2013年12月29日日曜日

16年 名古屋vs阪急 5回戦


6月23日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 名古屋 13勝18敗 0.419 松尾幸造 西沢道夫 岡本敏男
2 2 1 0 1 0 0 1 X 7 阪急    17勝14敗 0.548 笠松実 中田武夫

勝利投手 中田武夫 1勝0敗
敗戦投手 西沢道夫 2勝8敗

二塁打 (急)山田、新富
本塁打 (急)日比野 2号

勝利打点 上田藤夫 4

ファインプレー賞 (急)フランク山田伝 4 (名)芳賀直一 8


中田武夫、帰還後初勝利

 名古屋は初回、先頭の木村進一が四球を選んで出塁、桝嘉一の左翼線ヒットで木村は三塁を狙うがレフト新富卯三郎からの送球にタッチアウト、服部受弘が左翼線にヒット、吉田猪佐喜は四球を選んで一死満塁、大沢清が押出し四球を選んで1点を先制、阪急ベンチは先発の笠松実をあきらめて中田武夫をマウンドに送る。芳賀直一は遊飛に倒れるが岩本章が押出し四球を選んで2-0とする。

 阪急は1回裏、先頭の西村正夫が四球で出塁、フランク山田伝が左中間に二塁打を放って無死二三塁、続く上田藤夫のカウントがスリーボールとなったところで名古屋ベンチは先発の松尾幸造から西沢道夫にスイッチ、西沢はツースリーまで持ち込んだものの結局上田を四球で歩かせ無死満塁、この場合四球は松尾に記録される。黒田健吾の遊ゴロの間に三走西村が還って1-2、一死二三塁から新富卯三郎が左中間に二塁打、二走上田は捕られると判断してスタートが遅れて三塁止まりとなり1点を追加したのみで2-2の同点とする。

 阪急は2回、先頭の伊東甚吉が四球で出塁、中田の投ゴロでランナーが入れ替わり、トップに返り西村がストレートの四球、山田もツースリーから四球を選んで一死満塁、上田の遊ゴロ併殺崩れの間に三走中田が還って3-2、更に二死一三塁から三走西村が単独ホームスチールを決めてこの回無安打で2得点、4-2とする。

 阪急は3回、先頭の日比野武が四球で出塁して森田定雄の三ゴロの間に二進、パスボールで三進、伊東の遊ゴロの間に日比野が還りこの回も無安打で得点をあげて5-2とする。

 阪急は5回、二死後日比野武がレフトスタンドに第2号ホームランを叩き込んで6-2とリードを広げる。

 阪急は8回、先頭の新富がピッチャー強襲ヒット、日比野の右前打で無死一三塁、森田は浅い左飛に倒れるが伊東が四球を選んで一死満塁、中田の右犠飛で7-2とする。

 1回途中からマウンドに上がった中田武夫は8回3分の2を投げて4安打3四球2三振無失点、完封に匹敵する内容で昭和12年11月11日の名古屋戦以来約3年半ぶりに、戦場から帰還後初勝利をあげる。


 昭和16年4月3日付け読売新聞に「日本野球の新陣容」として今年の各球団のメンバー表が掲載されていますが、ここには中田武夫の名前はありません。中田は5月11日に復帰後初登板して最初のイニングは打ち込まれましたがその後無失点、12日も無失点で、3試合目となる本日も含めて14イニングス連続無失点を継続中です。今季は昭和12年に応召して3年半ぶりにマウンドに上がった投手が中田武夫の他に同じ阪急の笠松実、黒鷲の畑福俊英がいます。笠松はすでに2勝をあげており、畑福は2連敗ながら2試合連続完投で16イニングスを投げて被安打7、自責点1の好投を続けています。戦争に行くと手榴弾を投げさせられて肩を壊して戻ってくることばかりが喧伝されていますが、戦場から戻って来て神懸かり的なプレーを見せる選手もいます。金鯱時代の岡田源三郎監督も「人間一度は戦場に行ってこなければダメだ。」と言っていました。死線を潜り抜けてこそ分かるものもあるようです。









*1回途中からのロングリリーフとなった中田武夫は完封に匹敵するピッチングで約3年半ぶりに戦場から帰還後初勝利を記録する。






 

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