2010年7月14日水曜日

12年春 ジャイアンツvs名古屋 6回戦

6月25日 (金) 洲崎


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 5 0 0 2 0 0 7 ジャイアンツ 34勝11敗1分 0.756 スタルヒン-青柴憲一
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 名古屋      16勝29敗    0.356  大沢清-田中実


二塁打 (ジ)内堀


勝利投手 スタルヒン 11勝4敗
敗戦投手 大沢清    1勝3敗
セーブ   青柴憲一 1


二塁打 (ジ)内堀


澤村栄治倒れる


 試合前の練習中に大アクシデントが起こった。トスバッティングの最中に澤村がボールを眼に当てるという事態となった。翌日の読売新聞は「トスバッティングにおいてホープ澤村が右眼にボールを受け負傷」と伝えており、大和球士著「真説日本野球史」は「誰かが“おい澤村”と声をかけたのと、トスバッティングの投手役がボールを投げたのが同時であったのが原因であった。」と記述している。この晩の治療が馬肉を顔に当てて熱を冷やす方法がとられた話は有名であるが、その伝えられ方は「チームメイトが交代して徹夜で馬肉を取り換えた」、「常宿にしている旅館の女将が熱冷ましには馬肉を患部に当てるのが効くと進言して女性従業員達が徹夜で交代して看病した」、こんなのもある「澤村の危機を察知した父親が三重から馬肉を持って駆けつけ患部を冷やした」。
 翌日の第一試合「名古屋vs大東京7回戦」の開始時間が午後二時であることから第二試合の開始は三時過ぎとなるので、明け方までジャイアンツナインが看病に当ったとする説も考えられなくはないが、大事な決戦を控えているだけに、徹夜の看病は旅館の女将を中心に女性従業員達が行ったと考えるのが妥当ではないか。藤本監督の著書には三原や水原が徹夜で看病したとあるが、恐らく夜中の12時くらいまでは看病に当っていたでしょうが、徹夜となると旅館サイドに任せていたのではないでしょうか。なお、この看病が効いて澤村が投げられるようになることはご存じの通り。


 3回まで名古屋先発の大沢清にパーフェクトに抑えられていたジャイアンツは4回、呉波四球、水原茂投手横ヒット、三原脩の送りバントは内野安打となり無死満塁、中島治康の三塁内野安打とサード岩田次男の二塁悪送球で2点を先制。大沢の暴投で三走三原が還り、内堀保、スタルヒンのタイムリーが続いてこの回一挙5点。7回にもスタルヒン、呉のヒットからショート芳賀直一のセカンド悪送球で2点を追加して7-0とする。
 ジャイアンツは決戦に備えてスタルヒンを休ませ、7回から永らく病気欠場していた青柴憲一が今季初登板、青柴は3イニングを1安打に抑えて初セーブをあげる。

2 件のコメント:

  1. 沢村栄治の『馬肉治療』については、私も旅館の女中さんあたりが徹夜で治療を行ったと思われますが、戦後に出版されたベースボールマガジンだったかベースボールニュースには又違った説が載っていました(現在は手元にあらず詳細不明)。

    まぁ、この時代のトスバッティングといえば今のペッパーのようなモノでしょう。

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  2.  ご指摘のとおり本文中のトスバッティングはペッパーのことです。
     私の学生時代にはトスバッティングと呼んでいました。読売新聞の記事にも真説日本野球史にもトスバッティングと記述されていましたので何の疑問も持たずにトスバッティングとさせていただきました。
     因みに私の現役時代のペッパーと言えば、先輩が左右にボールを投げて、捕っては投げを繰り返されるという単純にして極めてきつい守備練習(ほとんどイジメ)のことを指します。プロでも春季キャンプなどで見られるようです。体のキレを養うには最適(と思われる)の練習方法ではありますが。

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