１３年春 セネタースvsジャイアンツ ３回戦

6月5日 （日） 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 0 3 0 0 5 セネタース 　　７勝１１敗 0.389 遠藤忠二郎
0 0 0 0 1 1 0 1 0 3 ジャイアンツ １２勝５敗   0.706 前川八郎 成田友三郎 スタルヒン


勝利投手 遠藤忠二郎 １勝１敗
敗戦投手 前川八郎     ２勝２敗


二塁打　（セ）苅田、伊藤次　（ジ）伊藤健２、スタルヒン


遠藤忠二郎、又やった


　セネタースは第一試合に三番打者として5打席2打数2安打3四球出塁率10割の活躍を見せた遠藤忠二郎が五番ピッチャーで先発。

　セネタースは初回、先頭の苅田久徳が左翼線に二塁打、伊藤次郎も左翼線二塁打で続き1点を先制、北浦三男左前打、綿貫惣司中前タイムリーで2-0、ジャイアンツベンチは早くも先発前川八郎をあきらめ成田友三郎を注ぎ込む。ここは成田が後続を抑え傷口を広げずにチェンジ。セネタースは第一試合に続いて鮮やかな先制攻撃を見せる。

　ジャイアンツは遠藤のチェンジ・オブ・ペースの前に1、2回は無安打、3回一死後井上康弘が中前に初安打を放つが無得点、二順目に入った4回、先頭の水原茂が中前打を放つが中島治康の遊ゴロは6-4-3のゲッツー、直後の伊藤健太郎が左中間に二塁打を放つが無得点ながら徐々に遠藤を捕まえ始めた。

　ジャイアンツは5回、この回先頭の吉原正喜が左前打で出塁、成田の二ゴロでランナーが入れ替わり、井上四球で一死一二塁、呉波に代わる代打川上哲治が右翼線にタイムリーを放ち1-2としてなお一三塁、川上に代わる代走平山菊二が二盗を決め千葉茂四球で一死満塁、しかし水原の三ゴロが5-4-3と渡ってゲッツー。セネタースが中盤で見せた二つのダブルプレーが勝因の一つとなった。

　ジャイアンツは6回、この回先頭の中島が三塁内野安打で出塁、伊藤が左翼線に二塁打を放ち無死二三塁、永澤富士雄の中犠飛で2-2の同点に追い付く。この同点劇の立役者は1回からマウンドに上った二番手ピッチャー成田友三郎である。成田は6回まで苅田と綿貫にシングルヒットを許したのみでセネタース打線を封じ込めた。

　セネタースは7回、この回先頭の青木幸造が四球で出塁、続く横沢七郎も四球を選び今岡謙次郎の投前送りバントが前川の野選を誘い無死満塁、ジャイアンツはここで満を持してスタルヒンを注ぎ込む、と言いたいところだが本音を言えばスタルヒンは第二試合の阪急戦にとっておきたかったであろう。苅田は三邪飛に倒れて一死満塁、ここで伊藤の二ゴロをセカンド千葉がエラー、青木に続いて二走横沢も還って4-2としてなお一死一三塁、北浦の遊ゴロゲッツー崩れの間に三走今岡が還って5-2とする。セネタース守備陣とは好対照の場面であった。セネタースは先制して追い付かれて突き放したところまでは第一試合とそっくり、第一試合では逆転サヨナラを喰らったが第二試合の結果は如何に。

　ジャイアンツは8回、二死後吉原がショートへの内野安打で出塁、スタルヒンが左中間に二塁打を放って吉原が還り3-5とする。しかし9回、呉、千葉、水原と三者凡退に倒れ試合終了を告げるサイレンが高々と鳴り響く。

　ジャイアンツの敗戦投手は1回4連打を浴びて降板した前川八郎に記録されている。現行ルールではもちろん成田友三郎となるが、こういう決め方も面白いかも。

　遠藤忠二郎は10安打を浴びながら4四球1三振の完投でセネタース移籍後初勝利を飾る。遠藤は名古屋時代の昨年6月24日にタイガース打線を1対0で完封して以来の勝利。遠藤のような超緩球の使い手がたまにこういうことをやるから面白い。馬で言えばホワイトフォンテンのようなタイプ。日経賞を二年連続逃げ切った時の「ホワイトフォンテン又やるか、ホワイトフォンテン又やったー。」の盛山アナウンサーの絶叫が懐かしい。