丁度、杉村主審の右手が上がりプレイボール。

 この日の西宮球場は戦後初の2万人越えとなる21,567人の観衆を集めた。野球熱の高まりを象徴する出来事であるが、関西の試合は来週は北陸遠征を控えているので、京阪神間の試合がしばらく見られなくなることも要因であろう。


 パ軍は初回、先頭の木暮が四球を選んで出塁、白石は三塁強襲ヒット、木暮が二塁をオーバーランしてサード山本一人からセカンド安井に送球、木暮は二三塁間に挟まれ、安井からショート宮崎に送球されてタッチアウト。


 グ軍は1回裏、先頭の河西が四球を選んで出塁、安井の右中間二塁打で無死二三塁、別所の三ゴロに三走河西が飛び出して三本間に挟まれ、サード平野徳松からキャッチャー伊勢川に送球されると河西は三塁方向に戻り、伊勢川から三塁ベースカバーのショート白石に送球、河西は反転してホームに向かいが本塁ベースカバーに入ったピッチャー井筒に送球されてタッチアウト、河西が時間を稼いだので一死二三塁、山本は歩かされて一死満塁、堀井が中前に先制の2点タイムリーを放ち2-0とする。


 グ軍は3回裏、一死後堀井が左中間に二塁打、田川の遊ゴロをショート白石が一塁に悪送球して一死一三塁、木村勉は三飛に倒れて二死一三塁、ここで一走田川がディレードスチール、キャッチャー伊勢川が二塁ベースカバーに入ったショート白石に送球、田川が一塁に戻ると白石は三走堀井をマークしながらファースト辻井弘に送球、三走堀井がホームに向かいかけると辻井はサード平野に送球、この時二塁ベース近くにいた白石は三本間の挟殺プレーに備えて三塁ベースに走る。堀井は三塁ベースに戻り、サード平野は再び二塁ベースに向かった一走田川を刺すためセカンド高須に送球、三走堀井が再びホームに向かいかけると高須は三塁ベースカバーに入ったショート白石に送球してタッチアウト。


 両軍選手は満員の観衆を沸かせる挟殺プレーを連発した。


 パ軍は5回表、先頭の伊勢川が中越えに二塁打、当たっている平野はピッチャーを強襲するがショート白石が巧みにバックアップして一塁アウト、一死三塁から井筒が右前にタイムリーを放ち1-2と1点差に追い上げるが反撃もここまで。


 丸山二三雄は7回以降パ軍打線を無安打に抑え、5安打6四球4三振の完投で7勝目をマークする。


 井筒研一は8回を完投して7安打5四球無三振であった。


 グ軍は8回で攻撃を終えたので、当然パ軍の刺殺は24個、そして補殺は22個を数えた。この件については別途「特集」します。



2020年4月22日水曜日

追記


 4月11日付け「コンセプト」において、重要なことを書き忘れていましたので追記させていただきます。

 当ブログでは、「野球人」と認定した場合は、プロ、アマの区別なく「呼び捨て」とさせていだいております。「野球人」には、「呼び捨て」が似合うという考えに基づいておりますのでご了承ください。


 参考文献として、伊達正男著「私の昭和野球史」の一文を紹介させていただきます。

「早大野球部では、一年どころか、一カ月先に入部した人でも、先輩・後輩の序列が厳格についていまして、だれだれさんと呼んでいました。しかし、同僚・後輩に対しては呼び捨てにするというのが慣例になっていますので、それにしたがいました。ご諒承をお願いいたします。伊達」

 当ブログでは一歩進んで、先輩であろうがガキんちょであろうが、「野球人」と認定した場合は例外なく「呼び捨て」とさせていただいております。したがって、イチローは「イチロー氏」ではなく「イチロー」表記、斎藤佑樹は「斎藤」ではなく「佑ちゃん」の表記となります。初期のブログではこの規程が曖昧でしたので、田中将大について「マー君」の表記もありましたが、近年は「田中」表記とさせていただいております。



2020年4月21日火曜日

21年 パシフィックvs巨人 6回戦


7月6日 (土) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
1 0 0 0 0 1 0 1 0 3 パ軍 18勝20敗2分 0.474 真田重蔵 
0 0 0 0 1 1 2 0 X 4 巨人 25勝14敗1分 0.641 中尾輝三 近藤貞雄 

勝利投手 中尾輝三   4勝4敗
敗戦投手 真田重蔵 11勝7敗
セーブ     近藤貞雄  1 

二塁打 (パ)森下 (巨)川上

勝利打点 (巨)多田文久三 9


巨人、適時打ゼロで辛勝

 西宮の第2試合は真田重蔵と中尾輝三の先発で午後3時丁度、杉村主審の右手が上がりプレイボール。

 パ軍は初回、第7節以降の17試合で68打数20安打と打撃好調の木暮力三が右前打で出塁、白石が四球を選んで無死一二塁、5月23日の無届け出場以降14試合で53打数15安打と沢村キラーと呼ばれた強打の片鱗を見せている藤井勇が中前にタイムリーを放ち1点を先制、森下重好は遊ゴロ併殺、小島利男は右飛に倒れてこの回1点止まり。


 巨人は5回裏、先頭の呉新亨が左前打で出塁すると二盗に成功、山川喜作のニゴロが進塁打となって一死三塁、千葉茂のニゴロの間に三走呉が還って1-1の同点に追い付く。続く川上哲治が中越えに二塁打を放つが、黒沢俊夫は三振に倒れてこの回同点止まり。


 パ軍は6回表、一死後藤井が四球を選んで出塁、初回のチャンスを併殺打で潰した主砲森下が中越えにタイムリー二塁打を放ち2-1と勝ち越す。


 巨人は6回裏、一死後多田文久三の当りは三ゴロ、これをサード平野徳松が一塁に悪送球、宮下信明が四球を選んで一死一二塁、中尾の投ゴロで二走多田が三封されて二死一二塁、トップに返り呉新亨が四球を選んで二死満塁、ここで真田が山川に対して痛恨の押出し四球、2-2の同点とする。


 巨人は7回裏、先頭の川上が左前に流し打って出塁、黒沢は四球、中島は二遊間内野安打で無死満塁、多田の中犠飛で3-2と勝ち越し、宮下の遊ゴロ併殺崩れの間に三走黒沢が還って4-2とリードする。パ軍はここでセカンドを小島から高須清に代えて一息入れ、中尾はニゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。


 パ軍は8回表、先頭の藤井が四球で出塁、続く森下もストレートの四球で無死一二塁、巨人ベンチはここで中尾は限界と見て近藤貞雄をリリーフのマウンドに送り込む。高須がセオリーどおり三前に送りバント、これをサード山川がファンブル、犠打とエラーが記録されて無死満塁、辻井弘のゴロはバックホーム体勢のショート宮下の守備範囲に飛んで三走藤井は本封、一死満塁から近藤のワイルドピッチで三走森下が還って3-4と1点差、伊勢川真澄は三振に倒れて二死二三塁、平野に代わる代打佐竹一雄のカウントツーボールワンストライクからの4球目、三走高須がホームスチールを試みるがタッチアウト。


 パ軍は最終回、二死後木暮が二遊間にヒット、白石が四球を選んで二死一二塁と最後の粘りを見せるが、藤井は捕邪飛に倒れてゲームセット。


 巨人はタイムリーヒット0本で辛うじて逃げ切った。近藤が2試合連続先発で失敗してこの日のリリーフは予定の行動か。4連敗を免れた巨人は、1.5ゲーム差に迫ってきた二位タ軍と、ゲーム差無しで三位の阪急に2ゲーム差を付けて首位の座をキープしている。


 高須清の本盗狙いは代打佐竹一雄の打席だっただけに議論を呼ぶところ、狙うのであったら成功させなければならない。東京六大学野球のスター選手であった高須清はプロの水には合わなかった。というより、早稲田大学野球部の正統派としての伝統を引き継ぐ高須は、プロ野球に迎合することはなかったのである。今では大学で活躍すると猫も杓子もプロに行きます。ちゃんと活躍すればそれも構わないのですが、コロナに感染したくいらいしか話題にならない伊藤隼太のような例ばかりが目立ちます。1970年代頃までは、東京六大学のスター選手の多くはプロには行きませんでした。当時の左打者ベストスリーと言えば早大の谷沢、鍛治舎、慶大の松下勝美ですが、プロに行ったのは谷沢だけ。鍛治舎が松下電器(現・パナソニック)でサラリーマンになるという話を聞いたときは愕然としたものです。当時の「週刊ベースボール」には、松下勝美の「プロには全く興味がない」というインタビュー記事が掲載されていました。誇り高き六大学のスター選手は、プロには行かないというのはむしろ自然だったのです。谷沢の入団1年目に黒い霧事件が世間を揺るがしました。谷沢が1年遅れて生まれていれば、プロには行かなかったかもしれません。高須清も、小島利男も、本来であれば伊達正男先輩のようにプロには行くべきではなかったのでしょうね。



野球週報2020 その16


4月15日(水) 昼は目黒で品川エンジェルスの運営方針についてミーティング。2㎏×2のアンクルウェイトを装着して行きました。午後は自宅で素振り50本。

4月16日(木) お台場一周10キロランニング。


4月17日(金) 休養日


4月18日(土) 自宅で素振り100本と肩トレ。


4月19日(日) 休養日


4月20日(月) 自宅マンションで1階から27階まで階段登りと肩トレ。1㎏のダンベルとスナップボールでシャドウピッチングをやります。ジムに行っていたときは3㎏、2㎏、1㎏のダンベルでやっていましたが、家ではそんなに揃えません。高校時代から使っている5㎏の鉄アレイならありますが(笑)。

4月21日(火) お台場一周10キロランニング。下半身鍛え直しです。




2020年4月20日月曜日

21年 ゴールドスターvs中部日本 7回戦


7月6日 (土) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 0 5 1 0 0 6 ゴ軍 14勝20敗1分 0.412 内藤幸三 石田光彦 
0 5 0 0 0 1 2 1 X 9 中部 12勝19敗2分 0.387 森井茂 

勝利投手 森井茂     7勝5敗
敗戦投手 内藤幸三 5勝10敗 

二塁打 (中)加藤2、笠石、森井
本塁打 (中)藤原鉄之助 1号、岩本章 2号

勝利打点 なし


中部日本、長打攻勢

 後楽園の第2試合は内藤幸三、森井茂の昭和11年プロ野球初年度から投げ続けるベテラン同士の先発で午後2時38分、池田主審の右手が上がりプレイボール。

 中部は2回裏、先頭の木下政文の当りはニゴロ、これをセカンド大友一明がエラー、笠石徳五郎のセンターへゴロで抜ける当りが二塁打となって一死二三塁、三村勲は投ゴロに倒れるが、森井が左中間に二塁打を放ち2点を先制、藤原鉄之助は四球、トップに返り岩本章は二飛に倒れて二死一二塁、鈴木秀雄の右前タイムリーで3-0、中継プレーでピッチャー内藤のエラーがあり一走藤原も生還して4-0、打者走者の鈴木は三塁に進み、加藤正二の右中間二塁打で5-0と大きくリードする。


 ゴ軍打線は森井茂のスローボールにタイミングが合わず5回まで2安打無得点。


 ゴ軍は6回表、一死後酒沢政夫がストレートの四球で出塁、坪内道則のニゴロをセカンド鈴木がエラー、一走酒沢は三塁に進み、鈴木から三塁に送球される間に打者走者の坪内も二塁に進んで一死二三塁、菊矢吉男の遊ゴロをショート三村もエラーして1-5、一死一三塁から末崎正隆の捕前ゴロをキャッチャー藤原が一塁に悪送球、中部の3連続エラーで2-5、大友はストレートの四球で一死満塁、内藤に代わる代打石田光彦が中前にタイムリーを放ち3-5、辻功も中前に同点の2点タイムリーを放ち5-5と追い付く。


 ゴ軍は内藤の代打に出た石田がそのままマウンドに向かう。


 中部は6回裏、二死後藤原が右中間にホームランを叩き込み6-5と勝ち越す。


 ゴ軍は7回表、一死後坪内が中前打で出塁、菊矢のニゴロが進塁打となって一死二塁、末崎の二遊間タイムリーで6-6の同点に追い付く。


 中部は7回裏、先頭の鈴木が四球を選んで出塁、加藤の右中間二塁打で無死二三塁、小鶴誠は四球を選んで無死満塁、木下の三ゴロをサード中村信一がホームに悪送球する間に三走鈴木が還って7-6と勝ち越し、笠石は二飛に倒れ一死満塁、三村は三振に倒れて二死満塁、続く森井のカウントワンボールからの2球目に三走加藤がホームスチールを決めて8-6と突き放す。二走小鶴は三塁に、一走木下も二塁に進んだが、これは送球の間の進塁と判定されて「トリプルスチール」ではなかった。加藤が虚をついて単独ホームスチールを決めたものである。ノーサインだったかもしれない。満塁の場面なのでピッチャー石田が振りかぶってトルネードを見せた隙をついたとも考えられる。


 中部は8回裏、一死後岩本がレフトスタンドに第2号ホームランを叩き込んで9-6とダメ押す。


 森井茂は7安打3四球無三振の完投で7勝目をあげる。6回の5失点は味方守備陣の3連続エラーによるもので、自責点は2点であった。


 ホームラン打者をずらりと並べる中部の強力打線が二塁打4本、本塁打2本と火を噴いた。下位に低迷するような打線ではないのだが・・・。



2020年4月19日日曜日

21年 グレートリングvs阪急 5回戦


7月6日 (土) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 3 0 0 0 0 3 グ軍 18勝18敗 0.500 野口渉 別所昭 松川博爾 
3 0 0 4 0 0 0 0 X 7 阪急 24勝17敗 0.585 天保義夫
勝利投手 天保義夫 7勝3敗
敗戦投手 野口渉     0勝2敗 

二塁打 (グ)山本 (急)山田、日比野
三塁打 (急)野口二郎

勝利打点 (急)野口二郎 1

猛打賞 (急)山田伝 1


野口渉、最後の登板

 西宮の第2試合は野口渉と天保義夫の先発で午後1時5分、金政主審の右手が上がりプレイボール。片岡勝は第2試合で塁審を務めるが、この試合は金政、杉村の二氏審判で、阪急球団職員の片岡は阪急戦での審判から外されている。阪急はここまで関西圏で20試合を行っているが、その内10試合で片岡が塁審を務めてきた。人員不足に悩まされてきた審判員も、ようやく整備されてきたことから、片岡が阪急戦で塁審を務めるのは7月1日が最後になる。

 阪急は初回、先頭の上田藤夫が四球を選んで出塁、山田伝は右前打、青田も中前打を放って無死満塁、野口二郎が右前に2点タイムリーを放ち2-0、荒木茂が中前にタイムリーを放ち3-0、野口渉は一死も取れずに降板して二番手の別所がマウンドに上がり、森田定雄は二飛、坂井豊司は三ゴロ併殺に倒れてスリーアウトチェンジ。


 阪急は4回裏、二死後日比野が右中間に二塁打、天保がレフト線にタイムリーを放ち4-0、レフト堀井からの返球が悪送球となる間に天保は二塁に進み、トップに返り上田の左前打で二死一三塁、山田が左中間に2点タイムリー二塁打を放ち6-0、返球の間に山田は三塁に進み、青田のピッチャー強襲タイムリーで7-0と大きくリードする。


 グ軍は5回表、先頭の堀井が中前打、一死後筒井も中前打、桶川隆も二遊間を破り一死満塁、別所の遊ゴロをショート坂井がエラー、三走堀井に続いて二走筒井もホームに還って2-7、一死一三塁からトップに返り河西の三塁強襲ヒットで3-7とする。一走別所はサード荒木が弾いたのを見て三塁に向かうがピッチャー天保が三塁ベースカバーに入り荒木からの送球に別所はタッチアウト、安井も遊ゴロに倒れて反撃は3点止まり。


 グ軍は6回表、先頭の清水秀雄が右前打で出塁、山本一人監督が左中間に二塁打を放って無死二三塁と反撃ムード、しかし堀井の遊ゴロで三走清水が三本間に挟まれてタッチアウト、二塁に戻りかけた山本もタッチアウトでダブルプレー。


 グ軍は9回表、先頭の山本が左前打で出塁、堀井は右飛に倒れて一死一塁、ここで阪急西村正夫監督はライトを野口二郎から下社邦男に交代、代わった所に打球が飛んで田川豊に代わる代打岡村俊昭の右飛を下社ががっちりとキャッチ、最後は筒井に代わる代打木村勉が捕邪飛に倒れてゲームセット。


 野口二郎の捕球を見て西村監督は何を思ったのか、ちょっと目測を誤ったと判断したのか、守備の名手として鳴らした外野手出身の西村監督独特の嗅覚だったかもしれない。守備を代えて一息入れるという場面ではなかった。


 天保義夫は8安打無四球1三振の完投で7勝目をマークする。


 一死も取れずに降板した野口渉はこれがプロでの最後の登板となった。翌年、国民リーグの宇高レッドソックスに移ることとなる。最後は兄・二郎に打たれて引導を渡された。意外とすっきりとした気持だったのではないか。


 2017年7月に放映された「1942年のプレイボール」では、昭和21年4月30日の「グレートリングvs阪急 2回戦」で阪急の投手が野口二郎、ファーストを野口明が守っている時にグ軍の野口渉が打席に立つという場面がラストシーンに使われた。これは、NHKからの依頼で当ブログがこの試合の実況記事を提供し、それに基づいて制作されたものであった。このドラマでは、兄の明や二郎のような素質を持たない渉が、その事実に思い悩むシーンが描かれている。当然にして当ブログは、制作サイドからの依頼に基づいて資料を提供するという立場であり、ドラマの筋書きに口出しする資格はない。もし当ブログが制作にも携わる立場であったなら、それでもプロに進んだ渉が、二郎にコテンパンに叩かれて清々しい笑顔で球場を後にするシーンをラストに持ってきたかもしれない。



「好守」等について


 昨日の実況において、藤村冨美男、鈴木清一、本堂保次のファインプレーをお伝えしました。

 これは適当に書いているのではなく、「雑記」欄に「好守」や「好捕」などと記載されている場合にお伝えすることとしています。但し、これらの記載が見られるのは後楽園の試合だけのようです。戦前の一時期にも「好守」等の記載が見られた時期がありましたが、その時は関西の試合のみでした。


 山内以九士氏が記録員を担当した試合で「好守」等の記載が見られるようなので、山内記録員は戦後になって関西から関東に異動になったのではないでしょうか。


*後楽園の「セネタースvsタイガース 6回戦」では、「雑記」欄に①三遊間好守、②ベース寄好守、③好捕の記載が見られる。①は飯島滋弥の三ゴロに対する藤村冨美男の、②は本堂保次の三邪飛に対する鈴木清一の、③は鈴木清一のニゴロに対する本堂保次の「ファインプレー」であった。


2020年4月18日土曜日

21年 セネタースvsタイガース 6回戦


7月6日 (土) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 セ軍 15勝25敗 0.375 一言多十 
0 0 0 0 0 1 0 0 X 1 タ軍 23勝16敗 0.590 野崎泰一 

勝利投手 野崎泰一 3勝5敗
敗戦投手 一言多十 3勝6敗 

三塁打 (タ)藤村

勝利打点 (タ)藤村冨美男 2


野崎泰一、2安打完封

 第11節3日目は後楽園と西宮で2試合ずつ。後楽園の第1試合は一言多十と野崎泰一の先発で午後1時丁度、島球審の右手が上がりプレイボール。

 セ軍は初回、二死後飯島の当りは三遊間を抜くかという打球であったがサード藤村冨美男監督が好捕、一塁アウトでスリーアウトチェンジ。藤村のパフォーマンスが見られた。


 タ軍は2回裏、先頭の富樫が左前打、この打球をレフト白木がファンブルして富樫は二塁に進むが、渡辺誠太郎のショートライナーに二走富樫が飛び出しダブルプレー。


 セ軍は4回表、先頭の白木の当りは遊ゴロ、これをショート長谷川善三がエラー、飯島は三ゴロに倒れて一塁アウト、送球の隙をついて二塁に達していた白木が三塁に向かうがファースト渡辺からサード藤村に送球されてタッチアウト。


 タ軍は4回裏、先頭の藤村は捕邪飛、続く本堂の当りは三塁線ファウルグラウンドへのハーフライナー、これをサード鈴木清一がファインプレー、富樫は投飛に倒れてスリーアウトチェンジ。


 タ軍は6回裏、一死後土井垣が左前打で出塁、藤村が左中間に三塁打を放ち1点を先制する。


 セ軍は8回表、一死後鈴木の当りは二塁にヒット性の当り、しかしこれをセカンド本堂が好捕して一塁アウト。


 野崎泰一はセ軍打線を2安打1四球に抑えて無三振で完封、3勝目をマークする。


 一言多十も6安打2四球3三振1失点とよく投げたが、藤村の一打に涙を飲んだ。


 タ軍はここまで23勝であるが、呉昌征が8勝、藤村冨美男監督が5勝、御園生崇男が3勝と打者兼任投手が16勝、4勝をマークしている渡辺誠太郎も最近は打撃に重点を置いて首位打者となっている。唯一の投手専任となった野崎泰一がここまで最も勝ち星が少なかったが、この日は会心のピッチングを見せた。


 呉港中学出身の野崎は1952年に地元の広島カープに移籍、翌年引退後は終生広島球団の発展に寄与して現在セ・リーグNo1の人気球団となった広島東洋カープの礎を築く。1975年には開幕から15試合で指揮権を放棄したジョー・ルーツ監督を古葉竹識監督が引き継いで球団初優勝につなげるが、ルーツ監督から古葉監督に引き継がれるまでの「空白の4試合」は、当時ヘッドコーチ格であった野崎泰一が「監督代行」を務め、3勝1敗の成績で古葉監督に引き継ぎ大役を果たすことになる。


 野崎泰一氏は2009年7月に86歳で亡くなる。この日投げ合った一言多十氏は2010年4月に88歳で亡くなった。



*野崎監督代行時代の貴重な写真。「V1記念 広島東洋カープ球団史」(中国新聞社編集、昭和51年6月発行)より。

2020年4月17日金曜日

21年 グレートリングvs巨人 7回戦


7月5日 (金) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
1 0 0 0 0 4 0 1 0 6 グ軍 18勝17敗 0.514 長沼要男 清水秀雄 
1 0 0 2 2 0 0 0 0 5 巨人 24勝14敗1分 0.632 宮下信明 中尾輝三 

勝利投手 清水秀雄 7勝3敗
敗戦投手 中尾輝三 3勝4敗 

二塁打 (グ)清水
三塁打 (巨)川上

勝利打点 (グ)安井亀和 1

猛打賞 (グ)安井亀和 5 (巨)千葉茂 3


鶴岡野球、がめつい采配

 西宮の第2試合は午後2時56分、杉村主審の右手が上がりプレイボール。

 グ軍の先発は戦後初登板となる長沼要男。巨人の先発は6月29日の対グ軍6回戦で完封勝利を飾った宮下信明。


 グ軍は初回、先頭の河西がストレートの四球で出塁するとすかさず二盗に成功、安井の左飛で河西はタッチアップから三塁に進み、別所の中前タイムリーで1点を先制する。河西の足でもぎ取った得点であった。


 巨人はその裏、先頭の呉新亨の当りは三ゴロ、これをサード山本一人監督がエラー、山川の遊ゴロは「6-4-3」と渡るが二塁はセーフで一塁はアウト、ここはエンドランが掛かっていたか、千葉の右前打で一死一三塁、川上の一ゴロで一走山川が二封される間に三走呉新亨が還って1-1の同点とする。ここはファースト別所の判断がどうだったのか興味深いところ。一三塁なのでベースに付いており、「3-6-3」のゲッツーを狙っての併殺崩れであったのか、一二塁間の当りでホームは間に合わずという判断から二封を狙ったのか。三走呉が「ゴロゴー」でスタートを切っていればバックホームだったかもしれない。呉が巧くスタートを遅らせて別所が二塁に送球するのを見てからホームに向かったか。このケースは三走呉の判断にも興味深いものがある。


 巨人は4回裏、先頭の黒沢が四球を選んで出塁、中島の右前打で無死一二塁、多田の一ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、宮下の右前タイムリーで2-1と勝ち越し、坂本茂もライト線にタイムリーを放ち3-1とする。


 巨人は5回裏、先頭の千葉が中前打で出塁、川上が中越えに三塁打を放ち4-1、黒沢は三振、中島は遊ゴロに倒れて二死三塁、多田の遊ゴロをショート宮崎がエラーして三走川上が還り5-1と突き放す。


 グ軍は6回表、先頭の山本が中前打で出塁、堀井の遊ゴロをショート山川がエラー、田川の中飛で二走山本がタッチアップから三塁に進み、筒井の遊ゴロの間に三走山本が還って2-5、長沼の代打に起用された岡村が四球を選んで二死一二塁、更に宮崎に代わる代打清水秀雄が左中間に二塁打を放ち3-5としてなお二死二三塁、トップに返り河西の三ゴロをファースト川上が捕球できずエラー、この間に三走岡村が還って4-5、安井が左前に同点タイムリーを放ち5-5と追い付く。巨人ベンチはここで宮下に代えて中尾輝三をマウンドに送り、別所が左飛に倒れて打者一巡の長い攻撃が終了する。


 グ軍はショート宮崎の代打に出た清水がマウンドに上がり、ショートには長沼の代打岡村に代わって桶川隆が入る。


 グ軍は8回表、一死後桶川が四球を選んで出塁、清水は捕邪飛に倒れるが、トップに返り河西が左前打を放って二死一二塁、安井が中前にタイムリーを放ち6-5と大逆転。


 清水秀雄は4イニングを3安打2四球3三振無失点に抑えて7勝目をマークする。


 山本一人監督としては会心の采配だったのではないか。選手交代が悉く成功、期間限定の一二番コンビ「河西-安井」で勝利をもぎ取った。「鶴岡野球」の原点とも言える「がめつい采配」であった。


 *「山本姓」時代にあっても、采配に関しては「鶴岡野球」の表記とさせていただきますのでご了承ください。「山本野球」ではしっくりこないでしょう。



訂正のお知らせ


 2019年11月6日付け「21年 グレートリングvsパシフィック 2回戦 」において、グ軍の先発投手「野口渉」を、誤って「野口務」と記載してお伝えしていましたので訂正させていただきます。

 昔のことなので原因は不明ですが、単純な間違いであったと思います。野口務の著書を調べていて混同したのかもしれません。



2020年4月15日水曜日

野球週報2020 その15


4月8日(水) 品川区のグラウンドは5月まで使用禁止となりましたので品川ベースボールクラブの練習は当面中止。癌研有明病院のグラウンドでチームのピッチャーYさんとピッチング練習でキャッチャー。スクワットトレーニングにはこれが一番です。後方にフライを投げてもらって目線を切ってキャッチする練習。

4月9日(木) スクワットトレーニングを続けて結構脚にきてますので休養日。疲労を溜めないことがウイルス対策には重要です。但し、ウイルスに勝つには心肺機能を高めることが最善の策でもあります。トレーニングと休養のバランスが肝要ですね。


4月10日(金) 自宅で体幹トレーニングと素振り100本。素振りは嫌いです。学生時代に振り過ぎて手首を痛めた経験がありますので。今でも素振りをやると左手首に痛みが走ります。不思議とロングティーやバッティングセンターでの打ち込みでは痛みは感じません。なので、素振りをやるヒマがあるのならボールを打つことだと考えていますが、現在はボールを打つツールが奪われていますので、仕方なく素振りをやっています。多分、身に入らないでしょうね。


4月11日(土) 休養日。


4月12日(日) 豊洲市場から有明テニスの森経由で5キロのランニング。


4月13日(月) 休養日。


4月14日(火) 豊洲のスーパーまで2キロ×2のアンクルウェイトを装着してお買い物。3㎞くらい歩きましたかね。必殺・鉄下駄トレーニングです。


「野球週報」と言うより、「トレーニング週報」になっちゃいましたね(笑)。


21年 阪急vsパシフィック 7回戦


7月5日 (金) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計 
0 0 0 2 0 0 0 0 1   3  阪急 23勝17敗 0.575 前川八郎 大平茂 森弘太郎 
0 0 3 0 6 0 1 0 X 10 パ軍 18勝19敗2分 0.486 井筒研一 

勝利投手 井筒研一 5勝8敗
敗戦投手 前川八郎 3勝3敗 

二塁打 (急)下社 (パ)平野2、木暮2、白石、藤井

勝利打点 (パ)木暮力三 2

猛打賞 (パ)木暮力三 3、白石敏男(4安打)1


パ軍、二塁打6本

 第11節2日目は西宮の2試合のみ。気象庁ホームページのデータによるとこの日の東京は36.8㎜の降水量が観測されており、後楽園で予定されていた2試合は雨のため中止になったと考えられる。

 第1試合は前川八郎と井筒研一の先発で午後1時12分、金政主審の右手が上がりプレイボール。審判は金政、杉村の二氏。第2試合では阪急球団職員の片岡勝が塁審を務める。片岡は阪急戦で塁審を務めたこともあるが、公平性を担保するためにこの試合では外れた可能性が高い。


 阪急は初回、先頭の上田藤夫が中前打で出塁、山田伝も三塁線にヒットを放ち無死一二塁、しかし青田の遊ゴロが「6-4-3」と渡るゲッツー、野口二郎は三振に倒れて無得点。


 パ軍は3回裏、先頭の平野徳松がライト線に二塁打、井筒の遊ゴロで平野がスタート、ショート尾西信一は三塁に送球するが悪送球となって無死一三塁、トップに返り木暮力三のライト線二塁打で1点を先制、無死二三塁から白石が中前に2点タイムリーを放ちこの回3点を先制する。


 阪急は4回表、先頭の山田が四球を選んで出塁、青田の右前打で無死一二塁、野口二郎の左前タイムリーで1-3、レフト木暮からの返球が悪送球となる間に青田が三塁に進んで無死一三塁、野口明のニゴロ併殺の間に三走青田が還って2-3と1点差に追い上げる。


 パ軍は5回裏、一死後木暮が左中間に二塁打、白石も左越えに二塁打を放ち4-2、更に藤井勇も左中間に二塁打を放ち5-2、この3連続二塁打で前川をKO、森下重好が二番手の大平茂から二遊間にヒット、小島利男はストレートの四球で無死満塁、辻井弘の右前タイムリーで6-2、伊勢川真澄の三ゴロ併殺崩れの間に三走森下が還って7-2、伊勢川が二盗を決めて一死二三塁、平野が右越えに止めの2点タイムリー二塁打を放ち9-2と大きくリードする。


 パ軍は7回裏、先頭の森下が6回途中から登板した三番手の森弘太郎から死球を受けて出塁、小島の中前打で無死一三塁、辻井は浅い中飛に倒れるが、伊勢川の中犠飛で10-2とする。


 阪急は9回表、先頭の下社が中越えに二塁打、一死後坂井豊司の中飛で下社はタッチアップから三進、森の左前タイムリーで1点返して3-10とするが焼け石に水。


 井筒研一は10安打を打たれたが2四球3三振で完投、5勝目をマークする。


 パ軍は木暮と平野が2本ずつなど合計6本の二塁打を記録し、その全てが得点に結びついた。5回には木暮、白石、藤井の3連続二塁打に加えて平野も2本目の二塁打を放って1イニング4二塁打と猛打を爆発させて快勝。


 この時点で阪急は勝率でタイガースを下回り三位に転落した。打線も悪くなく、投手陣も駒は揃っているのだが「核」となる選手がいない。青田に期待がかかるところではあるが、この試合でも2安打を放ったが初回のチャンスには遊ゴロ併殺打と、淡白な打撃が目立つ。



2020年4月14日火曜日

21年 タイガースvsゴールドスター 7回戦


7月4日 (木) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 2 0 0 4 1 2 9 タ軍 22勝16敗 0.579 呉昌征 御園生崇男 
0 5 0 0 0 0 0 0 0 5 ゴ軍 14勝19敗1分 0.424 石田光彦 内藤幸三 

勝利投手 御園生崇男 3勝2敗
敗戦投手 石田光彦     8勝9敗 

二塁打 (タ)本堂2 (ゴ)坪内、木崎

勝利打点 なし

猛打賞 (タ)本堂保次 3 (ゴ)辻功 1 


タ軍、御園生が粘って逆転勝利

 後楽園の第2試合はここまでエース級の活躍で8勝をあげている呉昌征と前節週間MVPの石田光彦の先発で午後3時3分、池田主審の右手が上がりプレイボール。

 タ軍は初回、先頭の金田が一塁線にヒット、土井垣は遊飛に倒れ、金田が二盗に失敗、藤村は四球を選び、本堂の中前打で二死一二塁、しかし富樫はファーストライナーに倒れて無得点。


 ゴ軍は1回裏、先頭の中村信一が左前打で出塁、酒沢の右前打で無死一二塁、二走中村がピッチャー呉の牽制に刺されて一死一塁、坪内の遊ゴロをショート小林英一がエラーして一死一二塁、二走酒沢も呉の牽制に刺されて二死一塁、菊矢は中飛に倒れて無得点。呉昌征が牽制で2個の捕殺を記録した。


 ゴ軍は2回裏、先頭の石田が中前打、末崎も中前打、大友の一二塁間ヒットで無死満塁、タ軍はここでショートを小林から長谷川善三に代えて一息入れるが、辻功がレフト戦に痛烈なライナーの2点タイムリーを放ち2-0、早川平一の三塁線バントが内野安打となって無死満塁、トップに返り中村は浅い左邪飛に倒れるが、酒沢の中犠飛で3-0、二走辻と一走早川もタッチアップから進塁して二死二三塁、坪内が左中間に二塁打を放ち5-0と大きくリードする。


 タ軍は3回から先発の呉昌征をセンターに回し、ライトの御園生がマウンドに上がって、センター富樫がライトに回る。


 タ軍は4回表、先頭の本堂が左中間に二塁打、富樫は四球、渡辺誠太郎の投ゴロをピッチャー石田が三塁に送球して二走本堂は三封、御園生はストレートの四球で一死満塁、長谷川がレフト戦に2点タイムリーを放ち2-5と追い上げる。


 タ軍は7回表、先頭の土井垣がライト線にヒット、藤村もライト線にヒットを放って土井垣は三塁に進み無死一三塁、本堂の左中間二塁打で二者還り4-5と1点差、レフト早川からの返球の隙をついて本堂は三塁に進み、富樫の右犠飛で5-5の同点、二死後御園生が中前打、長谷川が四球を選んで二死一二塁、呉昌征の遊ゴロをショート酒沢が一塁に悪送球する間に二走御園生が還って6-5と逆転に成功する。ゴ軍はここで先発の石田から内藤幸三にスイッチ、トップに返り金田は中飛に倒れてスリーアウトチェンジ。


 勢いが付いたタ軍は8回表、先頭の土井垣が右前打で出塁、藤村は一邪飛に倒れるが、土井垣が二盗に成功、本堂が四球を選び、富樫は中飛に倒れて二死一二塁、渡辺がレフト線にタイムリーを放ち7-5とする。


 タ軍は9回表、長谷川、呉が連続中前打、トップに返り金田の遊ゴロで呉が二封されて一死一三塁、土井垣のニゴロの間に三走長谷川が還って8-5、二死一二塁から藤村が中前にタイムリーを放ち9-5と突き放す。


 3回からリリーフ登板した御園生崇男は、6回までの4イニングで7安打1四球1死球と不安定なピッチングであったが無失点、7回以降は無安打1四球で無失点、3勝目をマークする。


 タ軍はこれで5連勝、二位阪急も西宮で巨人に辛勝したが、0.5ゲーム差に迫っている。



2020年4月13日月曜日

21年 巨人vs阪急 7回戦


7月4日 (木) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 3 0 1 0 2 0 6 巨人 24勝13敗1分 0.649 近藤貞雄 
1 0 0 0 2 0 0 5 X 8 阪急 23勝16敗 0.590 今西錬太郎 

勝利投手 今西錬太郎 2勝1敗
敗戦投手 近藤貞雄   10勝4敗 

二塁打 (巨)川上 (急)坂田2、青田、尾西
三塁打 (巨)川上 (急)荒木
本塁打 (巨)黒沢俊夫 1号(ランニング)

勝利打点 (急)尾西信一 3

猛打賞 (巨)川上哲治 1


三好主、4失策

 西宮の第2試合は近藤貞雄と今西錬太郎の先発で午後2時50分、杉村主審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は初回、先頭の上田の当りは遊ゴロ、これをショート三好が一塁に悪送球、一死後青田の三ゴロの間に上田は二塁に進み、野口二郎の左前タイムリーで1点を先制する。


 阪急は2回裏、一死後荒木の遊ゴロを三好が2個目のエラー、ここは近藤が今西を投ゴロ併殺に打ち取る。二塁ベースカバーに入ったのはセカンドの千葉であった。


 巨人は4回表、一死後千葉が四球を選んで出塁、川上の投ゴロを今西が二塁に送球するがセーフ、野選が記録されて一死一二塁、このチャンスに黒沢がライトにスリーランホームラン、3-1と逆転する。「雑記」欄や「日本野球年鑑」に記載はないが、スコアカードからはランニングホームランであったと強く推認できる。


 阪急は5回裏、先頭の坂井豊司が四球で出塁、荒木茂が左中間に三塁打を放ち2-3、今西の中前タイムリーで3-3の同点に追い付く。更に坂田清春が左中間に二塁打を放って一死二三塁と逆転のチャンスを作るが、坂田が近藤の二塁牽制に引っ掛かってタッチアウト、二死三塁から上田も遊ゴロに倒れ同点止まり。


 巨人は6回表、先頭の川上が右越えに二塁打、川上の戦後初ヒットはライトオーバーの二塁打であった。黒沢、中島は連続右飛に倒れて二死二塁、多田は四球を選んで二死一二塁、近藤が右前に勝ち越しのタイムリーを放ち4-3とする。


 阪急は6回裏、先頭の山田がストレートの四球で出塁、青田のニゴロでランナーが入れ替わり、青田は二盗に失敗、野口二郎の遊ゴロをショート三好が3個の目のエラーとなる一塁悪送球、しかし野口明は三ゴロに倒れて無得点。


 阪急は7回裏、先頭の坂井に代わる代打尾西信一の遊ゴロを三好がこの日4個目のエラー、しかしキャッチャー多田が一塁牽制で尾西を刺し、荒木は三振、今西は二飛に倒れて無得点。


 巨人は8回表、先頭の川上が左中間をライナーで破る三塁打、黒沢は三邪飛に倒れるが、中島が左前にタイムリーを放ち5-3、多田のライト線ヒットで中島は三塁に進み一死一三塁、近藤の中犠飛で6-3、更に三好が左前打を放って二死一二塁、トップに返り呉新亨は二飛に倒れて追加点はならなかったが、終盤の追加点で3点リードしてエース近藤が投げ続けているということで勝負あったかに見えた。ところが・・・。


 阪急は8回裏、先頭の坂田が右越えに二塁打、トップに返り上田が中前にタイムリーを放ち4-6、この打球をセンター呉新亨がファンブルして上田は二塁に進み、山田は四球を選んで無死一二塁、青田が中越えに二塁打を放って二者還り6-6の同点、野口二郎が左前打から二盗を決めて無死二三塁、野口明は三振に倒れるが、尾西が殊勲の逆転二塁打をセンター右後方に放ち8-6と大逆転に成功する。


 巨人は最終回、二死後川上がこの日3本目のヒットとなる左前打を放つが、最後は黒沢が中飛に倒れて阪急が快勝。


 今西錬太郎は11安打を打たれるが2四球4三振の完投で2勝目をあげる。


 巨人のショート三好主が4失策を記録した。三好は今季6試合目の出場でこの日も4打数1安打と全試合でヒットを放ち、ここまで19打数8安打、打率4割2分1厘、前節は殊勲賞を獲得する活躍を見せてきた。しかしこの日の4失策で首脳陣の信頼を失い、この後は2試合に出場するだけで22打数8安打、打率3割6分4厘の成績を残してプロ野球を去ることとなる。


 巨人はエース近藤が2試合連続で打たれて後味の悪い敗戦となった。8回の阪急の攻撃を近藤が抑えて巨人が勝っていれば、三好の4失策も「まぁ、こんなこともある。次頑張れ。」で終わったかもしれない。「勝利」は全てを解決する。所詮「チームワーク」など、勝っていれば自然と湧き上がってくるものであるが、負ければチームはぎくしゃくする。三好の4失策のうち直接失点に結びついたのは初回の1個だけ、8回に逆転された要因としては、むしろ呉新亨のエラーの方が痛かった。2回のエラーは直後に近藤が併殺で切り抜け、7回のエラーは多田の牽制で帳消しにするなど、勝っていればむしろチームの「絆」が強くなるような要素もあったが、この日の後味の悪い敗戦の責任を三好が一身で被ることになってしまった。首位を快走する巨人に、暗雲が立ち込めてきた。


*三好主は昭和20年の東西対抗にも出場している(昭和20年11月29日発行「体育週報」臨時号より)。


*スコアカードの記載から、黒沢の本塁打はランニングホームランであったことが確認できる。

2020年4月12日日曜日

21年 セネタースvs中部日本 6回戦


7月4日 (木) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 3 1 0 0 0 4 セ軍 15勝24敗 0.385 白木義一郎 
0 0 0 1 1 1 0 2 X 5 中部 11勝19敗2分 0.367 服部受弘 

勝利投手 服部受弘     2勝2敗
敗戦投手 白木義一郎 7勝8敗 

二塁打 (セ)長持、白木 (中)小鶴、木下、岩本
三塁打 (セ)熊耳、大下 (中)加藤

勝利打点 なし


中部、1イニング5盗塁

 後楽園の第1試合は白木義一郎と服部受弘の先発で午後1時5分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 セ軍は初回、先頭の一言多十の当りは一塁フェンス際に上がるファウルフライ、これをファースト小鶴が好捕、二死後飯島が四球を選んで出塁、ところが大下のカウントツーボールノーストライクの場面で飯島がスタート、キャッチャー藤原鉄之助からの送球にタッチアウト。当たりの出てきた大下のバッティングカウントで走者を動かすとは明らかに采配ミスですね。


 守備に助けられた中部先発の服部は2回~4回を三者凡退に抑えてここまで無安打ピッチング。


 中部は4回裏、先頭の小鶴が右中間に二塁打、木下も左中間に二塁打で続いて1点を先制する。


 セ軍は5回表、一死後長持栄吉が右中間に二塁打、鈴木清一はストレートの四球で一二塁、熊耳武彦が右中間に逆転三塁打を放ち2-1、一死後白木が左中間に二塁打を放ち3-1とリードする。


 中部は5回裏、一死後岩本がレフトに二塁打、鈴木秀雄が右前にタイムリーを放ち2-3と追い上げる。


 セ軍は6回表、先頭の横沢七郎が四球を選んで出塁、飯島の遊ゴロでランナーが入れ替わり、大下がセンター左後方をライナーで抜く三塁打を放ち4-2と突き放す。


 中部は6回裏、先頭の小鶴が四球を選んで出塁、木下は二飛に倒れ、服部の遊ゴロでランナーが入れ替わり、服部が二盗に成功、キャッチャー熊耳の悪送球もあって服部は三塁に進み、三村が四球を選んで二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて3-4とする。笠石徳五郎が四球を選んで二死一二塁、又もダブルスチールを決めて二死二三塁、しかし藤原は三振に倒れてこの回1点止まりであったが、1イニング5盗塁を記録した。


 中部は8回裏、先頭の小鶴の当りは三ゴロ、これをサード鈴木清一がエラー、木下は四球を選んで無死一二塁、服部の遊ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、三村に代わる代打西沢道夫の遊ゴロで三走小鶴がホームに突っ込み、ショート大沢喜好が間に合わない本塁に悪送球する間に二走木下も還って5-4と逆転、犠打とエラーが記録された。打者走者の西沢は二塁に進み、笠石の中前打で西沢は三塁ベースを蹴ってホームに向かうが、センター一言からの好返球にタッチアウト。


 服部受弘はこの1点を守り切り、5安打4四球4三振の完投で2勝目をあげる。服部は今季最多被本塁打を記録するようにピッチングが単調で、この試合でも2巡目に捕まった。キャッチャー出身らしく小さなフォームからスピードがあるのでタイミングが合わせにくいが、慣れられると捕まる。もう少し変化球に磨きをかけないと先は開けない。


 中部打線は本塁打王経験者が服部(16年)、古川(17年、18年)、岩本(18年)、加藤(18年)、金山(19年)と5人、小鶴も25年に本塁打王となる豪華打線であるが、本日は1イニング5盗塁を記録、8回の逆転劇も積極走塁で敵失を誘ったものであった。


 セ軍は初回の采配ミスが響いた。大下には自由に打たせるべきでしょう。


 中部2回の攻撃で木下政文が放ったレフトフライは「雑記」欄に「右走好捕」と書かれており、レフト大下がライン際の難しい当りをファインプレーしたようだ。シーズン当初の大下の守備には不安があったが、足も速く、ピッチャーもやるように肩も強いので、慣れてくれば守備も上達する。アーロン・ジャッジもルーキーシーズンにはライトの守備でバンザイして田中が炎上する原因を作ったりしたが、今では守備も良くなってきている。バッティングは「天与の才」なので練習しても上達しないが、守備は経験を積めば上達する。



2020年4月11日土曜日

21年 グレートリングvsパシフィック 8回戦


7月4日 (木) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
2 0 0 0 0 0 0 0 1 3 グ軍 17勝17敗 0.500 丸山二三雄 
0 0 2 0 0 0 0 2 X 4 パ軍 17勝19敗2分 0.472 真田重蔵 

勝利投手 真田重蔵   11勝6敗
敗戦投手 丸山二三雄 6勝7敗 

二塁打 (グ)丸山 (パ)藤井、小島

勝利打点 真田重蔵 2


真田-木暮の連打でパ軍2連勝

 第11節の初日は東西で4試合。西宮の第1試合は丸山二三雄と真田重蔵の先発で午後1時4分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。戦前からの大ベテラン二出川延明の戦後初球審である。二出川が抗議に来た三原に「俺がルールブックだ!」と一喝するのはこの14年後のこととなる。

 グ軍は初回、先頭の河西俊雄が左前打で出塁、安井が四球を選んで無死一二塁、別所の左飛で二走河西がタッチアップから三塁に進んで一死一三塁、山本一人監督の中前タイムリーで1点を先制、一走安井は三塁に進み、センター森下からの三塁送球をサード平野徳松がジャッグルするのを見てホームに向かうが平野からの送球にタッチアウト、この間に打者走者の山本は二塁に進み、堀井の中前タイムリーで2-0とする。


 パ軍は3回裏、一死後白石の当りは遊ゴロ、これをショート宮崎仁郎がエラー、藤井が四球を選んで一死一二塁、森下は左飛に倒れるが、小島利男が左中間に同点二塁打を放ち2-2と追い付く。


 グ軍は4回表、一死後筒井敬三が右前打で出塁、桶川のカウントスリーボールツーストライクで筒井がスタート、しかし桶川は三振、筒井もキャッチャー伊勢川からの送球に刺されて三振ゲッツー。


 グ軍は5回表、先頭の河西が四球を選んで出塁、安井が送りバントを決めて一死二塁、別所の投ゴロで二走河西が飛び出し二三塁間に挟まれてタッチアウト、河西が時間を稼いだので打者走者の別所は二塁に進み、山本は敬遠で二死一二塁、しかし初回にタイムリーを放った堀井は遊ゴロに倒れて無得点。


 グ軍は6回表、一死後丸山が中越えに二塁打、しかし筒井は三ゴロ、桶川は一飛に倒れて無得点。


 中盤のピンチを凌いだ真田は7回、8回を三者凡退に抑える。これがパ軍の反撃につながった。


 パ軍は8回裏、一死後伊勢川が右前打で出塁、平野も右前打で続いて一死一二塁、真田が左前にタイムリーを放ち3-2と勝ち越し、トップに返り木暮も中前にタイムリーを放ち4-2とリードを広げる。


 グ軍は9回表、二死から粘りを見せて桶川に代わる代打岡村俊昭が左前打で出塁、トップに返り河西の中前打で二死一二塁、安井の右前タイムリーで3-4と追い上げて二死一三塁、しかし別所は捕邪飛に倒れてゲームセット。


 真田重蔵は9安打5四球3三振の完投で11勝目をマーク、ハーラー単独トップに躍り出る。但し、5月26日のグ軍戦の勝利は没収試合となり後に取り消される。


 真田は6月30日の巨人戦に続いて決勝打を放ち2試合連続で「勝利打点」を記録、その巨人戦に続いてこの試合でも一番木暮が真田に続く「追撃打」で「並列の殊勲打」を記録した。最終回に1点返されたので、真田の「勝ち越し打」以上に木暮の「追撃打」の価値は高くなった。単純に「勝利打点」を集計するだけでは意味がない。当ブログでは、「並列の殊勲打」や、「勝利打点」が付かない試合における「真の殊勲打」も記録保存しており、「週間MVP」等各賞選定の参考にしています。



コンセプト


 いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。

 当ブログの閲覧数は1日100ページビュー(PV)~150PVで安定推移してきました。GoogleのPV数は「ページが読み込まれた回数」と定義されています。1日に複数回閲覧される方や数日おきにまとめて閲覧される方もいらっしゃるかと思いますので、概ね100人程度の常連の方に継続してご覧いただいているものと推測しています。


 さて、このところ当ブログの閲覧数(PV)が倍増しています。過去にも同様の事象が認められたことが2回あります。一度はGoogleに対するサイバー攻撃が話題になった時期で、ロシアからのアクセス数が急増しました。もう一度は、2017年にNHKで放映された「1942年のプレイボール」の制作にご協力させていただいていた時期で、番組関係者の方々の閲覧が増えたことが要因であったと考えられます。


 今回は、新型コロナウイルス感染防止の観点から、テレワークや外出自粛の方が増え、閲覧数が増加しているものと推測しています。当ブログのテーマに鑑みれば、新規の閲覧者が増加したということは考えにくいとは思いますが、新たに当ブログに興味を持っている方もいらっしゃるかもしれませんので、改めまして当ブログについて説明させていただきます。


 当ブログが解読している昭和12年~24年の一リーグ時代のスコアカードは、2010年1月に神保町の古書店で入手したものです。元の所有者は福室正之助氏で、球界ではよく知られた方です。このスコアカードは戦後になって、オリジナルを山内以九士氏が清書したバージョンであり、某大手スポーツ紙の資料室でも同様のスコアカードを見せていただいたことがありますので、球界には複数存在するかもしれませんが、野球殿堂博物館も一リーグ時代のスコアカードは所有していません。


 なお、同博物館では昨年から、1950年~75年の日本シリーズのスコアカードと、1958年以降の公式戦のスコアカードが閲覧できるようになりました。まだあまり知られていないようですが、興味のある方はご覧ください。コピーや写真撮影は禁止されていますのでご注意ください。現在は新型コロナウイルスの影響で休館中です。


 プロ野球の公式スコアは、現在でも「慶應式」が採用されていますので、当ブログが解読しているスコアカードも「慶應式スコア」になります。今後もスコアの一部を掲載させていただくことがあるかと思いますが、一般的に見慣れている「早稲田式」とは違いますのでご了承ください。以下、当ブログを閲覧される上での注意事項を記します。


・「犠牲フライ」は、一リーグ時代では昭和14年4月24日~昭和15年の時期だけが「公式記録」となっていますが、それ以前と以降は「凡打」扱いとなっています。当ブログではスコアカードから「犠飛」と認められるものについては「犠飛」としてお伝えしていますが、公式記録では「凡打」となっていますので、「打数」にはカウントしています。(2013年8月25日付け「犠牲フライの取扱いについて」参照)


・「セーブ」は一リーグ時代は公式記録ではありませんが、現行ルールに照らしてセーブシチュエーションで投球完了した場合は「セーブ」を記録しています。


・「勝利打点」は1981年~88年だけ「公式記録」となっていますが、当ブログでは決勝点について「勝利打点」を記録しています。
(2010年3月22日付け「序説」、同年3月24日付け「解読」等参照)


 なお、昭和21年の「実況中継」で参照している「日本野球年鑑」は、日本野球連盟が発行した戦後最初の公式記録集となります。アメリカ野球学会の会合でお付き合いさせていただいている千葉功さんに「俺は2冊持っているから君に1冊やるよ」といただいたものです。他では見ることはできないでしょう。


 昭和24年の解読まで、あと数年かかる予定です。気楽にお付き合いください。


2020年4月10日金曜日

渡辺誠太郎、首位打者に躍り出る


 6月20日のゴ軍戦以来打率4割台をキープしている渡辺誠太郎が、規定打数に達して首位打者に躍り出ました。

 「日本野球年鑑」によると第10節終了時点の「規定打数」は「90打数」であり、ここまで91打数37安打、打率4割7厘の渡辺が打撃成績トップに立ちました。


 2位の富樫淳は5月末時点では2割7分1厘でしたが3割4分8厘に上昇、月間MVPの金田正泰は5月末の2割3分3厘から3割1分1厘に上げてきました。



*「日本野球年鑑」より。