6月17日 (木) 上井草
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 1 1 0 1 1 0 6 タイガース 31勝8敗1分 0.795 西村幸生-景浦将
1 0 1 1 1 0 0 0 0 4 名古屋 15勝25敗 0.375 木下博喜
勝利投手 景浦将 8勝3敗
敗戦投手 木下博喜 2勝7敗
二塁打 (名)大沢、石丸、小島、高木
雨中の好ゲーム
翌日の読売新聞は冒頭「学生野球なれば当然中止になったであろう雨中戦が敢然と行われた裏には相当数多くの試合が雨のため延期となっているのと・・・わざわざ上井草まで足を運んだ観衆に満足をあたえるためであったと見られ、その苦衷は察せられる」と記している。この一文が当時の職業野球の置かれていた立場をよく表していると思います。学生野球の聖地とする神宮球場を使わせてもらえないため、東京では洲崎と上井草で開催している。後楽園球場の完成が待たれるところ。
タイガースは初回、トップの松木謙治郎がセーフティバントを試みピッチャー木下博喜の一塁悪送球に生きる。藤井勇四球後、奈良友夫は遊ゴロゲッツーに倒れるが、景浦将四球、山口政信の三ゴロはサード大沢清が一塁に悪送球して松木が還り1点を先制。伊賀上良平が中前タイムリーで続き2-0とする。名古屋はその裏、内野安打で出塁した志手を四番大沢清が汚名挽回の右中間二塁打で還して1-2。名古屋は3回、左翼線二塁打の石丸藤吉を又も大沢清が右前タイムリーで還して2-2の同点に追い付く。
タイガースは4回、西村幸生四球、松木四球から藤井の右翼線タイムリーで3-2。名古屋はその裏、高木茂四球、芳賀直一中前打、三浦敏一死球で満塁とし、石丸の遊ゴロで再び3-3の同点に追い付く。タイガースは5回、山口四球、伊賀上左前打を門前真佐人が送り、西村の右犠飛で5-4とリード。名古屋はその裏、大沢、小島茂男の連打から木下が左前タイムリーして三たび4-4の同点に追い付く。
一進一退の試合に決着をつけたのはタイガース終盤の攻撃、タイガースは7回、伊賀上がピッチャー強襲ヒットで出塁し捕逸で二進、門前左飛後、西村中前打で一死一三塁、ここで九番岡田宗芳が決勝のスクイズを決めて伊賀上がホームに滑り込み(この場面は翌日の読売新聞に写真が掲載されています)5-4とリードする。
名古屋は7回裏、先頭の小島が左翼線に二塁打するとタイガースは西村に代えて景浦将をライトからマウンドに呼び寄せるというお決まりのシーン。景浦はウォーミングアップもそこそこに後続を断ち名古屋の反撃を抑える。タイガースは8回、奈良、景浦の連打から伊賀上が中前にタイムリーを放ち6-4とリードを広げる。名古屋は最終回、一死後高木が右越え二塁打で出塁、代打岩田次男遊飛、代打白木一二中前打で二死一三塁、しかし最後は代打服部一男が二ゴロに倒れてゲームセットのサイレンが雨を突いて鳴り響く。
雨中の試合とは思えないほどの好ゲーム。雨の中をわざわざ上井草に足を運んだ263人の観衆もこれなら満足か。因みに上井草は今でこそ閑静な住宅街ですが、当時はまだまだ田舎でした。
*上井草球場跡地は現在上井草スポーツセンターになっており、受付の奥に写真の展示コーナーがあります。
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