2010年6月12日土曜日

12年春 セネタースvs阪急 5回戦

5月30日 (日) 洲崎


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 4 0 0 0 0 0 0 0 4 セネタース 18勝10敗 0.643 野口明
0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 阪急     16勝12敗 0.571 重松通雄-笠松実


勝利投手 野口明  10勝2敗
敗戦投手 重松通雄 3勝2敗


二塁打 (セ)北浦、野口明
三塁打 (阪)山下実


セネタース、積極的な走塁が効を奏す


 三位セネタースと1ゲーム差で追う四位阪急との戦い。セネタースは2回、阪急先発の重松通雄を攻めて先頭の伊藤次郎がショートへの内野安打で出塁、綿貫惣司の右翼フライの間に伊藤はタッチアップから二塁を陥れる。続く大貫賢は右前にヒット、返球の隙を突いて大貫は二塁に進む。この当たりセネタースの積極的な走塁は下位打線にも浸透している。更に野口明も右前打で続き伊藤が還って1点を先制、しかも野口も返球の隙を突いて二塁に進みなおも一死二三塁。二死後中村信一が三遊間を破り2-0、北浦三男が右翼線に二塁打を放ち4-0とする。

 野口明に5回まで3安打無得点に抑えられていた阪急は6回、三前バント安打の西村正夫と右前安打の黒田健吾を塁上に置いて山下実が左中間最深部へ三塁打を放ち2点を返す。
 セネタースは3回から重松をリリーフした笠松実を打てず追加点を奪えず。しかし復調著しい野口明も7回以降阪急打線を抑えきり、結局10安打を浴びるも2四球7三振の完投で澤村に次ぐ二桁勝利となる10勝目をあげる。

 2回に一挙4点をあげた五番から二番までの積極的な走塁を絡めた攻撃は見事なもの、苅田が推進する近代野球が具現化されてきている。守っても8回、一死満塁と同点に追い付かれるピンチにジミー堀尾文人の遊ゴロを中村信-苅田久徳-綿貫惣司と転送してダブルプレーで切り抜ける。翌日の読売新聞誌上で市岡忠男は「苅田の目にも止まらぬ間一髪のダブルプレーの妙技により・・(中略)・・苅田の素早いモーションは正に天下一品であることは言うまでもないがこの日の演技は勝利を不動のものとしただけに特筆に値する」と記している。巨艦主義の阪急を破って三位固めに成功、あとはタイガース、ジャイアンツを追うのみ。


*写真は昭和9年全日本時の苅田のサイン

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