2011年12月18日日曜日

14年 金鯱vs阪急 7回戦


7月28日 (金) 中百舌鳥


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 金鯱 17勝31敗1分 0.354 古谷倉之助
0 0 4 0 0 0 0 0 X 4 阪急 33勝12敗      0.733 荒木政公


勝利投手 荒木政公     4勝1敗
敗戦投手 古谷倉之助 4勝10敗


二塁打 (金)小林茂 (阪)山田、山下好

荒木政公、完投で4勝目


 7月27日付け読売新聞に小島六郎氏による金鯱・岡田源三郎監督のインタビュー記事が掲載されている。「『源ちゃんがイガ栗頭になったトタンに金鯱がつよくなったが・・・』『兵隊が帰って来たらチームの空気がとても引緊って来たんだ。人間一度は軍隊生活をさせなくっちゃ駄目だよ、そのおかげさ』この言葉は種々な意味にとれるが、要するに小林利、濃人などという金鯱軍の中心選手が軍隊生活から帰って来て精神的に全軍をリードし、そこに従来の金鯱軍から立上がった金鯱軍を作ったのだと解して間違いない。」軍には逆らえないためのコメントかもしれないが、小林利蔵、鈴木鶴雄、濃人渉が兵役から戻って来て緊張感が高まったことは間違いないでしょう。

 金鯱は2回、先頭の小林茂太が中越えに二塁打、古谷倉之助の中前打で小林茂がホームを衝くとセンターフランク山田伝のバックホームはタイミングはアウトであったがキャッチャー日比野武がこれを落球して1点を先制する。

 阪急は3回、先頭の下村豊が中前打で出塁、荒木政公が中前打で続いて下村は三塁に達する。トップに返り西村正夫が四球を選んで無死満塁、山田は三振、山下実は浅い左飛に倒れるが山下好一の打席で古谷がワイルドピッチを犯して下村が生還して1-1の同点としてなお二死二三塁、山下好一の二ゴロをセカンド五味芳夫がエラーする間に三走荒木が帰って2-1、山下好一が二盗を決めて再度二死二三塁、上田藤夫が左前に2点タイムリーを放ち4-1とする。

 翌日の読売新聞によると古谷倉之助のドロップが冴えていたが3回の山下好一に投じたアウドロが低く落ち過ぎて暴投となったところから上田には平凡なカーブを投げて三遊間を抜かれたとのこと。また、荒木政公のピッチングについては「鋭角に入れるカーブ」と書かれており、荒木もスライダーを投げていた可能性がある。職業野球も四年目を迎えてピッチングではチェンジ・オブ・ペースが重視されきており、北井正雄や西村幸生が投げていたスライダーが徐々に他の投手にも浸透してきているようだ。

 荒木政公は5安打5四球6三振の完投で4勝目をあげ、阪急が先日行われたトーナメント大会の借りを返した。荒木政公は既に徴兵検査で甲種合格しており、今季限りで兵役に就きプロ野球のマウンドに戻ることなく戦死することとなる。





               *荒木政公は完投で4勝目をあげる。




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