11月16日 (日) 甲子園
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 0 0 0 0 2 0 0 1 3 巨人 62勝22敗2分 0.738 中尾輝三 広瀬習一
0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 南海 43勝41敗 0.512 川崎徳次 神田武夫
勝利投手 広瀬習一 8勝3敗
敗戦投手 神田武夫 25勝15敗
二塁打 (巨)川上 (南)安井
三塁打 (南)川崎
勝利打点 川上哲治 15
ファインプレー賞 (南)安井鍵太郎 9
巨人の秋季単独優勝決定!
南海はこの今季最終戦に勝つと巨人と秋季同率優勝となる。巨人は中尾輝三が先発、南海は川崎徳次が先発する。
南海は初回、一死後安井鍵太郎がライト線に二塁打、北原昇が四球を選んで一死一二塁とするが、村上一治の三ゴロをサード水原茂が三塁ベースを踏んで一塁に送球、「5C-3」と渡ってダブルプレー。
巨人は2回、二死後吉原正喜が三塁に内野安打、平山菊二が中前打で続いて二死一二塁とするが呉波は左飛に倒れて無得点。
南海は2回裏、二死後木村勉が四球で出塁、川崎も四球を選んで二死一二塁、国久松一の二遊間内野安打で二死満塁、トップに返り鬼頭数雄がライト線に二塁打を放って2点を先制する。
巨人は南海先発川崎のシュートが打てず無得点を繰り返す。5回、一死後呉が四球で出塁すると二盗に成功、しかし中尾は三振、トップに返り白石敏男も投ゴロに倒れる。6回も先頭の水原が四球を選ぶが中島治康の遊ゴロはショート北原昇が二塁ベースを踏んで一塁に送球、「6B-3」のゲッツーとなってこの回も無得点。
敗色濃厚となってきた巨人は7回、先頭の千葉茂が四球を選んで出塁、吉原の右前打で無死一三塁、平山は三振に倒れて一死一三塁、ここで川崎がワイルドピッチを犯して1-2としてなお一死二塁、呉の三ゴロをサード安井がファインプレー、二走吉原が二三塁間に挟まれ「5-6-1」と転送されてタッチアウト、この間に打者走者の呉は二塁を陥れる。巨人ベンチは中尾に代えて代打楠安夫を起用、楠が期待に応えて右前に同点タイムリーを放ち2-2と追い付く。
中尾に代打を出した巨人のマウンドには広瀬習一が立つ。
南海は7回裏、一死後鬼頭が右前打で出塁、安井が四球を選んで一死一二塁、しかし広瀬の浮き上がる速球に北原は左飛、村上は右飛に倒れてこの回無得点。
巨人は8回、先頭の水原が四球を選んで出塁、南海ベンチはここで川崎から昨日の阪神戦に完投した神田武夫にスイッチ、神田は巨人の誇るクリーンナップトリオと対峙するが一歩も引かず、中島を遊ゴロ、川上哲治を右飛、千葉を投ゴロに打ち取る圧巻のリリーフであった。
巨人は9回表、二死後呉が二塁に内野安打、広瀬の右前打で二死一三塁とするがトップに返り白石は中飛に倒れる。
南海は9回裏、先頭の国久松一がバントヒットを決めて出塁、しかしトップに返り鬼頭は中飛に倒れ、安井の投ゴロが「1-6-3」と渡ってダブルプレー、延長戦に突入する。
巨人は10回表、一死後中島が四球を選んで出塁、川上が右中間を真っ二つに割る二塁打を放って中島を迎え入れ3-2と勝ち越す。続く千葉は中飛に倒れてスリーアウトチェンジ。
南海は10回裏、先頭の北原がツースリーから四球を選んで出塁、村上は3球ファウルで粘るが三振、岩本義行が右中間にヒットを放ち一死一三塁、更に岩本が二盗を決めて一死二三塁と一打逆転サヨナラのチャンスを迎えるが、岡村俊昭が広瀬の渾身の投球に三振、木村が中飛に倒れて遂に秋季シリーズは巨人の単独優勝が決まった。
8回の投手交代がポイントであった。神田武夫は登板過多のため終盤になって調子を崩している。一方、川崎徳次は終盤戦で調子を上げてきた。しかしながら、3イニング連続で先頭打者を四球で歩かせており南海ベンチは限界と見てエース神田に賭けたのである。
広瀬習一にも意地があった。広瀬は滋賀県の大津商業では元々は内野手で投手としては無名の存在である。一方、神田は京都商業のエースとして満天下にその名は鳴り響いていた。京都と滋賀は常に京滋代表を争う関係にあったが京都勢が圧倒していた。プロに入ったのも神田が先でルーキーながらエースとしてここまで25勝、大津青嵐に進んだ広瀬は夏過ぎに京都の河原で入団テストを受けて巨人入り、須田博を病気で欠き、澤村栄治が二度目の入営となった巨人投手陣の救世主として終盤戦を戦ってきたのである。まだ調子の波は大きく安定実には欠けるが、下手からの浮き上がる速球で勝負どころでは全て凡飛に打ち取っている。広瀬としては自分には関係のない年度優勝よりも、秋季優勝に賭けていたのであろう。巨人の秋季単独優勝は、広瀬習一の意地がもたらしたものであった。
*広瀬習一は好リリーフを見せて巨人の秋季単独優勝に貢献した。
*南海との鍔迫り合いを制して秋季単独優勝を決めた巨人ナイン。
*健闘空しく秋季同率優勝を逃した南海ナイン。
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