2013年10月31日木曜日

16年 阪急vs南海 4回戦


5月5日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 2 0 0 2 0 5 阪急 11勝7敗 0.611 笠松実 森弘太郎
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 南海 7勝10敗 0.412 川崎徳次 神田武夫

森弘太郎 7勝0敗
川崎徳次 2勝4敗

二塁打 (急)山田 (南)安井、岩本

勝利打点 新富卯三郎 2

猛打賞 (南)安井鍵太郎 2


井野川采配

 阪急は初回、一死後フランク山田伝が右前打で出塁、上田藤夫は二飛に倒れるが、黒田健吾が四球を選んで二死一二塁、新富卯三郎が右前に先制タイムリーを放って1-0とする。

 南海は2回、鬼頭数雄、村上一治が連続四球、阪急・井野川利春監督はここで先発の笠松実をスパッとあきらめて森弘太郎を注ぎ込み、岡村俊昭が送りバントを決め、木村勉が四球を選んで一死満塁、井野川監督は更にセカンドを田中幸男から伊東甚吉に交代、柳鶴震の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 阪急は5回、一死後伊東が右前打で出塁、山田が右中間にタイムリー二塁打を放って2-0、中継が乱れる間に山田は三塁に進み、上田の右前タイムリーで3-0とする。

 南海は5回裏、二死後国久松一の遊ゴロをショート上田が一塁に悪送球、安井鍵太郎が右前打を放って二死一二塁、岩本義行が左翼線に二塁打を放って1-3とする。

 阪急は7回、先頭の伊東が四球で出塁、山田の二直に一走伊東が飛び出してゲッツー、しかし上田良夫が四球で出塁、黒田が左前打、新富が四球を選んで二死満塁、南海は先発の川崎徳次から神田武夫にスイッチ、森田定雄に代わる代打井野川利春監督は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪急は8回、先頭の日比野武の遊ゴロをショート柳がエラー、森は四球、中島喬の三前バントが内野安打となって無死満塁、トップに返り伊東の遊ゴロを柳が再び失して4-1、南海はショートを柳から前田貞行に交代、山田の遊ゴロ併殺の間に三走森が還って5-1とする。


 2回途中から登板した森弘太郎は8イニングを投げて8安打4四球1三振1失点、自責点ゼロの投球で開幕以無傷の7連勝を飾る。


 阪急の勝因は2回の井野川采配にあった。すなわち、連続四球の笠松実を見切って森弘太郎を投入、一死満塁となるとセカンドを田中幸男から伊東甚吉に交代、直後に「6-4-3」のゲッツーでピンチを凌いだ。




 

弾丸ライナー



 「最も見ごたえのあったのは、6回、水原を還した川上の三塁打である。0-2後(ツーボールナッシング=筆者注)、三輪の投げた低目の直球を川上が猛振すると、球は快音を立て、内野線を地上5尺位いの低目で飛んでいくライナーになって、そのまま球は伸びに伸びて右中間の塀に4バウンドで達したのであった。日本球界広しと云えども、川上ただ一人しか打てない“弾丸ライナー”である。」(大和球士著「真説 日本野球史」より)


 昭和15年11月18日付け都新聞に書いた大和球士の「弾丸ライナー」は川上の代名詞となった。



 熊本工業から吉原正喜とともに巨人に入団した川上は昭和13年5月1日、六番ファーストで起用されたが阪急先発・小田野柏に抑えられて2回の第一打席は右飛、5回の第二打席は左飛に倒れて永澤富士雄と交代した。5月7日の阪急戦では9回、代打に起用されるが遊直、9日の金鯱戦ではピッチャーとしてデビューし完投勝利を記録するが打つ方は5打数ノーヒットに終っている。5月14日のイーグルス戦で亀田忠から中前打を放ってプロ入り初ヒットを記録した。


 華々しいデビューを飾った訳でもない川上に転機が訪れたのは夏の北海道遠征中にベテラン一塁手の永澤富士雄が怪我で欠場した試合で活躍してレギュラーの座を掴んだと伝えられている。昭和13年は二シーズン制が採用されており、春季リーグ戦の最終日は7月17日、秋季リーグ戦の開幕日は8月27日であった。春季リーグ戦で川上がファーストスタメンで起用されたのは5月1日の阪急戦だけであるが、秋季リーグ戦は開幕日の8月27日から六番ファーストで起用され主力打者へと成長していくこととなる。昭和13年8月25日発行「聯盟ニュース」によると、「巨人軍、ラ軍(ライオン=筆者注)は横浜を振り出しに東北、北海道へ帯同遠征、両軍の戦績は巨人軍11勝ラ軍2勝に終わった。」と書かれている。春季リーグ戦と秋季リーグ戦の間の中休みに、巨人とライオンは北海道に遠征しており、この遠征で巨人vs函館オーシャン倶楽部との交歓試合が行われ、オーシャン出身の永澤富士雄が当然出場したがこの試合で永澤が右足骨折の重傷を負い、川上がレギュラーの座を掴むこととなったのである。



 当ブログではこれまで川上哲治の全試合をお伝えしてきております。当ブログの実況中継は昭和24年まで続きます。川上は亡くなりましたが、当ブログでの川上の活躍はまだまだ続くこととなります。






*昭和15年11月17日の阪神戦第三打席で川上が放った三塁打が“弾丸ライナー”と名付けられた。











*昭和13年、春季リーグ戦と秋季リーグ戦の間の中休みに巨人とライオンが東北、北海道遠征を行った。その終盤に巨人vs函館オーシャン倶楽部の交歓試合が行われている。この試合でオーシャン出身の永澤富士雄が負傷して川上哲治がファーストのレギュラーとなるのである。下の写真はその事実を伝える昭和13年8月25日発行の「聯盟ニュース」。





























 

2013年10月30日水曜日

16年 巨人vs名古屋 4回戦


5月5日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 2 1 2 5 巨人   13勝4敗 0.765 須田博
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 名古屋 9勝10敗 0.474 松尾幸造 西沢道夫
二塁打 (巨)川上
三塁打 (巨)呉
本塁打 (巨)川上 2号

勝利打点 川上哲治 4

川上哲治、決勝ホームラン!!!

 巨人は一番の千葉茂がセンターに入り、セカンドには筒井修を起用して八番に入った。

 6回まで巨人は1安打無得点、名古屋も2安打無得点。7回に試合は動いた。

 巨人は7回、先頭の川上哲治がライトポール際に先制ホームランを叩き込んで1-0、一死後六番に上がった白石敏男が中前打、6回の守備から出場している呉波が左中間に三塁打を放って2-0とする。

 巨人は8回、先頭の千葉が四球で出塁、水原茂は遊飛に倒れ、中島治康の二ゴロの間に千葉は二進、川上の左翼線二塁打で3-0とする。

 巨人は9回、先頭の平山菊二に代わる代打楠安夫が四球で出塁、呉の左前打で無死一二塁、二死後水原が死球を受けて二死満塁、中島が右翼線に2点タイムリーを放って5-0とリードを広げる。

 須田博は3安打4四球1三振で今季3度目の完封、7勝目をあげる。


 2013年10月30日に訃報が伝えられた川上哲治が決勝ホームランを放った。本日の日本シリーズは巨人が勝たなくてはならない(アップ時点では5対5の同点)。



                 *須田博は今季3度目の完封で7勝目をあげる。







*第三打席で川上哲治が決勝本塁打を放った瞬間を伝えるスコアカード。







 

2013年10月29日火曜日

三冠への道 2013 第23回



 今季のハンク・アーロン賞はア・リーグがミゲール・カブレラ、ナ・リーグがポール・ゴールドシュミットと発表されました。同賞がサイ・ヤング賞並みの評価となれば毎年MVP予想で頭を悩まされることも少なくなるかもしれません。


 今季のMVPはア・リーグはミゲール・カブレラでしょうが、ナ・リーグは数字的に上回るポール・ゴールドシュミットかピツバーグ・パイレーツを引っ張るアンドルー・マカッチェンか悩ましいところです。当ブログは守備力も加味してマカッチェンと予想していますが。MVPはポストシーズン進出チームから選出されるのが望ましいと思いますので、ハンク・アーロン賞がゴールドシュミット、MVPがマカッチェンというのが座りがいいのではないでしょうか。2003年のアレックス・ロドリゲスのように最下位チームからMVPが選ばれるといのもそれはそれで楽しい訳でもありますが。



 サイ・ヤング賞はア・リーグはダルビッシュ有と言いたいところですがマックス・シャーザー有利は如何ともしがたい。当ブログが課したノルマである奪三振でシャーザーに30個差を付けるという条件はクリアしましたが、シャーザーとの成績差を覆すまでのインパクトにはなりそうもありません。ナ・リーグはクレイグ・キンブレルと予想していますが、クレイトン・カーショウ有利は否めないでしょう。当ブログとしては、今季のカーショウには一昨年ほどのキレを感じませんので二度目のサイ・ヤング賞は難しいのではないかと考えています。





 

16年 大洋vs朝日 4回戦


5月5日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 2 0 0 0 0 3 大洋 12勝7敗 0.632 古谷倉之助 野口二郎
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 朝日   6勝14敗 0.300 井筒研一 福士勇

勝利投手 野口二郎 7勝2敗
敗戦投手 福士勇     4勝7敗

二塁打 (大)苅田、森田

勝利打点 森田実 2

猛打賞 (大)森田実 1

ファインプレー賞 (大)石井豊 2


森田実、決勝二塁打

 大洋は初回、先頭の苅田久徳が左中間に二塁打、中村信一の遊ゴロの間に苅田は三進、井筒研一がワイルドピッチを犯して1点を先制する。

 朝日はその裏、先頭の坪内道則の左飛をレフト織辺由三が落球、村上重夫は右飛に倒れるが坪内が二盗に成功、灰山元章は左飛に倒れて二死二塁、鬼頭政一の二飛をセカンド苅田がエラーする間に坪内が還って1-1の同点に追い付く。

 大洋は2回、一死後石井豊、古谷倉之助が連続四球、朝日ベンチはここで先発の井筒から福士勇にスイッチ、佐藤武夫は三振、織辺が四球を選んで二死満塁、しかし苅田は遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 大洋は3回、二死後黒澤俊夫が左翼線にヒット、森田実がショートに内野安打、石井が四球を選んで又も二死満塁、しかし古谷が三ゴロに倒れてこの回も無得点。

 大洋は4回、先頭の佐藤が左前打で出塁、しかし織辺の遊ゴロは「6-4-3」と転送されてダブルプレー、トップに返り苅田が四球で出塁するが中村は三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。大洋は2回から4回まで8人の走者を出したが無得点に終わる。

 大洋は5回、先頭の濃人渉が中前打で出塁、黒澤が送って一死二塁、森田が左中間に二塁打を放って2-1と勝ち越し、石井は中飛に倒れるが、古谷が中前にタイムリーを放って3-1とリードを広げる。

 大洋は勝ち越したところで5回裏から先発の古谷に代えて野口二郎をマウンドに送る。野口は5イニングを1安打1四球2三振無失点に抑えてハーラー単独トップとなる7勝目をあげる。7回~9回は3イニング連続三者凡退であった。


 昨年終盤から急速に力を付けてきた森田実が決勝二塁打を放って勝利打点と共に“真の殊勲打”を記録、併せて猛打賞も獲得した。









 

大成



 ハクタイセイ号の訃報が伝えられています。ハイセイコーの産駒としてはカツラノハイセイコ(ダービー、天皇賞)、サンドピアリス(エリザベス女王杯)と並んでG1競走(旧・八大競走を含む)を制した皐月賞馬でした。


 父ハイセイコーが皐月賞を制したのは1973年、オイルショックによりスーパーの店頭からトイレットペーパーが姿を消した年のことでした。息子ハクタイセイが皐月賞を制したのは1990年、バブル崩壊の年です。日本経済の節目の年に登場した名馬でした。


 1990年は日本経済のバブルが崩壊した年でしたが、競馬バブルは正に絶頂を迎えようとしていました。武豊がデビューし、オグリキャップが登場した競馬界はバブルに向かってGoしていた訳ですが、その絶頂が1990年ダービーの「ナカノコール」でした。1989年の朝日杯三歳ステークス(馬齢は旧表記)をマルゼンスキーのタイレコードで制したアイネスフウジンは1990年クラシックロードの主役となるはずでしたが、共同通信杯四歳ステークスを勝っただけで弥生賞はメジロライアンの四着、皐月賞はハクタイセイの二着に敗れました。


 この年のダービーは東京競馬場に19万6517人の観衆が詰めかけ、レコードで逃げ切り勝ちを飾ったアイネスウジンが向こう上面から一コーナーを回って直線コースに戻って来た時に期せずして湧き起ったのが、騎乗する中野栄治騎手を称える「ナカノコール」です。この瞬間、日本の競馬は変わりました。まだギャンブルとしてしか見られていなかったハイセイコーの時代から「家族揃って中央競馬」などという現実離れしたキャッチコピーで競馬の大衆化を図ってきた中央競馬会の地道な努力が報われた瞬間でもありました。



 「ハクタイセイ」の名前は、ハイセイコー産駒らしくないない「白い」芦毛の馬体と「大成」してほしいという願いから名付けられたものです。この年の牝馬クラシック路線でも芦毛のハイセイコー産駒ケリーバッグが大活躍して「白いハイセイコー」と呼ばれました。ハクタイセイは1990年の皐月賞を制して、その馬名に願いが込められたように「大成」したのです。





 

2013年10月27日日曜日

16年 名古屋vs大洋 3回戦


5月3日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 1 0 0 0 1  2 名古屋 9勝9敗 0.500 河村章
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 大洋   11勝7敗 0.611 三富恒雄 野口二郎 浅岡三郎

勝利投手 河村章     5勝1敗
敗戦投手 三富恒雄 1勝4敗

勝利打点 なし


河村章、粘りの完封

 4回まで無安打の名古屋は5回、一死後吉田猪佐喜が四球を選んで出塁、服部受弘の遊ゴロは併殺コースに飛んだがショート濃人渉が二塁に悪送球して一死二三塁、大洋ベンチは堪らんとばかりに先発の三富恒雄から野口二郎にスイッチ、芳賀直一はカウントツーツーからスクイズを敢行するが外されて芳賀は三振、三走吉田は三本間に挟まれるがサード高橋輝彦からの本塁送球が逸れる間に吉田が生還して1点を先制する。翌日の読売新聞によると「佐藤の三塁への走者追い返しが足らずために三塁手の本塁悪投を誘発」したとのこと。挟殺プレーの際にキャッチャー佐藤武夫が十分に三走吉田を三塁ベースに追い詰めなかったことがサード高橋による悪送球の原因であったと論じている。このようなレベルの高い論評は当然、鈴木惣太郎によるものです。

 1点リードされた大洋は6回から野口二郎を打者一人でライトに回し、浅岡三郎をマウンドに送る。
 5回まで無安打ながら1点を先制した名古屋は6回、先頭の石丸進一がチーム初ヒットとなる左前打を放って出塁、しかしキャッチャー佐藤からの牽制球にタッチアウト、河村章が四球で出塁、トップに返り木村進一の右前打で一死一二塁、しかし桝嘉一は遊飛、本田親喜は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。


 7回先頭の大沢清の中前打、8回一死後河村章の左翼線ヒットを生かせなかった名古屋は9回、一死後大沢がストレートの四球で出塁、吉田の左翼線ヒットで一死一三塁、吉田が二盗を決めて、服部が四球を選んで一死満塁、芳賀の左犠飛で貴重な追加点をあげる。

 河村章は4回を除いて毎回走者を出しながら8安打4四球1三振で今季2回目の完封、5勝目をあげる。


 甲子園球場で予定されていた阪急vs黒鷲戦、阪神vs南海戦は雨のため順延となった。







                  *河村章は8安打完封で5勝目をあげる。







 

16年 朝日vs巨人 3回戦


5月3日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 朝日   6勝13敗 0.316 山本秀雄
0 0 0 0 0 1 1 0 X  2 巨人 12勝4敗 0.750 中尾輝三

勝利投手 中尾輝三 4勝0敗
敗戦投手 山本秀雄 2勝3敗

二塁打 (巨)吉原、白石

勝利打点 白石敏男 3

ファインプレー賞 (巨) 千葉茂 1


白石敏男、意地の決勝打

 巨人は白石敏男を七番に下げて千葉茂を一番に入れ、吉原正喜を五番に上げるオーダーを組んだ。

 中盤までは朝日先発の山本秀雄と巨人先発の中尾輝三の投げ合いが続き5回まで0対0。朝日は初回、先頭の坪内道則が三塁内野安打で出塁するが吉原からの牽制に刺されて出鼻を挫かれた。4回、5回も先頭打者をヒットで出すなど朝日が押し気味に試合を進めてきたが6回に形成は逆転した。

 巨人は6回、一死後吉原が四球を選んで出塁、平山菊二は二飛に倒れるが、この日七番に下げられた白石が意地の左翼線二塁打を放って吉原を迎え入れ1点を先制する。

 巨人は7回、一死後千葉が左前打で出塁、水原の三ゴロの間に千葉は二進、中島治康が右前にタイムリーを放って2-0と突き放す。翌日の読売新聞によると「水原の三ゴロに当然併殺が決まると見えたに二塁戸川の入塁が遅れて千葉を二進させる不手際」があったとのことで、見えないエラーが戦局に大きく影響を及ぼした。

 朝日は8回、一死後坪内が四球で出塁、室脇正信が左前打で続いて一死一二塁、続く灰山元章は二飛に倒れるが鬼頭政一が四球を選んで二死満塁、戸川信夫は三ゴロに倒れてこの回も無得点。

 中尾輝三は9回も先頭の代打野村高義にヒットを許すが「4-6-3」の併殺で切り抜け、6安打3四球2三振で今季初完封、4勝目をあげる。山本秀雄も8回を完投して6安打5四球1死球1三振2失点と健闘したが及ばなかった。







                  *中尾輝三は6安打完封で4勝目をあげる。










 

2013年10月26日土曜日

16年 黒鷲vs阪神 3回戦


5月1日 (木) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 黒鷲   4勝13敗 0.235 亀田忠
3 0 1 0 0 0 0 0 X  4 阪神 10勝7敗 0.588 藤村隆男

勝利投手 藤村隆男 3勝2敗
敗戦投手 亀田忠     3勝6敗

三塁打 (神)松尾

勝利打点 なし


玉腰忠義にアクシデント

 阪神は初回、一死後宮崎剛が四球で出塁、カイザー田中義雄の右前打で一走宮崎が三塁に向かい、ライト小島利男からのバックサードが悪送球となる間に宮崎が三塁を回ってホームイン、1点を先制してなお一死三塁、土井垣武の左犠飛で2-0、更にジミー堀尾文人が中前打で出塁、松尾五郎が左中間に三塁打を放って3-0とする。

 阪神は3回の守備からキャッチャー土井垣武が退きファーストの田中がキャッチャーに回り、ファーストには松木謙治郎が入る。今季の阪神はこのローテーションをよく見せています。

 阪神は3回裏、先頭の宮崎が四球で出塁、田中の投前お送りバントをピッチャー亀田忠がお手玉、犠打エラーが記録されて無死一二塁、松木の右飛で二走宮崎はタッチアップから三進、堀尾の左前タイムリーで4-0とする。

 藤村隆男は黒鷲打線を4安打に抑えて4四球1三振で今季初完封、3勝目をあげる。


 1回表の第一打席で今季17本目のヒットを放った玉腰忠義が1回裏の途中に退場した。一死一塁からカイザー田中が右前打を放ちライト小島利男の三塁送球が悪送球となった場面で、翌日の読売新聞によると「このとき左翼玉腰は金網に激突して退場」とのことです。レフトの玉腰は、田中の当りがライトに飛んだ瞬間アスリートの本能に従いサードカバーに走ったのでしょう。宮崎が三塁に走るのを見てスピードを上げ、小島の送球が逸れるとフェンス際までボールを追いかけた訳です。恐らくフェンス際の手入れが悪く、脚を滑らせたのでしょう。フェンスに激突して退場することとなりました。


 玉腰忠義は今季第一節で敢闘賞、第三節で週間MVPを獲得しているように開幕から絶好調で、本日現在53打数17安打、打率3割2分1厘で3割3分3厘の吉原正喜、3割2分7厘の平山菊二に次いで打撃ベストテンの第三位に付けていますが、春季シリーズを棒に振ることとなり、復帰するのは夏季シリーズに入って6月21日の阪急戦からとなります。スタメン復帰は翌22日の名古屋戦からとなりますので、「日本プロ野球私的統計研究会」様が運営する“スタメンアーカイブ”でご確認ください。










                  *藤村隆男は4安打完封で今季3勝目をあげる。











*阪神1回の攻撃、一死一塁に宮崎剛を置いてカイザー田中義雄が右前打、宮崎が三塁に走りライト小島利男からの三塁送球が悪送球となって宮崎が生還した場面。「9”-5」は塁を二つ与えた失策を表します。田中が三塁に進んだため、小島のエラーで塁を二つ与えたことになります。











*第一打席でセンター左にヒットを放った玉腰忠義は1回裏の途中で谷義夫と交代しました。谷義夫の守備位置「7」の横に「a」と書かれていますが、「備考」欄を見ると1回途中で交代したことが分かります。








 

2013年10月25日金曜日

16年 南海vs阪急 3回戦


5月1日 (木) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 南海   7勝9敗 0.438 神田武夫 川崎徳次
0 0 0 3 0 0 0 0 X  3 阪急 10勝7敗 0.588 森弘太郎

勝利投手 森弘太郎 6勝0敗
敗戦投手 神田武夫 4勝4敗

二塁打 (急)日比野、中島

勝利打点 中島喬


森弘太郎、3安打完封

 阪急は4回、先頭の森田定雄が左前打で出塁、日比野武が打撃妨害を受けて無死一二塁、森弘太郎の送りバントは投飛に終わるが、中島喬が左中間に二塁打を放って1点を先制、トップに返り田中幸男が左前に2点タイムリーを放って3-0とする。

 阪急の得点は4回の3点だけであったが、阪急打線は森を除く全員安打で10安打を記録、全員残塁で11残塁を記録する拙攻でもあった。

 森弘太郎は南海打線を3安打に抑えて4四球3三振で今季3度目の完封、6勝目をマークしてハーラートップに並んだ。森がヒットを打たれたのは鬼頭数雄、木村勉、安井鍵太郎の3人であったが、翌日の読売新聞には「森の好投に遭って僅かに2安打に封じ込まれ」と書かれている。読売新聞に掲載されているテーブルスコアを見ると安井鍵太郎にはヒットが記録されていない。公式スコアカードでは安井のヒットは二遊間を抜けたものであるが、読売新聞でスコアを付けていた記者はこの当りをヒットとは記録しなかったようだ。


 森は守っても、4回無死一塁で岩本義行の投ゴロを「1-4-3」のゲッツー、8回一死一塁で安井鍵太郎の投ゴロを「1-6-3」のゲッツーで切り抜けフィールディングの良さを見せつけた。

 なお、この試合の勝利打点は中島喬に記録されますが、“真の殊勲打”は中島の先制二塁打と田中幸男の2点タイムリーとなります。







          *森弘太郎は南海打線を3安打に封じ込めて6勝目をあげる。











        *阪急打線は森弘太郎を除く全員安打で3得点。併せて11残塁も記録している。























































 

shokuyakyu球団




 松井は5球団が競合して楽天、渡邉諒は外れの外れの外れの一位で日ハム、田口麗斗は巨人の三位指名でした。


 当ブログでは「shokuyakyu球団」を立ち上げます。スタッフ、選手とも筆者が独断と偏見のみで選出させていただきました。選手は2000年以降の高校野球選手に限定させていただきます。当ブログ開始以降は当ブログで紹介した選手に限定、当ブログ開始以前は筆者がお気に入りリストに入れていた選手に限定とさせていただきます。資金難のためまだ選手不足ですが、毎年ドラフト会議で補強していきます。


監督:吉原正喜 生きて還って来ていたら巨人の監督は川上ではなく吉原であったと言われています。

ピッチングコーチ:澤村栄治 日本野球史上最高の投手。
打撃コーチ:景浦将 戦前最強のスラッガー。
走塁コーチ:田部武雄 50メートルまでなら“暁の超特急”吉岡隆徳より速かったと言われている。
守備コーチ:基満男 筆者がプロ野球史上最も好きな選手。
二刀流育成コーチ:宮武三郎 東京六大学通算38勝及び7本塁打の“真の二刀流”。

女子マネA:川島なお美 高校時代はバンビ坂本の大ファンで、バンビに会うために野球部マネージャーになった。
女子マネB:磯山さやか 高校時代は野球部マネージャーで好きなプレーは「6-4-3」のゲッツー。特技はスコアブック。

広報担当:パンチョ伊東 筆者と同郷。
スカウト:筆者 スカウト実績は浅村だけかも(笑)。




投手:根市隆寛 光星学院(現・八戸学院光星高等学校)時代は2000年夏の甲子園に出場してベスト4。背番号3の無名の一塁手兼投手で、筆者が生きのいいストレートに注目した逸材。巨人にドラフト4位指名された時は、何より筆者が驚いた。

    内竜也 川崎工業時代は3年夏の神奈川県予選ベスト8。この年の神奈川は四強(横浜高校、東海大相模、桐蔭学園、桐光学園)を差し置いて給前信吾を擁する横浜商大高か内竜也を擁する川崎工業が甲子園に行くのではないかと期待が高まりました。横浜高校は成瀬、2年生の涌井、荒波翔、石川を擁してセンバツは準優勝であったにもかかわらずです。甲子園には給前の横浜商大が行きました。この時の2年生の控え投手がボストン・レッドソックスの田澤純一です。神奈川県高校野球史上空前の豊作世代でした。内竜也はロッテのドラフト一位、成瀬はロッテの六位指名でしたがプロ入り後は立場が逆転しました。

    松井 2013年ドラフトで補強。

    田口麗斗 同じく2013年ドラフトで補強。スライダーのキレは松井並み。


捕手:田村龍弘 光星学院(現・八戸学院光星高等学校)時代は三季連続甲子園準優勝。一般的にはショートの北条の方が評価が高いようですが当ブログは田村の方を評価しています。

一塁手:浅村栄斗:スカウト筆者の最大のヒット作。甲子園で見せた遊ゴロで三塁に走った二走を刺したプレーは是非ユーチューブでご確認ください。何故当ブログが浅村を評価するかがご理解いただけると思います。本当はショートで使いたい。

二塁手:浜名翔 東海大浦安時代は2000年夏の甲子園で背番号4のピッチャーとして準優勝。「shokuyakyu球団」では本職の二塁手として使います。

三塁手:未定

遊撃手:渡邉諒 2013年ドラフトで補強。浅村二世と期待しています。

外野手:荒波翔 横浜高校1年生の時、夏の神奈川県予選決勝で横浜スタジアムの外野席で目の前で見ていました。甲子園で低いライナーで右中間を破った三塁打は忘れられません。

     大谷翔平 宮武コーチの指導でどこまで伸びるか。早いとこ外野に専念してもらいたい。




 

2013年10月23日水曜日

ドラフトへの道 2013 ⑩



 いよいよ明日はドラフト会議です。本番に先立ちまして、「shokuyakyu球団」の指名選手を発表します。MCは同郷のよしみでパンチョ伊東さんにお願いいたします。


 一位指名は桐光学園の松井にします。一番の魅力は“客が呼べる”点にあります。毎年人気選手は出てきますが、松井の人気は実際に球場に行ってみないと理解できないかもしれません。スカウト兼球団オーナー兼小間使いの筆者としては“集客力”に注目しています。


 二位指名は東海大甲府の渡邉諒でいきます。筆者と相性が良く、昨秋の関東大会では前橋・敷島球場に到着した瞬間に左中間への大ホームランを放ちました。今年9月の18U野球ワールドカップでは帰宅してBS朝日にチャンネルを合わせた瞬間にツーランホームランを打っています。2012年8月19日付けブログ「快心の采配」で「東海大甲府の2年生ショート渡辺諒は間違いなく来年のドラフト候補でしょう。9回に三遊間の当りを逆シングルで捌いたプレーはよく覚えておいた方がいいですよ。」と書かせていただきましたが、いよいよその日がやってきます。


 三位指名は初めて公表させていただきますが、新庄高校の田口麗斗を考えています。中継ぎタイプなので下位指名で十分です。資金力に乏しい当球団向きの選手ですね。広島決勝で敗れた瀬戸内高校の山岡はダルビッシュに絶賛されて注目されましたが東京ガスに進むようです。ダルビッシュもスカウトとしてはまだまだ修行が足りないようですね(笑)。山岡のピッチングは甲子園の画像で見ていましたが、田口は山岡に敗れて甲子園には出ていないので見たことがなく候補ではありましたが書いてはいませんでした。18U野球ワールドカップの画像で初めて見てあのスライダーは中継ぎで使えると判断しましたので三位指名させていただきます。



 司会進行をお願いしたパンチョ伊東さんは幼少期、戦時中の疎開で千葉県市川市に転居して市川小学校から市川一中という経歴です。筆者の時代では真間小学校の同級生の3分の1が千代田区の中学に進んでいますので、パンチョさんも筆者と同年代であれば中学は筆者の先輩となっていた可能性が高い。実際、パンチョさんは市川一中から両国高校に進んでいます。江戸川を渡ればすぐに東京都となる千葉県市川市の住民は“市川都民”と呼ばれています。東側の千葉方面を向く住民は少なく、西側の東京志向となります。筆者の実家の近辺でもお父さんのほとんどが東京に勤務していました。中学からは東京に出るのが普通で、桜蔭や教育大駒場、麻布に進学する人もいました。筆者の小学校時代の同級生の女子が一人だけ千葉大付属に進みましたが例外中の例外です。筆者の場合は高校は東京も通り過ぎて神奈川まで通っていましたが(笑)。


 明日はドラフト会議と言うことでパンチョさんネタが長引きましたが、松井に何球団が競合するのかを楽しみにしています。








 

16年 名古屋vs巨人 3回戦


5月1日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計       
0 0 0 0 0 2 0 1 4 7 名古屋 8勝9敗 0.471 松尾幸造 西沢道夫
0 0 0 2 0 0 0 0 0 2 巨人   11勝4敗 0.733 澤村栄治 須田博 泉田喜義

勝利投手 西沢道夫 2勝4敗
敗戦投手 須田博     6勝2敗

二塁打 (巨)吉原

勝利打点 なし


猛打賞 (名)芳賀直一 1


吉田猪佐喜が真の殊勲打

 3回まで無安打無得点の巨人は4回、一死後川上哲治の二ゴロをセカンド木村進一がエラー、千葉茂の中前打で一死一二塁、吉原正喜が左翼線に二塁打を放って二者還り2点を先制する。続く平山菊二が四球を選んだところで名古屋ベンチは先発の松尾幸造から西沢道夫にスイッチ、呉波、澤村栄治が連続二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 5回まで2安打無得点の名古屋は6回、一死後桝嘉一が四球を選んで出塁、本田親喜のピッチャー強襲ヒットで一死一二塁、大沢清は右飛に倒れるが、吉田猪佐喜が左中間に三塁打を放って2-2の同点に追い付く。

 巨人は7回から先発の澤村に代えて須田博をマウンドに送る豪華リレーを見せる。

 名古屋は8回、先頭の木村の遊ゴロをショート白石敏男が一塁に悪送球、桝が送って一死二塁、大沢は三振に倒れるが、吉田の二ゴロをセカンド千葉が失する間に二走木村が還って3-2と勝ち越す。

 名古屋は9回、先頭の服部受弘が右前打、芳賀直一が中前打で続いて無死一二塁とするが二走服部がキャッチャー吉原からの牽制に刺されて一死一塁、石丸進一が中前打を放って一死一二塁、西沢がセンター右にタイムリーを放って4-2、一走石丸は三塁に進みパスボールの間にホームインして5-2、木村は三ゴロに倒れるが、桝が中前打、本田が四球を選んで二死満塁、大沢が右翼線にタイムリーを放って6-2、吉田が押出し四球を選んで7-2として試合を決める。


 巨人は須田博をリリーフに送ったが、翌日の読売新聞・鈴木惣太郎の論評によると「須田の救援登場は毎時気乗り薄で成功せず・・・」とのことで、藤本采配に疑問を呈している。

 名古屋の決勝点は千葉茂のエラーによるもので勝利打点は記録されないが、“真の殊勲打”は6回に同点三塁打を放った吉田猪佐喜の一打でしょう。





 

2013年10月22日火曜日

16年 朝日vs大洋 3回戦


5月1日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0   0   0 朝日   6勝12敗 0.333 福士勇
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  1X  1 大洋 11勝6敗 0.647 浅岡三郎 野口二郎

勝利投手 野口二郎 6勝2敗
敗戦投手 福士勇     4勝6敗

二塁打 (大)野口

勝利打点 濃人渉 1


濃人渉、サヨナラ打

 両軍無得点のまま迎えた延長13回裏大洋の攻撃、先頭の森田実の二ゴロをセカンド五味芳夫がエラー、森田は二盗を試みるもキャッチャー伊勢川眞澄からの送球にタッチアウト、しかし高橋輝彦が四球を選んで出塁、野口二郎が左中間に二塁打を放って一死二三塁、古谷倉之助は敬遠の四球で一死満塁、大洋が織辺由三に代えて代打村松長太郎を起用すると朝日はレフトを村上重夫から野村高義に交代、村松は浅い右飛に倒れて二死満塁、トップに返り濃人渉を打席に迎えると大洋はレフトの野村とライトの室脇を交換、しかし濃人が中前にサヨナラタイムリーを放ってゲームセットを告げるサイレンが高々と鳴り響く。


 朝日は6回まで5回を除いて毎回走者を出すが無得点。7回、先頭の室脇が四球で出塁、村上が送って一死二塁、前田諭治が四球を選んで一死一二塁、ここで大洋ベンチは先発の浅岡三郎から野口二郎にスイッチ、セカンドも中村信一から苅田久徳に交代する。福士勇の当りは一塁後方への邪飛、ファースト石井豊が捕球すると二走村上と一走前田がタッチアップからスタート、石井からサード高橋に送球されるがセーフ、高橋が二塁に送球する間に三塁に達していた室脇がホームに突進、サード高橋からの送球を捕球したセカンド苅田が落ち付いてホームに送球し室脇はタッチアウト。その後は野口二郎に抑え込まれた。


 朝日先発の福士勇は12回3分の2を投げて5安打7四球1三振1失点のピッチングであった。

 大洋先発の浅岡三郎は6回3分の1を投げて3安打6四球2三振無失点。二番手の野口二郎は6回3分の2を投げて3安打1四球2三振無失点で完封リレー、野口が6勝目をあげる。








 

2013年10月21日月曜日

ボストンvsセントルイス



 2013年のワールドシリーズはボストン・レッドソックスvsセントルイス・カージナルスの争いとなりました。両チームの対戦は4度目となります。2004年にボストンがスウィープしたシリーズは記憶に新しいところで当ブログが取り上げるまでもありませんので、1946年と1967年のシリーズ特集といきましょう。


 1946年のワールドシリーズは4勝3敗でカージナルスがレッドソックスを降しました。ハイライトシーンは“Mad dash”(キチガイじみた走塁)として名高いイノス・スローターの本塁突入です。

 両軍3勝3敗で迎えた10月15日の第七戦は8回表にドミニク・ディマイオ(ジョー・ディマジオの弟)が同点二塁打を放ち3対3となって8回裏カージナルスの攻撃を迎えます。先頭の四番イノス・スローターがヒットで出塁、しかしホワイティ・クラウスキーの送りバントはポップフライとなって失敗、ジョー・ガラジオラも凡飛に倒れて二死一塁となります。続くハリー・ウォーカーのカウントツーボールワンストライクの場面で一走スローターがスタートを切ってヒットエンドランを敢行、ウォーカーの打球は左中間に飛びました。スローターは三塁に向かい、三塁ベースコーチのマイク・ゴンザレスは両手を大きく広げて“ストップ”のサイン、レッドソックスの中堅手レオン・カルバーソンからの返球をカットした遊撃手ジョニー・ペスキーは三塁に送球しようとしました。ここで何とイノス・スローターが三塁ベースコーチの制止を振り切ってホームに走ります。三塁に投げようとしていたペスキーの本塁送球が一瞬遅れてスローターがホームイン、そのままカージナルスが逃げ切りワールドシリーズを制したのです。

 レオン・カルバーソンと共に左中間の打球を追った左翼手はテッド・ウィリアムス、四番スローターの前を打つ三番打者はスタン・ミュージアルでした。40年代~50年代を代表する両リーグのスラッガーがワールドシリーズで対戦したのはこの時だけのことです。


 1967年のワールドシリーズも3勝3敗から第七戦にもつれ込みます。ボストンの先発は2勝0敗のジム・ロンバーグ、セントルイスの先発も2勝0敗のボブ・ギブソン。ロンバーグはこの年のサイ・ヤング賞、ギブソンは翌68年にサイ・ヤング賞を獲得することとなります。ボストンの監督はディック・ウイリアムス、セントルイスの監督はレッド・ショーエンディエンストと、後に殿堂入りする名将対決でもありました。

 この試合はボブ・ギブソンが自らホームランも放ち7対2でカージナルスが優勝しました。カージナルスは翌68年に日米野球で来日します。ボブ・ギブソンの一塁側に大きく倒れ込む大リーグ式ピッチングが話題になりました。「巨人の星」で活躍したアームストロング・オズマもこの時来日した設定になっています。まだ無名時代のスティーブ・カールトンは、ロッテの成田にスライダーを伝授され、フィリーズ移籍後にサイ・ヤング賞を4回獲得することとなります。



 過去のデータを分析すると、接戦となれば勝負強いカージナルス、圧勝するならレッドソックスでしょう。当ブログはレッドソックス有利と見ていますがいかがでしょうか。因みに10月11日付けブログ「経験の差」ではナショナル・リーグ・チャンピオンシップ・シリーズを予想して「ドジャースはカーショウで落とすと後がなくなる恐れがあります。当ブログは勝負強いカージナルス有利と見ていますがいかがでしょうか。」とズバリ的中させていただきました(笑)。








*1946年のワールドシリーズで“Mad dash”を見せたイノス・スローターの直筆サイン入り写真。











       *1946年のワールドシリーズに出場したドミニク(ドム)・ディマジオのサイン。











                   *同じくボビー・ドーアのサイン。











*同じくジョニー・ペスキーのサイン。「Ted We did it!!」とは、2004年のワールドシリーズをレッドソックスが1918年以来86年ぶりに制して“バンビーノの呪い”を解いたことを天国のテッド・ウィリアムスに報告したものです。この3人は長寿として知られており、ドミニク・ディマジオは2009年に92歳で亡くなり、ジョニー・ペスキーは2012年に92歳で亡くなり、ボビー・ドーアは95歳の現在もお元気のようです。3人の姿はよくフェンウェイ・パークで見ることができましたね。フェンウェイ・パークのライト線ポールは「ペスキーズ・ポール」と呼ばれています。非力なペスキーがライトポール際にホームランを打ったことに由来します。










 

2013年10月20日日曜日

16年 4月 月間MVP



月間MVP

投手部門

 阪急 森弘太郎 1

 投手部門は須田博、野口二郎、森弘太郎の争いとなった。

 須田は今月7試合に登板して6勝1敗、52回3分の1を投げて防御率1.55、WHIP0.88、奪三振率2.94であった。

 野口は今月8試合に登板して5勝2敗、64回を投げて防御率0.98、WHIP0.88、奪三振率4.50であった。

 森は今月6試合に登板して5勝0敗1セーブ、49回を投げて防御率0.92、WHIP0.71、奪三振率2.02であった。

 須田博は下位チームに対する手抜きピッチングが祟って防御率で見劣りすることから脱落、27日の直接対決で野口二郎に投げ勝った森弘太郎が安定した投球で月間MVPに輝いた。




打撃部門

 巨人 平山菊二 1

 打撃部門は巨人の中島治康、川上哲治、平山菊二の争いとなった。

 中島は今月14試合に出場して、打率3割1分7厘、出塁率3割9分7厘、長打率4割8分3厘、OPS0.880であった。

 川上は今月14試合に出場して、打率3割2分8厘、出塁率3割9分1厘、長打率4割4分8厘、OPS0.839であった。

 平山は今月14試合に出場して、打率3割4分8厘、出塁率5割、長打率5割2分2厘、OPS1.022であった。

 平山菊二は5得点8打点で、8得点12打点の川上哲治、9得点10打点の中島治康に見劣りするが、14四球6盗塁を記録しており、打撃主要部門で他を圧していることから平山の受賞となった。

 巨人勢以外では黒鷲の玉腰忠義が今月16試合に出場して、打率3割8厘、出塁率3割7分9厘、長打率4割4分2厘、OPS0.822と健闘した。







 

16年 第3節 週間MVP



 今節は阪神が3勝1敗、巨人が3勝1敗、南海が3勝2敗、名古屋が3勝2敗、朝日が2勝3敗、黒鷲が2勝3敗、阪急が2勝3敗、大洋が1勝4敗であった。黒鷲は2勝であったが22日の阪急戦は10得点、26日の巨人戦では17得点をあげた。


週間MVP

投手部門

 朝日 福士勇 1

 25日の大洋戦と29日の南海戦で完封勝利。昨年の満州遠征で満州日日新聞の吉田要記者兼審判員にその素質を絶賛された真価を発揮してきた。


 南海 石田光彦 1

 今節3試合に登板して22イニングスを投げて1完封を含む防御率0.00。阪急から南海に移籍した今季はコントロールが乱れて早期降板が多かったがキレが戻ってきた。



打撃部門

 名古屋 吉田猪佐喜 1

 今節19打数5安打ながら3得点8打点、二塁打1本、本塁打2本と豪打を炸裂させた。吉田猪佐喜は戦後、「吉田和生」として松竹水爆打線に名前を連ねることとなる。「小西得郎」をグーグルで検索すると松竹時代のユーチューブの画像にヒットし、「吉田和生」の打撃の画像を見ることができます。スウイングアークの大きな柔らかいスウィングです。


 南海 村上一治 1

 今節15打数8安打1得点4打点、二塁打3本、勝利打点2個とこちらも豪打を炸裂。5試合連続5個の四球も選んでおり出塁率は6割5分に及ぶ。ネット上にはWikipediaの「1941年、南海軍に入団。ルーキーながら5番一塁手として開幕レギュラーの座を掴むもその後大きな実績を残すことは出来ずレギュラー定着にはいたらなかった。」という記述を鵜呑みにして事実に反するコメントが目に付くが、この実績をどう見ているのでしょうか?

 村上一治は昭和17年に3月28から4月6日までの間だけ出場して、22打数7安打二塁打2本、本塁打1本、打率3割1分8厘の記録を残して戦場に赴くこととなり、シベリア抑留を経てプロ野球に復帰するのは昭和24年のこととなる。アスリートとして最も大切な26歳から32歳までの7年間を戦争に奪われた村上一治の気持ちをどう考えるべきでしょうか?プロ野球に復帰する昭和24年には13試合に出場して13打数5安打、打率3割8分5厘のハイアベレージをマークすることとなります。試合数と打数の関係から、“代打の切り札”であったことがうかがえます。



 阪神 野口昇 1

 今節14打数5安打2得点6打点、二塁打2本、本塁打1本、勝利打点2個を記録すると共に、真の殊勲打も3本(うち2本は勝利打点と重複する)放っています。野口二郎は自伝に野口四兄弟では最も素質があったと述懐していますが、野口昇は戦死することとなる。


 名古屋 本田親喜 1

 今節16打数7安打6得点2打点、6四球3盗塁、三塁打1本をマークすると共に、4個のファインプレー賞も獲得する。そのプレー振りを見ていると、「いい選手だなぁ~」と言う感想が聞かれてきそうです。


 黒鷲 玉腰忠義 1

 今節22打数9安打5得点6打点、三塁打2本、本塁打1本の活躍を見せる。27日の名古屋戦ではピッチャーとして出場し、敗戦投手となったものの完投している。玉腰忠義は戦後、金星、阪急で活躍することとなるが、病を押して出場をしたことが影響して36歳で早逝することなる。この経緯は浜崎真二の自伝に書かれています。走攻守投にセンス溢れるプレー振りを見せています。





殊勲賞

 黒鷲 清家忠太郎 1

 26日の巨人戦で5打数4安打2得点2打点、二塁打1本、三塁打1本を記録する。


 南海 神田武夫 1

 27日の朝日戦でプロ入り初完封をマークして今節2勝をあげる。





敢闘賞

 黒鷲 木下政文 1

 今節5試合連続ヒットで18打数7安打3得点3打点2盗塁、二塁打3本をマークする。


 阪急 上田藤夫 1

 今節19打数7安打2得点3打点、二塁打1本をマークする。


 巨人 平山菊二 2

 今節12打数6安打1打点5四球、三塁打1本をマークして前節に引き続き2節連続敢闘賞に輝く。






技能賞

 大洋 織部由三 1

 29日の阪急戦で一試合3盗塁を記録する。


 名古屋 芳賀直一 1

 今節ファインプレー賞3個を獲得する。22日の大洋戦6回表の守備では1イニング2個のファインプレーを見せる。打撃面でも20打数6安打2得点1打点、二塁打1本、本塁打1本をマークしており、決して守るだけのプレイヤーではありません。







 

16年 大洋vs阪急 3回戦


4月29日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
1 0 1 0 0 0 0 0 0  2 大洋 10勝6敗 0.625 野口二郎
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 阪急   9勝7敗 0.563 笠松実

勝利投手 野口二郎 5勝2敗
敗戦投手 笠松実     2勝4敗

勝利打点 なし


織辺由三、一試合3盗塁

 大洋は4連敗、3試合連続完封負けで32イニングス連続無得点を継続中である。27日の阪急2回戦で森弘太郎に投げ負けた野口二郎が雪辱を期して連投してきた。阪急は笠松実の先発で応戦する。

 大洋は初回、先頭の苅田久徳が左前打で出塁、石井豊は左飛に倒れるが、濃人渉が左前打を放って一死一二塁、黒澤俊夫の遊ゴロは「6-4-3」と転送されるがセカンド田中幸男からの一塁送球が悪送球となる間に二走苅田が三塁を回ってホームに還り1点を先制、22日の名古屋戦4回表以来の得点となった。

 大洋は3回、先頭の織辺由三が中前打、トップに返り苅田は捕邪飛に終わるが織辺が二盗に成功、石井が四球を選んで一死一二塁、濃人の三ゴロで石井が二封されて二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて2-0とする。

 大洋先発の野口は阪急にヒットは許すものの得点は与えず試合は進む。

 阪急は8回、先頭の笠松が左前打で出塁、中島喬が右前打で続いて無死一二塁、トップに返り黒田健吾の投前バントを野口が三塁に送球して二走笠松は三封、フランク山田伝は遊飛に倒れて二死一二塁、阪急ベンチは5回から田中に代わってセカンドに入っている伊東甚吉に代えて代打に左の浅野勝三郎を起用、大洋ベンチはここでライトの黒澤をレフトに、レフトの織辺をライトに回し、浅野は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。9回の守備で黒澤はライト、織辺はレフトに戻る。

 野口二郎は8安打を許したものの1四球3三振で今季2度目の完封、5勝目をあげてチームの連敗を4でストップさせると共に、自身も27日の雪辱を果たした。


 織辺由三が2回に二盗と本盗、8回にも二盗を決めて一試合3盗塁を記録する。8回の守備では二死一二塁で左の浅野勝三郎が代打に起用されるとレフトからライトに回っている。大洋ベンチは織辺の守備を買っていることがうかがわれる。金鯱と翼が合併した大洋は総監督が石本秀一で監督が苅田久徳であるが、苅田の自伝「天才内野手の誕生」によると「石本総監督と私の事務分担は、石本さんがもっぱら選手の精神的指導と訓育養成にあたり、実戦はいっさい私がタッチしてキリモリすることになっている。」とのこと。織辺と黒澤の守備位置をスイッチした判断も苅田によるものでしょう。守備と走塁に俊敏なプレーを見せた織辺由三も昭和17年を最後に応召して戦死することとなる。







   *野口二郎は8安打完封で5勝目をあげる。笠松実も大洋打線を4安打に抑える好投を見せた。












*織部由三の一試合3盗塁を伝えるスコアカード。3回は二盗と本盗、8回にも二盗を決めている。守備位置もレフトとライトを交互に守ったことを伝えている。











 

2013年10月19日土曜日

16年 朝日vs南海 3回戦


4月29日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 1 0 0 0 0 0 0  1 朝日 6勝11敗 0.353 福士勇
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 南海 7勝8敗 0.467 石田光彦

勝利投手 福士勇     4勝5敗
敗戦投手 石田光彦 1勝1敗

二塁打 (朝)伊勢川

勝利打点 五味芳夫 1


倍返し

 朝日は初回、先頭の坪内道則が一塁線にバントヒット、五味芳夫の三ゴロでランナーが入れ替わり、灰山元章が四球を選んで一死一二塁、しかし鬼頭政一の三ゴロが「5-4-3」と転送されてダブルプレー。

 南海は1回裏、先頭の国久松一が三塁に内野安打、安井鍵太郎が送って一死二塁、岩本義行の左飛をレフト室脇正信が落球して一死一三塁、岩本が二盗を決め、鬼頭数雄が四球を選んで一死満塁、しかし村上一治は捕邪飛、木村勉は遊飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 朝日は2回、先頭の室脇が四球で出塁、岩田次男は三邪飛に倒れて一死一塁、伊勢川眞澄の三ゴロが又も「5-4-3」と転送されてダブルプレー。

 南海は2回裏、一死後石田光彦が四球で出塁、岡村俊昭が右前打を放って一死一二塁、しかしトップに返り国久は三邪飛、安井は三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 朝日は3回、先頭の福士勇が右前打で出塁、前田諭治の三ゴロでランナーが入れ替わり、トップに返り坪内が打撃妨害を受けて一死一二塁、五味が左前にタイムリーを放って1点を先制、灰山の遊ゴロは「6-4-3」と転送されて3イニング連続のダブルプレー。

 その後、両軍とも走者を出しながら得点を奪えず、五味のタイムリーが決勝点となった。両軍11残塁ずつを記録する。

 福士勇は6安打3四球1死球2三振の完封で4勝目をあげる。福士は25日の大洋戦で4安打完封したが、27日の南海2回戦は6失点(自責点は2)を喫し神田武夫の3安打完封の前に敗れ去った。本日は同じ南海相手に“倍返し”を決めて週間MVPの有力候補に躍り出た。

 石田光彦も5安打無三振1失点自責点ゼロの投球であったが9四球を出し、阪急から南海に移籍した今季はどうもコントロールが定まらない。


 このブログをアップした2013年10月19日(米国時間では10月18日)、セントルイス・カージナルスの期待の新星マイケル・ワカはドジャースとのリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第六戦で2勝目をあげてシリーズMVPに輝きました。ワカは1991年7月生まれの22歳、今節2完封をあげて週間MVのP有力候補となった福士勇は1909年6月生まれでもうすぐ22歳になります。ワカの前途は洋々ですが、福士は来期を限りに応召し戦死することとなります。








       *27日の南海2回戦で敗戦投手となった福士勇が“倍返し”を決めたスコアカード。











*坪内道則が第二打席で打撃妨害を受けた場面。「#-2’」と記録されていますので、バットがキャッチャーミットに接触したのでしょう。











 

16年 黒鷲vs名古屋 3回戦


4月29日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 黒鷲     4勝12敗 0.250 長谷川重一
1 0 0 0 0 0 4 0 X 5 名古屋 7勝9敗 0.438 河村章 西沢道夫

勝利投手 河村章        4勝1敗
敗戦投手 長谷川重一 1勝5敗

二塁打 (黒)木下 (名)芳賀
三塁打 (名)本田
本塁打 (名)吉田 2号

勝利打点 本田親喜 1

ファインプレー賞 (名)本田親喜 5 (黒)中河美芳 3、4


本田親喜、走攻守に獅子奮迅の活躍!

 黒鷲は初回、寺内一隆、玉腰忠義が連続左翼線ヒット、小島利男の中飛で二走寺内がタッチアップから三塁に進んで一死一三塁とするが、サム高橋吉雄の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってダブルプレー。2回も一死後木下政文が中越え二塁打、長谷川重一は左飛に倒れるが、清家忠太郎が左前打、山田潔が四球を選んで二死満塁、しかし寺内が二飛に倒れてこの回も無得点。黒鷲は序盤のチャンスを活かせなかったことが最後まで響いた。

 名古屋は初回、先頭の木村進一が四球で出塁、岩本章は中飛に倒れ、本田親喜の三ゴロで木村は二封、一塁に残った本田が二盗、キャッチャー清家からの送球が高投となって外野に抜ける間に本田は快足を飛ばして三塁を回りホームに還って1点を先制する。続く大沢清の一ゴロはファースト中河美芳の好守に阻まれスリーアウトチェンジ。

 名古屋は2回、一死後服部受弘が左前打、芳賀直一の遊ゴロでランナーが入れ替わり二死一塁、石丸進一のファーストライナーを中河が又もファインプレー、ピンチの芽を摘み取る。

 名古屋は3回、一死後木村が中前打、岩本の遊ゴロで木村は二進、本田が四球を選んで二死一二塁、ここで重盗を試みるがキャッチャー清家からの三塁送球に木村はタッチアウト。

 名古屋は4回、先頭の大沢が四球で出塁、吉田猪佐喜は右飛、服部は左飛に倒れるが、芳賀が右前打を放って二死一二塁、石丸の中前打で二走大沢は三塁ベースを蹴ってホームを突くがセンター寺内からのバックホームにタッチアウト。黒鷲は好守を連発させて何とか粘る。

 名古屋は5回、河村章の四球を木村が送り、本田の四球で二死一二塁とするが大沢が中飛に倒れ、6回も先頭の吉田が四球、服部の三直で吉田が飛び出しサード木下から「5-3」と送られてダブルプレー、直後に芳賀の左中間二塁打が飛び出すが石丸はレフトライナーに倒れてスリーアウトチェンジ。

 鳴りを潜めていた黒鷲は7回、一死後清家の三ゴロをサード芳賀がエラー、山田の左前打で一死一二塁、トップに返り寺内の投ゴロで二走清家は三封、玉腰が左前にタイムリーを放って遂に1-1の同点に追い付く。

 同点に追い付かれた名古屋は7回裏、先頭の河村が中前打を放つと代走に牧常一を起用、トップに返り木村が送って一死二塁、岩本が四球を選んで一死一二塁、ここで本田が右中間を深々と破る三塁打、二者を迎え入れて3-1と勝ち越し、大沢は一直に倒れるが、吉田がレフトスタンドにツーランホームランを叩き込んで5-1と突き放す。

 7回まで7安打を許しながら粘りのピッチングを見せていた河村に代走を出した名古屋は8回から西沢道夫をマウンドに送る。

 8回は三者凡退に終わった黒鷲は9回、先頭の長谷川が四球で出塁、清家の二ゴロでランナーが入れ替わり、山田の遊ゴロをショート石丸が失して一死一二塁、トップに返り寺内の代打金子裕の三ゴロで石丸は二封、玉腰が四球を選んで二死満塁、名古屋ベンチは7回からライトに入っていた富松信彦に代えて代打に杉田屋守を起用するが二ゴロに終わって試合終了を告げるサイレンが高々と鳴り響く。翌日の読売新聞・鈴木惣太郎の論評は「富松に打たせて本塁打を狙うべきであり単打主義杉田屋の出場は首肯しかねる。」としている。


 雨の中の一戦は本田親喜が走攻守に獅子奮迅の活躍を見せた。すなわち、初回は二盗からキャッチャー悪送球に乗じて一気にホームイン、7回は決勝の三塁打を放ち、8回には高橋のレフトライナーをスーパーキャッチ、真の殊勲打及び勝利打点に加えてファインプレー賞も贈呈された。


 雨が激しくなり、第二試合に予定されていた巨人vs阪神3回戦は順延された。














 

2013年10月18日金曜日

16年 阪急vs大洋 2回戦


4月27日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 2 0 0 1 0 0  3 阪急 9勝6敗 0.600 森弘太郎
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 大洋 9勝6敗 0.600 野口二郎

勝利投手 森弘太郎 5勝0敗
敗戦投手 野口二郎 4勝2敗

二塁打 (急)上田、新富

勝利打点 森田定雄 2


犠打と重盗

 阪急は森弘太郎が先発、大洋は野口二郎で応戦、両エースによる対決となった。

 2回まで無安打の阪急は3回、二死後黒田健吾が左前打、フランク山田伝の三ゴロをサード高橋輝彦がエラー、しかし田中幸男は遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 2回まで無安打の大洋は3回、一死後中村信一が右前打、苅田久徳の遊ゴロをショート上田藤夫がエラー、しかし石井豊は左邪飛、濃人渉は三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。序盤戦は互角の戦いとなった。

 阪急は4回、先頭の上田が左翼線に二塁打、新富卯三郎の投前送りバントが野選を誘い無死一二塁、森田定雄が二前にスクイズを決めて1点を先制、日比野武は遊飛に倒れるが二走新富が三盗に成功、森が四球を選んで二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて2-0とする。「井野川戦法」によるスモールベースボールで野口を攻略した。

 阪急は7回、先頭の黒田の遊ゴロをショート濃人が一塁に悪送球する間に打者走者の黒田は二塁に進む。山田は二飛、田中は三振に倒れるが、上田が中前にタイムリーを放ち貴重な追加点をあげる。

 森弘太郎は4回から8回まで無安打1四球、9回二死後黒澤俊夫に右前打を許すが、最後は野口を投ゴロに打ち取り、2安打2四球4三振で今季2度目の完封、開幕から無傷の5連勝を飾る。


 大洋は三日間3試合連続完封負け、開幕からの勢いは止まっている。


 この試合の勝利打点は決勝スクイズを決めた森田定雄に記録されたが、「真の殊勲打」は3回に二塁打から先制のホームを踏み、7回には貴重な追撃タイムリーを放った上田藤夫になります。






              *森弘太郎は2安打完封で開幕から無傷の5連勝を飾る。












     *四番・上田藤夫が“真の殊勲打”を放った阪急打線。