2011年12月22日木曜日

14年 金鯱vsタイガース 6回戦


7月29日 (土) 中百舌鳥


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
1 3 0 0 0 1 0 0 0  5  金鯱          17勝32敗1分 0.347 大宮清 鈴木鶴雄 磯部健雄
3 0 0 1 2 5 2 0 X 13 タイガース 30勝15敗2分 0.667 景浦将 若林忠志 青木正一


勝利投手 若林忠志 6勝2敗
敗戦投手 鈴木鶴雄 1勝2敗


二塁打 (金)濃人 (タ)若林、本堂
本塁打 (タ)景浦 2号

景浦将、決勝の大ホームラン


 タイガースの先発は景浦将、六番に入ります。金鯱は復帰の中村輝夫(旧・相原輝夫)が八番に入って先発マスクを被ります。

 金鯱は初回、先頭の五味芳夫が中前打で出塁、濃人渉の左前打で五味が三塁を陥れレフト富松信彦からのバックサードの隙を衝いて打者走者濃人も二塁を陥れ無死二三塁、野村高義の投ゴロの間に五味が生還して1点を先制する。

 タイガースは1回裏、先頭の富松が中前打で出塁、本堂保次は左前打、門前真佐人は三塁内野安打で無死満塁、松木謙治郎が押出し四球を選んで1-1の同点、ジミー堀尾文人の三ゴロをサード瀬井清がエラーして2-1と逆転、金鯱は瀬井を下げてサードに山本次郎を入れる。なお無死満塁から景浦の遊ゴロ併殺の間に三走門前が還って3-1とする。

 金鯱は2回、一死後中村輝夫が右前打で出塁、佐々木常助も右前打を放って一死一二塁、トップに返り五味は三振に倒れるが濃人が左翼線に二塁打を放って2-3、野村の一塁内野安打で三走佐々木に続いて二走濃人も還って4-3と逆転に成功する。

 タイガースは3回から景浦がライトに回り若林忠志をマウンドに送る。

 タイガースは4回、先頭の景浦の遊ゴロをショート濃人がエラー、伊賀上良平の三ゴロでランナーが入れ替わり、若林の右前打で一死一三塁、皆川定之の遊ゴロの間に三走伊賀上が還って4-4の同点とする。

 タイガースは5回、先頭の門前が右前打で出塁、松木は右飛、堀尾は中飛に倒れるが景浦が左中間スタンドに大ホームランを叩き込んで6-4と勝ち越す。翌日の読売新聞によると「左中間を遥かに越す記録的大本塁打」とのことです。景浦は前の打席でもファウルになったが大飛球を飛ばしていたそうです。結果的にこれが決勝アーチとなった。

 金鯱は6回、一死後佐々木の三ゴロをサード伊賀上がエラー、五味の遊ゴロの間に佐々木は快足を飛ばして三塁に進み、さらにホームスチールを成功させて5-6と1点差に迫る。佐々木は昭和13年秋季リーグ戦の盗塁王です。

 タイガースは6回裏、先頭の若林が左翼に二塁打、金鯱はここで先発の大宮清をあきらめて鈴木鶴雄をマウンドに送る。皆川の左翼線ヒットで無死一三塁、富松の一ゴロで三走若林が飛び出して三本間に挟まれてタッチアウトとなるが若林が巧く時間を稼いで一死二三塁を作る。ここで本堂が左中間に二塁打を放って8-5、門前が左前打で続き松木の一ゴロの間に三走本堂が還って9-5、堀尾の左前打で二死一三塁、景浦の左前タイムリーで10-5、伊賀上の中前タイムリーで11-5として試合を決める。

 金鯱は7回から鈴木鶴雄に代えて三番手として磯部健雄をマウンドに送る。

 タイガースは7回、皆川の遊ゴロをショート濃人がエラー、トップに返り富松は一塁に内野安打、本堂が四球を選んで無死満塁、門前の三ゴロはサード山本が三走皆川をホームで封殺して一死満塁、松木の二ゴロ併殺崩れの間に富松が還って12-5としてなお二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて13-5とする。

 タイガースは復活・景浦将が4打数2安打4打点、四番・松木謙治郎も4打数無安打ながら3打点、富松信彦、本堂保次、門前真佐人の一番から三番がそれぞれ3得点ずつを記録した。脚の金鯱は佐々木常助のホームスチールを含む4盗塁で対抗したが二桁得点の試合となると空しい。

  大差となった試合であるが、隠れたヒーローは6対5と1点リードで迎えた6回裏に無死一三塁の三塁ランナーとなった若林が富松の一ゴロで三本間に挟まれたが「3-2-5-1」と巧く時間を稼いで一死二三塁を作った走塁にある。山本茂著「七色の魔球 回想の若林忠志」には、「若林は日本で“大和魂”を学んだと言っている。アメリカ文化圏のハワイで生まれ育った若林には「Go for broke」の勇ましい精神は持っていたが、身を滅して大義に生きる自己犠牲は大和魂だけが秘めているものだった。自己主張の強いアメリカ的文化にはこうした東洋的な自己犠牲の精神は薄く、若林が日本で初めて体験したものだった。肩の故障をおしてチームのために投げ続けた若林は『何よりも大切なのは和の精神だ』とも言っている。」と書かれている





*若林忠志は6回の攻撃で三塁ランナーとなり、富松の一ゴロで三本間に挟まれたが「3-2-5-1」と巧く時間を稼いで一死二三塁を作った。




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