2012年7月28日土曜日

柳鶴震、首位打者に躍り出る


 昭和15年4月12日は後楽園、甲子園球場で合計4試合が行われたが打撃ベストテンに大きな変動が見られた。

 開幕以来首位打者の座をキープしてきた川上哲治は3打数無安打で今季通算61打数21安打3割4分4厘3毛となって二位に落ちた。鬼頭数雄は4打数2安打をマークして今季通算64打数22安打3割4分3厘8毛で三位に付けている。今季熾烈な首位打者争いを続けることとなる二人を差し置いて、柳鶴震が3打数3安打を記録して今季通算58打数20安打3割4分4厘8毛で首位打者に躍り出た。

 四位タイには3割3分3厘で桝嘉一と大沢清の名古屋勢が並び、千葉茂が3割2分6厘で六位、岡村俊昭が3割1分4厘で七位、野口二郎が3割1分3厘で八位、中河美芳が3割1分1厘で九位、黒田健吾が2割9分6厘で十位に続いている。

 昭和15年の柳鶴震は75失策を記録することとなり年間最多失策記録のみが語られることが多いが、何故75個もエラーをしながら使われ続けたかを考える必要がある。柳は当時の選手では国久松一に次ぐ強肩であり、一時的とはいえ川上、鬼頭を凌ぐ打率をマークする程の強打の持ち主なのである。この点を無視して年間最多失策記録のみを取り上げるのはいかがなものか。

 「強打のショートの元祖は誰か」の議論では豊田泰光や藤田平、宇野勝が語られる事が多いが、柳鶴震こそが「強打のショートの元祖」と言ってよいでしょう。サム高橋吉雄も「強打のショートの元祖」とも言えますが、高橋は肩が弱くてセカンドに回ることが多かったので柳鶴震の方が相応しいでしょう。






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