2025年5月20日火曜日

22年 阪急vs東急 7回戦

6月23日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 阪急 19勝21敗2分 0.475 野口二郎 
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 東急 12勝25敗1分 0.324 白木義一郎

勝利投手 野口二郎     6勝6敗 
敗戦投手 白木義一郎 5勝9敗

二塁打 (急)田中、荒木 (東)一言
三塁打 (急)坂元 (東)長持
本塁打 (東)飯島滋弥 4号

勝利打点(急)野口明 7


好調阪急が快勝

 甲子園の第1試合は野口二郎と白木義一郎の先発で午後1時40分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は初回、好調の田中幸男が三塁線を破る二塁打、二死後野口明の中前タイムリーで1点を先制、坂元義一が中越えにタイムリー三塁打を放ち2点をりーどする。

 野口二郎は5回まで6安打を打たれたが、初回、2回のピンチを「5-4-3」のゲッツーで凌いで無失点。

 東急は8回裏、先頭の大沢喜好が四球を選んで出塁、一言多十の右越え二塁打で無死二三塁、トップに返り清水喜一郎に代わる代打黒尾重明の右飛で二走大沢はタッチアップから三塁に向かい、ライト坂元からの返球をピッチャー野口二郎が中継して「9-1-5」のダブルプレー。

 東急は9回裏、先頭の飯島滋弥がレフトスタンドに第4号ホームランを叩き込んで1-2と1点差に迫るが後続が倒れて惜敗。

 野口二郎は8安打1四球無三振の完投で6勝目をあげる。野口次郎は自伝「私の昭和激動の日々」で、戦後のピッチングについて「いい状態で投げていた時に比べたら、スピードもなにもかも、かなり落ちる。力で勝負ということは、とてもできない。やはりコントロール主体のピッチングで行くよりない。いってみれば、技巧派への転身である。」と述べている。この日の1四球無三振の完投は、その記述を裏付けている。

 阪急は6月初めの放棄試合の時点では11勝19敗で最下位に低迷していたが、そこから8勝2敗と好調で借金2つまで盛り返してきた。田中と上田の一二番コンビが好調で今節5試合で何れも9安打を放った。青田は今節3本塁打12打点と爆発、野口明も今節勝利打点2個と勝負強さを発揮している。放棄試合で相当反省したようだ。

2025年5月19日月曜日

22年 金星vs大阪 7回戦

6月23日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 3 3 金星 18勝22敗1分 0.450 重松通雄 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大阪 28勝12敗1分 0.700 梶岡忠義

勝利投手 重松通雄 7勝2敗 
敗戦投手 梶岡忠義 9勝3敗

勝利打点(金)重松通雄 1


重松通雄、2安打完封

 第10節最終日、後楽園の第1試合は重松通雄と梶岡忠義の先発で午後1時2分、西垣球審の右手が上がりプレイボール。

 西垣徳雄は今節から審判員デビュー、この試合が初の球審となった。昭和25年には国鉄スワローズの監督に就任し、金田正一を育てることになる。

 金星は初回、先頭の坪内道則監督が3球目を左前打、西垣球審の初コールは梶岡が投じた初球「ボール」であった。酒沢政夫も左前打で無死一二塁、しかし清原初男のショートライナーに二走坪内が戻れずダブルプレー、先制のチャンスを逃す。

 大阪は2回に本堂保次が、4回に土井垣武が何れも二死から中前打を放つが無得点。

 金星先発の重松は5回以降大阪打線をノーヒットに抑える。

 大阪先発の梶岡も5回まで6安打を許すが6回から8回までは三者凡退に抑える好投を続け、0対0のまま試合は最終回へ。

 金星は9回表、先頭の西沢道夫の当りは二ゴロ、これをセカンド本堂がエラー、小前博文の右前打で無死一三塁と先制のチャンス到来、大友一明の投ゴロで小前は二塁に進んで一死二三塁、重松の三ゴロで三走西沢がホームに突っ込み、サード藤村富美男がバックホームするがセーフ、野選が記録されて1点を先制、一死一三塁から辻勇夫がスクイズバントを決めて2点目、坂本勲が右前タイムリーで続き3-0とリードする。

 重松通雄は最終回も三者凡退に抑え、2安打3四球1三振でダイナマイト打線を完封、7勝目をマークする。重松は今節、中日戦に続いての完封勝利となった。この試合では野選による打点で勝利打点も記録と、乗りに乗っている。

2025年5月18日日曜日

22年 阪急vs太陽 5回戦

6月22日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 0 3 0 0 0 0 0  2  5 阪急 18勝21敗2分 0.462 今西錬太郎 
1 0 0 0 1 0 0 0 1  0  3 太陽 15勝24敗1分 0.385 真田重蔵

勝利投手 今西錬太郎 9勝4敗 
敗戦投手 真田重蔵     6勝8敗

二塁打 (急)上田、野口二郎 (太)辻井、中谷
三塁打 (急)田中、上田 (太)伊勢川

勝利打点(急)野口二郎 2 


野口二郎、代打決勝打

 甲子園の第2試合は今西錬太郎と真田重蔵の先発で午後3時23分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 太陽は初回、先頭の荒川昇治が四球を選んで出塁、辻井弘が中前打を放って無死一二塁、藤井勇の一ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、中谷順次の三ゴロをサード荒木茂がエラー、1点を先制する。

 3回まで三者凡退が続いた阪急は4回表、先頭の田中幸男が右中間に三塁打、上田藤夫の遊ゴロで三走田中はホームに突っ込み、ショート松井信勝がバックホームするがセーフ、野選が記録されて1-1の同点、ここで青田昇がレフトスタンドに勝越しのツーランを放ち3-1とリードする。

 太陽は5回裏、一死後中谷順次が三塁線を破る二塁打、佐竹一雄の右前タイムリーで2-3と1点差に迫る。

 太陽は9回裏、先頭の荒川が四球で歩くと一死後ワイルドピッチで二進、藤井中前に同点タイムリーを放ち土壇場で追い付く。

 阪急は10回表、二死後上田がレフトに二塁打、青田の三塁線ヒットで二死一三塁、野口明は四球を選んで二死満塁、ここで坂元義一に代わる代打野口二郎が左越えに2点タイムリー二塁打を放ち5-3と勝ち越す。

 今西錬太郎は10回裏無死一二塁のピンチも抑えて12安打3四球1三振の完投で9勝目をマークする。

2025年5月17日土曜日

22年 中日vs大阪 7回戦

6月22日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 3 0 1 0 0 2 0 8 中日 26勝12敗    0.684 清水秀雄 
0 0 1 0 1 0 0 0 1 3 大阪 28勝11敗1分 0.718 若林忠志

勝利投手 清水秀雄 6勝3敗 
敗戦投手 若林忠志 8勝5敗

二塁打 (中)大沢 (大)藤村、玉置
三塁打 (中)加藤、小鶴 2
本塁打 (大)玉置玉一 2号

勝利打点(中)小鶴誠 6


強竜がダイナマイトを喰う

 後楽園の第2試合は首位攻防戦。清水秀雄と若林忠志の先発で午後2時52分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 中日は岩本章の欠場が続いており杉浦清監督が一番に入る新打線。

 中日は初回、二死後古川清蔵が左前打で出塁、小鶴誠が左中間深くにタイムリー三塁打を放ち1点を先制、大沢清も左中間にタイムリー二塁打で続き2-0として試合の主導権を握る。

 中日は3回表、先頭の杉浦が三遊間を破るヒットで出塁、金山次郎が三前に送りバントを決めて一死二塁、古川も三前にバント、サード藤村富美男からの送球をファースト玉置玉一が落球、犠打とエラーが記録されて一死一三塁、小鶴の打席で古川がディレードスチール、キャッチャー土井垣武が二塁送球、これを見た三走杉浦がスタートを切るがホームベースカバーにピッチャー若林が入ってタッチアウト、スコアカードの記載は「2-4-5-1H」となって杉浦には盗塁失敗が記録された。この間に一走古川は三塁に進み、小鶴が四球を選んで二死一三塁、大沢が得意の右打ちでライトにタイムリーを放ち3-0、加藤正二が右中間に2点タイムリー三塁打を放ち5-0とリードを広げる。

 大阪は3回裏、先頭の玉置が四球で出塁、一死後長谷川善三の三ゴロをサード小鶴が一塁に悪送球して一死一三塁、トップに返り呉昌征の中犠飛で1点を返す。

 中日は5回表、一死後小鶴が左中間にこの日2本目となる三塁打、大沢の左犠飛で6-1と突き放す。

 大阪は5回裏、先頭の玉置が第2号ホームランを放ち2-6とする。スコアカードの記載ではセンターへのライナーの本塁打となっているが、柵越えではなくインフィールドの印になっているのでランニングホームランであった。

 中日は8回表、先頭の加藤が中前打で出塁、笠石徳五郎も右前打、一死後藤原鉄之助が右前にタイムリーを放ち7-2、トップに返り杉浦はストレートの四球で一死満塁、金山次郎が左前にタイムリーを放ち8-2と突き放す。

 大阪は9回裏、一死後本堂保次が左前打で出塁、玉置がレフト戦に二塁打を放って一死二三塁、二死後長谷川に代わる代打塚本博睦が中前にタイムリーを放ち1点を返すが焼け石に水。

 清水秀雄は8安打2四球3三振の完投で6勝目をマークする。

 強竜打線の破壊力は抜群で、ダイナマイト打線に打ち勝った。

2025年5月16日金曜日

22年 南海vs東急 6回戦

6月22日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 4 0 0 0 0 3 7 南海 21勝18敗1分 0.538 別所昭 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 東急 12勝24敗1分 0.333 北川桂太郎

勝利投手 別所昭       11勝8敗 
敗戦投手 北川桂太郎 2勝6敗

二塁打 (南)飯田
本塁打 (南)山本一人 2号

勝利打点(南)筒井敬三 1


別所が5度目の完封で11勝

 甲子園の第1試合は別所昭と北川桂太郎の先発で午後1時30分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 東急は初回、一死後鈴木清一が左前打で出塁、飯島滋弥は死球を受けて一死一二塁、大下弘の右前打で二走鈴木清一は三塁ベースを蹴ってホームに突っ込むがライト田川豊からの好返球にタッチアウト、先制のチャンスを逸す。

 2回、3回と二三塁のチャンスを逃した南海は4回表、先頭の岡村俊昭が右前打で出塁、飯田徳治の二ゴロでランナーが入れ替わり、別所の右前打で一死一三塁、筒井敬三の中前タイムリーで1点を先制、センター一言多十が打球を逸らして一死二三塁、二死後トップに返り安井亀和が三遊間にタイムリーを放ち2-0、河西俊雄の二ゴロをセカンド清水喜一郎はアウトカウントを間違えたのかホームに送球するが三走筒井が還って3-0、記録は野選、丸山二三男の中前タイムリーで4-0とする。

 清水の野選について、ホームへの野選で三走が還った場合は打者に打点が記録されるのだが、治村宗三公式記録員は「一塁へ投ずれば当然アウトとなり得点を許さずとすむものを無用の投球をなしたため得点を許したから得点打(打点=筆者注)を与えず。」として河西に打点は記録されなかった。

 南海は9回表、二死後河西が中前打から二盗に成功、丸山は四球、河西が三盗を決めて二死一三塁、ここで山本一人監督がレフトスタンドにスリーランを叩き込んで7-0として試合を決める。

 別所昭は8安打2四球1死球3三振で今季5度目の完封、11勝目をマークして藤本英雄と並びハーラートップタイに立つ。

 田川豊が第2打席で死球を受けてベンチに下がった。田川の怪我は重かったようで、しばらく欠場が続く。調子の上がらない南海としては痛いところ。

2025年5月15日木曜日

22年 金星vs巨人 6回戦

6月22日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 金星 17勝22敗1分 0.436 内藤幸三
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 巨人 17勝22敗1分 0.436 諏訪裕良 川崎徳次

勝利投手 内藤幸三 4勝4敗 
敗戦投手 諏訪裕良 1勝3敗

勝利打点(金)酒沢政夫 4


酒沢政夫、決勝スクイズ

 第10節4日目、連日1万人を超える観客を集める後楽園球場は日曜日とあって32,088人の観衆が押し寄せた。今季最多だった6月1日に次いで2番目の観客数である。

 第1試合は内藤幸三と諏訪裕良の先発で午後零時55分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 諏訪は走者を出しながらも粘りのピッチングを見せて6回まで無失点。

 内藤も6回まで6安打を許しながら要所を締めて無失点。

 金星は7回表、一死後坂本勲が中前打で出塁、トップに返り坪内道則監督の右前打で坂本は三塁に進み、送球の間に打者走者の坪内も二塁を陥れて一死二三塁、ここで巨人ベンチは先発の諏訪に代えて二番手として川崎徳次をマウンドに送るが、酒沢政夫がワンボールからの2球目にスクイズバントを決めて1点を先制する。

 巨人は最終回、小松原博喜、平山菊二が連続四球で無死一二塁のチャンス到来、金星はファースト西沢道夫がバントシフトで前進守備、これを見て内堀保は三前に送りバント、一塁ベースカバーにはセカンド大友一明が入って「5-4A」で送りバントが決まって一死二三塁、田中資昭に代わる代打中島治康の三ゴロで三走小松原がホームを突くが、サード清原初男からの本塁送球にタッチアウト、最後は川崎が二飛に倒れて金星が僅差で逃げ切る。

 内藤幸三は6安打3四球4三振、今季4勝目を3度目の完封で飾る。

 坪内は第2打席から4打席連続ヒット。酒沢が決勝のスクイズを決めた。

 金星守備陣は最終回のピンチも落ち着いて防ぎ、巨人と同率5位に並んだ。

2025年5月13日火曜日

22年 太陽vs南海 7回戦

6月21日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 0 0 0 0 0 0 1 0 4 太陽 15勝23敗1分 0.395 井筒研一 
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 南海 20勝18敗1分 0.526 松川博爾

勝利投手 井筒研一 1勝1敗 
敗戦投手 松川博爾 0勝2敗

三塁打 (太)森下
本塁打 (太)藤井勇 3号

勝利打点(太)藤井勇 2


井筒研一、自責点ゼロの完投で今季初勝利

 甲子園の第2試合は井筒研一と松川博爾の先発で午後3時50分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 夕方の開始であるが、1年で最も日が長い季節なので日没コールドのリスクはない。

 太陽は初回、先頭の荒川昇治が四球を選んで出塁、一死後藤井勇がライトスタンドに先制ツーランを叩き込んで2-0、中谷順次が左前打、佐竹一雄もレフト線ヒットで一死一二塁、二死後伊勢川真澄はピッチャー強襲ヒット、白球を拾い上げた松川の一塁送球が悪送球となる間に中谷が還って3-0とリードする。

 井筒は快調なピッチングを続け、6回まで1安打無失点。

 南海は7回裏、一死後田川豊が二遊間を破り中前に抜けるヒット、これをセンター森下重好が後逸する間に打者走者の田川は三塁に進み、山本一人監督の右犠飛で1-3とする。

 太陽は8回表、前の回に手痛いエラーを犯した先頭の森下がセンター右奥に三塁打、伊勢川は死球を受けて出塁すると二盗に成功、ここで松川がワイルドピッチ、三走森下が還って4-1と突き放す。

 井筒研一は後半疲れから7回以降は4安打を打たれたが、5安打1四球2三振、自責点ゼロの完投で今季初勝利をあげる。

 井筒は戦前は野手での出場が多く登板は少なかったが、戦場から復員すると本格的に投手に転向、昨年は13勝をマークした。今季は出遅れていたが、この日のピッチングを見ると今後に期待できる。

2025年5月12日月曜日

22年 中日vs巨人 5回戦

6月21日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 中日 25勝12敗       0.676 松尾幸造 服部受弘 
0 0 0 2 0 0 0 1 X 3 巨人 17勝21敗1分 0.447 多田文久三

勝利投手 多田文久三 2勝2敗 
敗戦投手 松尾幸造     0勝1敗

二塁打 (巨)千葉茂

勝利打点(巨)川上哲治 2

猛打賞 (巨)千葉茂 7


巨人投手陣、3試合連続完封

 後楽園の第2試合は松尾幸造と多田文久三の先発で午後2時50分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は4回裏、先頭の山川喜作が三遊間にヒット、千葉茂も中前打を放って無死一二塁、川上哲治が中前にタイムリーを放ち1点を先制、中日ベンチはここで先発の松尾から服部受弘にスイッチ、小松原博喜の二ゴロが進塁打となって一死二三塁、二死後内堀保の遊ゴロをショート杉浦清が一塁に悪送球する間に三走千葉が還って2-0とする。

 巨人は8回裏、先頭の多田が中前打で出塁、しかしトップに返り呉新亨の一ゴロをファースト大沢清がベースを踏んで二塁に送球、多田もタッチアウトでゲッツー、しかし山川喜作と千葉が連続四球で二死一二塁、川上が左前にタイムリーを流し打って3-0とリードを広げる。

 多田文久三は5安打5四球4三振で戦後初完封、2勝目をマークする。本格的に投手転向してから好投を続けている。

 多田は昭和17年4月22日の黒鷲戦以来5年ぶりの完封勝利となった。この試合では現在同僚となっている黒鷲の小松原博喜が14四球を出した。前日の甲子園では空襲警報で試合途中打切りという時代でもあった。5年後の現在は、日曜であれば3万人の観客を集めるほどの平和が戻ってきた。

 巨人投手陣は19日の川崎徳次、昨日の中尾輝三に続いて3試合連続完封勝利を記録し、阪急に並んで4位タイに浮上してきた。

2025年5月11日日曜日

22年 東急vs阪急 6回戦

6月21日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
1 0 0 2 3 1 0 0 0  4  11 東急 12勝23敗1分 0.343 黒尾重明 白木義一郎
2 0 2 2 0 1 0 0 0  0   7  阪急 17勝21敗2分 0.447 野口二郎 森弘太郎 天保義夫

勝利投手 白木義一郎 5勝8敗 
敗戦投手 天保義夫     3勝6敗

二塁打 (東)熊耳、大下 (急)上田 2
本塁打 (急)青田昇 5号 (東)熊耳武彦 2号、3号

勝利打点(東)長持栄吉 1

猛打賞 (東)長持栄吉(5安打) 3、熊耳武彦(4安打)1 (急)田中幸男(4安打)1、上田藤夫 2


熊耳6打点、万波6打点

 甲子園の第1試合は黒尾重明と野口二郎の先発で午後1時30分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 東急はここ2試合トップに黒尾を起用していたが、この日はその黒尾が本業に戻って先発ということで一番には清水喜一郎が入った。

 東急の初回、その清水の二遊間ヒットから乱戦が開始された。一死後飯島滋弥が左前打、大下弘の一ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、長持栄吉の左前タイムリーで1点を先制する。

 阪急は1回裏、先頭の田中幸男が中前打、これをセンター一言多十が後逸する間に打者走者の田中は三塁に進み、上田藤夫の右越えタイムリー二塁打で1-1の同点、ライト長持からの送球が逸れる間に上田は三塁に進み、二死後坂元義一の左前タイムリーで2-1と逆転する。

 阪急は3回裏、先頭の上田がレフト線に2打席連続の二塁打、青田昇がレフトスタンドにツーランを叩き込んで4-1とする。

 東急は4回表、先頭の長持が中前打で出塁、熊耳武彦も左前打、一死後大沢喜好の右前タイムリーで2-4、一走熊耳は三塁に進んで一死一三塁、一言の中犠飛で3-4と追い上げる。

 阪急は4回裏、先頭の山田伝の当りは遊ゴロ、これをショート鈴木清一が一塁に悪送球して打者走者の山田は二塁に進み、トップに返り田中の右前打で無死一三塁、一死後青田の中犠飛で5-3、一走田中もタッチアップから二塁に進む好走塁を見せ、野口明の中前タイムリーで6-3と突き放す。

 東急は5回表、一死後大下が中前打で出塁、長持も中前打で続いて一死一二塁、阪急ベンチは先発の野口二郎から森弘太郎にスイッチ、ここで熊耳がレフトスタンドに同点スリーランを叩き込んで6-6と追い付く。

 東急は6回表、先頭の一言が四球を選んで出塁、トップに返り清水が三前に送りバントを決め、鈴木清一の中前打をセンター青田が後逸する間に二走一言が還って7-6と勝ち越す。
 阪急は6回裏、一死後田中が左前打で出塁、上田の二ゴロが進塁打となって二死二塁、青田が左前にタイムリーを放ち7-7の同点に追い付く。

 東急は7回表、先頭の熊耳がレフト線に二塁打、ここで阪急ベンチは森から三番手の天保義夫にスイッチ、天保が後続を抑える。

 東急先発の黒尾は8回二死満塁のピンチを無失点で切り抜けたところでお役御免となり、9回から白木義一郎がマウンドに上がり7対7のまま試合は延長へと進む。

 東急は10回表、二死後飯島が三前内野安打で出塁すると二盗に成功、大下は四球で二死一二塁、大下の初球はストライクなので敬遠ではないが勝負は避けた模様、ここで長持がこの日5安打目となるタイムリーを中前に放ち8-7と勝越し、更に熊耳がこの日2本目のスリーランをレフトスタンドに叩き込んで勝負を決める。

 東急は17安打、阪急は15安打の大乱戦であった。

 勝利打点は決勝打を放ち5安打の長持栄吉であるが、並列の殊勲者は2本のスリーランで6打点を記録した熊耳武彦であった。

 2025年5月11日のスポーツ紙は、前日6打点の北海道日本ハムファイターズ万波中正の活躍を伝えている。熊耳の6打点から77年後、チームの後輩となる万波も6打点を記録したのである。

2025年5月10日土曜日

22年 大阪vs金星 6回戦

6月21日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 1 1 0 0 0 3 大阪 28勝10敗1分 0.737 呉昌征
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 金星 16勝22敗1分 0.421 三富恒雄 重松通雄

勝利投手 呉昌征     1勝0敗 
敗戦投手 三富恒雄 2勝6敗

二塁打 (大)本堂、土井垣、玉置 (金)大友

勝利打点(大)玉置玉一 1


呉昌征が自責点ゼロの完投勝利

 第10節3日目、後楽園の第1試合は呉昌征と三富恒雄の先発で午後1時2分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 呉昌征は今季初登板となる。

 大阪は2回表、一死後土井垣武の当りは遊ゴロ、これを久々スタメン出場のショート中村信一が無難に捌き、続く本堂保次の当りも遊ゴロ、今度は中村が一塁に悪送球して打者走者の本堂は二塁に進み、玉置玉一のレフト線タイムリーで1点を先制する。

 大阪は5回表、先頭の呉昌征が四球で出塁すると二盗に成功、一死後金田正泰の一ゴロの間に呉は三進、富樫淳のレフト線タイムリーで2-0とする。

 大阪は6回表、先頭の土井垣武がレフト線に二塁打、一死後玉置が左越えにタイムリー二塁打を放ち3-0とリードを広げる。

 呉昌征は昨年は14勝をあげてノーヒットノーランも記録したが今季はこれが初登板。初回、いきなり先頭の坪内道則監督に死球を与えるが、その後は無難に抑え、5回には二死満塁のピンチ迎えるが無失点で切り抜ける。

 金星は最終回、先頭の大友一明が三塁線を破る二塁打、一死後辻勇夫に代わる代打内藤幸三の二ゴロをセカンド本堂が一塁に悪送球して一死一三塁、一走内藤には代走山本秀男が起用され、坂本勲に変わる代打酒沢政夫の遊ゴロの間に三走大友が還って1点を返すが反撃もここまで。

 呉昌征は6安打2四球1死球無三振、自責点ゼロの完投で今季初勝利をあげる。呉の登板は今季はこの1試合のみ、昭和23年と24年にも1試合ずつ登板するが白星は無く、この試合が最後の勝利投手となった。

2025年5月9日金曜日

22年 太陽vs阪急 4回戦

6月20日 (金) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 太陽 14勝23敗1分 0.378 池田善蔵 
0 0 0 0 2 1 1 4 X 8 阪急 17勝20敗2分 0.459 今西錬太郎

勝利投手 今西錬太郎 8勝4敗 
敗戦投手 池田善蔵     4勝6敗

二塁打 (太)中谷 (急)今西、青田、野口明
三塁打 (急)青田
本塁打 (急)上田藤夫 2号

勝利打点(急)野口明 6

猛打賞 (急)上田藤夫 1、青田昇 3


青田の4打点で阪急が快勝

 甲子園の第2試合は池田善蔵と今西錬太郎の先発で午後3時28分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 太陽は2回表、先頭の中谷順次が左中間に二塁打、一死後森下重好の左前タイムリーで1点を先制する。

 阪急は5回裏、先頭の今西がライト線にヒット、今西は二塁ベースを蹴って三塁に向かうが、ライト辻井弘からの送球がセカンド荒川昇治に中継されて三塁タッチアウト、二死後上田藤夫が遊撃内野安打、ショート松井信勝の一塁送球が悪送球となって上田は二塁に進み、青田昇のライト線タイムリー二塁打で1-1の同点、野口明もライト線にタイムリー二塁打を放ち2-1と逆転する。

 阪急は6回表、先頭の下社邦男が四球で出塁、日比野武の一ゴロの間に下社は二進、二死後今西が右前にタイムリーを放ち3-1とする。

 阪急は7回裏、先頭の上田がレフトスタンドにホームランを叩き込んで4-1と突き放す。

 阪急は8回裏、先頭の下社が3打席連続四球で出塁、一死後荒木茂が左前打、今西は四球で一死満塁、トップに返り田中幸男が押出し四球を選んで5-1、二死後青田が右中間に満塁走者一掃のタイムリー三塁打を放ち8-1として試合を決める。

 今西錬太郎は5安打1四球1三振の完投で8勝目をマークする。

 阪急は5本の長打攻勢で着々と加点、青田昇が4打点の活躍を見せた。

2025年5月8日木曜日

22年 大阪vs中日 6回戦

6月20日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 2 0 0 0 0 0 4 大阪 27勝10敗1分 0.730 梶岡忠義 
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 中日 25勝11敗       0.694 藤本英雄

勝利投手 梶岡忠義   9勝2敗 
敗戦投手 藤本英雄 11勝5敗

二塁打 (大)梶岡、金田、本堂

勝利打点(大)金田正泰 3


梶岡がエース対決を制して大阪首位キープ

 後楽園の第2試合は梶岡忠義と藤本英雄の先発で午後2時57分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 首位大阪と0.5ゲーム差で追う二位中日との首位攻防戦はエース対決となった。

 中日は初回、先頭の笠石徳五郎が四球を選んで出塁、二死後小鶴誠の中前打で一三塁、杉浦清監督の遊ゴロをショート長谷川善三が失する間に三走笠石が還って1点を先制する。

 大阪は3回表、先頭の玉置玉一が右前打で出塁、長谷川が送って一死二塁、梶岡が右中間に同点タイムリー二塁打を放ち1-1、二死後金田正泰がレフト線にタイムリー二塁打を流し打って2-1と逆転に成功する。

 大阪は4回表、先頭の藤村富美男が中前打で出塁、土井垣武は三前に内野安打で無死一二塁、本堂保次のタイムリー二塁打で3-1、一死後長谷川がスクイズバントを決めて4-1とリードを広げる。

 大阪先発の梶岡は2回以降6回まで1安打無失点と快調なピッチング。

 中日は7回裏、一死後大沢清が得意の右打ちを見せて右前打、トップに返り笠石が左前打、二死後古川清蔵が四球を選んで満塁とするが、好調小鶴は中飛に倒れて無得点。

 中日は8回裏、先頭の杉浦清監督が中前打で出塁、加藤正二の二ゴロでランナーが入れ替わり代走に杉江文二を起用、藤本は右前打、二死後大沢も右前打で続いて満塁、しかしトップに返り笠石は二飛に倒れて無得点。

 梶岡忠義は最終回も四球と味方エラーで2走者を出すが無失点で切り抜け、8安打4四球6三振、自責点ゼロの完投で9勝目をマークする。終盤は毎回ピンチの連続であったが粘りのピッチングを見せた。

 第8節に行われた6月6日の4回戦は若林が藤本に投げ勝ったが、8日の5回戦は若林が8失点で敗れた。両チームは今節も2度の対戦が組まれているが、大阪はこの大事な初戦に梶岡を起用した。

 昭和22年の勝利数は最終的には若林が26勝、梶岡が22勝なので一般的には若林がエースであったと勘違いされているが、大阪が最も苦しかった中日と競っていたこの時期の投球内容や対戦相手を分析すると、実質的なエースは梶岡であったことが理解できる。

2025年5月7日水曜日

22年 東急vs南海 5回戦

6月20日 (金) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
2 0 0 0 0 0 0 1  0  3 東急 11勝23敗1分 0.324 白木義一郎
0 0 1 0 2 0 0 0 1X 4 南海 20勝17敗1分 0.541 丸山二三男 中谷信夫

勝利投手 中谷信夫     4勝5敗 
敗戦投手 白木義一郎 4勝8敗

二塁打 (東)大下、大沢
本塁打 (東)飯島滋弥 3号 (南)安井亀和 1号

勝利打点 なし

猛打賞 (東)大下弘 3


大下のサヨナラエラーで決着

 甲子園の第1試合は白木義一郎と丸山二三雄の先発で午後1時30分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 東急は初回、このところ一番で起用されている黒尾重明が3球ファウルで粘って四球で出塁、一死後黒尾が二盗に成功、飯島滋弥が中前にタイムリーを放ち1点を先制、大下弘もセンター左奥にタイムリー二塁打を放ち2-0とリードする。

 南海は3回から先発の丸山に代えて中谷信夫をマウンドに送る。

 南海は3回裏、二死後河西俊雄が中前打から二盗に成功、田川豊が左前にタイムリーを放ち1-2とする。

 南海は5回裏、二死後小林悟楼が四球を選んで出塁、トップに返り安井亀和がレフトスタンドに逆転ツーランを叩き込んで3-2と試合をひっくり返す。

 東急は8回表、先頭の飯島がレフトスタンドに同点ホームラン、3-3とする。

 南海は9回裏、先頭の堀井数男の三ゴロをサード大沢喜好が一塁に悪送球、一死後坂田清春の遊ゴロでランナーが入れ替わり二死一塁、小林の左前打をレフト大下が後逸、一走坂田が一気にホームを駆け抜けサヨナラ勝ち。

 中谷信夫は7イニングを1しってんに抑えて4勝目をマークする。

 南海の勝因はキャッチャー筒井敬三が3つの盗塁を刺したことにあった。

2025年5月6日火曜日

22年 巨人vs金星 5回戦

6月20日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 0 1 0 0 0 0 3 巨人 16勝21敗1分 0.432 中尾輝三 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 金星 16勝21敗1分 0.432 江田孝

勝利投手 中尾輝三 4勝6敗 
敗戦投手 江田孝     5勝9敗

二塁打 (巨)呉新亨、中尾 (金)西沢

勝利打点(巨)呉新亨 1

猛打賞 (巨)呉新亨 3、中尾輝三 1


中尾輝三、1安打完封

 第10節2日目、後楽園の第1試合は中尾輝三と江田孝の先発で午後1時丁度、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は3回表、先頭の田中資昭の当りは遊ゴロ、これをショート酒沢政夫がエラー、中尾が右中間に二塁打を放って無死二三塁、トップに返り呉新亨がレフト線に2点タイムリー二塁打を放ち2-0とする。

 巨人は5回表、先頭の山川喜作が右前打で出塁、千葉茂のライト線ヒットで無死一三塁、川上哲治の一ゴロの間に三走山川が還って3-0とする。

 中尾は2回裏、西沢道夫、小前博文に連続四球を与え、大友一明に送りバントを決められて一死二三塁のピンチを迎えるが、辻勇夫の二ゴロをセカンド千葉からの本塁送球で刺し、江田を三振に抑えて無失点。

 6回裏も二死後清原初男に四球を与え、西沢に三塁線を破られる二塁打、二死二三塁のピンチとなり小前にも3球ファウルで粘られるが三振に打ち取る。

 中尾輝三は、結局西沢に許した二塁打だけで抑え切り、1安打4四球9三振の力投で今季初完封、4勝目をマークする。

 巨人と金星は同率5位に並んだ。

 巨人は昨日の川崎徳次に続いて連続完封勝利、ようやく調子を上げてきた。

2025年5月5日月曜日

22年 南海vs太陽 6回戦

6月19日 (木) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 4 0 0 0 0 0 4 南海 19勝17敗1分 0.528 別所昭 
2 0 0 0 0 0 4 3 X 9 太陽 14勝22敗1分 0.389 真田重蔵

勝利投手 真田重蔵 6勝7敗 
敗戦投手 別所昭   10勝8敗

二塁打 (太)中谷
本塁打 (南)堀井数男 1号 (太)森下重好 2号

勝利打点(太)森下重好 4

猛打賞 (太)森下重好 1、伊勢川真澄(4安打)2


堀井の満塁弾に森下の逆転スリーラン

 甲子園の第2試合は別所昭と真田重蔵の先発で午後3時32分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 太陽は初回、二死後藤井勇がストレートの四球で出塁、中谷信夫は右前打、佐竹一雄も四球を選んで二死満塁、森下重好が右前に先制の2点タイムリーを放ち2-0とリードする。

 南海は4回表、先頭の安井亀和が四球を選んで出塁、河西俊雄も四球、田川豊が送りバントを決め、山本一人監督も四球で一死満塁、飯田徳治の三ゴロで三走安井は本封されて二死満塁、ここで堀井数男がレフトスタンドに満塁ホームランを叩き込んで4-2と逆転する。

 太陽は7回裏、一死後辻井弘が四球で出塁、二死後中谷信夫のレフト線二塁打で二三塁、佐竹一雄の三ゴロをサード山本が一塁に悪送球する間に三走辻井が還って3-4、二死一三塁から森下がレフトスタンドに逆転スリーランを叩き込んで6-4とリードする。

 太陽は8回裏、先頭の荒川昇治が四球で出塁、ピッチャー別所の牽制悪送球で荒川は二進、辻井のショートへの内野安打で二走荒川は動かず無死一二塁、一死後中谷が四球を選んで満塁、佐竹の遊ゴロをショート朝井昇が失して7-4、二死後伊勢川真澄が中前に2点タイムリーを放ち9-4とダメ押す。

 真田重蔵は6安打6四球4三振の完投で6勝目をマークする。

 調子の上がらない別所昭は8敗目。勝利数は藤本英雄に次ぐ2位であるが、敗戦数はトップタイとなった。

 堀井の満塁弾に対して森下が逆転スリーラン。ラッキーゾーンが設置されてから甲子園は華々しい打ち合いが続いている。

2025年5月4日日曜日

22年 大阪vs巨人 6回戦

6月19日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大阪 26勝10敗1分 0.722 武智修 渡辺誠太郎 
0 0 0 2 2 0 0 0 X 4 巨人 15勝21敗1分 0.417 川崎徳次

勝利投手 川崎徳次 6勝5敗 
敗戦投手 武智修     1勝2敗

二塁打 (大)土井垣 (巨)千葉2、川上

勝利打点 なし

猛打賞 (巨)千葉茂 6


川崎徳次、3試合連続完封

 後楽園の第2試合は武智修と川崎徳次の先発で午後2時58分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は初回、先頭の呉昌征が四球を選んで出塁、金田正泰の投ゴロでランナーが入れ替わり、金田がスタートを切るが中途半端な走塁で一二塁間に挟まれタッチアウト、この拙走が後々まで響く。

 3回まで2つの併殺でチャンスを潰してきた巨人は4回裏、先頭の千葉茂が左中間に二塁打、川上哲治は四球で無死一二塁、小松原博喜の送りバントは正直すぎてピッチャー武智が三塁に送球して二走千葉は三封、武智は本来遊撃手でフィールディングは上手い、平山菊二は二塁への内野安打で一死満塁、内堀保の三ゴロをサード藤村富美男が痛恨のエラー、1-0となってなお一死満塁、田中資昭の遊ゴロ併殺崩れの間に三走小松原が還って2-0とする。

 巨人は5回裏、一死後山川喜作が四球で出塁、千葉がレフト線にタイムリー二塁打を放ち3-0、川上もレフト線にタイムリー二塁打を流し打って4-0とリードを広げる。

 大阪は4回二死から土井垣武が二塁打を放つが後続なく、7回も二死から本堂保次、玉置玉一の連続ヒットでチャンスを作るが後が続かず無得点。2度の好機が何れも二死からだったことが敗因となった。

 川崎徳次はダイナマイト打線を3安打に抑え、3四球4三振で完封、6勝目をマークする。

 川崎は6月8日の南海戦で5年ぶりの完封勝利をあげると、12日の中日戦での1安打完封に続いて3試合連続完封勝利を記録した。戦後になって覚えたシンカーが冴えわたっている。

2025年5月3日土曜日

22年 阪急vs東急 5回戦

6月19日 (木) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 3 2 0 0 0 6 阪急 16勝20敗2分 0.444 天保義夫 森弘太郎 
0 0 0 0 0 0 1 2 1 4 東急 11勝22敗1分 0.333 一言多十

勝利投手 天保義夫 3勝5敗 
敗戦投手 一言多十 3勝3敗 
セーブ  森弘太郎 1

二塁打 (急)日比野、下社 (東)大下、清水
本塁打 (急)青田昇 4号 (東)熊耳武彦 1号

勝利打点(急)野口明 5

猛打賞 (東)大下弘 2


阪急、森弘太郎のリリーフで逃げ切る

 甲子園の第1試合は天保義夫と一言多十の先発で午後1時32分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は3回表、一死後田中幸男が右前打で出塁、上田藤夫も左前打、二死後野口明の左前タイムリーで1点を先制する。

 阪急は5回表、一死後上田が四球を選んで出塁、二死後野口明も四球、坂元義一の三ゴロをサード大沢喜好が失して二死満塁、下社邦男が押出し四球を選んで2-0、日比野武が左前に2点タイムリーを放ち4-0とする。

 阪急は6回表、一死後田中が中前打で出塁、上田の三ゴロでランナーが入れ替わり、青田昇がレフトスタンドにツーランを叩き込んで6-0と突き放す。

 東急は7回裏、先頭の熊耳武彦がレフトスタンドにホームランを叩き込んで反撃開始。

 東急は8回裏、先頭の鈴木清一が左前打で出塁、一死後大下弘の右前打で一三塁、長持栄吉が右前にタイムリーを放ち2-6、熊耳の三ゴロをサード荒木茂がエラーする間に二走大下が還って3-6と追い上げる。

 東急は9回裏、先頭の清水喜一郎が右前打で出塁、トップに返り黒尾重明の中前打で無死一三塁、阪急ベンチはここで天保に代えて森弘太郎を投入、鈴木清一はストレートの四球で無死満塁、飯島滋弥は捕邪飛に倒れ、大下が押出し死球を選んで4-6と2点差、しかし長持の三ゴロで三走黒尾は本封、熊耳は三振に倒れてゲームセット。

 東急は最下位に低迷しているが終盤追い上げる粘りを見せた。調子が上がらなかった大下も3安打と復調気配を見せている。

2025年5月2日金曜日

22年 中日vs金星 6回戦

6月19日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 中日 25勝10敗 0.714 服部受弘 星田次郎 浜崎忠治 
0 0 1 0 2 2 0 1 X 6 金星 16勝20敗1分 0.444 重松通雄

勝利投手 重松通雄 6勝2敗 
敗戦投手 服部受弘 7勝1敗

二塁打 (中)加藤 (金)重松、坪内
三塁打 (金)清原
本塁打 (金)西沢道夫 4号

勝利打点(金)清原初男 2


重松通雄、今季3度目の完封

 第10節初日、後楽園の第1試合は服部受弘と重松通雄の先発で午後1時9分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 金星は3回裏、先頭の坂本勲がレフト線にヒット、トップに返り坪内道則監督の投ゴロの間に坂本は二進、酒沢政夫の二ゴロの間に坂本は三進、清原初男が左中間にタイムリー三塁打を放ち1点を先制する。

 金星は4回裏、先頭の小前博文の遊ゴロをショート杉浦清が一塁に悪送球、ここは続く大友一明の投ゴロが「1-6-3」と渡ってダブルプレー。

 金星は5回裏、先頭の辻勇夫の当りは遊ゴロ、これをショート杉浦がエラー、坂元が送りバントを決め、トップに返り坪内の中前タイムリーで2-0、酒沢の右前打で一走坪内は三塁に向かいうがライト加藤正二からの返球にタッチアウト、この間に打者走者の酒沢は二塁に進み、清原の左前タイムリーで3-0、打者走者の清原は二塁を狙うがレフト笠石徳五郎はバックホームせず二塁に送球してタッチアウト。

 現在ではこのケースは打者走者が犠牲になって二塁走者の本塁生還を助ける走塁はセオリーとなっているが、この当時そういう発想があったかは不明。いずれにせよ金星の積極的走塁が目に付く。

 金星は6回裏、先頭の西沢道夫がライナーでレフトスタンドに突き刺さる第4号を放ち4-0、中日ベンチはここで先発の服部から星田次郎にスイッチ、一死後大友が中前打で出塁、重松の遊ゴロをショート杉浦が二塁に悪送球、辻はストレートの四球で一死満塁、坂本もストレートの押出し四球で5-0とする。

 中日ベンチは7回から浜崎忠治を三番手としてマウンドに上げる。

 金星は8回裏、先頭の大友が左前打で出塁するとワイルドピッチで二進、重松は四球で歩き、二死後坪内のタイムリー二塁打で6-0と突き放す。

 重松通雄は初回から4回までスコアリングポジションに走者を背負う苦しいピッチングが続いたが粘り強く無失点で切り抜け、後半は尻上がりに調子を上げて4安打2四球1死球2三振で強竜打線を完封、6勝目をマークする。

 中日は杉浦監督の3失策が痛かった。

 金星は積極走塁が功を奏して着々と加点、首位争いを続ける中日に快勝した。

2025年5月1日木曜日

22年 第9節 週間MVP

週間ⅯⅤP 

投手部門
 巨人 川崎徳次 1 12日の中日戦で1安打完封。 
打撃部門
 中日 岩本章  1 6打数4安打6得点4打点、2本塁打。 

殊勲賞
 太陽 荒川昇治 1 12日の南海戦で2点差から満塁走者一掃二塁打。
 阪急 田中幸男 1 13日の太陽戦で満塁走者一掃同点三塁打。 
 金星 三富恒雄 1 14日の東急戦で5年ぶり完封勝利。 

敢闘賞
 大阪 金田正泰 1 19打数8安打3得点4打点。
 阪急 坂元義一 1 17打数6安打2得点1打点、1本塁打。 
 阪急 荒木茂  1 14打数6安打3得点2打点、二塁打2本、三塁打1本。 
 巨人 川上哲治 3 12打数5安打、二塁打2本。

技能賞
 中日 杉浦清  1 13日の東急戦で1試合4四球。 
 南海 安井亀和 1 16日の太陽戦11回裏に2盗塁でサヨナラのホームを踏む。

2025年4月30日水曜日

22年 大阪vs阪急 6回戦

6月16日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  3 大阪 26勝9敗1分   0.743 若林忠志 
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  3 阪急 15勝20敗2分 0.429 野口二郎

二塁打 (大)若林 (急)日比野、荒木、坂元
本塁打 (大)金田正泰 2号

勝利打点 なし

猛打賞 (大)金田正泰 2


今節3度目の引分け

 西宮の第2試合は若林忠志と野口二郎の先発で午後3時40分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 4回まで3安打無得点の大阪は5回表、一死後長谷川善三が左前打で出塁、二死後トップに返り呉昌征が中前打を放って一三塁、呉が二盗を決めて二死二三塁、ここで金田正泰がライトスタンドにスリーランを叩き込んで3点を先制する。

 4回まで1安打無得点の阪急は5回裏、先頭の野口二郎が左前打で出塁、日比野武の左中間二塁打で無死二三塁、荒木茂が左中間にタイムリー二塁打を放ち1-3、トップに返り田中幸男と上田藤夫は共に浅い中飛で三走日比野は動けず二死二三塁、青田昇は敬遠気味に歩かされて二死満塁、ここで野口二郎が中前に2点タイムリーを放ち3-3の同点とする。

 その後は若林と野口二郎の好投の前に両軍決め手を欠き延長12回引き分ける。

 今季は開幕から6月7日まで120試合引分け試合が無かったが、その後の22試合中4試合が引分けとなった。上位下位関係なくチーム力が近接してきている。

2025年4月29日火曜日

22年 太陽vs南海 5回戦

6月16日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0  0 太陽 13勝22敗1分 0.371 池田善蔵 
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  1X 1 南海 19勝16敗1分 0.543 別所昭

勝利投手 別所昭   10勝7敗 
敗戦投手 池田善蔵 4勝5敗

二塁打 (太)森下 (南)朝井

勝利打点(南)田川豊 4


安井の2盗塁がサヨナラを呼ぶ

 15日の日曜日は全国的に梅雨空で東西とも試合中止。昭和22年に入ってプロ野球人気はうなぎ登りで、先週の日曜日は後楽園が2万9千人、甲子園が1万9千人の観客を集めていただけに興行的には恨みの雨となった。東京は昨日の16.5㍉に続いて本日も15.6㍉の雨を観測、二日連続中止となった。西宮も早朝は雨が残っていたが晴れ上がり予定どおり2試合が行われた。

 第9節最終日、西宮の第1試合は池田善蔵と別所昭の先発で午後1時33分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 別所は走者を出しながら粘りのピッチングで、7回と9回は二死満塁のピンチを凌いで無失点。

 池田は別所を上回る投球で9回まで2安打無失点。

 太陽は10回表、先頭の荒川昇治がストレートの四球で出塁、辻井弘が送りバントを決めて一死二塁、藤井勇の一邪飛でファースト飯田の体勢が悪いと見た二走荒川がタッチアップからスタートを切ったが、飯田が三塁に好送球を見せてタッチアウト。

 太陽は11回表、二死後森下重好がストレートの四球で出塁、伊勢川真澄の右前打で二死一三塁、ここで勝負のダブルスチールを仕掛けるが「2-4-2」の送球に三走森下はタッチアウト。

 南海は11回裏、一死後安井亀和が粘った末四球を選んで出塁、安井は二盗、三盗を決め、河西俊雄は四球を選んで一死一三塁、田川豊の三塁線スクイズバントがサヨナラタイムリー内野安打となって南海が競り勝つ。

 別所昭は6安打6四球5三振で今季4度目の完封、10勝目をマークする。別所の完封勝利は5月4日金星戦以来となる。

 池田善蔵は10回3分の1を3安打に抑えながら無念の敗戦となった。

2025年4月26日土曜日

22年 太陽vs南海 4回戦

6月14日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 1 0 0 0 0 0  0   0   0  1 太陽 13勝21敗1分 0.382 真田重蔵 
0 0 0 0 1 0 0 0 0  0   0   0  1 南海 18勝16敗1分 0.529 丸山二三男

勝利打点 なし


真田と丸山の投げ合いで引分け

 西宮の第2試合は真田重蔵と丸山二三男の先発で午後3時25分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 この試合のスコアカードでは審判の蘭に球審の金政しか記載されていない。通常は三氏審判であるので、この試合だけ球審だけの一氏審判制で行われたとは考えにくい。第2試合は杉村球審、一塁審判筒井、三塁審判金政の三氏審判制で行われるので、この試合も杉村と筒井が塁審を務めたはずで、スコアカードの記入漏れであると考えられる。

 昭和21年には審判員の数が足りず二氏審判制で行われたことはあったが、審判一人という試合は無い。

 太陽は4回表、先頭の中谷順次が四球を選んで出塁、佐竹一雄の三ゴロの間に中谷は二進、二死後伊勢川真澄の中前タイムリーで1点を先制する。

 南海は5回裏、先頭の丸山が四球を選んで出塁、一死後朝井昇の投ゴロでランナーが入れ替わり、トップに返り安井亀和は四球、河西俊雄が中前に同点タイムリーを放ち1-1と追い付く。

 その後は真田と丸山の投げ合いが続いて延長12回に突入。

 南海は12回裏、一死後坂田清春が中前打で出塁、小林悟楼のヒット性の右飛で坂田は勝負を賭けてスタートを切るが、ライト辻井弘がキャッチして一塁に送球しダブルプレー、引分けに終わる。

 真田重蔵は139球、丸山二三男は161球で12回を投げ切った。

2025年4月25日金曜日

22年 中日vs巨人 4回戦

6月14日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 0 2 1 0 3 3 0 11 中日 25勝9敗 0.735 清水秀雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  巨人 14勝21敗1分 0.400 中尾輝三 宮下信明

勝利投手 清水秀雄 5勝3敗 
敗戦投手 中尾輝三 3勝6敗

二塁打 (中)金山、杉浦、古川 (巨)呉新亨 2
本塁打 (中)岩本章 3号、小鶴誠 3号、加藤正二 1号

勝利打点(中)岩本章 3


強竜打線爆発、首位大阪に0.5差

 後楽園の第2試合は清水秀雄と中尾輝三の先発で午後3時丁度、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 中日は2回表、先頭の加藤正二が三塁線にヒット、三村勲は四球を選び、一死後清水も四球で満塁、トップに返り岩本章が押出し四球を選んで1点を追加、巨人ベンチはストライクが入らない中尾に代えて宮下信明をマウンドに送るが、金山次郎も押出し四球で2-0とする。

 中日は4回表、二死後清水が三塁線にヒット、トップに返り岩本がレフトスタンドに第3号ツーランを叩き込んで4-0とする。

 中日は5回表、先頭の小鶴誠がレフトスタンドに第3号を叩き込んで5-0とリードを広げる。
 中日は7回表、一死後小鶴の当りは遊ゴロ、これをショート田中資昭がエラー、杉浦清監督の右前打で一死一二塁、ここで加藤正二がレフトスタンドにスリーランを叩き込んで8-0とする。

 中日は8回表、一死後岩本、金山が連続四球、古川清蔵のレフト線タイムリー二塁打で9-0、小鶴の遊ゴロで三走金山がホームに突っ込みショート田中が本塁に送球するがセーフ、野選が記録されて10-0、一死一三塁から杉浦の投ゴロの間に三走古川も還って11-0とする。

 巨人打線には覇気が無く、呉新亨が2本の二塁打を放ったのが目立つ程度。

 清水秀雄は4安打2四球1死球1三振で今季2度目の完封、5勝目をマークする。

 中日は3本塁打と猛打爆発。今季全体で58本の本塁打が記録されているが中日は15本で断トツトップである。大阪は4本に過ぎず、ダイナマイト打線の特徴は連打にある。迫力という点では強竜打線が上である。

 中日は首位大阪に0.5ゲーム差と迫った。

2025年4月24日木曜日

22年 阪急vs大阪 5回戦

6月14日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 1 0 0 0 2 阪急 15勝20敗1分 0.429 天保義夫 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大阪 26勝9敗 0.743 武智修

勝利投手 天保義夫 2勝5敗 
敗戦投手 武智修     1勝1敗

二塁打 (急)荒木 (大)塚本、土井垣

本塁打 (急)坂元義一 1号

勝利打点(急)下社邦男 1


坂元義一、プロ入り初ホームラン

 西宮の第1試合は天保義夫と武智修の先発で午後1時35分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は4回表、先頭の青田昇の当りは遊ゴロ、これをショート長谷川善三が一塁に悪送球、野口明は四球、坂元義一は三塁線ヒットで無死満塁、下社邦男の二ゴロの間に三走青田が還って1点を先制する。

 阪急は6回表、二死後坂元義一がレフトスタンドにプロ入り初ホームランを叩き込んで2-0とする。

 阪急先発の天保は4回まで5安打を許し走者を出しながらの投球であったが無失点。5回から7回までは三者凡退に抑える。

 大阪は8回裏、二死後塚本博睦が左中間に二塁打、金田正泰の右前打で一三塁とするが、富樫淳に代わる代打呉昌征は三邪飛に倒れて無得点。

 大阪は9回裏、先頭の土井垣武がライト線に二塁打、しかし後続が倒れてシャットアウト負け。

 天保義夫は8安打1四球5三振で今季初完封、終盤はピンチの連続であったが凌ぎ切って2勝目をマークする。得意のナックルボールが冴えたようだ。

 坂元義一は打率2割そこそこで毎試合出場する訳でもない準レギュラーであるが昨日から五番に起用されている。練習でいい当たりを飛ばしているのであろう。この日は貴重なプロ入り初本塁打を放った。

2025年4月23日水曜日

22年 金星vs東急 5回戦

6月14日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 0 0 0 0 0 0 0 2 5 金星 15勝20敗1分 0.429 三富恒雄 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 東急 11勝21敗1分 0.344 黒尾重明

勝利投手 三富恒雄 2勝5敗 
敗戦投手 黒尾重明 2勝6敗

二塁打 (東)黒尾
三塁打 (金)三富

勝利打点 なし


三富恒雄、5年ぶりの完封勝利

 第9節3日目、後楽園の第1試合は午後1時6分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 金星は初回、先頭の坪内道則監督がストレートの四球で出塁、酒沢政夫の投ゴロでランナーが入れ替わり、二死後西沢道夫の三ゴロをサード大沢喜好が失して二死一二塁、小前博文のセンターにゴロで抜けるヒットを一言多十が後逸、白球が転々とする間に酒沢、西沢に続いて小前もホームに還り3点を先制、小前には1打点が記録された。

 東急先発の黒尾は2回から7回まで無安打ピッチング。

 金星は9回表、二死後三富が右中間に三塁打、辻勇夫の三塁線タイムリーで4-0、坂本勲はストレートの四球で二死一二塁、トップに返り坪内の左前タイムリーで5-0とリードを広げる。

 金星先発の三富は6回まで1安打無失点の好投。7回はヒットと四球で一死一二塁のピンチを迎えるが後続を抑える。

 東急は9回裏、先頭の大下弘が右前打で出塁、長持栄吉の中前打で無死一二塁、黒尾の投ゴロを三富が三塁に送球して二走大下は三封、北川桂太郎に代わる代打横沢七郎はストレートの四球で一死満塁と最後の反撃、しかし熊耳武彦は二飛、清水喜一郎に代わる代打白木義一郎は左飛に倒れてゲームセット。

 三富恒雄は5安打5四球1三振で、通算7度目戦後初完封を飾り2勝目をマークする。三富は兵役で5年のブランクがあり、昭和17年9月12日の阪急戦以来5年ぶりの完封勝利であった。

 今季の完封試合は全体で29試合目となったが、その内8試合を金星投手陣が記録している。

2025年4月22日火曜日

22年 大阪vs南海 5回戦

6月13日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 1 3 0 0 0 5 大阪 26勝8敗   0.765 梶岡忠義
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 南海 18勝16敗 0.529 別所昭 松川博爾

勝利投手 梶岡忠義 8勝2敗 
敗戦投手 別所昭    9勝7敗

二塁打 (大)金田、本堂、玉置

勝利打点 なし

猛打賞 (大)本堂保次 2 


梶岡忠義、エースの風格

 西宮の第2試合は梶岡忠義と別所昭の先発で午後3時20分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は初回、一死後金田正泰がセンター左奥に二塁打、富樫淳の中前タイムリーで1点を先制する。

 南海は2回裏、先頭の山本一人監督が四球を選んで出塁、一死後岡村俊昭が三遊間を破り、レフト金田が後逸する間に一走山本が一気にホームに還って1-1の同点に追い付く。

 大阪は5回表、先頭の本堂保次が左前打で出塁、玉置玉一も三遊間にヒットで続いて無死一二塁、長谷川善三の投ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、梶岡の遊ゴロで三走本堂がホームに突っ込み、ショート朝井昇からの本塁送球はタイミングはアウトであったが悪送球となって本堂が生還、2-1と勝ち越す。

 大阪は6回表、一死後藤村富美男がストレートの四球で出塁、土井垣武の一塁戦ヒットで一死一二塁、別所からの二塁牽制に二走藤村が飛び出して二三塁間に挟まれ「1-4-5」でタッチアウト、一走土井垣も二塁に走り、サード山本がセカンド安井亀和に送球するが悪送球となって土井垣は三塁に進み、本堂がレフト線にタイムリー二塁打を放ち3-1、玉置も右中間にタイムリー二塁打で続いて4-1、長谷川は四球、梶岡が左前にタイムリーを放ち5-1とリードを広げる。

 梶岡忠義は3安打1四球無三振、自責点ゼロの完投で8勝目をマークする。

 別所は二桁勝利を目前にして3連敗。別所で勝てなくなった南海は優勝争いから大きく後退し、最大7つあった貯金も2つに減らした。

 ルーキーの梶岡は戦前にも阪神入団の話があったが学徒出陣のため断念していた。戦争から帰還して今季大阪に入団、既にエースの風格である。

2025年4月21日月曜日

22年 金星vs巨人 4回戦

6月13日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 1 0 0 0 0 0  0   0   0  1 金星 14勝20敗1分 0.412 重松通雄 内藤幸三 
1 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  1 巨人 14勝20敗1分 0.412 多田文久三

二塁打 (巨)川上

勝利打点 なし


多田と内藤の好投で引分け

 後楽園の第2試合は重松通雄と多田文久三の先発で午後2時57分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 現在同率4位の両チームによる一戦。

 巨人は初回、先頭の呉新亨が死球を受けて出塁、山川喜作は中前打、千葉茂が送りバントを決めて一死二三塁、川上哲治の左前タイムリーで1点を先制する。二死後平山菊二も死球、重松はこの回2個の死球を与えたが後続を抑える。

 金星は3回から二番手として内藤幸三がマウンドに上がる。

 金星は4回表、先頭の清原初男が左前打で出塁、西沢道夫も左前打、小前博文の投ゴロを多田は三塁に送球して二走清原は三封、サード山川が併殺を狙って一塁に送球するが悪送球となる間に一走西沢がホームに還り1-1の同点とする。

 その後は内藤と多田の好投で両軍決定打を欠き12回まで無得点のまま進む。

 巨人は12回裏、一死後田中資昭に代わる代打中島治康は三振、多田に代わる代打古家武夫も三振。延長12回引分けに終わる。

 内藤幸三は10イニングを投げて4安打1四球2三振無失点であった。

 多田文久三は12回を完投して4安打7四球2三振、自責点ゼロの投球であった。

 第9節2日目の下位球団の試合は終了。阪急、金星、巨人が同率4位、1ゲーム差で太陽、更に半ゲーム差で東急が最下位と、1.5ゲーム差に5球団がひしめき合う混戦が続いている。

2025年4月18日金曜日

22年 太陽vs阪急 3回戦

6月13日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 3 0 0 0 0 3 太陽 13勝21敗 0.382 井筒研一 真田重蔵 藤村隆男 
0 0 0 0 4 2 0 0 X 6 阪急 14勝20敗1分 0.412 今西錬太郎

勝利投手 今西錬太郎 7勝4敗 
敗戦投手 真田重蔵     5勝7敗

三塁打 (急)田中

勝利打点(急)上田藤夫 1


田中幸男、満塁走者一掃同点三塁打

 西宮の第1試合は井筒研一と今西錬太郎の先発で午後1時31分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 今季のペナントレースは東西とも午後1時試合開始を目途に進められてきたが、今節から東が午後1時、西が午後1時30分頃の試合開始に変更となった。当ブログは実況中継なので、試合開始時間順にお伝えしており、これまでは東が先であったり西が先であったりしていたが、しばらくは東からお伝えすることになる。夏至が近付いてきて日没時間が遅くなったことが要因であると推測される。東京と大阪では約15、大阪の方が日没時間は遅い。

 太陽先発の井筒は1回と3回に先頭打者を出すが共に併殺で切り抜ける。

 太陽は4回から井筒に変えて真田重蔵をマウンドに送る。

 太陽は5回表、一死後伊勢川真澄が中前打で出塁すると二盗に成功、松井信勝の三ゴロの間に伊勢川は三進、真田の中前タイムリーで1点を先制、トップに返り荒川昇治は四球、辻井弘の右前タイムリーで2-0としてなお二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて3-0、ショート田中幸男からの折り返し本塁送球が悪送球となって二塁に進んだ辻井は三塁ベースを蹴ってホームに向かうが、ファウルグラウンドで白球を拾ったキャッチャー日比野武が本塁ベースカバーに入った今西に送球してタッチアウト。

 今西は内野手出身で動きが機敏である。

 阪急は5回裏、一死後日比野の当りは三ゴロ、これをサード中谷順次が一塁に悪送球、荒木茂は四球、今西の右前打で一死満塁、トップに返り前の回にエラーした田中が右中間を破る走者一掃の同点三塁打を放ち3-3に追い付き、上田藤夫の左犠飛で4-3と逆転に成功する。
 太陽は6回から三番手として藤村隆男がマウンドに上がる。

 阪急は6回裏、先頭の野口明が中前打で出塁、坂元義一の左飛をレフト藤井勇が落球、下社邦男の投ゴロを藤村は三塁に送球して二走野口明は三封、日比野の三ゴロをこの回からサードに入った平野徳松が後逸する間に二走坂元が還って5-3、更にバックアップしたレフト藤井からの三塁送球が悪送球となるダブルエラーで一走下社も還って6-3とリードを広げる。

 今西錬太郎は6回以降9回まで三者凡退で抑え、6安打1四球2三振の完投で7勝目をマークする。

 勝利打点は決勝犠飛の上田藤夫に記録されたが、この試合の打の殊勲者は満塁走者一掃同点三塁打を放った田中幸男であった。田中は昭和12年センバツの浦和中学戦で1試合6安打を記録した。この記録は戦後3人が並んだが現在でもセンバツの1試合最多安打タイ記録である。戦後の3人は平成時代の金属バットによるもので、木製バットで6安打を記録したのは田中幸男だけである。

2025年4月17日木曜日

22年 東急vs中日 4回戦

6月13日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 1 0 0 0   1  東急 11勝20敗1分 0.355 北川桂太郎
 4 1 0 0 1 1 0 3 X 10 中日 24勝9敗  0.727 藤本英雄

勝利投手 藤本英雄   11勝4敗 
敗戦投手 北川桂太郎 2勝5敗

二塁打 (東)飯島 (中)三村
本塁打 (中)岩本章 2号

勝利打点(中)杉浦清 3


北川桂太郎、13日金曜日の厄災

 第9節2日目、後楽園の第1試合は北川桂太郎と藤本英雄の先発で午後1時6分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 池田豊審判員は開幕から欠場していたが、昨日塁審として復帰し、この試合が今季初の球審となる。

 中日は初回、先頭の岩本章が四球で出塁するとパスボールで二進、金山次郎の投前送りバントを北川は三塁に送球するがセーフ、犠打野選となって無死一三塁、一死後小鶴誠は四球で一死満塁、杉浦清監督が押出し四球を選んで1点を先制、加藤正二が左前に2点タイムリーを放ち3-0、ここで北川のセットポジションに対して池田球審がボークの判定、一死二三塁から藤本の一ゴロで三走杉浦がホームを突くがファースト飯島滋弥からの本塁送球にタッチアウト、二死一三塁となったところで再び池田球審がボークのコール、中日は初回に4点を先制する。

 中日は2回裏、一死後岩本がレフトスタンドにホームランを叩き込んで5-0とする。

 中日は5回裏、小鶴の中前打、杉浦の四球、加藤の中前打で無死満塁、一死後上林繁次郎の左前タイムリーで6-0とリードを広げる。

 東急は6回表、先頭の一言多十が中前打、これをセンター古川清蔵が逸らす間に一言は三塁に進み、一死後飯島の中犠飛で1点を返す。

 中日は6回裏、先頭の岩本が左前打から二盗に成功、古川のライト線タイムリーで7-1と突き放す。

 中日は8回裏、先頭の三村勲が右中間に二塁打、トップに返り岩本は四球、一死後古川も四球、小鶴が中前に2点タイムリーを放ち9-1、二死後杉江文二の遊ゴロをショート鈴木清一が失する間に二走古川が還って10-1とする。

 藤本英雄は8安打1死球無三振、自責点ゼロの完投で11勝目をマークする。

 北川桂太郎はこの日が今季初球審だった池田豊審判員に2つのボークを宣告された。これまで見逃されていたセットの取り方を池田にはボーク判定されたのであろう。北川はこの日の2個を含めて今季ボーク4個でリーグ最多を記録するが、この経験を教訓として、引退年の昭和26年に2個のボークを取られるまでボークゼロを続けることになる。

2025年4月14日月曜日

22年 南海vs太陽 3回戦

6月12日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 1 0 0 0 0 2 南海 18勝15敗 0.545 中谷信夫 松川博爾 
0 0 0 0 0 0 7 0 X 7 太陽 13勝20敗 0.394 池田善蔵 スタルヒン

勝利投手 池田善蔵 4勝4敗 
敗戦投手 中谷信夫 3勝5敗

二塁打 (南)田川、山本 (太)荒川、藤井、藤村
三塁打 (太)森下
本塁打 (太)中谷順次 1号

勝利打点(太)荒川昇治 3


荒川昇治、満塁走者一掃逆転二塁打

 西宮の第2試合は中谷信夫と池田善蔵の先発で午後3時30分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 南海は3回表、一死後田川豊が四球で出塁すると二盗に成功、山本一人監督の中前打で一死一三塁、飯田徳治の中犠飛で1点を先制する。

 南海は5回表、先頭の朝井昇が右前打で出塁、田川の右中間二塁打で無死二三塁、山本は四球で無死満塁、ここで山本がディレードスチールを仕掛け、キャッチャー伊勢川真澄が二塁に送球すると三走浅井がホームを狙うがセカンド荒川からの本塁送球にタッチアウト、飯田は捕邪飛に倒れ、岡村俊昭はストレートの四球で二死満塁、ここで田川がホームスチールを決めて2-0とリードを広げる。

 6回まで中谷に無得点に抑え込まれてきた太陽は7回裏、一死後伊勢川が四球を選んで出塁、藤村隆男が右越えに二塁打を放って無死二三塁、一死後池田は四球を選んで一死満塁、トップに返り荒川が左中間に走者一掃の逆転二塁打を放ち3-2と試合をひっくり返し、辻井弘の三遊間ヒットで一死一三塁、藤井勇がライト線に2点タイムリー二塁打を放ち5-1、更に中谷順次がレフトスタンドにツーランを叩き込んで7-2とリードを広げる。

 太陽は4本の長打を集中して大量得点。

 南海は8回表、先頭の堀井数男が四球で出塁、坂田清春に代わる代打丸山二三男が左前打を放って無死一二塁、太陽ベンチはここで池田に変えてスタルヒンをリリーフのマウンドに送り、中谷に代わる代打別所昭の遊ゴロが「6-4-3」と転送されてゲッツー、スタルヒンがその後を抑えて太陽が逃げ切る。

 南海は6日の阪急戦での放棄試合による勝利以降4連敗。最大7つあった貯金も3つに食い潰してきた。

 混戦が続く4位以下の順位争いは、調子を上げてきた巨人としぶとい試合を続ける金星が同率4位、阪急と太陽が半ゲーム差で同率6位、4位が定位置だった東急が単独最下位に転落した。