2010年7月31日土曜日

12年春 阪急vs金鯱 8回戦

7月8日 (木) 西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 3 0 4 阪急 26勝23敗2分 0.531 笠松実-丸尾千年次-石田光彦
1 2 0 0 1 0 0 3 X 7 金鯱 21勝28敗1分 0.429 古谷倉之助


勝利投手 古谷倉之助 13勝12敗
敗戦投手 笠松実     7勝8敗


二塁打 (阪)西村 (金)濃人
本塁打 (金)瀬井 3号


二つの送りバントが巨艦を沈める


 阪急のクリーンナップトリオは三番サード宮武三郎、四番ファースト山下実、五番センター山下好一と今季初めて慶應トリオが占める。

 阪急は初回、先頭の西村正夫が左中間に二塁打、二番ショート倉本信護が四球で無死一二塁として強力クリーンナップトリオを迎える。しかし宮武は一飛、山下実は二直、山下好一は遊ゴロに倒れてランナーを進めることもできず二者残塁。ここは今季の阪急を象徴するシーンとして記憶されるべき場面である。
 金鯱は1回裏、先頭の濃人渉が左翼線に二塁打、こちらは島秀之助が投前に送りバントを決めて一死三塁、笠松実のワイルドピッチで濃人が生還して1点を先制。更に2回、一死後黒澤俊夫、五味芳夫の連打で一死一二塁、笠松の二塁牽制が悪送球となりランナーはそれぞれ進塁、センター山下好一はホームに返球するがこれが暴投となる間に黒澤がホームに還る。更にバックネットまで追ったキャッチャー島本義文からの返球が悪送球となり五味まで生還して3-0とする。

 金鯱は5回、二死無走者で瀬井清が左翼スタンドに第3号ホームランを叩き込んで4-0。阪急は6回、山下好一中前打、北井正雄四球から島本が中前にタイムリーを放って1-4と反撃の狼煙をあげる。

 阪急8回、この回先頭の山下実が二失に生き、山下好一四球、北井四球で無死満塁。島本は捕邪飛に倒れて一死満塁、金鯱はここでセカンドを五味から江口行男に交代、川村徳久に代わる代打黒田健吾がセンター右に快打を放ち山下実に続いて山下好一もホームに還り3-4、丸尾千年次は遊直に倒れて二死一二塁、トップに返り西村四球で二死満塁、金鯱はセンターの島秀之助を下げてライト佐々木常助がセンターへ、小林茂太がライトに入る、阪急は倉本に代わる代打重松通雄が押出し四球を選んで遂に4-4の同点に追い付く。

 金鯱は8回裏、この回先頭の黒澤が四球、江口死球で無死一二塁となり阪急は丸尾から三番手石田光彦にスイッチ、バッター相原輝夫の三球目に黒澤が三盗を決めて揺さぶりをかける。相原は右前にタイムリーを放ち5-4、佐々木常助が投前に送りバントを決めて一死二三塁、濃人遊飛で二死二三塁、小林茂の二飛をセカンド宇野錦次が逸らす間に江口が還って6-4、ライト西村からの本塁への返球が暴投となる間に相原も生還して7-4とする。

 古谷倉之助は一度は追い付かれながら6安打8四球2三振と久々にのらりくらり投法を発揮して完投で13勝目を飾る。金鯱はきめの細かい選手交代、黒澤の三盗、そして何といっても二つの送りバントを効果的に決めて巨艦主義の阪急に快勝。岡田源三郎監督快心の試合であろう。

 このカードは4勝4敗のドロー。見応えのある好ゲームの連続であった。金鯱の4勝は全て古谷倉之助の完投勝利、うち完封が2試合ある。4月21日の1回戦は古谷が5安打1四球、2三振で完封、この時点で阪急はジャイアンツと並んで首位を走っていた。5月12日の2回戦は古谷が2安打3四球0三振で完封、古谷快心の投球である。7回戦は延長12回表に金鯱が2点をあげるがその裏阪急が3点入れ返して劇的な逆転サヨナラ勝ち、今季最高の試合であった。

0 件のコメント:

コメントを投稿