１６年 大洋vs黒鷲 １３回戦

11月17日 （月） 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 3 0 0 0  3 大洋 47勝37敗3分 0.560 三富恒雄 野口二郎
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 黒鷲 28勝56敗1分 0.333 中河美芳 畑福俊英

勝利投手 三富恒雄 6勝9敗
敗戦投手 中河美芳 7勝9敗
セーブ　 野口二郎 5

二塁打　（大）野口

勝利打点　濃人渉　6

ファインプレー賞　（大）野口二郎　3


中村信一3盗塁

　いよいよ昭和16年ペナントレースも最終日を迎えました。大洋は三富恒雄、黒鷲は中河美芳、両左腕投手の先発で午後0時30分、金政卯一球審の右手が上がりプレイボール。

　大洋は初回、先頭の中村信一が四球を選んで出塁、森田実は捕邪飛に倒れるが濃人渉が中前打を放って一死一二塁、続く野口二郎の打席でダブルスチールを決めて一死二三塁、野口の三ゴロでサード木下政文が一塁に送球すると三走中村がホームに突進、しかしファースト菅利雄からの送球にタッチアウト、併殺が記録された。

　2回は三者凡退に終わった大洋は3回、一死後織辺由三が左前打で出塁するがトップに返り中村の投ゴロが「1-6-3」と転送されてダブルプレー。4回は二死後野口が左中間に二塁打を放つが続く山川喜作は投ゴロに倒れる。5回は三者凡退。

　2回まで無安打の黒鷲は3回、先頭の渡辺絢吾がピッチャー強襲ヒットで出塁、宗宮房之助は捕邪飛、これは送りバント失敗か、トップに返り山田潔の打席で一走渡辺が盗塁を試みるがキャッチャー柴田多摩男からの送球にタッチアウト、山田も一邪飛に倒れて無得点。

　黒鷲は4回、先頭の清家忠太郎が中前打で出塁、しかし玉腰忠義の二ゴロで清家は二封、中河美芳は右飛、富松信彦は中飛に倒れてスリーアウトチェンジ。5回も二死後渡辺が2打席連続ヒットを中前に放つが宗宮は遊飛に倒れる。

　大洋は6回、一死後中村がツーツーから3球ファウルで粘って四球を選び出塁、続く森田の打席で中村が二盗に成功、森田も四球を選んで一死一二塁、続く濃人の打席でダブルスチールを決めて一死二三塁、濃人が中前に先制の2点タイムリーを放って2-0、野口の遊ゴロをショート山田がエラーして一死一二塁、山川は左飛に倒れるが、石井豊が左前にタイムリーを放って3-0とする。

　リードを奪った大洋は6回からライトの野口二郎をマウンドに呼び寄せ三富は降板、ライトには村松長太郎が入る。


　野口二郎は4イニングを無安打無四球2三振無失点のパーフェクトに抑えて今季5個目のセーブを記録、大洋が4連勝で今季最終戦を飾る。


　野口二郎は4回表の攻撃で長打を放ち、5回裏の守備ではライトでファインプレーを記録し、ピッチャーとしてはセーブを記録した。同一試合で「長打」、「好捕」、「セーブ」を記録した世界で唯一のプレイヤーでしょう。


　中村信一が3盗塁を記録、その内2つは重盗であった。


　昨日は自らのサヨナラヒットで勝利投手となった中河美芳の人生最後の試合は敗戦投手であった。中河は6回でマウンドを畑福俊英に譲りファーストの守備についた。7回に迎えた最後の打席は三塁ファウルフライに終わっている。









＊野口二郎は4イニングをパーフェクトに抑えて今季5個目のセーブを記録、中河美芳の最後の登板は敗戦投手であった。

＊中河美芳の人生最後の打席は澤村栄治と同じく三塁ファウルフライであった。