１２年春 イーグルスvs金鯱 ５回戦

5月30日 （日） 洲崎


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 0 0 0 0 0 0 2　イーグルス　６勝２２敗　　　 0.214　畑福俊英
0 0 0 0 1 0 0 3 X 4　金鯱　　　 １１勝１６敗１分　0.407　古谷倉之助


勝利投手　古谷倉之助　６勝７敗
敗戦投手　畑福俊英　　 ４勝１４敗


二塁打　（金）小林利
三塁打　（金）黒澤
本塁打　（金）瀬井　２


古谷倉之助投打に活躍


　2回まで古谷倉之助に無安打に抑えられたイーグルスは3回、二死からトップの寺内一隆が四球で出塁、中根之の二塁内野安打の間に寺内は三塁に進み中根が盗塁に成功して二死二三塁と先制のチャンス、ここで小島利男が中前に2点タイムリーを放ち2-0とする。尚もサム高橋吉雄が中前打で続き杉田屋守の三ゴロをサード瀬井清がお手玉、しかし小島が三塁をオーバーランしてタッチアウト、自ら流れを断ち切ってしまう。この辺が上位チームとの差か。

　畑福俊英に4回まで無得点に抑えられていた金鯱は5回、先頭の瀬井が左翼スタンドに第2号ホームランを叩き込み1点差とする。そして金鯱は8回、この回先頭のの小林利蔵四球、代走にとっておきの島秀之助を起用、黒澤俊夫左前打で無死一二塁、ここでダブルスチールを決めて無死二三塁、一死後古谷倉之助が右翼線に逆転の2点タイムリーを放ち3-2。瀬井四球後松元三彦が右前タイムリーで4-2とする。

　肩に痛みを抱える畑福俊英は剛球を抑えて軟投派に転身するが後半スタミナ切れの傾向がある。昭和9年全日本に参加してジャイアンツ入りし、第1回及び第2回アメリカ遠征に参加して昭和11年巨人軍公式戦初勝利を記録しながら今季イーグルスに放出された原因は呑み過ぎにあったとも言われている。お酒はほどほどにしましょう。

　古谷倉之助は相変わらずの緩急を付けたピッチングで奪三振こそ2個でイーグルス打線に6四球1死球を与えるも2安打に抑えて完投で6勝目を飾り、5勝で並ぶ景浦将、近藤久、御園生崇男、田中実を置いて6勝の西村幸生に追い付きハーラーダービー第三位に並ぶ（実はこの時点では西宮の第一試合で景浦が6勝目をあげているが、当時の情報伝達手段ではそのことは古谷には伝わっていなかったであろう。）。