凱旋門の扉は重かった。
Prix de Diane(フランス・オークス)、Prix Vermeille(ヴェルメイユ賞=日本の秋華賞に該当し、フランス牝馬三冠最後のレース)を連勝してきた4戦無敗のフランス3歳牝馬トレヴに敗れました。
日本中の期待を集めたオルフェーヴルはロンシャン競馬場の直線で抜け出したトレヴを追いましたが差を詰めることはできず昨年に続いて2年連続二着に敗れたのです。フランスの牝馬はアレフランスに代表されるように強いのですが。3歳牝馬と5歳牡馬の5キロの斤量差が着差に表れました。斤量1キロは1馬身に相当すると言われています。
1974年に凱旋門賞を制したフランス4歳牝馬アレフランス(Go Franceの意味)以降、フランス牝馬はイヴァンジカ(76年・4歳)、スリートロイカス(79年・3歳)、デトロワ(80年・3歳)、 ゴールドリヴァー (81年・4歳)、 アキイダ (82年、3歳)、 オールアロング (83年・4歳)、アーバンシー(93年・4歳)、ザルカヴァ(2008年・3歳)、ソレミア(12年・4歳)が勝っています。2011年もドイツ3歳牝馬のデインドリームでした。79年のスリートロイカスからはフランス牝馬が5連勝しているのです。
そのスリートロイカスを管理したクリスチャン・ヘッドマーレック師は女性の調教師として初めて凱旋門賞を制し、トレヴによって34年ぶり2度目の凱旋門賞を制しました。本日の画像をご覧になった方は、トレヴに駆け寄る金髪の初老の女性調教師の姿を見ることができたのではないでしょうか。
筆者としてはオルフェーヴルに勝って欲しかったのには他の方々とは違う理由があります。オルフェーヴルの父がステイゴールドであることはよく知られている事実です。筆者は社台サラブレッドクラブの一口馬主を1982年から続けています。1995年の2歳馬(現・1歳馬)募集では16番・ゴールデンサッシュの94(後のステイゴールド)を1位指名して申し込みましたが、抽選漏れとなりました。もちろん完全抽選ではなく出資実績の高い方が優先される訳で、筆者のような零細会員には回ってこないのも当然ですが。サンデーサイレンスの産駒は2億円くらいするのも珍しくは無く、40口の募集でも500万円となります。ゴールデンサッシュの94は総額3,800万円で一口95万円ですから筆者でもぎりぎり出資可能な額でした。まだサンデー産駒の価格が高騰する前のことです。
ステイゴールド(黄金旅程)と名付けられたゴールデンサッシュの94(母・ゴールデンサッシュの1994年産駒の意味)は、G1レースで2着を繰り返し、国内ではG1勝ちはありませんでしたが、引退レースとなった香港の国際競走・香港ヴァーズに優勝し、最後に国際GIを制しました。稼いだ賞金は数億円になりますので一口持っていれば中古マンションの一戸も買えました(笑)。
「ステイゴールド」はスティーヴィー・ワンダーの楽曲(映画「アウトサイダー」=「1983年の作でまだ若かりし日のダイアン・レイン、ロブ・ロウ、トム・クルーズが出演している豪華版」の主題歌)に由来します。「ゴールデンサッシュの94」に外れた筆者は二位指名の「リストレーションの94」に出資することになったのですが、こちらはビリー・ジョエルの名曲に由来して「ピアノマン」と名付けられましたが未勝利のまま引退しました。
トレヴの父Motivatorの父はエルコンドルパサーを破ったモンジューです。日本馬に立ちはだかる壁を乗り越えて、重い扉をこじ開けるのはいつのことになるのでしょうか?
*1995年の募集馬パンフレットより。肖像権は社台ファームに帰属する可能性がありますので問題があれば削除させていただきます。
*筆者が16番「ゴールデンサッシュの94」を一位指名した物的証拠(笑)。
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