7月20日 (土) 西宮
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 南海 16勝37敗3分 0.302 政野岩夫
0 0 0 0 0 2 0 0 X 2 イーグルス 28勝25敗3分 0.528 亀田忠
勝利投手 亀田忠 15勝12敗
敗戦投手 政野岩夫 5勝9敗
勝利打点 玉腰忠義 1
亀田忠、内野安打2本に抑える
イーグルス先発・亀田忠の目を見張るような投球が光った。亀田は6回まで一人の走者も出さずパーフェクトピッチング。7回、先頭の岩出清に四球を与えるが藤戸逸郎は打撃妨害、清水秀雄は三振、岩出の二盗をキャッチャー清家忠太郎が刺してスリーアウトチェンジ。ここまで残塁無しの無安打ピッチングを続ける。
イーグルスは6回、先頭の岡田福吉が四球で出塁、岩垣二郎の一塁線バントはファースト清水が打者走者の岩垣にタッチに行くが空振り、清水にエラーが記録されて無死一二塁、翌日の読売新聞によると「清水がタッチを怠って手許を潜り抜けられる不始末を演じた」とのこと。中河美芳が送りバントを決めて亀田は敬遠で一死満塁、本日五番レフトに起用された玉腰忠義の左犠飛で1点を先制、太田健一が左前にタイムリーを放って2-0とする。得点力の乏しいイーグルスで玉腰は4試合連続打点を記録して本日はプロ入り初の勝利打点も記録した。
南海は8回、先頭の吉川義次が三塁に内野安打、南海は無安打無得点を免れる。吉川が二盗を決めて木村勉は四球を選び無死一二塁、山尾年加寿の三前バントが内野安打となって無死満塁、前田貞行の遊ゴロで三走吉川は本封されて一死満塁、上田良夫に代わる代打岡村俊昭の左犠飛で1-2、しかし二走前田が亀田からの牽制球に刺されてスリーアウトチェンジ。
イーグルスは8回も亀田、玉腰、太田の三連打で一死満塁とするがここは無得点。
亀田忠は9回も1四球無失点で切り抜け、2安打3四球3三振の完投で15勝目をあげる。打たれた2安打は何れも内野安打で、外野に運ばれたのは5本だけというピッチングであった。
翌日の読売新聞によると「亀田は専ら力をセーブしつつ直球、カーブ、ドロップを適宜に配して・・・」とのこと。当時の記事ではドロップとカーブを使い分けている。これは当時のピッチャーがタテに落とすボールとヨコに曲げるボールを投げていたからでしょう。当時のドロップはいわゆるカーブで、当時のカーブはスライダーに近いボールであった可能性がある。スライダーの元祖は藤本英雄であるとも言われているが、阪急の北井正雄が投げていた「十字架球」はスライダーであったとも言われており、西村幸生を始め多くのピッチャーが同様のボールを投げていたようである。
*亀田忠は南海打線を2本の内野安打に抑えて15勝目をあげる。
*亀田忠に内野安打2本に抑えられた南海打線。ヒットの線が二重線の場合内野安打を表します。翌日の読売新聞にも「8回吉川が三塁に内野安打し木村四球の後山尾の巧妙なバントが安打となって満塁」と書かれています。
*2本の内野安打の場面の拡大図。
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