2011年12月17日土曜日

14年 タイガースvsジャイアンツ 7回戦


7月16日 (日) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 1 1 0 0 0 1 0 0 5 タイガース    28勝15敗2分 0.651 御園生崇男
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 ジャイアンツ 33勝14敗1分 0.702 スタルヒン


勝利投手 御園生崇男 12勝3敗
敗戦投手 スタルヒン    21勝8敗


二塁打 (タ)伊賀上

御園生崇男、スタルヒンを返り討ち


 今季は各チーム12試合総当りで行われる。タイガースvsジャイアンツはこれまで半分の6回戦を行い、ジャイアンツは2回戦で川上哲治が先発した以外は全てスタルヒンが先発完投しており2回戦の敗戦投手にもなってここまで3勝3敗。タイガースは西村幸生が二度先発して0勝1敗、御園生崇男が四度先発して3勝2敗。チーム成績はお互い3勝3敗の五分。5回戦はスタルヒンが御園生に投げ勝ち6回戦は御園生がスタルヒンに雪辱して迎えた7回戦は御園生崇男とスタルヒンが先発。

 タイガースは初回、先頭の本堂保次の投ゴロをスタルヒンがエラー、富松信彦の二ゴロでランナーが入れ替わり三番ライトに入った景浦将が中前打、四番松木謙治郎が一塁線にドラッグバントを決めて一死満塁、続くジミー堀尾文人の遊ゴロはショート白石敏男からセカンド千葉茂に送られて松木は二封、千葉からファースト川上哲治への送球が大暴投となって三走富松に続いて二走景浦もホームに還り2点を先制する。千葉は14日のライオン戦で連続エラーを犯して15日のセネタース戦は外され、本日三番セカンドで復帰したが又も手痛いエラーを犯した。

 タイガースは2回、先頭の伊賀上良平がセンター右奥に二塁打、本日門前真佐人に代わり先発マスクの八番広田修三の遊ゴロをショート白石が一塁に悪送球、二走伊賀上はそのままなのでショートバウンドをファーストの川上が弾いて白石にエラーが記録された可能性が高い。白石の守備率があまり高くない原因が川上の守備にあった可能性は否定できない。九番皆川定之の打席では捕邪飛を吉原正喜が落球して走者進塁なしのエラーが記録されている。皆川は三直に倒れて事なきを得たがジャイアンツはここまでスタルヒン(1960年、前年の第一回で選出された澤村栄治は特別表彰なので競技者表彰としては第一号)、千葉茂(1980年特別表彰)、白石敏男(1985年競技者表彰)、吉原正喜(1978年特別表彰)という野球殿堂入りカルテットがエラーを重ねている。トップに返り本堂は二飛に倒れて二死一二塁、富松が左前にタイムリーを放って3-0とする。

 ジャイアンツは2回裏、一死後平山菊二の遊ゴロをファースト松木が落球、松木謙治郎も吉原と同じく1978年に競技者表彰で野球殿堂入りしている。アチラノ・リベラ(アデラーノ・リベラ)の中前打で平山は三塁に達して一死一三塁、吉原の左犠飛で1-3とする。

 タイガースは3回、一死後堀尾が中前打で出塁、御園生がライト線にエンドランを決めて一死一三塁、伊賀上が左前にタイムリーを放って4-1と突き放す。

 タイガースは7回、先頭の松木が右前打で出塁、一死後御園生が右前にエンドランを決めて一死一三塁、伊賀上の投ゴロは併殺コースであったがスタルヒンからの二塁送球を又も千葉がエラーする間に松木が還って5-1として試合を決める。

 ジャイアンツは四人の殿堂入り名手が合計5個のエラーを犯して悉く失点に結び付けた。スタルヒンは9回を完投しては13安打1四球1死球4三振5失点であったが自責点は1であった。

 御園生崇男は4安打1四球2三振1失点、自責点ゼロの完投でスタルヒン相手に連勝、返り討ちにして12勝目をあげる。翌日の読売新聞は「御園生は終始慎重入念に投球し絶好のコントロールを利して巨人軍打者の虚を衝いて快打を抑え・・・」と伝えている。


 御園生は前年までは西村幸生に次ぐ存在でジャイアンツ戦は西村、阪急戦は御園生という棲み分けができていた。今季はタイガースはジャイアンツ戦4勝3敗となったが勝利投手は全て御園生崇男である。景浦将も復帰し、御園生を軸に復調してきた西村と若林忠志の三本柱で阪急とジャイアンツを追撃する態勢がようやく整ってきたが歴史は皮肉にも御園生崇男を戦場に奪うこととなる。御園生はこの後2勝を重ねた後兵役に就くこととなる。松木謙治郎は著書「タイガースの生い立ち」で「御園生が八月初めに召集されたが、それまで14勝3敗(4勝8敗と誤植となっている)と好調だった。彼がいれば14年(1939年)もタイガースの優勝に終わったと考えられる。」と述べている。

 ジャイアンツの5失策を記録した四人もタイガースで1失策を記録した松木謙治郎も、景浦将(1965年特別表彰)も若林忠志(1964年競技者表彰)も西村幸生(1977年特別表彰)も野球殿堂入りしているが、御園生崇男のレリーフが野球体育博物館の殿堂ホールに飾られていないとは何とも残念な話である。





*5回戦でスタルヒンに投げ負けた御園生崇男は6回戦で雪辱、本日の7回戦は返り討ちとなった。









*景浦将が三番ライトで4月16日のジャイアンツ戦以来3カ月ぶりにスタメンに名を連ねる



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