2014年8月12日火曜日

始球式



 夏の甲子園初日のメインイベントと言えば開会式で、始球式に注目する人はほとんどいませんので当ブログがお伝えいたします。


 今年の始球式を務めたのは福岡高校のキャプテンでした。いい球を投げましたね。


 1901年に創立した岩手県立福岡高等学校の校訓は「文武両道 質実剛健」。甲子園出場10回は現在のところ岩手県ではNo1です。近年力を付けてきている盛岡大付属が8回、花巻東が7回と迫っていますので抜かれるのも時間の問題かもしれませんが。


 2009年に、岩手県立福岡高等学校野球部創部100周年記念誌「陣場台熱球録」が刊行されました。野球部史は各校から数多く出ており、筆者も数多く目を通していますが、これほどまでの出来栄えは他には見られません。福岡高校野球部の伝統が凝縮されています。巻頭の言は「福中・福高野球部関係者はもとより、すべての野球ファンへ」。


 ページをめくると日本への野球伝来から始まりますが、これには歴とした理由があります。二戸郡福岡出身の地球物理学者・田中館 愛橘(たなかだて あいきつ 1856年生まれ)は東京英語学校時代にホーレス・ウィルソンから野球の手ほどきを受けたと言われています。明治政府のお雇い外国人教師であったホーレス・ウィルソンは日本に野球を伝来した人物として2003年に野球殿堂入りしました。


 NHKの放送でも触れられていたように、福岡高校のユニフォームの胸のマークは「H」です。「F」ではない理由は、田中館 愛橘が考案した「日本式ローマ字」では、「ふ」は「ヘボン式ローマ字」の「F」とは違い「H」を用いることから、郷土の大先輩にあやかって「H」としたのです。


 丹念に先達から聞き取り調査をしたうえで刊行された「陣場台熱球録」には、当ブログでもお伝えした昭和13年の阪急で活躍した福岡高校(当時は中学)野球部OBの小田野柏についても詳しく書かれています。小田野が川上哲治と初めて対戦したピッチャーであることは史実ですが、「この時は見事にセンターフライに打ち取っている。」の部分だけは間違いで、正しくはライトフライです。小田野柏は昭和22年の都市対抗で日本で初めての天覧ホームランを放ったことで知られています。


 福岡高校が甲子園に出なくなって30年近く経ちました。福岡高校が九州の学校だと思った方は、修行し直してくださいね(笑)。








 

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