2013年12月30日月曜日

猪武者



 昭和16年6月24日付け読売新聞は、阪神を破った朝日について「朝日は久し振りに大東京時代の表看板であった“猪武者”の本領を発揮し、脚の力で阪神の防御線を掻き乱し堂々一方的に・・・」と伝えている。


 「猪武者(いのむしゃ)」とは「思慮を欠き、向こう見ずにがむしゃらに突進する武士。また、そういう人」の意味だそうです。実況中継でお伝えしたとおり、朝日は強肩土井垣武を向こうに回して4つの盗塁を成功させて阪神を粉砕しました。但し、7回の前田諭治と9回の鬼頭政一の二盗は土井垣に刺されています。この点が読売新聞大阪担当の三宅正夫記者をして「猪突猛進」と判断せしめたのかもしれません。


 春季シリーズと夏季シリーズの間に、巨人、大洋、阪急、阪神の上位四球団は北海道遠征を行っておりその疲労が抜けきらないまま夏季シリーズに突入していますが、下位球団は地元でじっくりと調整してきました。ここまで南海は2連勝、朝日は開幕戦の巨人戦で善戦しあわやというところまで行きましたが惜しくも逆転負け、南海vs朝日戦は延長14回両チーム無失策の激闘を演じています。昭和16年ペナントレースはますます目が離せない展開となってきました。





 

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