2010年7月11日日曜日

12年春 第三期 月間MVP

昭和12年春季リーグ戦第三期を終了しましたので、月間MVPを発表させていただきます。




投手部門 


 セネタース 野口明 1


 投手部門はジャイアンツ澤村栄治、スタルヒン、セネタース野口明の争いとなった。
 澤村は第三期8試合に登板、56回1/3を投げて被安打25、与四死球18(与死球はありませんので与四球も18)、奪三振52、自責点4。6勝1敗完封勝利2、防御率0.64。WHIPは0.76という驚異的数値を叩き出した。
 スタルヒンは第三期9試合に登板、60回2/3を投げて被安打41、与四死球25(与死球は1)、奪三振46、自責点9。6勝1敗、防御率1.34。WHIPは1.07であった。
 野口明は第三期10試合に登板、80回2/3を投げて被安打59、与四死球24(与死球は1)、奪三振40、自責点9。7勝2敗完封勝利4、防御率1.00。WHIPは1.02であった。


 世の中には投手の能力はWHIPやDIPSで測るべきであると主張する人がいる。その伝でいけば第三期月間MVPは澤村ということになる。単純に投手の能力を測るだけであればそれだけで事足りるであろう。しかし、エースの価値を測るにはそれだけでは足りない。ジャイアンツは第三期14勝3敗、そのうち澤村とスタルヒンで12勝をあげた。セネタースは第三期7勝8敗、すなわちセネタースがあげた全勝利は野口明のものである。野口明の投球回数は澤村とスタルヒンを上回っておりこれも評価材料となる。しかし、ジャイアンツはタイガースと熾烈な首位争いを繰り広げており、一試合足りとも落とせない状況が続いており、澤村、スタルヒンのローテーションを死守しなければならない立場にあり、投球回数だけを判断材料にはできない。野口明は第二期の不振から立ち直り見事な復活劇をとげたというプラス材料もある。精神障害から立ち直り昨年アメリカン・リーグのサイ・ヤング賞に輝いたザック・グレインキー、麻薬中毒から立ち直り本年センセーションを巻き起こしてアメリカン・リーグ三冠王の可能性すらある6月の月間MVPを受賞したジョシュ・ハミルトンの例もあり、野口明が受賞することとなった。




打撃部門


 タイガース 松木謙治郎


 第三期も第二期に続きタイガース松木謙治郎と景浦将の争いとなった。
 松木は第三期、63打数24安打、打率3割8分1厘、15得点13打点、2本塁打。景浦は第三期、62打数21安打、打率3割3分9厘、18得点、9打点、1本塁打。四番景浦を上回る打点をあげた一番打者松木が受賞することとなった。




 第三期の各チームの成績は下記のとおりである。


タイガース   15勝2敗    0.882
ジャイアンツ  14勝3敗    0.824
大東京      7勝7敗2分 0.500
セネタース        7勝8敗    0.467
金鯱        5勝9敗     0.357
名古屋       5勝11敗     0.313
阪急            4勝9敗2分   0.308
イーグルス       3勝11敗     0.214




通算成績は下記のとおりである。

タイガース   33勝8敗1分
ジャイアンツ   32勝10敗1分
セネタース    23勝18敗
阪急         20勝19敗2分
大東京     15勝23敗3分
金鯱       15勝24敗
名古屋     15勝27敗
イーグルス    8勝32敗


 タイガースの総合力は突出している。よく組まれるオーダーは、

(三) 松木謙治郎
(左) 藤井勇
(四) 奈良友夫
(九) 景浦将
(八) 山口政信
(五) 伊賀上良平
(二) 門前真佐人
(一)
(六) 岡田宗芳

であり、奈良に代わり藤村富美男がセカンドに入る時はそのまま三番を打つ。投手陣は西村幸生、景浦将、若林忠志、御園生崇男の四本柱に藤村富美男が加わる。景浦将がマウンドに上がる時は御園生崇男がセンターに入り山口がライトに回る(逆もあり)。偶に出てくる玉井栄、広田修三、本堂保次、皆川定之も出れがよい働きをする。


 ジャイアンツは必死にタイガースに食らいついている。澤村栄治の突出ぶりは言わずもがなであるが、スタルヒンがようやくモノになってきたことがタイガースに離されない要因となっている。

 第三期の三位には大東京が食い込んだ。タイガースから移籍してきた菊矢吉男の活躍により、近藤久との左右の両エースが確立したことが大きい。浅原直人が四番に座り、煤孫伝が五番センターに入ることにより、序盤戦の四番バッター中村三郎が下位を打てる打線となってきた。

 セネタースは第三期の7勝が全て野口明によるものである。これは第二期に野口がスランプに陥った時に伊藤次郎が穴埋めしてきたことによりもたらされたものである。苅田久徳、中村信一の二遊間コンビが一二番を打ってきたが、このところ二番に入るキャッチャー北浦三男が渋い働きをしている。

 金鯱は第三期の5勝が全て古谷倉之助のものである。俊足黒澤俊夫が四番に入ることにより機動力を生かしているが、このところショート濃人渉の守備に不安がある。

 名古屋は前半戦のエース森井茂を欠き苦しい台所となっており、大沢清を四番ピッチャーで使わざるをえない。

 阪急は山下実を短期兵役で欠き、何とか宮武三郎が穴を埋めてはいるが依然常時出場できない。出れば澤村栄治をも打ち砕く底力を秘めている。6月19日にジャイアンツを破ったことにより、タイガースとジャイアンツの優勝争いに大きな影響を与えることとなった。

 イーグルスは終盤二連勝して波に乗りたいところ。バッキー・ハリスの加入により生まれ変わることができるか。


























 

0 件のコメント:

コメントを投稿