今節はジャイアンツが3勝0敗、タイガースが2勝0敗、イーグルスが2勝1敗1分、セネタースが1勝1敗1分、阪急とライオンが1勝1敗、金鯱と名古屋が0勝3敗であった。
週間MVP
投手部門
イーグルス 古川正男 1
今節は完封勝利が3人。しかしスタルヒンは6回降雨コールド、西村幸生は8安打6四球、亀田忠は1安打ピッチングではあったが10四球であり、週間MVPには値しないと判定された。
古川正男は今節2試合に登板し、12回を投げて自責点ゼロ。6月15日の名古屋4回戦では5回3分の0を投げて5安打4四球無三振無失点。18日のタイガース4回戦では7回を投げて1安打4四球1三振1失点、自責点ゼロ。得点を許したのは伊賀上良平に打たれた右前打をライト中根之が後逸して伊賀上が一挙にホームに還ったものである。古川のピッチングを見ているとピッチャーは三振をとればいいと言うものではないことがよく分かる。古川正男のプロ野球人生で最良の一週間であったのではないか。
打撃部門
ジャイアンツ 千葉茂 1
“猛牛”千葉が本領を発揮してきた。名古屋2回戦では中前打で出塁し、殊勲賞に輝いた井上康弘のタイムリーで生還する。ライオン3回戦では右前打で出塁して生還。名古屋3回戦では右中間に試合を決める2点タイムリー三塁打。今節9打数3安打3得点2打点、試合の要所での活躍が目立つ。
殊勲賞
ジャイアンツ 井上康弘 1
前週は白石敏男の欠場でショートに入っていたが今週は白石が復帰、出番は無いはずであったが名古屋2回戦で水原茂が欠場して千葉茂がサードに入ったためセカンドで出場するチャンスを得た。レギュラーの怪我は控えにとってはチャンスである。遠慮する必要は無い。井上はチャンスを生かした。雨を突いて行われた名古屋2回戦、どうしても先取得点が必要なゲームで千葉茂を三塁に置き中前に先制タイムリーを放ちこれが決勝点となった。
私ごとで大変恐縮ですが、大学二年春季の東京六大学準硬式野球リーグ戦開幕戦、先輩レギュラーの怪我で私に八番ライトで先発出場するチャンスが巡ってきました。相手投手はリーグを代表するサイドハンド。第一打席は一塁線に送りバント、第二打席で右前にヒットを放ち秋季リーグ戦でレギュラーをとる足掛かりにしました。
敢闘賞
金鯱 小林茂太 2
二試合連続4打数3安打。球界屈指のクラッチヒッター、「戦前のマニー・ラミレス」の称号を贈りたい強打者である。
セネタース 苅田久徳 1
苅田に敢闘賞は失礼であるが、今季二度目の二試合連続ホームランにに敬意を表して。
技能賞
ライオン 日野弘美 1
セネタース3回戦でプロ野球史上初のアテ馬としてスタメンに名を連ねチームの15得点を引き出す。
水島新司の傑作野球漫画「野球狂の詩」は水原勇気で有名ですが、水原が登場する以前は月1回ほどの不定期で少年マガジンに各回読み切りが連載されていました。「北の狼南の虎」や里中真智子との共作となった「ウォッス10番」「ガッツ10番」「スラッガー10番」のようなシリーズものもありましたが基本的には一作読み切りです。各読み切り作品の主人公が東京メッツのメンバーとして定着していく訳です。
この中で、東京メッツでアテ馬専門として過ごしてきた島小太郎を描いた「あて馬」があります。この回では監督は五利一平ではなく岩田鉄五郎でした(こういうことがよくあります。)。島小太郎は毎試合打席に立つことなく交代させられる訳ですが、ベンチでは牛骨でバットをしごき木目を締めることを欠かしませんでした。東京メッツはレギュラー陣が不振の極みで鉄人鉄五郎が倒れます。代理監督に起用された島小太郎は先発メンバーのレギュラー全員をアテ馬として使い、第一打席で全て二軍選手に交代させました。以外にも真っ黒に日焼けした二軍連中が活躍して接戦に持ち込みます。決勝打は島小太郎が木目を締めてきたバットで叩きつけて内野安打となりました。この時島が吐いた言葉が「野球は魂でやるものだ。」
ここからは私の全くの想像にすぎませんが、島小太郎のモデルは「志摩供養」で知られる志摩定一氏ではないでしょうか。高松商業の三塁手として大正13年春の甲子園で優勝しますが病に倒れ病死します。死の直前吐いた言葉が「俺は死んでも俺の魂は高松商業のサードを守る」だったと言われています。
高松商業は試合前、キャプテン(三塁手説もあります)が水を口に含みナインが三塁ベースに集まり、三塁ベースに水を吹き付けてから守備位置につきます。この「志摩供養」も高野連が遅延行為に当たるといちゃもんを付けて甲子園では中止されることとなりました。
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