5月23日で昭和12年春季リーグ戦の第二期を終了いたしましたので、月間MVPの表彰をさせていただきます。
投手部門 タイガース 西村幸生 1
澤村栄治は第二期5勝1敗で、タイガース戦ではノーヒットノーランも記録している。しかし最後のセネタース戦で野口明との投げ合いに敗れたことによりタイガースに首位の座を明け渡すこととなったのがマイナス要因となり、二期連続受賞を逃すこととなった。
西村幸生は第二期4試合に登板、4勝0敗、うち完投勝利3、防御率1.06。完投しなかった1試合も大差がついたことにより7回零封しながら菊矢吉男にマウンドを譲ったものであり、タイガースの首位浮上の原動力となった。
打撃部門 タイガース 景浦将 1
松木謙治郎は45打数20安打、打率4割4分4厘、得点14、打点8。景浦将は43打数11安打、打率2割5分6厘、得点8、打点18。
両者の争い、すなわち塁に出で多くホームに還った者を選ぶか、多くの打点をあげた者を選ぶかの選択である。
松木の得点が多いから景浦の打点が多くなるわけでもあり、景浦の打点が多いから松木の得点も多くなるわけでもある。景浦の打率が低いことを差し引いたとしても12試合で18打点の打棒がタイガースを首位に浮上させたことに疑いはなく、景浦が選出されることとなった。松木も通算3割5分9厘と、イーグルス中根之(3割5分2厘)を抜いて首位打者に浮上している。
第二期の各チームの成績は以下のとおり。
タイガース 10勝2敗 0.833
ジャイアンツ 9勝3敗1分 0.750
セネタース 9勝4敗 0.692
阪急 7勝6敗 0.538
金鯱 6勝6敗1分 0.500
名古屋 5勝8敗 0.385
大東京 3勝9敗 0.250
イーグルス 1勝12敗 0.077
タイガースは核弾頭松木謙治郎、主砲景浦将を中心に上下位とも万遍なく打ちまくり、投手陣も西村幸生の他に御園生崇男も4勝0敗、若林忠志、景浦も万全で死角が見当たらない。通算18勝6敗1分0.750で首位に浮上する。
ジャイアンツも上下位ともそつなく打ってはいるが、澤村頼みからは脱却しえない。大器スタルヒンの一本立ちが待たれるところだが、春期リーグ戦もあと半分、ここは澤村と心中で行くしかないか。通算18勝7敗1分0.720。半ゲーム差で首位タイガースを追う。
セネタースは試合巧者ぶりを発揮して阪急と並び同率3位に浮上。野口明の不調を伊藤次郎が穴埋めしたことが大きい。野口明もジャイアンツ戦で復活。苅田久徳を中心とする百万ドル内野も健在、積極的な走塁が目立ち、更なる上位を狙う。通算16勝10敗0.615で阪急と同率3位。
阪急は第一期同率首位から脱落。第一期終盤からの打線下降気味のところに主砲山下実を怪我で欠くという苦しい展開となったが、山下実の欠場が却ってナインの結束を固めたか、上田藤夫、黒田健吾がよく山下実の穴を埋める。体調が優れず欠場していた宮武三郎、ジミー堀尾文人が出てきたことも大きい。通算16勝10敗0.615でセネタースと同率3位。
金鯱は古谷倉之助がローテーションの柱となり、第二期は5割の星を残す。通算10勝15敗1分でライバル名古屋を半ゲーム抑える。
名古屋は森井茂、田中実に木下博喜と大東京から移籍の遠藤忠二郎が加わりローテーションが組めるようになり、田中実のリリーフが活きてきた。桝嘉一を中心に打線につながりがあり、大物食いのムードが漂う。通算10勝16敗。
大東京は第二期は荒さばかりが目立ったが、反面豪快さも魅力。近藤久のピッチングを生かせれば上位食いもありうる。通算8勝16敗1分。
イーグルスは畑福俊英が限界に近付いてきており、もう一本柱が欲しいところ。タイガースから移籍の小島利男に期待がかかる。松木謙治郎と熾烈な首位打者争いを繰り広げる中根之のバッティングも見もの。通算5勝21敗。
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