2010年6月3日木曜日

12年春 イーグルスvs阪急 3回戦

5月19日(水)西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 2 0 0 1 3 イーグルス 5勝19敗 0.208 畑福俊英
2 1 0 0 0 0 1 0 X 4 阪急     15勝9敗  0.625 中田武夫-重松通雄-北井正雄


勝利投手 中田武夫 4勝1敗
敗戦投手 畑福俊英 4勝12敗
セーブ   北井正雄 1


二塁打 (阪)山下好


西村正夫4安打の活躍


 イーグルスはタイガースから移籍した小島利男が初登場。タイガースでは四番を務めたこともある強打の二塁手の加入で浮上を狙う。

 阪急は初回、西村正夫が三前にセーフティバントを決めて出塁、黒田健吾四球、上田藤夫が送って山下好一の左翼線二塁打で二者が還り2点を先制。更に2回、四球で出塁した倉本信護を林信一郎の送りバントと中田武夫の二ゴロで三塁に進め、西村が又も投前にセーフティバントを決めて3-0とする。
 阪急先発の中田武夫に5回まで3安打に抑えられていたイーグルスは6回、現在首位打者の中根之が右前打後二盗、サム高橋吉雄の三遊間安打で中根が還り3-1。田村稔四球後太田健一が中前にタイムリーを放ち3-2と追い上げる。
 しかし阪急は7回、二死から西村がこの日4本目のヒットで出塁、すかさず二盗を決めて二死二塁、ここで黒田が三遊間を破り4-2と突き放す。

 イーグルスは9回、先頭の田村に代わる代打野村実が四球で出塁、阪急はここで中田から重松通雄を救援に送る、太田が中前打で続き無死一二塁。筒井隆雄の送りバントは小飛球となり重松が捕って一死一二塁、畑福俊英の右翼フライで二走野村は三塁へ進塁、太田も二盗を決めて二死二三塁、更に寺内一隆四球で二死満塁。阪急ベンチは重松をあきらめ北井正雄をマウンドへ送る。バッターは首位打者中根之、中根の当りは三遊間を破る、三走野村に続いて二走太田も本塁に突入、しかしレフトはジミー堀尾文人がセンターに入った関係でレフトに入っている強肩山下好一、山下好一のバックホームに太田及ばず本塁寸前でタッチアウト、試合終了を告げるサイレンが高らかに鳴り響く。
 
イーグルスはサードに杉田屋守を起用しているが、西村正夫には弱点を見抜かれているようである。小島利男がセカンドにはいったこともあり、杉田屋をセンターに戻して守備力強化を図るべきではないか。
 
 ジミー堀尾がセンターに入ったことによりレフト山下好一、ライト西村正夫の阪急外野守備は史上最強布陣ではないか。これに匹敵するのは赤ヘル前の広島外野陣、上垣内、山本浩二、深沢、又はライトル加入後の深沢(水谷の守備固め)、山本浩二、ライトル、あるいはイチローと田口を両翼に配した頃のオリックスあたりか。

 上垣内誠に関しては三塁手のイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますので補足説明させていただきます。上垣内は元々レフトで素晴らしい守備力を誇っておりました。レフトからサードへのコンバートでは巨人の高田が有名ですが(因みにV9当時の巨人守備陣はレフト高田、センター柴田だけを見れば最強布陣を論ずることができますがライトに適切な人材を得ていなかったので論外とさせていただきました。)、そもそも外野から内野にコンバートして成功するほどの運動能力を持つ人材は最初から内野をやっているケースが多く、それだけの運動能力を有する人材が外野をやれば高田や上垣内のような外野守備を見せることとなります。松井秀樹は巨人時代サードコンバートを希望していたようですが、あのグラブ捌きでは内野は無理です。高田をサードにコンバートして成功させた長嶋がその程度のことを見抜けないはずがなく、当時は松井は長嶋に嫌われているなどという記事がスポーツ紙をにぎわしていましたが、スポーツ記者はゴシップ記事ばかり狙うのではなく、きちんとプレーぶりを伝えていただきたいと思います。以前にも書きましたが、きちんとした取材に基づく素晴らしい記事が多く掲載されているのも事実ですが、一部に勉強不足に起因していると思われる記事も見受けられます。

3 件のコメント:

  1. はじめまして。突然、お邪魔してすみません。職業野球と申します。

    私も戦前のプロ野球について調べていますが、貴ブログの詳細なスコアテーブルにとても驚きました。何せ資料が少ないもので参考になります。

    私もこちらでこういったブログをやっています。お暇な時にでもどうぞ。
    ttp://eiji1917.blog62.fc2.com/


    ・・・ライトルのノーバウンドのストライク返球は今でも瞼に焼き付いています(深沢も凄かったけど)。高田は最後までスナップスローができませんでしたね。

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  2. コメントありがとうございます。
    こちらこそ、いつも貴ブログを参考にさせていただいております。また、先日は大変僭越ながら「元祖」にコメントさせていただきました。
    戦前のプロ野球に関する知識もさることながら、野球全般に関する造詣の深さにいつも感服させられております。

    3月22日の当ブログの第1回目に書かせていただいたとおり、神田の古書店で昭和12年~24年の公式スコアブック(コピー)を入手することができ、試合経過を順次アップさせていただいております。当時の生の記録を伝える極めて貴重な資料ではないかと思っております。

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  3. お返事ありがとうございます。

    拙ブログにてご指摘していただいた事を忘れておりました。非礼をお許し下さい。

    造詣の深さだなんてとんでもない。ただ単に野球文化が大好きなのです。人間、好きなものや興味のあるものにはトコトンやり込みますからね。

    公式スコアブックはとても貴重なものだと私も思います。たとえ記録のみといっても、我々が知る由も無い職業野球の試合風景がうかんできます。

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